(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1の技術では、クリープ変形を防ぐためにシール支持リングの板厚が厚いため、シール支持リングの重量が重いという問題がある。例えば航空機や船舶、車両等の分野では、部品重量が機械の性能や燃費に影響を及ぼすため、部品の軽量化の要望があり、シール支持リングを軽量化することが求められている。さらに、シール支持リングは、シール材をシール支持リングの内側の所定位置に容易且つ正確に取り付けることができるような形状を確保する必要性もある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、高温場でスラスト荷重を受けてもクリープ変形が発生しない程度の強度を確保しつつ、軽量化することができ、さらに、シール材を容易且つ正確に取り付けられるシール支持リングを提供することを目的とする。さらに、本発明は、上記のシール支持リングを備えるシール構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明の一態様に係るシール支持リングは、タービンの動翼環の外周における流体の流れを封止又は制限するシール材を支持するためのシール支持リングであって、スラスト方向に沿って漸次に拡径された円錐台形筒部と、該円錐台形筒部の大径端側に配設されて前記スラスト方向に延在し、前記シール材をラジアル方向に位置決めするように構成された内周面を有する円筒部と、前記シール材を前記スラスト方向に位置決めするように構成された位置決め面とを備えており、前記円錐台形筒部が、前記スラスト方向に沿った縦断面視において板厚が不均一である板厚不均一構造を有
し、前記板厚不均一構造が、前記円錐台形筒部の小径端から前記大径端までの間で前記板厚が漸次に増加した構造である。
【0008】
また、本発明の別の態様に係るシール構造は、上記したシール支持リングと、前記円筒部の前記内周面に接合される第1面、及び、前記位置決め面に接合される第2面を有するシール材と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、円錐台形筒部の板厚不均一構造によって、スラスト荷重を受けたときに応力が集中する部分の板厚を厚くしつつ、比較的に応力がかかりにくい部分の板厚を薄くするように、板厚の再配分が行なわれ得る。また、シール材が、円筒部の内周面によってラジアル方向に位置決めされると共に、位置決め面によってスラスト方向に位置決めされることで、シール支持リングの内側の所定位置にシール材を位置付けることができる。
また、この構成によれば、円錐台形筒部のスラスト荷重に対する強度の向上を図ることができる。
【0012】
また、上記のシール支持リングは、前記円筒部における前記スラスト方向の中間に位置する領域の板厚が、前記円筒部における端部の領域の板厚よりも薄くてもよい。
【0013】
この構成によれば、円筒部のスラスト荷重に対する強度を維持しつつ、シール支持リングの軽量化を図ることができる。
【0014】
また、上記のシール支持リングは、前記円錐台形筒部の前記スラスト方向の一部分に、前記円錐台形筒部の内周面および外周面の少なくとも一方が凹んで板厚が薄くなった薄肉領域が形成されてもよい。
【0015】
この構成によれば、円錐台形筒部において特に応力が集中しない箇所を薄肉領域にすることで、スラスト荷重に対する強度を確保しつつ、シール支持リングのさらなる軽量化を図ることができる。
【0016】
また、上記のシール支持リングは、前記円筒部の円錐台形筒部側の端部から前記ラジアル方向の内方側に向かって延在し、前記位置決め面を有する段差部と、前記段差部の前記ラジアル方向の内方側の端部から円錐台形筒部側へ延在して前記円錐台形筒部の大径端に接続され、更なるシール材をラジアル方向に位置決めするように構成された内周面を有する更なる円筒部と、前記円錐台形筒部の大径端の内面に突設され、前記更なるシール材を前記スラスト方向に位置決めするように構成された更なる位置決め面を有する突出部とをさらに備えてもよい。
【0017】
この構成によれば、シール材が、円筒部の内周面および段差部の位置決め面によってそれぞれラジアル方向およびスラスト方向に位置決めされるので、シール材をシール支持リングの内側の所定位置に位置付けることができる。さらに、更なるシール材が、更なる円筒部の内周面および更なる位置決め面によってそれぞれラジアル方向およびスラスト方向に位置決めされるので、更なるシール材をシール支持リングの内側の所定位置に位置付けることができる。
【0018】
また、上記のシール支持リングは、相対的に前記段差部の板厚が厚くて前記更なる円筒部の板厚が薄くなっていてもよい。
【0019】
この構成によれば、段差部における曲げ変形を防止しつつ、シール支持リングの軽量化を図ることができる。
【0020】
また、上記のシール支持リングは、前記円筒部と前記円錐台形筒部とが互いに直結されており、前記薄肉領域が、前記円錐台形筒部における大径端側の端部に位置してもよい。
【0021】
この構成によれば、円筒部と円錐台形筒部とが互いに直結されていることで、シール支持リングは、段差などが無い或いは少ない外面形状になる。このような外面形状を有するシール支持リングでは、スラスト荷重を受けたときに、円錐台形筒部における大径端側の端部に作用する曲げは小さくなる。それ故、円錐台形筒部における大径端側の端部に薄肉領域があっても、シール支持リングのスラスト荷重に対する強度を確保することができる。
【0022】
また、上記のシール支持リングは、前記位置決め面を有する突出部が、前記円筒部および前記円錐台形筒部のうちの少なくとも一方の内周面に突設されてもよい。
【0023】
この構成によれば、シール材が、円筒部の内周面および突出部の位置決め面によってそれぞれラジアル方向およびスラスト方向に位置決めされるので、シール支持リングが階段状の形状を有していなくても、シール材をシール支持リングの内側の所定位置に位置付けることができる。
【0024】
また、上記のシール支持リングは、前記円錐台形筒部の内周面に突設された第1突出部と、前記円錐台形筒部の内周面に突設されると共に前記第1突出部よりも前記円錐台形筒部の小径端側に位置する第2突出部とをさらに備えており、前記第1突出部が、前記位置決め面を有すると共に、更なるシール材をラジアル方向に位置決めするように構成された内周面を有し、前記第2突出部が、前記更なるシール材をスラスト方向に位置決めするように構成された更なる位置決め面を有してもよい。
【0025】
この構成によれば、シール材が、円筒部の内周面および第1突出部の位置決め面によってそれぞれラジアル方向およびスラスト方向に位置決めされるので、シール支持リングが階段状の形状を有していなくても、シール材をシール支持リングの内側の所定位置に位置付けることができる。さらに、更なるシール材が、第1突出部の内周面および第2突出部の更なる位置決め面によってそれぞれラジアル方向およびスラスト方向に位置決めされるので、シール支持リングが階段状の形状を有していなくても、更なるシール材をシール支持リングの内側の所定位置に位置付けることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明のシール支持リングによれば、高温場でスラスト荷重を受けてもクリープ変形が発生しない程度の強度を確保しつつ、軽量化することができ、さらに、シール材を容易且つ正確に取り付けることができる。
【0027】
本発明のシール構造によれば、シール支持リングのクリープ変形を防止しつつ軽量化することができ、さらに、シール材をシール支持リングに容易且つ正確に取り付けることができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態について
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は例えば航空機や船舶、車両等の推進ターボ機械などに装備されるガスタービンの一部分をスラスト方向(ガスタービンの回転軸線に沿った方向)に沿って切断した縦断面図である。
図1において、符号「1」は本発明の1つの実施の形態に係るシール構造を示し、符号「2」はケーシングを示し、符号「3」はガスタービンにおける1段目の静翼環を示し、符号「4」はガスタービンにおける1段目の動翼環を示し、符号「5」はガスタービンにおける2段目の静翼環を示している。これらの静翼環3,5及び動翼環4は、ケーシング2の内部でスラスト方向に交互に並ぶように配設されている。
【0030】
より詳しく説明すると、1段目の静翼環3は、ケーシング2の内側に取り付けられた固定部材である。静翼環3には複数枚の静翼30が備えられており、これら複数枚の静翼30は周方向(ガスタービンの回転軸線を中心とした円の周方向)に沿って配列され、また、各静翼30は概ねラジアル方向(ガスタービンの回転軸線に直交する方向)に延在するように配置されており、つまり、複数枚の静翼30は、ガスタービンの回転軸線を中心に放射状に配置されている。また、静翼環3には、周方向に沿って環状に設けられた外側シュラウド31が備えられており、静翼環3は、放射状に配置された複数枚の静翼30が外側シュラウド31で取り囲まれた構成となっている。
【0031】
1段目の動翼環4は、ガスタービンの図示せぬロータの外側に取り付けられた可動部材である。動翼環4には複数枚の動翼40が備えられており、これら複数枚の動翼40は周方向に沿って配列され、また、各動翼40は概ねラジアル方向に延在するように配置されており、つまり、複数枚の動翼40は、ガスタービンの回転軸線を中心に放射状に配置されている。また、動翼環4には、周方向に沿って環状に設けられたチップシュラウド41が備えられており、動翼環4は、放射状に配置された複数枚の動翼40がチップシュラウド41で取り囲まれた構成となっている。
【0032】
2段目の静翼環5は、ケーシング2の内側に取り付けられた固定部材である。静翼環5には複数枚の静翼50が備えられており、これら複数枚の静翼50は周方向に沿って配列され、また、各静翼50は概ねラジアル方向に延在するように配置されており、つまり、複数枚の静翼50は、ガスタービンの回転軸線を中心に放射状に配置されている。また、静翼環5には、周方向に沿って環状に設けられた外側シュラウド51が備えられており、静翼環5は、放射状に配置された複数枚の静翼50が外側シュラウド51で取り囲まれた構成となっている。
【0033】
シール構造1は、動翼環4の外周における流体の流れを封止又は制限するための構造体であり、動翼環4の外周を取り囲むように周方向に沿って環状に形成されている。シール構造1は、第1シール材6と、第2シール材7と、これら第1シール材6及び第2シール材7を支持するためのシール支持リング8と、を備えている。
【0034】
図2はシール支持リング8をスラスト方向に沿って切断した縦断面図である。シール支持リング8は、全体として筒状に形成された環状部材であり、ガスタービンの回転軸線に対して概ね回転対称を成す形状を呈する。すなわち、
図2は、シール支持リング8の縦断面の対称形状の半分のみを示している。
【0035】
図2に示すように、シール支持リング8は、スラスト方向に沿って漸次に拡径された円錐台形筒部80と、円錐台形筒部80の大径端側に配設されてスラスト方向に沿って延在した第1円筒部81と、第1円筒部81の円錐台形筒部80側の端部からラジアル方向の内方側に向かって延在した段差部83と、段差部83のラジアル方向の内方側の端部から円錐台形筒部80側へ延在して円錐台形筒部80の大径端に接続された第2円筒部82と、円錐台形筒部80の大径端の内面に突設された突出部84と、を備えている。
【0036】
円錐台形筒部80は、スラスト方向に沿った縦断面視において板厚が不均一である板厚不均一構造を有する。具体的に説明すると、円錐台形筒部80の板厚は、円錐台形筒部80の小径端から大径端の方にいくに従って漸次に大きくなっている。特に、円錐台形筒部80の板厚は、小径端から離れるのに伴い一次関数的に増大しており、縦断面視において円錐台形筒部80の内周面および外周面は両方とも直線的に延在している。
【0037】
第1円筒部81は、円錐台形筒部80の大径端よりも大径の円筒部であり、この第1円筒部81の内周面81aは、第1シール材6をラジアル方向に位置決めするように構成されている。具体的に説明すると、内周面81aは、縦断面視において、スラスト方向に沿って直線的に延在する平面である。また、第1円筒部81は、シール支持リング8全体の中で相対的に板厚が薄くなっている。特に、第1円筒部81における中間領域81b(スラスト方向の中間に位置する領域)の外周面には、ラジアル方向の内方側に窪んだ窪み部81cが形成されており、それにより、第1円筒部81における中間領域81bの板厚が、第1円筒部81における端部領域81d,81eの板厚よりも薄くなっている。
【0038】
段差部83は、周方向の全体にわたって環状に形成されている。この段差部83の内側表面(シール支持リング8の内部側の表面)は、第1シール材6をスラスト方向に位置決めするように構成された第1位置決め面83aとなっている。具体的に説明すると、段差部83の内側表面、すなわち第1位置決め面83aは、ラジアル方向に沿って直線的に延在する平面であり、縦断面視において第1円筒部81の内周面81aに対して垂直に配設されている。また、第1位置決め面83aは、第1円筒部81の内周面81aになだらかに接続されており、第1位置決め面83aと第1円筒部81の内周面81aとの間には凹曲面が形成されている。また、段差部83は、シール支持リング8全体の中で相対的に板厚が厚くなっており、例えば、段差部83の板厚は第1円筒部81の板厚よりも厚い。
【0039】
第2円筒部82は、第1円筒部81よりも小径であって円錐台形筒部80の大径端と略同径の円筒部であり、この第2円筒部82の内周面82aは、第2シール材7をラジアル方向に位置決めするように構成されている。具体的に説明すると、内周面82aは、縦断面視において、スラスト方向に沿って直線的に延在する平面である。また、第2円筒部82の外周面は、円錐台形筒部80の外周面へとなだらかに接続されており、第2円筒部82の外周面と円錐台形筒部80の外周面との間には凸曲面状のアールが形成されている。また、第2円筒部82の外周面は、段差部83の外側面(シール支持リング8の外部側の表面)にもなだらかに接続されており、第2円筒部82の外周面と円錐台形筒部80の外周面との間には凹曲面が形成されている。また、第2円筒部82は、シール支持リング8全体の中で相対的に板厚が薄くなっており、例えば、第2円筒部82の板厚は段差部83の板厚よりも薄い。
【0040】
突出部84は、周方向の全体にわたって環状に形成された凸条部であり、円錐台形筒部80の内周面と第2円筒部82の内周面82aとの間に配設されている。この突出部84は、シール支持リング8の内側に段差を形成するような形状となっている。より具体的に説明すると、突出部84は、断面形状が略三角形である山型の凸条部であり、環状に延在する峰部の両側に環状の表面を有している。この突出部84の一方の表面は、第2シール材7をスラスト方向に位置決めするように構成された第2位置決め面84aとなっている。具体的に説明すると、突出部84の一方の表面、すなわち第2位置決め面84aは、ラジアル方向に沿って直線的に延在する平面であり、縦断面視において第2円筒部82の内周面82aに対して垂直に配設されている。また、第2位置決め面84aは、第2円筒部82の内周面82aになだらかに接続されており、第2位置決め面84aと第2円筒部82の内周面82aとの間には凹曲面が形成されている。なお、突出部84は、周方向の全体にわたって環状に形成されたものに限定されず、例えば、周方向に間欠的に設けられていてもよい。
【0041】
また、
図1に示すように、シール支持リング8の両端にはそれぞれフランジ部85,86が設けられており、これらのフランジ部85,86によって、シール支持リング8は、1段目の静翼環3の外側シュラウド31と2段目の静翼環5の外側シュラウド51との間に挟持されている。より詳しく説明すると、一方のフランジ部85は、円錐台形筒部80の小径端からラジアル方向の内方側に延在しており、1段目の静翼環3の外側シュラウド31に突設された凸部32と隣接している。他方のフランジ部86は、第1円筒部81の端部からラジアル方向の外方側に延在しており、2段目の静翼環5の外側シュラウド51に突設された凸部52と隣接している。これらのフランジ部85,86は、周方向の全体にわたって環状に形成されてもよく、或いは、周方向に間欠的に設けられていてもよい。
【0042】
次に、上記した構成のシール支持リング8に支持される第1シール材6及び第2シール材7について
図1を参照して説明する。第1シール材6及び第2シール材7は、ケーシング2の内部において動翼環4の外周における流体の流れを封止又は制限するための部材であり、周方向の全体にわたって環状に形成されると共に、動翼環4のチップシュラウド41の突起41aに近接配置されている。第1シール材6及び第2シール材7は、動翼環4が回転するときにチップシュラウド41の突起41aによって削り取られ得ることを許容する材料で形成されており、典型的にはハニカム構造を有する材料で形成されている。第1シール材6は、第1円筒部81の内側に位置付けられており、第1円筒部81の内周面81aにろう付け等で接合される外周面(第1面6a)と、段差部83の内側表面すなわち第1位置決め面83aにろう付け等で接合される端面(第2面6b)とを有する。第2シール材7は、第2円筒部82の内側に位置付けられており、第2円筒部82の内周面82aにろう付け等で接合される外周面(第1面7a)と、突出部84の一方の表面すなわち第2位置決め面84aにろう付け等で接合される端面(第2面7b)とを有する。
【0043】
上記した構成のシール支持リング8によれば、円錐台形筒部80の板厚不均一構造によって円錐台形筒部80の板厚の再配分が行なわれており、円錐台形筒部80のうち、スラスト荷重を受けたときに応力が集中する部分は、板厚が相対的に厚くなっており、比較的に応力がかかりにくい部分は、板厚が相対的に薄くなっている。また、上記した構成のシール支持リング8によれば、第1シール材6が、第1円筒部81の内周面81aによってラジアル方向に位置決めされると共に、段差部83の第1位置決め面83aによってスラスト方向に位置決めされるので、シール支持リング8の内側の所定位置に第1シール材6を位置付けることができる。したがって、シール支持リング8およびそれを備えるシール構造1は、高温場でスラスト荷重を受けてもクリープ変形が発生しない程度の強度を確保しつつ、軽量化することができ、しかも、第1シール材6をシール支持リング8の内側に容易且つ正確に取り付けることができる。
【0044】
また、円錐台形筒部80の板厚不均一構造が、円錐台形筒部80の小径端から大径端の方へいくに従って板厚が漸次に増加した構造となっているため、円錐台形筒部80のスラスト荷重に対する強度が向上する。これにより、高温場でスラスト荷重を受けてもクリープ変形がより発生しにくくなる。
【0045】
また、第1円筒部81における中間領域81bの板厚が、第1円筒部81における端部領域81d,81eの板厚よりも薄くなっているので、第1円筒部81のスラスト荷重に対する強度を維持しつつ、シール支持リング8の軽量化を図ることができる。
【0046】
また、上記したシール支持リング8の構成によれば、第1シール材6が、第1円筒部81の内周面81aおよび段差部83の第1位置決め面83aによってそれぞれラジアル方向およびスラスト方向に位置決めされて所定位置に位置付けられるだけでなく、第2シール材7が、第2円筒部82の内周面82aおよび突出部84の第2位置決め面84aによってそれぞれラジアル方向およびスラスト方向に位置決めされて所定位置に位置付けられる。これにより、第1シール材6および第2シール材7を2段で配置させることができる。
【0047】
また、上記したシール支持リング8の構成では、スラスト荷重を受けたときに段差部83に大きな曲げモーメントが作用するが、相対的に段差部83の板厚が厚くて第2円筒部82の板厚が薄くなっているので、段差部83における曲げ変形を防止しつつ、シール支持リングの軽量化を図ることができる。
【0048】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について
図3を参照して説明する。なお、この第2の実施の形態では、シール支持リングの構成が上記の第1の実施の形態で説明されたシール支持リング8とは異なるが、シール材などの他の構成要素は上述した第1の実施の形態と同様である。よって、以下、第2の実施の形態におけるシール支持リング9について詳細に説明する一方で、シール材などの他の構成要素については第1の実施の形態と同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0049】
図3はシール支持リング9をスラスト方向に沿って切断した縦断面図である。シール支持リング9は、全体として筒状に形成された環状部材であり、ガスタービンの回転軸線に対して概ね回転対称を成す形状を呈する。すなわち、
図3は、シール支持リング9の縦断面の対称形状の半分のみを示している。
【0050】
図3に示すように、シール支持リング9は、スラスト方向に沿って漸次に拡径された円錐台形筒部90と、円錐台形筒部90の内周面に突設された第1突出部91及び第2突出部92と、円錐台形筒部90の大径端側に配設されてスラスト方向に沿って延在した円筒部93とを備えている。
【0051】
円錐台形筒部90は、スラスト方向に沿った縦断面視において板厚が不均一である板厚不均一構造を有する。具体的に説明すると、円錐台形筒部90の板厚は、円錐台形筒部90の小径端から大径端の方にいくに従って漸次に小さくなっている。特に、円錐台形筒部90の板厚は、小径端から離れるのに伴い一次関数的に縮小しており、縦断面視において円錐台形筒部90の内周面および外周面は両方とも直線的に延在している。また、円錐台形筒部90のスラスト方向の一部分、具体的には、円錐台形筒部90における大径端側の端部には、円錐台形筒部90の内周面が凹んで板厚が薄くなった薄肉領域90aが形成されている。
【0052】
第1突出部91は、円筒形状を呈する突出部であり、円錐台形筒部90と同軸に配置されてスラスト方向に沿って延在している。また、第1突出部91は薄肉領域90aに隣接して配置されており、この第1突出部91と円錐台形筒部90の大径端との間に薄肉領域90aが形成された構成となっている。円筒形状の第1突出部91の先端面は、第1シール材6をスラスト方向に位置決めするように構成された第1位置決め面91aとなっている。具体的に説明すると、第1突出部91の先端面、すなわち第1位置決め面91aは、ラジアル方向に沿って直線的に延在する平面であり、縦断面視において円筒部93の内周面93aに対して垂直に配設されている。また、円筒形状の第1突出部91の内周面91bは、第2シール材7をラジアル方向に位置決めするように構成されている。具体的に説明すると、内周面91bは、縦断面視において、スラスト方向に沿って直線的に延在する平面である。なお、第1突出部91は、周方向の全体にわたって環状に形成されたものに限定されず、例えば、周方向に間欠的に設けられていてもよい。
【0053】
第2突出部92は、周方向の全体にわたって環状に形成された凸条部であり、第1突出部91よりも円錐台形筒部90の小径端側に位置して第1突出部91と隣接している。この第2突出部92は、シール支持リング9の内側に段差を形成するような形状となっている。より具体的に説明すると、第2突出部92は、断面形状が略三角形である山型の凸条部であり、環状に延在する峰部の両側に環状の表面を有している。この第2突出部92の一方の表面は、第2シール材7をスラスト方向に位置決めするように構成された第2位置決め面92aとなっている。具体的に説明すると、第2突出部92の一方の表面、すなわち第2位置決め面92aは、ラジアル方向に沿って直線的に延在する平面であり、縦断面視において第1突出部91の内周面91bに対して垂直に配設されている。なお、第2突出部92は、周方向の全体にわたって環状に形成されたものに限定されず、例えば、周方向に間欠的に設けられていてもよい。
【0054】
円筒部93は、円錐台形筒部90の大径端と略同径であり、円錐台形筒部90の大径端からスラスト方向に沿って延在している。すなわち、円筒部93は、円錐台形筒部90と直結しており、円筒部93の外周面は、円錐台形筒部90の外周面に対して段差などを介さずに稜線で接続されている。なお、円筒部93の外周面が、円錐台形筒部90の外周面になだらかに接続されてもよい。円筒部93の内周面93aは、第1シール材6をラジアル方向に位置決めするように構成されている。具体的に説明すると、内周面93aは、縦断面視において、スラスト方向に沿って直線的に延在する平面である。
【0055】
上記した構成のシール支持リング9によれば、円錐台形筒部90のスラスト方向の一部分に薄肉領域90aが形成されてもよい。
【0056】
この構成によれば、シール支持リング9にスラスト荷重が作用したときに円錐台形筒部90において特に応力が集中しない箇所に薄肉領域90aが形成されているので、シール支持リング9のスラスト荷重に対する強度を確保しつつ、シール支持リング9のさらなる軽量化を図ることができる。
【0057】
また、円筒部93と円錐台形筒部90とが互いに直結されていることで、シール支持リング9は、段差などが無い或いは少ない外面形状になり、その結果、シール支持リング9がスラスト荷重を受けたときに、円錐台形筒部90における大径端側の端部に作用する曲げモーメントは比較的に小さい。それ故、円錐台形筒部90における大径端側の端部に薄肉領域90aがあっても、シール支持リング9のスラスト荷重に対する強度を確保することができる。
【0058】
また、第1シール材6が、円筒部93の内周面93aおよび第1突出部91の第1位置決め面91aによってそれぞれラジアル方向およびスラスト方向に位置決めされるので、シール支持リング9が階段状の形状を有していなくても、第1シール材6をシール支持リング9の内側の所定位置に位置付けることができる。
【0059】
さらに、第2シール材7が、第1突出部91の内周面91bおよび第2突出部92の第2位置決め面92aによってそれぞれラジアル方向およびスラスト方向に位置決めされるのでシール支持リング9が階段状の形状を有していなくても、第2シール材7をシール支持リング9の内側の所定位置に位置付けることができる。
【0060】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
なお、上記した第1の実施の形態では、円錐台形筒部80の板厚が円錐台形筒部80の小径端から大径端の方にいくに従って漸次に大きくなっているが、第1の実施の形態で説明されたシール支持リング8において、円錐台形筒部80の板厚が、その小径端から大径端の方にいくに従って漸次に小さくなる形状に変更することも可能である。また、上記した第2の実施の形態では、円錐台形筒部90の板厚が円錐台形筒部90の小径端から大径端の方にいくに従って漸次に小さくなっているが、第2の実施の形態で説明されたシール支持リング9において、円錐台形筒部90の板厚が、その小径端から大径端の方にいくに従って漸次に大きくなる形状に変更することも可能である。さらには、円錐台形筒部は、その小径端側から大径端側の方に向かって板厚が漸次に大きくなる領域と、小径端側から大径端側の方に向かって板厚が漸次に小さくなる領域とが、スラスト方向に並んで連設された構成であってもよい。
【0061】
また、上記した第1及び第2の実施の形態では、円錐台形筒部80は、その板厚が、小径端から離れるのに伴い一次関数的に増大したり縮小したりする断面形状になっているが、小径端から離れるのに伴い二次関数的に増加したり縮小したりする断面形状であってもよい。また、上記した第1の実施の形態では、円錐台形筒部80の板厚不均一構造が、円錐台形筒部80の小径端から大径端までの間で板厚が漸次に増減した構造であるが、円錐台形筒部の小径端から大径端までの間で板厚が段階的に増減した構造であってもよく、この場合、円錐台形筒部の外周面および内周面のうちの少なくとも一方に段差面が形成され得る。
【0062】
また、上記した第1の実施の形態では、第2円筒部82の外周面が円錐台形筒部80の外周面へとなだらかに接続されており、第2円筒部82の外周面と円錐台形筒部80の外周面との間に凸曲面状のアールが形成されているが、このアールの付いた形状に代えて、例えば角(稜線)を付けたり糸面取りされたりした形状にしてもよい。また、上記した第1の実施の形態では、第1位置決め面83aと第1円筒部81の内周面81aとの間、第2円筒部82の外周面と円錐台形筒部80の外周面との間、及び、第2位置決め面84aと第2円筒部82の内周面82aとの間にはそれぞれ凹曲面が形成されているが、これらの凹曲面を有する形状に代えて、例えば、面同士が直接交わって角張った隅を呈する形状にしてもよい。
【0063】
また、上記した第2の実施の形態では、円錐台形筒部90の大径端側の端部に薄肉領域90aが形成されているが、円錐台形筒部の大径端側の端部以外の部分に薄肉領域が形成されてもよく、例えば、円錐台形筒部の小径端側の端部に薄肉領域が形成されたり円錐台形筒部のスラスト方向の中間部分に薄肉領域が形成されたりしてもよい。また、上記した第2の実施の形態では、薄肉領域90aが、円錐台形筒部90の内周面が凹んで板厚が薄くなった構造となっているが、円錐台形筒部の外周面が凹んで板厚が薄くなった構造であってもよく、或いは、円錐台形筒部の内周面および外周面の両方が凹んで板厚が薄くなった構造であってもよい。
【0064】
ここで、本発明の例示的な変形例について
図4及び
図5を参照して説明する。
図4に示すシール支持リング10は、スラスト方向に沿って漸次に拡径された第1円錐台形筒部101と、第1円錐台形筒部101の大径端からスラスト方向に延在する第1円筒部102と、第1円筒部の端部からスラスト方向に沿って漸次に拡径された第2円錐台形筒部103と、第2円錐台形筒部103の大径端からスラスト方向に延在する第2円筒部104と、第2円錐台形筒部103の大径端の内面に突設された第1突出部105と、第1円錐台形筒部101の大径端の内面に突設された第2突出部106とを備えている。第1円錐台形筒部101及び第2円錐台形筒部103はそれぞれ、板厚が小径端から大径端の方にいくに従って漸次に小さくなっている。第1突出部105のラジアル方向に沿った表面は第1シール材をスラスト方向に位置決めするように構成された第1位置決め面105aとなっており、第2突出部106のラジアル方向に沿った表面は第2シール材をスラスト方向に位置決めするように構成された第2位置決め面106aとなっている。第2円筒部104の内周面104aは、第1シール材をラジアル方向に位置決めするように構成されている。第1円筒部102の内周面102aと第1突出部105のスラスト方向に沿った表面とは互いに面一になっており、第2シール材をラジアル方向に位置決めするように構成されている。
【0065】
図5に示すシール支持リング11は、スラスト方向に沿って漸次に拡径された円錐台形筒部111と、円錐台形筒部111の大径端からスラスト方向に延在する円筒部112と、円筒部112の内周面112aに突設された第1突出部113と、円錐台形筒部111の内周面に突設された第2突出部114とを備えている。円錐台形筒部111は、板厚が小径端から大径端の方にいくに従って漸次に小さくなっている。円筒部112の内周面112aは、第1シール材をラジアル方向に位置決めするように構成されている。第1突出部113は、円筒部112の内周面112aからラジアル方向に沿って突出しており、この第1突出部113の一方の側面は、第1シール材をスラスト方向に位置決めするように構成された位置決め面113aとなっている。第2突出部114のラジアル方向に沿った表面は第2シール材をスラスト方向に位置決めするように構成された第2位置決め面114aとなっている。
【0066】
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態や変形例における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。