【実施例】
【0034】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
【0035】
(実施例1)
市販のブタ皮由来コラーゲンペプチド(株式会社ニッピ製、商品名「豚皮由来コラーゲンペプチドPS−1」)とテラピア鱗由来コラーゲンペプチド(株式会社ニッピ製、商品名「テラピア鱗由来コラーゲンペプチドFCP−A」)を、10mM HEPES、40mM NaCl、1mM CaCl
2を含むpH7.5の反応溶媒に溶解して2%コラーゲンペプチド溶液を調製した。
【0036】
また、40mgのグリモンティア属由来コラゲナーゼ(株式会社ニッピ製、商品名「Brightase−C」)を2mlの20mM HEPES、30mM NaCl、2mM CaCl
2を含む溶媒(pH7.5)に溶解してコラゲナーゼ溶液を調製した。
【0037】
0.25mlの前記2%コラーゲンペプチド溶液に、前記コラゲナーゼ溶液0.01ml、およびHEPES緩衝液0.24mlを添加し、温度37℃で24時間反応させた。24時間後に、0.04mlの0.1N HClを添加して反応を停止させた。
【0038】
また、各ペプチド溶液に対し、前記コラゲナーゼ溶液に代えて同量のHEPES緩衝液を添加した以外は、ペプチド溶液の調製と同様に操作して、対照溶液とした。
【0039】
各ペプチド溶液およびコラゲナーゼを添加しなかった対照溶液について、下記条件でLC−MS分析でGly−Pro−Hyp量およびPro−Hyp量を測定した。
装置:
液体クロマトグラフ:アジレントテクノロジー社製、「1200シリーズ」
カラム:Ascentis F5(スペルコ社製、φ4.6mm×250mm)
三重連四重極質量分析装置(Sciex社製、「3200QTRAP」)
条件:MRM(multiple reaction monitoring)、イオン化法:ESI、ポジティブ
Gly−Pro−Hypの検出条件;Q1=286、Q3=127
Pro−Hypの検出条件;Q1=229、Q3=70
イオンスプレー電圧:3.5kV
イオンソース温度:600℃
移動相:A液;0.1%ギ酸、B液;100%アセトニトリル
グラジエント条件:0−2分:A液98%、2−6分:A液98−40%、6.1−8分:A液40−10%、8.1−10分:A液98%
流速:600μl/min
カラム温度:40℃
注入量:10μl
【0040】
ペプチド溶液に含まれるGly−Pro−Hyp量をAs、Pro−Hyp量をBs、対照溶液に含まれるGly−Pro−Hyp量をAb、Pro−Hyp量をBbとし、測定結果と対応する記号を表1に示す。また、Asに(Pro−Hypの
分子量/Gly−Pro−Hypの
分子量)を乗じた算出値をCsとする。すなわちCs=As×(Pro−Hypの
分子量/Gly−Pro−Hypの
分子量)=As×228/285=As×0.8である。Csの結果も併せて表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
コラーゲンペプチドに含まれるトリペプチドGly−Pro−HypをAbとし、コラーゲンペプチドに含まれるGly−Pro−Hyp配列量をAsとすれば、AsとAbとの差は、コラーゲンペプチドからから生成可能な潜在的Gly−Pro−Hyp量となる。表2に、PS−1およびFCP−Aに含まれるトリペプチドGly−Pro−Hyp量(Ab)、全Gly−Pro−Hyp配列量(As)、および潜在的Gly−Pro−Hyp量(As−Ab)を示す。
【0043】
【表2】
【0044】
本発明の測定方法によれば、コラーゲンペプチドに含まれる全Gly−X−Y配列量と、コラーゲンペプチドが潜在的に含有する潜在的Gly−X−Y量を算出することができる。表2に示すように、コラーゲンペプチドの種類によって、全Gly−Pro−Hyp配列量は異なり、ブタ由来コラーゲンペプチド>テラピア鱗由来コラーゲンペプチドであった。コラーゲンペプチド自体に含まれるトリペプチドGly−Pro−Hyp量は0.012、0.001g/kgとごく微量であるが、潜在的Gly−Pro−Hyp量は、99.887,76.872g/kgであった。本発明によれば、コラーゲンペプチド自体を試料としても測定できない全Gly−Pro−Hyp配列量およびコラーゲンペプチドの潜在的Gly−X−Y量を測定することができる。
【0045】
一方、ペプチド溶液に含まれるジペプチドPro−Hyp量をBsとし、ペプチド溶液のGly−Pro−Hyp配列由来のPro−Hyp配列量をCsとすれば、コラーゲンペプチドから生成可能な全Pro−Hyp配列量はBs+Csとなる。コラーゲンペプチドに含まれるジペプチドPro−Hyp量をBbとすれば、(Bs+Cs)とBbとの差は、コラーゲンペプチドからから生成可能な潜在的Pro−Hyp量となる。PS−1およびFCP−Aに含まれるジペプチドPro−Hyp量(Bb)、全Pro−Hyp配列量(Bs+Cs)、および潜在的Pro−Hyp量を表3に示す。
【0046】
【表3】
【0047】
表3に示すように、コラーゲンペプチド自体に含まれるジペプチドPro−Hyp量はブタ由来コラーゲンペプチド、テラピア鱗由来コラーゲンペプチドのいずれも0.002g/kgとごく微量であるが、潜在的Pro−Hyp量は、80.030、61.638g/kgであった。本発明によれば、ペプチド溶液のGly−X−Y量と共にX−Y量を測定することで、コラーゲンペプチドに含まれる全Pro−Hyp配列量およびコラーゲンペプチドの潜在的X−Y量を求めることができる。
【0048】
なお、ブタ皮由来I型コラーゲンの配列から予想されるPro−Hyp量は、85.84(g/kg;水分5〜10%、灰分1%未満)であるから、上記表3のPS−1の全Pro−Hyp配列量は、コラーゲンペプチドに含まれるPro−Hyp配列量を反映する結果となった。また、テラピア鱗由来コラーゲンはブタ由来コラーゲンと比較して0.5〜2モル%Hyp量が少ないことは公知である。本願発明の測定方法によれば、グリモンティア属由来コラゲナーゼを使用することで、コラーゲンペプチドに含まれるPro−Hyp配列量を簡便に定量することができる。
【0049】
(比較例1)
グリモンティア属由来コラゲナーゼに代えて、M9Bに分類されるバクテリアコラゲナーゼであるクロストリジウム属由来コラゲナーゼ(株式会社ロッシュ製、Liberase−C)を使用して、実施例1と同様に操作した。結果を表4、表5およ表6に示す。
【0050】
【表4】
【0051】
【表5】
【0052】
【表6】
【0053】
実施例1の結果を示す表1と、比較例1の結果を示す表4とから、クロストリジウム属由来コラゲナーゼによって生成するGly−Pro−HypおよびPro−Hypは、M9A由来バクテリアコラゲナーゼによる場合の80〜86%となる。このため、表5、表6に示すように、全Gly−Pro−Hyp配列量、潜在的Gly−Pro−Hyp量、全Pro−Hyp配列量、潜在的Pro−Hyp量がいずれもグリモンティア属由来コラゲナーゼを使用した場合と比較して低値となった。