(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態の構成を、図面を参照して説明する。
【0009】
図1ないし
図3において、11は電気掃除機であり、この電気掃除機11は、この電気掃除機11の充電用の基地部となる基地装置としての充電装置12(充電台)などとともに電気掃除装置(電気掃除システム)を構成するものである。そして、電気掃除機11は、本実施形態において、走行面としての被掃除面である床面上を自律走行(自走)しつつ床面を掃除する、いわゆる自走式のロボットクリーナ(掃除ロボット)である。
【0010】
また、この電気掃除機11は、中空状の本体ケース20と、この本体ケース20を床面上で走行させる走行部21と、床面などの塵埃を掃除する掃除部22と、充電装置12を含む外部装置と通信する通信部23と、画像を撮像する撮像部25と、センサ部26と、走行部21、掃除部22、通信部23、および、撮像部25などを制御するコントローラである制御手段(制御部)27と、これら走行部21、掃除部22、通信部23、撮像部25、センサ部26および制御手段27などに給電する二次電池28とを備えている。なお、以下、電気掃除機11(本体ケース20)の走行方向に沿った方向を前後方向(
図2に示す矢印FR,RR方向)とし、この前後方向に対して交差(直交)する左右方向(両側方向)を幅方向として説明する。
【0011】
本体ケース20は、例えば合成樹脂などにより扁平な円柱状(円盤状)などに形成されている。すなわち、この本体ケース20は、側面部20a(
図2)と、この側面部20aの上部および下部にそれぞれ連続する上面部20b(
図2)および下面部20c(
図3)とを備えている。この本体ケース20の側面部20aは、略円筒面状に形成されており、この側面部20aには、例えば撮像部25などが配置されている。また、本体ケース20の上面部20bおよび下面部20cは、それぞれ略円形状に形成されており、
図3に示すように、床面に対向する下面部20cには、集塵口である吸込口31、および、排気口32などがそれぞれ開口されている。
【0012】
走行部21は、複数(一対)の駆動部としての駆動輪34,34、これら駆動輪34,34を駆動させる動作部としての駆動手段であるモータ35,35(
図1)、および、旋回用の旋回輪36などを備えている。
【0013】
各駆動輪34は、電気掃除機11(本体ケース20)を床面上で前進方向および後退方向に走行(自律走行)させる、すなわち走行用のものであり、左右幅方向に沿って図示しない回転軸を有し、幅方向に対称に配置されている。
【0014】
各モータ35(
図1)は、例えば駆動輪34のそれぞれに対応して配置されており、各駆動輪34を独立して駆動させることが可能となっている。
【0015】
旋回輪36は、本体ケース20の下面部20cの幅方向の略中央部で、かつ、前部に位置しており、床面に沿って旋回可能な従動輪である。
【0016】
掃除部22は、例えば本体ケース20内に位置して塵埃を吸込口31から空気とともに吸い込み排気口32から排気する電動送風機41、吸込口31に回転可能に取り付けられて塵埃を掻き上げる回転清掃体としての回転ブラシ42およびこの回転ブラシ42を回転駆動させるブラシモータ43(
図1)、本体ケース20の前側などの両側に回転可能に取り付けられて塵埃を掻き集める旋回清掃部としての補助掃除手段(補助掃除部)であるサイドブラシ44およびこのサイドブラシ44を駆動させるサイドブラシモータ45(
図1)、および、吸込口31と連通して塵埃を溜める集塵部46(
図2)などを備えている。なお、電動送風機41と、回転ブラシ42およびブラシモータ43(
図1)と、サイドブラシ44およびサイドブラシモータ45(
図1)とは、少なくともいずれかを備えていればよい。
【0017】
図1に示す通信部23は、充電装置12などへと無線信号(赤外線信号)を送信する例えば赤外線発光素子などの図示しない送信手段(送信部)、および、充電装置12や図示しないリモコンなどからの無線信号(赤外線信号)を受信する例えばフォトトランジスタなどのなどの図示しない受信手段(受信部)などを備えている。
【0018】
撮像部25は、複数、例えば一方および他方の撮像手段(撮像部本体)としてのカメラ51a,51b、および、これらカメラ51a,51bに照明を付与する照明手段(照明部)としてのLEDなどのランプ53を備えている。
【0019】
図2に示すように、カメラ51a,51bは、本体ケース20の側面部20aにおいて、前部の両側に配置されている。すなわち、本実施形態では、カメラ51a,51bは、本体ケース20の側面部20aにおいて、電気掃除機11(本体ケース20)の幅方向の中心線Lに対して、左右方向に略等しい所定角度(鋭角)傾斜した位置にそれぞれ配置されている。言い換えると、これらカメラ51a,51bは、本体ケース20に対して幅方向に略対称に配置されており、これらカメラ51a,51bの中心位置が、電気掃除機11(本体ケース20)の走行方向である前後方向と交差(直交)する幅方向の中心位置と略一致している。さらに、これらカメラ51a,51bは、上下方向に略等しい位置、すなわち略等しい高さ位置にそれぞれ配置されている。このため、これらカメラ51a,51bは、電気掃除機11を床面上に載置した状態でこの床面からの高さが互いに略等しく設定されている。したがって、カメラ51a,51bは、互いにずれた位置(左右方向にずれた位置)に離間されて配置されている。また、これらカメラ51a,51bは、本体ケース20の走行方向である前方を、それぞれ所定の水平画角(例えば105°など)でデジタルの画像を所定時間毎、例えば数十ミリ秒毎などの微小時間毎、あるいは数秒毎などに撮像するデジタルカメラである。さらに、これらカメラ51a,51bは、互いの撮像範囲(視野)Va,Vbが重なっており(
図4)、これらカメラ51a,51bにより撮像される(一方および他方の)画像P1,P2(
図5(a)および図(b))は、その撮像領域が電気掃除機11(本体ケース20)の幅方向の中心線Lを延長した前方の位置を含む領域で左右方向にラップしている。本実施形態では、これらカメラ51a,51bは、例えば可視光領域の画像を撮像するものとする。なお、これらカメラ51a,51bにより撮像した画像は、例えば図示しない画像処理回路などにより所定のデータ形式に圧縮することもできる。
【0020】
ランプ53は、カメラ51a,51bにより画像を撮像する際の照明用の光を出力するもので、カメラ51a,51bの中間位置、すなわち本体ケース20の側面部20aの中心線L上の位置に配置されている。すなわち、ランプ53は、カメラ51a,51bからの距離が略等しくなっている。また、このランプ53は、カメラ51a,51bと上下方向に略等しい位置、すなわち略等しい高さ位置に配置されている。したがって、このランプ53は、カメラ51a,51bの幅方向の略中央部に配置されている。本実施形態では、このランプ53は、可視光領域を含む光を照明するようになっている。
【0021】
図1に示すセンサ部26は、例えば各駆動輪34(各モータ35)の回転数を検出する光エンコーダなどの回転数センサ55を備えている。この回転数センサ55は、測定した駆動輪34(
図3)またはモータ35の回転数によって、電気掃除機11(本体ケース20(
図3))の旋回角度や進行距離を検出するようになっている。したがって、この回転数センサ55は、例えば充電装置12などの基準位置からの電気掃除機11(本体ケース20(
図3))の相対位置を検出する、位置検出センサである。なお、このセンサ部26は、例えば障害物との接触により障害物を検出する障害物検出手段としての接触センサ、集塵部46に捕集される塵埃量を検出する塵埃量検出手段としての光センサなどをさらに備えていてもよい。
【0022】
制御手段27は、例えば制御手段本体(制御部本体)であるCPU、このCPUによって読み出されるプログラムなどの固定的なデータを格納した格納部であるROM、プログラムによるデータ処理の作業領域となるワークエリアなどの各種メモリエリアを動的に形成するエリア格納部であるRAM(それぞれ図示せず)などを備えるマイコンである。この制御手段27には、さらに、例えばカメラ51a,51bで撮像した画像のデータなどを記憶する記憶手段(記憶部)としてのメモリ61、カメラ51a,51bで撮像した画像に基づいてカメラ51a,51bからの物体の深度を計算する計算手段(計算部)としての深度計算部62、この深度計算部62により計算した物体の深度に基づいて距離画像を生成する画像生成手段(画像生成部)としての画像生成部63、深度計算部62により計算した深度に基づいて障害物を判定する障害物判定手段(障害物判定部)としての判定部64、カメラ51a,51bで撮像した画像、本実施形態では画像生成部63により生成した距離画像から特徴点を抽出する抽出部65、この抽出部65で抽出した特徴点とメモリ61などに記憶(登録)された特徴点とを比較することで掃除領域を特定する特定部66、および、深度計算部62により計算した物体の深度に基づいて掃除領域のマップを生成するマップ生成手段(マップ生成部)としての画像処理部67などを備えている。また、この制御手段27は、走行部21のモータ35,35(駆動輪34,34)の動作を制御する走行制御部71、掃除部22の電動送風機41、ブラシモータ43およびサイドブラシモータ45の動作を制御する掃除制御部72、撮像部25のカメラ51a,51bを制御する撮像制御部73、および、撮像部25のランプ53を制御する照明制御部74などを備えている。そして、この制御手段27は、例えば駆動輪34,34(モータ35,35)を駆動して電気掃除機11(本体ケース20)を自律走行させる走行モードと、充電装置12を介して二次電池28を充電する充電モードと、動作待機中の待機モードとを有している。
【0023】
メモリ61は、電気掃除機11の電源のオンオフに拘らず記憶した各種データを保持する、例えばフラッシュメモリなどの不揮発性のメモリである。
【0024】
深度計算部62は、カメラ51a,51bにより撮像した画像と、カメラ51a,51b間の距離とに基づいて物体Oの深度を計算する、既知の方法が用いられる(
図5)。すなわち、深度計算部62は、三角測量を応用し、カメラ51a,51bにより撮像した各画像中から同一位置を示す画素ドットを検出し、この画素ドットの上下方向および左右方向の角度を計算して、これら角度とカメラ51a,51b間の距離とからその位置のカメラ51a,51bからの深度を計算する。したがって、カメラ51a,51bにより撮像する画像は、可能な限り範囲が重なって(ラップして)いることが好ましい。
【0025】
画像生成部63は、深度計算部62で計算した物体(特徴点)の距離を示す距離画像を生成する。この画像生成部63による距離画像の生成は、計算した各画素ドットの距離を、例えば1ドット毎などの所定ドット毎に明度、あるいは色調などの、視認により識別可能な階調に変換して表示することにより行われる。本実施形態において、画像生成部63は、距離が大きいほど明度が小さい白黒の画像、すなわち電気掃除機11(本体ケース20)からの前方への距離が遠いほど黒く距離が近いほど白い、例えば256階調(8ビット=2
8)のグレースケールの画像として距離画像を生成する。したがって、この距離画像は、いわば電気掃除機11(本体ケース20)の走行方向前方のカメラ51a,51bによって撮像される範囲内に位置する物体の距離情報(距離データ)の集合体を可視化したものである。なお、この画像生成部63は、カメラ51a,51bにより撮像された各画像中の所定の画像範囲内の画素ドットについてのみの距離画像を生成してもよいし、画像全体の距離画像を生成してもよい。
【0026】
判定部64は、深度計算部62により計算した物体の深度に基づいて、物体が障害物であるかどうかを判定する。すなわち、この判定部64は、深度計算部62により計算した深度から、所定の範囲、例えば距離画像P3中の四角形状の所定の画像範囲A(
図5(c))中の部分を抽出し、この画像範囲A中の物体Oの深度を、予め設定された、あるいは可変設定された閾値である設定距離D(
図4)と比較し、この設定距離D以下の深度(電気掃除機11(本体ケース20)からの距離)に位置する物体Oを障害物であると判定する。画像範囲Aは、電気掃除機11(本体ケース20)の上下左右の大きさに応じて設定される。すなわち、画像範囲Aは、電気掃除機11(本体ケース20)がそのまま直進したときに接触する範囲に上下左右が設定される。したがって、カメラ51a,51b(撮像部25)、深度計算部62、画像生成部63および判定部64により、障害物を検出する障害物検出手段としての障害物センサ76が構成されている。
【0027】
抽出部65は、カメラ51a,51bで撮像した画像、本実施形態では画像生成部63により生成した距離画像に対して例えばエッジ検出などの特徴検出(特徴抽出)を行うことで、距離画像中の特徴点を抽出する。このエッジ検出方法は、既知の任意の方法を用いることができる。したがって、
図1に示すように、カメラ51a,51b(撮像部25)、深度計算部62、画像生成部63および抽出部65により、電気掃除機11(本体ケース20)の周辺の特徴点(カメラ51a,51bで撮像した画像中の特徴点)を抽出する抽出手段77が構成されている。ここで、電気掃除機11(本体ケース20)の周辺とは、以下、電気掃除機11(本体ケース20)の周囲近傍だけでなく、例えば天井など、電気掃除機11(本体ケース20)に対して距離が離れた位置(カメラ51a,51bにより撮像可能な範囲の位置)も含む。
【0028】
特定部66は、抽出部65(抽出手段77)により抽出した特徴点と、例えばメモリ61などに記憶されている掃除領域の例えばマップに対応する特徴点とを比較し、類似率を計算するとともに、この類似率が所定閾値以上であるか否かにより、特徴点を抽出した距離画像をカメラ51a,51bにより撮像した掃除領域が、記憶されている掃除領域と一致しているか否かを判定し、現在の掃除領域を特定する。記憶されている掃除領域に対応する特徴点は、所有者が予め電気掃除機11にマップなどを入力して登録してもよいし、電気掃除機11が以前に掃除領域を特定する際に用いた特徴点を、そのときに掃除した掃除領域のマップや走行ルートなどに対応させて記憶しておいてもよい。
【0029】
画像処理部67は、深度計算部62により計算した物体の深度から、電気掃除機11(本体ケース20)の周辺の物体と電気掃除機11(本体ケース20)との距離を計算し、この距離とセンサ部26の回転数センサ55により検出した電気掃除機11(本体ケース20)の位置とから、電気掃除機11(本体ケース20)が配置された掃除領域およびこの掃除領域内に位置する物体などの位置関係を計算してマップおよび/または走行ルートを生成する。
【0030】
走行制御部71は、モータ35,35に流れる電流の大きさおよび向きを制御することにより、モータ35,35を正転、あるいは逆転させることで、モータ35,35の駆動を制御し、これらモータ35,35の駆動を制御することで駆動輪34,34(
図3)の駆動を制御している。また、この走行制御部71は、判定部64の判定に応じて、電気掃除機11(本体ケース20)の走行方向および/または走行速度を制御するように構成されている。
【0031】
掃除制御部72は、電動送風機41、ブラシモータ43、および、サイドブラシモータ45をそれぞれ別個に導通角制御することで、これら電動送風機41、ブラシモータ43(回転ブラシ42(
図3))、および、サイドブラシモータ45(サイドブラシ44(
図3))の駆動を制御している。また、この掃除制御部72は、判定部64の判定に応じて、掃除部22の動作を制御するように構成されている。なお、これら電動送風機41、ブラシモータ43、および、サイドブラシモータ45のそれぞれに対応して制御部を別個に設けてもよい。
【0032】
撮像制御部73は、カメラ51a,51bのシャッタの動作を制御する制御回路を備え、このシャッタを所定時間毎に動作させることで、所定時間毎にカメラ51a,51bにより画像を撮像させるように制御する。
【0033】
照明制御部74は、スイッチなどを介してランプ53のオンオフを制御している。この照明制御部74は、本実施形態では、電気掃除機11の周辺の明るさを検出するセンサを備えており、このセンサにより検出した明るさが所定以下の場合にランプ53を点灯させ、その他のときにはランプ53を点灯させないようにするものである。
【0034】
二次電池28は、例えば
図3に示す本体ケース20の下面部20cの後部の両側に露出する接続部としての充電端子78,78と電気的に接続されており、これら充電端子78,78が充電装置12側と電気的および機械的に接続されることで、この充電装置12を介して充電されるようになっている。
【0035】
充電装置12は、定電流回路などの充電回路を内蔵している。また、この充電装置12には、電気掃除機11の充電端子78,78と機械的および電気的に接続される二次電池28の充電用の充電用端子79,79が設けられている。これら充電用端子79,79は、充電回路と電気的に接続されている。
【0036】
次に、上記一実施形態の動作を説明する。
【0037】
一般に、電気掃除装置は、電気掃除機11によって掃除をする掃除作業と、充電装置12によって二次電池28を充電する充電作業とに大別される。充電作業は、充電装置12の充電回路を用いる既知の方法が用いられるため、掃除作業についてのみ説明する。また、外部装置などからの指令に応じてカメラ51a,51bの少なくともいずれかにより所定の対象物を撮像する撮像作業を別途備えていてもよい。
【0038】
この掃除作業は、概略として、
図6のフローチャートに示すように、開始時に電気掃除機11が抽出手段77により周辺の特徴点を抽出し(ステップ1)、その特徴点と予め記憶されている特徴点とが一致したか否かを判定する(ステップ2)。このステップ2において、特徴点が一致したと判定した場合には、制御手段27は、その特徴点に対応するマップまたは走行ルートを読み出して(ステップ3)、駆動輪34,34(モータ35,35)を駆動してそのマップまたは走行ルートに沿って電気掃除機11(本体ケース20)を走行させつつ掃除部22により掃除を行う(ステップ4)。一方、ステップ2において、特徴点が一致しないと判定した場合には、制御手段27は、駆動輪34,34(モータ35,35)の駆動を制御することで電気掃除機11(本体ケース20)を走行させつつ障害物センサ76により障害物を検出することで電気掃除機11(本体ケース20)が走行可能な領域と障害物とを認識してマップまたは走行ルートを生成し記憶して(ステップ5)、その生成したマップまたは走行ルートに沿って走行するようにステップ4に進んで駆動輪34,34(モータ35,35)を駆動して電気掃除機11(本体ケース20)を走行させつつ掃除部22により掃除を行う。そして、掃除領域の掃除が終了、または二次電池28の容量が不足したかなど、掃除を終了するか否かを判定し(ステップ6)、掃除を終了しないと判定した場合にはステップ4に戻り、掃除を終了すると判定した場合には、所定の位置、例えば充電装置12に帰還し(ステップ7)、掃除作業を終了する。
【0039】
より詳細に、電気掃除機11は、例えば予め設定された掃除開始時刻となったときや、リモコンまたは外部装置によって送信された掃除開始の指令信号を受信したときなどのタイミングで、制御手段27が待機モードから走行モードに切り換わり、掃除作業を開始する。
【0040】
次いで、電気掃除機11は、その位置からカメラ51a,51bで前方を撮像し、これらカメラ51a,51bによって撮像した画像から、制御手段27が、深度計算部62により撮像された物体の深度を計算し、画像生成部63により距離画像を生成する。このときカメラ51a,51bにより撮像される範囲は、現在の電気掃除機11の位置からのカメラ51a,51bの視野角内において、
図7(a)に示すように、物体Oにより生じる死角DAを除いた範囲R内のものとなる。
【0041】
さらに、制御手段27は、生成した距離画像から抽出部65により特徴点を抽出する。例えば
図8(c)は、
図8(a)および
図8(b)に示す画像P4,P5に基づいて生成した距離画像から抽出された特徴点(例えば壁面近傍に配置された物体や床面の凹凸などのエッジ)を有する画像P6を示す。そして、この抽出した特徴点と、記憶されている掃除領域(例えば
図7(b)に示すマップM)に対応する特徴点とを特定部66により比較して類似率を計算し、その類似率が所定以上であれば、特徴点が一致したと判定し、類似率が所定未満であれば、特徴点が一致しないと判定する。この判定は、記憶されている掃除領域に対して順次行っていく。したがって、複数の掃除領域を記憶している場合には、掃除領域が特定されるまで上記の判定を継続し、抽出された特徴点と全ての掃除領域の特徴点とが一致しない場合に、特徴点が一致しないと判定する。また、記憶されている掃除領域やその特徴点がない場合には、特徴点が一致しないと判定する。
【0042】
そして、特徴点が一致したと判定した場合には、制御手段27は、現在の掃除領域がその記憶されている掃除領域であると特定し、この特定した掃除領域に対応するマップM(例えば
図7(b))、または走行ルートRT(例えば
図7(c))を読み出し、後述する掃除モードに移行する。
【0043】
一方、特徴点が一致しないと判定した場合、すなわち掃除領域の情報が記憶されていないと判定した場合には、制御手段27は、画像処理部67により掃除領域のマップ、または走行ルートを生成する。このマップや走行ルートの生成の際には、概略として、電気掃除機11(本体ケース20)は、掃除領域の外壁などに沿って走行したり、その位置で旋回したりしながら、カメラ51a,51bにより撮像した画像中の物体の距離を計算し、この距離から壁や障害物を判定して、現在の電気掃除機11の位置に基づいてマップを生成する(マップ生成モード)。走行ルートは、このマップに基づいて生成することができる。
【0044】
このマップ生成の一例として、例えば
図9(a)に示すように、電気掃除機11(本体ケース20)が充電装置12に接続された状態から、
図9(b)に示すように、充電装置12から所定距離離脱した後、所定角度旋回(超信地旋回)しつつカメラ51a,51bによって画像を撮像する。このとき、電気掃除機11(本体ケース20)の旋回角度は、例えば360°とする。そして、撮像された物体の電気掃除機11(本体ケース20)からの距離と、現在の電気掃除機11(本体ケース20)の位置とにより障害物の位置(座標)を認識して、
図9(c)に示すようにマップM(図中の太線に示す)を生成する。このとき、カメラ51a,51bの死角となる位置については、障害物または壁であるものとして処理する。次いで、
図9(d)に示すように、電気掃除機11(本体ケース20)は、所定方向へと走行した位置で、同様に旋回(超信地旋回)しつつカメラ51a,51bによって画像を撮像し、撮像された物体の電気掃除機11(本体ケース20)からの距離と、現在の電気掃除機11(本体ケース20)の位置とにより障害物の位置(座標)を認識して、
図9(e)に示すようにマップM(図中の太線に示す)を修正する。このとき、所定方向は、最初に生成したマップMにて障害物が存在しない方向とすることが好ましい。この動作を必要に応じて適宜繰り返すことにより、死角となる位置が徐々に減少して、電気掃除機11(本体ケース20)が走行可能な領域と障害物とを認識し、マップMが完成していく。そして、掃除領域全体をマッピングした(掃除領域の所定以上の領域をマッピングした)と判定した場合には、制御手段27がマップ生成モードを終了し、このマップに基づき必要に応じて走行ルートを生成した後、以下の掃除モードに移行する。この走行ルートは、例えば最短距離で効率よく掃除領域を走行できるルート、あるいは掃除領域の中で汚れ易いと想定される箇所を効果的に掃除できるルートなどとする。
【0045】
次いで、電気掃除機11は、読み出したマップまたは走行ルート、あるいは新たに生成して記憶したマップまたは走行ルートに基づいて、掃除領域内を自律走行しつつ掃除をする(掃除モード)。この自律走行の際には、概略として、電気掃除機11は、前進しながら、カメラ51a,51bにより撮像した画像中の物体の距離を計算し、この距離やマップや走行ルートに基づいて壁や障害物を判定して、これら壁や障害物を回避しながら走行しつつ、掃除部22によって掃除を行う。なお、この掃除の際に判定した障害物や壁に基づいて、マップを修正してもよい。
【0046】
この結果、電気掃除機11(本体ケース20)は、掃除領域内の床面上を、障害物を回避しながら隅々に至るまで自律走行しつつ掃除部22を制御手段27(掃除制御部72)により動作させて床面の塵埃を掃除する。すなわち、電気掃除機11は、障害物を検出しても掃除作業を継続するなど、継続した動作を行う。
【0047】
掃除部22では、制御手段27(掃除制御部72)により駆動された電動送風機41、回転ブラシ42(ブラシモータ43)、あるいはサイドブラシ44(サイドブラシモータ45)により床面の塵埃を、吸込口31を介して集塵部46へと捕集する。そして、掃除領域の掃除が完了した場合、あるいは掃除作業中に二次電池28の容量が所定量まで低下して掃除や撮像を完了させるのに不足している(二次電池28の電圧が放電終止電圧近傍まで低下している)場合などの所定条件時には、電気掃除機11では、充電装置12に帰還するように制御手段27(走行制御部71)によってモータ35,35(駆動輪34,34)の動作を制御する。この後、充電端子78,78と充電装置12の充電用端子79,79とが接続されると、掃除作業を終了し、制御手段27が待機モード、あるいは充電モードに移行する。
【0048】
以上説明した一実施形態によれば、制御手段27が、掃除の開始時に、抽出手段77により抽出した本体ケース20(電気掃除機11)の周辺の特徴点と、予め記憶された掃除領域に対応する特徴点とを比較することで、現在の掃除領域を特定することにより、予め記憶されている掃除領域であれば、掃除領域内を探索して新たにマップや走行ルートを生成するための時間を要することなく、直ちに掃除を開始できる。したがって、掃除時間を短縮し、掃除領域に応じて効率よく掃除できる。
【0049】
そして、制御手段27は、掃除領域を特定すると、予め記憶されたこの掃除領域のマップM(
図7(b))、あるいは走行ルートRT(
図7(c))に基づいて駆動輪34,34(モータ35,35)の駆動を制御して本体ケース20(電気掃除機11)を走行させることで、掃除領域の間取りや障害物の配置などに応じて効率よく掃除できる。
【0050】
また、抽出手段77により抽出した特徴点と記憶した掃除領域の特徴点との類似率が所定未満の場合に、制御手段27が駆動輪34,34(モータ35,35)の駆動を制御することで本体ケース20(電気掃除機11)を走行させつつ障害物センサ76により障害物を検出することで本体ケース20(電気掃除機11)が走行可能な領域と障害物とを認識して掃除領域に対応したマップまたは走行ルートを生成し記憶させることで、この掃除領域を次回以降掃除する際に、この記憶したマップや走行ルートを用いて直ちに掃除を開始できるとともに、掃除領域の間取りや障害物の配置などに応じて、効率よく掃除をすることができる。
【0051】
なお、上記一実施形態において、深度計算部62、画像生成部63、判定部64、抽出部65、掃除制御部72、撮像制御部73および照明制御部74はそれぞれ制御手段27中に備えたが、それぞれ互いに別構成としてもよいし、いずれか2つ以上を任意に組み合わせてもよいし、制御手段27とは別個に設けてもよい。
【0052】
また、撮像手段は、3つ以上設定されていてもよい。すなわち、撮像手段は、複数であれば、その個数は限定されない。
【0053】
さらに、障害物センサ76としては、カメラ51a,51bに代えて、TOF方式の距離画像センサなどを用いることもできる。
【0054】
また、充電装置12から掃除を開始する構成としたが、掃除の開始位置は任意に設定できる。
【0055】
さらに、基地装置としては、充電装置12に限らず、例えば集塵部46に捕集した塵埃を集めるためのダストステーションなど、他の任意の機能を有する基地装置を用いることができる。
【0056】
本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。