【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ▲1▼展示日 平成29年1月5日〜平成29年1月8日 ▲2▼展示会名 CES2017 開催場所 アメリカ合衆国 ネバダ・89109 ラスベガス パラダイス・ロード 3150 ラスベガス・コンベンション・センター
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、自動車などの車両においては、ドライバーが直接視認できない車両の側方や後方をサイドミラー(ドアミラー)やバックミラーなどのミラー方式の表示手段を用いて間接視認することで、車両の周囲の状況に合致した適切な運転が行えるようにしている。
【0003】
一方、例えばミラー方式の間接的な表示手段では後方の視界を確保しにくいバスなどの車両においては、車両のバックビューをテレビカメラで撮影しこれを車室内のモニタで表示する手法も実用化されている。
【0004】
さらに、特許文献1には、サイドミラーに替え、撮像手段及び表示装置(画像表示手段)を用いて車両の周辺状況を表示する車両用周辺表示装置が開示されている。しかしながら、特許文献1に記載の車両用周辺表示装置においては、ドライバーが直接的に車室内の表示装置のモニタ画像を見ることになる。このため、運転中、遠距離の対象物と近距離の対象物(モニタ画像)の2点間で眼の切り替えを行うことになる。この2点間の視線の切替動作を行う際には、運転者の焦点調整時間が長くなり、視線の切替を繰り返し継続すると、目の疲労や視認性の低減などが生じるおそれがある。
【0005】
これに対し、特許文献2には、ドライバーがミラー(鏡体)を介して車室内の表示装置の画像を間接的に視認するようにし、ドライバーから表示装置の表示面までの距離を長くすることで焦点調整時間を短くする手法が開示されている。
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載の車両用周辺表示装置は、モニタを含む表示装置とミラーが別体で、車両に対し別々に取り付ける必要がある。このため、取付け作業性が悪い。
【0007】
これに対し、特許文献3には、モニタとミラーを内部に収納して表示ユニットを構成し、表示ユニットを車両に搭載するようにした車両用周辺表示装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献3に記載の車両用周辺表示装置では、表示ユニット内にモニタとミラーを固定する際にこれらモニタとミラーを別々に固定するため、表示ユニット内への取付け作業や取付け位置精度の管理が難しいという問題があった。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑み、従来と比較し、取付け作業性に優れた車両用周辺表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0012】
請求項1記載の車両用周辺表示装置は、車両用周辺領域を撮像する撮像手段と、車室内に配置され、前記撮像手段で撮像された画像を表示する表示部、及び前記表示部で表示した画像を所望の方向から視認させるための鏡体を有する表示ユニットとを備える車両用周辺表示装置において、前記表示ユニットは、前記表示部と前記鏡体を一体に保持する保持部材
と、前記表示部を前記保持部材に位置決め固定する抜け止め部材と、を備え、前記保持部材には、
上下方向に交差する横方向に延び、前記表示部の
上端と下端とが前記横方向から各別に差し込まれることで、前記表示部を前記鏡体に対して所定の位置で保持する
複数の係止溝が形成され
、前記抜け止め部材は、前記表示部の側端部に取り付けられ、前記表示部が前記係止溝から引き抜けないように前記係止溝に差し込まれていることを特徴とする。
【0013】
この発明においては、モニタなどの
表示部と鏡体を保持部材で一体に保持し、この状態の保持部材を表示ユニットの筐体等に取り付け、さらに表示ユニットを車両に取り付けることで、容易に車両用周辺表示装置の
表示部を車両の所定位置に取り付けることができる。すなわち、従来よりも取付け作業性を向上させることが可能になる。
【0014】
また、表示ユニット内での
表示部と鏡体の互いの取付位置精度を容易に確保できる。これにより、従来と比較し、
表示部と鏡体の取付位置精度の管理を容易にすることも可能になる。
【0015】
請求項2記載の車両用周辺表示装置は、請求項1記載の車両用周辺表示装置において、前記保持部材には、前記表示ユニット内の所定位置に位置決め固定するための位置決め部が設けられていることを特徴とする。
【0016】
この発明においては、
表示部と鏡体を一体に保持した保持部材を表示ユニット内に配置する際に、保持部材に位置決め部が設けられているため、容易に保持部材、ひいては
表示部、鏡体を表示ユニットの所定位置に位置決め固定することが可能になる。これにより、取付け作業性のさらなる向上を図ることが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の車両用周辺表示装置においては、保持部材を備えることにより、
表示部と鏡体を一体に保持することができるため、表示ユニット内への
表示部と鏡体の取付け作業を向上させることができるとともに、表示ユニット内での互いの取付け位置精度の管理も容易となる。
【0018】
よって、本発明の車両用周辺表示装置によれば、従来と比較し、取付け作業性に優れた車両用周辺表示装置を実現/提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両用周辺表示装置を備えた車両の車室内の状態を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る車両用周辺表示装置(DR側の車両周辺表示手段)を示す図であり、運転者が車両の左側周辺の画像を見ている状態を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る車両用周辺表示装置(AS側の車両周辺表示手段)を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る車両用周辺表示装置のDR側の車両周辺表示手段の表示ユニットを示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る車両用周辺表示装置のDR側の車両周辺表示手段の表示ユニットの内部を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る車両用周辺表示装置のDR側の車両周辺表示手段の表示ユニットを示す分解図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る車両用周辺表示装置のDR側の車両周辺表示手段の保持手段(保持部材)を示す図であり、(a)が側方からの斜視図であり、(b)が下方からの斜視図、(c)が(a)、(b)のS1部を示した図、(d)が(a)、(b)のS2部を示した図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る車両用周辺表示装置のAS側の車両周辺表示手段の表示ユニットを示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る車両用周辺表示装置のAS側の車両周辺表示手段の表示ユニットの内部を示す図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る車両用周辺表示装置のAS側の車両周辺表示手段の表示ユニットを示す分解図である。
【
図11】凹面鏡と表示部の距離を設定、及び/又は凹面鏡の曲率を設定して、DR側の車両周辺表示手段とAS側の車両周辺表示手段で表示される画像の大きさを同一にする一例を示す図である。
【
図12】表示部の角度を設定して、DR側の車両周辺表示手段とAS側の車両周辺表示手段で表示される画像の大きさを同一にする一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、
図1から
図12を参照し、本発明の一実施形態に係る車両用周辺表示装置について説明する。ここで、本実施形態は、左右一対のサイドミラーに替え、撮像手段及び表示手段を用いて車両の周辺状況を表示する車両用周辺表示装置に関するものである。また、本実施形態では、車両用周辺表示装置を備える車両が左ハンドル車であるものとして説明を行うが、勿論、この点、特に限定を必要とするものではない。
【0021】
本実施形態の車両用周辺表示装置Aは、
図1から
図3に示すように、DR側(ドライバー(運転者)側/左側)の一方のサイドミラーに替えて設けられるDR側の車両周辺表示手段1と、AS側(アシスタント側/右側)の他方のサイドミラーに替えて設けられるAS側の車両周辺表示手段2の左右一対の車両周辺表示手段1、2を備えて構成されている。
【0022】
DR側の車両周辺表示手段1は、
図1及び
図2に示すように、車両100の左側の周辺状況を撮像するDR側の撮像手段(不図示)と、DR側の撮像手段で取得された画像信号を受けて画像を表示するDR側の表示手段3とを備えている。
【0023】
DR側の撮像手段は、例えば、CCDカメラなどであり、車両100の左側側部の適正な周辺領域を撮像できるように車両100の左側側面の前方側に取り付けられている。
【0024】
DR側の表示手段3は、
図1、
図2、
図4〜
図6に示すように、外殻をなす中空状の筐体4と、DR側の撮像手段から画像信号を受けて画像を表示するモニタなどの表示部(表示部品)5と、筐体4に形成された開口部にアクリル板などの透明部材6を取り付けてなり、運転者Mが表示部5で表示された画像を視認させる視認部7と、表示部5で表示された画像を反射して視認部7で表示させるための鏡体(反射鏡、光学部品)8とを備えて構成されている。
【0025】
表示部5と鏡体8が筐体4の内部に設けられ、DR側の表示手段3がユニット化されている。すなわち、筐体4と表示部5と鏡体8とを備えてDR側の表示ユニットU1が構成されている。なお、本実施形態の表示ユニットU1の構成要素である筐体4は、表示部5と鏡体8、さらには後述の保持手段10(20)を一体に保持することが可能であればよく、例えば枠体であってもよい。
【0026】
DR側の視認部7は、筐体4の所定位置に外面から内面に貫通形成された方形状などの開口部4aを閉塞するように、アクリル板等の透明部材6を筐体4に取り付けて構成され、ダッシュボード101の左端側(インパネ:インテリアパネルの左側端部近傍)に配設されている。
【0027】
また、透明部材6の外面には、運転者Mが視認する領域を囲繞するように環状にスポンジなどの干渉保護材9が一体に取り付けられている。なお、透明部材6の表面は、反射および汚れを防止するための表面処理が施されている。
【0028】
そして、DR側の表示手段3を車両100のダッシュボード101の内部の所定位置に取り付けた状態で、視認部7がダッシュボード101に形成した開口部101aに配されるように構成されている。
【0029】
このとき、ダッシュボード101の裏面側に干渉保護材9が当接し、ダッシュボード101と視認部7の透明部材6の間に挟まって介装される。
これにより、干渉保護材9によって表示ユニットU1の取付けガタの発生を防止でき、さらに透明部材6の側方から視認部7、さらに筐体4の内部に余計な光が入り込むことを阻止して視認性が低下することを防止できる。
【0030】
DR側の表示手段3は、鏡体8として、平面鏡8aと凹面鏡8bの二種の反射鏡が具備されている。
平面鏡8aは、表示部5で表示された画像(画像の光線/光軸)を凹面鏡8bに向けて反射させるように所定の角度をもって筐体4内部に設けられている。
【0031】
ここで、本実施形態のDR側の表示手段3においては、
図5、
図6、
図7に示すように、平面鏡8aと表示部5をそれぞれ所定の距離、相対角度で保持するとともに筐体4内部で位置決め保持するためのDR側の第1保持手段(第1保持部材)10が具備されている。
【0032】
DR側の第1保持手段10には、方形状の平面鏡8aを差し込むとともにその端部側(本実施形態では上端と下端)を係止して平面鏡8aの鏡面を所定の位置に、所定の傾斜角度で保持する複数の係止片11が設けられている。DR側の第1保持手段10には、略方形盤状の表示部5を差し込むとともにその端部側(本実施形態では上端と下端)を係止して表示部5の表示面を平面鏡8aに向ける所定位置に所定の角度で保持する複数の係止溝12が設けられている。
【0033】
また、
図7(a)、(b)、(c)のS1部に示すように、係止片11はその先端にリブ11aを備え、このリブ11aが平面鏡8aの表面(鏡面)を押圧することで、すなわち、平面鏡8aが軽圧入して係止片11に係止され、平面鏡8aを位置ずれすることなく好適に保持することが可能になる。
図7(a)、(b)、(d)のS2部に示すように、係止溝12はその内面側に突出するリブ12aを備え、表示部5が軽圧入して係止溝12に係止され、表示部5を位置ずれすることなく好適に保持することが可能になる。
【0034】
さらに、表示部5をDR側の第1保持手段10に差し込んで所定位置に係止するとともに表示部5の側端部に抜け止め部材13が取り付けられ、抜け止め部材13によって表示部5がDR側の第1保持手段10から引き抜けないように位置決め固定されている。
【0035】
DR側の第1保持手段10には、
図7に示すように、略平盤状の底盤部10aの下面に、下面から下方に突出する例えば略円盤状の位置決め係合凸部14aが設けられている。さらに、底盤部10aの下面の後端側(表示部5側)に、下方に突出し一側部から他側部まで延び、前端側よりも一段下方に突設された係合段部14bが設けられている。
【0036】
そして、DR側の第1保持手段10を筐体4の所定位置に配置するとともに、筐体4の下面に形成された係合凹部4bと被係合段部4cにそれぞれ位置決め係合凸部14aと係合段部14bが係合することによって、DR側の第1保持手段10ひいては表示部5及び平面鏡8aが筐体4の内部の所定位置に位置決め保持される。
【0037】
なお、DR側の第1保持手段10の位置決め係合凸部14a及び係合段部14bと、筐体4の係合凹部4b及び被係合段部4cとにより、DR側の表示手段3の位置決め部15が構成されている。
【0038】
凹面鏡8bは、
図2、
図5及び
図6に示すように、所定の曲率半径をもって鏡面が凹曲面状に形成されており、平面鏡8aから反射して送られた画像の光線を視認部7ひいては視認部7を見る運転者Mの視線O1に向けて反射するように筐体4内部に設けられている。
【0039】
凹面鏡8bはDR側の第2保持手段(第2保持部材)20に保持/支持されて筐体4内部の所定位置に固設されている。また、本実施形態では、凹面鏡8bの角度、向きを調整するための凹面鏡可動機構21に凹面鏡8bが支持され、凹面鏡可動機構21をDR側の第2保持手段20に取り付けて支持することにより、間接的に凹面鏡8bがDR側の第2保持手段20に保持されている。
【0040】
凹面鏡可動機構21は、例えば、複数のモータ(不図示)などの駆動部を備えてなる凹面鏡駆動部22と、凹面鏡駆動部22をDR側の第2保持手段20に支持させつつ凹面鏡8bに接続するための接続支持部23とを備え、凹面鏡駆動部22の駆動によって凹面鏡8bの角度(向き)を任意に調整できるように構成されている。本実施形態では、例えば、車室H内から運転者Mがリモコン操作するなどすると、凹面鏡駆動部22が駆動し、DR側の凹面鏡8bの角度を自在に調整可能とされている。
【0041】
次に、AS側の車両周辺表示手段2は、
図1及び
図3に示すように、車両100の右側の周辺状況を撮像するAS側の撮像手段(不図示)と、AS側の撮像手段で取得された画像信号を画面上に画像として表示するAS側の表示手段25とを備えている。
【0042】
AS側の撮像手段は、DR側の撮像手段と同様、例えばCCDカメラなどであり、車両100の右側側部の適正な周辺領域を撮像できるように車両100の右側側面の前方側に取り付けられている。
【0043】
なお、DR側の撮像手段やAS側の撮像手段は、左右又は上下に一対のCCDカメラからなるステレオカメラを採用し、一対のCCDカメラの画像信号に基づいて各画像内の対象物までの距離を計測できるように構成してもよい。
【0044】
AS側の表示手段25は、DR側の表示手段3と同様、外殻をなす中空状の筐体26と、AS側の撮像手段から画像信号を受けて画像を表示するモニタなどの表示部(表示部品)27と、筐体26に形成された開口部26aにアクリル板等の透明部材28を取り付けてなり、運転者Mが表示部27で表示された画像を視認する視認部29と、表示部27で表示された画像を反射して視認部29で表示させるための鏡体(反射鏡、光学部品)30とを備えて構成されている。
【0045】
表示部27と鏡体30が筐体26の内部に設けられ、AS側の表示手段25がユニット化されている。すなわち、DR側と同様、筐体26と表示部27と鏡体30とを備えてAS側の表示ユニットU2が構成されている。なお、DR側と同様、筐体26は、表示部27と鏡体30、さらには後述の保持手段32、40を一体に保持することが可能であればよく、例えば枠体であってもよい。
【0046】
AS側の視認部29は、筐体26の所定位置に外面から内面に貫通形成された方形状などの開口部26aを閉塞するように、アクリル板等の透明部材28を筐体26に取り付けて構成され、ダッシュボード101の右端側に配設されている。また、DR側の視認部7と同様、透明部材28の外面にスポンジなどの干渉保護材31が一体に取り付けられている。透明部材28の表面は反射および汚れを防止するための表面処理が施されている。
【0047】
そして、AS側の表示手段25を車両100のダッシュボード101の内部の所定位置に取り付けた状態で、視認部29がダッシュボード101の右端側に形成した開口部101bに配されるように構成されている。DR側の表示手段3と同様、ダッシュボード101の開口部101bにはこの開口部101bを閉塞するようにアクリル板等の透明部材103が取り付けられ、ダッシュボード101側の透明部材103とAS側の視認部29の透明部材28の間に干渉保護材31が挟まるように介装される。
【0048】
これにより、干渉保護材31によってダッシュボード101側の透明部材103の内面と視認部29の透明部材28の外面、すなわち、透明部材28の運転者Mに対して画像を表示する部分に埃などの異物が付着するなどして視認性が低下すること防止できる。
【0049】
本実施形態のAS側の表示手段25においては、
図3、
図9、
図10に示すように、鏡体30として凹面鏡30aのみが具備されている。
【0050】
凹面鏡30aは、所定の曲率半径をもって鏡面が凹曲面状に形成されており、AS側の表示部27で表示された画像の光線をAS側の視認部29ひいては視認部29を見る運転者Mの視線O1に向けて反射するように筐体26内部に設けられている。
【0051】
また、凹面鏡30aはAS側の第1保持手段(第1保持部材)32に保持/支持されて筐体26内の所定位置に固設される。DR側の表示手段3と同様、AS側の凹面鏡30aも、その角度/向きを調整するための凹面鏡可動機構33に支持され、凹面鏡可動機構33をAS側の第1保持手段32に取り付けて支持することにより、間接的に凹面鏡30aがAS側の第1保持手段32に保持されている。
【0052】
凹面鏡可動機構33は、例えば、複数のモータ(不図示)などの駆動部を備えてなる凹面鏡駆動部34と、凹面鏡駆動部34をAR側の第1保持手段32に支持させつつ凹面鏡30aに接続するための接続支持部35とを備え、凹面鏡駆動部34の駆動によって凹面鏡30aの角度(向き)を任意に調整できるように構成されている。本実施形態では、DR側の表示手段3と同様、例えば、車室H内から運転者Mがリモコン操作するなどすると、凹面鏡駆動部34が駆動し、AS側の凹面鏡30aの角度を自在に調整可能とされている。
【0053】
表示部27は、略方形盤状に形成され、略方形枠状のAS側の第2保持手段(第2保持部材)40の係止溝40aに横方向から差し込んで保持される。そして、この状態のAS側の第2保持手段40を筐体26内に収容するとともに筐体26に係合させるなどして一体化させ、表示部27が表示面を凹面鏡30aに向けた所定位置に保持される。
【0054】
また、表示部27をAS側の第2保持手段40に差し込んで所定位置に配設するとともに、表示部27の側端部に抜け止め部材41が取り付けられ、この抜け止め部材41によって表示部27が引き抜けないようにAS側の第2保持手段40に位置決め固定される。
【0055】
そして、上記構成からなる本実施形態の車両用周辺表示装置Aにおいては、表示部5、27のモニタで表示された車両100の周辺の画像を、凹面鏡8b、30aを介して視認部7、29で視認できるように構成されているため、表示部5、27と凹面鏡8b、30aまでの距離、凹面鏡8b、30aの角度、凹面鏡8b、30aの曲率などを適宜設定することにより、視認部7、29で表示される画像の大きさを調整することができる。
【0056】
また、運転者Mがリモコン操作するなどして凹面鏡駆動部22、34を駆動させることにより凹面鏡8b、30aの角度を自在に調整することができる。これにより、運転者Mの視線O1の高さに対応して視認部7、29で表示される画像の角度、大きさを自在に調整することができる。すなわち、DR側の表示手段3とAS側の表示手段25のそれぞれの視認部7、29で表示される画像の角度と視野範囲をそれぞれ個別に調整することができる。
【0057】
ここで、DR側とAS側の左右の表示手段3、25の視認部7、29で表示される画像の大きさを同じにする条件の一例について具体的に説明する。
【0058】
第一に、
図11に示すように、各表示手段3、25の凹面鏡8b、30aと表示部5、27の間の距離を設定することで、左右の視認部7、29で表示されて運転者Mが視認する画像の大きさを同一にすることができる。
【0059】
例えば、距離が小さくなるほど視認部7、29で表示される画像が拡大するため、
図11(a)に示すように、DR側の表示手段3の表示部5と平面鏡8aの距離を115mm、平面鏡8aと凹面鏡8bの距離を145.9mmとし、
図11(b)に示すように、AS側の表示手段25の表示部27と凹面鏡30aの距離を162.9mmとすれば、身長が180cmの運転者MがDR側の視認部7、AS側の視認部29でそれぞれ表示される画像の大きさを同じにすることができる。
【0060】
第二に、
図12に示すように、表示部5、27の角度を設定することで、左右の視認部7、29で表示されて運転者Mが視認する画像の大きさを同一にすることができる。
【0061】
すなわち、
図12(a)、(b)に示すように、凹面鏡8b、30aの中心と凹面鏡8b、30aの曲率中心とを結ぶ光軸P1と、凹面鏡8b、30aの中心と表示部5、27または平面鏡8aの中心とを結ぶ光軸P2の角度θを設定する。この角度θが大きくなるほど画像は拡大するため、DR側の表示手段3の表示部5の角度θと、AS側の表示手段25の表示部27の角度θをそれぞれ調整すれば、身長が180cmの運転者MがDR側の視認部7、AS側の視認部29でそれぞれ表示される画像の大きさを同じにすることができる。
【0062】
第三に、
図11に示すように、各表示手段3、25の凹面鏡8b、30aの曲率を適宜設定することで、左右の視認部7、29で表示されて運転者Mが視認する画像の大きさを同一にすることができる。
【0063】
例えば、
図11(a)に示すように、DR側の表示手段3の凹面鏡8bの曲率をR3000、
図11(b)に示すように、AS側の表示手段25の凹面鏡30aの曲率をR1400とすることで、身長が180cmの運転者MがDR側の視認部7、AS側の視認部29でそれぞれ表示される画像の大きさを同じにすることができる。
【0064】
一方、本実施形態の車両用周辺表示装置Aにおいては、モニタなどの表示部5と鏡体8を保持手段10で一体に保持し、この状態の保持手段10を表示ユニットU1の筐体4に取り付け、さらに表示ユニットU1を車両100に取り付けることで、容易に車両用周辺表示装置Aの表示部5と鏡体8を車両100の所定位置に取り付けることができる。すなわち、従来よりも取付け作業性を向上させることが可能になる。
【0065】
また、表示ユニットU1内での表示部5と鏡体8の互いの取付位置精度を容易に確保できる。これにより、従来と比較し、表示部5と鏡体8の取付位置精度の管理を容易にすることも可能になる。
【0066】
さらに、表示部5と鏡体8を一体に保持した保持手段10を表示ユニットU1内に配置する際に、保持手段10に位置決め部15が設けられているため、容易に保持手段10、ひいては表示部5、鏡体8を表示ユニットU1の所定位置に位置決め固定することが可能になる。これにより、取付け作業性のさらなる向上を図ることが可能になる。
【0067】
これにより、本実施形態の車両用周辺表示装置Aにおいては、保持手段10を備えることにより、表示部5と鏡体8を一体に保持することができるため、表示ユニットU1内への表示部5と鏡体8の取付け作業を向上させることができるとともに、表示ユニットU1内での互いの取付け位置精度の管理も容易となる。
【0068】
よって、従来と比較し、取付け作業性に優れた車両用周辺表示装置Aを実現/提供することが可能になる。
【0069】
以上、本発明に係る車両用周辺表示装置の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0070】
例えば、本実施形態では、左右一対のサイドミラーに替え、左右にそれぞれ設けられた撮像手段及び表示手段3、25を備えて車両100の周辺状況を表示するものとして説明を行ったが、本発明に係る車両用周辺表示装置Aはサイドミラーの代替として用いることに限定する必要はなく、車両100の周囲のあらゆる所望の位置を表示するために適用可能である。また、撮像手段及び表示手段3、25を2つ以上備えて構成してもよい。