(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6864354
(24)【登録日】2021年4月6日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】ガラス基板の時間差分断方法
(51)【国際特許分類】
C03B 33/033 20060101AFI20210419BHJP
C03B 33/03 20060101ALI20210419BHJP
B28D 5/00 20060101ALI20210419BHJP
B23K 26/364 20140101ALN20210419BHJP
【FI】
C03B33/033
C03B33/03
B28D5/00 Z
!B23K26/364
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-107807(P2017-107807)
(22)【出願日】2017年5月31日
(65)【公開番号】特開2018-20954(P2018-20954A)
(43)【公開日】2018年2月8日
【審査請求日】2020年4月17日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0099917
(32)【優先日】2016年8月5日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390000608
【氏名又は名称】三星ダイヤモンド工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】趙 漢準
【審査官】
若土 雅之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−094666(JP,A)
【文献】
特開2009−101692(JP,A)
【文献】
特開2001−206728(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0241488(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00−26/70
B28D 1/00−7/04
C03B 23/00−35/26
40/00−40/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分断(dividing)するガラス基板をスクライブ装置内に投入するガラス基板投入段階と、
前記スクライブ装置内にセットされた前記ガラス基板の表面にスクライブラインを形成するが、前記ガラス基板の一側のエッジラインから出発して他側のエッジラインに到達する直線状のスクライブラインを形成するスクライブ段階と、
前記スクライブ段階を完了した前記ガラス基板を、多数の吸着口が備えられている吸着テーブル側に移送させて整列する定位置段階と、
前記定位置段階の完了後、多数の吸着口のうちの真空圧を出力する吸着口を決める吸着領域決定段階と、
前記吸着領域決定段階を通じて選択された吸着口に真空圧を印加して、前記ガラス基板を吸着テーブルの上面に部分的に吸着固定させる部分吸着段階と、
前記吸着テーブルに吸着されている状態の前記ガラス基板の前記スクライブラインを曲げて分断を行う曲げ段階と、を含み、
前記吸着領域は、
二つ以上の吸着口を含む第1の吸着領域と、前記第1の吸着領域内の吸着口の個数よりも少ない個数の吸着口を含む第2の吸着領域からなり、
前記吸着領域決定段階は、
真空圧を出力する吸着口を選択するが、前記第1の吸着領域が前記ガラス基板の一側のエッジラインに近接位置し、前記第2の吸着領域が前記ガラス基板の他側のエッジラインに近接位置するように決める過程であり、
前記第1の吸着領域と、第2の吸着領域とは、前記スクライブラインを中心に対称をなすことを特徴とするガラス基板の時間差分断方法。
【請求項2】
前記第1の吸着領域と第2の吸着領域との間には、真空圧の出力が遮断されて前記ガラス基板に吸着力を印加しない非吸着領域が位置することを特徴とする請求項1に記載のガラス基板の時間差分断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脆性を有するガラス基板の分断方法に関するものであって、より詳細には、吸着ステージに安着されたガラス基板に加えられる吸着力を部分的に異にし、効率的な分断を具現することができるガラス基板の時間差分断方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
脆性を有するガラス基板を必要なサイズに精密カットするための方法として、ガラス基板に表示された分断予定線に沿ってレーザビームを照射したり、カットホイールを加圧走行させてガラス基板にスクライブラインを形成した後、このスクライブラインに曲げ力を印加する方法が一般的に行われている。
【0003】
また、ガラス基板に曲げ力を印加する分断工程は、ローラ(roller)やプッシャー(pusher)などを使用して、基板に物理力を加える接触式の方法と、レーザまたはスチーム(steam)などを使用して、基板を加熱した後、冷却させる非接触式方法がある。
【0004】
韓国公開特許公報第10-2014-0018504号(以下、特許文献1という)には、柔軟性安着パッドに載置された状態で移送する基板の下部にローリング部を設けて、基板がローリング部を超える間、下部に曲げられ、スクライブラインが広がって分断されるように誘導する技術が開示されている。
【0005】
参考までに、前記基板の曲げ過程時、基板の表面、すなわちスクライブラインが形成されている上面には、引張応力が発生するのに対し、底面には、圧縮応力が発生する。
【0006】
基板の表面で発生する引張応力は、クラックを発生させ、これを基板の厚み方向に進行させようと作用するが、圧縮応力は、クラックの進行を妨げる作用をする。前記した圧縮応力が大きくなるほど、クラックの伝播が不良なので、より強い曲げ力を加えたり、曲げ角度を増加させなければならない。
【0007】
問題は、曲げ角度が増加するほど、基板に印加されるストレス量が大きくなることにある。例えば、基板に印加されるストレス量が大きくなる場合、分断時に多量のチッピングが発生するだけではなく、分断後の基板の断面に不規則な突起が形成され、基板の断面自体も斜めに形成される。
【0008】
これは、基板に印加される圧縮応力が小さい場合、それに比例して曲げ角度を減らすことができるとの意味である。つまり、より小さい力で基板を分断する場合、基板に印加されるストレス量が減り、チッピングが発生せず、一様な形態の基板の断面を得ることができる。
【0009】
ところで、前記公開公報の装置を含む従来の殆どの基板ブレーク関連技術は、分断装置自体の構成のみを開示しているだけで、基板の曲げ角度を減らすための内容は開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国公開特許公報第2014−0018504号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、従来技術の前記した問題点を解消しようと創出したものであって、吸着ステージに安着されたガラス基板に加えられる吸着力を部分的に異にし、より小さい力で効率的な分断を具現することができるガラス基板の時間差分断方法を提供することに目的がある。
【0012】
また、本発明は、曲げ過程時の基板に加えられるストレスを最小化して、基板の損傷が殆どなく、チッピングが発生しないので、良好な分断面を得ることができるガラス基板の時間差分断方法を提供することに目的がある。
【0013】
また、本発明は、より小さな曲げ力で分断が行われるようにして、スクライブラインの深さを下げることができ、スクライブラインの加工にかかるエネルギーの消耗量を減少させるだけではなく、スクライブラインを形成することによるチッピングの発生を生じさせないガラス基板の時間差分断方法を提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するための本発明のガラス基板の時間差分断方法は、分断(dividing)するガラス基板をスクライブ装置内に投入するガラス基板投入段階と、前記スクライブ装置内にセットされた前記ガラス基板の表面にスクライブラインを形成するが、前記ガラス基板の一側のエッジラインから出発して他側のエッジラインに到達する直線状のスクライブラインを形成するスクライブ段階と、前記スクライブ段階を完了した前記ガラス基板を、多数の吸着口が備えされている吸着テーブル側に移送させて整列する定位置段階と、前記定位置段階の完了後、多数の吸着口のうちの真空圧を出力する吸着口を決める吸着領域決定段階と、前記吸着領域決定段階を通じて選択された吸着口に真空圧を印加して、前記ガラス基板を吸着テーブルの上面に部分的に吸着固定させる部分吸着段階と、前記吸着テーブルに吸着されている状態の前記ガラス基板の前記スクライブラインを曲げさせて分断を行う曲げ段階と、を含むことを特徴とする。
【0015】
また、前記吸着領域は、二つ以上の吸着口を含む第1の吸着領域と、前記第1の吸着領域内の吸着口の個数よりも少ない個数の吸着口を含む第2の吸着領域からなり、前記吸着領域決定段階は、真空圧を出力する吸着口を選択するが、前記第1の吸着領域が前記ガラス基板の一側のエッジラインに近接位置し、前記第2の吸着領域が前記ガラス基板の他側のエッジラインに近接位置するように決める過程であることを特徴とする。
【0016】
また、前記第1の吸着領域と、前記第2の吸着領域とは、前記スクライブラインを中心に対称をなすことを特徴とする。
【0017】
併せて、前記第1の吸着領域と第2の吸着領域との間には、真空圧の出力が遮断されて前記ガラス基板に吸着力を印加しない非吸着領域が位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
前記のように行われる本発明のガラス基板の時間差分断方法は、吸着ステージに安着されたガラス基板に加えられる吸着力を部分的に異にし、より小さい力で効率的な分断を具現することができるようにする。
【0019】
また、本発明は、曲げ過程時の基板に加えられるストレスを最小化して、基板の損傷が殆どなく、チッピングが発生しないので、良好な分断面を得ることができるようにする。
【0020】
さらに、本発明は、より小さな曲げ力で分断が行われるようにして、スクライブラインの深さを下げることができ、スクライブラインの加工にかかるエネルギーの消耗量を減少させるだけではなく、スクライブラインを形成することによるチッピングの発生を生じさせないようにする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例に係るガラス基板の時間差分断方法を整理して示した順序図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施例に係るガラス基板の時間差分断方法の原理を説明するための図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施例に係るガラス基板の時間差分断方法の原理を説明するための図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施例に係るガラス基板の時間差分断方法を通じてガラス基板を分断したテスト結果を示したグラフである。
【
図5】
図5は、本発明の一実施例に係るガラス基板の時間差分断方法と、一般的な全体吸着分断方法による分断の結果の差異を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る一実施例を添付された図面を参照して、より詳細に説明することにする。
【0023】
基本的に、本実施例に係るガラス基板の時間差分断方法は、スクライブラインが形成されているガラス基板の分断時、クラックがガラス基板の一側のエッジ部から始まり、スクライブラインに沿って反対側のエッジ部に伝播されるように誘導する特徴を有する。
【0024】
前記した時間差という意味は、一側のエッジ部でのクラックの発生の瞬間と、他側のエッジ部でのクラックの発生の瞬間との間に時間差を与えるという意味である。すなわち、一側のエッジ部でクラックが先に発生し、他側のエッジ部でクラックが後で発生するようにする。前記時間差は、肉眼では確認することができない。
【0025】
前記のように分断に時間差をおくことで、より小さな力で分断が行われるだけではなく、後述する実験結果のデータから、切断面の形状が良好で斜めクラックの発生が顕著に減ることを確認することができる。
【0026】
図1は、本発明の一実施例に係るガラス基板の時間差分断方法を整理して示した順序図である。また、
図2及び
図3は、本発明の一実施例に係るガラス基板の時間差分断方法の原理を説明するための図である。
【0027】
図1に図示されたように、本実施例に係るガラス基板の時間差分断方法は、ガラス基板投入段階(100)と、スクライブ段階(102)と、基板移送段階(104)と、定位置段階(106)と、吸着領域決定段階(108)と、部分吸着段階(110)と、曲げ段階(112)とを含んで構成される。
【0028】
まず、ガラス基板投入段階(100)は、分断するガラス基板(11)をスクライブ装置内に投入する過程である。スクライブ装置は、ガラス基板(11)の上面に一定の深さを有する直線状スクライブライン(11c)を形成する装置である。脆性を有するガラス基板(11)にスクライブライン(11c)を形成する方法としては、レーザビームを用いる方式や、切断ホイールを用いる方式のいずれも使用可能である。
【0029】
ガラス基板投入段階(100)を通じて装置内にガラス基板(11)のセットが完了すると、スクライブ段階(102)を行う。スクライブ段階(102)は、待機しているガラス基板(11)の表面にスクライブライン(11c)を形成する過程である。
【0030】
特に、スクライブライン(11c)は、ガラス基板(11)の一側のエッジライン(11a)から出発して他側のエッジライン(11b)に到達する一直線の形態となるようにする。ガラス基板(11)の分断は、スクライブライン(11c)から行われる。すなわち、スクライブライン(11c)が分断線である。
【0031】
スクライブ段階(102)を通じてガラス基板(11)上にスクライブライン(11c)が形成されると、基板移送段階(104)を行う。基板移送段階(104)は、スクライブ装置にとどまっているガラス基板(11)を吸着テーブル(17)に移動させる過程である。ガラス基板(11)の移送のために、通常のコンベヤ装置を使用する。
【0032】
続く定位置段階(106)は、ガラス基板(11)を吸着テーブル(17)に定位置させる過程である。
【0033】
図2を参照すると、吸着テーブル(17)は、対をなす二つの吸着ステージ(17a、17b)で構成されている。吸着ステージ(17a、17b)は、一定の間隔を置いて離隔され、その上面に多数の吸着口(19)を有する。
【0034】
各吸着口(19)は、外部の真空ポンプ(未図示)と連結され、真空ポンプの作動時の真空圧を出力してガラス基板(11)を吸着固定する。特に、吸着口(19)は、コントローラ(未図示)によって個別制御されることにより、選択的に作動可能である。例えば、真空圧を出力する吸着口を選択することができる。すなわち、真空ポンプにより真空圧を出力する作動吸着口(19b)と、陰圧を出力しない非作動吸着口(19a)とを必要に応じて決めることができる。
【0035】
吸着テーブル(17)の上面にガラス基板(11)が位置した状態を想定するとき、作動吸着口(19b)は、ガラス基板(11)を吸着して吸着テーブル(17)の上面に固定させる役割をし、非作動吸着口(19a)は、何ら作用をしない。
【0036】
定位置段階(106)では、吸着テーブル(17)の上面にガラス基板(11)を安着させるが、スクライブライン(11c)が吸着ステージ(17a、17b)の間に位置するようにセットする段階である。
【0037】
両側の吸着ステージ(17a、17b)は、一定の間隔を置いて離隔されているので、
図2または
図3に図示されたように、吸着ステージ(17a、17b)の離隔空間の幅方向中央部分にスクライブライン(11c)を容易に位置させることができる。
【0038】
定位置段階(106)を通じて、ガラス基板(11)の下部に多数の吸着口(19)が位置するようになる。
【0039】
定位置段階(106)に次いで、吸着領域決定段階(108)を行う。吸着領域決定段階(108)は、多数の吸着口(19)のいずれかの吸着口に真空圧を出力するかを決める過程である。上述したように、各吸着口(19)は、コントローラによって個別制御されるので、選択された一部の吸着口のみに真空圧を提供することができる。
【0040】
図2に図示されたように、ガラス基板(11)の一側のエッジライン(11a)付近に第1の吸着領域(21)を位置させ、他側のエッジライン(11b)の付近に第2の吸着領域(23)を位置させることができる。これと逆に、
図3に図示したように、一側のエッジライン(11a)付近に第2の吸着領域(23)を位置させ、他側のエッジライン(11b)付近に第1の吸着領域(21)を位置させることもできる。
【0041】
吸着領域とは、多数の作動吸着口(19b)が含まれる区域を意味する。第1の吸着領域(21)と、第2の吸着領域(23)との間の区域は、非吸着領域(25)として何ら作動をしない非作動吸着口(19a)を含む。
【0042】
併せて、第1の吸着領域(21)と、第2の吸着領域(23)と、非吸着領域(25)とは、スクライブライン(11c)を中心に対称をなす。
【0043】
吸着領域決定段階(108)を通じて、ガラス基板(11)の両側端部に吸着領域(21、23)が集まるようになる。
【0044】
特に、第1の吸着領域(21)の内部に含まれる作動吸着口(19b)の個数は、第2の吸着領域(23)に含まれる作動吸着口(19b)の個数よりも相対的に多い。作動吸着口(19b)の個数が相対的に多いということは、吸着力がより強いということである。したがって、第1の吸着領域(21)が、第2の吸着領域(23)よりも強い力でガラス基板(11)を吸着ステージ(17a、17b)の上面に密着させる。
【0045】
吸着ステージ(17a、17b)の上面に対するガラス基板(11)の吸着力が強いほど、吸着ステージの上面に対するガラス基板(11)の微細間隔が小さくなる。
【0046】
したがって、微視的な観点から見ると、一枚のガラス基板(11)において、第1の吸着領域(21)の部分が第2の吸着領域(23)の部分よりも吸着ステージ(17a、17b)に近い。
【0047】
このような状況で、一側の吸着ステージ(17aまたは17b)を、例えば、下部に傾斜するように曲げると、吸着ステージから発生する曲げ力が第1の吸着領域(21)に先に伝達される。これは、第1の吸着領域(21)が位置した部分のスクライブライン(11c)が先に分断される理由である。
【0048】
図2に図示したように、第1の吸着領域(21)が図面上の右側のエッジライン(11a)に近接位置した状態でガラス基板(11)に曲げ力を加えると、図面上のスクライブライン(11c)の右側端部でクラックが発生し、発生したクラックは、瞬間的に矢印a方向に移動することになる。ガラス基板(11)の一端部と他端部とが、時間差を置いて分断されるのである。
【0049】
図3に図示したように、第1の吸着領域(21)が図面上の左側のエッジライン(11b)に近接位置した状態でガラス基板(11)に曲げ力を加えると、図面上のスクライブライン(11c)の左側端部でクラックが発生し、発生されたクラックは、矢印bの方向に沿って伝播され、反対側の端部に到達する。
図2と同様に、ガラス基板(11)の両端部の分断に瞬間的な時間差ができるようになる。
【0050】
吸着領域決定段階(108)を通じて、第1の吸着領域(21)と、第2の吸着領域(23)の位置が決まると、部分吸着段階(110)を行う。部分吸着段階(110)は、第1の吸着領域(21)と、第2の吸着領域(23)の内部に含まれる吸着口に真空圧を加え、ガラス基板(11)を吸着ステージ(17a、17b)に部分的に固定させる過程である。
【0051】
続く曲げ段階(112)は、吸着ステージ(17a、17b)を物理的に変位させてガラス基板(11)に曲げ力を加える過程である。かかる曲げ段階は、公知の方法を用いることができる。
【0052】
一方、前記したように、本実施例に係るガラス基板の分断方法は、吸着テーブルの吸着力の調整を通じて、クラックをスクライブライン(11c)の一端部または他端部から触発させ、触発されたクラックが反対側に伝播されるようにする原理を有し、従来の全体同時吸着方式に比べて斜めクラックの発生が顕著に減り、かつ、分断時のチッピングやカケ現象が殆どないことを確認することができる。
【0053】
図4は、本発明の一実施例に係るガラス基板の時間差分断方法を通じて、3枚のガラス基板を順に分断したテストの結果を示したグラフであって、スクライブライン(11c)の長手方向48個所での斜めクラック値を測定した値を示している。
【0054】
図4のグラフに示されているように、3回にわたった試験の結果、斜めクラックの値が−20μm乃至+20μmの範囲内にあることが確認できる。前記値は、限界値である±50μmの内に余裕をもって含まれる。
【0055】
図5は、本発明の一実施例に係るガラス基板の時間差分断方法と、一般的な全体吸着分断方法による分断結果の差を示したグラフである。
【0056】
図5に示されているように、本実施例に係る時間差分断方法(グラフにはEdge吸着と表示されている)の場合、斜めクラックが±20μmの範囲内に含まれていることに比べて、全体吸着分断方式は、斜めクラック値の偏差が極めて広く、特に、一部の測定位置での斜めクラックがほぼ70μmに到達していることが分かる。すなわち、分断部分の形状が非常に不良なものになる。
【0057】
以上、本発明を具体的な実施例を通じて詳細に説明したが、本発明は、前記実施例に限らず、本発明の技術的思想の範囲内で通常の知識を有する者により様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0058】
11 ガラス基板
11a エッジライン
11b エッジライン
11c スクライブライン
17 吸着テーブル
17a 吸着ステージ
17b 吸着ステージ
19 吸着口
19a 非作動吸着口
19b 作動吸着口
21 第1の吸着領域
23 第2の吸着領域
25 非吸着領域