特許第6864576号(P6864576)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6864576
(24)【登録日】2021年4月6日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】自動二輪車のエアークリーナー
(51)【国際特許分類】
   F02B 27/02 20060101AFI20210419BHJP
   F02M 35/024 20060101ALI20210419BHJP
   F02M 35/10 20060101ALI20210419BHJP
   F02M 35/16 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
   F02B27/02 A
   F02M35/024 511Z
   F02M35/024 511A
   F02M35/024 511E
   F02M35/10 301D
   F02M35/16 M
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-136102(P2017-136102)
(22)【出願日】2017年7月12日
(65)【公開番号】特開2019-19687(P2019-19687A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2020年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000252252
【氏名又は名称】和興フィルタテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】特許業務法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福井 章仁
(72)【発明者】
【氏名】木根 淳之
【審査官】 沼生 泰伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−303455(JP,A)
【文献】 特開2005−105956(JP,A)
【文献】 特開2010−053991(JP,A)
【文献】 特開2004−100632(JP,A)
【文献】 特開2001−073810(JP,A)
【文献】 特開2010−019200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 1/00−99/00
B62K 1/00−11/14
F02B 27/00−27/06
F02M 35/00−35/16
F02D 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース本体と、
前記ケース本体を閉じる蓋体と、
前記ケース本体および前記蓋体で区切られる内部空間に収容されて前記内部空間をダーティーサイドとクリーンサイドとに分けるフィルターと、
前記ケース本体に設けられて前記内部空間に突出し、かつ前記フィルターを通過した空気を前記内部空間から流出させる複数のファンネルと、を備え、
前記フィルターは、前記内部空間に流れ込む前記空気を濾過するフィルターエレメントと、前記フィルターエレメントを前記ケース本体に支える枠体と、前記枠体に設けられるフックと、を有し、
前記複数のファンネルは、直線状に並び、かつ前記フックを引っ掛けて前記フィルターを前記ケース本体に保持するフック受けを有し
前記フック受けは、隣り合う一対の前記ファンネルの間に配置され、かつ前記複数のファンネルの配列方向から見て漏斗状に広がる前記ファンネルの入口の最外径より内側に配置されている自動二輪車のエアークリーナー。
【請求項2】
前記ケース本体内に設けられて前記フィルターを支える座部を備え、
前記フック受けは、前記座部の座面の法線方向へ突出している請求項1に記載の自動二輪車のエアークリーナー。
【請求項3】
前記ファンネルは4つあり、前記フックおよび前記フック受けは2つずつあって、
一方の前記フックおよび一方の前記フック受けは、直線状に並ぶ前記複数のファンネルのうち、一方の端に配置されるファンネルと、その隣に配置されるファンネルとの間に配置され、他方の前記フックおよび他方の前記フック受けは、直線状に並ぶ前記複数のファンネルのうち、他方の端に配置されるファンネルと、その隣に配置されるファンネルとの間に配置され、
直線状に並ぶ前記複数のファンネルのうち、中央に配置される2つのファンネルの間には、前記蓋体の内面から突出してケース本体にフィルターを押さえ付ける押付部が配置されている請求項1または2に記載の自動二輪車のエアークリーナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車のエアークリーナーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動二輪車のエアークリーナーは、上側ボックス部と下側ボックス部とで挟んでエアーフィルターを固定している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−47145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エアーフィルターの枠体のうち、クリーナーボックスの内部を横断する部分は、従来のエアークリーナーのように、上側ボックス部と下側ボックス部とで挟んで固定することが難しい。
【0005】
そこで、エアーフィルターの枠体のうち、クリーナーボックスの内部を横断する部分をクリーナーボックスにネジなどの締結部材で固定することが考えられる。
【0006】
しかし、クリーナーボックする内でネジなどの締結部材を用いることは、クリーナーボックス内へのネジの抜け出し(脱落)や、ネジの締め付けや取り外しにともなうクリーナーボックス内への異物の侵入の虞を生じさせる。クリーナーボックス内にネジが抜け出したり、異物が入り込んだりすると、エンジンを故障させる要因になる。
【0007】
そこで、本発明は、クリーナーボックス内でネジなどの締結部材を用いることなく、かつクリーナーボックス内のフィルターを強固に固定可能な自動二輪車のエアークリーナーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するため本発明に係る自動二輪車のエアークリーナーは、ケース本体と、前記ケース本体を閉じる蓋体と、前記ケース本体および前記蓋体で区切られる内部空間に収容されて前記内部空間をダーティーサイドとクリーンサイドとに分けるフィルターと、前記ケース本体に設けられて前記内部空間に突出し、かつ前記フィルターを通過した空気を前記内部空間から流出させる複数のファンネルと、を備え、前記フィルターは、前記内部空間に流れ込む前記空気を濾過するフィルターエレメントと、前記フィルターエレメントを前記ケース本体に支える枠体と、前記枠体に設けられるフックと、を有し、前記複数のファンネルは、直線状に並び、かつ前記フックを引っ掛けて前記フィルターを前記ケース本体に保持するフック受けを有し、前記フック受けは、隣り合う一対の前記ファンネルの間に配置され、かつ前記複数のファンネルの配列方向から見て漏斗状に広がる前記ファンネルの入口の最外径より内側に配置されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、クリーナーボックス内でネジなどの締結部材を用いることなく、かつクリーナーボックス内のフィルターを強固に固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るエアークリーナーが適用される自動二輪車を示す左側面図。
図2】本発明の実施形態に係る自動二輪車のエアークリーナーの斜視図。
図3】本発明の実施形態に係る自動二輪車のエアークリーナーの断面図。
図4】本発明の実施形態に係る自動二輪車のエアークリーナーの蓋体を開いた状態の平面図。
図5】本発明の実施形態に係る自動二輪車のエアークリーナーのファンネルの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る自動二輪車のエアークリーナーの実施の形態について、図1から図5を参照して説明する。なお、複数の図面中、同一または相当する構成には同一の符号を付している。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係るエアークリーナーが適用される自動二輪車を示す左側面図である。
【0013】
なお、本実施形態における前後、上下、左右の表現は、自動二輪車1の乗員を基準にする。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る自動二輪車1は、前後に延びる車体フレーム2と、車体フレーム2の前方に配置される前輪5と、車体フレーム2の前端部に配置されて前輪5を回転可能に支えるステアリング機構6と、車体フレーム2の後方に配置される後輪7と、車体フレーム2の後部に配置されて後輪7を回転可能に支えるスイングアーム8と、車体フレーム2に搭載されるエンジン9と、を備えている。
【0015】
また、自動二輪車1は、エンジン9に吸い込まれる空気を浄化するエアークリーナー11と、エンジン9へ供給される燃料を貯蔵する燃料タンク12と、搭乗者が着座可能なシート13と、車体フレーム2の少なくとも一部を覆い隠すカウリング15と、を備えている。
【0016】
車体フレーム2は、例えばクレードルフレームであり、前端部に配置されるステアリングヘッドパイプ21と、ステアリングヘッドパイプ21の直後で左右へ分岐し後方へ延びる左右一対のメインフレーム22と、メインフレーム22の後端部に連結されて後ろ上方へなだらかに延びる左右一対のシートレール23と、を備えている。
【0017】
ステアリングヘッドパイプ21は、ステアリング機構6を操舵可能に支持している。
【0018】
左右のメインフレーム22は、屈曲している。つまり、左右のメインフレーム22は、ステアリングヘッドパイプ21の直後で分岐して左右へ拡開するとともに、車両後方へなだらかに下る長尺な直線部分と、直線部分に連接され、かつ下方へ延びる短尺な直線部分と、を備えている。左右のメインフレーム22は、長尺な直線部分の下方かつ短尺な直線部分の前方に配置されるエンジン9を抱え込むように支持している。左右のメインフレーム22は、長尺な直線部分の前半部の上方にエアークリーナー11を支え、長尺な直線部分の後半部の上方に燃料タンク12を支え、短尺な直線部分の間に車幅方向へ延びるピボット軸25を支えている。ピボット軸25は、スイングアーム8を揺動可能に支持している。
【0019】
エンジン9は、前輪5の後方かつメインフレーム22の下方にあり、自動二輪車1の中央下部を占める。
【0020】
ステアリング機構6は、ステアリングヘッドパイプ21を貫きステアリング機構6の回転中心となるステアリングシャフト(図示省略)と、上下に延びる左右一対のフロントフォーク26と、それぞれのフロントフォーク26の上端部に接続されて車両の左右に延びるハンドルバー27と、を備えている。
【0021】
ハンドルバー27は、ライダーが握るハンドルグリップ28を備えている。右側のハンドルグリップ28は、スロットルグリップである。
【0022】
エアークリーナー11は、車体フレーム2の前半部上方に配置されている。
【0023】
エアークリーナー11は、エンジン9の吸気経路の一部であり、スロットルボディ29を介してエンジン9の吸気側に接続されている。エアークリーナー11は、吸気を濾過して清浄にする。エアークリーナー11は、平面視において左右のメインフレーム22に挟まっている。
【0024】
燃料タンク12は、車体フレーム2の前半部上方であって、エアークリーナー11の後方に配置されている。
【0025】
シート13は、車体フレーム2の後半部上方に配置されている。
【0026】
カウリング15は、自動二輪車1は、例えば、車体の前部から中央下部にかけて車体フレーム2を覆い隠している。カウリング15は、自動二輪車1の走行中の空気抵抗を低減するとともに、走行風圧から搭乗者を保護するよう流線形状を有している。カウリング15は、車両の前部を覆うフロントカバー30と、エンジン9の側方を覆う左右一対のサイドカバー31と、エアークリーナー11および燃料タンク12を覆うエアクリーナカバー32と、シート13を支えるとともに車両の後方を覆うリアカバー36と、を含んでいる。
【0027】
図2は、本発明の実施形態に係る自動二輪車のエアークリーナーの斜視図である。
【0028】
図3は、図2のIII−III線における本発明の実施形態に係る自動二輪車のエアークリーナーの断面図である。
【0029】
図4は、本発明の実施形態に係る自動二輪車のエアークリーナーの蓋体を開いた状態の平面図である。
【0030】
図2から図4に示すように、本実施形態に係る自動二輪車1のエアークリーナー11は、ケース本体41と、ケース本体41を閉じる蓋体42と、蓋体42をケース本体41に固定する締結部材43と、ケース本体41および蓋体42で区切られる内部空間45に収容されて内部空間45をダーティーサイド46とクリーンサイド47とに分けるフィルター48と、を備えている。エアークリーナー11は、ケース本体41から蓋体42を取り外すことによってケース本体41からフィルター48を取り出し、交換することができる。
【0031】
また、エアークリーナー11は、フィルター48の下流側、つまりクリーンサイド47に配置されてフィルター48を通過した空気を内部空間45から流出させるファンネル49を備えている。
【0032】
ケース本体41と蓋体42とが組み合わされたものをクリーナーボックス51と呼ぶ。
【0033】
ケース本体41は、内部空間45に空気を導く入口52と、内部空間45から空気を流れ出させる出口53と、を備えている。入口52は、ケース本体41の前側の左右の角部のそれぞれに設けられている。出口53は、ケース本体41の後半部の底壁に穿たれている。出口53は、エンジン9のシリンダ(図示省略)毎に1つずつ設けられている。つまり、出口53は、エンジン9の気筒数と同数ある。出口53は、スロットルボディ29を介してエンジン9に繋げられている。
【0034】
ケース本体41内の前半部には、フィルター48を支える座部55が設けられている。座部55はダーティーサイド46とクリーンサイド47との境界である。座部55よりも入口52側は、ダーティーサイド46であり、座部55よりも出口53側はクリーンサイド47である。座部55は、後ろ下がりに傾いている。
【0035】
ケース本体41の縁部には、全周に渡って凸部41aが設けられている。蓋体42の縁部には、全周に渡ってケース本体41の凸部41aが入り込む凹部42aが設けられている。蓋体42の凹部42aには、ケース本体41の凸部41aと蓋体42の凸部41aとの間に挟み込まれるシール部材56が設けられている。
【0036】
蓋体42の後部には、一対のフック57が設けられている。ケース本体41の後部には、蓋体42のフック57をそれぞれ引っ掛ける一対のフック受け58が設けられている。
【0037】
締結部材43は複数ある。締結部材43は、蓋体42およびケース本体41の周囲に配置されている。具体的には、締結部材43は、蓋体42のフック57、およびケース本体41のフック受け58と協働して蓋体42をケース本体41に固定している。締結部材43は、エアークリーナー11のそれぞれの側部中央部に配置されて蓋体42をケース本体41に固定する一対の第一締結部材43aと、エアークリーナー11の前端部の左右それぞれの端部に配置されて蓋体42をケース本体41に固定する一対の第二締結部材43bと、を含んでいる。
【0038】
フィルター48は、ケース本体41内に流れ込む空気を濾過するフィルターエレメント61と、フィルターエレメント61をケース本体41に支える枠体62と、を備えている。フィルター48は、座部55の傾きに倣って後ろ下がりに傾いている。フィルターエレメント61も同様である。
【0039】
枠体62の縁部には、全周にわたって凸部62aが設けられている。ケース本体41内の座部55には、枠体62の凸部62aが入り込む凹部55aが設けられている。凹部55aは、座部55の座面55bよりも窪んでいる。ケース本体41の凹部55aには、枠体62の凸部62aとケース本体41の凹部55aとの間に挟み込まれるシール部材63が設けられている。
【0040】
枠体62は、ケース本体41の内壁面41bに沿う第一辺部65と、ケース本体41内を横断するように延びる第二辺部66と、第一辺部65と第二辺部66とを繋ぐ一対の第三辺部67と、第一辺部65と第三辺部67との間に設けられて面取り状に枠体62の内側に入り込む一対の角部69と、を有している。
【0041】
枠体62の後部、つまり第二辺部66には、一対のフック71が設けられている。ファンネル49には、枠体62のフック71をそれぞれ引っ掛ける一対のフック受け72が設けられている。
【0042】
蓋体42は、その内面42bから突出してケース本体41に枠体62を押さえ付ける複数の押付部73を備えている。それぞれの押付部73は、蓋体42の内面からフィルター48の枠体62へ向かって延びる中実の柱形を有している。また、それぞれの押付部73は、その長さ方向に延びる補強リブ75を有している。補強リブ75は、棒状の中心部の四方に設けられている。
【0043】
複数の押付部73は、ケース本体41の内壁面41bに沿って配置されるものと、内壁面41bから離間しているものと、を含んでいる。具体的には、複数の押付部73は、枠体62の第一辺部65の中央部を押さえ付ける第一押付部76と、第二辺部66の中央部を押さえ付ける第二押付部77と、一対の角部69のそれぞれを押さえ付ける一対の第三押付部78と、を含んでいる。複数の押付部73は、蓋体42を介して作用する締結部材43の締結力によって、枠体62に押さえ付けられている。
【0044】
複数の押付部73のうち、内壁面41bから離間している押付部73は、隣り合う一対のファンネル49の間に配置されている。換言すると、第二辺部66の中央部を押さえ付ける第二押付部77は、隣り合う一対のファンネル49の間に配置されている。また、複数の押付部73のうち、内壁面41bから離間している押付部73は、ファンネル49の配列方向、つまりエアークリーナー11の幅方向から見てファンネル49に重なっている。換言すると、第二押付部77は、ファンネル49の配列方向から見てファンネル49に重なっている。
【0045】
一対の第三押付部78は、枠体62の第一辺部65の中央と第二辺部66の中央とを結ぶフィルター48の中心線Cに対して線対称に配置されている。
【0046】
フィルター48の枠体62は、押付部73に接する被押付部81を備えている。被押付部81は、それぞれの押付部73に対応して設けられている。つまり、被押付部81は、複数あって、枠体62の第一辺部65の中央部に設けられて第一押付部76に押さえ付けられる第一被押付部82と、第二辺部66の中央部に設けられて第二押付部77に押さえ付けられる第二被押付部83と、一対の角部69のそれぞれに設けられて第三押付部78に押さえ付けられる第三被押付部84と、を含んでいる。
【0047】
また、蓋体42は、蓋体42の内側へ向かって窪み、フューエルディバリーパイプ86を配置可能な凹部87と、複数の押付部73のうち、内壁面41bから離間している押付部73、つまり第二押付部77と凹部87とを接続する第一リブ91と、を備えている。
【0048】
さらに、蓋体42は、複数の押付部73のうち、ケース本体41の内壁面41bに沿って配置されるものと、内壁面41bから離間しているものと、を接続する第二リブ92を備えている。第二リブ92は、例えば、第一押付部76と第二押付部77とを接続している。
【0049】
凹部87は、ファンネル49の延長線上に配置されている。凹部87は、蓋体42の幅方向に延びて蓋体42の左右それぞれの側面に達している。
【0050】
フューエルディバリーパイプ86は、ファンネル49の延長線上に配置されている。フューエルディバリーパイプ86は、ファンネル49へ向けて燃料を噴射するインジェクタ(図示省略)に接続されている。
【0051】
図5は、本発明の実施形態に係る自動二輪車のエアークリーナーのファンネルの斜視図である。
【0052】
図2から図4に加えて図5に示すように、本実施形態に係るエアークリーナー11のファンネル49は、ケース本体41および蓋体42とは別部品である。ファンネル49は、ケース本体41の後半部の底面に設けられている。ファンネル49およびケース本体41は、ファンネル49およびケース本体41を貫き、スロットルボディ29に締め付けられる締結部材93によってスロットルボディ29に共締めされている。
【0053】
ファンネル49は、フィルターエレメント61を通過した空気を内部空間45から流出させる。ファンネル49は、フィルター48で浄化された空気をエンジン9の吸気ポート(図示省略)に導く。
【0054】
ファンネル49は、出口53毎に設けられている。つまり、ファンネル49も、出口53同様にエンジン9のシリンダ(図示省略)毎に1つずつ設けられている。ファンネル49は、エンジン9の気筒数と同数ある。例えば、本実施形態に係るエンジン9は並列4気筒エンジンであり、出口53およびファンネル49は複数あって、直線状に並んでいる。
【0055】
ファンネル49は、ケース本体41の出口53に接続されて内部空間45に突出している。複数のファンネル49には、ケース本体41の底面からの突出量の異なるものが含まれている。中央の2つのファンネル49aは、左右の2つのファンネル49bよりも突出量が大きい。また、中央の2つのファンネル49aは、フィルターエレメント61と同程度の高さに達し、左右の2つのファンネル49bは、フィルターエレメント61よりも低い。中央の2つのファンネル49aは、一体の部材である。左右のファンネル49bは、それぞれが単独の部材であって、中央のファンネル49aに組み合わされて一体化されている。
【0056】
ファンネル49は、締結部材93を配置するボス部95と、フィルター48の枠体62に設けられるフック71を引っ掛けてフィルター48をケース本体41に保持するフック受け72と、を備えている。
【0057】
ボス部95は、隣り合う一対のファンネル49の間に配置されている。より具体的には、ボス部95は、複数あって、背の高い中央側のファンネル49aと背の低い端部側のファンネル49bとの間に配置されるボス部95aと、背の高い中央側の2つのファンネル49aの間に配置されるボス部95bと、を含んでいる。また、ボス部95は、両端部に配置される一対のファンネル49bのそれぞれに設けられるボス部95cを含んでいる。
【0058】
ボス部95aは、背の高いファンネル49aに設けられる上内側ボス部96と、背の低いファンネル49bに設けられる下外側ボス部97と、を備えている。上内側ボス部96は、下外側ボス部87に嵌め込まれてファンネル49a、ファンネル49bを一体化させる。
【0059】
フック受け72は、ファンネル49のボス部95、具体的には背の高い中央側のファンネル49aと背の低い端部側のファンネル49bとの間に配置されるボス部95aに設けられている。フック受け72は、上方へ突出する門形、あるいは下方へ開放されるU字形を有している。
【0060】
フック受け72は、座部55の座面55bの法線方向へ突出している。フック受け72は、座面55bよりも内部空間45へ突出している部分にフック71を引っ掛けてフィルター48をケース本体41に保持する。フック受け72のうち、座面55bよりも内部空間45へ突出している部分は、ファンネル49の高さ方向において、背の高い中央側のファンネル49aと背の低い端部側のファンネル49bとの間に配置されている。換言すると、両端部に配置される一対のファンネル49bは、フック受け72よりもケース本体41の底面に近く、間に挟まれているファンネル49aは、フック受け72よりも蓋体42に近い。
【0061】
フック受け72は、隣り合う一対のファンネル49の間に配置されている。より具体的には、フック受け72は、背の高い中央側のファンネル49aと背の低い端部側のファンネル49bとの間に配置されている。
【0062】
フック受け72は、ファンネル49の配列方向、つまりエアークリーナー11の幅方向から見てファンネル49に重なっている。
【0063】
本実施形態に係る自動二輪車1のエアークリーナー11は、ファンネル49のフック受け72にフィルター48のフック71を引っ掛けてフィルター48をケース本体41に保持する。そのため、エアークリーナー11は、エアークリーナー11内にネジなどの締結部材を用いることなく、フィルター48をケース本体41に固定できる。つまり、エアークリーナー11は、内部空間45にネジが抜け出したり、ネジの締め付けや取り外しにともなって内部空間45へ異物が侵入したりすることを確実に防ぐことができる。また、エアークリーナー11は、フィルター48をケース本体41に固定するためにネジを締め付ける必要がなく、整備性が良い。
【0064】
また、本実施形態に係る自動二輪車1のエアークリーナー11は、座部55の座面55bの法線方向へ突出するフック受け72を備えている。そのため、エアークリーナー11は、極めて容易にファンネル49のフック受け72にフィルター48のフック71を引っ掛けることが可能であって、整備性が極めて向上する。
【0065】
さらに、本実施形態に係る自動二輪車1のエアークリーナー11は、隣り合う一対のファンネル49の間に配置されるフック受け72を備えている。そのため、エアークリーナー11は、内部空間45においてフィルターエレメント61からファンネル49に達する空気の経路を邪魔することなく、フィルター48をケース本体41に押さえ付けることができる。また、エアークリーナー11は、フック71およびフック受け72を設けることによる前後方向への大型化を避け、サイズを維持することができる。
【0066】
さらにまた、本実施形態に係る自動二輪車1のエアークリーナー11は、フック受け72よりもケース本体41の底面に近いファンネル49bと、フック受け72よりも蓋体42に近いファンネル49aと、を備えている。そのため、エアークリーナー11は、内部空間45においてフィルターエレメント61からファンネル49に達する空気の経路を邪魔することなく、フィルター48をケース本体41に押さえ付けることができる。
【0067】
また、本実施形態に係る自動二輪車1のエアークリーナー11は、ファンネル49の配列方向から見てファンネル49に重なるフック受け72を備えている。そのため、エアークリーナー11は、内部空間45においてフィルターエレメント61からファンネル49に達する空気の経路を邪魔することなく、フィルター48をケース本体41に押さえ付けることができる。また、エアークリーナー11は、フック受け72を設けることによる前後方向への大型化を避け、サイズを維持することができる。
【0068】
したがって、本実施形態に係る自動二輪車1のエアークリーナー11によれば、クリーナーボックス51内でネジなどの締結部材を用いることなく、かつクリーナーボックス51内のフィルター48を強固に固定できる。
【符号の説明】
【0069】
1…自動二輪車、2…車体フレーム、5…前輪、6…ステアリング機構、7…後輪、8…スイングアーム、9…エンジン、11…エアークリーナー、12…燃料タンク、13…シート、15…カウリング、21…ステアリングヘッドパイプ、22…メインフレーム、23…シートレール、25…ピボット軸、26…フロントフォーク、27…ハンドルバー、28…ハンドルグリップ、29…スロットルボディ、30…フロントカバー、31…サイドカバー、32…エアクリーナカバー、36…リアカバー、41…ケース本体、41a…凸部、41b…内壁面、42…蓋体、42a…凹部、42b…内面、43…締結部材、43a…第一締結部材、43b…第二締結部材、45…内部空間、46…ダーティーサイド、47…クリーンサイド、48…フィルター、49、49a、49b…ファンネル、51…クリーナーボックス、52…入口、53…出口、55…座部、55a…凹部、55b…座面、56…シール部材、57…フック、58…フック受け、61…フィルターエレメント、62…枠体、62a…凸部、63…シール部材、65…第一辺部、66…第二辺部、67…第三辺部、69…角部、71…フック、72…フック受け、73…押付部、75…補強リブ、76…第一押付部、77…第二押付部、78…第三押付部、81…被押付部、82…第一被押付部、83…第二被押付部、84…第三被押付部、86…フューエルディバリーパイプ、87…凹部、91…第一リブ、93…締結部材、95、95a、95b、95c…ボス部、96…上内側ボス部、97…下外側ボス部。
図1
図2
図3
図4
図5