(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記液体排出工程が、前記液体供給口を通して成形後の前記液体入り容器の内部から所定量の液体を吸い戻すサックバックにより行われる、請求項3に記載の液体入り容器の製造方法。
前記液体供給口を開閉するシール体の開度を調整することにより、前記液体置換工程において前記プリフォームの内部に液体を供給する際の前記液体供給口の有効断面積を、前記液体ブロー成形工程において前記プリフォームの内部に加圧した液体を供給する際の前記液体供給口の有効断面積の10%以下とする、請求項1〜7の何れか1項に記載の液体入り容器の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明をより具体的に例示説明する。
【0021】
本発明の一実施の形態である液体入り容器の製造方法は、合成樹脂製のプリフォームから内容液を収容した液体入り容器を製造する液体入り容器の製造方法であって、ブロー成形用金型に装着したプリフォームの口部にブローノズルを係合させるノズル係合工程と、ブローノズルに設けられた排出口を開いた状態で、ブローノズルに排出口とは別に設けられた液体供給口からプリフォームの内部に所定量の液体を供給してプリフォームの内部の空気を液体に置換する液体置換工程と、排出口を閉じた後、液体供給口からプリフォームの内部に加圧した液体を供給して、プリフォームをブロー成形用金型の内面に沿った形状の液体入り容器に成形する液体ブロー成形工程と、を有することを特徴とする液体入り容器の製造方法である。
【0022】
本実施の形態の液体入り容器の製造方法は、液体置換工程において、液体ブロー成形工程よりも低い圧力でプリフォームの内部に所定量の液体を供給するようにしている。
【0023】
また、本実施の形態の液体入り容器の製造方法は、液体ブロー成形工程の最中に、延伸ロッドによりプリフォームを軸方向に延伸させるロッド延伸工程を有するとともに、液体ブロー成形工程の後に、延伸ロッドを液体入り容器から離脱させるロッド引抜き工程を有している。
【0024】
本実施の形態の液体入り容器の製造方法は、液体ブロー成形工程の後、液体供給口を通して成形後の液体入り容器の内部から所定量の液体を排出させる液体排出工程と、所定量の液体を排出した状態の液体入り容器の口部からブローノズルを離脱させて液体入り容器の内部に所定量のヘッドスペースを生じさせるヘッドスペース形成工程とをさらに有している。
【0025】
本実施の形態の液体入り容器の製造方法は、液体排出工程は、液体供給口を通して成形後の液体入り容器の内部から所定量の液体を吸い戻すサックバックにより行われる。
【0026】
このような本発明の液体入り容器の製造方法は、例えば
図1に示す構成の液体入り容器の製造装置1を用いて実施することができる。
【0027】
図1に示す液体入り容器の製造装置1は、合成樹脂製のプリフォーム2から内容液を収容した液体入り容器Cを製造するものである。液体入り容器Cに収容される液体(内容液)Lとしては、例えば飲料、化粧品、薬品、洗剤、シャンプー等のトイレタリーなどの様々な液体Lを採用することができる。
【0028】
プリフォーム2としては、例えばポリプロピレン(PP)やポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱可塑性を有する合成樹脂材料によって、開口端となる円筒状の口部2aと、口部2aに連なるとともに下端が閉塞された円筒状の胴部2bとを有する有底筒状に形成されたものを用いることができる。
【0029】
詳細は図示しないが、口部2aの外壁面には、成形後の液体入り容器Cの口部2aに閉塞キャップ(不図示)を打栓(アンダーカット係合)によって装着するための係合突起が設けられている。なお、口部2aの外壁面に係合突起に替えて雄ネジを設けて閉塞キャップを口部2aにねじ結合により装着する構成とすることもできる。
【0030】
液体入り容器の製造装置1は、ブロー成形用金型10を有している。ブロー成形用金型10は、例えばボトル形状などの液体入り容器Cの最終形状に対応した形状のキャビティ11を有している。キャビティ11はブロー成形用金型10の上面において上方に向けて開口している。プリフォーム2は、胴部2bがブロー成形用金型10のキャビティ11の内部に配置されるとともに口部2aがブロー成形用金型10から上方に突出した状態となってブロー成形用金型10に装着される。
【0031】
ブロー成形用金型10は左右に型開きすることができるようになっており、プリフォーム2を液体入り容器Cに成形した後にブロー成形用金型10を左右に開くことで、当該液体入り容器Cをブロー成形用金型10から取り出すことができるようになっている。
【0032】
ブロー成形用金型10の上方には、プリフォーム2の内部に加圧した液体Lを供給するためのノズルユニット20が設けられている。ノズルユニット20は本体ブロック21を有し、この本体ブロック21はブロー成形用金型10に対して上下方向に相対移動自在となっている。
【0033】
図2に示すように、本体ブロック21の下端には支持ブロック22が設けられ、この支持ブロック22により支持されて本体ブロック21の下端にはブローノズル23が装着されている。ブローノズル23は略円筒状に形成されており、本体ブロック21が下方側のストローク端にまで下降したときにブロー成形用金型10に装着されたプリフォーム2の口部2aに上方側から密封状態で係合する。
【0034】
ブローノズル23の円筒状部分の内側部分は液体供給口23aとなっている。また、ブローノズル23の液体供給口23aを構成する円筒状部分には、当該円筒状部分の下端に開口する排出口23bが設けられている。なお、排出口23bは、後述する延伸ロッド28等の他の部位に設けてもよい。本実施の形態においては、ブローノズル23の当該円筒状部分には8つの排出口23bが周方向に等間隔に並べて設けられているが、その数は種々変更可能である。
【0035】
本体ブロック21の内部には上下方向に延びる供給路24が設けられている。この供給路24はブローノズル23の液体供給口23aに液体Lを供給するための流路であり、その下端においてブローノズル23の液体供給口23aに連通している。
【0036】
さらに、
図1に示すように、本体ブロック21には、供給路24の上端に連通する供給ポート25が設けられている。
【0037】
供給路24の内部にはブローノズル23の液体供給口23aを開閉するためのシール体26が配置されている。シール体26はノズルユニット20に上下方向に移動自在に設けられた軸体27の下端に固定され、供給路24の内部で上下方向に移動自在となっている。なお、シール体26は、軸体27と一体に形成するようにしてもよい。シール体26は円柱状に形成されており、下方側のストローク端位置である閉位置にまで移動したときに下端面においてブローノズル23の上面に当接してブローノズル23の液体供給口23aを閉塞する。一方、シール体26が閉位置から上方に向けて移動すると、ブローノズル23の液体供給口23aは開かれて供給路24と連通される。
【0038】
図示するように、液体入り容器の製造装置1は延伸ロッド28を備えた構成とすることができる。延伸ロッド28は、軸体27の軸心に該軸体27に対して上下方向に相対移動自在に挿入されており、シール体26の軸心を貫通してシール体26の下端から出没可能に設けられている。延伸ロッド28は図示しない駆動源により駆動されて下方に向けて移動することにより、プリフォーム2を軸方向に延伸させることができる。
【0039】
供給ポート25には、配管P1により加圧液体供給源30が接続されている。加圧液体供給源30は、例えばシリンダ30aとピストン(プランジャー)30bとを備えたプランジャーポンプで構成することができる。
【0040】
加圧液体供給源30には供給タンク31が接続されている。供給タンク31は、液体Lを収容するとともに当該液体Lを所定温度にまで加熱して当該温度に保持する構成とすることができる。加圧液体供給源30と供給タンク31との間の流路には開閉弁V1が設けられ、この開閉弁V1により当該流路を開閉することができる。なお、符号32は配管P1に設けられた圧力計である。
【0041】
ブローノズル23に設けられた複数の排出口23bは、それぞれ上方に延びるとともに径方向外側に曲がる流路23cによってブローノズル23の外周面に環状に設けられた連結路23dに連通されている。連結路23dは、支持ブロック22の側面の接続ポート22aに接続された配管P2を介して排出タンク(不図示)が接続されている。すなわち、ブローノズル23に設けられた複数の排出口23bは、それぞれ排出タンクに接続されている。なお、配管P2は、排出タンクに替えて排出用の吸引ポンプに接続することもできる。配管P2には開閉弁V2が設けられている。
【0042】
加圧液体供給源30は、シール体26が上方に移動して液体供給口23aが開かれた状態において正方向(加圧方向)に作動することにより、配管P1、供給ポート25、供給路24及びブローノズル23の液体供給口23aを介してプリフォーム2の内部に所定圧力にまで加圧した液体Lを供給することができる。また、加圧液体供給源30は、シール体26により液体供給口23aが閉じられ、開閉弁V2が閉じられるとともに開閉弁V1が開かれた状態において逆方向に作動することにより、供給タンク31に収容されている液体Lをシリンダ30aの内部に吸引し、次の液体ブロー成形に備えることができる。なお、加圧液体供給源30は、シール体26により液体供給口23aが開かれるとともに開閉弁V1、V2が閉じられた状態において逆方向(吸引方向)に作動することにより、成形後の液体入り容器Cの内部に収容されている液体Lを供給路24に吸い戻して、当該液体入り容器Cの外部に排出させる構成を備えてもよい。
【0043】
ノズルユニット20、シール体26、延伸ロッド28、加圧液体供給源30及び開閉弁V1、V2等の作動は、図示しない制御装置によって統合的に制御される。この制御は、圧力計32の値等を参照して行うことができる。なお、開閉弁V1、V2は、制御装置によって制御可能な電磁弁により構成されるのが好ましい。
【0044】
次に、このような構成の液体入り容器の製造装置1を用いて、合成樹脂製のプリフォーム2から所定形状の容器の内部に液体(内容液)Lが収容されてなる液体入り容器Cを成形する方法(本実施の形態に係る液体入り容器の製造方法)について説明する。
【0045】
まず、予めヒーター等の加熱手段(不図示)を用いて延伸性を発現する程度の所定の温度(例えば80℃〜150℃)にまで加熱しておいたプリフォーム2をブロー成形用金型10に装着し、型締めする。
【0046】
次に、ノズル係合工程が行われる。ノズル係合工程においては、ノズルユニット20をブロー成形用金型10に向けて下降させてブローノズル23をプリフォーム2の口部2aに密封状態で係合させる。
図1、
図2は、ブローノズル23がプリフォーム2の口部2aに係合した状態を示す。この状態においては、シール体26と開閉弁V1は閉じており、開閉弁V2は開かれている。また、延伸ロッド28はブローノズル23から下方に突出しない原位置に保持されている。
【0047】
次に、
図3に示すように、液体置換工程が行われる。液体置換工程においては、開閉弁V2すなわち排出口23bを開いた状態としたまま、シール体26を上方に移動させて液体供給口23aを開き、その状態で加圧液体供給源30を正方向(加圧方向)に作動させる。加圧液体供給源30が作動すると、配管P1、供給ポート25、供給路24及びブローノズル23の液体供給口23aを介してプリフォーム2の内部に液体Lが供給される。このとき、ブローノズル23に設けられた排出口23bが開かれて排出タンクに連通されているので、プリフォーム2の内部に液体Lが供給されると、プリフォーム2の内部の空気が排出口23bから外部に向けて排出され、プリフォーム2の内部は空気から液体Lに置換される。すなわち、液体置換工程を行うことにより、プリフォーム2の内部の空気を液体Lに置換して当該プリフォーム2の内部を液体Lで満ちた状態とすることができる。
【0048】
なお、液体置換工程においては、液体ブロー成形工程よりも低い圧力でプリフォーム2の内部に所定量の液体Lを供給するのが好ましい。すなわち、液体置換工程においては、プリフォーム2が液体ブロー成形されない、または若干液体ブロー成形される程度のゆっくりとした作動速度で加圧液体供給源30を作動させるのがよい。
【0049】
また、液体置換工程においては、液体供給口23aを開閉するシール体26の開度を調整することにより、液体置換工程においてプリフォーム2の内部に液体Lを供給する際の液体供給口23aの有効断面積(液体Lが流れる環状の流路の断面積)を、後述する液体ブロー成形工程においてプリフォーム2の内部に加圧した液体Lを供給する際の液体供給口23aの有効断面積の10%以下とするのが好ましい。
【0050】
これにより、液体置換工程において液体供給口23aを通してプリフォーム2の内部に液体Lを供給する際に、プリフォーム2の内部の空気が液体供給口23aを通して供給路24の内部に逆流することを防止することができる。これにより、その後に行われる液体ブロー成形工程において空気が混入した液体Lがプリフォーム2の内部に供給されることを防止して、液体ブロー成形工程において、より精度よくプリフォーム2を液体入り容器Cに成形させることができる。
【0051】
液体置換工程が完了すると、開閉弁V2が閉じられた後に、
図4に示すように、液体ブロー成形工程が行われる。液体ブロー成形工程においては、開閉弁V1、V2が閉じ、シール体26が上昇して液体供給口23aが開いた状態のまま、加圧液体供給源30を正方向にさらに作動させる。このとき、加圧液体供給源30は、プリフォーム2に供給する液体Lの圧力が当該プリフォーム2を液体ブロー成形することができる所定圧力となるような速度で作動する。このように、液体Lで満たされたプリフォーム2の内部に、さらに加圧した液体Lを供給して、プリフォーム2を液体Lの圧力により、ブロー成形用金型10のキャビティ11の内面に沿った所定形状の液体入り容器Cに成形する。
【0052】
また、液体ブロー成形工程の最中には、ロッド延伸工程も行われる。ロッド延伸工程においては、延伸ロッド28が下方に向けて進出移動し、当該延伸ロッド28によりプリフォーム2の胴部2bが軸方向(縦方向)に延伸される。液体ブロー成形工程の最中にロッド延伸工程を行うことにより、プリフォーム2を延伸ロッド28により軸方向に延伸させつつ液体ブロー成形を行う二軸延伸ブロー成形を行うことができるので、プリフォーム2をより精度よく所定形状の液体入り容器Cに成形することができる。
【0053】
本実施の形態においては、液体ブロー成形工程により液体入り容器Cが成形された後に、
図5に示すように、液体排出工程を行うようにしている。液体排出工程においては、シール体26を上昇させて液体供給口23aを開き、開閉弁V1、V2を閉じたまま加圧液体供給源30を所定の作動量だけ逆方向(吸引方向)に作動させて、成形後の液体入り容器Cの内部から所定量の液体を供給路24に吸い戻すサックバックを行う。このようなサックバックを行うことで、成形後の液体入り容器Cの内部から所定量の液体Lを、当該液体入り容器Cの外部に排出させることができる。このとき、液体置換工程においてプリフォーム2の内部は全て液体Lで満たされ、液体Lへの空気の混入が抑制されているため、サックバックにより液体入り容器Cから供給路24の内部に液体Lを引き戻すようにしても、次に行う液体ブロー成形工程において成形性の悪化等は生じない。液体排出工程において液体入り容器Cから外部に排出する液体Lの量は、完成後の液体入り容器Cに設けるヘッドスペースHSを考慮して設定される。
【0054】
所定量の液体Lが外部に排出されることで、液体入り容器Cは、その胴部が凹んだ状態となる。
【0055】
なお、液体排出工程においては、上記したサックバックに限らず、例えばブロー成形用金型10の内面から突出する押圧部材により液体入り容器Cの胴部を凹ませるようにスクイズして当該液体入り容器Cの内部の液体Lを外部に排出させる構成とすることもできる。
【0056】
本実施の形態においては、液体排出工程が完了し、延伸ロッド28を上方に移動させて液体入り容器Cから離脱させるロッド引抜き工程を行った後に、
図6に示すように、ヘッドスペース形成工程を行うようにしている。ヘッドスペース形成工程においては、シール体26により液体供給口23aが閉塞された後、ノズルユニット20をブロー成形用金型10に対して上方に移動させることで、所定量の液体Lを排出した状態の液体入り容器Cの口部2aからブローノズル23を離脱させる。これにより、液体入り容器Cの内部の負圧が開放され、液体入り容器Cの内部に所定量のヘッドスペースが生じることになる。
【0057】
なお、ロッド引抜き工程において、液体入り容器Cから延伸ロッド28が引き抜かれて離脱されることにより、当該延伸ロッド28が引き抜かれた分の容量だけ、液体入り容器Cの内部のヘッドスペースHSが増加することになる。したがって、ロッド延伸工程及びロッド引抜き工程を行う場合には、延伸ロッド28の引き抜きにより生じるヘッドスペースHSの量を考慮して、液体排出工程において液体入り容器Cから外部に排出させる液体Lの量を設定することで、完成した液体入り容器Cに所望量のヘッドスペースHSを生じさせるようにする。
【0058】
以上の工程で液体入り容器Cの製造が完了する。完成した液体入り容器Cは、ブロー成形用金型10が開かれてブロー成形用金型10から取り出された後、口部2aに閉塞キャップが装着されて製品とされる。このとき、加圧液体供給源30が逆方向に作動して、供給タンク31に収容されている液体Lがシリンダ30aの内部に吸引される。なお、口部2aに閉塞キャップを装着した後に、ブロー成形用金型10を開いてブロー成形用金型10から液体入り容器Cを取り出すようにしてもよい。
【0059】
なお、本実施の形態においては、液体ブロー成形工程により液体入り容器Cが成形された後に、液体排出工程及びヘッドスペース形成工程を行ってから、ブロー成形用金型10を開いてブロー成形用金型10から完成した液体入り容器Cを取り出すようにしているが、液体排出工程及びヘッドスペース形成工程を行わずに、液体ブロー成形工程を完了した後に、そのまま成形後の液体入り容器Cを取り出して、液体入り容器Cの製造を完了するようにしてもよい。この場合、液体入り容器Cの内部には、延伸ロッド28を引き抜いた分のヘッドスペースHSが設けられるが、ロッド延伸工程及びロッド引抜き工程をも行わない場合には、液体入り容器Cの内部にヘッドスペースHSが設けられなくてもよい。
【0060】
以上の通り、本実施の形態における液体入り容器の製造方法では、液体置換工程においてプリフォーム2の内部の空気を排出口23bから外部に排出し、当該プリフォーム2の内部を液体Lに置換してから液体ブロー成形工程を行うようにしたので、液体ブロー成形工程においてプリフォーム2の内部に加圧した液体Lが供給されても、当該液体Lに空気が混入することはない。したがって、液体ブロー成形時に、液体Lの泡立ち等により、成形条件の安定性や容器の成形性等が低下することを防止して、液体入り容器Cを所定の内容量及び形状を有するように精度よく且つ低コストで製造することができる。
【0061】
また、本実施の形態における液体入り容器の製造方法では、液体置換工程においては、液体ブロー成形工程よりも低い圧力でプリフォーム2の内部に所定量の液体Lを供給するようにしたので、液体Lに泡立ち等を生じさせることなくプリフォーム2の内部の空気を液体Lに置換することができる。
【0062】
さらに、本実施の形態における液体入り容器の製造方法では、液体ブロー成形工程の後に液体排出工程を行うことで、成形後の液体入り容器Cに所定量のヘッドスペースHSを設ける構成としても、ノズルユニット20の供給路24の内部の液体Lに気泡を生じさせることなく、当該液体入り容器Cの内部にヘッドスペースHSを生じさせることができる。よって、気泡を多く含んだ液体Lが供給路24の内部に取り込まれることにより、液体入り容器Cの内部への液体Lの充填量が不足したり、液体ブロー成形時における充填圧力が不安定になって容器の成形性が低下したりするという問題を生じさせることなく、また、気泡が混入した液体Lを供給路24から外部に排出するという無駄な液体Lや工程を生じさせることなく、液体入り容器Cを所定の内容量及び形状を有するように精度よく且つ低コストで製造することができる。
【0063】
さらに、本実施の形態における液体入り容器の製造方法では、加圧液体供給源30を逆方向に作動させて液体入り容器Cの内部から所定量の液体Lを吸い戻すサックバックにより液体排出工程を行うようにしたので、液体Lを排出するための機構を別途設けることなく、液体排出工程を行うことができる。これにより、液体入り容器の製造装置1の構成を簡素化して、液体入り容器Cの製造コストを低減することができる。
【0064】
図7は、液体置換工程の前にロッド挿入工程を行っている状態の液体入り容器の製造装置を示す説明図であり、
図8は、ロッド挿入工程を行った後、延伸ロッドが挿入された状態のプリフォームに対して液体置換工程を行っている状態の液体入り容器の製造装置を示す説明図である。なお、
図7、
図8においては、前述した部材に対応する部材には同一の符号を付してある。
【0065】
本実施の形態に係る液体入り容器の製造方法は、液体置換工程の前に、プリフォーム2の内部にロッド部材を挿入するロッド挿入工程を行うとともに、ロッド挿入工程によりロッド部材が挿入された状態のプリフォーム2に対して液体置換工程を行う構成とすることもできる。
【0066】
ロッド挿入工程においてプリフォーム2の内部に挿入するロッド部材としては、ロッド延伸工程においてプリフォーム2を軸方向に延伸させる延伸ロッド28を用いることができる。
図7、
図8においては、ロッド部材として延伸ロッド28を用いた場合を示す。なお、例えばロッド延伸工程を行わない構成の場合等においては、ロッド挿入工程においてプリフォーム2の内部に挿入するロッド部材として、延伸ロッド28以外の他のロッド部材を用いることができる。
【0067】
図7に示すように、ロッド挿入工程においては、ノズル係合工程が行われた後、液体置換工程が行われる前に、延伸ロッド28を下方に向けて進出移動させて当該延伸ロッド28をプリフォーム2の内部に挿入する。このとき、延伸ロッド28の下端がプリフォーム2の底部内面に当接しないようにするのが好ましいが、プリフォーム2を延伸させない程度に延伸ロッド28の下端をプリフォーム2の底部内面に当接させるようにしてもよい。延伸ロッド28が挿入されることにより、プリフォーム2の内容積すなわち液体Lを収容可能な容積は、延伸ロッド28のプリフォーム2の内部に挿入された部分の体積の分だけ減少する。
【0068】
なお、ロッド挿入工程は、ノズル係合工程を行う前に予め延伸ロッド28を下方に向けて進出移動させておき、ノズル係合工程を行うことで、延伸ロッド28がプリフォーム2の内部に挿入される構成とすることもできる。
【0069】
次に、
図8に示すように、延伸ロッド28が挿入された状態のままのプリフォーム2に対して液体置換工程を行う。このとき、延伸ロッド28のプリフォーム2の内部に挿入された部分の体積の分だけプリフォーム2の内容積が減少しているので、ロッド挿入工程を行わない場合に比べて、プリフォーム2の内部の空気を全て液体Lに置換するのに必要な液体Lの供給量及びプリフォーム2の内部の空気を全て液体Lに置換するのに必要な時間を減らすことができる。
【0070】
したがって、ブロー成形用金型10に装着される際に延伸性を発現する程度の所定の温度(例えば80℃〜150℃)にまで予め加熱されているプリフォーム2が、液体置換工程において冷却されてしまう度合いを低減して、液体ブロー成形工程において、より精度よくプリフォーム2を液体入り容器Cに成形することができる。
【0071】
ロッド挿入工程においては、延伸ロッド28を、プリフォーム2の内容積の30%〜70%を占める位置まで挿入するのが好ましい。延伸ロッド28を、プリフォーム2の内容積の30%未満を占める位置までしか挿入しない場合には、プリフォーム2の内部の空気を全て液体に置換するのに必要な液体Lの供給量ないし時間を十分に低減することができず、上記した効果を十分に得ることができない。一方、延伸ロッド28を、プリフォーム2の内容積の70%よりも多くを占める位置まで挿入するようにすると、例えばロッド延伸工程等において延伸ロッド28がプリフォーム2の内面に接触して、プリフォーム2の破損等が生じる虞がある。また、延伸ロッド28を、プリフォーム2の内容積の70%よりも多くを占める位置まで挿入するようにすると、プリフォーム2の内面と延伸ロッド28の外周面との間隔が狭くなり、液体Lとして例えばシャンプーやリンス、液体石鹸等の、粘度が比較的高いものを用いた場合にプリフォーム2の内部の空気が外部に抜けづらくなって、プリフォーム2の内部の空気を十分に液体Lと置換することができなくなる虞がある。
【0072】
本発明者が液体置換工程においてプリフォーム2の内部に供給する液体Lとして常温の水を用いて行った実験では、延伸ロッド28を、プリフォーム2の内容積の19%を占める位置まで挿入した場合には、プリフォーム2が冷却され、上記した効果を十分に得ることができず、延伸ロッド28を、プリフォーム2の内容積の34%を占める位置まで挿入した場合及びプリフォーム2の内容積の60%を占める位置まで挿入した場合には、上記した効果を十分に得ることができ、プリフォーム2の内容積の70.5%を占める位置まで挿入した場合には、ロッド延伸工程において延伸ロッド28がプリフォーム2の内面に接触してプリフォーム2の内面に傷が付く場合があることが確認された。
【0073】
このように、ロッド挿入工程において、延伸ロッド28を、プリフォーム2の内容積の30%〜70%を占める位置まで挿入することにより、液体置換工程において、プリフォーム2の内面に傷を付けることなく、また、プリフォーム2を過度に冷却させることなく確実にプリフォーム2の内部の空気を液体Lに置換させて、液体ブロー成形工程において、より精度よくプリフォーム2を液体入り容器Cに成形させることができる。
【0074】
図7、
図8に示す場合では、ロッド挿入工程を行う前においては延伸ロッド28をブローノズル23の内側に格納した状態としておき、この状態から延伸ロッド28を下方に進出移動させることでプリフォーム2の内部に延伸ロッド28を挿入するようにしているが、これに限らず、延伸ロッド28を、原位置(ノズル係合工程の前)にある状態において既にブローノズル23よりも下方側に向けて突出する長さのものとしておき、ノズル係合工程が完了すると、延伸ロッド28のブローノズル23よりも下方側に突出している部分がプリフォーム2の内部に挿入される構成としてもよい。この場合、延伸ロッド28のブローノズル23よりも下方側に突出している部分を、それよりも上側の部分よりも大径の形状とするなどして、プリフォーム2の内容積に対して延伸ロッド28が占める割合を適宜変更することができる。
【0075】
図9は、変形例のノズルユニットの要部を、液体置換工程を行っている状態で示す断面図である。なお、
図9においては、前述した部材に対応する部材には同一の符号を付してある。
【0076】
図1、
図2に示す液体入り容器の製造装置1では、液体置換工程を行う際に排出口23bを排出タンクに連通させるための開閉弁V2を、支持ブロック22の接続ポート22aに接続した配管P2に設けるようにしているが、
図9に示す変形例のノズルユニット20のように、ブローノズル23の内部に開閉弁V2を内蔵した構成とすることもできる。
【0077】
図9に示す変形例においては、排出口23bはブローノズル23の内周面に開口するように設けられ、ブローノズル23と支持ブロック22とに亘って形成された直線状の流路40と、流路40に当該流路40に対して直交する方向に連通する接続ポート41と、接続ポート41に接続された配管P2とを介して排出タンク(不図示)に接続されている。なお、排出口23bは排出タンクに接続することなく外部に開放してもよい。
【0078】
流路40のブローノズル23の内部に形成された部分には、排出口23bから離れるに連れて拡径するテーパ状のシール面42が設けられている。また、流路40の内部には、シール面42に対応したテーパ状の先端部を有するとともに流路40よりも小径のシールピン43が、支持ブロック22に支持されて流路40の軸心に沿うとともに軸方向に沿って進退移動自在に配置されている。そして、シール面42とシールピン43のテーパ状の先端部とにより開閉弁V2が構成されている。
【0079】
シールピン43には当該シールピン43よりも大径のピストン44が一体に設けられている。ピストン44は支持ブロック22に設けられたシリンダ室45の内部に配置されており、当該シリンダ室45の内部で軸方向に沿って移動自在となっている。また、支持ブロック22には、シリンダ室45において出口23bから離れた後端側に連通する閉側ポート46と、シリンダ室45において排出口23bに近い前端側に連通する開側ポート47とが設けられている。
【0080】
閉側ポート46からシリンダ室45の内部に圧縮エア等の加圧媒体を供給することにより、ピストン44を排出口23bの側に向けて進出移動させてシールピン43の先端部をシール面42に当接させ、開閉弁V2を閉状態とすることができる。反対に、開側ポート47からシリンダ室45の内部に圧縮エア等の加圧媒体を供給することにより、ピストン44を排出口23bから離れる方向に向けて後退移動させてシールピン43の先端をシール面42から離間させ、開閉弁V2を開状態とすることができる。なお、シールピン43は、例えば電磁ソレノイド等の機械的(電気的)な他の駆動装置を用いて開閉駆動される構成とすることもできる。
【0081】
液体置換工程が行われない通常時には、閉側ポート46に加圧媒体が供給されて開閉弁V2は閉状態とされ、これにより、排出口23bは排出タンクに対して連通が遮断された閉じた状態とされている。
【0082】
一方、液体置換工程を行う際には、
図9に示すように、開側ポート47に加圧媒体が供給されて開閉弁V2が開状態とされ、排出口23bは排出タンクに連通された開いた状態とされる。そして、排出口23bが開いた状態でシール体26を上方に移動させて液体供給口23aを開き、その状態で加圧液体供給源30を正方向に作動させることで、プリフォーム2の内部に液体Lを供給しつつ、プリフォーム2の内部の空気を排出口23bから外部に向けて排出させ、プリフォーム2の内部を空気から液体Lに置換することができる。
【0083】
このように、開閉弁V2をブローノズル23の内部に設けた構成とすることにより、開閉弁V2をノズルユニット20の外に接続した配管P2に設けた場合に比べて、排出口23bと開閉弁V2との間における流路の長さを短くすることができる。したがって、液体置換工程や液体ブロー成形工程において流路40の内部に侵入する液体Lの量を低減することができる。
【0084】
図9に示すように、この変形例においては、シール体26の下端に、ブローノズル23の内周面よりも小径の円筒状の突起部26aを設けた構成とするのが好ましい。突起部26aを設けることにより、液体置換工程において液体供給口23aを開いて液体Lをプリフォーム2の内部に供給する際に、当該液体Lがシール体26の外周面から突起部26aに沿って流れて液体供給口23aの軸心側に案内されるようにして、排出口23bに液体Lが入り込み難くすることができる。
【0085】
図9に示す変形例においては、ブローノズル23の内周面に、排出口23bからブローノズル23の下端にまで延びる縦溝を設けることもできる。また、ブローノズル23の内周面に、前記した縦溝とは別の複数本の縦溝を周方向に間隔を空けて並べて設けることもできる。この場合、ブローノズル23の内周面に、排出口23bに連なるとともに複数本の縦溝の上端を互いに連ねる周方向溝を設けるようにすることもできる。
【0086】
なお、
図1、
図2に示す構成のノズルユニット20に、
図9に示す構成の開閉弁V2を設けることもできる。
【0087】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0088】
例えば、前記実施の形態では、
図1に示す構成の液体入り容器の製造装置1を用いて本発明の液体入り容器の製造方法を行う場合を示したが、他の構成の液体入り容器の製造装置等を用いて本発明の液体入り容器の製造方法を行うこともできる。
【0089】
また、前記実施の形態では、延伸ロッド28を備えた液体入り容器の製造装置1を用いることで、ロッド延伸工程とロッド引抜き工程とを行うようにしているが、これらの工程を行わない構成とすることもできる。この場合、液体入り容器の製造装置1として、延伸ロッド28を備えない構成のものを用いることができる。
【0090】
さらに、前記実施の形態においては、加圧液体供給源30はプランジャーポンプとされているが、これに限らず、液体Lを所定の圧力にまで加圧してプリフォーム2に供給することができるものであれば他種類のポンプなどの種々の構成のものを用いることができる。
【0091】
さらに、プリフォーム2として、成形後の液体入り容器Cの形状等に応じて種々の形状のものを用いることができる。
【0092】
さらに、前記実施の形態においては、ロッド延伸工程を液体ブロー成形工程の最中に行うようにしているが、液体ブロー成形工程の前に行う構成とすることもできる。