(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6864475
(24)【登録日】2021年4月6日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】注射器および注射器を形成するキット
(51)【国際特許分類】
A61M 5/31 20060101AFI20210419BHJP
【FI】
A61M5/31
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-552397(P2016-552397)
(86)(22)【出願日】2014年10月28日
(65)【公表番号】特表2016-539765(P2016-539765A)
(43)【公表日】2016年12月22日
(86)【国際出願番号】NL2014050743
(87)【国際公開番号】WO2015065177
(87)【国際公開日】20150507
【審査請求日】2017年9月21日
【審判番号】不服2019-9293(P2019-9293/J1)
【審判請求日】2019年7月11日
(31)【優先権主張番号】2011699
(32)【優先日】2013年10月29日
(33)【優先権主張国】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】516129208
【氏名又は名称】ティーエスケイ ラボラトリ ヨーロッパ ベーフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】デ ビア、イソドリス アンジェリヌス クイリヌス マリア
【合議体】
【審判長】
芦原 康裕
【審判官】
井上 哲男
【審判官】
莊司 英史
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第5782803(US,A)
【文献】
特表2012−510346(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0197977(US,A1)
【文献】
特表2005−525836(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0018301(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手軸(L1)を有する注射針ハブアッセンブリ(200)を備える、長手軸(L2)を有する注射器(100)であって、
前記注射針ハブアッセンブリ(200)は、注射針ハブ本体(210)を備え、
前記注射針ハブ本体(210)は、
前記注射針ハブ本体(210)の第1端部(210a)に、前記注射器(100)の注射筒(300)の取り付け部(110)を受容するためのシリンジコネクタ(212)を有し、更に、
前記注射針ハブ本体(210)の反対側の第2端部(210b)に、注射針受容部(214)を有し、
前記注射針ハブアッセンブリ(200)は、更に、
前記注射針受容部(214)から延びる注射針(216)を備え、
前記シリンジコネクタ(212)は、少なくともその遠位端(110b)に、前記注射筒(300)の前記注射器(100)の取り付け部(110)を受容するための実質的に円錐形状の受容開口部(218)を有するとともに、前記受容開口部(218)の入口領域(220)は、およそ、4.270mmから4.315mmの断面寸法(D)を有し、入口領域周囲(220a)と上面周囲(222a)の間にわたる前記受容開口部(218)の内周壁(224)は、入口領域(220)から上面(222)に向かって6%細くなっており、前記長手軸(L1)に沿って測った前記開口部(218)の長さ(A)は、3mmから7mmの間であり、
前記注射針(216)の一端部は、前記注射針受容部(214)内に収容されており、前記開口部(218)内に突出しておらず、
前記注射器(100)は、注射筒(300)を備え、
前記注射筒(300)は、前記注射器(100)の近位端(100a)と遠位端(100b)の間を長手軸方向に延びており、前記注射針ハブアッセンブリ(200)を取り付けるための取り付け部(110)を備え、
前記注射器(100)は、更に、前記注射筒(300)内に摺動可能に受容されるプランジャー(400)を備え、
前記プランジャー(400)は、シーリングエレメント(410)を備え、
前記シーリングエレメント(410)は、前記プランジャー(400)の遠位端(400b)に配置されるとともに、少なくとも前記取り付け部(110)の内側(112)に組み付けられるように構成され、
前記注射針ハブアッセンブリ(200)の前記注射針ハブ本体(210)の素材は、前記注射器(100)の注射筒(300)の素材、少なくとも、前記注射器(100)の注射筒(300)の取り付け部(110)の素材よりも高い硬さを有する、
注射器(100)。
【請求項2】
前記シリンジコネクタ(212)の受容開口部(218)の上面(222)は、前記長手軸(L1)に沿って、前記注射針(216)から離れる方向に、前記上面(222)からおよそ0.2mm延びる凸中央部(226)を有する、
請求項1に記載の注射器(100)。
【請求項3】
前記注射針(216)は、20Gから35Gの一つである、
請求項1または2に記載の注射器(100)。
【請求項4】
前記注射針(216)は、33Gx13mmである、
請求項1から3のいずれか1項に記載の注射器(100)。
【請求項5】
前記シリンジコネクタ(212)、前記取り付け部(110)及び前記シーリングエレメント(410)は、互いに組合わされて、前記プランジャー(400)が、前記注射筒(300)に完全に挿入されたとき、前記シリンジコネクタ(212)、前記取り付け部(110)及び前記シーリングエレメント(410)によって囲まれるスペース(500)が、30μl未満の体積になるように構成された、
請求項1から4のいずれか一項に記載の注射器(100)。
【請求項6】
前記スペース(500)が、4μlから30μlの間の体積を有する、
請求項5に記載の注射器(100)。
【請求項7】
前記注射器(100)、又は少なくとも前記注射器(100)の取り付け部(110)は、ポリプロピレン製であり、前記注射針ハブ本体(210)は、ポリカーボネート製である、
請求項1から6のいずれか一項に記載の注射器(100)。
【請求項8】
前記取り付け部(110)の長さ(l)は、少なくとも、7.5mmである、
請求項1から7のいずれか一項に記載の注射器(100)。
【請求項9】
前記取り付け部(110)の遠位端(110b)の直径(d)が、3.900mmから4.000mmの間である、
請求項1から8のいずれか一項に記載の注射器(100)。
【請求項10】
前記プランジャー(400)の遠位端(400b)は、挿入状態において、実質的に完全に、前記取り付け部(110)の内部スペース(112)を占めるように、前記取り付け部(110)内に延びる実質的に細長い形状である、
請求項1から9のいずれか一項に記載の注射器(100)。
【請求項11】
前記注射器の前記取り付け部(110)の先端は、ルアースリップである、
請求項1から10のいずれか一項に記載の注射器(100)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の注射器(100)と、少なくとも1つの注射針ハブアッセンブリ(200)と、前記注射器(100)と前記注射針ハブアッセンブリ(200)とを収納する包装と、
を有する、
注射器を形成するキット。
【請求項13】
前記包装は、ハードシェルブリスター包装である、請求項12に記載のキット。
【請求項14】
多量のボツリヌス毒素をさらに含む、請求項12または13に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注射器のような投薬装置の分野に関するものである。そして、本発明は、注射器用の注射針ハブアッセンブリ、とりわけ、医療用途における液体の注射および非医療用途における化学物質の注入に好適な注射針ハブアッセンブリに、特に関係するものである。
【背景技術】
【0002】
ボツリヌス毒素は、タンパク質であり、またさまざまな美容及び医療行為に使用される神経毒であって、ボトックスという商品名で広く知られている。美容用途においては、ボツリヌス毒素注射は、顔の筋肉を麻痺させて小じわを防止するために使われる。非美容用途においては、ボツリヌス毒素は、過度の不適切な筋収縮、偏頭痛、痙攣(筋収縮の持続的な状態)、括約筋収縮、眼球運動障害、顔面痙攣及び震えを治療するために使用される。
【0003】
ボツリヌス毒素は、注射針ハブアッセンブリを有する好適な注射器を使用する注射手段によって、患者に投与される。注射針ハブアッセンブリの注射針が、患者の皮膚を通って皮下組織に到達すると、注射筒の内側にあるプランジャーが押され、ボツリヌス毒素が注射針ハブアッセンブリを通って注射器の先端から押し出され、ボツリヌス毒素は注射される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ボツリヌス毒素の注射に使用される注射器は、一般的にはISO規格に準拠している。そのため、好適な注射針ハブアッセンブリの全ては、好適な注射器の全てに取り付けられてボツリヌス毒素の注射に使用することが出来る。
【0005】
しかしながら、注射針ハブアッセンブリと注射器は、個々の特定の特性は標準化されているものの、使用される注射針ハブアッセンブリ、および使用される注射器は、注射器内部にある液体が最適に使用されるように設計することは要求されていない。この事は、例えば、注射器に取り付けられた注射針ハブアッセンブリを使用するとき、プランジャーを注射筒の中に完全に挿入した後において、注射器及び/又は注射針アッセンブリの中には、いくらかの量のボツリヌス毒素が残留することを意味する。ボツリヌス毒素は、かなり高価な製品なので、注射器及び/又は注射針ハブアッセンブリの中に残留するボツリヌス毒素を、可能な限り少なくすることが望まれる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、注射器に使用される改善された注射針ハブアッセンブリを提供するものであって、ボツリヌス毒素を患者に投与する際、注射器及び/又は注射針ハブ中の注射液の排出を改善するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明の第1態様は、注射器用の注射針ハブアッセンブリに関し、前記アッセンブリは長手軸を備えている。前記注射針ハブアッセンブリは、注射針ハブ本体を備えている。前記注射針ハブ本体の第1端部には、注射器の取り付け部を受容するためのシリンジコネクタを備え、前記注射針ハブ本体の反対側の、第2端部には針受容部を備えている。また注射針ハブアッセンブリは、針受容部から延びる注射針を有していてもよい。前記シリンジコネクタは、少なくともその遠位端に、注射器取り付け部を受容するための、実質的に円錐形の受容開口部を有しても良い。前記長手軸に沿って測った前記受容開口部の長さは、3mmから7mmの間、好ましくはおよそ6.1mm+0.05mmである。
【0008】
本発明に係る上記の注射針ハブアッセンブリは、関連するISO規格つまりISO
594−1を厳密には準拠していない。前記ISO規格によれば、前記受容開口部の長さは、前記注射器の取り付け部と前記注射針ハブアッセンブリを適切に係合させるのに十分な長さであるとされている。しかしながら、出願人は、前記受容開口部の長さが上記に示した寸法であれば、注射器と前記注射針ハブアッセンブリが十分に係合されることを発見した。前記係合の程度をさらに強めるために、前記注射針ハブ本体は、使用される前記注射器の素材よりも硬い素材で作られると良い。さらに硬い素材を使用すれば、前記注射針ハブが離脱するリスクはさらに減少する。しかしながら、前記注射針ハブ本体の素材の硬さは、前記注射器の素材と同じ程度でもよい点に留意されたい。上記に示した本発明に係る受容開口部の長さに従えば、前記注射器と前記注射針ハブアッセンブリは、前記注射器を適切に機能させるのに十分な程度に係合される。
【0009】
本発明による注射針ハブアッセンブリでは、患者にボツリヌス毒素を投与するために、注射器に取り付けられた場合に、注射筒内にプランジャーを完全に押し込むと、注射器及び/又は注射針ハブアッセンブリ内には、前記毒素は、実質的に全く、あるいは、皆無ではないが可能な限り僅かな量しか、残留しない。前記毒素が、注射器内に、全く、あるいは、皆無ではないが可能な限り僅かな量しか残留しないので、コストが大きく削減される。
【0010】
本発明のさらなる態様に依れば、長手軸を有する注射器が提供される。前記注射器は、ここで開示される注射針ハブアッセンブリを備えていても良い。前記注射器は、その近位端と遠位端の間に、長手軸方向に延びる筒を有しても良い。前記筒は、注射針ハブアッセンブリを取り付けるための取り付け部を有していても良い。更に、前記注射器は、前記筒に摺動可能に取り付けられたプランジャーを有していても良い。前記プランジャーはシーリングエレメントを有している。前記シーリングエレメントは前記プランジャーの遠位端に配置され、少なくとも前記取り付け部の内側に組み付けられるように構成される。前記プランジャーが前記筒の中に完全に押し込まれた時に、前記シリンジコネクタ、前記取り付け部及び前記シーリングエレメントによって囲まれるスペースの体積が、30μl未満となるように、前記シリンジコネクタ、前記取り付け部及び前記シーリングエレメントは互いに組合わされるように構成されている。好ましくは、前記スペースの体積は4μlから30μlの間である。例えば、前記スペースの体積は14μl未満であってもよい。シリンジコネクタ、取り付け部及びシーリングエレメント等の寸法と設計を最適化すれば、これらに囲まれるスペースの体積はゼロに近くなる。上記の注射器を使用すれば、注射をした後に、注射器内に残留するボツリヌス毒素の量は最小になる。出願人は、上記の注射器を用いれば、標準的な注射針ハブアッセンブリを備える標準的な注射器を使用する場合に比べて、ボツリヌス毒素の損失量をおよそ86%削減できることを発見した。最適な条件の下では、プランジャーを注射筒に完全に押し込んだ後に、前記囲まれたスペース内に残る液体の体積をゼロにできる。
【0011】
ボツリヌス毒素を用いる治療中に、患者は複数回の注射を受けるので、ここで開示される注射針ハブアッセンブリに、20Gから35Gの注射針、例えば33Gの注射針を使用すれば、患者が受ける注射の傷を最小化することができる。
【0012】
本発明の実施態様が記載された以下の詳細な説明と、添付された図面を総合すれば、本発明についての上記記載、本発明のその他の特徴、及び本発明の利点が完全に理解されるであろう。なお、前記の図面は、本発明を例示するものであって、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る注射針ハブアッセンブリの代表的な概略断面図である。
【
図2】
図1で示した注射針ハブ本体の概略断面図である。
【
図3】
図1で示した注射針アブアッセンブリを備える注射器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
異なる図面において、同一の又は対応する要素は、同一、又は対応する参照番号を示している点に留意されたい。
【0015】
図1から
図3は、本発明に係る注射針ハブアッセンブリ200、0よび当該アッセンブリ200を備える注射器100の代表的な実施形態を模式的に図示するものである。以下、
図1から
図3を適宜参照して、開示される注射針ハブアッセンブリ200を含む注射器100を一般的な用語で説明する。
【0016】
開示される本発明に係る注射針ハブアッセンブリ200は、非医療用途における化学物質の投与、及び医療用途における液体の注射に適した注射器100と組み合わせて使用されるように構成される。注射針ハブアッセンブリ200は、例えばボツリヌス毒素を皮下組織に注射することに適している。
【0017】
注射針ハブアッセンブリ200は長手中央軸L1を有する。前記注射針ハブアッセンブリは、注射器100の取り付け部110を受容するためのシリンジコネクタ212を有する注射針ハブ本体210を有しても良い。シリンジコネクタ212は、注射針ハブ本体210の第1端部210aに備えられている。注射針ハブ本体210の反対側の第2端部210bには針受容部214を備えられても良い。針受容部214は、皮下注射針216を受容し、保持するように構成されている。注射針216は、注射針ハブ本体210からハブアッセンブリ200の長手軸L1に実質平行な方向に、延びている。図示の実施形態では、注射針216は、例えば、33Gx13の注射針216であっても良い。好ましくは、20Gから35Gの針が、針受容部214に受容される。33Gの注射針216は、断面寸法がおよそ0.2mmの非常に細い針である。そのためこの注射針216を使う場合、ボツリヌス毒素を特定の組織内に注射をする際の患者の傷は比較的小さい。1回のボツリヌス毒素治療で、患者は、複数回の注射を受ける場合がある。また、前記ボツリヌス毒素治療の効果は減少するので、しばらくして、前記複数の注射を繰り返す必要がある。そのため、このような細い注射針216を使用すれば、患者の不快感が減少する。
【0018】
注射針ハブ本体210は、注射器100の素材よりも硬い素材で作られていても良い。注射針ハブ本体210は、例えば、ポリカーボネート製であっても良い。
【0019】
シリンジコネクタ214は、
図2において明らかなように実質的に円錐形の受容開口部218を有している。受容開口部218は、シリンジ取り付け部110の少なくとも遠位端110bを受容するように適合されている。長手軸L1に沿って測った受容開口部218(
図2参照)の長さAは、3mmから7mmであり、図示された実施形態においては、およそ6.1+0.05mmである。取り付け部110と受容開口部218は、入口領域220、上面222及び上面周囲222aと入口領域の周囲220aにわたる内周壁224を有しても良い。内周壁224は、入口領域220から上面222に向かって、先端がおよそ6%細くなるようにしても良い。好ましくは、受容開口部218の入口領域220は、注射針ハブ本体210の最近位端210aにおいて4.315-0.045mmの断面寸法Dを有する。上面222の中央部222bには凸中央部226が備えられている。凸中央部226は、長手軸L1に沿って注射針216から離れる方向に、およそ0.2mmの幅Wだけ上面222から延びている。
【0020】
図3に図示されているように、注射器100は注射筒300とプランジャー400を有していても良い。注射筒300は、細長い管状の、例えばシリンダジャケット型の部分を有していても良い。注射筒本体312は、遠位端312bと近位端312aの間で、注射器100の長手軸L2に沿って延びている。注射筒本体312には、プランジャー300を少なくとも部分的に、摺動及び回転可能に支承できる中央ボア314が画成されている。注射筒本体312の近位端312aには、2個のフィンガーウィング316が備えられても良く、これにより、従来の注射方法において、臨床医が2本の指をフィンガーウィング316の遠位側に支持しながら、親指で、長いプランジャー400を注射筒300の中央ボア314に押し入れることができる。また、例示的な実施形態には示されていないが、注射筒300はカラーを有していてもよい。注射筒300とカラーは別々に製造され、組み立て当初から、任意に、着脱自在に接続されてもよい。また、これらは一体的に形成されても良い。注射筒300と前記カラーは、プラスチック、例えば、射出成形されたポリプロピレンで作られていても良い。フィンガーウィング316は、注射筒本体312に、前記カラーの取り付けを容易にするのに有用である。注射筒本体312の遠位端312bでは、中央ボア314が流体ポート318で終端してもよく、流体ポート318を通って液体が中央ボア314から排出され、及び/又は中央ボア314内に吸引される。注射筒本体312の遠位端312bそれ自体は、中空であって先に向かって細くなっていても良く、遠位端312bは、注射針ハブアッセンブリ200を遠位端312bに取り付けるための取り付け部110を有しても良い。取り付け部110は、図で示すような先端がルアースリップであっても良い。
【0021】
図示した注射器100の注射筒本体312は透明ではない。しかしながら、別の実施態様においては、例えば筒内にある液体の状態を確認するために、あるいは液体を識別するために、臨床医が中央ボア314の中身を視覚的に確認できる程度に、注射筒本体312が透明であっても良い。透明な注射筒本体312を特徴とする実施形態において、注射筒本体312は、体積目盛り、例えばミリリットル単位の体積目盛りを備えていても良い。
【0022】
プランジャー400は、シーリングエレメント410と把手420を有してもよい。好適には、シーリングエレメント410は、柔軟で、かつ液体が浸透しない材料で作られて、プランジャー400の遠位端400bに取り付けられても良い。そして、シーリングエレメント410の寸法は、注射筒300の中央ボア314の内壁との間で摺動可能な密封接触を可能とするように決められる。したがって、流体ポート318、中央ボア314の内壁及びシーリングエレメント410は、中央ボア314の一部を区画する。区画された中央ボア314は、注射器100によって注射される液体を収容するように構成された流体室として機能する。注射筒300に対してプランジャー400を摺動可能にずらすことにより、前記流体室の大きさを変えるようにしても良い。このようにして、前記流体室のサイズを中央ボア314のほぼ全体積からほとんどゼロまで変化させることができる。
【0023】
プランジャー400の把手420がプランジャー400の近位端400aに備えられても良い。把手420は、その近位端400aで、指又は親指のための支持面422を提供する。
【0024】
プランジャー400を注射筒300に対して相対的に長手軸に摺動動作させることによって流体室の体積が増減される。そのため、中央ボア314への液体の吸引、および、中央ボア314からの液体の排出が可能になる。
【0025】
シリンジコネクタ218、取り付け部110及びシーリングエレメント410は、互いに組合わされて、プランジャー400を注射筒300に完全に滑り入れた時に、シリンジコネクタ218、取り付け部110及びシーリングエレメント410で囲まれるスペース500の体積が、30μl未満になるように構成される。スペース500は4μlから30μlの間、例えばおよそ14μl未満とするのが好ましい。そして、プランジャー400の遠位端400bは、実質的に細長い形状を有していて、取り付け部110を通って延びている。そのため、プランジャー400の遠位端400bが挿入位置にある場合、取り付け部110の内部スペース112は、プランジャー400の遠位端400bによって、実質的に完全に占拠される。その結果、注射針ハブアッセンブリ200を有する注射器100に依れば、デッドスペースが実質的にゼロとなる投薬装置が提供され、該投薬装置に依れば、ボツリヌス毒素を注射する際にいつも発生する前記毒素の損失を最小化することが可能になる。注射針ハブ本体210の素材、すなわち、ポリカーボネートは、注射器100の素材、すなわち、ポリプロピレンより硬いので、取り付け部110から注射針ハブ本体210が分離することが予防される。取り付け部110の長さlは、少なくとも7.5mm、好ましくは、9±0.3mmであれば良い。取り付け部110の遠位端110bの直径dは、およそ3.900mmから4.000mmである。
【0026】
注射器100は、キット、例えばハードシェルブリスター包装のような包装を備える殺菌されたキットの一部であっても良い。かかる包装には、1本の注射器100と、上記の例示的な実施形態に係る注射針ハブアッセンブリ−が少なくとも1個含まれる。
【0027】
上記において、部分的に図面を参照して、本発明の実例となる実施態様を説明したが、本発明の実例となる実施態様は、部分的に図面を参照して、上記に説明したが、本発明は、これらの実施態様に限定されないことを理解しなければならない。本実施態様では、ボツリヌス毒素を注射するために使用される、注射器用の注射針ハブアッセンブリの使用を説明してきた。しかしながら、本発明による、注射器用の注射針ハブアッセンブリ及び、かかる注射針ハブアッセンブリを有する注射器は、他の流体を注射する際にも有益であって、そのために使用される。上記の図面、上記の開示事項、及び添付された請求の範囲を検討することによって、当業者は、請求の範囲に記載された発明を実施するに際して、上記に開示された実施形態の変形例を理解し実施することができる。本明細書において「一実施形態」又は「実施形態」と言う場合、それは、上記実施形態に少なくとも一つに含まれていることを意味する。したがって、本明細書の全体を通じて、様々な箇所で出現する「一実施形態において」又は「実施形態において」と言う語句は、全てが同一の実施形態について言及している訳ではない。また、新規の、明示されていない方法によって、1以上の実施形態に固有の特徴、構成又は特性は、組み合わせることができる。
【0028】
(付記)
(付記1)
注射針ハブ本体(210)であって、当該本体(210)の第1端部(210a)に注射器(100)の取り付け部(110)を受容するためのシ
リンジコネクタ(212)を有するとともに、当該本体(210)の反対側の第2端部(210b)に注射針受容部(214)を有する、注射針ハブ本体(210)と、
前記注射針受容部(214)から延びる注射針(216)と、
を備える、長手軸(L1)を有する、注射器(100)用の注射針ハブアッセンブリ(200)であって、
前記シリンジコネクタ(212)は、少なくともその遠位端(110b)に、注射器の取り付け部(110)を受容するための実質的に円錐形状の受容開口部(218)を有するとともに、前記長手軸(L1)に沿って測った前記開口部(218)の長さ(A)は、3mmから7mmの間、例えば、およそ6.1+0.05mmである、
注射針ハブアッセンブリ(200)。
【0029】
(付記2)
前記シリンジコネクタ(212)の受容開口部(218)の上面(222)は、前記長手軸(L1)に沿って、前記注射針(216)から離れる方向に、前記上面(222)からおよそ0.2mm延びる凸中央部(226)を有する、
付記1に記載の注射針ハブアッセンブリ(200)。
【0030】
(付記3)
前記受容開口部(218)の入口領域(220)は、およそ4.315mmから0.045mmの断面寸法(D)を有する、
付記1または2に記載の注射針ハブアッセンブリ(200)。
【0031】
(付記4)
入口領域周囲(220a)と上面周囲の間(222a)にわたる前記受容開口部(218)の内周壁(224)は、入口領域(220)から上面(222)に向かって6%細くなっている、
付記1から3のいずれか一項に記載の注射針ハブアッセンブリ。
【0032】
(付記5)
前記シリンジコネクタ(212)は、6%のルアーテーパーを有する、
付記1から4のいずれか一項に記載の注射針ハブアッセンブリ(200)。
【0033】
(付記6)
前記注射針は、20Gから35Gの一つ、例えば、33Gx13mm(216)である、
付記1から5のいずれか一項に記載の注射針ハブアッセンブリ(200)。
【0034】
(付記7)
前記注射器(100)の近位端(100a)と遠位端(100b)の間を長手軸方向に延びる注射筒(300)であって、前記注射針ハブアッセンブリ(200)を取り付けるための取り付け部(110)を備える、注射筒(300)と、
前記注射筒(300)内に摺動可能に受容されるプランジャー(400)であって、当該プランジャー(400)の遠位端(400b)に配置されるとともに、少なくとも前記取り付け部(110)の内側(112)に組み付けられるように構成されたシーリングエレメント(410)を備える、プランジャー(400)と、を備え、
前記シリンジコネクタ(212)、前記取り付け部(110)及び前記シーリングエレメント(410)は、互いに組合わされて、前記プランジャー(400)が、前記注射筒(300)に完全に挿入されたとき、前記シリンジコネクタ(212)、前記取り付け部(110)及び前記シーリングエレメント(410)によって囲まれるスペース(500)が、30μl未満の体積になるように構成された、
付記1から6のいずれか一項に記載の注射針ハブアッセンブリ(200)を備える、長手軸(L2)を有する注射器(100)。
【0035】
(付記8)
前記スペース(500)が、4μlから30μlの間、例えば14μlの体積を有する、
付記7に記載の注射器。
【0036】
(付記9)
前記注射針ハブ本体(210)の素材は、前記注射器(100)の素材、少なくとも、前記注射器(100)の取り付け部(110)の素材よりも高い硬さを有する、
付記7または8に記載の注射器。
【0037】
(付記10)
前記注射器(100)、又は少なくとも前記注射器(100)の取り付け部(110)は、ポリプロピレン製であり、前記注射針ハブ本体(210)は、ポリカーボネート製である、
付記7から9のいずれか一項に記載の注射器。
【0038】
(付記11)
前記取り付け部(110)の長さ(l)は、少なくとも、7.5mm、好ましくは、9±0.3mmである、
付記7から10のいずれか一項に記載の注射器。
【0039】
(付記12)
前記取り付け部(110)の遠位端(110b)の直径(d)が、3.900mmから4.000mmの間である、
付記7から11のいずれか一項に記載の注射器。
【0040】
(付記13)
前記プランジャー(400)の遠位端(400b)は、挿入状態において、実質的に完全に、前記取り付け部(110)の内部スペース(112)を占めるように、前記取り付け部(110)内に延びる実質的に細長い形状である、
付記7から12のいずれか一項に記載の注射器。
【0041】
(付記14)
注射器(100)と、少なくとも1つの、付記1から6のいずれか一項に記載の注射針ハブアッセンブリ(200)とを収納する包装、好ましくは、ハードシェルブリスター包装を有する、
注射器(100)及び注射針ハブアッセンブリキット。