(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ブロー成形型は、互いに対向する一対の前記反転パネル形成部と、互いに対向する一対の前記押圧部とを有し、前記キャビティの中心軸線と直交する所定の横断面において前記反転パネル形成部と前記押圧部とは周方向に交互に配置されており、前記キャビティは、前記一対の反転パネル形成部がそれぞれ前記凸状面を形成した第1形態から、前記一対の反転パネル形成部がそれぞれ前記キャビティの外側に向けて退避するとともに前記一対の押圧部がそれぞれ前記キャビティの内側に向けて進入した第2形態に変形可能であり、
前記液体ブロー成形工程において、前記第1形態の前記キャビティ内に配置した前記プリフォームの内部に加圧した液体を前記ノズルユニットから供給し、前記プリフォームを、前記一対の反転パネル形成部によって形成された一対の前記反転パネルを有する容器に成形し、
前記ヘッドスペース形成工程において、前記キャビティを前記第2形態に変形させることにより、前記一対の押圧部でそれぞれ前記容器を押圧して前記一対の反転パネルをそれぞれ前記容器の外側に向けて突出するように反転させた後、前記一対の押圧部による押圧を解除して前記容器の容積を増加させることでヘッドスペースを形成する、請求項1に記載の液体入り容器の製造方法。
前記ヘッドスペース形成工程において、前記容器の口部を閉塞した状態で、前記押圧部で前記容器を押圧して前記反転パネルを前記容器の外側に向けて突出するように反転させる、請求項1又は2に記載の液体入り容器の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明をより具体的に例示説明する。
【0017】
まず、
図1A〜
図5Bを参照して、本発明の第1実施形態である液体入り容器の製造方法について例示説明する。
【0018】
本発明の第1実施形態である液体入り容器の製造方法は、ブロー成形型とノズルユニットとを有する製造装置を用いて合成樹脂製のプリフォームから内容液を収容した液体入り容器を製造する液体入り容器の製造方法であって、ブロー成形型は、反転パネル形成部を有し、製造装置は、押圧部を有し、反転パネル形成部がキャビティの内側に向けて突出する凸状面を形成した状態で、キャビティ内に配置したプリフォームの内部に加圧した液体をノズルユニットから供給し、プリフォームを、反転パネル形成部によって形成された反転パネルを有する容器に成形する液体ブロー成形工程と、押圧部で容器を押圧して反転パネルを容器の外側に向けて突出するように反転させた後、押圧部による押圧を解除して容器の容積を増加させることでヘッドスペースを形成するヘッドスペース形成工程と、を有する液体入り容器の製造方法である。
【0019】
本実施形態の液体入り容器の製造方法では、押圧部は、ブロー成形型に設けられており、キャビティは、反転パネル形成部がキャビティの内側に向けて突出する凸状面を形成した第1形態から、反転パネル形成部がキャビティの外側に向けて退避するとともに押圧部がキャビティの内側に向けて進入した第2形態に変形可能である。そして、本実施形態の液体入り容器の製造方法は、液体ブロー成形工程において、第1形態のキャビティ内に配置したプリフォームの内部に加圧した液体をノズルユニットから供給し、プリフォームを、反転パネル形成部によって形成された反転パネルを有する容器に成形し、ヘッドスペース形成工程において、キャビティを第2形態に変形させることにより、押圧部で容器を押圧して反転パネルを容器の外側に向けて突出するように反転させた後、押圧部による押圧を解除して容器の容積を増加させることでヘッドスペースを形成するようにしている。
【0020】
本実施形態の液体入り容器の製造方法では、ブロー成形型は、互いに対向する一対の反転パネル形成部と、互いに対向する一対の押圧部とを有し、キャビティの中心軸線と直交する所定の横断面において反転パネル形成部と押圧部とは周方向に交互に配置されており、キャビティは、一対の反転パネル形成部がそれぞれ凸状面を形成した第1形態から、一対の反転パネル形成部がそれぞれキャビティの外側に向けて退避するとともに一対の押圧部がそれぞれキャビティの内側に向けて進入した第2形態に変形可能である。そして、本実施形態の液体入り容器の製造方法は、液体ブロー成形工程において、第1形態のキャビティ内に配置したプリフォームの内部に加圧した液体をノズルユニットから供給し、プリフォームを、一対の反転パネル形成部によって形成された一対の反転パネルを有する容器に成形し、ヘッドスペース形成工程において、キャビティを第2形態に変形させることにより、一対の押圧部でそれぞれ容器を押圧して一対の反転パネルをそれぞれ容器の外側に向けて突出するように反転させた後、前記一対の押圧部による押圧を解除して前記容器の容積を増加させることでヘッドスペースを形成するようにしている。
【0021】
本実施形態の液体入り容器の製造方法は、ヘッドスペース形成工程において、容器の口部を閉塞した状態で、押圧部で容器を押圧して反転パネルを容器の外側に向けて突出するように反転させるようにしている。
【0022】
このような本実施形態の液体入り容器の製造方法は、例えば
図1Aに示す構成の製造装置1Aを用いて実施することができる。
【0023】
図1Aに示す製造装置1Aは、合成樹脂製のプリフォーム2から内容液を収容した液体入り容器C(
図5A参照)を製造するものである。液体入り容器Cに収容される液体(内容液)Lとしては、例えば飲料、化粧品、薬品、洗剤、シャンプー等のトイレタリーなどの様々な液体Lを採用することができる。
【0024】
プリフォーム2としては、例えばポリプロピレン(PP)やポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱可塑性を有する合成樹脂材料によって、開口端となる円筒状の口部2aと、口部2aに連なるとともに下端が閉塞された円筒状の胴部2bとを有する有底筒状に形成されたものを用いることができる。
【0025】
詳細は図示しないが、口部2aの外壁面には、成形後の液体入り容器Cの口部2aに閉塞キャップ(不図示)を打栓(アンダーカット係合)によって装着するための係合突起が設けられている。なお、口部2aの外壁面に係合突起に替えて雄ネジを設けて閉塞キャップを口部2aにねじ結合により装着する構成とすることもできる。
【0026】
図1A及び
図1Bに示すように、製造装置1Aは、ブロー成形型10を有している。ブロー成形型10は、型本体部11と、互いに対向する一対の反転パネル形成部12と、互いに対向する一対の押圧部13とを有している。ブロー成形型10の内部には、型本体部11と、一対の反転パネル形成部12と、一対の押圧部13とによってキャビティ14が形成されている。キャビティ14の中心軸線Oと直交する所定の横断面(本実施形態では、
図1Aに示すA−A線に沿う断面)において、
図1Bに示すように、反転パネル形成部12と押圧部13とは周方向に交互に配置されている。一対の反転パネル形成部12はそれぞれ、図示しない駆動部により駆動され、互いの先端を接近させる方向及びその逆方向に移動することができる。同様に、一対の押圧部13はそれぞれ、図示しない駆動部により駆動され、互いの先端を接近させる方向及びその逆方向に移動することができる。キャビティ14は、一対の反転パネル形成部12がそれぞれキャビティ14の内側に向けて突出する凸状面12aを形成した第1形態(
図1A〜
図2B参照)から、一対の反転パネル形成部12がそれぞれキャビティ14の外側に向けて退避するとともに一対の押圧部13がそれぞれキャビティ14の内側に向けて進入した第2形態(
図4A及び
図4B参照)に変形可能である。また、キャビティ14は、第2形態から、一対の押圧部13がそれぞれ第1形態と同じ位置まで復帰した第3形態(
図5A及び
図5B参照)に変形可能である。キャビティ14は、第3形態において、例えばボトル形状などの液体入り容器Cの最終形状に対応した形状をなすようになっている。
【0027】
図1Aに示すように、キャビティ14はブロー成形型10の上面において上方に向けて開口している。プリフォーム2は、キャビティ14内に配置される。より具体的には、プリフォーム2は、胴部2bがブロー成形型10のキャビティ14の内部に配置されるとともに口部2aがブロー成形型10から上方に突出した状態となってブロー成形型10に装着される。
【0028】
ブロー成形型10は左右に型開きできるようになっており、プリフォーム2を液体入り容器Cに成形した後にブロー成形型10を左右に開くことで、当該液体入り容器Cをブロー成形型10から取り出すことができるようになっている。本実施形態では、型本体部11が
図1Aにおける左右に開かれる。しかし、ブロー成形型10から液体入り容器Cを取出すためのブロー成形型10の型開き構造は、適宜変更が可能である。
【0029】
製造装置1Aは、ノズルユニット20を有している。ノズルユニット20は、ブロー成形型10の上側に設けられ、ブロー成形型10に対して上下方向に相対移動自在である。ノズルユニット20は本体ブロック21と充填ノズル22とを有している。
【0030】
充填ノズル22は、プリフォーム2の口部2aの内部に挿入される円筒状に形成されたノズル本体22aとこのノズル本体22aと一体に形成された大径の挟持部22bとが一体に形成された構成となっている。充填ノズル22は、挟持部22bが本体ブロック21の内面に嵌め込まれることにより本体ブロック21に固定されている。ノズル本体22aは、ブロー成形型10のキャビティ14と同軸に配置されており、ノズルユニット20が所定位置にまで下降するとブロー成形型10に装着されたプリフォーム2の口部2aに係合するようになっている。
【0031】
本体ブロック21の内部にはノズル本体22aと同軸となって上下方向に延びる液体供給路23が設けられている。この液体供給路23は充填ノズル22に液体Lを供給するための流路であり、その下端において充填ノズル22に連通している。
【0032】
液体供給路23には配管24を介して加圧液体供給部25が接続されている。加圧液体供給部25は、配管24を介して液体供給路23に所定の圧力にまで加圧した液体Lを供給することができる。加圧液体供給部25としては、例えば加圧源としてプランジャーポンプを用いた構成のものを用いることができる。
【0033】
加圧液体供給部25から液体供給路23に加圧された液体Lが供給されると、液体Lは液体供給路23から充填ノズル22を介してブロー成形型10に配置されたプリフォーム2の内部に供給される。これにより、プリフォーム2が加圧された液体Lによってブロー成形型10のキャビティ14に沿った形状の容器Cに液体ブロー成形される。
【0034】
液体供給路23の内部には、充填ノズル22を液体供給路23に対して開閉するためのシール体26が配置されている。シール体26は液体供給路23の軸心に沿って延びる円筒状に形成されており、液体供給路23の内部で上下方向に移動自在となっている。シール体26が下方のストローク端にまで移動してその下端面が挟持部22bの上面に当接すると、液体供給路23とノズル本体22aとの連通がシール体26によって遮断され、充填ノズル22は液体供給路23に対して閉じられた状態となる。一方、シール体26が閉じた状態から上方に移動し、その下端面が挟持部22bの上面から離れると、液体供給路23とノズル本体22aとが連通され、充填ノズル22は液体供給路23に対して開かれた状態となる。
【0035】
したがって、ノズル本体22aをプリフォーム2の口部2aに係合させ、シール体26を開いて液体供給路23を充填ノズル22に連通させた状態で加圧液体供給部25を作動させることで、加圧液体供給部25から液体供給路23及び充填ノズル22を介してプリフォーム2の内部に加圧された液体Lを供給してプリフォーム2を液体ブロー成形することができる。
【0036】
図示するように、液体ブロー成形装置1Aは延伸ロッド27を備えた構成とすることもできる。延伸ロッド27は、シール体26の軸心に該シール体26に対して上下方向に相対移動自在に挿入されており、シール体26の下端からキャビティ14の内部に向けて出没可能となっている。延伸ロッド27を下方に向けて進出移動させることにより、プリフォーム2を当該延伸ロッド27により軸方向に延伸させることができる。このように、延伸ロッド27を設けた構成とした場合には、液体ブロー成形装置1Aは、プリフォーム2を延伸ロッド27により軸方向に延伸させつつ加圧した液体Lにより径方向に延伸させる二軸延伸ブロー成形を行うことができる。二軸延伸ブロー成形を行うことで、プリフォーム2の芯ずれを抑制して、より精度よく容器Cに成形することができる。液体ブロー成形装置1Aは、延伸ロッド27を備えない構成とすることもできる。
【0037】
次に、このような構成の液体ブロー成形装置1Aを用いて、合成樹脂製のプリフォーム2を液体ブロー成形して内容液Lを収容した所定形状の液体入り容器Cを製造する方法(本実施形態である液体入り容器の製造方法)について説明する。
【0038】
まず、液体ブロー成形工程が行われる。液体ブロー成形工程においては、
図1Aに示すように、まず、プリフォーム2を第1形態のキャビティ14内に配置する。より具体的には、予めヒーター等の加熱手段(不図示)を用いて延伸性を発現する程度の所定の温度(例えば80℃〜150℃)にまで加熱しておいたプリフォーム2を、
図1A及び
図1Bに示すようにキャビティ14を第1形態としたブロー成形型10に配置し、型締めする。次いで、ノズルユニット20を下降させ、充填ノズル22のノズル本体22aをプリフォーム2の口部2aに係合させる。次いで、シール体26を上方に移動させて充填ノズル22を開くとともに加圧液体供給部25を作動させる。これにより、加圧液体供給部25から液体供給路23に加圧した液体Lが供給されるとともに、当該液体Lが充填ノズル22を通って口部2aからプリフォーム2の内部に供給される。そして、プリフォーム2の内部に加圧した液体Lが供給されることにより、
図2A及び
図2Bに示すように、プリフォーム2がブロー成形型10の第1形態をなすキャビティ14に沿った形状の容器Cに液体ブロー成形される。このとき、容器Cは、口部Caと、口部Caより幅が拡大した胴部Cbとを有しており、胴部Cbは、一対の反転パネル形成部12(の凸状面12a)によって形成された一対の反転パネルCcを有している。
【0039】
液体ブロー成形工程においては、
図2Aに示すように、延伸ロッド27を用いてプリフォーム2を縦方向(軸方向)に延伸する二軸延伸ブロー成形を行ってもよい。このとき、延伸ロッド27による軸方向の延伸前、延伸中又は延伸後に液体Lの供給を開始することができる。延伸ロッド27を用いずに、液体Lのみによって液体ブロー成形を行ってもよい。
【0040】
ブロー成形工程が完了すると、次にヘッドスペース形成工程が行われる。ヘッドスペース形成工程においては、本実施形態では、まず、
図3に示すように、充填ノズル22を閉じることで容器Cの口部Caを閉塞する。口部Caを閉塞したときにシール体26から突出させておく延伸ロッド27の長さは、所望のヘッドスペースHSの大きさ等に応じて適宜調整が可能である。口部Caを閉塞したときの延伸ロッド27の突出部分の長さが長い程、後述するヘッドスペース形成工程において延伸ロッド27を容器Cから離脱させて口部Caを開放したときに、その突出部分の容積に相当する空気を容器Cの内部に導入してヘッドスペースHSを拡大できる。
【0041】
このように容器Cの口部Caを閉塞した状態で、
図4A及び
図4Bに示すように、キャビティ14を第2形態に変形させる。すなわち、一対の反転パネル形成部12をそれぞれキャビティ14の外側に向けて退避させるとともに、一対の押圧部13をそれぞれキャビティ14の内側に向けて進入させる。そして、このようにキャビティ14を第2形態に変形させることにより、一対の押圧部13でそれぞれ容器C(の胴部Cb)を押圧して一対の反転パネルCcをそれぞれ容器Cの外側に向けて突出するように反転させる。キャビティ14を第2形態に変形させるときは、一対の反転パネル形成部12を退避させた後に一対の押圧部13を進入させてもよいし、一対の反転パネル形成部12を退避させながら一対の押圧部13を進入させてもよいし、一対の押圧部13を進入させた後に一対の反転パネル形成部12を退避させてもよい。一対の押圧部13を進入させた後に一対の反転パネル形成部12を退避させる場合には、機械的な退避でも、押圧部13の押圧による反転パネルCcの突出変形の力を利用した(反転パネルCcの突出力で押す)退避でもよい。一対の押圧部13及び一対の反転パネル形成部12の配置、形状及び進退ストローク等は、液体Lの比重及び容器Cの肉厚等を考慮し、一対の反転パネルCcを外側に反転できるように適宜設定することができる。
【0042】
次いで、
図5A及び
図5Bに示すように、ノズルユニット20を上昇させて口部Caを開放し、キャビティ14を第3形態に変形させる。すなわち、一対の押圧部13をそれぞれ第1形態と同じ位置まで復帰させる。そして、このようにキャビティ14を第3形態に変形させることにより、一対の押圧部13による押圧を解除して、容器Cの胴部Cbにおける一対の押圧部13に押圧されていた部分を復元変形させ(つまり、押圧部13による押圧量は、容器Cが復元可能な範囲で設定される)、容器Cの容積を増加させる。その結果、口部Caから空気が導入され、容器Cの内部にヘッドスペースHSが形成される。このとき、延伸ロッド27を上昇させて容器Cの内部の液体Lから離脱させることで、液体Lに浸かっていた延伸ロッド27の容積分の空気を容器Cの内部に導入し、ヘッドスペースHSを拡大できる。延伸ロッド27を上昇させるタイミングは、口部Caの開放前又は開放と同時でもよいし、一対の押圧部13による押圧の解除後でもよく、適宜設定できる。本実施形態では、口部Caを開放した後に一対の押圧部13による押圧を解除して、容器Cの容積を増加させると同時に口部Caから空気を導入している。しかし、一対の押圧部13による押圧を解除して容器Cの容積を増加させ、容器Cの内部を負圧にした後に、口部Caを開放し、口部Caから空気を導入してヘッドスペースHSを形成するようにしてもよい。
【0043】
本実施形態では、ヘッドスペース形成工程において、充填ノズル22を閉じたノズルユニット20によって容器Cの口部Caを閉塞した状態で、キャビティ14を第2形態に変形させるようにしているが、例えば、ノズルユニット20を容器Cの口部Caから離脱させ、口部Caを開放した状態でキャビティ14を第2形態に変形させた後にキャビティ14を第3形態に変形させてヘッドスペースHSを形成するようにしてもよい。
【0044】
本実施形態である液体入り容器の製造方法は、押圧部13で容器Cを押圧して反転パネルCcを容器Cの外側に向けて突出するように反転させた後、押圧部13による押圧を解除して容器Cの容積を増加させることでヘッドスペースHSを形成するようにしているので、成形した容器Cから液体Lを排出することなく、ヘッドスペースHSを形成することができる。したがって、成形した容器Cから液体Lを排出するための特別な装置を用いる必要がない。また、容器Cの成形後に充填ノズル22を開いたままで押圧部13で容器Cを押圧して(又はノズルユニット20に向けて吸引するサックバックによって)容器Cから液体Lをノズルユニット20に戻すことでヘッドスペースHSを形成するようにした場合には、ノズルユニット20に液体Lとともに気泡(プリフォーム2の内部に存在した空気がプリフォーム2の内部への加圧した液体Lの供給時に巻き込まれたもの)が混入する惧れがあるが、本実施形態の液体入り容器の製造方法によれば、容器Cから液体Lをノズルユニット20に戻す必要がないため、そのような気泡の混入を回避できる。
【0045】
本実施形態では、型本体部11と一対の反転パネル形成部12と一対の押圧部13とでキャビティ14を形成し、ヘッドスペース形成工程において、容器Cをキャビティ14内に配置した状態でヘッドスペースHSを形成している。すなわち、本実施形態では、ブロー成形型10が一対の押圧部13を有している。しかし、一対の押圧部13をキャビティ14の外部に配置するとともに型本体部11と一対の反転パネル形成部12とでキャビティ14を形成し(すなわち、製造装置1Aにおいて、一対の押圧部13をブロー成形型10とは別に設け)、ヘッドスペース形成工程において、ブロー成形型10を開いて容器Cをキャビティ14から取出した(単にブロー成形型10を開いた状態と、ブロー成形型10から容器Cを移動した状態との両方を含む)後に、一対の押圧部13でそれぞれ容器Cを押圧して一対の反転パネルCcをそれぞれ容器Cの外側に向けて突出するように反転させた後、一対の押圧部13による押圧を解除して容器Cの容積を増加させることでヘッドスペースHSを形成するようにしてもよい。この場合、ヘッドスペース形成工程において、容器Cの口部Caを閉塞した状態で一対の押圧部13で容器Cを押圧して反転パネルCcを容器Cの外側に向けて突出するように反転させてもよいし、容器Cの口部Caを開放した状態で一対の押圧部13で容器Cを押圧して反転パネルCcを容器Cの外側に向けて突出するように反転させてもよい。
【0046】
次に、
図6〜
図8を参照して、本発明の第2実施形態である液体入り容器の製造方法について例示説明する。
【0047】
本実施形態の液体入り容器の製造方法は、例えば
図6に示す構成の液体入り容器の製造装置1Bを用いて実施することができる。
【0048】
液体入り容器の製造装置1Bは、1つの反転パネル形成部12と、1つの押圧部13とが上下方向に並ぶように配置されたブロー成形型10’を有している。キャビティ14は、反転パネル形成部12がキャビティ14の内側に向けて突出する凸状面12aを形成した第1形態(
図6参照)から、反転パネル形成部12がキャビティ14の外側に向けて退避するとともに押圧部13がキャビティ14の内側に向けて進入した第2形態(
図7参照)に変形可能である。また、キャビティ14は、第2形態から、押圧部13が第1形態と同じ位置まで復帰した第3形態(
図8参照)に変形可能である。その他の構成は、第1実施形態で用いた製造装置1Aの場合と同様である。
【0049】
本実施形態に係る液体入り容器の製造方法では、ヘッドスペース形成工程において、容器Cの口部Caが閉塞された状態でキャビティ14を第1形態(
図6参照)から第2形態(
図7参照)に変形させることにより、押圧部13で容器Cを押圧して反転パネルCcを容器Cの外側に向けて突出するように反転させた後、キャビティ14を第3形態(
図8参照)に変形させることにより、押圧部13による押圧を解除して容器Cの容積を増加させることでヘッドスペースHSを形成する。本実施形態に係る液体入り容器の製造方法によれば、ブロー成形型10’の構造を簡素化できるので、ブロー成形型10’から液体入り容器Cを取出すためのブロー成形型10’の型開き構造の選択肢を広げることができる。
【0050】
本実施形態では、反転パネル形成部12と押圧部13とが上下方向に並ぶように配置されている。しかし、反転パネル形成部12と押圧部13とは、キャビティ14の中心軸線Oに対する周方向に並ぶ(或いは互いに対向する)ように配置されてもよい。反転パネル形成部12と押圧部13との一方及び/又は両方を容器Cの底部Cdに対応する位置に配置してもよい。ブロー成形型10’は複数の反転パネル形成部12を有していてもよいし、複数の押圧部13を有していてもよい。反転パネル形成部12及び/又は押圧部13を、容器Cの胴部Cbにおける口部Caとの隣接領域(口部Caの下端から下方に向けて幅が拡大するテーパ面状をなす肩領域)に対応する位置に設けてもよい。例えば、容器Cの胴部Cb(胴部Cbの肩領域でもよい)に対応する位置に設けた押圧部13で容器Cを押圧することで、容器Cの底部Cdに対応する位置に設けた反転パネル形成部12によって形成された反転パネルCcを反転させるようにしてもよい。また、容器Cの底部Cdに対応する位置に設けた押圧部13で容器Cを押圧することで、容器Cの胴部Cb(胴部Cbの肩領域でもよい)に対応する位置に設けた反転パネル形成部12によって形成された反転パネルCcを反転させるようにしてもよい。いずれの場合でも、反転パネル形成部12は、容器Cの胴部Cbにおける下半部に対応する位置に設けることが好ましい。容器Cの内部の液体Lによる水頭圧によって反転パネルCcを容器Cの外側に向けて反転させ易く、また、容器Cの最終的な製品形状を安定したものとし易いからである。反転パネル形成部12を胴部Cbの下半部に対応する位置に設けるのが好ましいことは、第1実施形態の場合も同様である。
【0051】
本実施形態では、型本体部11’と反転パネル形成部12と押圧部13とでキャビティ14を形成し、ヘッドスペース形成工程において、容器Cをキャビティ14内に配置した状態でヘッドスペースHSを形成している。すなわち、本実施形態では、ブロー成形型10’が押圧部13を有している。しかし、押圧部13をキャビティ14の外部に配置するとともに型本体部11’と反転パネル形成部12とでキャビティ14を形成し(すなわち、製造装置1Bにおいて、押圧部13をブロー成形型10’とは別に設け)、ヘッドスペース形成工程において、ブロー成形型10’を開いて容器Cをキャビティ14から取出した(単にブロー成形型10’を開いた状態と、ブロー成形型10’から容器Cを移動した状態との両方を含む)後に、押圧部13で容器Cを押圧して反転パネルCcを容器Cの外側に向けて突出するように反転させた後、押圧部13による押圧を解除して容器Cの容積を増加させることでヘッドスペースHSを形成するようにしてもよい。
【0052】
本発明は前記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0053】
例えば、前記の実施形態では、
図1Aに示す構成の製造装置1A、又は
図6に示す構成の製造装置1Bを用いて本発明の液体入り容器の製造方法を行う場合を示したが、他の構成の液体入り容器の製造装置等を用いて本発明の液体入り容器の製造方法を行うこともできる。
【0054】
例えば、第1実施形態においては、ブロー成形型10として、一対の反転パネル形成部12と一対の押圧部13とを有するものを用いたが、例えば、3つ以上の反転パネル形成部12と3つ以上の押圧部13とを有するとともにキャビティ14の中心軸線Oと直交する所定の横断面において反転パネル形成部12と押圧部13とが周方向に交互に配置されたものを用いてもよい。反転パネル形成部12と押圧部13との数は異なっていてもよい。また、一対の又は3つ以上の反転パネル形成部12と、一対の又は3つ以上の押圧部13とは、容器Cの胴部Cbにおける肩領域に対応する位置に設けてもよい。
【0055】
プリフォーム2として、成形後の液体入り容器Cの形状等に応じて種々の形状のものを用いることができる。
【0056】
ヘッドスペースHSの形成にあたっては、ヘッドスペースHSを拡大するために、成形した容器Cから液体Lを排出する方法(例えば、サックバック等により容器Cから液体Lをノズルユニット20に戻す方法等)を補助的に行ってもよい。