(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6864427
(24)【登録日】2021年4月6日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】ボール
(51)【国際特許分類】
A63B 43/00 20060101AFI20210419BHJP
A63B 37/00 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
A63B43/00 Z
A63B37/00 100
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-118094(P2014-118094)
(22)【出願日】2014年6月6日
(65)【公開番号】特開2015-229082(P2015-229082A)
(43)【公開日】2015年12月21日
【審査請求日】2017年3月7日
【審判番号】不服2019-6439(P2019-6439/J1)
【審判請求日】2019年5月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000204608
【氏名又は名称】大下産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154405
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 大吾
(74)【代理人】
【識別番号】100079005
【弁理士】
【氏名又は名称】宇高 克己
(72)【発明者】
【氏名】吉永 泰憲
(72)【発明者】
【氏名】今里 克博
【合議体】
【審判長】
藤本 義仁
【審判官】
藤田 年彦
【審判官】
尾崎 淳史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−345935(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/074247(WO,A1)
【文献】
特開2007−175492(JP,A)
【文献】
特開2000−140159(JP,A)
【文献】
特開平11−319152(JP,A)
【文献】
実開昭60−171459(JP,U)
【文献】
特開2002−224241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 37/00
A63B 45/00-45/02
A63B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
打撃力が加わるグラウンドゴルフ用またはパークゴルフ用のボールであって、
前記ボールは、
中空状コア層と、
前記中空状コア層の外側表面に一体的に設けられた表面層と、
前記中空状コア層の内側表面に一体的に設けられたメッキ膜
とを具備してなり、
前記中空状コア層は一部体と残部体との合体で構成されてなり、
前記メッキ膜は前記内側表面にメッキ手段で直接に設けられたものであり、
前記メッキ膜は前記中空状コア層および前記表面層の色とは異なる色の別材で構成されてなり、
前記中空状コア層および前記表面層は前記メッキ膜を視覚によって認識できる透明ないしは半透明な樹脂素材で構成されてなる
ボール。
【請求項2】
前記中空状コア層と前記表面層とは同種素材が用いられて構成されてなる
請求項1のボール。
【請求項3】
前記中空状コア層と前記表面層とは異種素材が用いられて構成されてなる
請求項1のボール。
【請求項4】
前記素材は樹脂およびエラストマーの群の中から選ばれる一種または二種以上が用いられて構成されてなる
請求項1〜請求項3いずれかのボール。
【請求項5】
前記中空状コア層は、アイオノマー樹脂、ウレタン系樹脂、及びアミド系樹脂の群の中から選ばれる一種または二種以上が用いられて構成されなり、
前記表面層は、アイオノマー樹脂、ウレタン系樹脂、及びアミド系樹脂の群の中から選ばれる一種または二種以上が用いられて構成されてなる
請求項1〜請求項4いずれかのボール。
【請求項6】
ボール全体形状が中空状である
請求項1〜請求項5いずれかのボール。
【請求項7】
前記メッキ膜の厚さは10〜500μmである
請求項1〜請求項6いずれかのボール。
【請求項8】
請求項1〜請求項7いずれかのボールの製造方法であって、
中空状コア層の一部体および残部体を製造する工程と、
前記一部体および/または前記残部体の内側表面にメッキ膜をメッキ手段で直接に設ける工程と、
前記メッキ膜が設けられた一部体と残部体とを合体する工程と、
前記合体によって出来た中空状コア層の表面に表面層を設ける工程
とを具備するボール製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はボールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ゴルフ競技に類似した種々のスポーツが提案されている。特に、年齢、性別、経験などを問わずに手軽なスポーツとして、パークゴルフやグラウンドゴルフが注目を集めている。パークゴルフやグラウンドゴルフでは、通常のゴルフボールよりも、直径や質量が大きいボールが使用されている。ボールの性能としては、反発力が高いことが望まれ、打撃後のボールがグランド上で直進し到達距離が大きいことが望まれる。前記グラウンドゴルフ用ボール又はパークゴルフ用ボールは、従来では、
図2のように構成されている。
図2中、1は中空状コア層である。2は表面被覆層である。3は加飾部である。加飾部3は、中空状コア層1の表面に設けられている。すなわち、加飾部3は、中空状コア層1と表面被覆層2との間に存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−78829号公報
【特許文献2】特開2006−218049号公報
【特許文献3】特開2011−5291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図2の構成になるボールは、加飾部3が中空状コア層1と表面被覆層2との間に存在している。すなわち、中空状コア層1の構成素材及び表面被覆層2の構成素材とは異なる第3の素材からなる異質な物質(加飾部3)が、中空状コア層1と表面被覆層2との間に、存在している。この為、ボールに打撃力が作用した時の衝撃で、加飾部3裏面(下面)と中空状コア層1表面との間、及び/又は加飾部3表面(上面)と表面被覆層2裏面(内面)との間が剥離し、両者の間に空隙が出来るようになる。これが原因となって、ボールに打撃力が更に繰り返して加わると、中空状コア層1と表面被覆層2とが少しずつ剥離する。中空状コア層1と表面被覆層2との強固な固着によって、ボール自体の強度が確保されていたのに対して、前記剥離によって、ボール自体の強度が低下してしまう。更には、加飾面に傷が付き、見た目が悪くなる。
【0005】
前記問題、即ち、ボールの強度低下(中空状コア層1と表面被覆層2との剥離)を、出来るだけ抑えようとする為、加飾部3の面積(大きさ)を小さくすることが考えられた。しかし、この場合、意匠性あるいは情報提供度が低下した。すなわち、加飾部としての機能が奏され難くなった。
【0006】
又、中空状コア層1の表面(外面)に加飾部3が有ると、インサート成形によって、表面被覆層2を成形する場合、表面被覆層2の樹脂を注入する時の樹脂圧や樹脂熱で、加飾部3が損傷する場合が有った。この為、製造歩留りが良くなかった。樹脂圧や樹脂熱による悪影響を少なくしようとすると、成形条件の幅(自由度)が狭くなり、逆に、これに起因して不良品の発生割合が高くなった。
【0007】
従って、本発明が解決しようとする課題は、耐久性に富み、かつ、意匠性(情報性)の自由度が高く、更には低廉なボールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
中空状コア層と、前記中空状コア層の表面に一体的に設けられた表面層と、前記中空状コア層の内面に一体的に設けられた視覚認識可能部とを具備するボールであって、
前記中空状コア層と前記表面層とは前記視覚認識可能部を視覚によって認識できる透明ないしは半透明な素材で構成されてなる
ことを特徴とするボールを提案する。
【0009】
本発明は、
中空状コア層と、前記中空状コア層の表面に一体的に設けられた表面層と、前記中空状コア層の内面に一体的に設けられた視覚認識可能部とを具備するボールであって、
前記中空状コア層と前記表面層とは、同種素材が用いられて構成され、かつ、前記視覚認識可能部を視覚によって認識できる透明ないしは半透明な素材で構成されてなる
ことを特徴とするボールを提案する。
【0010】
本発明は、
中空状コア層と、前記中空状コア層の表面に一体的に設けられた表面層と、前記中空状コア層の内面に一体的に設けられた視覚認識可能部とを具備するボールであって、
前記中空状コア層と前記表面層とは、同一素材が用いられて構成され、かつ、前記視覚認識可能部を視覚によって認識できる透明ないしは半透明な素材で構成されてなる
ことを特徴とするボールを提案する。
【0011】
本発明は、
中空状コア層と、前記中空状コア層の表面に一体的に設けられた表面層と、前記中空状コア層の内面に一体的に設けられた視覚認識可能部とを具備するボールであって、
前記中空状コア層と前記表面層とは、異種素材が用いられて構成され、かつ、前記視覚認識可能部を視覚によって認識できる透明ないしは半透明な素材で構成されてなる
ことを特徴とするボールを提案する。
【0012】
本発明は、前記ボールであって、好ましくは、前記中空状コア層は硬質素材で構成されてなることを特徴とするボールを提案する。
【0013】
本発明は、前記ボールであって、好ましくは、前記表面層は硬質素材で構成されてなることを特徴とするボールを提案する。
【0014】
本発明は、前記ボールであって、好ましくは、前記中空状コア層は軟質素材で構成されてなることを特徴とするボールを提案する。
【0015】
本発明は、前記ボールであって、好ましくは、前記表面層は軟質素材で構成されてなることを特徴とするボールを提案する。
【0016】
本発明は、前記ボールであって、好ましくは、前記表面層は撥水性素材で構成されてなることを特徴とするボールを提案する。
【0017】
本発明は、前記ボールであって、好ましくは、前記素材は樹脂およびエラストマーの群の中から選ばれる一種または二種以上が用いられて構成されなることを特徴とするボールを提案する。
【0018】
本発明は、前記ボールであって、好ましくは、前記中空状コア層はアイオノマー樹脂、ウレタン系樹脂、及びアミド系樹脂の群の中から選ばれる一種または二種以上が用いられて構成されなり、前記表面層はアイオノマー樹脂、ウレタン系樹脂、及びアミド系樹脂の群の中から選ばれる一種または二種以上が用いられて構成されなることを特徴とするボールを提案する。
【0019】
本発明は、前記ボールであって、好ましくは、ボール全体形状が中空状であることを特徴とするボールを提案する。
【0020】
本発明は、前記ボールであって、好ましくは、該ボールには打撃力が加わるボールであることを特徴とするボールを提案する。
【0021】
本発明は、前記ボールであって、好ましくは、グラウンドゴルフ用ボール又はパークゴルフ用ボールであることを特徴とするボールを提案する。
【0022】
本発明は、
前記ボールの製造方法であって、
中空状コア層の一部体および残部体を製造する工程と、
前記一部体および/または前記残部体の内側に視覚認識可能部を設ける工程と、
前記視覚認識可能部が設けられた一部体と残部体とを合体する工程と、
前記合体によって出来た中空状コア層の表面に表面層を設ける工程
とを具備することを特徴とするボール製造方法を提案する。
【発明の効果】
【0023】
表面層と中空状コア層との間に視覚認識可能部(異物)が存在していないので、ボールに打撃力が作用しても、視覚認識可能部が損傷し難い。視覚認識可能部に劣化が起き難い。この為、耐久性に富む。
【0024】
意匠性(情報性)の自由度が高い。
【0025】
低廉なコストで得られる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態が説明される。
本発明はボールである。前記ボールは、例えば打撃力が作用するボールである。例えば、グラウンドゴルフ用ボールである。又は、パークゴルフ用ボールである。前記ボールは、好ましくは、その全体形状が中空状である。好ましくは、略球形の中空状である。前記ボールは中空状コア層を具備する。前記ボールは表面層を具備する。前記表面層は前記中空状コア層の表面(外面)に一体的に設けられている。前記ボールは視覚認識可能部を具備する。前記視覚認識可能部は前記中空状コア層の内面に一体的に設けられている。前記中空状コア層と前記表面層とは、例えば同種の素材(例えば、同種の樹脂)で構成されている。好ましくは、同一素材(例えば、同一樹脂)で構成されている。前記中空状コア層と前記表面層とを同種の素材で構成させたのは、前記表面層と前記中空状コア層との結合力(一体化力)を高いものとする為である。前記中空状コア層と前記表面層とは、例えば異種の素材(例えば、異種の樹脂)で構成されている。異種の素材で構成させた場合、即ち、前記中空状コア層と前記表面層とを互いに異なる素材で構成させた場合、前記中空状コア層と前記表面層との結合力が多少は犠牲になるものの、前記ボールに要求される特性(例えば、弾力性、耐摩耗性、耐汚染性(汚れ難さ)、変形し難さ等)の中、例えば弾力性、耐摩耗性、及び/又は耐汚染性(汚れ難さ)等に関しては前記表面層で担保させ、変形し難さに関しては前記中空状コア層で担保させることが可能になる。前記中空状コア層は、例えば硬質素材(例えば、硬質樹脂)で構成されてなる。前記中空状コア層は、例えば軟質素材(例えば、軟質樹脂(軟性樹脂)、エラストマー(ゴムも含まれる。))で構成されてなる。前記表面層は、例えば硬質素材(例えば、硬質樹脂)で構成されてなる。前記表面層は、例えば軟質素材(例えば、軟質樹脂(軟性樹脂)、エラストマー(ゴムも含まれる。))で構成されてなる。ここで、軟質(軟性)と言う意味合いは、前記硬質素材よりも柔らかなと言う意味である。前記表面層は、例えば撥水性素材(例えば、撥水性樹脂(フッ素系樹脂またはシリコン系樹脂など))で構成されてなる。前記表面層を硬質素材で構成し、前記中空状コア層を軟質素材で構成させた場合、このボールは反発力が高まり、良く飛び、かつ、打った際の感じが良く、かつ、転がり抵抗が少ないので良く転がり、更には傷が付き難い。前記素材は、例えば樹脂およびエラストマー(ゴムも含まれる。)の群の中から選ばれる一種または二種以上が用いられて構成されてなる。前記中空状コア層は、好ましくは、例えばアイオノマー樹脂、ウレタン系樹脂、及びアミド系樹脂の群の中から選ばれる一種または二種以上が用いられて構成されてなる。前記表面層は、好ましくは、例えばアイオノマー樹脂、ウレタン系樹脂、及びアミド系樹脂の群の中から選ばれる一種または二種以上が用いられて構成されてなる。前記表面層および前記中空状コア層は、前記視覚認識可能部を視覚によって認識できる透明ないしは半透明な素材で構成されている。前記表面層および前記中空状コア層は、特に好ましくは、アイオノマー樹脂が用いられて構成される。アイオノマー樹脂は、例えばアクリル系高分子およびエチレン等を、ナトリウムや亜鉛などの金属カチオンを加え、分子間結合させて製造される。アイオノマー樹脂は透明性を具備している。アイオノマー樹脂は、顔料との相溶性が良く、着色が容易である。アイオノマー樹脂は適度な弾力性や柔軟性を有している。アイオノマー樹脂は耐クラック性が良好である。アイオノマー樹脂は耐磨耗性にも優れている。アイオノマー樹脂は耐油性が良好である。アイオノマー樹脂は低温での物性低下が少ない。アイオノマー樹脂は金属との接着性に優れている。アイオノマー樹脂は、成形性が良好であり、射出・押出・ブロー成型などが簡単に採用できる。このような観点から、前記表面層や前記中空状コア層の構成材料として、アイオノマー樹脂は好適であった。前記のように構成させたボールは、表面層と中空状コア層との間に視覚認識可能部(異物)が存在していないので、ボールに打撃力が作用しても、表面層と中空状コア層との間で剥離が起き難い。耐久性に富む。視覚認識可能部に劣化が起き難い。
【0028】
前記ボールは、大きさ(半径r)が、例えば20〜40mm(好ましくは、25〜35mm)である。前記中空状コア層の厚さは、例えば3〜25mm(好ましくは、5〜20mm)である。前記表面層の厚さは、例えば0.5〜15mm(好ましくは、1〜10mm)である。前記中空状コア層の厚さ/前記表面層の厚さは、例えば0.2〜50である。
【0029】
前記中空状コア層は、例えば透明材(例えば、透明樹脂)で構成される。透明性(透明度)は前記視覚認識可能部を目で認識できる特性のものであれば良い。例えば、アイオノマー樹脂、ウレタン系樹脂、アミド系樹脂、カーボネート系樹脂、ポリ乳酸、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のエステル系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリサルホン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、液晶ポリマー(LCP)、ABS、ポリイミド、EPDM、ポリアリレート等の熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を一種または二種以上用いることが出来る。スチレン系、オレフィン系、ポリウレタン系、塩ビ系、ポリアミド系などの一種または二種以上の熱可塑性エラストマーを用いることも出来る。特に好ましい素材(樹脂)は、例えばアイオノマー樹脂、ウレタン系樹脂、アミド系樹脂等である。
【0030】
前記表面層は、例えば透明材(例えば、透明樹脂)で構成される。透明性(透明度)は前記視覚認識可能部を目で認識できる特性のものであれば良い。例えば、例えば、アイオノマー樹脂、ウレタン系樹脂、アミド系樹脂、カーボネート系樹脂、ポリ乳酸、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のエステル系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリサルホン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、液晶ポリマー(LCP)、ABS、ポリイミド、EPDM、ポリアリレート等の熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を一種または二種以上用いることが出来る。スチレン系、オレフィン系、ポリウレタン系、塩ビ系、ポリアミド系などの一種または二種以上の熱可塑性エラストマーを用いることも出来る。特に好ましい素材(樹脂)は、例えばアイオノマー樹脂、ウレタン系樹脂、アミド系樹脂等である。
【0031】
前記視覚認識可能部は、例えば湿式メッキ、蒸着(真空蒸着)、スパッタリング、又はイオンプレーティング等の乾式メッキ、塗装、ホットスタンプ、インモールド成形、フィルムインサート成形、フィルム貼付(シール)、印刷などの手段で構成される。内容は、文字、記号、図形などの何れであっても良い。例えば、飾りである。前記視覚認識可能部は、前記中空状コア層の全面に亘って設けられていても良く、一部にのみ設けられていても良い。
【0032】
以下、より具体的な実施形態が挙げられる。但し、本発明は以下の実施形態のみに限定されない。本発明の特長が大きく損なわれない限り、各種の変形例や応用例も本発明に含まれる。
【0033】
図1は本発明の一実施形態になるボール(グラウンドゴルフ用ボール又はパークゴルフ用ボール)の断面図である。
【0034】
図1中、1は球形の中空状コア層である。1a,1bは半体である。半体1aと半体1bとを突き合わせることによって、中空状コア層1が構成される。中空状コア層1の内径(半径)は15mm、外径(半径)は25mmである。中空状コア層1は透明樹脂で構成されている。例えば、アイオノマー樹脂で構成されている。尚、半体1a,1bは、厳密な意味での半分(50%)ではなく、例えば一方の占有割合が55%、他方の占有割合が45%と言ったものであっても良い。このような場合にあっても、半体と半体とで構成されていると見做す。但し、好ましくは、約50%−50%の半体1a,1bであろう。半体(一方)1aに凹部(及び/又は凸部)が形成され、半体(他方)1bに前記凹部(及び/又は又は凸部)に嵌合する凸部(及び/又は凹部)が形成されていると、前記凹凸の嵌合構造によって、半体(一方)1aと半体(他方)1bとが機械的構造によって結合(合体)される。従って、後述の表面被覆層2を設ける作業が容易になる。かつ、半体(一方)1aと半体(他方)1bとの結合力も高まる。前記凹凸嵌合構造に限られない。適宜な機械的構造によって、両者が掛止可能な構造を有しておれば良い。或いは、45%程度の半体と、45%程度の半体と、10%程度のリング体と言った、三体以上の構成要素で球形の中空状コア層1が構成されるようにしていても良い。
【0035】
2は球形の表面被覆層である。表面被覆層2の厚さは5mmである。表面被覆層2は透明樹脂で構成されている。例えば、アイオノマー樹脂で構成されている。この種の樹脂は耐磨耗性に優れている。従って、転がり等の磨耗が有っても、ボールは損傷し難い。従って、透明性のみでは無く、耐磨耗性に優れている樹脂が選定されることが好ましかった。表面被覆層2と中空状コア層1とは、本実施形態にあっては、同一樹脂(同種系樹脂)が用いられて構成されている。中空状コア層1と表面被覆層2との間(境界部:接触面部)には、他の樹脂による構成物(異物)が存在(実質上、存在)していない。
【0036】
3は、中空状コア層1の内面に一体的に設けられた加飾部(視覚認識可能部)である。加飾部3は金属材(不透明材)で構成されている。中空状コア層1及び表面被覆体2が、無色または有色の如何を問わずに、透明であることから、加飾部3を目で認識できる。尚、中空状コア層1内の全空間が、加飾部3によって、占有されるものでは無い。尚、加飾部3は、中空状コア層1とは異なる素材であっても、同種の素材であっても良い。透明樹脂を用いることも可能である。この場合は、例えば着色剤(材)の使用によって、加飾部3が表面被覆層2の外側から認識できるようにしておかねばならない。勿論、中空状コア層1及び表面被覆体2が着色透明樹脂で構成されている場合には、加飾部3は前記着色の色とは異なる色の着色透明樹脂または不透明樹脂で構成させれば良い。
【0037】
上記のように構成させたボール(グラウンドゴルフ用ボール又はパークゴルフ用ボール)は、中空状コア層1と表面被覆層2との間に加飾部(異物)3が存在していない。従って、ボールに打撃力が作用しても、中空状コア層1と表面被覆層2との間で剥離が起き難い。特に、中空状コア層1と表面被覆層2とは同一樹脂で構成されているから、中空状コア層1と表面被覆層2との間で剥離が起き難い。すなわち、耐久性に富む。かつ、加飾部3に劣化が起き難い。特に、加飾部3は、
図2タイプの場合に比べて、表面から、中空状コア層1の厚み分だけ遠い位置に在る。従って、ボールが打たれた際の打撃力が中空状コア層1によって緩和されるだけでも、劣化が起き難い。例えば、打撃の衝撃によって、コアに変形が起きても(コアの変形は起きる)、加飾部は割れ難いものであった。この為、加飾部は、綺麗なままで、見た目は悪くならなかった。このことは、ボールの寿命が長いことを意味する。蒸着などの乾式メッキ手段で構成された加飾部は、その厚さが薄い為、例えば10〜500μm(好ましくは、10〜120μm)であったことから、加飾部の厚さが厚い場合に比べて、加飾部はコアの樹脂に不連続的に形成(島状(ドット状)に形成)されたものとなっており、コアの変形に対して、加飾部の追随性が良く、加飾部が損傷し難いものであった。加飾部3の大きさに対する制約が少ないので、意匠性(情報性)の自由度が高い。更に、加飾部3は、中空状コア層1の表面側では無く内面側に存在するから、インサート成形などによってボールが製造される場合、インサート成形時の樹脂圧や樹脂熱などに対する制約が小さくなり、成形条件幅(自由度)が広くなり、不良品の発生度が小さくなった。すなわち、製造歩留りが高かった。このことは、取りも直さず、コスト低廉に繋がった。
【0038】
上記構成のボールは次のようにして作製された。先ず、中空状コア層1の半体1a,1bが作製された。この中空状半球体1a,1bは、例えば所定の成形手段を用いることによって、簡単に、得られた。この後、半体1a,1bの両方または片方の内側(内面)に、加飾部3が、適宜な方法(乾式メッキの手法)によって、設けられた。本実施形態では、加飾部3は、乾式メッキの手法で構成され、その厚さは10〜500μm(好ましくは、10〜120μm)であった。この後、加飾部3が設けられた半体1a,1b同士を突き合わせた。これによって、中空状コア層1が構成された。この後、中空状コア層1の表面に、適宜な方法によって、表面被覆層2が設けられた。
【0039】
上記実施例にあっては、中空状コア層1及び表面被覆層2がアイオノマー樹脂で構成された例であった。
本実施例2では、中空状コア層1がウレタン樹脂で構成され、表面被覆層2はアイオノマー樹脂で構成された。
本実施例3では、中空状コア層1はアイオノマー樹脂で構成され、表面被覆層2はウレタン樹脂で構成された。
本実施例4では、中空状コア層1はアミド樹脂で構成され、表面被覆層2はウレタン樹脂で構成された。
【符号の説明】
【0040】
1 中空状コア層
2 表面被覆層(表面層)
3 加飾部(視覚認識可能部)