(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
(熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シート)
本発明の熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シート(以下、単に「発泡シート」ともいう。)は、熱可塑性ポリエステル系樹脂(以下、単に「ポリエステル系樹脂」ともいう。)と、結晶化促進剤とを含有する発泡樹脂層を備えるものである。該発泡樹脂層は、ポリエステル系樹脂、結晶化促進剤及び発泡剤を含む樹脂組成物から形成される。
かかる発泡シートは、発泡樹脂層のみからなる単層構造であってもよいし、発泡樹脂層の少なくとも一方の面に非発泡樹脂層等が設けられた積層構造であってもよい。非発泡樹脂層としては、上述のポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン等の樹脂を含むことが好ましい。積層構造にすることにより、さらに強度を上げ、美麗性も得ることができる。
【0013】
発泡シートの厚さとしては、0.3〜5.0mmが好ましく、0.4〜4.5mmがより好ましく、0.5〜4.0mmがさらに好ましい。上記下限値以上であれば、後述する熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡容器(以下、単に「発泡容器」ともいう。)の強度をより高められる。上記上限値以下であれば、発泡シートの内部まで十分に加熱しやすい。
発泡シートの坪量としては、250〜900g/m
2が好ましく、250〜800g/m
2がより好ましく、300〜700g/m
2がさらに好ましい。上記下限値以上であれば、発泡容器の強度をより高められる。上記上限値以下であれば、発泡容器をより成形しやすい。
発泡シートの発泡倍率としては、1.5〜15倍が好ましく、2〜10倍がより好ましく、3〜8倍がさらに好ましい。上記下限値以上であれば、発泡容器の断熱性をより高められる。上記上限値以下であれば、発泡シートの内部まで十分に加熱しやすい。
【0014】
<ポリエステル系樹脂>
ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレンフラノエート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、テレフタル酸とエチレングリコールとシクロヘキサンジメタノールの共重合体、及びこれらの混合物並びにこれらと他の樹脂との混合物等が挙げられる。また、植物由来のポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンフラノエート樹脂が用いられてもよい。これらのポリエステル系樹脂は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。特に好ましいポリエステル系樹脂は、ポリエチレンテレフタレート樹脂である。
ポリエステル系樹脂として他の樹脂を混合している場合、他の樹脂の含有量は、ポリエステル系樹脂の総質量に対して50質量%未満が好ましい。
【0015】
ポリエステル系樹脂の質量平均分子量としては、10万〜50万が好ましく、15万〜45万がより好ましく、20万〜40万がさらに好ましい。ポリエステル系樹脂の質量平均分子量が上記範囲内にあることで、脆性の良好な発泡シートを得やすい。前記質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した値を、標準試料として昭和電工(株)製の製品名「STANDARD SM−105」及び「STANDARD
SH−75」を用いて得られる較正曲線に基づき換算した値である。
【0016】
発泡シート中のポリエステル系樹脂における微分分子量分布で表わされる分子量10000以下の分子の存在比率は、ポリエステル系樹脂の総質量に対して6.0質量%以下が好ましく、5.5質量%以下がより好ましく、5.0質量%以下がさらに好ましい。前記存在比率が上記上限値以下であると、耐熱性及び耐寒脆性の両方に優れた発泡容器を得やすい。
下限値は、特に限定されないが、0
質量%以上であればよく、実質的には
1.0質量%以上である。
【0017】
ポリエステル系樹脂の極限粘度(IV値)は0.50〜1.50が好ましく、0.90〜1.10がより好ましい。IV値が上記下限値以上であれば、発泡しやすくなり押出発泡シートが得られやすくなる。IV値が上記上限値以下であれば、平滑なシートが得られやすくなる。
IV値は、JIS K7367−5(2000)の方法で測定できる。
【0018】
<結晶化促進剤>
本発明における結晶化促進剤は、無機系結晶化促進剤及び有機系結晶化促進剤から選択される1種以上である。
無機系結晶化促進剤としては、ケイ酸塩、炭素、金属酸化物等が挙げられる。ケイ酸塩としては、例えば、含水ケイ酸マグネシウムであるタルクが挙げられる。炭素としては、例えば、カーボンブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、活性炭、グラファイト、グラフェン、コークス、メソポーラスカーボン、ガラス状炭素、ハードカーボン、ソフトカーボン等が挙げられ、カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、サーマルブラックが挙げられる。金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン等が挙げられる。
有機系結晶化促進剤としては、脂肪族カルボン酸等が挙げられ、例えば、ステアリン酸やモンタン酸やこれらの塩が挙げられる。
【0019】
結晶化促進剤が粒状の場合、結晶化促進剤は、タルク、カーボンブラック及び金属酸化物から選択される1種以上を含有することが好ましい。
結晶化促進剤としてタルク、カーボンブラック及び金属酸化物から選択される1種以上を含有することで、耐熱性及び耐寒脆性の両方に優れた発泡シートを得やすい。
これらの結晶化促進剤としては、タルク、カーボンブラック、酸化亜鉛が好ましい。これらの結晶化促進剤を用いた場合、高い耐熱性の容器が得られ、容器の生産性をより高められやすい。
これらの結晶化促進剤は、1種単独で用いられてもよく、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
ポリエステル系樹脂に添加される、タルクやカーボンブラックなど粒状の結晶化促進剤の平均一次粒子径としては、0.05〜50μmが好ましく、0.05〜30μmがより好ましく、0.1〜25μmがさらに好ましい。結晶化促進剤の平均一次粒子径が上記下限値以上であれば、結晶化促進剤が、結晶化促進の効果を発揮しやすい。結晶化促進剤の平均一次粒子径が上記上限値以下であれば、結晶化促進剤が、発泡シート中に分散しやすい。
平均一次粒子径は、レーザー回折法により測定される。
【0020】
これら結晶化促進剤は、発泡シート中では、複数の一次粒子が凝集することによる凝集物としても存在している。本明細書における発泡シート中の結晶化促進剤の粒子径は、次のように定義される。すなわち、発泡シート中における結晶化促進剤が、一次粒子として存在している場合には、一次粒子の長径である。発泡シート中における結晶化促進剤が、凝集物として存在している場合には、凝集物の長径である。発泡シート中に一次粒子、凝集物の双方を含む場合には、最も大きい一次粒子または凝集物の長径である。
発泡シート中の結晶化促進剤の粒子径としては、長径が50μm以下であることが好ましく、40μm以下であることがより好ましく、25μm以下であることがさらに好ましい。結晶化促進剤の粒子径の長径が上記上限値以下であれば、熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化度が向上しやすく、耐熱性により優れた発泡容器を得やすい。
下限値は、特に限定されないが、0
μm以上であればよく、実質的には0.05μm以上である。
発泡シート中の結晶化促進剤の粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)で測定することができる。
【0021】
結晶化促進剤の含有量としては、発泡シートの総質量に対して0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜3質量%がより好ましい。結晶化促進剤の含有量が上記下限値以上であれば、耐熱性により優れた発泡容器を得やすく、上記上限値以下であれば、発泡シートにおける密度や厚みのばらつきを小さくしやすい。
【0022】
<発泡剤>
発泡剤としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサンなどの飽和脂肪族炭化水素、ジメチルエーテルなどのエーテル類、塩化メチル、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、モノクロロジフルオロメタンなどのフロン、二酸化炭素、窒素などが挙げられ、ジメチルエーテル、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、二酸化炭素、窒素が好ましい。これらの発泡剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0023】
<任意成分>
本発明の発泡シートは、ポリエステル系樹脂、結晶化促進剤及び発泡剤以外にその他成分(任意成分)を含有していてもよい。
かかる任意成分としては、架橋剤、気泡調整剤、界面活性剤、着色剤、収縮防止剤、難燃剤、滑剤、劣化防止剤などが挙げられる。
架橋剤としては、例えば、無水ピロメリット酸などの酸二無水物、多官能エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、オキサジン化合物などが挙げられる。
【0024】
本発明の発泡シートにおいて、110℃における結晶化時間は、14分以下であり、12分以下が好ましく、10分以下がより好ましい。
110℃における結晶化時間を14分以下とすることで、ポリエステル系樹脂の結晶化度が向上し、耐熱性に優れた発泡容器を得ることができる。また、110℃における結晶化時間を14分以下とすることで、成形工程に要する時間が短くなり、発泡容器の生産性を高められる。
下限値は、特に限定されないが、ポリエステル系樹脂を結晶化できればよく、実質的には4分以上である。
結晶化時間は、ポリエステル系樹脂の種類または量、結晶化促進剤の種類または量を調節することにより、調整される。
なお、本発明における結晶化時間は、下記結晶化時間の測定方法で測定される時間をいう。
【0025】
(結晶化時間の測定方法)
前記熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートから測定試料を採取し、熱流束示差走査熱量測定(DSC)装置を用い、前記測定試料を加熱速度100℃/分にて30℃から290℃まで1回目の昇温をし、290℃にて10分間保持する。
次いで、前記測定試料を測定装置内から取り出し、23℃にて10分間静置した後、30℃の測定装置内に戻す。加熱速度100℃/分にて30℃から110℃まで2回目の昇温をし、110℃にて30分間保持する。
2回目の昇温をしたときに得られるDSC曲線において、2回目の昇温を開始した時刻から最も遅い時刻に示される発熱ピークのピークトップにおける時刻までの時間を結晶化時間とする。
【0026】
(発泡シートの製造方法)
発泡シートの製造方法は、ポリエステル系樹脂、結晶化促進剤及び発泡剤を含む樹脂組成物を発泡し、硬化する方法である。
かかる発泡シートの好適な製造方法としては、公知の発泡シートの製造方法を採用することができ、例えば、以下に示す製造方法が挙げられる。
【0027】
ポリエステル系樹脂と、結晶化促進剤と、発泡剤と、必要に応じて任意成分とを押出機に供給し、溶融混練して、樹脂組成物の溶融混合物とする。
一般に、ポリエステル系樹脂は、高温で加水分解しやすい樹脂である。このため、ポリエステル系樹脂を予め乾燥することが好ましい。乾燥には、例えば、除湿乾燥機が用いられる。乾燥方法としては、露点が−30℃の空気を160℃に加熱し、この空気中にポリエステル系樹脂を曝す程度で足りる。
結晶化促進剤の含有量は、ポリエステル系樹脂100質量部に対して0.05質量部以上5質量部以下が好ましく、0.1質量部以上4質量部以下がより好ましく、0.5質量部以上3質量部以下がさらに好ましい。上記下限値以上とすることで、ポリエステル系樹脂の結晶化を促進しやすい。上記上限値以下とすることで、発泡容器の耐寒脆性をより高められる。
樹脂組成物が架橋剤を含有する場合、架橋剤の含有量は、ポリエステル系樹脂100質量部に対して0.01〜5質量部が好ましく、0.02〜4質量部がより好ましく、0.05〜3質量部がさらに好ましい。上記下限値以上とすることで、発泡容器の耐寒脆性をより高められる。上記上限値以下とすることで、溶融混合物の粘度の上昇を抑制できる。
【0028】
続いて、溶融混合物を前記押出機の先端に取り付けたサーキュラーダイから押出発泡して円筒状の発泡体を得る。この円筒状の発泡体を、拡径させた上でマンドレルに供給して冷却する。冷却された円筒状の発泡体をその内外周面間に亘って押出方向に連続的に切断して展開することにより、発泡シートを製造する方法が挙げられる。
【0029】
発泡シート中の結晶化促進剤の定量方法としては、灰分測定、示差熱・熱重量同時測定(TG/DTA)、蛍光X線測定等が挙げられる。
結晶化促進剤がタルクの場合は、灰分でのタルクの量を規定して、タルクの量を求めることができる(灰分測定)。
結晶化促進剤がカーボンブラックの場合、任意の大きさに切り出した発泡シートをTG/DTA装置で分析することによりカーボンブラックの量を求めることができる。
結晶化促進剤が酸化亜鉛の場合は、蛍光X線により金属亜鉛の質量を測定し、換算することにより、酸化亜鉛の質量を求めることができる。
結晶化促進剤が有機系結晶化促進剤の場合は、結晶化促進剤が分解して、発泡シート中に分散するか、結晶化促進剤がポリエチレンテレフタレート系樹脂と反応してしまうため、結晶化促進剤の含有量を定量することができない。
結晶化促進剤が、2種以上組み合わされて用いられている場合は、上記定量方法を併用することにより、それぞれの結晶化促進剤の含有量を定量することができる。
なお、本明細書では、発泡シート中の結晶化促進剤の含有量は、ポリエステル系樹脂100質量部に対する結晶化促進剤の質量部で表すものとする。
【0030】
結晶化促進剤としてタルクを用いた場合、得られる発泡シートは白色になり、結晶化促進剤としてカーボンブラックを用いた場合、得られる発泡シートは灰色〜黒色になる。結晶化促進剤として有機系結晶化促進剤や酸化亜鉛を用いた場合、得られる発泡シートは白色になる。
【0031】
(熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡容器)
本発明の熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡容器(以下、単に「発泡容器」ともいう。)は、上記熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートを、公知の成形方法等を用いて、所望の形状に成形してなるものである。
【0032】
(結晶化度)
本発明の発泡容器において、下記式(1)で算出される結晶化度が21%〜30%が好ましく、21%〜27%がより好ましい。
結晶化度(%)={(融解熱量の絶対値(J/g)−結晶化熱量の絶対値(J/g))÷完全結晶化熱量(J/g)}×100・・・(1)
結晶化度を上記範囲とすることにより、発泡容器の耐熱性が向上しやすくなる。
ここで、融解熱量、結晶化熱量はJIS K7122(2012)「プラスチックの転移熱測定方法」に従い測定したDSC曲線から求めることができる。測定条件は以下の通りである。
【0033】
DSCを用いアルミニウム製測定容器の底に隙間のないように測定試料を5〜10mg充填する。
次に窒素ガス流量20mL/分のもと30℃にて2分間保持し、速度10℃/分にて30℃から290℃まで昇温した時のDSC曲線を得る。このときの基準物質としてアルミナを用いる。
【0034】
本発明において算出される結晶化度とは、融熱ピークの面積から求められる融解熱量(J/g)と結晶化ピークの面積から求められる結晶化熱量(J/g)の差を、樹脂の完全結晶の理論融解熱量で除して求められる値である。融解熱量及び結晶化熱量は、装置付属の解析ソフトを用いて算出することができる。
完全結晶化熱量は、100%結晶化した場合の熱量を表す。なお、PETの完全結晶化熱量は、140.1J/gである。
樹脂発泡容器の結晶化度は発泡シートの成形条件によって調節することができる。
【0035】
発泡容器の中に含有される結晶化促進剤の種類、粒子径は、発泡シートにおける結晶化促進剤の種類、粒子径と同様である。
発泡容器のポリエステル系樹脂における微分分子量分布で表わされる分子量10000以下の分子の存在比率は、発泡シートのポリエステル系樹脂における微分分子量分布で表わされる分子量10000以下の分子の存在比率と同様である。発泡容器におけるポリエステル系樹脂の結晶化時間は、発泡シートにおけるポリエステル系樹脂の結晶化時間と同様である。
【0036】
(発泡容器の製造方法)
本発明の発泡容器の製造方法としては、従来公知の製造方法が挙げられる。
例えば、発泡容器は、発泡シートを予備加熱する予熱工程、及び前記予熱工程後、発泡シートを金型で挟み、加熱成形する成形工程を含む製造方法で製造することができる。さらに、前記成形工程後、成形された前記発泡シートを冷却する冷却工程を含んでいてもよい。
【0037】
<予熱工程>
予熱工程は、発泡シートをヒーター槽に投入して予備加熱し、発泡シートを軟らかくする工程である。ヒーター槽の温度は、90〜180℃が好ましく、100〜170℃がより好ましく、105〜160℃がさらに好ましい。上記下限値以上とすることで、発泡シートをより成形しやすくできる。上記上限値以下とすることで、ポリエステル系樹脂の結晶化を抑制できる。
このとき発泡シートの表面温度を105〜140℃にすることが好ましく、110〜135℃にすることがより好ましく、115〜130℃にすることがさらに好ましい。上記下限値以上とすることで、発泡シートをより成形しやすくできる。上記上限値以下とすることで、発泡シート表面のポリエステル系樹脂の結晶化を抑制できる。
予熱工程における発泡シートの予熱時間は、20〜90秒が好ましく、20〜85秒がより好ましく、30〜80秒がさらに好ましい。上記下限値以上とすることで、発泡シートをより成形しやすくできる。上記上限値以下とすることで、発泡シート表面のポリエステル系樹脂の結晶化を抑制できる。
【0038】
<成形工程>
成形工程は、予備加熱した発泡シートを金型で挟み、さらに加熱して所望の形状の発泡容器を成形する工程である。
成形方法としては、例えば、真空成形又は圧空成形が挙げられ、なかでも圧空成形が好ましい。真空成形又は圧空成形としては、プラグ成形、フリードローイング成形、プラグ・アンド・リッジ成形、マッチド・モールド成形、ストレート成形、ドレープ成形、リバースドロー成形、エアスリップ成形、プラグアシスト成形、プラグアシストリバースドロー成形などが挙げられる。
【0039】
成形工程では、金型の温度は、130〜200℃が好ましく、140〜195℃がより好ましく、160〜190℃がさらに好ましい。上記下限値以上とすることで、ポリエステル系樹脂の結晶化度を高めることができる。上記上限値以下とすることで、ポリエステル系樹脂の過度な結晶化を抑制できる。
成形工程では、加熱成形の時間は、4〜15秒間が好ましく、5.0〜13秒がより好ましく、6.0〜12秒がさらに好ましい。上記下限値以上とすることで、ポリエステル系樹脂の結晶化度を高めることができる。上記上限値以下とすることで、発泡容器の生産性を高めることができる。
成形工程では、ポリエステル系樹脂の結晶化熱量の絶対値は、1〜5mJ/mgが好ましく、1.2〜4.8mJ/mgがより好ましく、1.5〜4.5mJ/mgがさらに好ましい。上記下限値以上とすることで、ポリエステル系樹脂の結晶化度を高めることができる。上記上限値以下とすることで、ポリエステル系樹脂の過度な結晶化を抑制できる。
【0040】
圧空成形では、金型として160〜200℃に加熱したオス型及びメス型を用い、オス型側から圧縮空気を供給して、予備加熱した熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートをメス型に4〜15秒間密着させることが好ましい。
成形工程における金型の温度は、予熱工程におけるヒーター槽の温度よりも高いことが好ましい。
【0041】
<冷却工程>
冷却工程は、成形された発泡シートを冷却する工程である。
冷却工程では、成形した発泡シートを表面温度が50〜70℃になるまで冷却する。
冷却工程では、成形した発泡シートを50〜60秒かけて、発泡シートの表面温度が50〜70℃になるまで冷却することが好ましい。冷却することにより、ポリエステル系樹脂の結晶化が進み、結晶化度を21%以上とすることができる。
冷却後、発泡シートから成形体を切り出し、発泡容器とする。
【0042】
発泡容器中の結晶化促進剤の含有量は、発泡シートの場合と同様の方法で求めることができる。また、得られる発泡容器の色は、発泡シートの色と同様になる。
【0043】
本発明の熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡容器は、内表面に非発泡樹脂層を有していてもよい。非発泡樹脂層を有することにより、発泡容器の強度が向上し、熱によって変形しにくくなる。
また、2枚の非発泡樹脂層の間に印刷層を挟み、これを発泡容器の内表面に積層した構造としてもよい。このような構成とすることにより、発泡容器表面を着色及び装飾できるため、意匠性が向上する。
【0044】
本発明の熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡容器は、家電包装容器、機械部品包装容器、食品包装容器等の容器として使用される。特に、食品包装容器として有用なものである。なかでもオーブン及び電子レンジで加熱するものが好ましい。
さらに、グラタンやラザニア等のように焼き目をつけ、冷蔵又は冷凍で流通した後、電子レンジで加熱して喫食する食品の冷凍レンジアップ容器として、特に好ましい。
なお、冷凍レンジアップとは、冷凍された食品を、電子レンジで加熱して調理することをいう。
【実施例】
【0045】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。なお、以下で原料組成の単位として用いられている「部」は、特に断りのない限り「質量部」を表すものとする。
また、実施例4〜6は、参考例である。
【0046】
[実施例1]
(発泡シートの製造)
主原料としてIV値1.04のPET樹脂を100質量部(以下、単に100「部」等と表記する。)、結晶化促進剤として微細タルク(日本タルク社製、SG−95)1.0部、架橋剤として無水ピロメリット酸(ダイセル社製、ダイセル無水ピロメリット酸)0.2部を用意した。これらの原料を、あらかじめ100℃で4時間除湿乾燥させ、φ90mmの押出機に入れ溶融混練し、所定の位置で窒素ガスを圧入し混練させた。その後、口径φ135mmのサーキュラーダイから押出し、所定のマンドレルにて冷却しながらシート状に成形し、巻き取りを行った。
得られた発泡シートの厚みは、0.75mmであり、坪量は330g/m
2であった。
(発泡容器の製造)
熱可塑性ポリエチレンテレフタレート系樹脂発泡シートを90秒間、150℃のヒーター槽で予備加熱して、発泡シート表面温度を125℃にした。
その後、オス
型側から圧縮空気を供給してメス型に発泡シートを密着させてオス型とメス型を6秒間閉じて180℃にて真空圧空成形し、発泡容器を得た。
【0047】
[実施例2]
結晶化促進剤として汎用タルク(日本タルク社製、MS−P)1.0部を用いた以外は、実施例1と同様に発泡シート及び発泡容器を製造した。
【0048】
[実施例3]
結晶化促進剤としてファーネスカーボンブラック(以下、単に「CB」ともいう。)を30質量%練り込んだ、大日精化工業社製、PE−SM−SAE 6100 BLACK−Cを5部(CB添加量として1.5部)用いた以外は、実施例1と同様に発泡シート及び発泡容器を製造した。
【0049】
[実施例4]
結晶化促進剤として有機系結晶核剤モンタン酸ナトリウム(以下、単に「モンタン酸Na」ともいう。日東化成工業社製、NS−8)0.5部を用いた以外は、実施例1と同様に発泡シート及び発泡容器を製造した。TEM、SEMで凝集径を観測したが、確認できなかった(溶解していた)。
【0050】
[実施例5]
主原料としてIV値0.88のPET樹脂を100部用いた以外は、実施例1と同様に発泡シート及び発泡容器を製造した。
【0051】
[実施例6]
主原料としてIV値0.88のPET樹脂を100部、結晶化促進剤として高見掛け密度タルク(以下、単に「高密度タルク」ともいう。日本タルク社製、MS−KY)1.0部を用いた以外は、実施例1と同様に発泡シート及び発泡容器を製造した。
【0052】
[実施例7〜12]
表1、2に示す結晶化促進剤を、表1、2に示す質量部用いた以外は、実施例1と同様に発泡シート及び発泡容器を製造した。なお、表中、実施例8と10の「/」は、結晶化促進剤として汎用タルクとファーネスカーボンブラックとを併用していることを表す。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
[比較例1]
結晶化促進剤として高見掛け密度タルク(日本タルク社製、MS−KY)1.0部を用いた以外は、実施例1と同様に発泡シート及び発泡容器を製造した。
【0056】
[比較例2]
結晶化促進剤としてファーネスカーボンブラックを30質量%練り込んだ、大日精化工業社製、PE−SM−SAE 6100 BLACK−Cを1部(CB添加量として0.3部)用いた以外は、実施例1と同様に発泡シート及び発泡容器を製造した。
【0057】
[比較例3]
結晶化促進剤として汎用タルク(日本タルク社製、MS−P)0.1部を用いた以外は、実施例1と同様に発泡シート及び発泡容器を製造した。
【0058】
製造された発泡シート及び発泡容器について、各測定及び評価を行い、結果を表1、表2に示した。
【0059】
[発泡シートにおける結晶化促進剤の粒子径の測定]
(SEM観測)
結晶化促進剤としてタルクを用いた実施例1、2、5、6、比較例1、3について、SEM観測を行った。
カミソリを用いて試料を切り出し、試料台にカーボンテープを貼り付け、その上に試料を搭載した。試料を(株)日立ハイテクノロジーズ製「S‐3400N」走査電子顕微鏡の反射電子検出器を用いて、低真空(60Pa)にて撮影した。
撮影倍率は1000倍で撮影を行った。
(TEM観測)
結晶化促進剤としてファーネスカーボンブラックを用いた実施例3と比較例2について、TEM観測を行った。
カッターナイフを用いて発泡シートを切り出し、測定用試料とした。切り出した試料をクライオ用試料台に接着剤で固定後、ウルトラミクロトーム(ライカマイクロシステムズ社製)及び凍結切片作製システム(ライカマイクロシステムズ社製)を用いて超薄切片(厚み90nm)を作製した。
次いで、TEM(日立ハイテクノロジーズ社製、H−7600)を用いて超薄切片の撮影を2万倍の倍率で行った。
なお、結晶化促進剤が粒状ではない実施例4については、粒子径の測定が行えなかった。
(粒子径の測定)
TEM観測、SEM観測それぞれ、1試料につき20個の一次粒子及び凝集物を撮影し、各試料の粒子径の長径を測定し、これらの平均値を算出した。結果を表1に示す。
【0060】
[発泡容器における結晶化促進剤の粒子径の測定]
カッターナイフを用いて発泡容器の底面を切り出して測定用試料とした以外は、発泡シートの場合と同様にして、SEM観測、TEM観測、粒子径の測定を行った。
【0061】
[分子量1万以下の分子の存在比率の測定]
下記試料作成方法により試料を用意し、下記測定装置を用いて、下記測定条件のもと、分子量を測定した。この測定結果から、得られた微分分子量分布の曲線の面積を100%とし、これを100質量%(総質量)とした時のポリエステル系樹脂における分子量1万以下の分子の面積との比率(存在比率)を質量%として求めた。また、分子量1万以下の分子の面積との比率(質量%)については、微分分子量分布を解析して得られる積分分子量分布(縦軸:面積、横軸:Log
10M(M=分子量))にて分子量1万の位置の面積を分子量1万以下の分子の存在比率(質量%)とした。
(試料作成方法)
得られた発泡シートから5mg量り取って試料とし、この試料に溶媒をHFIP0.5mL、クロロホルム0.5mLの順に加え軽く振とうし、5時間放置した。溶解確認後に10mLになるまでクロロホルムを加えて希釈し軽く振とうし、非水系0.45μmシリンジフィルター(島津ジーエルシー社製)でろ過して測定した。
浸漬時間:24.0±2.0hr(完全溶解)。
比較試料:SRM706a及びMS−311、TR−8580。
(測定装置)
GPC装置:東ソー社製、HLC−8320GPC(RI検出器・UV検出器内蔵)。
ガードカラム:TOSOH TSK ガードカラム Hxl−H(6.0mmI.D.×4cm)×1本。
カラム(リファレンス):TOSOH TSKgel SuperH−RC(6.0mmI.D.×15cm)×2本。
カラム(サンプル):TOSOH TSKgel GMHxl(7.8mmI.D.×30cm)×2本。
(測定条件)
カラム温度:40℃。
検出器温度:40℃。
ポンプ注入部温度:40℃。
溶媒:クロロホルム。
流量(リファレンス):0.5mL/min。
流量(サンプル):1.0mL/min。
実行時間:26min。
データ集積時間:10〜25min。
データ間隔:500msec。
注入容積:15μL(試料とTR−8580)/50μL(ShodexA・B、SRM706a、MS−311)。
検出器:UV=254nm。
【0062】
[発泡シートの110℃における結晶化時間の測定]
得られた発泡シートから試料を採取し、下記測定装置を用いて、下記測定条件のもと、DSC測定を行った。2回目の昇温をしたときに得られるDSC曲線において、2回目の昇温を開始した時刻から最も遅い時刻に示される発熱ピークのピークトップにおける時刻までの時間を求め、結晶化時間とした。
(測定装置)
DSC装置:示差走査熱量計装置 DSC7000X型(日立ハイテクサイエンス社製)。
(測定条件)
試料量:5.5±0.5mg。
リファレンス(アルミナ)量:5mg。
窒素ガス流量:20mL/min。
試験数:2。
1回目の昇温:加熱速度100℃/分で30℃〜290℃まで昇温、290℃で10分間保持。
・昇温開始温度の設定値:30℃。
・昇温終了温度の設定値:290℃。
・加熱速度の設定値:100℃/分。
・昇温終了温度での保持時間の設定値:10分。
冷却方法:測定装置内から取り出し、23℃にて10分間静置した後、30℃の測定装置内に戻す。
2回目の昇温:加熱速度100℃/分で30℃〜110℃まで昇温、110℃で30分間保持。
・昇温開始温度の設定値:30℃。
・昇温終了温度の設定値:110℃。
・加熱速度の設定値:100℃/分。
・昇温終了温度での保持時間の設定値:30分。
(DSC曲線の作成方法)
2回目の昇温開始から、昇温終了温度での保持時間終了までの間、0.2秒ごとに熱量DSCを読み取り、横軸に時間(分)、縦軸に熱量DSC(mW)をプロットしてDSC曲線(
図1)を作成する。
(最も遅い時刻に示される発熱ピークのピークトップの特定方法)
DSC曲線(
図1)において、
図1中のA点を最も遅い時刻に示される発熱ピークのピークトップとする。
【0063】
[発泡容器の110℃における結晶化時間の測定]
得られた発泡容器の底面から試料を採取した以外は、発泡シートの場合と同様にしてDSC測定を行い、結晶化時間を求めた。
【0064】
[発泡シート中の結晶化促進剤の定量方法]
<タルクの同定方法>
得られた発泡シートの底面から試料を採取し、下記測定装置を用いて、灰化した後、下記測定装置・条件のもと、タルクの同定を行った。
(測定装置)
・マイクロウェーブ式マッフル炉 Phoenix(CEM社製)。
(灰化方法)
・試料1.0gを上記装置に入れ、下記条件にて30分灰化した。
灰化条件:DWELL TIME=30min、OPERATING TEMP=800℃
(同定方法)
(測定装置)
・フーリエ変換赤外分光光度計 Nicolet iS10(Thermo SCIENTIF社製)。
・一回反射型水平ATR(Thermo社製) Smart−iTR(クリスタル=Diamond with ZnSe lens、角度=42°)。
(測定方法)
・灰化した試料をそのまま一回反射式ATR法(=微小表面部分分析法)によりIR測定した。得られた差スペクトルチャートより質量種を推定した。
【0065】
<灰分測定>
灰化した成分がタルクと同定された発泡シートの底面から試料を採取し、下記測定装置を用いて、下記測定条件のもと、灰分量を求め、タルクの量とした。
(測定装置)
・マイクロウェーブ式マッフル炉 Phoenix(CEM社製)。
・分析用電子天秤 GR−200((株)エー・アンド・デイ製)。
(灰化方法)
・試料1.0gを入れた容器を上記装置に入れ、下記条件にて30分灰化した。
灰化条件:DWELL TIME=30min、OPERATING TEMP=800℃
(算出方法)
灰分量(質量%)={(灰化後の容器重量)−(容器のみの重量)}/{試料(発泡シート重量=1.0g)}×100
(単位換算)
灰分量(質量部)=灰分量(質量%)/{100(発泡シートの質量%)−灰分量(質量%)}×100
【0066】
<示差熱・熱重量同時測定(TG/DTA)>
得られた発泡シートの底面から試料を採取し、下記測定装置を用いて、下記測定条件のもと、発泡シート中のカーボンブラックの量を求めた。
(測定装置)
・示差熱熱重量同時測定装置 TG/DTA6200型(エスアイアイナノテクノロジー社製)。
(測定方法)
120℃の恒温槽中で2時間静置することで、樹脂中の発泡剤や有機溶剤を除去したものを測定サンプルとする。樹脂中に発泡剤や有機溶剤が含有されている発泡シート、発泡成形容器等の場合は、120℃の恒温槽中で2時間静置することで、樹脂中の発泡剤や有機溶剤を除去したものを測定サンプルとする。
サンプルは白金製測定容器の底に隙間のないよう試料を約15mg充填して、アルミナを基準物質として測定する。温度条件としては、速度10℃/min、窒素ガス流量230mL/minで30℃から520℃まで昇温後、速度10℃/min、Air流量160mL/minで520℃から800℃まで昇温させる。TG曲線(縦軸:TG(%)、横軸:温度(℃))を得、それに基づいて520℃から800℃昇温時の試料重量の減量分を算出し、カーボンブラック量(質量%)とする。
(単位換算)
カーボンブラック量(質量部)=カーボンブラック量(質量%)/{100(発泡シートの質量%)−カーボンブラック量(質量%)}×100
【0067】
<蛍光X線測定>
得られた発泡シートの底面から試料を採取し、下記測定装置を用いて、下記測定条件のもと、金属亜鉛の質量を求め、酸化亜鉛の質量に換算することにより、発泡シート中の酸化亜鉛の量を求めた。
(測定装置)
・装置 (株)リガク製 蛍光X線分析装置 RIX−2100。
・X線間 縦型Rh=3kw。
(測定条件)
・スリット幅 標準。
・分光結晶 TAP(F〜Mg)、PET(AL、Si)、LiF(K〜U)、F−PC(F〜Ca)、SC(Ti〜U)。
・測定モード FP薄膜法(Zn−PET)。
・バランス測定 有り(ポリエチレンテレフタレート)。
(測定方法)
・得られた発泡シートから試料を3cm各に切り重量を測定後、坪量換算し、カーボン台座にカーボン両面テープで貼り、バランス成分をポリエチレンテレフタレートにしオーダー分析にて算出した。
(換算式)
・バランス成分をポリエチレンテレフタレートとして合計が100wt%となるようにコンピューター上で再計算させ、金属単体の質量%を計算させた。
・得られた金属の質量%は下記式により酸化金属として換算した。
酸化金属(質量%)=[(金属単体の質量%)×{金属の原子量(g/mol)+16(酸素の原子量(g/mol)}]/金属の原子量(g/mol)
また有機酸塩系の結晶化促進剤の場合は下記式にて換算した。
有機酸塩(質量%)=[(金属単体の質量%)×{金属の原子量(g/mol)+有機酸の分子量(g/mol)−1(水素の原子量)}]/金属の原子量(g/mol)
(単位換算)
酸化金属または、有機酸塩量(質量部)={酸化金属または、有機酸塩量(質量%)}/[100(発泡シートの質量%)−{酸化金属または、有機酸塩量(質量%)}]×100
【0068】
[発泡容器中の結晶化促進剤の定量方法]
得られた発泡容器の底面から試料を採取した以外は、発泡シートの場合と同様にして、発泡容器中の結晶化促進剤の含有量を求めた。
【0069】
[発泡シートまたは発泡容器の結晶化熱量の測定]
得られた発泡シートまたは発泡容器の底面から試料を採取し、下記測定装置を用いて、下記測定条件のもと、JIS K7122に従いDSC測定を行い、結晶化熱量を求めた。
(測定装置)
DSC装置:示差走査熱量計装置 DSC7000X型(日立ハイテクサイエンス社製)。
(測定条件)
試料量:5.5±0.5mg。
リファレンス(アルミナ)量:5mg。
窒素ガス流量:20mL/min。
試験数:2。
【0070】
[発泡容器の結晶化度の算出]
上記[発泡シートまたは発泡容器の結晶化熱量の測定]で得られたDSC曲線の融解熱量及び結晶化熱量から、下記式(1)より結晶化度を算出した。
結晶化度(%)={(融解熱量の絶対値(J/g)−結晶化熱量の絶対値(J/g))÷完全結晶化熱量(J/g)}×100・・・(1)
【0071】
[焼成試験]
得られた発泡容器の長辺と短辺の寸法をノギスで測定し、その後200度のオーブンで10分間加熱焼成した。その後、該容器を取り出し、再度長辺と短辺の寸法を測定し、加熱前後の寸法変化を下記式(2a)、(2b)で計算した。長辺と短辺の寸法変化量の平均値を下記式(3)で計算し、焼成後の寸法変化率[%]とし、以下の評価基準で評価した。
長辺の寸法変化量[%]={(加熱後の長辺の寸法)−(加熱前の長辺の寸法)}/(加熱前の長辺の寸法)×100・・・(2a)
短辺の寸法変化量[%]={(加熱後の短辺の寸法)−(加熱前の短辺の寸法)}/(加熱前の短辺の寸法)×100・・・(2b)
焼成後の寸法変化率[%]={(長辺の寸法変化量の絶対値)+(短辺の寸法変化量の絶対値)}/2・・・(3)
(評価基準)
★:寸法変化率2.0%未満。
◎:寸法変化率2.0%以上2.5%未満。
○:寸法変化率2.5%以上2.7%未満。
△:寸法変化率2.7%以上3.0%未満。
×:寸法変化率3.0%以上。
【0072】
[ダイナタップ衝撃試験]
ASTM D−3763 「Standard Test Method for High Speed Puncture Properties of Plastics Using Load and Displacement Sensors」に準拠して評価を行った。試験条件等は以下の通り。
試験片については、発泡シートの幅方向に5点各10cm角にカットし、23℃の環境にて16時間養生した。全吸収エネルギーが1.0J以上で、耐衝撃性に優れる。
(試験条件等)
試験装置:ダイナタップ衝撃試験装置 GRC 8250(General Research Corp.社製)。
試験片:100×100×元厚み(mm)。
スパン:丸穴内系76mm。
試験速度:1.52m/s。
試験温度:23℃。
落下高さ(ストッパー位置):56cm。
落錘距離:12cm。
試験荷重:3.17kg。
試験数:5。
測定後得られたグラフの積分値を該装置の自動計算にて算出した。
【0073】
[冷凍落下試験]
得られた発泡容器に250mLの水を入れ、−20℃の環境で16時間凍らせて試験体とした。この試験体を高さ70cmから落下させ、発泡容器の破損状況を目視で確認し、以下のように評価した。◎〜○で、発泡容器は、耐寒脆性に優れる。
◎:発泡容器に亀裂が入らない。
○:発泡容器に亀裂が入るが、細かい破片は飛び散らない。
×:発泡容器に亀裂が入り、細かい破片が飛び散る。
【0074】
表1、2に示す結果から、本発明を適用した実施例1〜12は、いずれも焼成後の寸法変化率が3%未満で、高い耐熱性を有することがわかった。
また、本発明を適用した実施例1〜12は、いずれも110℃における結晶化時間が14分以下であるため、成形工程に要する時間が短くなり、発泡容器の生産性を高められることがわかった。
さらに、本発明を適用した実施例1〜12は、ダイナタップ衝撃試験における全吸収エネルギーの値がいずれも0.8[J]以上であり、耐寒脆性においても優れていることがわかった。
一方、110℃における結晶化時間が14分超の比較例1〜3では、焼成後の寸法変化率が3%であり、耐熱性の改善は見られなかった。
【0075】
本発明の熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートによれば、高い耐熱性の容器が得られ、容器の生産性を高められることがわかった。