(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようにビーコンに基づいてユーザの位置を特定する装置では、例えば各ビーコンが示す識別情報と、当該ビーコンを発信する標識発信機の位置情報とを対応付けておき、ビーコンを受信した場合に、対応する位置情報を取得することで、ユーザの位置を特定する。なお、複数の基地局を配置する場合、基地局の設置間隔(密度)が、特定される位置の精度を定める主要な要素となる。例えば、複数の標識発信機を1m間隔で配置し、受信したビーコンのうち最も電波強度の高いビーコン、即ち最も近い標識発信機のビーコンに基づいて位置情報を求める場合、位置の誤差は50cm程度となる。
【0007】
但し、ビーコンは、他の無線信号と衝突する等して、受信できないこともある。このようにビーコンを取得できないと、現在位置を特定することができず経路案内を行うことができなくなる場合や、最も近い標識発信機のビーコンを取得できず、遠くに存在する標識発信機のビーコンに基づいて誤った経路案内を行ってしまう場合がある。
【0008】
そこで、本発明は、精度良く経路案内を行うことができる技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明のナビゲーションシステムは、
識別情報を含む無線標識を発信する複数の標識発信機と、
前記無線標識を受信し、ユーザへ経路案内を行う経路案内装置と、を備え、
前記経路案内装置が、
目的地までの経路情報を設定する経路設定部と、
ユーザに伴って移動され前記標識発信機から前記無線標識を受信する受信部と、
前記経路情報が示す経路に従って移動する場合に、当該経路に設置された前記標識発信機から受信される前記無線標識の順序を示す順序情報を設定する順序設定部と、
受信した前記無線標識の順序と前記順序情報が示す順序を比較し、前記順序情報の順序と合致しない順序で受信した前記無線標識を無効とし、前記順序情報の順序と合致する順序で受信した前記無線標識を有効として判定する標識判定部と、
有効と判定した前記無線標識と対応する経路案内情報を出力する経路案内部と
を備えた。
【0010】
上記ナビゲーションシステムは、前記標識発信機の少なくとも一つが、鉄道又は軌道に沿って走行する車両に対して乗客が乗車又は降車する乗降場所に設けられ、前記順序設定部が、前記経路に従って移動する場合に前記乗降場所を通過する順序に基づいて前記順序情報を設定しても良い。
【0011】
上記ナビゲーションシステムは、前記標識発信機の少なくとも一つが、鉄道又は軌道に沿って走行する車両に設けられ、前記順序設定部が、前記車両の運行情報に基づいて前記順序情報を設定してもよい。
【0012】
上記課題を解決するため、本発明のナビゲーション方法は、
識別情報を含む無線標識を発信する複数の標識発信機から、前記無線標識を受信し、ユーザへ経路案内を行う経路案内装置が、
目的地までの経路情報を設定するステップと、
ユーザに伴って移動され前記標識発信機から前記無線標識を受信するステップと、
前記経路情報が示す経路に従って移動する場合に、当該経路に設置された前記標識発信機から受信される前記無線標識の順序を示す順序情報を設定するステップと、
受信した前記無線標識の順序と前記順序情報が示す順序を比較し、前記順序情報の順序と合致しない順序で受信した前記無線標識を無効とし、前記順序情報の順序と合致する順序で受信した前記無線標識を有効として判定するステップと、
有効と判定した前記無線標識と対応する経路案内情報を出力するステップと
を実行する。
【0013】
また、本発明は、上記ナビゲーション方法をコンピュータに実行させるためのナビゲーションプログラムによって例示される。更に、本発明は、前記ナビゲーションプログラムをコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録したものによって例示される。コンピュータに、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
【0014】
ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータ等から取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD(Compact Disc)、CD−R/W、DVD(Digital Versatile Disk)、ブルーレイディスク(登録商標)、DAT、8mmテープ、フラッシュメモリなどのメモリカード等がある。また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスクやROM(リードオンリーメモリ)等がある。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、精度良く経路案内を行う技術を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、一実施形態に係るナビゲーションシステムについて説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本ナビゲーションシステムは実施形態の構成には限定されない。
〈実施形態1〉
【0018】
《システム構成》
図1は、実施形態1に係るナビゲーションシステムの一例を示す図である。実施形態1のナビゲーションシステム10は、無線標識を発信する複数の標識発信機1と、ユーザに伴って移動されるユーザ端末2と、ユーザ端末2等へ提供する情報の管理を行う管理サーバ3を有している。本実施形態では、管理サーバ3とユーザ端末2とが経路案内装置を構成している。実施形態1のナビゲーションシステム10は、ユーザが路面電車を利用して移動する際に、出発地から目的地への経路に関する案内を行う。例えば、ユーザが停留所(電停)で路面電車を待っている場合に、当該停留所がユーザの設定した目的地へ向かう路面電車が停車するものでなければ、間違った停留所にいることをユーザへ案内する。また、ユーザが路面電車に乗っている場合に、あと幾つ先の停留所で降車すればよいか、即ち、どれ位で目的地の停留所へ到着するのかを案内する。実施形態1では、路面電車を利用する場合について示したが、本発明のナビゲーションシステムは、これに限らず、鉄道やバスなど他の交通機関を利用してユーザが移動する場合の案内を行うものであってもよい。
【0019】
標識発信機1は、案内(ナビゲーション)を行う対象のエリアに設置され、固有の識別情報を含むビーコン(無線標識)を発信する。実施形態1の標識発信機1では、停留所や車両に設けられ、各停留所や車両を示すビーコンを発信する。ビーコンの形式は、特に限定されるものではなく、無線LANやBluetooth(登録商標)等、既存の無線通信用のビ
ーコンを利用してもよい。実施形態1の標識発信機1は、Bluetoothのビーコンを用いて
いる。
【0020】
ユーザ端末2は、指定情報送信部21や、標識受信部22、案内要求部23、案内情報受信部24、経路案内部25を備えている。
【0021】
指定情報送信部21は、ユーザによって指定された目的地や出発地、経由地、到着時刻、出発時刻、日付等を示す指定情報を管理サーバへ送信する。なお、ユーザ端末2が現在位置でビーコンを受信している場合、当該ビーコンによって特定される停留所又は車両の
位置を出発地としてもよい。
【0022】
標識受信部22は、 標識発信機1から発信機された無線標識を受信する。案内要求部
23は、標識受信部22で受信した無線標識が示す識別情報を管理サーバ3へ送信することで、この識別情報と対応する案内情報を要求する。
【0023】
案内情報受信部24は、案内要求部23が送信した識別情報に対する案内情報を管理サーバ3から受信する。経路案内部25は、管理サーバ3から受信した案内情報をディスプレイに表示するなど、ユーザに対して出力することにより案内を行う。
【0024】
管理サーバ3は、経路設定部31や、順序設定部32、標識判定部33、案内情報提供部34を有している。
【0025】
経路設定部31は、ユーザ端末2から受信した指定情報に基づいて、出発地から目的地までの最適な経路を路面電車の運行情報や路線情報を用いて探索し、探索の結果、乗車する車両や、出発地から目的地までに停車する停留所等を示す情報を経路情報として設定する。
【0026】
順序設定部32は、前記経路情報が示す経路に従って移動する場合に、当該経路に設置された前記標識発信機から受信されるビーコン(無線標識)の順序を示す順序情報を設定する。なお、各標識発信機1の配置された位置の情報は、配置情報として予め記憶装置に記憶され、順序設定部32は、この配置情報に基づいて経路上を移動する場合に受信されるビーコンの順序を求める。
【0027】
標識判定部33は、受信したビーコンの順序と順序情報が示す順序を比較し、順序情報の順序と合致しない順序で受信したビーコンを無効とし、順序情報の順序と合致する順序で受信したビーコンを有効として判定する。
【0028】
案内情報提供部34は、有効と判定したビーコンの識別情報と対応する案内情報をユーザ端末2へ送信する。
【0029】
図2は、ユーザ端末2の概略構成図である。ユーザ端末4は、ユーザに携帯されるコンピュータであり、例えば携帯電話、スマートフォン、ノート型PC(Personal Computer
)、ウェアラブルコンピュータ、携帯型ゲーム機、携帯型オーディオプレーヤ、カメラなどである。
【0030】
図2に示すように、ユーザ端末2は、CPUやメインメモリ等よりなる演算処理部201、演算処理の為のデータやソフトウェアを記憶した記憶部(例えばフラッシュメモリ)203、入出力部204、通信制御部(CCU:Communication Control Unit)205等を備えている。
【0031】
該入出力部204には、キーボードやボタン、ダイヤル、ポインティングデバイス、タッチパネル等の入力デバイス、そしてディスプレイやスピーカ、インジケータ等の出力デバイスが適宜備えられる。
【0032】
CCU205は、ネットワークを介して他のコンピュータと通信を行うものである。CCU205は、例えば無線LANユニットやブルートゥース(登録商標)ユニットであり、現在位置を特定するためのビーコンも受信する。
【0033】
記憶部203には、オペレーティングシステム(OS)やアプリケーションソフトがイ
ンストールされている。
【0034】
演算処理部201は、前記OSやアプリケーションプログラムを記憶部203から適宜読み出して実行し、入出力部204やCCU205から入力された情報、及び記憶部203から読み出した情報を演算処理することにより、上記指定情報送信部21や、標識受信部22、案内要求部23、案内情報受信部24、経路案内部25としても機能する。
【0035】
図3は、管理サーバ3の概略構成図である。
図3に示すように、管理サーバ3は、CPUやメインメモリ等よりなる演算処理部301、演算処理の為のデータやソフトウェアを記憶した記憶部(例えばフラッシュメモリ)303、入出力部304、通信制御部(CCU:Communication Control Unit)205等を備えている。
【0036】
該入出力部304には、キーボードやポインティングデバイス等の入力デバイス、そしてディスプレイやスピーカ等の出力デバイスが適宜備えられる。
【0037】
CCU305は、ネットワークを介して他のコンピュータと通信を行うものである。CCU305は、例えば無線LANユニットやブルートゥース(登録商標)ユニットである。
【0038】
記憶部303には、オペレーティングシステム(OS)やアプリケーションソフトがインストールされている。また、記憶部303には、車両の運行情報や、停留所の路線情報が記憶されている。
【0039】
演算処理部301は、前記OSやアプリケーションプログラムを記憶部203から適宜読み出して実行し、入出力部304やCCU305から入力された情報、及び記憶部303から読み出した情報を演算処理することにより、上記経路設定部31や、順序設定部32、標識判定部33、案内情報提供部34としても機能する。
【0040】
《ナビゲーション方法》
次に、上記ように構成された実施形態1におけるナビゲーションシステム10が実行するナビゲーション方法の一例について説明する。
図4は、実施形態1におけるナビゲーション方法の一例を示す図である。
【0041】
ユーザの操作により、プログラムの起動が指示されると、ユーザ端末2は、
図4に示す処理を開始する。まず、ユーザがユーザ端末2の入力デバイスを操作して出発地や目的地、到着時刻又は出発時刻など、経路探索の条件となる情報が入力された場合、これを指定情報送信部21が、指定情報として管理サーバ3へ送信する(ステップS10)。
【0042】
管理サーバ3の経路設定部31は、ユーザ端末2から送信された指定情報を受信し(ステップS20)、この指定情報に基づいて、出発地から目的地までの最適な経路を路面電車の運行情報や路線情報を用いて探索する(ステップS30)。探索の結果、乗車する車両や、出発地から目的地までに停車する停留所等を示す情報を経路情報としてメモリに記憶すると共にユーザ端末2へ送信し、経路として設定する(ステップS40)。
【0043】
ユーザ端末2の経路案内部25は、管理サーバ3が送信した経路情報を受信し(ステップS50)、当該経路情報をディスプレイに表示するなど、ユーザに対して出力する(ステップS60)。
【0044】
一方、管理サーバ3の順序設定部32は、経路情報が示す経路に従ってユーザ端末2が移動する場合に、当該経路に設置された標識発信機1から受信されるビーコンの順序を示
す順序情報を求め、メモリに記憶(設定)する(ステップS70)。
【0045】
そして、ユーザ端末2は、ビーコンを受信したか否かを判定し(ステップS80)、受信していなければ(ステップS80,No)、この判定を繰り返すことでビーコンを受信するまで待機する。また、ユーザが経路に従って移動し、これに伴ってユーザに携帯されたユーザ端末2が移動され、標識受信部22が経路上に配置された標識発信機1からビーコンを受信すると(ステップS80,Yes)、案内要求部23が、このビーコンが示す識別情報を管理サーバ3へ送信することで、この識別情報と対応する案内を要求する(ステップS90)。
【0046】
管理サーバ3は、ユーザ端末2から案内の要求を受信すると(ステップS100)、標識判定部33が、受信した識別情報の順序、即ちビーコンの順序と順序情報が示す順序を比較し、順序情報の順序と合致しない順序で受信したビーコンを無効とし、順序情報の順序と合致する順序で受信したビーコンを有効として判定する(ステップS110)。なお、有効又は無効の判定は、順序情報の順序と合致しない順序で受信したビーコンを全て無効としても良いが、順序情報の順序と合致するビーコンを発信する標識発信機(以下、順序どおりの標識発信機とも称す)1と近接して配置された標識発信機1から発信されたビーコンが検出された場合に無効とし、順序どおりの標識発信機1と近接していない標識発信機1から発信されたビーコンが検出された場合には有効と判断してもよい。即ち、順序どおりの標識発信機1と近接している標識発信機1から発信されたビーコンが検出された場合には、ユーザが正しい位置にいるのに、順序どおりの標識発信機1と近接して配置された標識発信機1から発信されたビーコンを受信していると推定できるのでこれを無効とする。一方、順序どおりの標識発信機1と近接していない標識発信機1から発信されたビーコンが検出された場合には、ユーザが間違った位置にいると推定できるのでこれを有効とし、後述のステップで間違った旨の経路情報を提供できるようにする。なお、近接した標識発信機1か否かの判定は、例えば、配置情報に記録されている各標識発信機1の位置に基づき、所定範囲内に存在するか否かによって行う。また、車両に搭載された標識発信機1については、車両の運行情報に基づいて近接しているか否かを判断してもよい。例えば、経路情報に設定された車両と対向して走行する車両がすれ違う時刻に当該車両のビーコンを受信した場合には、近接して配置された標識発信機1から発信されたビーコンとして無効と判定し、この他の車両のビーコンであれば有効と判定してもよい。
【0047】
このビーコンを有効と判定した場合(ステップS110、Yes)、管理サーバ3の案内情報提供部34は、有効と判定したビーコンの識別情報と対応する案内情報をユーザ端末2へ送信する(ステップS120)。
【0048】
ユーザ端末2は、管理サーバ3から案内情報を受信し(ステップS130)、経路案内部25が案内情報をディスプレイに表示させて、ユーザに対する案内を行う(ステップS140)。
【0049】
一方、管理サーバ3が、ステップS110にて、ビーコンを無効と判定した場合(ステップS110、No)、管理サーバ3の案内情報提供部34は、無効なビーコンであったことをユーザ端末2へ通知する(ステップS150)。
【0050】
ユーザ端末2は、管理サーバ3から無効なビーコンであったことの通知を受信した場合や案内情報の出力(ステップS140)した場合、経路案内が完了したか否かを判定する(ステップS160)。ここで、経路案内が終了したか否かの判定は、例えば目的地に到着したと判定した場合や、目的地の停留所で下車した場合に、経路案内が完了したと判定し(ステップS160,Yes)、
図4の処理を終了させる。また、ユーザ端末2は、経路案内が完了していないと判定した場合(ステップS160,No)、ステップS80へ戻っ
てビーコンを受信するまで待機する。
【0051】
《案内情報を提供する処理》
図5は、
図4のステップS120にてビーコンの識別情報と対応する案内情報を提供する処理の詳細を説明する図である。
【0052】
管理サーバ3は、路面電車の車両に設置された標識発信機1からビーコンを受信したか否かを判定する(ステップS210)。この車両のビーコンを受信している場合には(ステップS210,Yes)、経路情報に設定されている車両のビーコンと比較し、合致すれば正しい車両に乗車していると判定し、合致しなければ間違った車両に乗っていると判定する(ステップS220)。
【0053】
正しい車両に乗車していると判定した場合(ステップS220、Yes)、案内情報をユーザ端末2へ送信して(ステップS230)、例えば、次の停留所を示す情報を表示させる。また、目的地までに停車する停留所の数が所定数未満となった場合には、あと幾つ先の停留所で降車すればよいか、即ち、どれ位で目的地の停留所へ到着するのかを示すメッセージを案内情報として提供してもよい。一方、正しい車両に乗車していないと判定した場合(ステップS220、No)、乗り間違えたことを示すメッセージを案内情報として提供する(ステップS240)。
【0054】
また、ステップS210で、車両のビーコンを検出していないと判定した場合(ステップS210,No)、停留所に設置された標識発信機1からビーコンを受信したか否かを判定する(ステップS250)。停留所のビーコンを受信している場合(ステップS250,Yes)、当該停留所のビーコンを受信する前に車両のビーコンを受信していたか否か、即ち、当該停車駅で車両の到着を待っているのか(乗車前か)否かを判定する(ステップS260)。車両を待っていると判定した場合(ステップS260,Yes)、経路情報に設定されている停留所のビーコンと比較し、合致すれば正しい停留所で待っていると判定し、合致しなければ間違った停留所にいると判定する(ステップS270)。正しい停留所にいると判定した場合(ステップS270、Yes)、車両の到着時刻を案内情報として提供する(ステップS280)。一方、正しい停留所でないと判定した場合(ステップS270,No)、停留所を間違えたことを示すメッセージを案内情報として提供する(ステップS290)。
【0055】
また、ステップS260で、乗車前でない、即ち下車したと判定した場合(ステップS260,No)、当該停留所のビーコンと経路情報に設定されている停留所のビーコンとを比較し、合致すれば正しい停留所で下車したと判定し、合致しなければ間違った停留所で下車したと判定する(ステップS300)。正しい停留所で下車したと判定した場合(ステップS300、Yes)、目的地に到着したことを示すメッセージを案内情報として提供する(ステップS310)。一方、正しい停車駅でないと判定した場合(ステップS300,No)、下車する停留所を間違えたことを示すメッセージを案内情報として提供する(ステップS320)。
【0056】
《ビーコンの有効性を判定する処理》
図4のステップS110にて有効性を判定する処理について詳細に説明する。
図6は、路線情報の一例を示す図、
図7は、運行情報の一例を示す図、
図8は順序情報の一例を示す図である。
【0057】
図6において、路線情報は、停留所を円形のノードで示し、停留所間をつなぐ軌道を矢印上のリンクとして示している。
図6において、ST1,ST4,ST6は、終点又は始点となる停留所であり、この中間の停留所は、車両の進行する方向によって分かれている
。例えば、停留所ST1から停留所ST6への経路は、ST1→SA2→SA5→ST6であり、停留所ST6から停留所ST1への経路は、ST6→SB5→SB2→ST1である。ここで、SA2とSB2は、ほぼ同じ場所にある停留所であるが、ST6行きの車両は、SA2に停車し、ST1行きの車両は、SB2に停車する。路線情報は、路面電車に限らず、鉄道、飛行機、バス、および、船等の各交通機関(例えば、公共交通機関等)の路線網を規定する情報であってもよい。例えば、路線網表現上の結節点であるノード(例えば、交通機関の停留地点である駅、停留場、停車場、停留所、空港、港、および、ターミナル等)に関するノードデータ(例えば、停留地点情報)と、ノード間を接続するリンク(例えば、鉄道路線、航空路線、航路、および、バス路線等)に関するリンクデータ(例えば、路線情報、および、運行経路情報等)との組み合わせによって表現されるネットワーク情報であってもよい。ここで、路線とは、交通機関が通過する出発地と目的地とを結ぶ線であってもよい。また、ノードデータには、ノード番号(例えば、ノードID等)、ノードの名称(例えば、交通機関の停留地点の名称である駅名、停留場名、停車場名、停留所名、空港名、港名、および、ターミナルの名称等)、および、緯度経度高度などの位置情報などの情報を含んでいてもよい。また、リンクデータには、リンク番号(例えば、リンクID等)、開始ノードID、終了ノードID、種別、リンク長(例えば、距離等)、高架、トンネルおよび橋等のリンク内属性、リンクの名称(例えば、路線名など)、ならびに、緯度経度高度などの位置情報等の情報を含んでいてもよい。また、路線網ネットワーク情報は、更に、交通機関の種別(例えば、特急、急行、準急、快速、快速急行、通勤特急、通勤快速、通勤急行、区間急行、区間準急、区間快速、各駅停車、および、普通など)に対応したノード(例えば、急行停車駅、準急停車駅、および、快速停車駅等)のノードデータと、当該ノード間を接続する鉄道路線、および、バス路線等のリンクデータとの組み合わせによって表現されるネットワーク情報を当該種別に対応付けて含んでいてもよい。
【0058】
図7に示す運行情報は、識別情報(X01、X23等)によって特定される車両毎に、各停留所に停車する時刻を対応付けて有している。
【0059】
図8に示す順序情報は、経路情報が示す経路に従ってユーザ端末2が移動する場合に、当該経路の停留所及び車両に設置された標識発信機1から受信されるビーコンの順序を示している。
図8の例では、出発地をST1とし、目的地をST6とし、停留所のビーコンがST1→SA2→SA5→ST6の順序で検出されることを示している。また、車両のビーコンは、停留所ST1から停留所SA2までの車両がX01、停留所SA2から停留所ST6までの車両がX23の順序で検出されることを示している。このため、出発地をST1とし、目的地をST6とした場合、停留所のビーコンとしてST1の次にSB2を受信した場合、これは
図8の順序情報の順番と合致しないため、SB2は無効と判定される。このため、車両が停留所SA2に停車した際に、ほぼ同じ場所の停留所SB2のビーコンを受信しても、これを無効とするので、間違った案内を行うことを防止できる。
【0060】
なお、受信したビーコンの順番と順序情報との順番は、完全に一致しなくてもよく、例えば停留所ST1のビーコンの次にSA2のビーコンが受信できなかった場合でも、このビーコンをとばして次のSA5のビーコンが正しく受信できた場合には、順序情報と合致する、即ち有効なビーコンと判定してもよい。この場合、順序情報において停留所SA5が停留所ST1の後の順序に記録されていることに加えて、車両X23の運行情報を参照し、停留所SA5のビーコンの検出時刻と車両X23の停留所SA5への到着時刻とが許容範囲内であった場合に有効と判定してもよい。
【0061】
また、車両X01のビーコンの次に、検出した車両のビーコンが、X23以外の場合に、運行情報を参照し、車両X23とすれ違う可能性がある車両のビーコンであった場合には、無効と判断してもよい。これにより、実際に乗車している車両でなく、すれ違った車
両のビーコンを受信した場合でも、誤った案内を行うことを防止できる。
【0062】
〈実施形態2〉
前述の実施形態1では、交通機関の乗降場所を出発地及び目的地とした例を示したが、これに限らず、本実施形態では、ユーザが歩行によって、移動する場合にも出発地や目的地を設定して案内を行えるようにしている。なお、この他の構成は、前述の実施形態と同じであるため、同一の要素には、同符号を付すなどして、再度の説明を省略している。
【0063】
図9は、
図7の路線情報に加えて、歩行者が歩行する道路の情報を含む移動路情報の一例を示す図である。
図9において、移動路情報は、道路網を規定する情報を含み、例えば、交差点等の道路網表現上の結節点であるノードのノードデータと、ノード間の道路区間であるリンクのリンクデータとの組み合わせによって表現されるネットワーク情報である。ここで、ノードデータには、ノード番号(例えば、ノードID等)、ノードの名称、緯度経度高度等の位置座標等の位置情報、ノード種別、接続するリンク本数、接続ノード番号、および、交差点名称等の情報を含んでいてもよい。また、リンクデータには、リンク番号(例えば、リンクID等)、開始ノードID、終了ノードID、道路の種別、国道や県道や市道等の路線番号、重用する路線情報、リンクの存在する行政区域の属性情報、リンク長(例えば、距離等)、道路供用状況、異常気象時通行規制区間、車重制限、車両高さ制限、幅員、道路幅員区分、レーン情報(例えば、車線数、路線バス専用通行帯、二輪専用通行帯、および、二輪・軽車両専用通行帯等の専用通行帯、路線バス等優先通行帯、自転車専用通行帯、車両通行区分、ならびに、進行方向別通行区分などについての車両通行帯情報等)、中央分離帯を含む中央線の設置情報、歩行路(例えば、歩道、自転車道、歩行者専用道路、自転車専用道路、自転車歩行者専用道路、自転車歩行者道、または、路側帯等)に関する歩行路情報を含んでも良い。また、リンクデータには、車いすで通行できない段差等の障害の有無や、視覚障がい者用の信号機の有無、急な勾配有無など、高齢者や障がい者が通行しやすい通路か否かを示すバリアフリー情報を含んでもよい。
【0064】
実施形態2では、標識発信機1を前述の停留所や車両に加え、ユーザが歩行するエリアにも設けている。
図9では、HA1〜HA9やHB1〜HB9が、歩行路に設けられた標識発信機1から発信されるビーコンの識別情報である。ビーコンの識別情報は、ノードIDやリンクID、位置座標など、標識発信機1が設置された場所と移動路情報とを対応付けられる情報であればよい。
【0065】
図10は、実施形態2に係る順序情報の一例を示す図である。
図10では、出発地をHA3とし、目的地をHB7とした例を示している。この場合の経路の探索結果は、出発地をHA3から停留所ST1へ徒歩で移動し、路面電車に乗って停留所ST6で下車、停留所ST6から目的地HB7へ徒歩で移動するというものである。この経路上で受信するビーコンの順序は、
図10に示すようにHA1→HA2→HA3→ST1→SA2→SA5→ST6→HB9→HB8→HB7と設定される。このように、歩行路を含めたビーコンの順序情報を設定することで、ユーザが徒歩で移動する際に受信したビーコンの有効又は無効を前述の実施形態1と同様に判定することができる。
【0066】
このように本実施形態では、歩行路を含めた案内を行うことができるので、交通機関の案内だけでなく、観光地や商業施設など、ユーザが移動するエリア全般の案内を行うことができる。
【0067】
特に、指定情報として車椅子が通行できること等を指定し、バリアフリーの経路を設定した場合に、間違ってバリアフリーでない通路を進んだ場合には、設定した経路以外のビーコンを検出した時点で間違いを通知できるので、確実にバリアフリーの経路を案内できる。
【0068】
また、設定した経路と隣接した他の歩行路が存在するや、他の通路と立体的に交差輻輳している場合に、経路案内のノイズとなる他のビーコンを受信した場合でも、これを順序情報に基づいて無効と判定できるので、誤った案内を行うことを防止できる。
【0069】
《その他》
本発明は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば上記実施形態1,2では、管理サーバ3とユーザ端末2とが経路案内装置を構成したが、ユーザ端末2に経路案内装置の全ての構成を設けて、経路案内装置を一体に形成しても良い。