特許第6864572号(P6864572)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6864572
(24)【登録日】2021年4月6日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】バッテリ充電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20210419BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20210419BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20210419BHJP
   B60L 53/00 20190101ALI20210419BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20210419BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
   H02J7/00 S
   H02J7/00 301B
   H02H7/18
   B60L3/00 S
   B60L53/00
   H01M10/48 301
   H01M10/44 Q
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-127423(P2017-127423)
(22)【出願日】2017年6月29日
(65)【公開番号】特開2019-13066(P2019-13066A)
(43)【公開日】2019年1月24日
【審査請求日】2020年5月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】特許業務法人青海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 隆史
【審査官】 下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−054032(JP,A)
【文献】 特開2012−081879(JP,A)
【文献】 特開2012−096616(JP,A)
【文献】 特開2005−318675(JP,A)
【文献】 特開2017−091847(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 − 7/12
H02J 7/34 − 7/36
H02H 7/00
H02H 7/10 − 7/20
H01M 10/42 − 10/48
B60L 1/00 − 3/12
B60L 7/00 − 13/00
B60L 15/00 − 58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリと、
前記バッテリに電力を供給する充電器と、
前記バッテリおよび前記充電器を収容する収容ケースと、
前記収容ケース内に設けられ、前記バッテリが収容される空間と、前記充電器が収容される空間とを隔離する隔壁と、
前記隔壁に設けられ、前記バッテリが収容される空間と、前記充電器が収容される空間とを連通および遮断する開閉機構と、
前記開閉機構を制御する開閉機構制御部と、
を備え、
前記開閉機構制御部は、前記充電器の作動時において、前記バッテリの温度が所定の温度以上である場合に、前記バッテリが収容される空間と、前記充電器が収容される空間とを連通させるバッテリ充電装置。
【請求項2】
前記開閉機構制御部は、前記充電器の充電開始時に、前記バッテリの温度が所定の温度以上である場合に、前記バッテリが収容される空間と、前記充電器が収容される空間とを連通させる請求項1に記載のバッテリ充電装置。
【請求項3】
前記開閉機構は、前記隔壁のうち、鉛直方向に延在する面に設けられる請求項1または2に記載のバッテリ充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されたバッテリを充電するバッテリ充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車や電気自動車等の車両には駆動モータが設けられ、その駆動モータを動作させるためのバッテリが搭載されている。近年、このような車両には、燃費や動力性能を向上させるために、高電圧で大容量の駆動用バッテリが搭載されている。
【0003】
また、車両には、充電器が搭載されている場合がある。充電器は、外部の電源から電力を受電し、その電力をバッテリへ供給する。バッテリは、充電器から供給される電力を受電し、その電力を蓄電(充電)する。そのため、バッテリと、充電器とは、近接して載置されることがあり、ともに同一の収容ケースに収容される場合もある。例えば、特許文献1には、バッテリが筐体に収容され、筐体の壁部に充電器が設けられる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5769386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載された技術では、バッテリと、充電器とが、同一の空間に収容されている。そのため、バッテリの温度が低い時に充電器を作動させると、充電器によって暖められた空気がバッテリに接触して、バッテリに結露が生じるおそれがある。このように、バッテリに結露が生じてしまうと、バッテリの絶縁抵抗低下の原因となってしまう。
【0006】
そこで、収容ケースにおいて、バッテリが収容される空間と、充電器が収容される空間とを隔離する隔壁を設けることが考えられる。しかし、このように隔壁を設けると、バッテリが常温以上の場合(バッテリに結露が生じない場合)においてまで、互いの空間が閉ざされてしまう。このように、互いの空間が閉ざされると、充電器が収容される空間の空間熱容量は、隔壁が設けられる前に比べて低くなってしまい、充電器の出力性能が低下してしまうおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、このような課題に鑑み、バッテリの結露を防止しつつ、充電器の空間熱容量を確保することが可能なバッテリ充電装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のバッテリ充電装置は、バッテリと、バッテリに電力を供給する充電器と、バッテリおよび充電器を収容する収容ケースと、収容ケース内に設けられ、バッテリが収容される空間と、充電器が収容される空間とを隔離する隔壁と、隔壁に設けられ、バッテリが収容される空間と、充電器が収容される空間とを連通および遮断する開閉機構と、開閉機構を制御する開閉機構制御部と、を備え、開閉機構制御部は、充電器の作動時において、バッテリの温度が所定の温度以上である場合に、バッテリが収容される空間と、充電器が収容される空間とを連通させる。
【0009】
また、開閉機構制御部は、充電器の充電開始時に、バッテリの温度が所定の温度以上である場合に、バッテリが収容される空間と、充電器が収容される空間とを連通させてもよい。
【0010】
また、開閉機構は、隔壁のうち鉛直方向に延在する面に設けられてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、バッテリの結露を防止しつつ、充電器の空間熱容量を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】バッテリ充電装置が搭載される車両の構成を説明する説明図である。
図2】バッテリ充電装置が搭載される車両の構成を説明する説明図である。
図3】収容ケースに収められた充電器の抽出図である。
図4】バッテリ充電装置における、開閉機構の開閉処理を説明するフローチャートである。
図5】本実施形態の第1の変形例にかかるバッテリ充電装置を説明する図である。
図6】本実施形態の第2の変形例にかかるバッテリ充電装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0014】
図1および図2は、バッテリ充電装置100が搭載される車両10の構成を説明する説明図である。図1は、車両10を左方向から見た概略図であり、図2は、車両10を後方向から見た概略図である。図1中、電力の流れを実線の矢印で示し、制御信号の流れを破線の矢印で示す。なお、以下では、図1および図2に示すように、車両10の進行方向を前方向、車両10の後退方向を後方向、鉛直上方向を上方向、鉛直下方向を下方向、進行方向右側を右方向、進行方向左側を左方向として説明する。
【0015】
ここでは、車両10は、エンジン(内燃機関)12と、駆動モータ(例えば、同期電動機)14とが駆動源として設けられたハイブリッド車(HV)、特に、外部電源から電力を受け得るプラグインハイブリッド車(PHV)を例に挙げて説明する。しかし、プラグインハイブリッド車に拘わらず、バッテリ20を搭載した車両であれば、電気自動車(EV)等、様々な車両に本実施形態を適用できる。
【0016】
図1に示すように、車両10には、エンジン12、駆動モータ14、パワーコントロールユニット(以下、PCUと称する)16およびバッテリ充電装置100が搭載される。車両10は、要求トルクなどの走行状態に応じて、駆動モータ14に優先してエンジン12で走行したり、エンジン12に優先して駆動モータ14で走行したり、エンジン12と駆動モータ14とを併用して走行したりする。エンジン12および駆動モータ14は、車両10の前方向側に設けられる。PCU16は、車両10に形成される車室のうち、後方向側の下方に設けられる。バッテリ充電装置100は、車室の後方向側に形成される荷室(トランクルーム)の下方に設けられる。
【0017】
車両10では、バッテリ充電装置100を構成する充電器22が、外部電源(例えば、家庭用の商用電源)より送出される電力(例えば、単相または3相の交流電力)を、外部接続端子を通じて受電する。そして、充電器22は、受電した電力を、バッテリ充電装置100を構成するバッテリ20の充電に適した電圧まで昇圧(例えば、電圧が100V〜400Vの直流電力)し、バッテリ20へ供給(送電)する。
【0018】
バッテリ(駆動用高圧バッテリ)20は、複数のセルからなるリチウムイオン電池等の二次電池で構成される。バッテリ20は、充電器22によって昇圧された電力(例えば、電圧が100V以上となる直流電力)を蓄電する。また、バッテリ20は、PCU16に電力を供給(送電)する。
【0019】
PCU16は、昇圧器16aやインバータ16bなどを含んで構成される。昇圧器16aは、バッテリ20に蓄電された電力(直流電力)を昇圧する。インバータ16bは、昇圧された直流電力を交流電力に変換して、駆動モータ14へ供給する。駆動モータ14は、PCU16から電力の供給を受けて動作する。また、駆動モータ14は、同期電動機等で構成され、PCU16から供給される電力に応じて回転制御される。
【0020】
また、バッテリ充電装置100は、バッテリ20、充電器22、収容ケース24および隔壁26を含んで構成される。収容ケース24は、例えば、アルミや鉄などの板金によって形成される。収容ケース24には、少なくとも、バッテリ20および充電器22が収容される。
【0021】
隔壁26は、収容ケース24内に設けられ、例えば、マグネシウム合金などの板金で形成される。隔壁26は、バッテリ20が収容される空間(以下、「バッテリ空間」と略す)と、充電器22が収容される空間(以下、「充電器空間」と略す)とを隔離する。具体的に、隔壁26は、図2に示すように、水平方向(図中、左右方向)に延在する面(充電器22の底面と対向する面)26aと、鉛直方向(図中、上下方向)に延在する面(充電器22の側面と対向する面)26bとを有する。そして、充電器22は、面26aに支持されるように配置される。
【0022】
仮に、バッテリ20と、充電器22とが、同一のケース(収容ケース24)内に収容されて、かつ、隔壁26を設けていないとする。このような状態においては、バッテリ20の温度が予め設定された所定の温度(例えば、低温とされる0℃)以下であるときに、充電器22を作動させると、充電器22が作動することによって生じる熱が、バッテリ20に接触することによって、バッテリ20に結露が生じてしまう。
【0023】
しかし、本実施形態のバッテリ充電装置100では、バッテリ空間と充電器空間とを、隔壁26によって隔離している。そうすると、バッテリ空間と充電器空間とが遮断されるため、バッテリ空間と充電器空間との間での空気(熱)の移動がなくなる(空気の移動が妨げられる)。そのため、バッテリ充電装置100では、バッテリ20が低温であるときに充電器22を作動させても、バッテリ20に充電器22の熱が伝わり難いため、バッテリ20に生じる結露を防止することが可能となる。
【0024】
一方で、隔壁26によって収容ケース24内を、バッテリ空間と充電器空間とに隔離してしまうと、充電器空間の空間熱容量が、隔壁26が設けられない場合の充電器22の空間熱容量に比べて低下してしまう。このように、充電器22の空間熱容量が低下すると、充電器22の出力性能が低下してしまうおそれがある。
【0025】
なお、バッテリ20と、充電器22とが、同一のケース(収容ケース24)内に収容され、かつ、隔壁26が設けられていない状態で、バッテリ20の温度が予め設定された所定の温度(例えば、常温とされる25℃)以上であるときに、充電器22を作動させても、バッテリ20に結露が生じるおそれはない。すなわち、この状態で、バッテリ空間と充電器空間とを連通させたとしても、問題は生じないこととなる。
【0026】
そこで、本実施形態では、バッテリ20に結露が生じるおそれがない場合(バッテリ20が所定の温度(例えば、常温とされる25℃)以上のときに充電器22を作動する場合)、バッテリ空間と充電器空間とを連通させ、充電器22の空間熱容量を確保(収容ケース24内の空間熱容量を最大限使用できるように)する。
【0027】
具体的に、本実施形態のバッテリ充電装置100を構成する隔壁26には、開閉機構30が設けられる。図3は、収容ケース24に収められた充電器22の抽出図である。図3(a)は、開閉機構30が閉鎖(バッテリ空間と充電器空間とが遮断)されている場合を示し、図3(b)は、開閉機構30が開放(バッテリ空間と充電器空間とが連通)されている場合を示す。
【0028】
図3に示すように、開閉機構30は、例えば、隔壁26のうち、鉛直方向に延在する面26bに設けられる。開閉機構30は、スライド枠32、固定板34およびスライド板36を含んで構成される。スライド枠32は、内側に固定板34およびスライド板36を保持するための枠部材である。スライド枠32の長手方向の長さ(図3中、前後方向の長さ)は、隔壁26の長手方向の長さと略等しく、鉛直方向の長さ(図3中、上下方向の長さ)は、隔壁26の鉛直方向の長さと略等しい。したがって、開閉機構30によっても密閉(バッテリ空間と充電器空間との隔離)が維持される。
【0029】
固定板34は、平板であり、スライド枠32の内側において上方に固定される。固定板34の長手方向の長さは、隔壁26の長手方向の長さと略等しく、固定板34の鉛直方向の長さは、隔壁26の鉛直方向の長さの略1/2に相当する。
【0030】
スライド板36は、平板であり、スライド枠32の内側において上下に移動自在に形成される。スライド板36の長手方向の長さは、隔壁26の長手方向の長さと略等しく、スライド板36の鉛直方向の長さは、隔壁26の鉛直方向の長さの略1/2に相当する。
【0031】
図3(a)に示すように、通常時、スライド板36は、固定板34に対して、鉛直方向下方側に位置する。つまり、開閉機構30は隔壁26を閉鎖している。このことにより、バッテリ空間と充電器空間とは遮断される。一方で、図3(b)に示すように、スライド板36が上方にスライド(移動)すると、固定板34の下方向側が開放され、バッテリ空間と充電器空間とを連通する流路40が形成される。そうすると、流路40を通じて、バッテリ空間と充電器空間との間での、空気(熱)の移動が可能となる。なお、開閉機構30の詳細な制御については、後述する。
【0032】
なお、開閉機構30は、隔壁26のうち、水平方向に延在する面26aに設けられてもよい。しかし、例えば、車両10の走行中などでは、充電器22の温度が低温で、バッテリ20が高温であると、充電器22に結露が発生する可能性もある。開閉機構30が水平方向に延在する面26aに設けられている場合、開閉機構30を開放すると、充電器22に付着した結露によって生じた凝縮水が、バッテリ空間内に浸入してしまう。そうすると、バッテリ20は、凝縮水に曝されてしまい、故障してしまうおそれがある。そのため、開閉機構30は、面26bに設けられた方がよい。しかし、バッテリ20に生じるおそれのある結露を防止し、かつ、充電器22の空間熱容量を確保することのみを目的とするならば、開閉機構30は、面26aに設けられていても、面26bに設けられる場合と同等の効果を奏する。
【0033】
ここで、図1に戻り説明すると、車両10には、制御装置110が設けられる。制御装置110は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路で構成され、車両10全体を制御する。制御装置110は、バッテリ充電装置100および温度センサ120と電気的に接続されている。また、制御装置110は、車両10全体の動作を制御するほか、プログラムを遂行することで、充電器制御部112、開閉機構制御部114および充電可否判定部116としても機能する。なお、ここでは、制御装置110と充電器22とを別体として説明するが、両者を一体的に構成、もしくは、充電器22内に制御装置110が含まれる構成とすることもできる。
【0034】
温度センサ120は、バッテリ20の温度(温度T)を検出し、検出した温度を示す温度信号を制御装置110に送信する。
【0035】
ここで、制御装置110の具体的な動作について図4を用いながら説明する。図4は、バッテリ充電装置100における、開閉機構30の開閉処理を説明するフローチャートである。
【0036】
まず、車両10に設けられる給電口(不図示)に充電ケーブル(不図示)の一端に設けられる充電ガンが接続され、かつ、充電ケーブルの他端に設けられる充電プラグが商用電源のコンセントなどの外部電源に接続されると、充電器制御部112は、充電器22を起動させる(S201)。なお、この時点では、充電はまだ開始されていない。
【0037】
充電器22が起動すると、開閉機構制御部114は、充電器22の作動状態(作動しているか否か)を取得し、充電可否判定部116は、バッテリ20に蓄電されている電力の電圧(蓄電量)を取得する。そして、充電可否判定部116は、充電が可能(例えば、充電器22が正常に動作しており、かつ、所定の上限電圧に到達していない)か否かを判定する(S202)。
【0038】
充電が可能と判定されれば(ステップS202におけるYES)、充電器制御部112は、充電器22を作動させ充電を開始する(S203)。一方で、充電が可能でないと(充電ができないと)判定されれば(ステップS202におけるNO)、充電器制御部112は、充電が可能と判定されるまで、ステップS202の処理を繰り返す。
【0039】
充電が開始されると、開閉機構制御部114は、温度センサ120によって検出されるバッテリ20の温度信号(温度T)を取得する(S204)。そして、開閉機構制御部114は、バッテリ20の温度(温度T)が閾値T1(例えば、25℃)以上か否かを判定する(S205)。
【0040】
そして、バッテリ20の温度(温度T)が閾値T1以上であると判定されれば(ステップS205におけるYES)、開閉機構制御部114は、バッテリ20に結露が生じないと判定し、開閉機構30を開放する(S206)。具体的に、図3(b)に示すように、開閉機構制御部114は、スライド板36を鉛直方向上方側へとスライドさせる。そうすることにより、隔壁26(開閉機構30におけるスライド枠32の内側)には流路40が形成され、バッテリ空間と充電器空間とが連通される。こうして、充電器22の空間熱容量が確保される。
【0041】
その後、バッテリ20の充電が進み、充電器制御部112は、充電可否判定部116によって取得される蓄電量に基づいて、充電の終了条件(例えば、バッテリ20の電圧が所定の上限電圧に到達する)を満たすか否かを判定する(S207)。そして、充電の終了条件が満たされたと判定されれば(ステップS207におけるYES)、充電器制御部112は、充電器22の作動を停止させ充電を終了する(S208)。なお、給電口と充電ガンとの接続、または、充電プラグと外部電源との接続のうち、少なくともどちらかの接続が解除されるまで、充電器22は起動したままとなる。
【0042】
そして、充電が終了すると、開閉機構制御部114は、開閉機構30を閉鎖し(S209)、当該開閉機構30の開閉処理を終了する。また、ステップS207において、充電の終了条件が満たされていないと判定されれば(ステップS207におけるNO)、開閉機構制御部114は、充電の終了条件が満たされたと判定されるまで、ステップS207の処理を繰り返す。つまり、開閉機構制御部114は、充電が終了するまで、開閉機構30を開放し続ける。
【0043】
一方で、ステップS205において、バッテリ20の温度(温度T)が閾値T1未満であると判定されれば(ステップS205におけるNO)、開閉機構制御部114は、バッテリ20に結露が生じると判定し、開閉機構30の閉鎖状態を維持する(S210)。具体的には、開閉機構30は、図3(a)に示すような状態となるため、バッテリ空間と充電器空間とが遮断される。こうして、バッテリ20に生じる結露が防止される。
【0044】
その後、開閉機構30が開放されている場合(S206)と同様に、充電器制御部112は、充電可否判定部116によって取得される蓄電量に基づいて、充電の終了条件が満たされているか否かを判定する(S207)。そして、充電の終了条件が満たされたと判定されれば(ステップS207におけるYES)、充電器制御部112は、充電器22の作動を停止させ充電を終了する(S208)。なお、上述したように、給電口と充電ガンとの接続、または、充電プラグと外部電源との接続のうち、少なくともどちらかの接続が解除されるまで、充電器22は起動したままである。
【0045】
そして、充電が終了すると、開閉機構制御部114は、開閉機構30の閉鎖状態を維持したまま(S209)、当該開閉機構30の開閉処理を終了する。また、ステップS207において、充電の終了条件が満たされていないと判定されれば(ステップS207におけるNO)、開閉機構制御部114は、充電の終了条件が満たされたと判定されるまで、ステップS207の処理を繰り返す。つまり、開閉機構制御部114は、開閉機構30を閉鎖し続ける。
【0046】
かかる構成により、バッテリ充電装置100は、バッテリ20に結露が生じるおそれがある場合(バッテリ20が常温未満のときに充電器22を作動する場合)、開閉機構30を閉鎖することで、バッテリ空間と充電器空間とを遮断させる。このことにより、充電器22を作動させたときに生じる温かい空気が、バッテリ空間へ流れる(移動する)ことはない。そのため、冷たいバッテリ20に、温かい空気が接触することがなくなり、バッテリ充電装置100は、バッテリ20の結露を防止することが可能である。
【0047】
一方で、バッテリ充電装置100は、バッテリ20に結露が生じるおそれがない場合(バッテリ20が常温以上のときに充電器22を作動する場合)、開閉機構30を開放することで、バッテリ空間と充電器空間とを連通させる。このことにより、バッテリ空間と充電器空間とを共有化することができる。そのため、バッテリ充電装置100は、隔壁26を設けたことにより低下してしまった充電器22の空間熱容量を、流路40を通じて、バッテリ空間分だけ大きく(隔壁26が無い状態の空間熱容量に維持)することができる。よって、バッテリ充電装置100は、バッテリ20の結露を防止しつつ、充電器22の空間熱容量を確保することが可能である。
【0048】
(第1の変形例)
図5は、本実施形態の第1の変形例にかかるバッテリ充電装置200を説明する図である。第1の変形例のバッテリ充電装置200には、開閉機構30とは異なる開閉機構210が設けられる。また、図5では、図3同様、収容ケース24に収められた充電器22の抽出図を示す。図5(a)は、開閉機構210が閉鎖(バッテリ空間と充電器空間とが遮断)されている場合を示し、図5(b)は、開閉機構210が開放(バッテリ空間と充電器空間とが連通)されている場合を示す。
【0049】
図5に示すように、開閉機構210は、例えば、隔壁26のうち、鉛直方向に延在する面26bに設けられる。開閉機構210は、スライド枠32、固定部212およびスライド部214を含んで構成される。なお、スライド枠32については上述した通りであるため、その詳細な説明を省略する。
【0050】
固定部212は、図5においてハッチングで示した、前後方向に延在する複数の平板216で構成される。平板216は、スライド枠32の内側に上下等間隔に設けられる。ここでは、例えば、平板216は4つ設けられる。平板216の長手方向の長さは、スライド枠32の長手方向の長さと略等しく、鉛直方向の長さは、スライド枠32の鉛直方向の長さを等分(例えば、7等分)した長さと略等しい。
【0051】
スライド部214は、図5においてクロスハッチングで示した、前後方向に延在する複数の平板218で構成される。平板218は、スライド枠32の内側に上下等間隔に設けられる。ここでは、例えば、平板218は3つ設けられる。平板218は、平板216と同様の大きさに形成される。
【0052】
なお、固定部212に複数設けられる平板216と、スライド部214に複数設けられる平板218とは、スライド枠32の内側において、それぞれが重ならないように交互に設けられる。このことにより、図5(a)に示すように、通常時(開閉機構210が隔壁26を閉鎖しているとき)は、平板216と平板218とが隙間なくスライド枠32内に位置することとなり、スライド枠32の内側を封止し、バッテリ空間と充電器空間とを遮断することができる。
【0053】
一方で、スライド部214が上方にスライド(移動)すると平板216と平板218とが左右方向に重なり合う。そうすると、図5(b)に示すように、スライド枠32のうち、平板216および平板218が重なり合っていない箇所が開放され、バッテリ空間と充電器空間とを連通する流路220が形成される。したがって、開閉機構210(バッテリ充電装置200)においても、バッテリ空間と充電器空間とを連通および遮断することができる。
【0054】
このとき、スライド部214は、平板218の1枚分だけ移動すればよく、開閉機構210は、開閉機構30に比べて少ない動力で開閉機構210を開閉することができる。また、流路220は、流路40に比べてスライド枠32の内側の全体に亘って形成されるため、バッテリ空間と充電器空間とを均等に(くまなく)連通することができる。
【0055】
(第2の変形例)
図6は、本実施形態の第2の変形例にかかるバッテリ充電装置300を説明する図である。第2の変形例のバッテリ充電装置300には、開閉機構30とは異なる開閉機構310が設けられる。また、図6では、図3同様、収容ケース24に収められた充電器22の抽出図を示す。図6(a)は、開閉機構310が閉鎖(バッテリ空間と充電器空間とが遮断)されている場合を示し、図6(b)は、開閉機構310が開放(バッテリ空間と充電器空間とが連通)されている場合を示す。なお、上述したバッテリ充電装置100と実質的に等しい構成については、説明を省略する。また、説明の理解を図るため、図6中、充電器22をハッチングで示す。
【0056】
図6に示すように、開閉機構310は、例えば、隔壁26のうち、鉛直方向に延在する面26bに設けられる。開閉機構310は、保持部312および複数の板部材314を含んで構成される。
【0057】
保持部312は、隔壁26(鉛直方向に延在する面26b)の前後方向端部において、上下方向に延在して一対設けられ、複数の板部材314を保持する。
【0058】
板部材314は、平板であり、一対の保持部312の内側に、所定の間隔で板部材314の長手方向(図6中、前後方向)に平行に複数設けられる(例えば、9つ)。板部材314の長手方向の長さは、一対の保持部312が対向する方向における間の長さ(間隔)と略等しく形成され、鉛直方向の長さは、隔壁26の鉛直方向の長さを等分(例えば、9等分)した長さと略等しく形成される。また、隣り合う板部材314同士は、重なり合わず、かつそれぞれの板部材314の長手方向の辺が接する位置に設けられる。また、板部材314は、長手方向に延在する軸を中心軸として、90度回転可能に軸支される。
【0059】
板部材314が、重なり合わず、かつ、隣り合う板部材314の長手方向の辺が接するように設けられることにより、図6(a)に示すように、枠組みの内側に形成された空間は封止(閉鎖)され、バッテリ空間と充電器空間とを遮断することができる。一方で、板部材314が回転すると、図6(b)に示すように、保持部312の内側が開放され、バッテリ空間と充電器空間とを連通する流路316が形成され、バッテリ空間と充電器空間との間での、空気(熱)の移動が可能となる。したがって、開閉機構310(バッテリ充電装置300)においても、バッテリ空間と充電器空間とを連通および遮断することができる。
【0060】
このとき、板部材314は、鉛直方向に延在する面26b(隔壁26)の全面に無駄なく(ギリギリまで)設けることができるので、流路40に比べて流路面積の大きい流路316を形成することができる。流路316は、平行して設けられる2つの保持部312の内側の全体に亘って形成されるため、バッテリ空間と充電器空間とを均等に(くまなく)連通することができる。
【0061】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0062】
例えば、上記実施形態では、開閉機構制御部114は、充電が開始された時に、バッテリ20の温度(温度T)が閾値T1よりも高い場合に、開閉機構30を開放する場合について説明した。しかし、開閉機構制御部114は、充電中(充電器22が作動中)に、バッテリ20の温度(温度T)を定期的に測定し、バッテリ20の温度(温度T)が閾値T1以上になった場合において、開閉機構30を開放させてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、開閉機構30は、隔壁26のうち鉛直方向に設けられた面26bに設けられる場合について説明した。上述したように、例えば、車両10の走行中などでは、充電器22の温度が低温で、バッテリ20が高温であると、充電器22に結露が発生する可能性もある。そこで、開閉機構30は、充電器22に付着した結露によって生じる凝縮水を貯留する窪み部を有してもよい。窪み部は、隔壁26のうち水平方向に延在する面26aに設けられる。これにより、開閉機構30は、車両10の走行中に生じた充電器22の結露(あるいは水平方向に延在する面26aに付着した凝縮水)が蒸発していない場合に、バッテリ空間と充電器空間とを連通させても、凝縮水を窪み部に貯留することができる。そのため、開閉機構30は、バッテリ空間に凝縮水が浸入することを防止することが可能となる。
【0064】
また、上記実施形態では、固定板34がスライド枠32の内側において上方に固定して設けられる場合について説明した。しかし、固定板34の位置はスライド枠32の内側において上方に固定されるとは限らない。また、固定板34は必ずしも固定されていなければならない訳ではなく、移動(スライド)可能に設けられてもよい。少なくとも固定板34は、スライド板36とともに、スライド枠32の内側を封止し、かつスライド板36のみが、あるいは、固定板34とスライド板36が移動することで流路40を形成し、バッテリ空間と充電器空間とが連通されればよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、車両に搭載されたバッテリを充電するバッテリ充電装置に利用できる。
【符号の説明】
【0066】
20 バッテリ
22 充電器
24 収容ケース
26 隔壁
30、210、310 開閉機構
100 バッテリ充電装置
114 開閉機構制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6