(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6864415
(24)【登録日】2021年4月6日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】携帯式収納具
(51)【国際特許分類】
A45C 11/34 20060101AFI20210419BHJP
【FI】
A45C11/34 102D
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2020-15889(P2020-15889)
(22)【出願日】2020年1月31日
【審査請求日】2020年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】504474323
【氏名又は名称】宇野 公二
(72)【発明者】
【氏名】宇野 公二
【審査官】
粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】
実公昭12−014172(JP,Y1)
【文献】
実開昭63−103321(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 11/00−11/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と蓋を着脱自在な携帯式収納具であって、
前記本体の中間部に配される第1内部空間と、
前記第1内部空間の開口面におよそ嵌合し塞ぐことが可能な前記蓋と、
前記蓋を前記本体の開口面に着脱する際に、前記蓋が前記本体に対しておよそ平行を保ちながら前記本体の一端部及び他端部方向に対して斜め方向に前記蓋を案内する手段と、
を具備する、
携帯式収納具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯式収納具に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯式収納具においては、特許文献1の実施例のように、携帯式収納具本体の長手方向に沿ってスライド着脱可能な定規板を、本体の蓋とするアイデアが知られている。
【0003】
また、携帯式収納具においては、本体とおよそ同じ大きさの蓋を並べ、本体と蓋の平行を保った状態で互いに近付け本体の開口面に蓋を被せるようなアイデアや、本体と蓋の間にヒンジを用いて接続し、ヒンジで揺動させて蓋を開閉するアイデアが広く知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平01−112990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
携帯式収納具においては、蓋を開閉し易く且つ不意に開きにくいことが求められているが、特許文献1の実施例のように本体の長手方向に沿って蓋をスライドさせる案では、本体の内部空間の被収納物の凹凸などにスライドの長距離で蓋が擦れ引っ掛かる問題が頻繁に起こるし、長距離をスライドさせるのは時間がかかり、蓋を開閉し易いとは言えない。
【0006】
また、本体とおよそ同じ大きさの蓋を並べ、本体と蓋の平行を保った状態で互いに近付け本体の開口面に蓋を被せるようなアイデアでは、蓋を開く方向に携帯時の被収納物の振動を大きく受けるので、蓋が不意に開かないような機構や対策にコストや開閉の手間が増えてしまう。
また、本体と蓋の間にヒンジを用いて接続し、ヒンジで揺動させて蓋を開閉するようなアイデアでは、ヒンジ機構にコストがかかるし、蓋を開いた際の揺動範囲の制限機構にストレスがかかりやすく、故障率が高くなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態図等を用いて以下に説明するが、これは本発明の内容をより把握しやすいようにする為で、添付の特許請求の範囲を縮小するものではない。
【0008】
発明1に係る携帯式収納具は、例えば
図1から6の組み、
図7から9の組み、のいずれかの組みのように、
本体21と蓋1を着脱自在な携帯式収納具であって、
本体21の中間部25に配される内部空間26と、
内部空間26の開口面27におよそ嵌合し塞ぐことが可能な蓋1と、
蓋1を本体21の開口面27に着脱する際に、例えば
図4と
図5の間の動作、又は
図8と
図9の間の動作のように、
蓋1が本体21に対しておよそ平行を保ちながら本体21の一端部22及び他端部23方向に対して斜め方向に蓋1を案内する手段と、
を具備する、
携帯式収納具である。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明では、蓋1を本体21の一端部22及び他端部23方向に対して斜め方向に案内する手段によって、蓋1をスライドさせる距離が短く且つ斜め方向なので被収納物が擦れ引っ掛かる問題が起こりにくく、且つ携帯時の被収納物の振動を大きく受ける方向と案内する手段が案内する方向が斜めになっているので不意に蓋1が外れにくく、且つシンプルな構造で低コスト低故障率となるような設計が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図9】第2実施形態の蓋1装着完了状態を第三角法で表した図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第1実施形態を
図1から6に基づいて説明する。
【0012】
本体21に蓋1を装着完了すると
図5及び6のように丸みをおびたおよそ直方体の携帯式収納具は、
図5紙面に垂直な波板で直方体の厚み方向に分割したような外殻20及び40を備える構造であり、外殻20及び40は境界41で段差なく滑らかにつながり嵌合している。ここで、蓋1と本体21は同一形状であるので、本体21が蓋で、蓋1が本体とすることもできる。
蓋1の長手方向の一端部2には他端部3方向に開口する内部空間4があり、蓋1の長手方向の中間部5では蓋1の厚み方向の一方が開口し、蓋1の他端部3の開口とつながって開口面7は大きく開いている。また蓋1の内側の内部空間6には蓋1の幅方向に離れた二つの設置部19の間で架設されるゴムバンドによる保持手段8が備えられ、被収納物9であるペンが蓋1の長手方向に沿うように保持手段8によって保持され、被収納物9の一端部18は他端部3のエッジ17からはみ出て指先で摘まみ抜き差しし易くなっており、被収納物9の他端部は内部空間4の開口から内部に入って被収納物9がさらに安定して保持されるようになっている。また
図2のように、蓋1は幅方向に対称形状である。
また、本体21の中間部25の内部空間26には被収納物29であるメモ用のリングノートの背表紙だけゴムバンドの保持手段28で保持されており、エッジ37からはみ出た一端部38のリングの部分を中心に表紙をめくってメモすることが出来るし、表紙と内部の用紙を本体21の外側までおよそ一回転させてやれば用紙の周りに囲い形状が無くなり筆記し易くなる。
また、蓋1の内側には他端部3から中間部5にかけて蓋1の幅方向の両端に囲い形状を備えており、両端の囲い形状同士の外側曲面上の2点間距離は、点12、点14、点13の順に長くなっている。また、本体21の一端部22寄りの中間部25に、本体21の幅方向の両端の外殻40による挟持形状の内側最短距離の挟持点36が、
図4の蓋1装着準備状態で点14付近を挟んでおり、ここから挟持形状のエッジ30が囲い形状の外側の外殻20のエッジ11に当接して斜め方向に案内されることで、本体21の長手方向である一端部22及び他端部23方向に対して蓋1が斜め方向に案内される。また、同時に外殻20のエッジ10も外殻40のエッジ31に当接して同様に案内されるので、蓋1は本体21に対しておよそ平行を保ちながら安定して斜め方向に案内されるので、ペンの一端部18はスムーズに内部空間24に収まり、保持手段8及び被収納物29が擦れたりせず、リングノートの一端部38のリングは内部空間4に空きが十分あれば収まり、無ければリングがエッジ37の内側に収まることで、
図5及び6のような蓋1装着完了状態となる。
また、蓋1装着完了状態では挟持点36が点12付近を挟んでおり、点12から点13方向に進むよりも点14方向に進む方が、両端の囲い形状の外側曲面上の2点間距離がなだらかに長くなり且つ最長値も小さいので、挟持点36を有する挟持形状の弾性変形による付勢力が2点間距離が長くなると上昇するよう追従することから、蓋1を斜めに案内中はエッジ11及び30が離れにくい力が働く領域を通るのでより安定して斜めに着脱案内出来、且つ挟持点36が点12付近に留まり易い力が挟持形状の弾性変形による付勢力によって発生する。ここで、蓋1装着完了状態で挟持点36の2点間距離と点12の2点間距離を同じあるいは挟持点36の方を少し長くして、挟持形状を弾性変形させないことで、蓋1装着完了状態で高温環境保管された際などの挟持形状の塑性変形を防ぐことが出来る。このとき、ガタつきをしっかり抑えたい場合は、弾性変形領域の余裕のある範囲でわずかに弾性変形させる設計でも良いだろう。また、挟持点16の方も同様の設計である。
【0013】
また、被収納物9としてペンの代わりに刷毛を収納しておき、蓋1のエッジ17又は本体21のエッジ37を塵取りのエッジとし、刷毛をほうきとして使用しても良いだろう。
【0014】
本発明の第2実施形態は第1実施形態と共通する部分が多いので、主に違いについて
図7から9に基づいて説明する。
【0015】
本体21に蓋1を装着完了すると
図9のように細い楕円球状となる携帯式収納具も、蓋1と本体21は同一形状であるので、本体21が蓋で、蓋1が本体とすることもできる。
蓋1の内側には他端部3から中間部5にかけておよそテーパー状に太くなり斜面15でカットされたような円筒形状を備えており、外周径方向の両端の2点間距離は、点12、点14、点13の順に長くなっている。また、円筒形状の内周が保持手段となって被収納物9であるペン芯を保持しており、一端部18のペン先は他端部3のエッジ17からはみ出ており、
図7のような状態で円筒形状を指先で摘まんでペンとしてそのまま使用できる。また、本体21も被収納物29としてペン芯を保持しており、一端部38のペン先を使用してペンとしてそのまま使用できる。
また、
図8のような蓋1装着準備状態では、斜面15と本体21側の円筒形状の斜面35が当接しており、
図8の蓋1装着準備状態から
図9の蓋1装着完了状態に移行する途中で斜面15及び35による斜め方向の案内から、第1実施形態のようなエッジ11及び30による斜め方向の案内に移行させて、出来るだけ境界41で密着して外殻20及び40が嵌合するようにしている。ここで、第1実施形態のように斜面15及び35を使用しない設計や、あるいはエッジ10、11、30及び31を使用しない設計でも、蓋1を斜め方向に案内する手段となる。また、第1実施形態の方に斜面15及び35を使用する設計を用いても良い。
図8から
図9の状態への移行では、一端部18及び38のペン先はそれぞれ内部空間24及び4にスムーズに収まり、被収納物9及び29が互いに引っ掛かったり擦れたりしない。
また、被収納物としてのペン芯とは、フェルトペン、ボールペン、筆ペン、万年筆、化粧用ペン、スタイラスペン、くり出し式の鉛筆、などの芯が考えられるし、ペン芯の代わりにくり出し式の消しゴムやナイフの刃なども良いだろう。
【符号の説明】
【0016】
1. 蓋
2,18,22,38. 一端部
3,23. 他端部
5,25. 中間部
4,6,24,26. 内部空間
7,27. 開口面
8,28. 保持手段
9,29. 被収納物
10,11,17,
30,31,37. エッジ
12,13,14,
32,33,34. 点
15,35. 斜面
16,36. 挟持点
19,39. 設置部
20,40. 外殻
21. 本体
41. 境界
【要約】 (修正有)
【課題】不意に蓋が外れにくく、且つシンプルな構造で、消しゴムのような小物を内部空間に収納したり、蓋の内側に保持された被収納物の一端部を収納したりと、様々な収納方法が選べ、より便利な携帯式収納具を提供する。
【解決手段】本体21の一端部及び他端部方向に対して斜め方向に蓋1を案内する手段を備える。蓋1装着準備状態で挟持形状のエッジ30が囲い形状の外側の外殻20のエッジ11に当接して斜め方向に案内されることで、本体21の長手方向である一端部及び他端部方向に対して蓋1が斜め方向に案内される。
【選択図】
図5