(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の液体ブロー成形方法では、加圧媒体である液体はプリフォームの内部に存在する空気を巻き込みながらプリフォームの内部に供給されることになるので、当該液体の泡立ち等により、成形条件の安定性や容器の成形性等が低下するという問題が生じる虞があった。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体入り容器を所定の内容量及び形状を有するように精度よく且つ低コストで製造することができる液体入り容器の製造装置及び製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の液体入り容器の製造装置は、ブロー成形用金型とノズルユニットとを有し、合成樹脂製のプリフォームから内容液を収容した液体入り容器を製造する液体入り容器の製造装置であって、前記ノズルユニットは、内部に液体の供給路が設けられたノズルユニット本体と、前記供給路の内部に配置されたシール体とを有し、前記シール体は、環状の第1シール部と、環状の第2シール部と、前記第1シール部と前記第2シール部との間に位置する液体の流入口から、前記第2シール部より前記シール体の先端側に位置する液体の流出口まで延びる予備供給路とを有し、前記シール体は、前記第1シール部が前記供給路に着座した閉塞位置と、前記第1シール部が前記供給路から離脱し、且つ前記第2シール部が前記供給路に着座した予備供給位置と、前記第1シール部が前記供給路から離脱し、且つ前記第2シール部が前記供給路から離脱した開放位置との間で、前記ノズルユニット本体に対して相対的に移動可能であ
り、前記ノズルユニットは、前記供給路の下端部を形成する内周面を有するとともに前記プリフォームの口部に係合するブローノズルを有し、前記ブローノズルの前記内周面には、前記プリフォームの内部から空気を排出する排気口が設けられているものである。
【0010】
本発明の液体入り容器の製造装置は、上記構成において、前記シール体は、シール体本体と、前記シール体本体に着脱可能な先端部材とを有し、前記予備供給路は、前記先端部材に設けられているのが好ましい。
【0011】
本発明の液体入り容器の製造装置は、上記構成において、前記ノズルユニットは、前記プリフォームを軸方向に延伸させる延伸ロッドを有し、前記予備供給路は、前記延伸ロッドを貫通させる縦流路を有するのが好ましい。
【0012】
本発明の液体入り容器の製造装置は、上記構成において、前記予備供給路は、前記流入口から前記縦流路まで延びる横流路を有し、前記延伸ロッドは、引込方向に、前記横流路と前記縦流路との接続部を越える位置まで移動可能であるのが好ましい。
【0014】
本発明の液体入り容器の製造方法は、本発明の液体入り容器の製造装置を用いる、液体入り容器の製造方法であって、前記シール体を前記閉塞位置から前記予備供給位置に移動させて、液体を前記供給路から前記予備供給路を通じて、前記ブロー成形用金型に装着した前記プリフォームの内部に供給し、前記プリフォームの内部の空気を外部に排出させる空気排出工程と、前記シール体を前記予備供給位置から前記開放位置に移動させることで前記供給路から前記プリフォームの内部に加圧した液体を供給し、前記プリフォームを前記ブロー成形用金型の内面に沿った形状の液体入り容器に成形する液体ブロー成形工程と、を有するものである。
【0015】
本発明の液体入り容器の製造方法は、上記構成において、前記ノズルユニットは、前記プリフォームを軸方向に延伸させる延伸ロッドを有し、前記液体ブロー成形工程の前、又は前記液体ブロー成形工程の最中に、前記延伸ロッドにより前記プリフォームを軸方向に延伸させるロッド延伸工程をさらに有するのが好ましい。
【0016】
本発明の液体入り容器の製造方法は、上記構成において、前記ノズルユニットは、前記供給路の下端部を形成する内周面を有するとともに前記プリフォームの口部に係合するブローノズルを有し、前記空気排出工程において、前記ノズルユニットの前記ブローノズルを前記プリフォームの口部に係合した状態で前記シール体を前記閉塞位置から前記予備供給位置に移動させることにより、液体を前記供給路から前記予備供給路を通じて、前記ブロー成形用金型に装着した前記プリフォームの内部に供給し、前記ブローノズルの内周面に設けられた排気口を通じて前記プリフォームの内部の空気を外部に排出させるのが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、液体入り容器を所定の内容量及び形状を有するように精度よく且つ低コストで製造することができる液体入り容器の製造装置及び製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明をより具体的に例示説明する。
【0020】
まず、
図1〜
図7を参照して、本発明の一実施形態である液体入り容器の製造装置1について例示説明する。
【0021】
図1に示す液体入り容器の製造装置1は、合成樹脂製のプリフォーム2から内容液を収容した液体入り容器C(
図7参照)を製造するものである。液体入り容器Cに収容される液体(内容液)Lとしては、例えば飲料、化粧品、薬品、洗剤、シャンプー等のトイレタリーなどの様々な液体Lを採用することができる。
【0022】
プリフォーム2としては、例えばポリプロピレン(PP)やポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱可塑性を有する合成樹脂材料によって、開口端となる円筒状の口部2aと、口部2aに連なるとともに下端が閉塞された円筒状の胴部2bとを有する有底筒状に形成されたものを用いることができる。
【0023】
詳細は図示しないが、口部2aの外壁面には、成形後の液体入り容器Cの口部2aに閉塞キャップ(不図示)を打栓(アンダーカット係合)によって装着するための係合突起が設けられている。なお、口部2aの外壁面に係合突起に替えて雄ネジを設けて閉塞キャップを口部2aにねじ結合により装着する構成とすることもできる。
【0024】
図1に示すように、液体入り容器の製造装置1は、ブロー成形用金型10を有している。ブロー成形用金型10は、例えばボトル形状などの液体入り容器Cの最終形状に対応した形状のキャビティ11を有している。キャビティ11はブロー成形用金型10の上面において上方に向けて開口している。プリフォーム2は、胴部2bがブロー成形用金型10のキャビティ11の内部に配置されるとともに口部2aがブロー成形用金型10から上方に突出した状態となってブロー成形用金型10に装着される。
【0025】
ブロー成形用金型10は左右に型開きすることができるようになっており、プリフォーム2を液体入り容器Cに成形した後にブロー成形用金型10を左右に開くことで、当該液体入り容器Cをブロー成形用金型10から取り出すことができるようになっている。
【0026】
ブロー成形用金型10の上方には、プリフォーム2の内部に加圧した液体Lを供給するためのノズルユニット20が設けられている。ノズルユニット20は本体ブロック21を有している。
【0027】
図2に示すように、本体ブロック21の下端には支持ブロック22が設けられ、この支持ブロック22により支持されて本体ブロック21の下端にはブローノズル23が装着されている。ブローノズル23は略円筒状に形成されている。本体ブロック21、支持ブロック22及びブローノズル23によって、ノズルユニット本体20aが構成されている。ノズルユニット本体20aはブロー成形用金型10に対して上下方向に相対移動自在となっている。ノズルユニット本体20aが下方側のストローク端にまで下降すると、ノズルユニット本体20a(より具体的には、ブローノズル23)は、ブロー成形用金型10に装着されたプリフォーム2の口部2aに上方側から密封状態で係合する。
【0028】
ノズルユニット本体20a(より具体的には、本体ブロック21及びブローノズル23)の内部には上下方向に延びる供給路24が設けられている。この供給路24の下端部は、ブローノズル23のノズル内周面23cによって構成されている。ノズルユニット本体20a(より具体的には、本体ブロック21)には、供給路24の上端に連通する供給ポート25が設けられている。
【0029】
図5に示すように、供給路24は、本実施形態では、環状(円環状)の第1座部24aと、第1座部24aの下流に位置する環状(円環状)の第2座部24bとを有している。第1座部24a及び第2座部24bは、ブローノズル23によって構成されている。ブローノズル23は、大内径部23aと、大内径部23aの下流側(下方)に隣接するとともに大内径部23aより内径が縮径する小内径部23bとを有している。大内径部23aは、下向き円錐状に傾斜した上面からなる大内径部上面23cと、大内径部上面23cの内周縁からシール体26の軸心と平行に垂下する内周面からなる大径内周面23dとを有している。小内径部23bは、円環状の水平な(傾斜していてもよい)上面からなる小内径部上面23eと、小内径部上面23eの内周縁からシール体26の軸心と平行に垂下する内周面からなる小径内周面23fとを有している。本実施形態では、第1座部24aが大内径部上面23cによって構成され、第2座部24bが大径内周面23dによって構成されている。小径内周面23fは、供給路24の下端部を形成している。大内径部上面23c、大径内周面23d、小内径部上面23e及び小径内周面23fの形状は、変更が可能である。
【0030】
供給路24の内部にはシール体26が配置されている。シール体26は、環状(円環状)の第1シール部27と、環状(円環状)の第2シール部28とを有している。シール体26は、第1シール部27と第2シール部28との間に位置する液体の流入口29から、第2シール部28よりシール体26の先端側に位置する液体の流出口30まで延びる予備供給路31を有している。本実施形態では、シール体26は、大外径部26aと、大外径部26aの下流側(下方)に隣接するとともに大外径部26aより外径が縮径する中外径部26bと、中外径部26bの下流側(下方)に隣接するとともに中外径部26bより外径が縮径する小外径部26cとを有している。大外径部26aは、シール体26の軸心と平行な外周面からなる大径外周面26dと、下向き円錐状に傾斜した下面からなる大外径部下面26eとを有している。大外径部下面26eは、ブローノズル23の大内径部上面23cと一致する傾きを有している。本実施形態では、第1シール部27は、第1座部24aに(液密に)着座可能な大外径部下面26eによって構成されている。中外径部26bは、シール体26の軸心と平行な外周面からなる中径外周面26fと、円環状の水平(又は傾斜した)な下面からなる中外径部下面26gとを有している。第2シール部28は、第2座部24bに(液密に)着座可能な中径外周面26f(の下端部)によって構成されている。流入口29は、中径外周面26f(における第2シール部28より上側の部分)に設けられている。小外径部26cは、シール体26の軸心と平行な外周面からなる小径外周面26hと、円環状の水平な(傾斜していてもよい)下面からなる小外径部下面26iとを有している。流出口30は、小外径部下面26i(の中央)に設けられている。大外径部26a、中外径部26b、小外径部26c、大径外周面26d、大外径部下面26e、中径外周面26f、中外径部下面26g、小径外周面26h及び小外径部下面26iの形状は、変更が可能である。
【0031】
シール体26は、第1シール部27が供給路24の第1座部24aに(液密に)着座した閉塞位置(
図2参照)と、第1シール部27が供給路24の第1座部24aから離脱し、且つ第2シール部28が供給路24の第2座部24bに(液密に)着座した予備供給位置(
図4、
図5参照)と、第1シール部27が供給路24の第1座部24aから離脱し、且つ第2シール部28が供給路24の第2座部24bから離脱した開放位置(
図6参照)との間で、ノズルユニット本体20aに対して相対的に移動可能となっている。閉塞位置では、供給路24が閉塞される。予備供給位置では、供給路24が予備供給路31のみを通じて開放される。開放位置では、供給路24が、シール体26と供給路24との間に形成された隙間を通じて開放される。本実施形態では、開放位置では、供給路24が当該隙間のみを通じて開放される。しかし、開放位置では、供給路24が当該隙間と予備供給路31との両方を通じて開放されるようにしてもよい。
図2に示すように、シール体26はノズルユニット本体20aに対して相対的に上下方向に移動自在に設けられた軸体32に固定され、供給路24の内部で上下方向に移動自在となっている。なお、シール体26は、軸体32と一体に形成してもよい。
【0032】
第1シール部27及び/又は第2シール部28の配置及び形状は、変更が可能である。例えば、第1シール部27を中径外周面26f(の上端部)によって構成してもよい(
図5参照)。この場合、大径内周面23dによって、第1座部24aと第2座部24bとの両方が構成される(つまり、第2座部24bが第1座部24aを兼ねる)。第2シール部28を小径外周面26hによって構成してもよい。この場合、小径内周面23fによって第2座部24bが構成される。また、この場合、シール体26に中外径部26bを設けない構成としてもよい(流入口29は、小径外周面26hにおける第2シール部28より上側の部分に形成される)。本実施形態では、中外径部下面26gと小内径部上面23eとは、シール体26が閉塞位置にある状態で、互いに当接するように構成されていてもよいし、互いに当接しないように構成されていてもよい。互いに当接するように構成されている場合には、中外径部下面26gと小内径部上面23eとは、互いに一致する形状を有していることが好ましい。本実施形態では、小径外周面26hと小径内周面23fとは、シール体26が閉塞位置にある状態で、互いに当接するように構成されていてもよいし、互いに当接しないように構成されていてもよい。互いに当接するように構成されている場合には、小径外周面26hと小径内周面23fとは、当該当接部において、互いに一致する形状を有していることが好ましい。シール体26に小外径部26cを設けない構成としてもよい。
【0033】
図5に示すように、シール体26は、シール体本体33と、シール体本体33に着脱可能な先端部材34とを有し、予備供給路31は、先端部材34に設けられている。シール体26の中径外周面26f、中外径部下面26g、小径外周面26h及び小外径部下面26iは、先端部材34に設けられている。シール体26の大外径部下面26eは、シール体本体33に設けられている。先端部材34は、シール体本体33に螺着するねじ部34aを有している。先端部材34は、先端部材34をシール体本体33に着脱可能にする係合部として、ねじ部34aの代わりに例えば嵌合部を有していてもよい。シール体本体33と先端部材34との間には、延伸ロッド35とシール体26との間を封止するシールリング36が配置されている。
【0034】
図2に示すように、ノズルユニット20は、プリフォーム2を軸方向に延伸させる延伸ロッド35を有している。鋼材等によって略円柱状に形成された延伸ロッド35は、軸体32の軸心に挿入されており、シール体本体33の軸心を貫通し、予備供給路31の縦流路31a内に延びている。延伸ロッド35は、図示しない駆動源により駆動されて軸体32及びシール体26に対して相対的に上下方向に移動することができる。延伸ロッド35は、縦流路31aを貫通して下方に向けて移動することにより、シール体26の下端部から出没してプリフォーム2を軸方向に延伸させることができる。しかし、ノズルユニット20は、延伸ロッド35を有していなくてもよい。
【0035】
図5に示すように、予備供給路31は、流出口30まで下方に延びる縦流路31aと、流入口29から縦流路31aまで径方向に水平に延びる複数の横流路31bとからなっている。複数の横流路31bは、流入口29から縦流路31aまで斜め(好ましくは斜め下方)に延びていてもよい。複数の横流路31bは、周方向に例えば等角度間隔で配置されている。横流路31bの数は、複数に限らず、単数であってもよい。延伸ロッド35は、引込方向(上方)に、横流路31bと縦流路31aとの接続部を越える位置まで(
図4、
図5参照)移動可能となっている。本実施形態では、延伸ロッド35は、シール体26が閉塞位置から予備供給位置に移動する前、最中又は後に、引込方向に、横流路31bと縦流路31aとの接続部を越える位置まで移動することで、縦流路31aを開放して縦流路31aから液体Lをプリフォーム2の内部に供給するようになっている。しかし、延伸ロッド35と縦流路31aとの間に液体Lが通過可能な(例えば環状の)隙間を設けておき、延伸ロッド35が縦流路31aを貫通した状態のままで当該隙間を通じて液体Lをプリフォーム2の内部に供給するようにしてもよい。予備供給路31の形状は、縦流路31aと横流路31bとを有する形状に限られず、変更が可能である。
【0036】
図5に示すように、ブローノズル23の内周面を構成する小径内周面23fには、プリフォーム2の内部から空気を排出する排気口37が設けられている。シール体26の小径外周面26hには、シール体26の先端部から基端側に向けて延在するとともに周方向に連続的又は断続的に設けられた凹部からなる先端凹部38が形成されている。ノズルユニット20(のノズルユニット本体20a)の内部には、排気口37を外部に連通させる排気流路39が設けられている。排気流路39には、排気用開閉弁V2が設けられている。排気用開閉弁V2は、電磁弁により構成されるのが好ましい。プリフォーム2の内部の空気は、排気用開閉弁V2を開くことで、先端凹部38、排気口37及び排気流路39を通じて、外部に排出可能である。しかし、ノズルユニット20は、排気口37を有していなくてもよい。
【0037】
図1に示すように、供給ポート25には、配管P1により加圧液体供給源40が接続されている。加圧液体供給源40は、例えばシリンダ40aとピストン(プランジャー)40bとを備えたプランジャーポンプで構成することができる。
【0038】
加圧液体供給源40には供給タンク41が接続されている。供給タンク41は、液体Lを収容するとともに当該液体Lを所定温度にまで加熱して当該温度に保持する構成とすることができる。加圧液体供給源40と供給タンク41との間の流路には開閉弁V1が設けられ、この開閉弁V1により当該流路を開閉することができる。なお、符号42は配管P1に設けられた圧力計である。
【0039】
図6に示すように、加圧液体供給源40は、ブロー成形用金型10に装着されたプリフォーム2の口部2aにノズルユニット20(より具体的には、ブローノズル23)が密封状態で係合するとともにシール体26が開放位置となった状態において、正方向(加圧方向)に作動することにより、配管P1、供給ポート25及び供給路24(の小径内周面23f)を介してプリフォーム2の内部に所定圧力にまで加圧した液体Lを供給することができる。加圧液体供給源40は、
図3に示すようにシール体26が予備供給位置にある状態では、正方向(加圧方向)に作動させなくてもよい。この場合、重力のみによって予備供給路31からプリフォーム2の内部に液体Lが供給される。加圧液体供給源40は、シール体26が予備供給位置にある状態で、正方向(加圧方向)に作動させてもよい。この場合、配管P1、供給ポート25、供給路24及び予備供給路31を介してプリフォーム2の内部に加圧した液体Lを供給することができる。この場合の液体Lの圧力は、前記の所定圧力より小さくてよい。
【0040】
加圧液体供給源40は、シール体26が閉塞位置にあり、開閉弁V1が開かれた状態において逆方向に作動することにより、供給タンク41に収容されている液体Lをシリンダ40aの内部に吸引し、次の液体ブロー成形に備えることができる。
【0041】
ノズルユニット本体20a、シール体26、延伸ロッド35、加圧液体供給源40、開閉弁V1及び排気用開閉弁V2等の作動は、図示しない制御装置によって統合的に制御される。この制御は、圧力計42の値等を参照して行うことができる。なお、開閉弁V1は、制御装置によって制御可能な電磁弁により構成されるのが好ましい。
【0042】
次に、本発明の一実施形態である液体入り容器の製造方法について例示説明する。
【0043】
本発明の一実施形態である液体入り容器の製造方法は、前述した本実施形態の液体入り容器の製造装置1を用いる、液体入り容器の製造方法であって、シール体26を閉塞位置から予備供給位置に移動させて、液体Lを供給路24から予備供給路31を通じて、ブロー成形用金型10に装着したプリフォーム2の内部に供給し、プリフォーム2の内部の空気を外部に排出させる空気排出工程と、シール体26を予備供給位置から開放位置に移動させることで供給路24からプリフォーム2の内部に加圧した液体Lを供給し、プリフォーム2をブロー成形用金型10の内面に沿った形状の液体入り容器Cに成形する液体ブロー成形工程と、を有するものである。
【0044】
本実施形態の液体入り容器の製造方法は、ノズルユニット20は、プリフォーム2を軸方向に延伸させる延伸ロッド35を有し、液体ブロー成形工程の前、又は液体ブロー成形工程の最中に、延伸ロッド35によりプリフォーム2を軸方向に延伸させるロッド延伸工程をさらに有している。
【0045】
本実施形態の液体入り容器の製造方法は、ノズルユニット20は、供給路24の下端部を形成する内周面(小径内周面23f)を有するとともにプリフォーム2の口部2aに係合するブローノズル23を有し、空気排出工程において、ノズルユニット20のブローノズル23をプリフォーム2の口部2aに係合した状態でシール体26を閉塞位置から予備供給位置に移動させることにより、液体Lを供給路24から予備供給路31を通じて、ブロー成形用金型10に装着したプリフォーム2の内部に供給し、ブローノズル23の内周面に設けられた排気口37を通じてプリフォーム2の内部の空気を外部に排出させるようにしている。
【0046】
しかし、本実施形態の液体入り容器の製造方法は、前述した本実施形態の液体入り容器の製造装置1とは異なる装置を用いて実施してもよい。
【0047】
本実施形態の液体入り容器の製造方法では、まず、
図1に示すように、予めヒーター等の加熱手段(不図示)を用いて延伸性を発現する程度の所定の温度(例えば80℃〜150℃)にまで加熱しておいたプリフォーム2をブロー成形用金型10に装着し、型締めする。
【0048】
このとき、ノズルユニット20はブロー成形用金型10に対して上方に離れた位置にあり、シール体26は閉塞位置にある状態となっている。また、プリフォーム2の口部2aは開放されているので、プリフォーム2は、その内部に空気が充満した状態である。
【0049】
次に、空気排出工程が行われる。空気排出工程においては、まず、プリフォーム2の口部2aにノズルユニット20(のブローノズル23)が係合する位置にまでノズルユニット20を下降させ、排気用開閉弁V2を開いた状態とする。次いで、
図4に示すように、シール体26を上昇させて閉塞位置から予備供給位置に移動させることで予備供給路31を開放して、プリフォーム2の内部に予備供給路31から液体Lを供給し、プリフォーム2の内部の空気を、排気口37を通じて外部に排出させる。すなわち、プリフォーム2の内部に液体Lを供給することで、プリフォーム2の内部に充満している空気の大部分を液体Lによって外部に押し出して排出させる。このときの液体Lの供給は、プリフォーム2を実質的に延伸(膨張)させない程度の条件(圧力等)で行われる。空気の排出は、排気用開閉弁V2を閉じることで完了する。
【0050】
空気排出工程が完了すると、次に、液体ブロー成形工程が行われる。液体ブロー成形工程においては、まず、
図6に示すように、シール体26を上昇させて予備供給位置から開放位置に移動させ、この状態で加圧液体供給源40を正方向に作動させて小径内周面23fを介してプリフォーム2の内部に所定の圧力にまで加圧した液体Lを供給する。このように、プリフォーム2の内部に加圧した液体Lを供給して、プリフォーム2を液体Lの圧力により、ブロー成形用金型10のキャビティ11の内面に沿った所定形状の液体入り容器Cに成形する(
図7参照)。
【0051】
ここで、液体ブロー成形工程は、空気排出工程においてプリフォーム2の内部の空気の大部分が外部に排出された状態で行われるので、プリフォーム2の内部に加圧した液体Lを供給したときに当該液体Lが空気を巻き込むことがなく、これにより、液体入り容器Cの内部の液体Lへの空気の混入が抑制される。また、空気排出工程においては、小径内周面23fを介さずに、シール体26の内部に形成された予備供給路31のみからプリフォーム2の内部に液体Lを供給するようにしている。予備供給路31から液体Lを供給するときの予備供給路31(の縦流路31a)の周方向長さは、小径内周面23fを介して液体Lを供給するときの小径内周面23f内側における開放部分全体の周方向長さよりも短くすることが可能である。また、予備供給路31から液体Lを供給するときの予備供給路31(の縦流路31a)の径寸法は、小径内周面23fを介して液体Lを供給するときの小径内周面23f内側における開放部分全体の径寸法よりも小さくすることが可能である。このため、予備供給路31において液体Lの流れに周方向で偏りが生じることを抑制できる。したがって、本実施形態によれば、空気排出工程における液体Lの供給時に、開放部分から空気が供給路24内に混入するのを抑制することができる。
【0052】
本実施形態のように、液体ブロー成形工程の最中にロッド延伸工程を行うこともできる。ロッド延伸工程においては、延伸ロッド35を下方に向けて進出移動させ、当該延伸ロッド35によりプリフォーム2の胴部2bを軸方向(縦方向)に延伸させる。なお、ロッド延伸工程の後に液体ブロー成形工程を行う構成とすることもできる。ロッド延伸工程の後、又は最中に液体ブロー成形工程を行う(液体ブロー成形工程の開始後にロッド延伸工程を開始してもよい)ことにより、プリフォーム2を延伸ロッド35により軸方向に延伸させつつブロー成形を行う二軸延伸ブロー成形を行うことができるので、プリフォーム2をより精度よく所定形状の液体入り容器Cに成形することができる。ロッド延伸工程は、空気排出工程より後に行うことが好ましい。空気排出工程の前又は最中に延伸ロッド35の進出移動を開始する場合は、空気排出工程が完了してから延伸ロッド35によるプリフォーム2の延伸を始めることが好ましい。ロッド延伸工程を行わずに液体ブロー成形工程を行うようにしてもよい。
【0053】
液体ブロー成形工程が行われた後は、シール体26を下降させて開放位置から閉塞位置まで移動させ、ノズルユニット20をブロー成形用金型10に対して上方に移動させることで、液体入り容器C(の口部2a)からノズルユニット20(のブローノズル23)を離脱させる。液体ブロー成形工程の後、液体入り容器Cからノズルユニット20を離脱させる前に、液体入り容器Cにヘッドスペースを形成するための追加の工程(例えば、シール体26が開放位置にある状態で加圧液体供給源40を所定の作動量だけ逆方向(吸引方向)に作動させて、成形後の液体入り容器Cの内部から所定量の液体Lを供給路24に吸い戻すサックバック)を行ってもよい。完成した液体入り容器Cは、ブロー成形用金型10が開かれてブロー成形用金型10から取り出された後、口部2aに閉塞キャップが装着されて製品とされる。このとき、開閉弁V1を開いた状態で加圧液体供給源40が逆方向に作動して、供給タンク41に収容されている液体Lがシリンダ40aの内部に吸引される。なお、口部2aに閉塞キャップを装着した後に、ブロー成形用金型10を開いてブロー成形用金型10から液体入り容器Cを取り出すようにしてもよい。
【0054】
以上の通り、本実施形態における液体入り容器の製造装置1によれば、空気排出工程においてプリフォーム2の内部の空気を外部に排出してから液体ブロー成形工程を行うことができるので、液体ブロー成形工程においてプリフォーム2の内部に加圧した液体Lが供給されたときに、当該液体Lに空気が混入することを抑制することができる。また、本実施形態における液体入り容器の製造装置1によれば、空気排出工程において、予備供給路31を介してプリフォーム2の内部に液体Lを供給することができるので、液体Lの供給時に供給路24内に空気が混入するのを抑制することができる。また、本実施形態における液体入り容器の製造装置1によれば、シール体26を閉塞位置から予備供給位置に移動させるという簡単な操作によって空気排出工程を行うことができる。したがって、本実施形態によれば、液体ブロー成形時に、プリフォーム2の内部での液体Lの泡立ちや供給路24内への空気の混入等により、成形条件の安定性や容器の成形性等が低下することを防止して、液体入り容器Cを所定の内容量及び形状を有するように精度よく且つ低コストで製造することができる。
【0055】
また、本実施形態における液体入り容器の製造装置1によれば、予備供給路31を先端部材34に設けているので、様々な形状の予備供給路31を有する複数種類の先端部材34を用意しておき、適宜、先端部材34を交換することで、成形条件等に応じた所望の形状の予備供給路31をシール体26に与えることができる。
【0056】
また、本実施形態における液体入り容器の製造装置1によれば、シール体26の内部における延伸ロッド35の通路と予備供給路31(の縦流路31a)とを兼用したので、空気排出工程を行うための構成を簡素化して、そのコストを低減することができる。
【0057】
また、本実施形態における液体入り容器の製造装置1によれば、空気排出工程において、延伸ロッド35を、引込方向に、横流路31bと縦流路31aとの接続部を越える位置まで移動させて、縦流路31aを完全に開放することができる。このため、縦流路31aと延伸ロッド35との間に環状の隙間を形成する場合と比べ、縦流路31a内において液体Lの流れに周方向で偏りが生じることをより一層、抑制できる。したがって、本実施形態によれば、空気が供給路24内に混入するのをより一層、抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態における液体入り容器の製造装置1によれば、ブローノズル23が排気口37を有しているので、ブローノズル23をプリフォーム2の口部2aに係合した状態で空気排出工程を行うことができる。したがって、本実施形態によれば、空気排出工程における液体Lの漏出のおそれを低減することができる。
【0059】
本発明は前記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0060】
例えば、前記の実施形態においては、ブローノズル23に排気口37を設け、ブローノズル23をプリフォーム2の口部2aに係合した状態で空気排出工程を行うようにしているが、これに限られない。例えば、ノズルユニット20をプリフォーム2に係合させる直前の位置にまで下降させた状態で、空気排出工程を行うようにしてプリフォーム2の内部から外部への空気の排出通路を確保するようにしてもよい。
【0061】
前記の実施形態においては、シール体26は、シール体本体33と、シール体本体33に着脱可能な先端部材34とで構成されていたが、これに限らず、シール体本体33と先端部材34とが一体成形物であってもよい。
【0062】
前記の実施形態においては、加圧液体供給源40はプランジャーポンプとされているが、これに限らず、液体Lを所定の圧力にまで加圧してプリフォーム2に供給することができるものであれば他種類のポンプなどの種々の構成のものを用いることができる。
【0063】
プリフォーム2として、成形後の液体入り容器Cの形状等に応じて種々の形状のものを用いることができる。