(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について詳述する。本実施形態の粉体供給用部材は、粉体と接触する凹凸面を有する。凹凸面の算術平均粗さRaは、0.2μm以上、1.8μm以下である。また、凹凸面の表面自由エネルギーγsは、35mJ/m
2以下である。また、凹凸面のビッカース硬度は、400以上である。このような構成を備える粉体供給用部材は、粉体の供給速度の変化を抑制できるとともに、粉体の供給速度の変化を持続して抑制することができる。
【0014】
本実施形態の粉体供給用部材は、粉体と接触する凹凸面を有する。凹凸面の算術平均粗さRaは、0.2μm以上、1.8μm以下である。算術平均粗さRaは、JIS B 0601で定義されている。算術平均粗さRaが0.2μm未満であったり、算術平均粗さRaが1.8μmよりも大きかったりすると、粉体と粉体供給用部材表面(凹凸面)との吸着エネルギーが高くなり、供給する粉体の流動性を低下させてしまい、好ましくない。凹凸面の算術平均粗さRaを0.2μm以上、1.8μm以下とすることにより、供給する粉体の流動性が低下することを抑制でき、粉体の供給速度が変化することを抑制できる。
【0015】
凹凸面は、粗さ曲線パラメータ(R)に限らず、断面曲線パラメータ(P)、うねり曲線パラメータ(W)を用いても表すことができる。各パラメータは、JIS B 0601で定義されている。
【0016】
凹凸面の表面自由エネルギーγsは、35.0mJ/m
2以下である。凹凸面の表面自由エネルギーγsを35.0mJ/m
2以下とすることで、表面自由エネルギーγsが35.0mJ/m
2を超える場合よりも粉体の流動性を高めることができる。この理由は現在のところ必ずしも明確ではないが、凹凸面の表面自由エネルギーγsが35.0mJ/m
2以下となることで、粉体と粉体供給用部材表面(凹凸面)との間に働く液架橋力や分子間力が低下することが原因の一つとして考えられる。
【0017】
ここで、凹凸面の表面自由エネルギーγsは、下記(1)式で定義することができる。
γs =γs
d +γs ---------------- (1)
γs:凹凸面の表面自由エネルギー
γs
d:凹凸面の非極性成分に由来する表面自由エネルギー
γs
p:凹凸面の極性成分に由来する表面自由エネルギー
【0018】
凹凸面の非極性成分に由来する表面自由エネルギーγs
d及び凹凸面の極性成分に由来する表面自由エネルギーγs
pは、測定対象である凹凸面上の2種類の測定用液体の接触角(θ)をそれぞれ接触角計で測定し、測定された接触角(θ)を下記(2)式にそれぞれ当てはめ、接触角(θ)を当てはめた2つの下記(2)式を連立方程式として解くことにより算出することができる。なお、測定用液体は、下記(2)式中のγL(表面張力)、γL
d(非極性成分に由来する表面自由エネルギー)及びγL
p(極性成分に由来する表面自由エネルギー)が既知である液体を用いることができ、例えば、水やジヨードメタンを用いることができる。
【0019】
(1+cosθ)×γL/4=(γs
d×γL
d)/(γs
d+γL
d)+(γs
p×γL
p)/(γs
p +γL
p) ---------------- (2)
θ :凹凸面上の測定用液体の接触角
γL:測定用液体の表面張力
γL
d:測定用液体の非極性成分に由来する表面自由エネルギー
γL
p:測定用液体の極性成分に由来する表面自由エネルギー
γs
d:凹凸面の非極性成分に由来する表面自由エネルギー
γs
p:凹凸面の極性成分に由来する表面自由エネルギー
【0020】
また、凹凸面の表面自由エネルギーγsは、上記(2)式により算出された凹凸面の非極性成分に由来する表面自由エネルギーγs
dおよび凹凸面の極性成分に由来する表面自由エネルギーγs
pを上記(1)式に当てはめることで算出することができる。
【0021】
本実施形態の粉体供給用部材において、凹凸面のビッカース硬度は、400以上である。凹凸面のビッカース硬度を400以上とすることにより、粉体と接触する面の機械的強度を確保することができ、粉体による凹凸面の摩耗や欠けなどを抑制することができる。このため、凹凸面の形状を維持し続けることができ、粉体の供給速度の変化を持続して抑制することができる。
【0022】
凹凸面のビッカース硬度は、JIS Z 2244に準拠し、25gの荷重でビッカース硬さ試験を行なうことにより測定できる。ここで、粉体供給用部材の表面に凹凸面が形成されたままでは、凹凸面のビッカース硬度を測定できない。そこで、粉体供給用部材の表面(凹凸面)から内部に向かって粉体供給用部材を切断したときの切断面を研磨し、この切断面を用いて凹凸面のビッカース硬度を測定することができる。
【0023】
本実施形態の粉体供給用部材は、粉体と接触しながら粉体を移動させ、粉体を所定の位置に供給するための部材である。粉体供給用部材は、例えば、後述する粉体供給装置の部材として用いることができる。
【0024】
本実施形態の粉体供給用部材は、基材に対して所定の処理を行うことで製造することができる。基材の材料としては、様々な材料を用いることができ、例えば、金属、金属合金、樹脂、セラミックスを用いることができる。
【0025】
上述した金属としては、例えば、鉄、アルミニウム、銅、亜鉛、チタン、マグネシウムを用いることができる。上述した金属合金としては、例えば、鉄合金(ステンレス鋼など)、アルミニウム合金、銅合金(真鍮(黄銅など))、亜鉛合金、チタン合金、マグネシウム合金を挙げることができる。
【0026】
樹脂としては、例えば、ABS、ポリプロピレン(PP)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネイド(PC)、PC+ABS、ポリアミド(PA)6ナイロン、ポリエステル、ポリエステルテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、変性ポリフェニレンエーテル(MPPE)、変性ポリフェニレンオキサイド(PPO)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリレート(液晶ポリマー)、ポリイミド(PI)、ノリル樹脂(SABIC社 登録商標)を挙げることができる。
【0027】
セラミックスとしては、例えば、アルミナ、シリカ、ステアタイト、ジルコニア、ジルコン、マグネシア、ハイドロキシアパタイト、窒化チタン、炭化チタン、炭窒化チタン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、タングステンカーバイド、ガラス、セメント、コンクリート、ファインセラミックス、フェライト、コーディライト、フォルステライト、ムライト、高温超伝導セラミックスを挙げることができる。
【0028】
ここで、凹凸面の表面自由エネルギーγsを35.0mJ/m
2以下とするだけ、もしくは凹凸面の算術平均粗さRaを0.2μm以上、1.8μm以下とするだけでは、粉体の供給速度が変化しやすくなる。また、凹凸面の表面自由エネルギーγsを35.0mJ/m
2以下とし、凹凸面の算術平均粗さRaを0.2μm以上、1.8μm以下とすることに加えて、凹凸面のビッカース硬度を400以上としなければ、粉体の摩擦などにより凹凸面の形状が維持されにくくなり、粉体の供給速度が継時的に変化しやすくなる。つまり、粉体の供給速度の変化を抑制するとともに、粉体の供給速度の変化を持続して抑制するためには、凹凸面の表面自由エネルギーγs、凹凸面の算術平均粗さRa、及び凹凸面のビッカース硬度を上記所定の範囲内にすることが必要である。
【0029】
上述したように、従来の粉体供給装置では、ポリテトラフオロエチレンやナイロンからなる皮膜を形成することにより、粉体の流動性を向上させている。しかしながら、ポリテトラフオロエチレンやナイロンからなる皮膜は、粉体の衝突による皮膜の摩耗や欠損を抑制するのに十分な硬度としにくい。このため、従来の粉体供給装置では、皮膜の摩耗や欠損により粉体の流動性が低下しやすくなり、粉体の供給速度が継時的に変化しやすくなる。一方、本実施形態の粉体供給用部材は、凹凸面の表面自由エネルギーγsを35.0mJ/m
2以下とするとともに、凹凸面の算術平均粗さRaを0.2μm以上、1.8μm以下とすることにより、粉体の供給速度が変化することを抑制している。このため、粉体と接触する面に、ポリテトラフオロエチレンやナイロンからなる皮膜を形成する必要がない。従って、凹凸面のビッカース硬度を400以上とすることができ、粉体の供給速度の変化を持続して抑制することができる。
【0030】
(第一実施形態)
次に、粉体供給用部材の第一実施形態について説明する。
【0031】
本実施形態の粉体供給用部材では、所定の処理がされた基材の表面に凹凸面が形成される。基材の表面に形成される凹凸面は、上述したように、算術平均粗さRaが0.2μm以上、1.8μm以下であり、表面自由エネルギーγsが35.0mJ/m
2以下であり、ビッカース硬度が400以上である。
【0032】
次に、本実施形態の粉体供給用部材を製造する方法について説明する。
【0033】
粉体供給用部材は、基材に対して、少なくとも表面硬化処理を行うことにより製造することができる。
【0034】
まず、本実施形態の粉体供給用部材に用いられる基材の材料について説明する。本実施形態の粉体供給用部材において、基材の材料は、チタンが用いられる。チタンあるいはチタン合金は人体に対する安全性の高い金属として知られ、インプラント治療にも用いられている。
【0035】
次に、表面硬化処理について説明する。表面硬化処理とは、基材の表面を硬化させる処理である。表面硬化処理によって、基材の表面に凹凸面を形成することができるとともに、基材表面の表面自由エネルギーγsを調整することもできる。
【0036】
表面硬化処理としては、例えば、表面焼入れ法、拡散浸透法を用いることができる。表面焼入れ法としては、具体的に、高周波焼入、レーザ焼入、電子ビーム焼入等を用いることができる。また、拡散浸透法としては、具体的に、固体浸炭、液体浸炭、ガス浸炭、真空浸炭、プラズマ浸炭、高周波焼入浸炭、塩浴窒化、ガス窒化、プラズマ窒化、塩浴軟窒化、浸硫窒化、ガス軟窒化、高周波焼入窒化、ガス浸炭窒化、液体浸炭窒化、TDプロセス、固体ほう化、液体ほう化、気体ほう化等を用いることができる。
【0037】
表面硬化処理の具体的な内容に基づいて、凹凸面の算術平均粗さRaが0.2μm以上、1.8μm以下となり、凹凸面の表面自由エネルギーγsが35.0mJ/m
2以下となり、凹凸面のビッカース硬度が400以上となるような処理条件を予め決めておくことができる。これにより、予め決められた処理条件において、表面硬化処理を行うことにより、凹凸面の算術平均粗さRaを0.2μm以上、1.8μm以下とすることができ、凹凸面の表面自由エネルギーγsを35.0mJ/m
2以下とすることができ、凹凸面のビッカース硬度を400以上とすることができる。
【0038】
本実施形態の粉体供給用部材に用いられる基材の材料はチタン(Ti)であるため、基材に対して、塩浴窒化、ガス窒化、プラズマ窒化、塩浴軟窒化、浸硫窒化、ガス軟窒化、高周波焼入窒化といった窒化処理で表面硬化処理を行うことにより、基材の表層部を窒化物(例えば、TiN)で形成することができる。また、Tiで形成された基材に対して、固体浸炭、液体浸炭、ガス浸炭、真空浸炭、プラズマ浸炭、高周波焼入浸炭といった炭化処理で表面硬化処理を行うことにより、基材の表層部を炭化物(例えば、TiC)で形成することができる。さらに、Tiで形成された基材に対して、ガス浸炭窒化、液体浸炭窒化、高周波焼入浸炭窒化といった炭窒化処理で表面硬化処理を行うことにより、基材の表層部を炭窒化物(例えば、TiCN)で形成することができる。ここで、粉体供給用部材の内部では、表面硬化処理による硬化が行われにくいため、粉体供給用部材の内部は、Tiのままとなる。
【0039】
なお、上述した窒化処理については、処理温度を550〜1000℃、処理時間を1〜20時間と適宜選択することができ、処理温度を800〜900℃とすることが好ましく、処理時間を6〜8時間とすることが好ましい。また、上述した炭化処理については、処理温度を800〜1400℃、処理時間を1分〜60時間、焼入れ温度を850℃、焼入れ時間を15分〜100分と適宜選択することができ、処理温度を930〜1050℃、処理時間を30分以上とすることが好ましい。さらに、上述した炭窒化処理については、処理温度を550〜900℃、処理時間を15分〜4時間と適宜選択することができ、処理温度を750〜850℃とすることが好ましい。
【0040】
粉体供給用部材を製造するとき、基材に対して、表面硬化処理だけでなく、加工処理を行うこともできる。加工処理とは、基材の表面に凹凸を形成する処理である。加工処理によって、基材表面を硬化させることができるとともに、基材表面の表面自由エネルギーγsを調整することもできる。加工処理としては、例えば、ブラスト、ピーニング、バフ研磨、ラッピング、ブラッシング、ヘアライン、エッチング等を用いることができる。
【0041】
ブラスト処理に用いられる研磨剤としては、例えば、JIS R 6001に規定される研磨剤を用いることができる。また、研磨剤の粒度は、例えば、JIS R 6001に規定される♯400〜♯3000とすることができる。研磨剤の粒度が♯400未満の場合、凹凸面の算術平均粗さRaや凹凸面の表面自由エネルギーγsを上記所定の範囲内にしにくくなり、粉体の供給速度が変化しやすくなるため、好ましくない。研磨剤の粒度が♯3000を超える場合、算術平均粗さRaのバラつきが大きくなり凹凸面の形状の制御が困難となることがある。また、研磨剤を基材に衝突させる方法としては、例えば、研磨剤を所定の圧力で噴出して基材に衝突させる方法がある。研磨剤を噴出する所定の圧力は、例えば、0.3MPa〜1.0MPaとすることができる。研磨剤を噴出する圧力が0.3MPa未満の場合、凹凸面の算術平均粗さRaや凹凸面の表面自由エネルギーγsを上記所定の範囲内にしにくくなる。研磨剤を噴出する圧力が1.0MPaを超える場合、基材への負荷が大きくなるために変形、劣化等の問題を生じやすくなる。また、算術平均粗さRaのバラつきが大きくなり凹凸面の形状の制御が困難となることがある。
【0042】
上述した加工処理が、研磨剤を基材に衝突させるなどの物理的な衝撃を加える処理である場合、この物理的な衝撃により、基材に加工硬化を発生させることもでき、基材の硬度を向上させることができる。また、加工硬化を発生させると、基材の表面(凹凸面)から内部に向かって硬度が緩やかに減少する、硬度勾配を発生させることができる。ここで、基材の内部において、硬度が極端に異なる部分があると、この部分が破断の起点になりやすい。上述したように硬度勾配を発生させれば、硬度が極端に異なる部分が発生しにくくなり、破断の発生を防止することができる。
【0043】
表面硬化処理および加工処理を行うとき、表面硬化処理および加工処理を行う順序は適宜決めることができる。すなわち、加工処理を行った後に、表面硬化処理を行ったり、表面硬化処理を行った後に、加工処理を行ったりすることができる。
【0044】
上述したように、表面硬化処理を行うだけでも、凹凸面の算術平均粗さRaを0.2μm以上、1.8μm以下とし、凹凸面の表面自由エネルギーγsを35.0mJ/m
2以下とし、凹凸面のビッカース硬度を400以上とすることができるが、加工処理を行うことにより、凹凸面の算術平均粗さRaや凹凸面の表面自由エネルギーγsや凹凸面のビッカース硬度を所望の値に設定しやすくなる。
【0045】
ここで、表面硬化処理と加工処理の具体的な内容に基づいて、凹凸面の算術平均粗さRaが0.2μm以上、1.8μm以下となり、凹凸面の表面自由エネルギーγsが35.0mJ/m
2以下となり、凹凸面のビッカース硬度が400以上となるような処理条件を予め決めておくことができる。これにより、予め決められた処理条件において、加工処理を行うことにより、凹凸面の算術平均粗さRaを0.2μm以上、1.8μm以下とすることができ、凹凸面の表面自由エネルギーγsを35.0mJ/m
2以下とすることができ、凹凸面のビッカース硬度を400以上とすることができる。
【0046】
なお、上述した表面硬化処理を行うことで粉体供給用部材の表層部に形成されるチタン化合物や,表面硬化処理および加工処理を行うことで粉体供給用部材の表層部に形成されるチタン化合物は、表面硬化処理や加工処理の具体的な処理条件に基づき、チタン原子と表面硬化原子が所定の比率を示す化合物とすることができる。粉体供給用部材の表層部に形成されるチタン化合物を、チタン原子と表面硬化原子が所定の比率を示す化合物とすることで、粉体供給用部材の表面(凹凸面)の硬度を向上させることができるとともに、凹凸面の表面自由エネルギーγsを調整することもできる。例えば、表面硬化処理として窒化処理を行う場合、粉体供給用部材の表層部に形成されるチタン化合物のチタン原子と窒素原子の組成比率が、TixNy(0.76≦x≦4、0.17≦y≦3)となるように処理を行うことが好ましい。
【0047】
また、上述した表面硬化処理が行なわれた粉体供給用部材の内部構造(組成)や、表面硬化処理および加工処理が行なわれた粉体供給用部材の内部構造(組成)は、表面硬化処理や加工処理の具体的な処理条件に基づき、チタン原子と表面硬化原子が粉体供給用部材の表面から内部に向かって所定の比率を維持するような構造(組成)とすることができる。粉体供給用部材の内部構造(組成)を、チタン原子と表面硬化原子が内部に向かって所定の比率を維持するような構造(組成)とすることで、粉体供給用部材の表面(凹凸面)から内部に向かって硬度勾配が緩やかとなり、硬度が極端に異なる部分が発生しにくくなり、粉体供給用部材の破断の発生を防止することができる。例えば、表面硬化処理として窒化処理を行う場合、チタン原子と窒素原子の組成比率がTixNy(0.76≦x≦4、0.17≦y≦3)を維持するような構造(組成)とすることが好ましい。
【0048】
(第二実施形態)
次に、粉体供給用部材の第二実施形態について説明する。
【0049】
本実施形態の粉体供給用部材は、基材と、基材の表面(平坦面)に形成された皮膜とを有する。そして、皮膜の外面には、凹凸面が形成されており、皮膜の厚さは、凹凸面の形状に応じて異なっている。
【0050】
皮膜の外面に形成される凹凸面は、上述したように、算術平均粗さRaが0.2μm以上、1.8μm以下であり、表面自由エネルギーγsが35.0mJ/m
2以下である。
また、凹凸面が形成される皮膜のビッカース硬度は、400以上である。
【0051】
皮膜の主成分は、ニッケルである。所定の厚さを有する皮膜を形成したり、皮膜を加工しやすくしたりする上では、皮膜の主成分をニッケルとすることが好ましい。また、皮膜は、ニッケルの他に、リン、ホウ素、タングステン、モリブテン及びコバルトのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。そして、皮膜は、リン、ホウ素、タングステン、モリブテン及びコバルトのうちの少なくとも1つに加えて、耐摩耗性を示す無機微粒子、潤滑性を示す微粒子および非粘着性を示す微粒子の少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0052】
基材の材料としては、様々な材料を用いることができ、例えば、上述した金属、金属合金、樹脂、セラミックスを用いることができる。
【0053】
なお、本実施形態の粉体供給用部材において、基材に対する皮膜の密着性を向上させるために、皮膜と基材との間に下地層を形成することもできる。また、下地層は、皮膜と基材との間に、二層以上形成されてもよい。
【0054】
次に、本実施形態の粉体供給用部材の製造方法について説明する。
【0055】
基材に対して皮膜処理を行うことにより、基材の表面に、所定の厚さを有する皮膜を形成することができる。皮膜の厚さとしては、例えば、5μm以上有することが好ましく、10μm以上有することがより好ましい。次に、皮膜表面に対して加工処理を行うことにより、凹凸面を有する粉体供給用部材を製造することができる。皮膜の厚さを5μm以上とすることで、皮膜の表面に対して加工処理を行った際に、基材が皮膜の表面から露出しにくくなる。
【0056】
皮膜処理としては、湿式めっきによる皮膜処理法を用いることができる。具体的な皮膜処理は、基材の材料等を考慮して決めればよい。
【0057】
湿式めっきとしては、例えば、電解めっき、無電解めっきを挙げることができる。電解めっき及び無電解めっきとしては、例えば、合金めっき、複合めっきを挙げることができる。
【0058】
合金めっきとしては、例えば、Zr−Ni合金めっき、Ni−P合金めっき、Ni−B合金めっき、Ni−B−P合金めっき、Ni−W合金めっき、Ni−P−W合金めっき、Ni−B−W合金めっき、Ni−Fe合金めっき、Ni−Mo合金めっき、Ni−Co合金めっき、Ni−N合金めっきを用いることができる。熱膨張率が低く、耐摩耗性の高いニッケル合金めっきを形成するためには、リン、ホウ素、タングステン、モリブテン及びコバルトのうちの少なくとも1つを含むニッケル合金めっきを用いることが好ましい。ここで、ニッケルのみを用いたニッケルめっきにより皮膜を形成した場合、凹凸面の形状を維持するのに十分な硬度が得られないことがある。このため、ニッケル合金めっきを用いることが好ましい。
【0059】
複合めっきで用いられる分散粒子の材料としては、例えば、炭化ケイ素、炭化クロム、炭化タングステン、炭化ホウ素、二酸化ケイ素、アルミナ、ジルコニア、酸化タングステン、二酸化チタン、二酸化モリブテン、黒鉛、窒化ホウ素、フッ化亜鉛、高分子フッ素化合物、フッ素樹脂を挙げることができる。これらの成分からなる分散粒子は、2種以上組合せて用いられてもよい。分散粒子として、例えば、炭化ケイ素、炭化クロム、炭化タングステン、炭化ホウ素、二酸化ケイ素、アルミナ、ジルコニア、酸化タングステン、二酸化チタンで形成された無機微粒子を用いた場合、粉体供給用部材の耐摩耗性を向上させることができる。また、分散粒子として、例えば、二酸化モリブテン、黒鉛、窒化ホウ素、フッ化亜鉛、高分子フッ素化合物で形成された微粒子を用いた場合、粉体供給用部材の自己潤滑性を向上させることができる。また、分散粒子として、例えば、フッ化亜鉛、フッ素樹脂で形成された微粒子を用いた場合、粉体供給用部材の非粘着性を向上させることができる。なお、上述した高分子フッ素化合物としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレンを用いることができる。
【0060】
皮膜の主成分をニッケルとすることにより、ビッカース硬度が400以上であり、所定の厚みを有する皮膜を形成しやすくなる。一方、皮膜の主成分をニッケルとするだけでは、皮膜のビッカース硬度を400以上にしにくいときには、皮膜に対して熱処理を行うことができる。これにより、皮膜のビッカース硬度を400以上とすることができる。
【0061】
加工処理は、皮膜の外面に凹凸を形成する処理である。加工処理によって、皮膜表面の表面自由エネルギーγsを調整することもできる。加工処理としては、上述した加工処理を用いることができる。また、ブラスト処理に用いられる研磨剤や研磨剤を衝突させる条件についても、上述した条件とすることができる。
【0062】
皮膜に対して熱処理および加工処理を行うとき、熱処理および加工処理を行う順序は適宜決めることができる。
【0063】
基材に対して、皮膜の密着性を向上させるために、皮膜を形成する前に、基材の表面に前処理を行うことができる。この前処理には、基材の表面に下地層を形成する処理を組み合わせることができる。
【0064】
基材の材料が金属である場合の前処理方法としては、例えば、脱脂、酸処理、エッチング処理、酸活性、触媒活性処理を用いることができる。基材に対して前処理を行うとき、基材の材料等を考慮して、適宜前処理を選択することができる。また、基材の材料等を考慮して、場合によっては皮膜を形成する前にストライクめっきを用い、下地層を形成することもできる。
【0065】
基材の材料がアルミニウム合金である場合の前処理方法としては、例えば、研磨、脱脂、エッチング処理、酸処理、置換処理(ジンケート処理)を用いることができる。基材に対して前処理を行うとき、基材の材料等を考慮して、適宜前処理を選択することができる。また、基材の材料等を考慮して、場合によっては皮膜を形成する前にストライクめっきを用い、下地層を形成することもできる。
【0066】
基材の材料がセラミックスである場合の前処理方法としては、例えば、アルカリ脱脂、エッチング処理、中和、超音波洗浄、触媒活性処理を用いることができる。基材に対して前処理を行うとき、基材の材料等を考慮して、適宜前処理を選択することができる。
【0067】
基材の材料が樹脂である場合の前処理方法としては、例えば、エッチング処理、触媒活性処理、アクセレーター処理を用いることができる。基材に対して前処理を行うとき、基材の材料等を考慮して、適宜前処理を選択することができる。
【0068】
ここで、皮膜と加工処理の具体的な内容に基づいて、凹凸面の算術平均粗さRaが0.2μm以上、1.8μm以下となり、凹凸面の表面自由エネルギーγsが35.0mJ/m
2以下となるような処理条件を予め決めておくことができる。これにより、予め決められた処理条件において、加工処理を行うことにより、凹凸面の算術平均粗さRaを0.2μm以上、1.8μm以下とし、凹凸面の表面自由エネルギーγsを35.0mJ/m
2以下とすることができる。
【0069】
また、上述したように、皮膜に対して熱処理を行うときには、皮膜の表面に加工処理を行った後に、熱処理を行うことが好ましい。
【0070】
本実施形態の粉体供給用部材の製造方法では、上述したように、基材の表面に所定の厚さを有する皮膜を形成する皮膜処理の後に、皮膜の表面に凹凸面を形成する加工処理を行っている。このような製造方法により本実施形態の粉体供給用部材を製造することで、凹凸面の算術平均粗さRaや凹凸面の表面自由エネルギーγsや皮膜のビッカース硬度を上記所定の範囲内に調整しやすくなるとともに、皮膜を所望の厚さに調整しやすくなる。
【0071】
凹凸面を形成する方法として、基材の表面に凹凸面を形成した後、基材の凹凸面に沿って均一の厚さを有する皮膜を形成する方法が考えられる。しかしながら、この方法では、均一な厚さを有する皮膜を基材の凹凸面に沿って形成させるためには、皮膜を薄膜とすることが必要である。このため、皮膜の剥離が生じやすく耐久性に乏しい皮膜になる傾向がある。また、基材の凹凸面上に、皮膜の剥離が生じにくい十分な耐久性を発揮する厚さの皮膜を形成した場合には、皮膜が基材の凹凸面に沿って形成されにくくなり、凹凸面の算術平均粗さRaを上記所定の範囲内に調整しにくくなる。さらに、基材の表面に凹凸面を形成する加工処理の際に、磨耗により基材の表面に熱が発生することがある。このため、基材として熱可塑性を有する材料を使用した場合には、基材の表面に微細な凹凸を形成しにくくなり、凹凸面の算術平均粗さRaを上記所定の範囲内に調整しにくくなる。つまり、上述した製造方法で本実施形態の粉体供給用部材を製造することにより、基材の材料に限定されることなく、樹脂やセラミックスなどの様々な材料を基材として用いることができる。
【0072】
次に、本実施形態の粉体供給用部材が用いられる粉体供給装置について説明する。
【0073】
粉体供給装置は、粉体を所定の位置に供給する装置であり、粉体が自重により所定の位置に供給される装置を含む。粉体供給装置としては、例えば、振動フィーダ、スクリューフィーダ、テーブルフィーダ、電磁フィーダ、ベルトフィーダ、ロータリーフィーダ、ホッパー、シュート、配管などを挙げることができる。この粉体供給装置には、粉体と接触する部材が含まれる。そこで、粉体と接触する部材として、本実施形態の粉体供給用部材が用いられる。
【0074】
なお、粉体供給装置は、粉体に対して所定の処理を行う粉体処理装置に組み込まれて用いられてもよい。粉体処理装置が行う所定の処理としては、例えば、粉砕、造粒、搬送(移送)、分級、選別、混合、攪拌、混練、捏和(ねっか)、乾燥、集塵、貯蔵、整粒といった処理を挙げることができる。
【0075】
粉体供給装置では、粉体の移動が一時的に滞って粉体が堆積し、その後、堆積した粉体がまとまって移動する現象(脈動という)が発生することがある。本実施形態の粉体供給用部材を用いれば、粉体を安定して供給できるため、脈動の発生を防止することができる。
【0076】
また、振動フィーダでは、流動性に優れた粉体が使用され、振動フィーダに適用できる粉体が限られていると言われていた。本実施形態の粉体供給用部材では、粉体の種類にかかわらず、粉体を安定供給することができるため、振動フィーダにおいて、本実施形態の粉体供給用部材を用いることで、振動フィーダでも安定供給が可能な粉体の種類を増やすことができる。また、振動フィーダに適用できる粉体の種類が増加することにより、従来の振動フィーダに適用できない粉体について、粉体の供給工程等を簡素化することができる。
【0077】
また、粉体をスムーズに移動させるために、ガスの圧力を用いて粉体を移動させることがあるが、本実施形態の粉体供給用部材を用いることにより、過剰なガスを供給しなくても、粉体をスムーズに移動させることができる。また、振動によって粉体を供給する場合にも、振動時に過剰な力を発生させなくても、粉体をスムーズに移動させることができる。このように、本実施形態の粉体供給用部材によれば、過剰なガスや過剰な振動力を粉体に与えなくても、粉体をスムーズに移動させることができ、粉体を供給するために消費される電力を低減(省エネルギー化)することができる。
【0078】
また、フィーダをホッパーの下部に設けた従来の粉体供給装置では、ホッパー内において、粉体が固まってしまったり、ブリッジングを引き起こしたりしてしまい、粉体のスムーズな供給が出来ない場合が多い。この問題を解決するために、従来では、一般的に複雑な装置設計がなされている。本実施形態の粉体供給用部材を用いたホッパーでは、複雑な装置設計を行わなくても、粉体を安定して供給でき、粉体が固まったり、ブリッジングを引き起こしたりすることを防止できる。また、ホッパー内のブリッジングを防ぐことにより、ブリッジング状態の粉体が瞬間的に落下することを防ぐこともでき、粉体の供給量のバラツキが増加したり、フラッシングが発生したりすることを防ぐことができる。
【0079】
粉体の供給のために、粉体供給装置の一部(配管等)を傾斜させる場合において、本実施形態の粉体供給用部材を用いれば、円滑に粉体を流動させることができる。このため、必要最低限の範囲内で傾斜角度を設定すればよく、極端な傾斜角度を設定しなくてもよい。極端な傾斜角度を設定すると、上述した脈動によって瞬間的に多量の粉体が落下してしまうが、本実施形態の粉体供給用部材を用いれば、極端な傾斜角度を設定しなくてよいため、脈動に伴う粉体の落下を防ぐこともできる。
【0080】
ベルトフィーダ、テーブルフィーダ、スクリューフィーダなどのように、定量の粉体を供給する粉体供給装置としては、種々のものが知られている。これらの粉体供給装置では、基本的に、粉体の供給力(スクリューフィーダの場合、スクリューの回転数)と粉体の供給量とが一定の比例関係にあることを利用して、所望の供給量となるように供給力を設定している。本実施形態の粉体供給用部材を用いることにより、粉体が円滑に供給されるため、上述した粉体供給装置における基本的な設定に基づいて、粉体の供給量に応じた供給力を設定でき、この供給力の設定によって供給量を制御できるようになる。すなわち、供給量の制御が簡単に行えるようになる。
【0081】
粉体の付着や一時的な粉体の堆積を防止するために、ガス圧や振動などを粉体に加えることがあるが、その際に加えられた力により粉体が破壊されてしまい、所望の粒径や形状を有する粉体を製造できないなどの問題が生じることがある。本実施形態の粉体供給用部材を用いれば、粉体を安定供給できるため、ガス圧や振動などを粉体に加えなくてもよい。仮に、ガス圧や振動などを粉体に加える場合であっても、粉体に加えられる力を低減でき、製造したい粉体の状態を維持することができる。
【0082】
本実施形態の粉体供給用部材によれば、流動性に劣る粉体を用いても、この粉体を円滑に供給でき、供給量のばらつきを抑制できる。また、スクリューフィーダのトラフや配管のサイズを小型化しても、粉体の流動性を確保することができ、粉体を安定して供給できる様になる。また、V字型のトラフを用いた場合にも、本実施形態の粉体供給用部材によれば、脈動やブリッジングを抑制することができるため、より鋭角なV字型のトラフを用いることもできる。
【0083】
上述したように、本実施形態の粉体供給用部材を粉体供給装置に適用することにより、粉体供給装置の簡素化、小型化、粉体プロセス設計の幅を広げるなどのメリットを得られる。
【0084】
次に、
図1及び
図2を用いて、本実施形態の粉体供給用部材が用いられる粉体供給装置についてより具体的に説明する。
【0085】
図1は、粉体に接触する部材として、本実施形態の粉体供給用部材を用いた振動フィーダ10を示す図である。なお、
図1に示す振動フィーダ10では、粉体15と接触する部材として、第一実施形態の粉体供給用部材が用いられているが、第二実施形態の粉体供給用部材が用いられてもよい。
【0086】
振動フィーダ10は、振動により、粉体15を所定の位置に供給する粉体供給装置である。振動フィーダ10は、
図1に示すように、振動発生装置16と振動発生装置16に固定されるトラフ12により構成される。トラフ12は、粉体供給用部材から構成されており、粉体15と接触する面に、凹凸面11が形成される。
【0087】
トラフ12は、凹凸面11に対向する面において、振動発生装置16に固定されており、粉体15と接触する面(凹凸面11)が水平面に対して傾くように配設される。振動発生装置16が発生する振動によりトラフ12が振動することで、粉体15は、傾斜方向(
図1に示す破線矢印方向)に向かって凹凸面11上を移動する。
【0088】
振動フィーダ10が供給する粉体15としては、例えば、食品、飼料、医薬品、化粧料、電池材料、化成品等で用いられる粉体や、金属製又はセラミックス製の粉体がある。なお、振動フィーダ10が供給する粉体15は、上述した例の粉体に限られるものではない。
【0089】
上述した食品や飼料としては、例えば、小麦粉、穀物、天然調味料、調味料、蛋白系食品、砂糖、糖類系、米、玄米、コーンスターチ、片栗粉、そば粉、コーヒー、ココア、食品添加物、卵白粉末、緑黄色野菜、根菜、茸、竹炭、まか、昆布、すっぽん、サメ軟骨、イースト菌、乳酸菌、酵素、香料、天然甘味料、粉末卵、粉末油脂、クロレラ、全脂粉乳、脱脂粉乳、各健康食品、セルロース等が挙げられる。
【0090】
上述した医薬品としては、例えば、漢方薬、農薬、無機薬品、酵素、抗生物質、ビタミン剤等が挙げられる。
【0091】
上述した化成品としては、例えば、有機薬品、有機触媒、酢酸ビニル、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、PE樹脂、PTFE樹脂、界面活性剤、塩化ビニル、リグニン、洗剤、油脂類、脂肪酸、モノグリセライド、タルク、酵母、アルミン酸塩、各種リン酸化合物、ケイ酸ソーダ、炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、硫安、燐安、顔料、染料、塗料、トナー、無機触媒、P.V.C.、フタル酸ソーダ等が挙げられる。
【0092】
金属製の粉体としては、例えば、Si、Ag、Cu、Ni、Sn、Al、WC、Co、Fe、Zn、Cr、W、Cu−W、Ag−W、高速度鋼、超合金、溶射用粉末、合金鋼、アルミ合金、鉛合金、銅合金、アルミニウム合金、亜鉛合金、錫合金、Ni基合金、Co基合金、ネオジム磁石用粉、アモルファス、真鍮、フェロアロイ、分散強化合金、ステンレス鋼、ヘビーアロイ、スーパーアロイ、絶縁被膜処理鉄、各種希土類合金、マグネタイト等が挙げられる。
【0093】
セラミックス製の粉体としては、例えば、アルミナ、シリカ、ステアタイト、ジルコニア、ジルコン、イットリア、マグネシア、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、リン酸カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、酸化鉛、ハイドロキシアパタイト、窒化ガリウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化チタン、炭化チタン、炭窒化チタン、窒化アルミニウム、石灰炭、珪石、石灰石、ソーダ灰、陶石、長石、粘土、蛍石、サファイア、ルビー、ガーネット、窒化ホウ素、タングステンカーバイド、ガラス、セメント、コンクリート、ファインセラミックス、フェライト、コーディライト、フォルステライト、ムライト、高温超伝導セラミックス、タイル陶器、陶磁器材料等が挙げられる。
【0094】
ここで、振動フィーダ10を構成するトラフ12は、第一実施形態の粉体供給用部材と同様の製造方法により製造することができる。トラフ12の形状は、振動フィーダ10が組み込まれる粉体処理装置などの構造に応じて決定されるため、トラフ12は、粉体処理装置の構造に応じた所望の形状に成形すればよい。例えば、トラフ12は、粉体15が移動する方向に対して垂直な面における断面形状を、V字形状、略V字形状、U字形状、又は略U字形状とすることができる。トラフ12を所望の形状に成形するときには、基材を所望の形状に形成した後に、上述した表面硬化処理だけを行ったり、表面硬化処理および加工処理を行ったりすればよい。
【0095】
次に、粉体と接触する部材として、本実施形態の粉体供給用部材を用いたスクリューフィーダ20について、
図2を用いて説明する。なお、
図2に示すスクリューフィーダ20では、粉体25と接触する部材として、第一実施形態の粉体供給用部材が用いられているが、第二実施形態の粉体供給用部材が用いられてもよい。
【0096】
スクリューフィーダ20は、スクリュー23が回転することにより、粉体25を所定の位置に供給する粉体供給装置である。スクリューフィーダ20は、
図2に示すように、中空のトラフ22と、トラフ22の内部に収められるスクリュー23により構成される。トラフ22及びスクリュー23は、上述した粉体供給用部材から構成されており、粉体25と接触する面に、凹凸面21が形成される。なお、粉体25は、上述した粉体を用いることができる。
【0097】
トラフ22には、粉体25をトラフ22の内部に搬入するための搬入口22aと、トラフ22の内部を通過した粉体25を搬出するための搬出口22bが設けられている。スクリュー23は、軸23bと軸23bの表面に形成される螺旋状のスクリュー羽23aから構成される。また、軸23bの一端側には、モーターMに取り付けられる回転軸24が固定されており、モーターMが駆動することにより、スクリュー23が矢印R方向に回転する。搬入口22aから搬入された粉体25は、スクリュー23が回転することにより、スクリュー羽23aにより搬出口22b側に送り出され、搬出口22bから搬出される。なお、スクリュー23は、スクリュー羽23aのみから構成することもできる。スクリュー23をスクリュー羽23aのみから構成する場合、モーターMに取り付けられる回転軸24は、スクリュー羽23aの一端側に固定される。
【0098】
スクリューフィーダ20を構成するトラフ22およびスクリュー23は、第一実施形態の粉供給用部材と同様の製造方法を用いて製造することができる。トラフ22およびスクリュー23の形状は、上述したトラフ12と同様に、粉体処理装置の構造に応じた所望の形状に成形することができる。例えば、トラフ22は、粉体25が移動する方向に対して垂直な面における断面形状を、円形状、V字形状、略V字形状、U字形状、又は略U字形状とすることができる。トラフ22およびスクリュー23を粉体処理装置の構造に応じた所望の形状に成形するときには、基材を所望の形状に形成した後に、上述した表面硬化処理だけを行ったり、表面硬化処理および加工処理を行ったりすればよい。
【0099】
ここで、本実施形態の粉体供給用部材が用いられる粉体供給装置は、粉体と接触する面に、算術平均粗さRaが0.2μm以上、1.8μm以下あり、表面自由エネルギーγsが35.0mJ/m
2以下である凹凸面を有する。このため、粉体と接触する面(凹凸面)において、粉体の流動性が低下することを抑制することができ、粉体の輸送時に生じる脈動、粉体の付着(堆積)や粉体の固化、及び粉体のブリッジや詰りや閉塞を抑制することができる。従って、粉体の移動が阻害されることを抑制することができ、粉体の供給速度が変化することを抑制できる(つまり、粉体の供給速度を安定化することができる)。また、凹凸面のビッカース硬度が400以上であることにより、粉体が接触する面の強度を向上させることができる。これにより、粉体と接触する凹凸面の形状を維持し続けることができ、粉体の供給速度の変化を持続して抑制することができる(つまり、粉体の供給速度を持続して安定化することができる)。
【0100】
一方、凹凸面の算術平均粗さRaや凹凸面の表面自由エネルギーγsを上記所定の範囲外とした場合には、粉体と接触する面(凹凸面)において粉体の流動性が低下しやすくなり、粉体の供給速度が変化しやすくなる。また、凹凸面のビッカース硬度を400未満とした場合には、凹凸面の形状を維持しにくくなり、粉体の供給速度が変化しやすくなる。
【0101】
粉体の供給速度を安定化するために、粉体と接触する面の摩擦係数を低下させることが一般的に知られている。しかしながら、粉体と接触する面の摩擦係数が、本実施形態に係る粉体供給装置よりも低い粉体供給装置であっても、粉体と接触する面の算術平均粗さRaと表面自由エネルギーγsの両方が上記所定の範囲内にない場合には、粉体の流動性が低下しやすくなり、粉体の供給速度が変化しやすくなる。このことから、粉体と接触する面の摩擦係数を低下させるだけでは、粉体の供給速度の安定化が必ずしも達成されないことが理解できる。
【実施例】
【0102】
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0103】
(実施例1〜3)
チタン板を所定の角度に折り曲げたV字形状の基材を用意した。基材に対し、ブラストによる加工処理を行った。加工処理された基材に対し、ガス窒化による表面硬化処理を行い、実施例1〜3の粉体供給用部材を得た。なお、実施例1〜3の粉体供給用部材において、ブラストによる加工処理は、異なる条件で行った。
【0104】
(実施例4)
実施例1の加工処理を行わなかった。これ以外の条件は、実施例1と同様の条件により、実施例4の粉体供給用部材を得た。
【0105】
(実施例5)
実施例1の加工処理の順序と、実施例1の表面硬化処理の順序を入れ替えた。すなわち、実施例1の表面硬化処理をした後、実施例1の加工処理をした。これ以外の条件は、実施例1と同様の条件により、実施例5の粉体供給用部材を得た。
【0106】
(実施例6)
実施例2の加工処理の順序と、実施例2の表面硬化処理の順序を入れ替えた。すなわち、実施例2の表面硬化処理をした後、実施例2の加工処理をした。これ以外の条件は、実施例2と同様の条件により、実施例6の粉体供給用部材を得た。
【0107】
(実施例7)
実施例3の加工処理の順序と、実施例3の表面硬化処理の順序を入れ替えた。すなわち、実施例3の表面硬化処理をした後、実施例3の加工処理をした。これ以外の条件は、実施例3と同様の条件により、実施例7の粉体供給用部材を得た。
【0108】
(実施例8)
実施例1のガス窒化による表面硬化処理に代えて、真空浸炭による表面硬化処理を行った。これ以外の条件は、実施例1と同様の条件により、実施例8の粉体供給用部材を得た。
【0109】
(実施例9)
実施例8の加工処理を行わなかった。これ以外の条件は、実施例8と同様の条件により、実施例9の粉体供給用部材を得た。
【0110】
(実施例10〜11)
ステンレス鋼板を所定の角度に折り曲げたV字形状の基材を用意した。基材に対し、脱脂及び酸処理による前処理を実施した後、ストライクニッケルめっきを行った。その後、Ni−P合金めっきにより皮膜処理を行い、膜厚30μmの皮膜を形成した。皮膜が形成された基材に対し、ブラストによる加工処理を行った。その後、熱処理を行い、Ni−Pからなる皮膜を備える実施例10〜11の粉体供給用部材を得た。なお、実施例10〜11の粉体供給用部材において、ブラストによる加工処理は、異なる条件で行った。
【0111】
(実施例12)
実施例10の加工処理の順序と、実施例10の熱処理の順序を入れ替えた。すなわち、実施例10の熱処理をした後、実施例10の加工処理を行った。これ以外の条件は、実施例10と同様の条件により、Ni−Pからなる皮膜を備える実施例12の粉体供給用部材を得た。
【0112】
(実施例13)
実施例10のNi−P合金めっきによる皮膜処理に代えて、Ni−W合金めっきにより皮膜処理を行い、膜厚が10μmの皮膜を形成した。これ以外の条件は、実施例10と同様の条件によりNi−Wからなる皮膜を備える実施例13の粉体供給用部材を得た。
【0113】
(実施例14)
実施例10の基材に代えて、アルミニウム合金板を所定の角度に折り曲げたV字形状の基材を用いた。実施例10の前処理に代えて、研磨、脱脂、エッチング処理、酸処理及びジンケート処理による前処理を実施した。これら以外の条件は、実施例10と同様の条件により、Ni−Pからなる皮膜を備える実施例14の粉体供給用部材を得た。
【0114】
(実施例15)
ABS樹脂板を所定の角度に折り曲げたV字形状の基材を用意した。基材に対し、エッチング処理、触媒活性処理、アクセレーター処理による前処理を実施した。その後、Ni−P合金めっきにより皮膜処理を行い、膜厚30μmの皮膜を形成した。皮膜が形成された基材に対し、ブラストによる加工処理を行い、Ni−Pからなる皮膜を備える実施例15の粉体供給用部材を得た。
【0115】
(実施例16)
実施例15のNi−P合金めっきによる皮膜処理に代えて、Ni−B合金めっきによる皮膜処理を行い、膜厚10μmの皮膜を得た。これ以外の条件は、実施例15と同様の条件により、Ni−Bからなる皮膜を備える実施例16の粉体供給用部材を得た。
【0116】
(比較例1)
チタン板を所定の角度に折り曲げたV字形状の基材を用意した。この基材を比較例1の粉体供給用部材とした。
【0117】
(比較例2)
実施例1のガス窒化による表面硬化処理を行わなかった。これ以外の条件は、実施例1と同様の条件により、比較例2の粉体供給用部材を得た。
【0118】
(比較例3)
比較例2のブラストによる加工処理の条件を変更した。これ以外の条件は、比較例2と同様の条件により、比較例3の粉体供給用部材を得た。
【0119】
(比較例4)
実施例1のブラストによる加工処理の条件を変更した。これ以外の条件は、実施例1と同様の条件により、比較例4の粉体供給用部材を得た。
【0120】
(比較例5)
ステンレス鋼板を所定の角度に折り曲げたV字形状の基材を用意した。基材に対し、実施例10と同様の条件により、前処理を実施した。その後、ストライクニッケルめっきを行った後、Ni−P合金めっきによる皮膜処理を行い、膜厚30μmの皮膜を得た。その後、熱処理を行い、Ni−Pからなる皮膜を備える比較例5の粉体供給用部材を得た。
【0121】
(比較例6)
実施例10のブラストによる加工処理の条件を変更した。これ以外の条件は、実施例10と同様の条件により、Ni−Pからなる皮膜を備える比較例6の粉体供給用部材を得た。
【0122】
(参考例1)
ステンレス鋼板を所定の角度に折り曲げたV字形状の基材を用意した。この基材を参考例1の粉体供給用部材とした。
【0123】
(参考例2)
ステンレス鋼板を所定の角度に折り曲げたV字形状の基材を用意した。基材に対し、ブラストによる加工処理を行い、参考例2の粉体供給用部材を得た。
【0124】
実施例1〜16、比較例1〜6及び参考例1〜2の粉体供給用部材を用意した。これらの粉体供給用部材について、マイクロビッカース硬さ試験機(株式会社ミツトヨ製)を用いて、凹凸面(比較例1,5及び参考例1については、粉体供給用部材の表面)のビッカース硬度(Hv)を測定した。具体的には、粉体供給用部材の表面から内部に向かって粉体供給用部材を切断したときの切断面を研磨し、この切断面を用いて凹凸面のビッカース硬度を測定した。また、これらの粉体供給用部材について、表面粗さ形状測定機サーフコム570A(株式会社東京精密製)を用いて、凹凸面(比較例1,5及び参考例1については、粉体供給用部材の表面)の算術平均粗さRa(μm)を測定した。また、これらの粉体供給用部材について、接触角計DropMaster300型(協和界面科学(株)製)を使用して測定した水及びジヨードメタンの接触角を用いて、凹凸面(比較例1,5及び参考例1については、粉体供給用部材の表面)の表面自由エネルギーγs(mJ/m
2)を算出した。結果を表1〜3に示す。
【0125】
[表1]
【0126】
[表2]
【0127】
[表3]
【0128】
〈評価1〉
LF−02電磁フィーダ((株)アイシンナノテクノロジーズ製、振動フィーダ)を用意した。この振動フィーダのトラフとして、実施例1〜16、比較例1〜6及び参考例1〜2の粉体供給用部材(長さが179mm、高さが25mm、曲げ半径Rが1.5)を用意した。これらの粉体供給用部材を、水平面に対して15°傾斜させて、振動フィーダにそれぞれ固定した。振幅の強さを50%に設定し、振動フィーダの振動部(振動発生装置)を駆動させた。振動フィーダの振動部の中心に対応するトラフ(粉体供給用部材)上の位置に、粉体として、メジアン径が1.5μmの銀粒子3gを投入し、トラフから銀粒子を落下させた。落下した銀粒子の重量を2秒おきに計測し、初期投入量の半分(1.5g)の銀粒子が落下した時点で、振動フィーダの振動部の中心に対応するトラフ上の位置に、銀粒子を3g追加で投入した。この操作を3分間繰り返し、トラフから落下した銀粒子の重量を3分間2秒おきに計測した。この計測は、それぞれの振動フィーダについて、3回実施した。
【0129】
銀粒子の供給速度の変化についての評価は、以下の評価基準に従って行った。ここで、評価が「◎」又は「○」である場合、粉体の供給速度の変化を抑制できると判断した。評価が「×」である場合、粉体の供給速度の変化を抑制できないと判断した。結果を後述する表4に記載する。
【0130】
[実施例1〜9及び比較例1〜4の評価基準]
◎:所定時間に落下する粉体の重量の3回の計測におけるバラツキが、比較例1よりも小さい。さらに、所定時間に落下する粉体の重量が、比較例1よりも大きい。
○:所定時間に落下する粉体の重量の3回の計測におけるバラツキが、比較例1よりも小さい。
×:所定時間に落下する粉体の重量の3回の計測におけるバラツキが、比較例1と同等又は比較例1よりも大きい。
【0131】
[実施例10〜16、比較例5〜6及び参考例1〜2の評価基準]
◎:所定時間に落下する粉体の重量の3回の計測におけるバラツキが、比較例5よりも小さい。さらに、所定時間に落下する粉体の重量が、比較例5よりも大きい。
○:所定時間に落下する粉体の重量の3回の計測におけるバラツキが、比較例5よりも小さい。
×:所定時間に落下する粉体の重量の3回の計測におけるバラツキが、比較例5と同等又は比較例5よりも大きい。
【0132】
<評価2>
評価1で用いた銀粒子に代えて、粉体として、メジアン径が2.5μmのニッケル粒子を用いた。これ以外の条件は、評価1と同様の条件で、トラフから落下したニッケル粒子の重量を3分間2秒おきに計測した。また、評価1の評価基準に従い、ニッケル粒子の供給速度の変化について評価した。結果を後述する表4に記載する。
【0133】
<評価3>
評価1で用いた銀粒子に代えて、粉体として、メジアン径が7.2〜9.2μmのタルク粒子(JIS粉体1、4種)を用いた。これ以外の条件は、評価1と同様の条件で、トラフから落下したタルク粒子の重量を3分間2秒おきに計測した。また、評価1の評価基準に従い、タルク粒子の供給速度の変化について評価した。結果を後述する表4に記載する。
【0134】
〈評価4〉
LF−02電磁フィーダ((株)アイシンナノテクノロジーズ製、振動フィーダ)を用意した。この振動フィーダのトラフとして、実施例1〜16、比較例1〜6及び参考例1〜2の粉体供給用部材(長さが179mm、高さが25mm、曲げ半径Rが1.5)を用意した。これらの粉体供給用部材を、水平面に対して15°傾斜させて、振動フィーダにそれぞれ固定した。振動フィーダに固定されるトラフ(粉体供給用部材)に対し、5g/分の供給速度で、メジアン径が8μmのアルミナ(Al2O3)を7日間供給し続け、アルミナでトラフ表面をそれぞれ摩擦した。7日後、エアーガンにてトラフ表面に付着した粉体を除去し、メタノールを用いてさらに清掃後、90℃で1分間乾燥することで、トラフ表面に付着したアルミナをそれぞれ除去した。この振動フィーダを用いて、評価1と同様の方法により、トラフから落下した銀粒子の重量を3分間2秒おきに計測した。また、評価1の評価基準に従い、銀粒子の供給速度の変化について評価した。結果を後述する表4に記載する。
【0135】
<評価5>
評価4で用いた銀粒子に代えて、粉体として、メジアン径が2.5μmのニッケル粒子を用いた。これ以外の条件は、評価4と同様の条件で、振動フィーダから落下したニッケル粒子の重量を3分間2秒おきに計測した。また、評価1の評価基準に従い、ニッケル粒子の供給速度の変化について評価した。結果を後述する表4に記載する。
【0136】
<評価6>
評価4の銀粒子に代えて、粉体として、メジアン径が7.2〜9.2μmのタルク粒子(JIS粉体1、4種)を用いた。これ以外の条件は、評価4と同様の条件で、振動フィーダから落下したタルク粒子の重量を3分間2秒おきに計測した。また、評価1の評価基準に従い、タルク粒子の供給速度の変化について評価した。結果を後述する表4に記載する。
【0137】
<評価7>
実施例、比較例及び参考例のそれぞれの粉体供給用部材を、
図2に示すスクリューフィーダ20に適用した。具体的には、実施例、比較例及び参考例でそれぞれ用いた基材の形状のみを変更し(つまり、基材の材質や表面特性は同じ)、中空のトラフ22(長さ100mm、外径25.4mm)と、トラフ22の中空内に挿入可能なスクリュー23(長さ210mm、外径17mm)を基材として用いた。この基材に対して実施例、比較例及び参考例のそれぞれの処理を施し、処理が施されたトラフ22とスクリュー23を用いて、実施例1〜16、比較例1〜6及び参考例1〜2のスクリューフィーダ20をそれぞれ製造した。
【0138】
実施例1〜16、比較例1〜6及び参考例1〜2の各スクリューフィーダ20について、スクリュー23をモーターMに取り付け、トラフ22に形成される搬入口22aにホッパーを取り付けた。ホッパー内に粉体として、メジアン径が2.5μmのニッケル粒子を投入し、モーターMを回転数20rpmで駆動した。スクリュー23の回転により、トラフ22の中空内のニッケル粒子を、搬出口22bから供給(搬出)させた。搬出口22bから供給されたニッケル粒子の重量を2秒おきに計測し、初期投入量の半分のニッケル粒子が供給された時点で、ホッパー内にニッケル粒子を追加投入した。この操作を60分継続し、搬出口22bから供給されたニッケル粒子の重量を60分間2秒おきに計測した。この計測は、それぞれのスクリューフィーダ20について3回実施した。
【0139】
ニッケル粒子の供給速度の変化についての評価は、以下の評価基準に従って行った。ここで評価が「◎」又は「○」である場合、粉体の供給において変動係数が小さく、粉体の供給速度の変化を抑制できると判断した。評価が「×」である場合、粉体の供給における変動係数が大きく、粉体の供給速度の変化を抑制できないと判断した。結果を後述する表4に記載する。
【0140】
[実施例1〜9及び比較例1〜4の評価基準]
◎:所定時間に供給された粉体の重量の3回の計測におけるバラツキが、比較例1よりも小さい。さらに、所定時間に供給された粉体の重量が、比較例1よりも大きい。
○:所定時間に供給された粉体の重量の3回の計測におけるバラツキが、比較例1よりも小さい。
×:所定時間に供給された粉体の重量の3回の計測におけるバラツキが、比較例1と同等又は比較例1よりも大きい。
【0141】
[実施例10〜16、比較例5〜6及び参考例1〜2の評価基準]
◎:所定時間に供給された粉体の重量の3回の計測におけるバラツキが、比較例5よりも小さい。さらに、所定時間に供給された粉体の重量が、比較例5よりも大きい。
○:所定時間に供給された粉体の重量の3回の計測におけるバラツキが、比較例5よりも小さい。
×:所定時間に供給された粉体の重量の3回の計測におけるバラツキが、比較例5と同等又は比較例5よりも大きい。
【0142】
[表4]
【0143】
表4に示すように、実施例1〜16の粉体供給用部材(トラフ)では、評価1〜6の全ての評価において、○又は◎となった。一方、比較例1〜6及び参考例1〜2の粉体供給用部材(トラフ)では、評価1〜6の少なくとも3つの評価において×となった。特に、比較例2及び参考例2の粉体供給用部材は、凹凸面がアルミナ粒子で摩擦されると、粉体の供給速度の変化を抑制できなくなった。つまり、比較例2及び参考例2の粉体供給用部材は、粉体の供給時に発生する摩擦により凹凸面が磨耗したり、凹凸面が欠けたりするなどして、摩耗前の凹凸面の形状を維持できなかったことが分かる。また、比較例1,3〜6及び参考例1の粉体供給用部材は、評価4〜6に加えて、評価1〜3においても粉体の供給速度の変化を抑制できていなかった。つまり、これらの粉体供給用部材に形成される凹凸面の形状や性質では、粉体の供給速度の変化を抑制できないことが分かる。
【0144】
また、表4に示すように実施例1〜16のスクリューフィーダ20は、評価7において、○又は◎となった。一方、比較例1〜6及び参考例1〜2のスクリューフィーダ20は、いずれも×となり、粉体の供給速度の変化を抑制できていなかった。
【0145】
このように、実施例1〜16の粉体供給用部材(トラフ)及びスクリューフィーダ20によれば、粉体の供給速度の変化を抑制できるとともに、粉体の供給速度の変化を持続して抑制できることが分かる。さらに、実施例1〜8の粉体供給用部材は、評価1〜6から理解できるように、比較例1の粉体供給用部材よりも、所定時間に落下する粉体の重量が多かった。このことから、実施例1〜8の粉体供給用部材は、振動時に過剰な力を発生させなくても、粉体をスムーズに移動させることができることが分かる。同様に、実施例10〜11及び13〜16の粉体供給用部材は、評価1〜6から理解できるように、比較例5の粉体供給用部材よりも、所定時間に落下する粉体の重量が多かった。このことから、実施例10〜11及び13〜16の粉体供給用部材も、振動時に過剰な力を発生させなくても、粉体をスムーズに移動させることができることが分かる。したがって、実施例1〜8、10〜11及び13〜16の粉体供給用部材は、粉体を供給するために消費されるエネルギー(電力)を節約することができることがわかる。
【0146】
また、実施例1〜3及び8のスクリューフィーダ20は、評価7から理解できるように、比較例1のスクリューフィーダ20よりも、所定時間に供給された粉体の重量が多かった。このことから、実施例1〜3及び8のスクリューフィーダ20は、過剰な回転力を加えなくても、粉体をスムーズに移動できることが分かる。また、実施例10、14〜16のスクリューフィーダ20は、評価7から理解できるように、比較例5のスクリューフィーダ20よりも、所定時間に供給された粉体の重量が多かった。このことから、実施例10、14〜16のスクリューフィーダ20は、過剰な回転力を加えなくても、粉体をスムーズに移動できることが分かる。したがって、実施例1〜3、8、10及び14〜16のスクリューフィーダ20は、粉体を供給するために消費されるエネルギー(電力)を節約できることがわかる。