特許第6864515号(P6864515)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6864515タッチスイッチパネルおよびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6864515
(24)【登録日】2021年4月6日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】タッチスイッチパネルおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20210419BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
   G06F3/041 400
   G06F3/044 129
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-61739(P2017-61739)
(22)【出願日】2017年3月27日
(65)【公開番号】特開2018-163607(P2018-163607A)
(43)【公開日】2018年10月18日
【審査請求日】2020年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004293
【氏名又は名称】株式会社ノリタケカンパニーリミテド
(73)【特許権者】
【識別番号】000117940
【氏名又は名称】ノリタケ伊勢電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174090
【弁理士】
【氏名又は名称】和気 光
(74)【代理人】
【識別番号】100100251
【弁理士】
【氏名又は名称】和気 操
(72)【発明者】
【氏名】河村 信也
【審査官】 田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−063413(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/137477(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一ガラス基板上に、金属薄膜からなる、X方向パターン電極とY方向パターン電極が平面視交差することにより、X方向およびY方向に広がるタッチ面におけるタッチ位置を検出するタッチスイッチパネルであって、
前記ガラス基板と、
このガラス基板上に連続して形成された、前記XまたはY方向パターン電極のいずれか一方の電極と、
前記平面視交差する部分で、前記一方の電極と同一厚さを有し、かつ前記一方の電極と電気的絶縁を維持できる隙間の最小幅を有して断続して前記ガラス基板上に形成された、他方の電極を配線するための築堤と、
少なくとも前記平面視交差する部分の上面に形成された第1絶縁層と、
この第1絶縁層を介して前記平面視交差する部分および前記築堤上に連続して形成された他方のパターン電極と、
この他方のパターン電極の上面に形成された第2絶縁層とを有し、
前記金属薄膜が、アルミニウム薄膜またはアルミニウム合金薄膜であり、
前記金属薄膜および前記築堤は、スパッタリングまたは蒸着により形成されており、
前記最小幅が10μm以下であることを特徴とするタッチスイッチパネル。
【請求項2】
前記アルミニウム薄膜またはアルミニウム合金薄膜は、クロム、モリブデン、およびタングステンから選ばれる少なくとも1つの金属を含む黒化膜が積層されていることを特徴とする請求項記載のタッチスイッチパネル。
【請求項3】
前記黒化膜の膜厚が5nm〜500nmであり、前記アルミニウムまたはアルミニウム合金薄膜の層厚が500nm〜5000nmであることを特徴とする請求項記載のタッチスイッチパネル。
【請求項4】
前記XまたはY方向パターン電極は、線幅が3μm〜50μm、線ピッチが0.2mm〜1mmであることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項記載のタッチスイッチパネル。
【請求項5】
請求項1記載のタッチスイッチパネルの製造方法であって、
前記ガラス基板上に金属薄膜をスパッタリングまたは蒸着で形成し、フォトリソグラフィでメッシュ状にエッチングし前記平面視交差する部分を有するパターンを形成する工程と、
前記パターン上に前記第1絶縁層を形成する工程と、
この第1絶縁層上であって、前記断続している築堤上に、この築堤と平面視同一形状でパターン電極を形成する工程と、
このパターン電極の上面からスパッタリングまたは蒸着により第2絶縁層を形成する工程とを有することを特徴とするタッチスイッチパネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチ面(XY平面)の任意の位置にユーザーの指などが接近したことを静電容量の変化により検出する投影型タッチスイッチパネルに関し、特にX配線およびY配線を同一のガラス基板に形成する際のXおよびY配線の構造ならびにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家電機器、AV機器、PC/OA機器、産業機械、その他の電子デバイスにおいて、各機器への入力手段の1つとして投影型静電容量方式のタッチスイッチパネルが使用されている。この方式は、X方向とY方向にグリッド状に配列された複数のセンサー電極を有している。タッチスイッチパネルは、一般的には、インジウム錫オキサイド(以下、ITOと記す)で形成されるX方向用およびY方向用の透明センサー電極層、該電極への配線層、透明電極間に設ける絶縁層(誘電体層)、表面保護層などから構成され、外部にコントロール部を有する。パネル表面を指で触れると、各センサー電極と指との間で静電結合が起きて各センサー電極の静電容量が変化する。コントロール部では、各センサー電極における静電容量の変化量を数値化し、その数値が予め決められた閾値をこえるときに指が接触したと判定する。これによりコントロール部では、指がタッチスイッチのどの位置(平面XY座標)に触れたかを検出できる。
【0003】
アルミニウムメッシュ透明導電膜を使用したX−Y2枚の電極を透明絶縁樹脂で貼り合わせるタッチスイッチパネルは既に知られている(特許文献1)。特許文献1に開示されているタッチスイッチパネルを図5に示す。図5(a)は正面図であり、図5(b)はその側面図である。図5(b)に示すように、タッチスイッチパネル11は、X方向検知用のセンサー部13を有する透光性の第1のガラス基板12と、Y方向検知用のセンサー部15を有する透光性の第2のガラス基板14とを備え、ガラス基板12およびガラス基板14とが貼り合わされた積層構造を有する。ガラス基板12の表面がタッチ面12aとなり、このタッチ面12aの反対面12bにセンサー部13が設けられている。また、ガラス基板14の片面にセンサー部15が設けられている。センサー部13およびセンサー部15は、2つのガラス基板間において対向して挟み込まれている。図5(a)に示すように、X方向検知用のセンサー部13とY方向検知用のセンサー部15とは、菱形を縦(Y)横(X)に並べた形状にパターニングされている。2つのセンサー電極間にガラス基板を介在させない構造であるため、介在させる場合と比較してセンサー電極間のギャップが大幅に少なくなる。また、各センサー部のセンサー電極と配線16で接続された外部接続端子17にフレキシブルプリント配線板(FPC)18が接続されている。FPC18を介してタッチ検出を行なうコントロール部(図示省略)が接続される。この投影型静電容量タッチスイッチパネルは、センサー電極と指との間で静電結合が起きて電極の静電容量が変化することを利用するものである。
【0004】
しかし、2枚の電極を貼り合わせる投影型タッチパネルは、貼り合わせ工程が必要であり、工数減が望まれている。また、2枚のガラスを貼り合わせるため、薄型パネルが望まれる状況下でタッチパネルの薄型化に限界がある。このため、シリコン酸化膜で、XおよびY配線の絶縁を行なう1枚基板の静電容量型入力装置が提案されている(特許文献2)。この静電容量型入力装置は、透光性基板の入力領域に、第1の方向に延在する複数の第1の透光性電極パターンと、この第1の方向に交差する第2の方向に延在する複数の第2の透光性電極パターンとが形成され、第1の透光性電極パターンと第2の透光性電極パターンとは透光性基板の同一面上に形成されている。第1の透光性電極パターンと第2の透光性電極パターンとの交差部分では、第1の透光性電極パターンおよび第2の透光性電極パターンのうちの一方の電極パターンが繋がっている一方、他方の電極パターンは途切れており、少なくとも交差部分における一方の電極パターンの上層側に透光性の層間絶縁膜が形成されているとともに、当該層間絶縁膜の上層には、当該交差部分で途切れている他方の電極パターン同士を電気的に接続する透光性の中継電極が形成されていることを特徴としている。
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載の静電容量型入力装置は、交差部分で途切れている他方の電極パターン同士を電気的に接続する透光性の中継電極を新規に作製する必要があり、このブリッジ配線を安定して形成することが困難であるという問題がある。また、透光性電極としてITOを用いた場合、このITOは抵抗値が高いため、タッチ特性が不十分になるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2015/137477
【特許文献2】特開2008−310550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、1枚のガラス基板上に形成されることで、ガラス材料の削減、製品の薄型化・軽量化、製造コストダウンが期待できるタッチスイッチパネルおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のタッチスイッチパネルは、同一ガラス基板上に、金属薄膜からなる、X方向パターン電極とY方向パターン電極が平面視交差することにより、X方向およびY方向に広がるタッチ面におけるタッチ位置を検出するタッチスイッチパネルである。
このタッチスイッチパネルは、上記ガラス基板と、このガラス基板上に連続して形成された、上記XまたはY方向パターン電極のいずれか一方の電極と、
上記平面視交差する部分で、上記一方の電極と同一厚さを有し、かつ上記一方の電極と電気的絶縁を維持できる隙間の最小幅を有して断続して上記ガラス基板上に形成された、他方の電極を配線するための築堤と、
少なくとも上記平面視交差する部分の上面に形成された第1絶縁層と、
この第1絶縁層を介して上記平面視交差する部分および上記築堤上に連続して形成された他方のパターン電極と、
この他方のパターン電極の上面に形成された第2絶縁層とを有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明のタッチスイッチパネルを構成する上記金属薄膜がアルミニウム薄膜またはアルミニウム合金薄膜であることを特徴とする。特に、上記アルミニウム薄膜またはアルミニウム合金薄膜は、クロム、モリブデン、およびタングステンから選ばれる少なくとも1つの金属を含む黒化膜が積層されていることを特徴とする。さらに、この黒化膜の膜厚が5nm〜500nmであり、上記アルミニウムまたはアルミニウム合金薄膜の層厚が500nm〜5000nmであることを特徴とする。また、上記XまたはY方向パターン電極は、線幅が3μm〜50μm、線ピッチが0.2mm〜1mmであることを特徴とする。
【0010】
本発明のタッチスイッチパネルの製造方法は、上記本発明のタッチスイッチパネルの製造方法であって、上記ガラス基板上に金属薄膜をスパッタリングまたは蒸着で形成し、フォトリソグラフィでメッシュ状にエッチングし上記平面視交差する部分を有するパターンを形成する工程と、上記パターン上に上記第1絶縁層を形成する工程と、この第1絶縁層上であって、上記断続している築堤上に、この築堤と平面視同一形状でパターン電極を形成する工程と、このパターン電極の上面からスパッタリングまたは蒸着により第2絶縁層を形成する工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のタッチスイッチパネルは、1枚のガラス基板上に金属薄膜からなるX方向パターン電極とY方向パターン電極とを備えるので、2枚のガラス基板を貼り合わせるタッチスイッチパネルに比較して、薄くすることができる。また、上記断続している築堤およびこの築堤上に第1絶縁層を介してX方向パターン電極またはY方向パターン電極を形成し、その上面に第2絶縁層を有するので、1枚のガラス基板でタッチスイッチパネルを完成させることができる。
【0012】
本発明のタッチスイッチパネルは、1枚のガラス基板上に金属薄膜からなるX方向パターン電極とY方向パターン電極とを形成するので、ガラス材料の削減、製品の薄型化・軽量化、製造コストダウンができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】タッチスイッチパネルの一例を示す図である。
図2】XおよびY方向パターンの交差部分を表す平面図である。
図3図2に示すB−B部拡大断面図である。
図4】製造工程を示す図である。
図5】特許文献1の投影型静電容量タッチスイッチパネルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のタッチスイッチパネルの一例を図1により説明する。図1(a)はタッチスイッチパネルを示す正面図であり、図1(b)はその側面図である。
タッチスイッチパネル1は、ガラス基板2のX方向およびY方向に広がるタッチ面2aにおける任意のタッチ位置を検出できる1枚ガラス基板のタッチスイッチパネルである。ガラス基板2の表面がタッチ面2aとなり、このタッチ面2aの反対面2bに金属薄膜からなるストライプ状のX方向パターン電極3と、このパターン電極3に交差する金属薄膜からなるストライプ状のY方向パターン電極4とが形成されている。タッチスイッチパネル1は、パターン電極3および4と接続された接続端子5を有し、接続端子5にフレキシブルプリント配線板(FPC)6が接続され、FPC6を介して図示を省略したコントロール部が接続される。コントロール部は、PCB上にタッチ検出等を行なうコントロール回路が実装されたものである。なお、コントロール部はガラス基板の2b面に直接実装することができる。
【0015】
パターン電極3およびパターン電極4が交差する部分の形状について図2および図3により説明する。図2はタッチスイッチパネルのストライプ状のX方向およびY方向パターンの一つの交差部分を表す平面図である。図3図2に示すB−B部拡大断面図である。
ガラス基板2上に金属薄膜からなるストライプ状のX方向パターン電極3が形成されている。ガラス基板2は、透光性の絶縁基板であり、ソーダライムガラス、石英ガラス、硼珪酸ガラス、アルカリ成分を含まない無アルカリガラスなどを採用できる。高い透過率を有し、かつ、一般建材の窓ガラスに使用され非常に安価であることから、ソーダライムガラスを用いることが好ましい。 また、ガラス基板2の厚みは、0.5〜5mm程度、好ましくは0.5〜3.0mm程度である。
【0016】
図2および図3に示すように、ストライプ状のX方向およびY方向パターンが交差する部分で、連続しているX方向パターン電極3に接触することなく断続する隙間7を有してガラス基板2上にY方向パターン電極4を配線するための築堤4aが形成されている。この築堤4aは、X方向パターン電極3と同一厚さを有し、好ましくは同一幅を有している。X方向パターン電極3の側面3aから築堤4aの先端部4bとの隙間7の長さt1は、X方向パターン電極3と築堤4aとの電気的絶縁を維持できる最小幅である。ここで電気的絶縁を維持できるとは、この隙間7に第1絶縁層8が満たされた状態でタッチスイッチパネル使用時にパターン電極3とパターン電極4と間に短絡が生じない状態をいう。この隙間7の長さt1は電気的絶縁を維持できる最小幅であり、かつこの最小幅にできる限り近い距離であることが好ましい。長さt1をできる限り狭くすることにより、Y方向パターン電極4の平坦化が図れる。具体的には、長さt1は10μm以下であることが好ましい。
【0017】
X方向パターン電極3、Y方向パターン電極4および築堤4aは、金属薄膜で形成されている。金属薄膜としては、導電性金属薄膜であれば使用することができる。導電性、耐蝕性、陽極酸化特性、および製造コスト等に優れることからアルミニウムまたはアルミニウム合金が好ましい。ストライプ状のX方向およびY方向パターンとすることにより、両者が交差していないパターンの内部は一見して目視で透明に見える透光部となる。
【0018】
金属薄膜を格子状などの所定形状に加工する方法は特に限定されないが、センサー電極に接続される配線や、微細格子部分を精度よく形成可能であることから、公知のフォト解像技術を用いることが好ましい。例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金薄膜をスパッタリングまたは真空蒸着で形成した後、エッチングパターンのマスク層をレジスト材料を用いてスクリーン印刷により形成し、所定のエッチング液を用いて湿式エッチングによりエッチングして微細配線を形成する。なお、アルミニウムまたはアルミニウム合金薄膜の膜厚は、500nm〜5000nmが適当である。
【0019】
上記アルミニウム薄膜またはアルミニウム合金薄膜は、クロム、モリブデン、およびタングステンから選ばれる少なくとも1つの金属を含む黒化膜9が積層されていることが好ましい。黒化膜9が積層して形成されているので、タッチ面からみて黒色に見え、可視光の反射を抑えることができる。黒化膜は、例えば、真空蒸着またはスパッタリングにより形成される。上述のアルミニウムまたはアルミニウム合金薄膜の形成時と同様の理由で、黒化膜についても上記スパッタリングを採用することがより好ましい。また、格子部分の加工の際には、湿式エッチングなどにより行なうが、エッチング液としては黒化膜とアルミニウムまたはアルミニウム合金薄膜の両材料を同時にエッチングできる液(例えば、りん酸系エッチング液)を選択すると製造効率に優れるため好ましい。この場合、各センサー部の交差部分は、各ガラス基板上にアルミニウムまたはアルミニウム合金薄膜と黒化膜を形成した後に、両材料を同時にエッチングすることで形成できる。
【0020】
また、黒化膜9には、アルミニウムの酸化物およびチタンの酸化物から選ばれる少なくとも1つの酸化物を所定量含むことが好ましい。チタンの酸化物としてはTiOが、アルミニウムの酸化物としてはAlが、それぞれ挙げられる。これら酸化物を所定量含むことで反射率の低減が図れる。なお、クロム、モリブデン、およびタングステンから選ばれる少なくとも1つの金属と、アルミニウムの酸化物およびチタンの酸化物から選ばれる少なくとも1つの酸化物との混合物からなる黒化膜を形成する場合、これらの混合物の固体ターゲット(蒸着材)を用いて、真空蒸着またはスパッタリングにより薄膜を形成する。また、アルミニウムの酸化物およびチタンの酸化物から選ばれる少なくとも1つの酸化物との混合物、Alの含有量が2〜16重量%が好ましく、5〜15重量%がより好ましく、8〜12重量%が特に好ましい。
【0021】
黒化膜9の膜厚は、5nm〜500nmが適当である。5nm未満であると、十分な黒色化が図れず、反射率の低減を図れない場合がある。一方、500nmをこえると、可視光の干渉効果による反射光低減効果が得られないおそれがある。より好ましくは50nm〜200nmである。なお、膜厚は、黒化膜材料の屈折率に応じて材料毎に決められる。
【0022】
X方向パターン電極3、Y方向パターン電極4および築堤4aは、線幅が3μm〜50μm、好ましくは3〜10μmであり、線ピッチが0.2mm〜1mmであり、好ましくは0.3mm〜0.7mmである。
【0023】
築堤4aおよびX方向パターン電極3と、Y方向パターン電極4との間に第1絶縁層8が形成され、さらにY方向パターン電極4の表面に第2絶縁層10が形成されている。第1絶縁層8としては、例えば、SiO2のスパッタリングによる絶縁層の形成、有機樹脂のペーストをディスペンサーで塗布して形成する被膜等が挙げられる。絶縁層の厚みは、0.05μm〜500μmが適当である。絶縁層の厚みが500μmをこえると、X方向パターン電極3とY方向パターン電極4とのギャップが大きくなり、タッチスイッチの感度が低下する。また、第2絶縁層10は第1絶縁層8と同様に形成できる。
【0024】
本発明のタッチスイッチパネルの製造方法を図4により説明する。図4は製造工程を示す図であり、図4(a)〜図4(f)および図4(h)は図2に示すB−B方向断面を表し、図4(g)はC−C方向断面を表す。
(1)ガラス基板上に金属薄膜をスパッタリングまたは蒸着で形成し、フォトリソグラフィでメッシュ状にエッチングし平面視交差する部分を有するパターンを形成する工程:
ガラス基板2のタッチ面2aの反対面2b全面に黒化膜9および金属薄膜4aをスパッタリングまたは蒸着で形成する(図4(a)〜図4(c))。均一な膜の形成が可能であることからスパッタリングを採用することが好ましい。スパッタリングは、固体ターゲットに加速したアルゴンイオンを衝突させて、ターゲット表面から飛び出した原子または分子をガラス基板上に付着させて形成する方法である。
【0025】
その後、フォトリソグラフィでメッシュ状にエッチングしX方向パターン電極3および築堤4aを形成する(図4(d))。X方向パターン電極3と築堤4aとは電気的に絶縁された隙間7を有し、この隙間は絶縁性を維持できる隙間である。この隙間7および微細格子部分を精度よく形成可能であることから、例えば、エッチングパターンのマスク層をレジスト材料を用いてスクリーン印刷により形成し、所定のエッチング液を用いて湿式エッチングにより微細配線パターンを形成することが好ましい。
【0026】
(2)上記パターン上に第1絶縁層を形成する工程:
X方向パターン電極3および築堤4aが形成されたパターン上に第1絶縁層8を形成する(図4(e))。第1絶縁層8は、スパッタリング法など公知の薄膜形成方法で形成できる。また、X方向パターン電極3と築堤4aとの隙間7は絶縁性を維持できる最小幅に設定されているので、第1絶縁層8を積層する時に形成される窪み8aを低くできる。
【0027】
(3)第1絶縁層8上であって、築堤4a上に、この築堤4aと平面視同一形状でY方向パターン電極4を形成する工程:
Y方向パターン電極4は、平面視交差する部分および築堤4a上に連続して形成される。形成方法は、第1絶縁層8全面に黒化膜9および金属薄膜4をスパッタリングまたは蒸着で形成する。その後、フォトリソグラフィでエッチングしY方向パターン電極4を形成する(図4(f)および図4(g))。
【0028】
(4)パターン電極の上面からスパッタリングまたは蒸着により第2絶縁層を形成する工程:
Y方向パターン電極4を形成後、Y方向パターン電極4の上から全面に第2絶縁層10を形成することが好ましい(図4(h))。第2絶縁層10を形成することにより、XおよびY方向パターン電極が保護される。第2絶縁層10としては、SiO2のスパッタ層が挙げられる。
【0029】
本発明のタッチスイッチパネルは、1枚ガラス基板で薄型であるので、家電機器、AV機器、PC/OA機器、産業機械、その他の電子デバイス等における各機器への入力手段として好適に利用できる。また、タッチスイッチパネルとしては、投影型タッチスイッチパネルに限らず、デザイン型タッチスイッチパネル、蛍光表示管の配線層に利用できる。さらに、薄型になるので、小型軽量化が要求される機器への入力手段としても好適に利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明のタッチスイッチパネルは、1枚ガラス基板で薄型であるので、小型軽量化が要求される各電子機器への入力手段としても好適に利用できる。
【符号の説明】
【0031】
1 タッチスイッチパネル
2 ガラス基板
3 X方向パターン電極
4 Y方向パターン電極
4a 築堤
5 接続端子
6 フレキシブルプリント配線板
7 隙間
8 第1絶縁層
9 黒化膜
10 第2絶縁層
11 従来例の投影型静電容量タッチスイッチパネル
12 従来例の第1のガラス基板
13 従来例のX方向検知用のセンサー部
14 従来例の第2のガラス基板
15 従来例のY方向検知用のセンサー部
16 従来例の配線
17 従来例の外部接続端子
18 従来例のフレキシブルプリント配線板
図1
図2
図3
図4
図5