(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明者は、ロータリエンコーダ(以下、単にエンコーダという)について研究し以下のような知見を得た。
インクリメンタル型のエンコーダでは、一旦通電を停止するとカウント値を失うことがある。このため、再通電時に通電停止前と同じ回転角を出力するためにバックアップ電源を備えることが考えられる。しかし、バックアップ電源を備えると、バックアップ用の電池を取り替える手間が掛かかることがあり、またエンコーダが大型化することが考えられる。
【0016】
アブソリュート型のエンコーダとしては、例えば主軸の1回転内の絶対回転角を検知してデジタル信号として出力する角度センサを用いて構成することが考えられる。このようなエンコーダにおいて、分解能を上げるために角度センサを複数備えることが考えられる。例えば、主軸と異なる減速比で回転する第1従軸と第2従軸の3軸それぞれに別々の角度センサを設ける構成が考えられる。この構成では、主軸、第1従軸および第2従軸の3軸それぞれから検知した回転角に基づいて主軸の回転量を演算して求める。この構成では、角度センサを複数備えるため、構成が複雑になることが考えられる。つまり、角度センサを備えるエンコーダでは、分解能を確保しながら構造を簡素化することは容易ではないといえる。
【0017】
これらの認識を踏まえ、本発明者は、主軸の回転に応じて位置が変化する可動体を撮像して、その撮像結果に基づいて主軸の回転量を特定する技術を見出した。可動体の撮像結果に基づき主軸の回転量を特定することにより、構造を簡素化することが容易で分解能を維持可能なロータリエンコーダの技術を提供することができる。
各実施形態はこのような思索に基づいて案出されたもので、以下にその具体的な構成を説明する。
【0018】
以下、本発明を好適ないくつかの実施形態をもとに各図面を参照しながら説明する。各実施形態、変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において各実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0019】
[第1実施形態]
本発明に係る第1実施形態は、主軸の回転の変位である回転量を特定するエンコーダである。
図1は、第1実施形態に係るエンコーダ100の概略構成を示す正面図である。
図1では、内部構造の理解を容易にするため、ハウジングの一部を省いて表示している。以下、XYZ直交座標系をもとに説明する。X軸方向は水平な左右方向に対応し、Y軸方向は水平な前後方向に対応し、Z軸方向は鉛直な上下方向に対応する。Y軸方向およびZ軸方向はそれぞれX軸方向に直交する。X軸方向は左方向あるいは右方向と、Y軸方向は前方向あるいは後方向と、Z軸方向は上方向あるいは下方向と表記することがある。また、X軸、Y軸、X軸における位置をX座標、Y座標、Z座標と表記することがある。このような方向の表記はエンコーダ100の使用姿勢を制限するものではなく、エンコーダ100は任意の姿勢で使用されうる。また、回転方向における位置を回転角と、回転角の変化量を回転量と、回転の回数を回転回数と、それぞれ表記する。
【0020】
図2はエンコーダ100を説明するブロック図である。
図3は、可動体12の周辺を示す側面図である。エンコーダ100は、モータ1の主軸1aの回転量を特定して出力するアブソリュート型のエンコーダである。モータ1は、一例として、ステッピングモータやDCブラシレスモータであってもよい。一例として、モータ1は波動歯車装置などの減速機構を介して産業用などのロボットを駆動する駆動源として適用されてもよい。エンコーダ100は主軸1aの回転量を特定して出力信号30aとして出力する。
【0021】
図1に示すように、エンコーダ100は、主軸1aと、可動体12と、バックボード14と、光源部26と、光学部24と、撮像部22と、制御部30と、ハウジング40と、を含む。主軸1aは、モータ1の出力軸であり、エンコーダ100に回転が入力される入力軸である。主軸1aは、X軸方向に延伸している。以下、主軸1aの回転中心に沿った軸方向を単に軸方向と、主軸1aの半径方向を単に半径方向という。
【0022】
可動体12は、主軸1aの回転量に応じて位置が変化する部材である。可動体12の回転位置である回転角によって主軸1aの回転量を示すことができる。可動体12は、主軸1aと同じ回転速度で回転する可動部材12bを含む。主軸1aが1回転するとき、可動部材12bは1回転する。可動部材12bは、主軸1aに固定され、主軸1aと一体にモータ1の軸受部材によって回転可能に支持される。可動部材12bは、その形状に特別の制限はないが、回転位置を容易に特定可能な形状が望ましい。第1実施形態では、可動部材12bは、回転中心から半径方向に延びる棒状を呈している。
【0023】
可動部材12bの回転中心に対応する箇所には中心マーク12mが設けられている。中心マーク12mは、可動部材12bが回転しても中心マーク12mが示す中心位置が移動しないように形成されている。中心マーク12mは、十字形状や円形状など、中心位置を特定可能な形状に形成される。第1実施形態では、中心マーク12mは十字形状を有する。可動部材12bは、金属などの無機材料や樹脂などの有機材料など種々の材料から形成することができる。第1実施形態では、可動部材12bは、アルミニウムやステンレス鋼などの金属材料で形成されている。
【0024】
バックボード14は、撮像部22から視て可動体12の背景部材として機能する。特に、バックボード14は、可動体12をはっきりと撮像することを可能にする。バックボード14は、YZ平面に沿って延在しX軸方向に薄い板状の部材である。主軸1aは、バックボード14の中心部に設けられた開口を貫通している。バックボード14は、ハウジング40に固定される。バックボード14の撮像部22側の面14dは、白または黒などの単色に塗装されている。バックボード14は、金属などの無機材料や樹脂などの有機材料など種々の材料から形成することができる。第1実施形態では、バックボード14は、ステンレス鋼などの金属材料で形成されている。
【0025】
バックボード14の面14dには基準マーク14eが設けられる。基準マーク14eは、バックボード14の基準位置を示すマークとして機能する。撮像部22は可動体12と基準マーク14eとを一体に撮像する。特に、基準マーク14eは、撮像部22が可動体12と一体に撮像可能な位置に設けられる。基準マーク14eは、回転中心1bから半径方向外側に離れた位置に1つまたは複数設けられる。基準マーク14eが複数設けられる場合は、周方向に離間して配置されてもよい。第1実施形態では、周方向に等間隔に配置された2個の基準マーク14eが設けられている。基準マーク14eは、印刷や刻印などの工程によって形成することができる。
【0026】
光源部26は、可動体12に光26bを照射する。光源部26は、種々の原理に基づく光源手段を備えることができる。第1実施形態では、光源部26は、LED(Light Emitting Diode)を備えている。光26bは、赤外光、可視光、紫外光の何れであってもよいが、第1実施形態では赤外光である。光源部26には、光26bを可動体12側に集めるためのリフレクタ26fが設けられている。
【0027】
撮像部22は、撮像素子22bと、基板22dと、を含む。撮像素子22bは、可動体12を撮像するイメージセンサ機能を有する。撮像素子22bとしては、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどのイメージセンサを用いることができる。撮像素子22bは、軸方向に垂直なYZ平面に沿って延在する半導体チップ上に形成される。撮像素子22bは、Y軸方向およびZ軸方向に配列される複数の単位セルを有する。
図4は、可動体12を撮像した撮像結果22eの一例を示す画面図である。撮像結果22eは、Y軸方向およびZ軸方向に配列される複数の画素22gによって構成される。一例として、複数の画素22gは複数の単位セルに対応している。撮像結果22eには、可動体12の画像に対応する画素群22fが含まれている。基板22dは、撮像素子22bを支持するプリント基板である。撮像部22は撮像結果を制御部30に出力する。
【0028】
光学部24は、撮像部22の撮像素子22bに可動体12の像を結ぶ。光学部24は、例えば、可動体12と撮像部22の撮像素子22bとの間に配置されるレンズであってもよい。光学部24は、撮像部22に組み込まれていてもよい。
【0029】
ハウジング40は、可動体12と、バックボード14と、光源部26と、撮像部22と、光学部24と、制御部30と、を支持するとともにこれらの周囲を包囲する。ハウジング40は、例えば、軸方向に延在する円筒や角筒などの中空筒状の筒状部40bを含む。筒状部40bの軸方向の両端部に中空部分を覆う側壁40c、40dが設けられている。モータ1側の側壁40cには、主軸1aが通るための軸孔40eが設けられる。ハウジング40は、例えば、種々の樹脂材料から形成することができる。
【0030】
次に制御部30について説明する。
図2に示す制御部30の各ブロックは、ハードウエア的には、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)をはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウエア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。後述する
図7の制御部32、
図12の制御部34および
図16の制御部36についても同様である。
【0031】
制御部30は、撮像結果取得部30bと、回転角特定部30cと、関係テーブル30fと、出力部30dと、を含む。制御部30は、ひとつまたは複数のICチップ上に集積されてもよい。このICチップは薄型の直方体形状を有する樹脂中に埋め込まれてもよい。この樹脂から露出する複数の出力端子に検出回転角に対応したデジタル信号やアナログ信号が出力されてもよい。制御部30は、基板22dに支持されてもよい。制御部30は、基板22dの撮像素子22bと同じ面に固定されてもよい。制御部30は、基板22dの撮像素子22bとは反対側の面に固定されてもよい。制御部30と撮像素子22bとは一体のパッケージ内に埋め込まれてもよい。制御部30と撮像素子22bとは、一体のICチップ内に集積されてもよい。
【0032】
撮像結果取得部30bは、撮像部22から撮像結果22eを取得する。撮像結果22eは、例えば、静止画であってもよい。関係テーブル30fは、各画素22gのY軸方向位置及びZ軸方向位置と回転角との対応関係をテーブル化して内蔵している。回転角特定部30cは、撮像結果22eに応じて可動体12の回転角を特定する。出力部30dは、回転角特定部30cによって特定された回転角を、所望の仕様の出力信号30aに変換して出力する。出力信号30aは、例えば、デジタル信号であってもよい。
【0033】
次に、このように構成された第1実施形態に係るエンコーダ100の動作を説明する。
図5は、エンコーダ100の動作の一例を示すフローチャートである。
図5は、撮像結果22eから回転角を特定して出力信号30aとして出力する処理S120を示している。処理S120を開始すると、制御部30は、可動体12を撮像するように撮像部22を制御する(ステップS122)。可動体12を撮像したら、撮像結果取得部30bは、撮像部22から撮像結果22eを取得する(ステップS124)。撮像結果22eを取得したら、回転角特定部30cは、撮像結果22eから可動体12の位置を特定する(ステップS126)。一例として、ステップS126では、
図4に示すように、回転角特定部30cは、撮像結果22eの画素群22fの先端側の一方のエッジに対応する画素22hの位置を特定する。画素22hのY軸方向位置iとZ軸方向位置jとが、可動体12の位置として特定される。
【0034】
画素22hの位置を特定したら、回転角特定部30cは、Y軸方向位置i及びZ軸方向位置jをキーとして関係テーブル30fを用いてテーブル処理によって回転角を特定する(ステップS128)。回転角を特定したら、出力部30dは、その回転角を出力信号30aに変換して出力する(ステップS130)。ステップS130を実行した制御部30は、処理をステップS122の先頭に戻し、ステップS122〜S130を繰り返す。なお、この処理S120はあくまでも一例であり、他のステップを追加したり、一部のステップを削除したり、ステップの順序を変更したりすることも可能である。
【0035】
温度変化や経時変化により、回転中心1bに対する撮像部22のYZ方向の位置が変化することが考えられる。この位置が変化すると、回転角の特定精度が低下するおそれがある。そこで、第1実施形態に係るエンコーダ100では、可動部材12bの中心マーク12mを撮像して、中心マーク12mの示す中心位置を原点として、画素22hのY軸方向位置及びZ軸方向位置を相対位置に変換し、その相対位置をキーにしたテーブル処理によって回転角を特定するようにしている。中心マーク12mを用いることによって回転角の特定精度の低下を抑制することができる。
【0036】
中心マーク12mを利用できない場合が考えられる。この場合、第1実施形態に係るエンコーダ100では、バックボード14の基準マーク14eを撮像して、基準マーク14eのエッジに対応する画素のY軸方向位置及びZ軸方向位置を取得するようにしている。基準マーク14eのエッジに対応する画素のY軸方向位置及びZ軸方向位置に基づいて、原点位置を取得し、この原点位置を基準に画素22hのY軸方向位置及びZ軸方向位置を相対位置に変換し、その相対位置をキーにしたテーブル処理によって回転角を特定するようにしている。基準マーク14eを用いることによって回転角の特定精度の低下を抑制することができる。
【0037】
次に、このように構成された第1実施形態に係るエンコーダ100の作用・効果を説明する。
【0038】
第1実施形態に係るエンコーダ100は、主軸1aの回転量を特定するロータリエンコーダであって、主軸1aの回転量に応じて位置が変化する可動体12と、可動体12を撮像する撮像部22と、を備え、撮像部22の撮像結果22eに応じて主軸1aの回転量を特定する。この構成によれば、撮像結果22eに応じて回転量を特定するため、撮像部22の画素数を増やすことによって分解能を向上することができる。また、部品点数を減らして構造を簡素化することができる。また、通電を停止しても再通電時に通電停止前と同じ回転角を出力することができる。あるいは、通電停止中に主軸1aが外力などによって回転した場合でも、再通電時に、その回転後の主軸1aの回転角を出力することができる。
【0039】
第1実施形態に係るエンコーダ100は、基準位置を示す基準マーク14eを有するバックボード14を備え、撮像部22は可動体12と基準マーク14eとを一体に撮像する。この構成によれば、撮像結果22eにおける基準マーク14eの位置を基準に可動体12の位置を補正することによって、回転角の特定精度の低下を抑制することができる。
【0040】
第1実施形態に係るエンコーダ100では、撮像部22に可動体12の像を結ぶ光学部24を含む。この構成によれば、撮像部22は、可動体12の明瞭な撮像結果22eを取得することができるから、光学部24の結像性能を上げることによって分解能を向上することができる。
【0041】
第1実施形態に係るエンコーダ100では、可動体12に光を照射する光源部26を備える。この構成によれば、可動体12が照らされることにより撮像部22の信号レベルが大きくなるから、相対的にノイズの影響が小さくなって、回転角の特定精度を改善することができる。また、可動体12が照らされるから、光学部24の絞り値をその分大きくして結像性能を改善することができる。
【0042】
[第2実施形態]
本発明に係る第2実施形態は、主軸の回転量を特定するエンコーダである。
図6は、第2実施形態に係るエンコーダ200の概略構成を示す正面図である。
図6では、内部構造の理解を容易にするため、ハウジングの一部を省いて表示している。
図7は、エンコーダ200を説明するブロック図である。
図8は、可動体12の周辺を示す側面図である。
【0043】
第2実施形態に係るエンコーダ200では、可動体12が、主軸1aに対して順次減速して回転する複数の可動部材12e、12fと、を含んでおり、撮像部22は、可動部材12bと複数の可動部材12e、12fとを一体に撮像するように構成されている。エンコーダ200は、複数の可動部材12e、12fを撮像することによって、主軸1aの複数回の回転にわたる総回転回数を特定することができる。また、エンコーダ200は、総回転回数と回転角から主軸1aの複数回の回転にわたる回転量を特定することができる。したがって、エンコーダ200は、複数回の回転にわたる回転量を特定することが可能なアブソリュート型のエンコーダとして機能しうる。
【0044】
図6に示すように、エンコーダ200は、主軸1aと、可動体12と、バックボード14と、光源部26と、撮像部22と、光学部24と、制御部32と、ハウジング40と、を含む。エンコーダ200は、第1実施形態のエンコーダ100に対して、可動体12の構成および制御部32の構成において相違し、その他の構成は同様である。したがって重複する説明を省き、可動体12の構成および制御部32の構成について重点的に説明する。
【0045】
可動体12は、主軸1aと同じ回転速度で回転する可動部材12bと、主軸1aに対して順次減速して回転する複数の可動部材12e、12fと、を含む。可動部材12bについては第1実施形態と同様である。可動部材12e、12fは、その形状や材料に特別の制限はないが、
図6の例では、可動部材12bと同様の材料から同様の形状に形成されている。可動部材12e、12fにはシャフト13e、13fが固定される。シャフト13e、13fは、例えば、主軸1aと平行にX軸方向に伸びるように配置される。シャフト13e、13fは、図示しない軸受部材によってハウジング40に回転可能に支持されている。つまり、可動部材12e、12fは、シャフト13e、13fを中心として回転する。主軸1aとシャフト13eとの間には第1減速比R1の減速機構15eが設けられる。シャフト13eとシャフト13fとの間には第2減速比R2の減速機構15fが設けられる。減速機構15e、15fは、種々の減速機構によって構成可能であり、第2実施形態では複数の歯車によって構成されている。
【0046】
可動部材12eは、主軸1aに対して第1減速比R1で減速回転する。可動部材12fは、可動部材12eの回転に対して第2減速比R2で減速回転する。一例として、第1減速比R1は1/16であり、第2減速比R2は1/16である。つまり、主軸1aおよび可動部材12bが16回転するとき、可動部材12eは1回転し、可動部材12eが16回転するとき、可動部材12fは1回転する。換言すると、可動部材12fが1回転するとき、可動部材12eは16回転し、主軸1aおよび可動部材12bは256回転する。
【0047】
つまり、可動部材12fの1回転内の回転角を特定することによって主軸1aの256回転分の回転の回数を特定することができる。主軸1aの回転量は、例えば式1によって特定することができる。
(式1) 主軸1aの回転量=可動部材12bの回転角+可動部材12eの回転角×16+可動部材12fの回転角×256
【0048】
第2実施形態では、
図8に示すように、可動部材12b、可動部材12eおよび可動部材12fは、各可動部材の移動範囲がYZ平面において重ならないように配置されている。つまり、各可動部材の回転中心はYZ平面において離れて配置されている。
【0049】
制御部32は、撮像結果取得部30bと、回転角特定部32cと、関係テーブル30fと、回転量特定部32eと、を含む。撮像結果取得部30b、関係テーブル30fおよび出力部30dは第1実施形態と同様である。回転角特定部32cは、撮像結果22eに応じて可動部材12b、12e、12fそれぞれの回転角を特定する。各回転角は、各可動部材の先端部のエッジに対応する画素のY軸方向位置及びZ軸方向位置をキーとして関係テーブル30fを用いたテーブル処理によって特定することができる。回転量特定部32eは、特定された各回転角に応じて主軸1aの回転量を特定する。主軸1aの回転量は、各回転角に基づき上述の式1によって特定することができる。出力部30dは、特定された主軸1aの回転量を、所望の仕様の出力信号30aに変換して出力する。
【0050】
次に、このように構成された第2実施形態に係るエンコーダ200の動作を説明する。
図9は、エンコーダ200の動作の一例を示すフローチャートである。
図9は、撮像結果22eから主軸1aの回転量を特定して出力信号30aとして出力する処理S140を示している。処理S140を開始すると、制御部32は、可動部材12b、12e、12fを一体に撮像するように撮像部22を制御する(ステップS142)。各可動部材を撮像したら、撮像結果取得部30bは、撮像部22から撮像結果22eを取得する(ステップS144)。撮像結果22eを取得したら、回転角特定部32cは、撮像結果22eから可動部材12b、12e、12fそれぞれの位置を特定する(ステップS146)。ステップS146では、可動部材12b、12e、12fそれぞれの先端部のエッジに対応する画素のY軸方向位置及びZ軸方向位置を特定することができる。
【0051】
各画素の位置を特定したら、回転角特定部32cは、各Y軸方向位置及びZ軸方向位置をキーとして関係テーブル30fを用いてテーブル処理によって各可動部材の各回転角を特定する(ステップS148)。各回転角を特定したら、回転量特定部32eは、各回転角に応じて、上述の式1に基づく演算によって主軸1aの回転量を特定する(ステップS150)。回転量を特定したら、出力部30dは、特定された回転量を出力信号30aに変換して出力する(ステップS152)。ステップS152を実行した制御部32は、処理をステップS142の先頭に戻し、ステップS142〜S152を繰り返す。なお、この処理S140はあくまでも一例であり、他のステップを追加したり、一部のステップを削除したり、ステップの順序を変更したりすることも可能である。
【0052】
第2実施形態に係るエンコーダ200は、第1実施形態と同様の作用・効果を奏する。加えて、エンコーダ200は以下の作用・効果を奏する。
【0053】
第2実施形態に係るエンコーダ200では、可動体12は、主軸1aと同じ回転速度で回転する可動部材12bと、主軸1aに対して順次減速して回転する複数の可動部材12e、12fと、を含み、撮像部22は、可動部材12bおよび複数の可動部材12e、12fを一体に撮像する。この構成によれば、1つの撮像部22によって各可動部材を一体に撮像して、主軸1aの複数回の回転にわたる回転量を特定することができるから、部品点数を減らして構造を簡素化することができる。
【0054】
[第3実施形態]
本発明に係る第3実施形態も、入力軸の回転量を特定するエンコーダである。
図10は、第3実施形態に係るエンコーダ300の概略構成を示す正面図である。
図10では、内部構造の理解を容易にするため、ハウジングの一部を省いて表示している。エンコーダ300は、第1実施形態のエンコーダ100に対して、可動体12を含む可動体ユニット10が、撮像部22を含む撮像ユニット20に、繰り返し着脱可能に装着されている点で相違し、その他の構成は同様である。つまり、エンコーダ300は、ハウジング40の代わりに、装着機構42mを含むハウジング42と、装着機構44mを含むハウジング44とを備える。装着機構42mと装着機構44mとが係合することによって、ハウジング44はハウジング42に装着される。装着機構42mと装着機構44mの係合が外れることによって、ハウジング44はハウジング42から分離される。
【0055】
ハウジング42は、可動体12と、バックボード14と、を支持するとともにこれらの周囲を包囲する。ハウジング44は、撮像部22と、光学部24と、光源部26と、制御部30と、を支持するとともにこれらの周囲を包囲する。ハウジング42、44は、例えば、軸方向に延在する円筒や角筒などの中空筒状の部材である。ハウジング42、44は、ハウジング40を軸方向に分割したような形状を有し、ハウジング40と同様に形成することができる。
【0056】
ハウジング42のモータ1側の端部に中空部分を覆う側壁42bが設けられ、側壁42bには、主軸1aが通るための軸孔42eが設けられる。ハウジング42の撮像ユニット20と対向する側の端部には開口42cが設けられる。開口42cには、透光性を有する透光部材42fが固定される。透光部材42fを設けることは必須ではない。ハウジング42には装着機構44mと係合するための装着機構42mが設けられる。装着機構42mは、装着機構44mと嵌合するための嵌合部を含んでもよい。装着機構42mは、例えば、ハウジング42の外周に設けられた凹部42nを含む。凹部42nは、ハウジング42の外周に半径方向に窪む。凹部42nは周状凹部であってもよい。
【0057】
ハウジング44の可動体ユニット10と対向する側の端部には開口44cが設けられる。開口44cには、透光性を有する透光部材44fが固定される。透光部材44fを設けることは必須ではない。ハウジング44の可動体ユニット10とは反対側の端部には中空部分を覆う側壁44bが設けられる。ハウジング44には装着機構42mと係合するための装着機構44mが設けられる。装着機構44mは、装着機構42mと嵌合するための嵌合部を含んでもよい。装着機構44mは、ハウジング44の外周から軸方向に突き出した複数(例えば2つ)の爪部44nを含む。爪部44nは、凹部42nに係合可能な形状を有する。爪部44nは、半径方向に一定の範囲で弾性変形可能に形成される。爪部44nが凹部42nに係合することによって、ハウジング44はハウジング42に装着される。爪部44nを凹部42nから浮かして、ハウジング44をハウジング42から軸方向に離すことによって、これらは分離される。
【0058】
第3実施形態に係るエンコーダ300は、第1実施形態と同様の作用・効果を奏する。加えて、エンコーダ300は以下の作用・効果を奏する。
【0059】
第3実施形態に係るエンコーダ300は、主軸1aの回転量を特定するロータリエンコーダであって、主軸1aの回転量に応じて位置が変化する可動体12を含む可動体ユニットと10、可動体12を撮像する撮像部22を含み、可動体ユニット10に繰り返し着脱可能な撮像ユニット20と、を備え、撮像部22の撮像結果22eに応じて主軸1aの回転量を特定する。この構成によれば、可動体ユニット10に撮像ユニット20を装着することによって、第1実施形態に係るエンコーダ100と同様に動作し、主軸1aの回転量を特定することができる。エンコーダ300は、可動体ユニット10から撮像ユニット20を取り外すことによって、撮像ユニット20の装着スペースが活用できる。複数の可動体ユニット10に対して、1つの撮像ユニット20を順次装着して回転量の特定をすることができる。
【0060】
[第4実施形態]
本発明に係る第4実施形態は、複数の主軸それぞれの回転量を特定可能なエンコーダである。
図11は、第4実施形態に係るエンコーダ400の概略構成を示す正面図である。
図11では、内部構造の理解を容易にするため、ハウジングの一部を省いて表示している。
図12は、エンコーダ400を示すブロック図である。
図13は、可動体12の周辺を示す側面図である。エンコーダ400では、可動体12は、複数の主軸1a、2aそれぞれの回転量に応じて位置が変化する複数の可動体である可動部材12b、12gを含んでおり、撮像部22は、可動部材12b、12gを一体に撮像するように構成されている。エンコーダ400は、可動部材12b、12gを一体に撮像することによって、複数の主軸1a、2aそれぞれの回転量を特定することができる。
【0061】
図11に示すように、エンコーダ400は、複数のモータ1、2それぞれの主軸1a、2aと、複数の可動部材12b、12gと、バックボード14と、光源部26と、撮像部22と、光学部24と、制御部34と、ハウジング40と、を含む。エンコーダ400は、第1実施形態のエンコーダ100に対して、可動部材12gおよび制御部34の構成において相違し、その他の構成は同様である。したがって重複する説明を省き、可動部材12gおよび制御部34の構成について重点的に説明する。可動部材12bは主軸1aと同じ回転速度で回転し、可動部材12gは主軸2aと同じ回転速度で回転する。つまり、主軸1aが1回転するとき、可動部材12bは1回転し、主軸2aが1回転するとき、可動部材12gは1回転する。
【0062】
制御部34は、撮像結果取得部30bと、回転角特定部34cと、関係テーブル30fと、出力部34d、34jと、を含む。撮像結果取得部30bは第1実施形態と同様である。回転角特定部34cは、撮像結果22eに応じて可動部材12b、12gそれぞれの回転角を特定する。各回転角は、各可動部材の先端部のエッジに対応する画素のY軸方向位置及びZ軸方向位置をキーとして関係テーブル30fを用いたテーブル処理によって特定することができる。出力部34dは、回転角特定部34cによって特定された主軸1aの回転量を、所望の仕様の出力信号34mに変換して出力する。出力部34jは、回転角特定部34cによって特定された主軸2aの回転量を、所望の仕様の出力信号34nに変換して出力する。
【0063】
次に、第4実施形態に係るエンコーダ400の動作を説明する。
図14は、エンコーダ400の動作の一例を示すフローチャートである。
図14は、撮像結果22eから主軸1a、2aそれぞれの回転量を特定して出力信号34m、34nとして出力する処理S160を示している。処理S160を開始すると、制御部34は、可動部材12b、12gを一体に撮像するように撮像部22を制御する(ステップS162)。可動部材12b、12gを撮像したら、撮像結果取得部30bは、撮像部22から撮像結果22eを取得する(ステップS164)。撮像結果22eを取得したら、回転角特定部34cは、撮像結果22eから可動部材12b、12gの各位置を特定する(ステップS166)。ステップS166では、可動部材12b、12gの先端部の各エッジに対応する各画素のY軸方向位置及びZ軸方向位置を特定することができる。
【0064】
各画素の位置を特定したら、回転角特定部34cは、各Y軸方向位置及びZ軸方向位置をキーとして関係テーブル30fを用いてテーブル処理によって各可動部材の回転角を特定する(ステップS168)。各回転角を特定したら、出力部34d、34jそれぞれは、特定された各回転角を出力信号34m、34nに変換して出力する(ステップS170)。ステップS170を実行した制御部34は、処理をステップS162の先頭に戻し、ステップS162〜S170を繰り返す。なお、この処理S160はあくまでも一例であり、他のステップを追加したり、一部のステップを削除したり、ステップの順序を変更したりすることも可能である。
【0065】
第4実施形態に係るエンコーダ400は、第1実施形態と同様の作用・効果を奏する。加えて、エンコーダ400は以下の作用・効果を奏する。
【0066】
第4実施形態に係るエンコーダ400は、複数の主軸1a、2aそれぞれの回転量を特定するロータリエンコーダであって、複数の主軸1a、2aそれぞれの回転量に応じて位置が変化する複数の可動部材12b、12gと、複数の可動部材12b、12gを一体に撮像する撮像部22と、を備え、撮像部22の撮像結果22eに応じて複数の主軸1a、2aそれぞれの回転量を特定する。この構成によれば、1つの撮像部22によって複数の主軸1a、2aに対応する複数の可動部材12b、12gを一体に撮像して、主軸1a、2aの回転量を特定することができるから、部品点数を減らして構造を簡素化することができる。
【0067】
[第5実施形態]
本発明に係る第5実施形態は、主軸の回転量を特定するエンコーダである。
図15は、第5実施形態に係るエンコーダ500の概略構成を示す正面図である。
図15では、内部構造の理解を容易にするため、ハウジングの一部を省いて表示している。
図16は、エンコーダ500を説明するブロック図である。
図17は、可動体の周辺を示す側面図である。
【0068】
第5実施形態に係るエンコーダ500では、主軸1aと同じ回転速度で回転する可動部材12bと、主軸1aに対してそれぞれ異なる減速比で回転する複数の可動部材12h、12jと、を備えており、撮像部22は、可動部材12b、12h、12jを一体に撮像するように構成されている。エンコーダ500は、可動部材12bを撮像することによって、主軸1aの回転角を特定することができる。エンコーダ500は、可動部材12e、12jを撮像することによって、主軸1aの複数回の回転にわたる総回転回数を特定することができる。エンコーダ500は、総回転回数と回転角から主軸1aの複数回の回転にわたる回転量を特定することができる。したがって、エンコーダ500は、複数回の回転にわたる回転量を特定することが可能なアブソリュート型のエンコーダとして機能しうる。
【0069】
図15に示すように、エンコーダ500は、主軸1aと、可動部材12bと、可動部材12h、12jと、バックボード14と、光源部26と、撮像部22と、光学部24と、制御部36と、ハウジング40と、を含む。エンコーダ500は、第1実施形態のエンコーダ100に対して、可動部材12h、12jおよび制御部36の構成において相違し、その他の構成は同様である。したがって重複する説明を省き、可動部材および制御部36の構成について重点的に説明する。
【0070】
エンコーダ500は、主軸1aと同じ回転速度で回転する可動部材12bと、主軸1aに対してそれぞれ異なる減速比で回転する複数の可動部材12h、12jと、を含む。可動部材12bについては第1実施形態と同様である。可動部材12h、12jは、その形状や材料に特別の制限はないが、
図15の例では、可動部材12bと同様の材料から同様の形状に形成されている。可動部材12h、12jにはシャフト13h、13jが固定される。シャフト13h、13jは、例えば、主軸1aと平行にX軸方向に伸びるように配置される。シャフト13h、13jは、図示しない軸受部材によってハウジング40に回転可能に支持されている。つまり、可動部材12h、12jは、シャフト13h、13jを中心として回転する。
【0071】
主軸1aとシャフト13hとの間には第3減速比R3の減速機構15hが設けられる。主軸1aとシャフト13jとの間には第4減速比R4の減速機構15jが設けられる。減速機構15h、15jは、種々の減速機構によって構成可能であり、
図15の例では複数の歯車によって構成されている。可動部材12hは、主軸1aに対して第3減速比R3で減速回転する。可動部材12jは、主軸1aに対して第4減速比R4で減速回転する。一例として、第3減速比R3は1/16であり、第4減速比R4は1/15である。第4減速比R4は第3減速比R3と異なる。つまり、主軸1aが16回転するとき、可動部材12hは1回転する。主軸1aが15回転するとき、可動部材12jは1回転する。可動部材12jは可動部材12hの16/15倍早く回転する。
【0072】
可動部材12h、12jは、同じ初期回転位置から同時に回転し始めると、主軸1aが、15と16の最小公倍数である240回転したときに、当該初期回転位置に同時に達する。つまり、主軸1aが240回転する間、可動部材12h、12jそれぞれの回転位置の関係は変化し続け、同じ回転位置の関係になることはない。したがって、可動部材12h、12jそれぞれの回転位置から主軸1aの総回転回数を特定することができる。また、主軸1aの複数回の回転にわたる回転量は、例えば式2によって特定することができる。
(式2) 主軸1aの回転量=可動部材12bの回転角+主軸1aの総回転回数×360°
【0073】
制御部36は、撮像結果取得部30bと、回転角特定部36cと、関係テーブル30f、36gと、回転数特定部36hと、回転量特定部36jと、出力部30dと、を含む。撮像結果取得部30b、出力部30dおよび関係テーブル30fは、第1実施形態と同様である。回転角特定部36cは、撮像結果22eに応じて可動部材12b、12h、12jそれぞれの回転角を特定する。各回転角は、各可動部材の先端部のエッジに対応する画素のY軸方向位置及びZ軸方向位置をキーとして関係テーブル30fを用いたテーブル処理によって特定することができる。
【0074】
関係テーブル36gは、可動部材12h、12jそれぞれの回転位置と主軸1aの総回転回数との関係を内蔵している。回転数特定部36hは、可動部材12h、12jの回転角に応じて主軸1aの総回転回数を特定する。主軸1aの総回転回数は、可動部材12h、12jの回転角をキーとして関係テーブル36gを用いたテーブル処理によって特定することができる。回転量特定部36jは、特定された可動部材12bの回転角と主軸1aの総回転回数とに基づいて、上述の式2によって主軸1aの回転量を特定する。出力部30dは、特定された主軸1aの回転量を、所望の仕様の出力信号30aに変換して出力する。
【0075】
次に、このように構成された第5実施形態に係るエンコーダ500の動作を説明する。
図18は、エンコーダ500の動作の一例を示すフローチャートである。
図18は、撮像結果22eから主軸1aの回転量を特定して出力信号30aとして出力する処理S160を示している。処理S160を開始すると、制御部36は、可動部材12b、12h、12jを一体に撮像するように撮像部22を制御する(ステップS162)。各可動部材を撮像したら、撮像結果取得部30bは、撮像部22から撮像結果22eを取得する(ステップS164)。撮像結果22eを取得したら、回転角特定部36cは、撮像結果22eから可動部材12b、12h、12jそれぞれの位置を特定する(ステップS166)。ステップS166では、可動部材12b、12h、12jそれぞれの先端部のエッジに対応する画素のY軸方向位置及びZ軸方向位置を特定することができる。
【0076】
各画素の位置を特定したら、回転角特定部36cは、各Y軸方向位置及びZ軸方向位置をキーとして関係テーブル30fを用いてテーブル処理によって各可動部材の各回転角を特定する(ステップS168)。各回転角を特定したら、回転数特定部36hは、可動部材12h、12jの回転角をキーとして関係テーブル36gを用いてテーブル処理することにより、主軸1aの総回転回数を特定する(ステップS170)。総回転回数を特定したら、回転量特定部36jは、可動部材12bの回転角と主軸1aの総回転回数とに基づいて上述の式2によって主軸1aの回転量を特定する(ステップS172)。回転量を特定したら、出力部30dは、特定された回転量を出力信号30aに変換して出力する(ステップS174)。ステップS174を実行した制御部36は、処理をステップS162の先頭に戻し、ステップS162〜S174を繰り返す。なお、この処理S160はあくまでも一例であり、他のステップを追加したり、一部のステップを削除したり、ステップの順序を変更したりすることも可能である。
【0077】
第5実施形態に係るエンコーダ500は、第1実施形態と同様の作用・効果を奏する。加えて、エンコーダ500は以下の作用・効果を奏する。
【0078】
第5実施形態に係るエンコーダ500は、主軸1aの回転量を特定するロータリエンコーダであって、主軸1aと同じ回転速度で回転する可動部材12bと、主軸1aに対してそれぞれ異なる減速比で回転する複数の可動部材12h、12jと、可動部材12bおよび複数の可動部材12h、12jを一体に撮像する撮像部22と、を備え、撮像部22の撮像結果22eから主軸1aの回転量を特定する。この構成によれば、1つの撮像部22によって各可動部材を一体に撮像して、主軸1aの複数回の回転にわたる回転量を特定することができるから、部品点数を減らして構造を簡素化することができる。
【0079】
[第6実施形態]
本発明に係る第6実施形態は、第1実施形態のエンコーダ100に適用される回転量の特定方法である。角度センサを用いて回転量を特定する方法では、ひとつの角度センサの検知結果からひとつの回転体の回転角を特定するから、回転体の数を増やすと、角度センサの数も増えて構成が煩雑になる場合がある。第6実施形態に係る方法は、主軸1aの回転に応じて移動する可動体12を撮像することと、当該撮像結果22eに応じて主軸1aの回転量を特定することと、を含む。この方法によれば、ひとつの撮像結果から複数の可動体の回転角を特定することができるので、撮像手段の増加を抑えて構成を簡素化することができる。
【0080】
以上、各実施形態をもとに説明した。これらの実施形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求の範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【0081】
以下、変形例について説明する。変形例の図面および説明では、各実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。各実施形態と重複する説明を適宜省略し、各実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0082】
(第1変形例)
各実施形態では、制御部がエンコーダのハウジング内に設けられる例について説明したがこれに限られない。制御部はエンコーダの外部に設けられてもよい。例えば、制御部を含むホストコンピュータを設け、ホストコンピュータがエンコーダから撮像結果22eを取得して主軸の回転量を特定するようにしてもよい。この場合、1つのホストコンピュータによって、複数のエンコーダの主軸の回転量を特定することも可能になる。
【0083】
(第2変形例)
各実施形態では、可動部材12bが主軸1aに固定されて一体に回転する例について説明したがこれに限られない。可動部材12bは主軸1aから離れて設けられてもよい。例えば、可動部材12bは、主軸1aから伝達機構を介して駆動されてもよい。
【0084】
(第3変形例)
各実施形態では、可動体が棒状の可動部材を含む例について説明したがこれに限られない。可動体は、例えば、形状を特定可能なマークや模様が設けられた部材を含んでもよい。この場合、この部材にはホログラムが表示されてもよい。
【0085】
(第4変形例)
第1実施形態では、可動部材12bが主軸1aと同じ回転速度で回転する例について説明したがこれに限られない。可動部材12bは主軸1aと異なる回転速度で回転するようにしてもよい。例えば、可動部材12bは、主軸1aに対して所定の変速比で変速されて回転するように構成されてもよい。可動部材12bが減速回転する構成では、可動部材12bの回転角に応じて主軸1aの複数回転にわたる回転量を特定することができる。
【0086】
(第5変形例)
第2実施形態では、可動部材12b、12e、12fは、各可動部材の移動範囲がYZ平面において重ならないように配置される例について説明したが、これに限定されない。可動部材12b、12e、12fは、YZ平面において、各可動部材の移動範囲が重なるように配置されてもよい。例えば、各可動部材のX軸方向の位置を離して配置することにより実現することができる。可動部材12b、12e、12fは、各可動部材の回転中心のYZ座標が一致するように配置されてもよい。
【0087】
上述の変形例によれば、各実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0088】
上述した各実施形態同士および各実施形態と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。