特許第6864584号(P6864584)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6864584
(24)【登録日】2021年4月6日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】金属異物検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/74 20060101AFI20210419BHJP
【FI】
   G01N27/74
【請求項の数】6
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-157629(P2017-157629)
(22)【出願日】2017年8月17日
(65)【公開番号】特開2019-35681(P2019-35681A)
(43)【公開日】2019年3月7日
【審査請求日】2020年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100109058
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 知多佳
(72)【発明者】
【氏名】毛笠 光容
(72)【発明者】
【氏名】田伏 諒
(72)【発明者】
【氏名】友近 信行
【審査官】 小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第03924566(DE,A1)
【文献】 特開2007−127600(JP,A)
【文献】 特開昭54−054663(JP,A)
【文献】 特開2010−122112(JP,A)
【文献】 特開昭58−077665(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第02004374(GB,A)
【文献】 英国特許出願公開第01348881(GB,A)
【文献】 国際公開第2009/112214(WO,A1)
【文献】 米国特許第05357197(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16N 1/00 − F16N 99/00
G01N 15/00 − G01N 15/14
G01N 27/72 − G01N 27/90
G01V 1/00 − G01V 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管路を流れる流体に含まれている金属異物を検出する金属異物検出装置であって、
非金属材料で形成され、前記配管路の少なくとも一部を構成する非金属管路と、
前記非金属管路を流れる前記流体に含まれている前記金属異物を検出する検出ユニットとを備え、
前記検出ユニットは、
前記非金属管路の途中に配置され、前記流体が流れる方向に並ぶ複数のコイルと、
前記複数のコイルの各々について、前記金属異物が通過したときの自己インダクタンスの変化を検出する検出回路と
前記配管路を流れる流体の流速を測定する流速計と、
前記複数のコイルのうち、予め定められた2以上の数のコイルについて、前記金属異物が通過したときの前記自己インダクタンスの変化を前記検出回路が検出した場合であって、且つ、これらの自己インダクタンスの変化が、前記流体が前記流速計で測定された流速で前記2以上の数のコイルを順次通過する時間差に対応する時刻にある場合に、前記非金属管路を流れる流体に前記金属異物が含まれていると判定する判定回路と、を含む、金属異物検出装置。
【請求項2】
請求項に記載の金属異物検出装置であって、
前記判定回路は、前記複数のコイルのうち、半分以上の数のコイルについて、前記金属異物が通過したときの前記自己インダクタンスの変化を前記検出回路が検出した場合であって、且つ、これらの自己インダクタンスの変化が同一の前記金属異物に基づくものである場合にのみ、前記非金属管路を流れる流体に前記金属異物が含まれていると判定する、金属異物検出装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の金属異物検出装置であって、
前記検出ユニットは、さらに、
前記判定回路によって前記金属異物が前記非金属管路を流れる前記流体に含まれていると判定された場合に、前記検出回路によって検出された前記自己インダクタンスの変化を示す値に基づいて、前記金属異物の大きさを算出する算出回路を含む、金属異物検出装置。
【請求項4】
請求項に記載の金属異物検出装置であって、
前記検出ユニットは、さらに、
前記算出回路によって算出された前記金属異物の大きさに関する情報を収集する情報収集回路を含む、金属異物検出装置。
【請求項5】
請求項1〜の何れか1項に記載の金属異物検出装置であって、
前記検出ユニットは、さらに、
前記複数のコイルの各々を択一的に前記検出回路に接続する切替回路を備える、金属異物検出装置。
【請求項6】
請求項1〜の何れか1項に記載の金属異物検出装置であって、さらに、
前記検出ユニットを覆うシールドを備える、金属異物検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属異物検出装置に関し、詳しくは、配管路を流れる流体に含まれている金属異物を検出する金属異物検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、内燃機関や変速機等の潤滑油を用いる装置では、装置を構成する部品の摩耗等に起因して発生する金属粉が潤滑油に含まれてしまう。潤滑油が金属粉を含んでいると、潤滑油の潤滑性能だけでなく、装置の動作や寿命にも悪影響を与えるおそれがある。
【0003】
そこで、潤滑油に含まれている金属粉を検出して、装置の状態を把握することが考えられる。例えば、下記の非特許文献1では、回転機内の潤滑油を採取し、採取した潤滑油に含まれている鉄粉の濃度を測定することで、回転機の保全に利用することが提案されている。しかしながら、非特許文献1では、潤滑油を採取した時点での回転機の状態を把握することはできるが、現時点での回転機の状態を把握することは難しい。
【0004】
このような問題に対処するために、下記の特許文献1や特許文献2では、装置が備える配管路を流れる潤滑油に含まれている金属粉を検出することが提案されている。下記の特許文献1や特許文献2では、金属粉が通過したときのコイルのインダクタンスの変化を検出することにより、配管路を流れる潤滑油に金属粉が含まれているか否かを判断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4189967号公報
【特許文献2】特許第4014605号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】鉄粉濃度計による回転機械の診断:日本マリンエンジニアリング学会誌、Vol.42、No.4、pp91−97
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
金属粉が通過したときのコイルの自己インダクタンスの変化の大きさは、コイルのサイズが同じ場合、金属粉のサイズに依存する。そのため、金属粉が小さい場合、上記変化そのものが小さくなる。その結果、上記変化とノイズとの区別が難しくなり、潤滑油に金属粉が含まれているか否かを判断し難くなる。
【0008】
本発明の目的は、流体に含まれている金属異物が小さい場合であっても、金属異物の検出精度を向上させることができる金属異物検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本願の発明者は、金属異物を検出する回数に着目して検討を進めた。そして、流体が流れる方向に複数のコイルを並べれば、金属異物を検出する機会を複数回得ることができるとの知見を得るに至った。本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。
【0010】
本発明による金属異物検出装置は、配管路を流れる流体に含まれている金属異物を検出する金属異物検出装置であって、非金属材料で形成され、前記配管路の少なくとも一部を構成する非金属管路と、前記非金属管路を流れる前記流体に含まれている前記金属異物を検出する検出ユニットとを備え、前記検出ユニットは、前記非金属管路の途中に配置され、前記流体が流れる方向に並ぶ複数のコイルと、前記複数のコイルの各々について、前記金属異物が通過したときの自己インダクタンスの変化を検出する検出回路と、前記配管路を流れる流体の流速を測定する流速計と、前記複数のコイルのうち、予め定められた2以上の数のコイルについて、前記金属異物が通過したときの前記自己インダクタンスの変化を前記検出回路が検出した場合であって、且つ、これらの自己インダクタンスの変化が、前記流体が前記流速計で測定された流速で前記2以上の数のコイルを順次通過する時間差に対応する時刻にある場合に、前記非金属管路を流れる流体に前記金属異物が含まれていると判定する判定回路と、を含む。
【0011】
上記金属異物検出装置においては、流体が流れる方向に複数のコイルが並んでいるので、流体に含まれている金属異物の検出を複数回行う機会が得られる。そのため、金属異物の検出精度が向上する。
【0015】
上記の態様においては、金属異物の通過に伴う自己インダクタンスの変化が2回以上検出され、しかも、これらの検出が同一の金属異物に対するものである場合に、金属異物を検出したことになる。そのため、金属異物の通過に伴う自己インダクタンスの変化を1度検出しただけで金属異物を検出したことにする場合と比べて、金属異物の検出に対する信頼性を高めることができる。なぜなら、金属異物の通過に伴う自己インダクタンスの変化を1度しか検出していない場合、当該自己インダクタンスの変化がノイズに起因するものである可能性もあるが、上記のように、同一の金属異物の通過に起因する自己インダクタンスの変化を2回以上検出しているのであれば、これらの自己インダクタンスの変化が何れもノイズに起因するものとは考え難いからである。
【0016】
上記金属異物検出装置において、好ましくは、前記判定回路は、前記複数のコイルのうち、半分以上の数のコイルについて、前記金属異物が通過したときの前記自己インダクタンスの変化を前記検出回路が検出した場合であって、且つ、これらの自己インダクタンスの変化が同一の前記金属異物に基づくものである場合にのみ、前記非金属管路を流れる流体に前記金属異物が含まれていると判定する。
【0017】
上記の態様においては、金属異物の通過に伴う自己インダクタンスの変化が半分以上の数のコイルにおいて検出され、しかも、これらの検出が同一の金属異物に対するものである場合に、金属異物を検出したことになるので、金属異物の検出に対する信頼性をさらに高めることができる。
【0018】
上記金属異物検出装置において、好ましくは、前記検出ユニットは、さらに、前記判定回路によって前記金属異物が前記非金属管路を流れる前記流体に含まれていると判定された場合に、前記検出回路によって検出された前記自己インダクタンスの変化を示す値に基づいて、前記金属異物の大きさを算出する算出回路を含む。
【0019】
上記の態様においては、金属異物の大きさを把握することができる。
【0020】
上記金属異物検出装置において、好ましくは、前記検出ユニットは、さらに、前記算出回路によって算出された前記金属異物の大きさに関する情報を収集する情報収集回路を含む。
【0021】
上記の態様においては、例えば、金属異物の大きさの収集を開始してから現在までの期間における金属異物の総量や金属異物の大きさが変化する様子等を把握することができる。
【0022】
上記金属異物検出装置において、好ましくは、前記検出ユニットは、さらに、前記複数のコイルの各々を択一的に前記検出回路に接続する切替回路を備える。
【0023】
上記の態様においては、複数のコイルによって検出回路が共有される。そのため、コイルごとに検出回路を設けなくてもよい。
【0024】
上記金属異物検出装置は、好ましくは、さらに、前記検出ユニットを覆うシールドを備える。
【0025】
上記の態様においては、金属異物が通過したときのコイルの自己インダクタンスの変化を示す信号がノイズの影響を受け難くなる。
【発明の効果】
【0026】
本発明による金属異物検出装置によれば、流体に含まれている金属異物が小さい場合であっても、金属異物の検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1の実施の形態による金属異物検出装置の概略構成を示す模式図である。
図2図1に示す金属異物検出装置が備える信号処理回路を示すブロック図である。
図3】検出回路によって検出されたコイルの自己インダクタンスを示すグラフである。
図4】自己インダクタンスの変化率を計算した結果を示すグラフである。
図5】抽出される検出信号に相当する自己インダクタンスの変化率を示すグラフである。
図6】3つのコイルの各々の自己インダクタンスが変化したことを示すグラフである。
図7】3つのコイルの各々の自己インダクタンスが変化したことを示すグラフであって、時間軸を3つめのコイルに合わせた状態を示すグラフである。
図8】検出信号の誤差時間範囲を説明するためのグラフである。
図9】3つのコイルの各々の自己インダクタンスが変化したことを示すグラフである。
図10】3つのコイルのうち、1つ目のコイルと3つ目のコイルの各々の自己インダクタンスが変化したことを示すグラフである。
図11】3つのコイルのうち、3つ目のコイルの自己インダクタンスが変化したことを示すグラフである。
図12】信号処理回路が実行する信号検出処理であって、1つ目のコイルの自己インダクタンスについての信号検出処理を示すフローチャートである。
図13】信号処理回路が実行する信号検出処理であって、2つ目のコイルの自己インダクタンスについての信号検出処理を示すフローチャートである。
図14】信号処理回路が実行する信号検出処理であって、3つ目のコイルの自己インダクタンスについての信号検出処理を示すフローチャートである。
図15】本発明の第1の実施の形態において信号処理回路が実行する判定処理を示すフローチャートである。
図16】本発明の第1の実施の形態の応用例において信号処理回路が実行する判定処理を示すフローチャートである。
図17】本発明の第2の実施の形態による金属異物検出装置の概略構成を示す模式図である。
図18】2つのコイルの各々の自己インダクタンスが変化したことを示すグラフである。
図19】本発明の第2の実施の形態において信号処理回路が実行する判定処理を示すフローチャートである。
図20】本発明の第2の実施の形態の応用例において信号処理回路が実行する判定処理を示すフローチャートである。
図21】本発明の第3の実施の形態による金属異物検出装置が備える検出ユニットに設けられた切替装置の概略構成を示す模式図である。
図22】本発明の第4の実施の形態による金属異物検出装置が備えるシールドの概略構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳述する。
【0029】
図1を参照しながら、本発明の第1の実施の形態による金属異物検出装置10について説明する。図1は、金属異物検出装置10の概略構成を示す模式図である。
【0030】
金属異物検出装置10は、配管路としての配管11を流れる流体としての潤滑油に含まれている金属異物を検出する。ここで、配管11は、例えば、内燃機関に設けられて、潤滑油を流動させる。金属異物は、例えば、内燃機関を構成する部品の摩耗などによって発生する金属粉である。
【0031】
なお、以下の説明において、配管の流路断面とは、配管において潤滑油が流れる部分(空洞の部分)の断面であって、潤滑油が流れる方向に垂直な方向での断面をいう。
【0032】
金属異物検出装置10は、非金属管路としての非金属管12と、検出ユニット13とを備える。以下、これらについて説明する。
【0033】
非金属管12は、非金属材料で形成されて、配管11の一部を構成する。非金属管12は、例えば、配管11のうち、潤滑油が流れる方向で非金属管12よりも上流側に位置する上流配管と、潤滑油が流れる方向で非金属管12よりも下流側に位置する下流配管との間に配置され、これら上流配管と下流配管とを接続する。非金属管12の流路断面は、上流配管及び下流配管の各々の流路断面と比べて、大きさ及び形状が同じである。非金属管12の流路断面は、例えば、円形である。非金属管12を形成する非金属材料は、例えば、金属材料であってもよいし、合成樹脂材料であってもよい。
【0034】
検出ユニット13は、複数(本実施の形態では、3つ)のコイル141、142、143と、複数(本実施の形態では、3つ)の検出回路161、162、163と、信号処理回路18とを備える。
【0035】
複数のコイル141、142、143は、それぞれ、非金属管12を流れる潤滑油に含まれている金属異物の通過を許容する。複数のコイル141、142、143は、それぞれ、金属異物の通過に伴って、自己インダクタンスが変化する。
【0036】
複数のコイル141、142、143は、それぞれ、非金属管12に配置されている。複数のコイル141、142、143は、潤滑油が流れる方向で等間隔に並んでいる。
【0037】
複数のコイル141、142、143は、それぞれ、非金属管12の中心軸線周りにコイル巻線が巻き回されることで形成されている。各コイル141、142、143は、所謂ソレノイドコイルである。複数のコイル141、142、143は、互いに同じ形状及び大きさを有している。
【0038】
図1に示す例では、複数のコイル141、142、143は、それぞれ、非金属管12の外周面にコイル巻線が巻き回されることで形成されている。そのため、複数のコイル141、142、143が配置された非金属管12を潤滑油が流れるときに、潤滑油に含まれている金属異物が複数のコイル141、142、143の各々の内側を通過するようになっている。
【0039】
複数の検出回路161、162、163は、それぞれ、複数のコイル141、142、142のうち、接続されているコイルの自己インダクタンスの変化を検出する。図1に示す例では、検出回路161はコイル141の自己インダクタンスの変化を検出し、検出回路162はコイル142の自己インダクタンスの変化を検出し、検出コイル163はコイル143の自己インダクタンスの変化を検出する。複数の検出回路161、162、163は、例えば、同じプリント配線基板に形成されていてもよいし、別々のプリント配線基板に形成されていてもよい。
【0040】
複数の検出回路161、162、163は、それぞれ、接続されているコイルの自己インダクタンスの変化を、以下のようにして、検出する。ここで、複数の検出回路161、162、163の各々がコイルの自己インダクタンスを検出する方法は互いに同じであるから、以下の説明では、検出回路161がコイル141の自己インダクタンスを検出する場合のみについて説明する。
【0041】
検出回路161は、例えば、コイル141とコンデンサ(図示せず)とで構成される共振回路の共振周波数を測定することにより、コイル141の自己インダクタンスを測定する。
【0042】
ここで、磁性体で形成された金属異物がコイル141を通過したときには、上記のように測定しているコイル141の自己インダクタンスが増加する。一方、非磁性体で形成された金属異物がコイル141を通過したときには、上記のように測定しているコイル141の自己インダクタンスが減少する。このようなコイル141の自己インダクタンスの変化を、検出回路161が検出する。
【0043】
信号処理回路18は、複数の検出回路161、162、163の各々が検出するコイルの自己インダクタンスを用いて、検出した金属異物に関する情報を取得する。信号処理回路18は、複数の検出回路161、162、163の各々に接続されている。信号処理回路18は、例えば、複数の検出回路161、162、163と同じプリント配線基板に形成されていてもよいし、複数の検出回路161、162、163が形成されているプリント配線基板とは別のプリント配線基板に形成されていてもよい。
【0044】
複数の検出回路161、162、163及び信号処理回路18は、例えば、中央演算処理装置が記憶装置に記憶されているプログラムを読み出して、所定の処理を行うことで実現される。なお、複数の検出回路161、162、163及び信号処理回路18の何れかは、その一部がASIC等の集積回路によって実現されてもよい。
【0045】
図2を参照しながら、信号処理回路18について説明する。図2は、信号処理回路18を示すブロック図である。
【0046】
信号処理回路18は、信号抽出回路としての信号抽出部181と、判定回路としての判定部182と、情報収集回路としての情報収集部183とを備える。以下、これらについて説明する。
【0047】
信号抽出部181は、複数の検出回路161、162、163の各々によって検出されたコイルの自己インダクタンスから金属異物の通過に相当する自己インダクタンスの変化、つまり、金属異物の通過を示す検出信号を抽出する。
【0048】
図3図4及び図5を参照しながら、信号抽出部181による検出信号の抽出について説明する。ここで、信号抽出部181による検出信号の抽出は、複数の検出コイル161、162、163の何れが検出した検出信号であっても同じであるから、以下の説明では、検出回路161からの検出信号を抽出する場合のみについて説明する。
【0049】
なお、図3は、検出回路161によって検出されるコイル141の自己インダクタンスを示すグラフである。図4は、コイル141の自己インダクタンスの変化率を計算した結果を示すグラフである。図5は、抽出される検出信号に相当するコイル141の自己インダクタンスの変化率を示すグラフである。
【0050】
先ず、信号抽出部181は、ベースラインを算出する。ベースラインは、検出信号の有無を判定する際に用いられる。ベースラインは、例えば、図3に示すように、検出信号の直前の期間(本実施の形態では、1秒間)の自己インダクタンスytの平均値Aveである。
【0051】
続いて、信号抽出部181は、以下の式(1)により、検出した自己インダクタンスytの変化を示す値としての変化率Ytを算出する。
【0052】
【数1】
【0053】
上記の式(1)の算出結果によれば、図4に示すように、ベースラインに相当する部分では、自己インダクタンスの変化率が略ゼロになる。
【0054】
続いて、信号抽出部181は、ベースライン近傍のデータの除去できるように、閾値TH(図4参照)を設定する。閾値THは、ベースラインよりも大きな値に設定される。
【0055】
続いて、信号抽出部181は、図5に示すように、閾値TH以下のデータをゼロにする。その結果、金属異物の通過に起因する自己インダクタンスの変化を示す信号(検出信号)を抽出することができる。
【0056】
再び、図2を参照しながら説明する。判定部182は、信号抽出部181によって抽出された複数の検出信号が同一の金属異物の通過に起因するものであるか否かを確認する。
【0057】
ここで、信号抽出部181によって抽出された検出信号が同一の金属異物の通過に起因するものであるか否かを確認する方法について、図6及び図7を参照しながら説明する。図6は、複数のコイル141、142、143の各々の自己インダクタンスが変化したことを示すグラフである。図7は、複数のコイル141、142、143の各々の自己インダクタンスが変化したことを示すグラフであって、時間軸をコイル143に合わせた状態を示すグラフである。
【0058】
金属異物が複数のコイル141、142、143を順次通過する場合、複数のコイル141、142、143の各々の自己インダクタンスは、図6に示すように変化する。ここで、金属異物がコイル141を通過してからコイル143を通過するまでの時間差をΔT13とし、金属異物がコイル142を通過してからコイル143を通過するまでの時間差をΔT23とする。
【0059】
なお、ΔT13及びΔT23は、潤滑油の流速によって決まる。潤滑油の流速は、配管11又は非金属管12に設けられた流速計20によって測定される。
【0060】
コイル141の自己インダクタンスの時間軸をΔT13だけ移動し、且つ、コイル142の自己インダクタンスの時間軸をΔT23だけ移動した場合を想定する。このような場合において、図7に示すように、コイル141における自己インダクタンスの変化(検出信号)及びコイル142における自己インダクタンスの変化(検出信号)が、それぞれ、コイル143における自己インダクタンスの変化(検出信号)と同じ時刻に存在するのであれば、複数のコイル141、142、143の各々における自己インダクタンスの変化(検出信号)は、同じ金属異物に起因するものであると確認される。
【0061】
ここで、金属異物が流れる速度(つまり、潤滑油の流速)には、揺らぎがある。そのため、直近の流速を用いた場合であっても、上記のようにコイルが検出した自己インダクタンスの時間軸を移動させたときに、複数のコイル141、142、143の各々における自己インダクタンスの変化(検出信号)が同じ時刻に存在しないこともある。
【0062】
このような事情を考慮し、上記のようにコイルが検出した自己インダクタンスの時間軸を移動させた状態で、図8に示すように、所定の誤差時間範囲Tx内に複数の検出信号が存在するか否かを判定することにより、複数のコイル141、142、143の各々における自己インダクタンスの変化(検出信号)が同一の金属異物に起因するものであるか否かを確認するようにしてもよい。なお、誤差時間範囲Txは、例えば、金属異物が隣り合う2つのコイルの一方を通過してから他方を通過するまでの時間の1/10程度である。
【0063】
再び、図2を参照しながら説明する。判定部183は、信号抽出部181によって抽出された複数の検出信号が同一の金属異物の通過に起因するものである場合に、潤滑油に金属異物が含まれていると判定する。
【0064】
ここで、潤滑油に金属異物が含まれているか否かを判定する方法について、図9図10及び図11を参照しながら説明する。図9は、複数のコイル141、142、143の自己インダクタンスが変化したことを示すグラフである。図10は、コイル141とコイル143の各々の自己インダクタンスが変化したことを示すグラフである。図11は、コイル143の自己インダクタンスが変化したことを示すグラフである。
【0065】
潤滑油に含まれている金属異物は、複数のコイル141、142、143を順次通過する。そのため、図9に示すように、複数のコイル141、142、143の全てにおいて金属異物の通過を示す自己インダクタンスの変化(検出信号)が検出されており、且つ、これらの検出信号が複数のコイル141、142、143の並び順に沿って所定の間隔で順次検出されているのであれば、潤滑油に金属異物が含まれている可能性が極めて高い。しかしながら、例えば、図10図11に示すように、複数のコイル141、142、143の全てにおいて金属異物の通過を示す自己インダクタンスの変化(検出信号)が検出されていない場合には、潤滑油に金属異物が含まれていない可能性もある。そこで、本実施の形態では、複数のコイル141、142、143のうち、2つ以上のコイルにおいて金属異物の通過を示す自己インダクタンスの変化(検出信号)が検出されており、且つ、これらの検出信号が複数のコイル141、142、143の並び順に沿って所定の間隔で順次検出されているのであれば、潤滑油に金属異物が含まれていると判定することにする。なお、潤滑油に金属異物が含まれていると判定するときの基準として、複数のコイル141、142、143のうち、少なくとも1つのコイルにおいて金属異物の通過を示す自己インダクタンスの変化(検出信号)が検出されているとの基準を採用することも当然可能である。
【0066】
再び、図2を参照しながら説明する。情報収集部183は、信号抽出部181によって抽出された複数の検出信号が同一の金属異物の通過に起因するものであるから潤滑油に金属異物が含まれていると判定部182によって判定された場合に、当該判定の基礎になった複数の検出信号(自己インダクタンスの変化)に基づいて、通過した金属異物の大きさに関する情報を図示しない記憶装置に記憶する。金属異物の大きさに関する情報は、例えば、自己インダクタンスの変化率の平均値に基づいて算出するものであってもよいし、自己インダクタンスの変化率の最大値に基づいて算出するものであってもよい。
【0067】
図12図13及び図14を参照しながら、信号処理回路18が実行する信号検出処理について説明する。図12は、信号処理回路18が実行する信号検出処理であって、コイル141の自己インダクタンスについての信号検出処理を示すフローチャートである。図13は、信号処理回路18が実行する信号検出処理であって、コイル142の自己インダクタンスについての信号検出処理を示すフローチャートである。図14は、信号処理回路18が実行する信号検出処理であって、コイル143の自己インダクタンスについての信号検出処理を示すフローチャートである。
【0068】
最初に、図12を参照して、コイル141の自己インダクタンスについての信号検出処理について説明する。信号処理回路18は、ステップS11において、時刻t1xにおけるコイル141の自己インダクタンスyt1xを検出回路161から取得する。
【0069】
続いて、信号処理回路18は、ステップS12において、ステップS11で検出回路161からコイル141の自己インダクタンスyt1xを取得した時刻t1xの直前の1秒間のコイル141の自己インダクタンスyt1xの平均値Ave1を算出する。
【0070】
続いて、信号処理回路18は、ステップS13において、ステップS11で検出回路161から取得したコイル141の自己インダクタンスyt1xの変化率Yt1を算出する。
【0071】
続いて、信号処理回路18は、ステップS14において、ステップS13で算出したコイル141の自己インダクタンスyt1xの変化率Yt1が閾値THよりも大きいか否かを判定する。
【0072】
ステップS13で算出したコイル141の自己インダクタンスyt1xの変化率Yt1が閾値TH以下の場合(ステップS14:NO)、信号処理回路18は、ステップS15において、コイル141の自己インダクタンスyt1xの変化率Yt1の値をゼロにするとともに、コイル141の自己インダクタンスyt1xの変化率Yt1の時間軸を移動させる。その後、信号処理回路18は、ステップS16において、判定処理を実行する。なお、判定処理の詳細については、後述する。
【0073】
続いて、信号処理回路18は、ステップS17において、コイル141の自己インダクタンスyt1xの検出を終了する終了指令が入力されたか否かを判定する。終了指令が入力されていない場合(ステップS17:NO)、信号処理回路18は、ステップS11以降の処理を実行する。終了指令が入力された場合(ステップS17:YES)、信号処理回路18は、信号検出処理を終了する。なお、終了指令は、例えば、ユーザの操作によって出力される。
【0074】
ステップS13で算出したコイル141の自己インダクタンスyt1xの変化率Yt1が閾値THよりも大きい場合(ステップS14:YES)、信号処理回路18は、ステップS18において、コイル141の自己インダクタンスyt1xの変化率Yt1の値をステップS13で算出した変化率Yt1の値にした後、ステップS16以降の処理を実行する。
【0075】
続いて、図13を参照して、コイル142の自己インダクタンスについての信号検出処理について説明する。コイル142の自己インダクタンスについての信号検出処理は、コイル141の自己インダクタンスについての信号検出処理と比べて、時間軸の移動量が異なる。具体的には、コイル141の自己インダクタンスについての信号検出処理では、時間軸の移動量がΔT13であるのに対して、コイル142の自己インダクタンスについての信号検出処理では、時間軸の移動量がΔT23である。これ以外は、コイル141の自己インダクタンスについての信号検出処理と同様であるから、コイル142の自己インダクタンスについての信号検出処理に関する詳細な説明は省略する。
【0076】
続いて、図14を参照して、コイル143の自己インダクタンスについての信号検出処理について説明する。コイル143の自己インダクタンスについての信号検出処理は、コイル141の自己インダクタンスについての信号検出処理と比べて、時間軸を移動させない点で異なる。これ以外は、コイル141の自己インダクタンスについての信号検出処理と同様であるから、コイル143の自己インダクタンスについての信号検出処理に関する詳細な説明は省略する。
【0077】
続いて、図15を参照しながら、信号処理回路18が実行する判定処理について説明する。図15は、信号処理回路18が実行する判定処理を示すフローチャートである。
【0078】
信号処理回路18は、先ず、ステップS41において、金属異物の通過に伴うコイル141の自己インダクタンスの変化(検出信号)が検出されているか否かを判定する。金属異物の通過に伴うコイル141の自己インダクタンスの変化(検出信号)が検出されている場合(ステップS41:YES)、信号処理回路18は、ステップS42において、金属異物の通過に伴ってコイル141の自己インダクタンスが変化した時刻を基準とする誤差時間範囲Tx内に、金属異物の通過に伴うコイル142の自己インダクタンスの変化(検出信号)が存在するか否かを判定する。
【0079】
金属異物の通過に伴うコイル142の自己インダクタンスの変化(検出信号)が存在する場合(ステップS42:YES)、信号処理回路18は、ステップS43において、金属異物の通過に伴ってコイル141の自己インダクタンスが変化した時刻を基準とする誤差時間範囲Tx内に、金属異物の通過に伴うコイル143の自己インダクタンスの変化(検出信号)が存在するか否かを判定する。
【0080】
金属異物の通過に伴うコイル143の自己インダクタンスの変化(検出信号)が存在する場合(ステップS43:YES)、信号処理回路18は、ステップS44において、複数のコイル141、142、143で検出された自己インダクタンスの変化率の平均値を算出する。
【0081】
続いて、信号処理回路18は、ステップS45において、ステップS44で算出した自己インダクタンスの変化率の平均値に基づいて、検出した金属異物のサイズを算出する。その後、信号処理回路18は、ステップS46において、ステップS45で算出した金属異物のサイズを図示しない記憶装置に記憶して、判定処理を終了する。
【0082】
金属異物の通過に伴うコイル143の自己インダクタンスの変化(検出信号)が存在しない場合(ステップS43:NO)、信号処理回路18は、ステップS47において、コイル141及びコイル142で検出された自己インダクタンスの変化率の平均値を算出した後、ステップS45以降の処理を実行する。
【0083】
金属異物の通過に伴うコイル142の自己インダクタンスの変化(検出信号)が存在しない場合(ステップS42:NO)、信号処理回路18は、ステップS48において、金属異物の通過に伴ってコイル141の自己インダクタンスが変化した時刻を基準とする誤差時間範囲Tx内に、金属異物の通過に伴うコイル143の自己インダクタンスの変化(検出信号)が存在するか否かを判定する。
【0084】
金属異物の通過に伴うコイル143の自己インダクタンスの変化(検出信号)が存在する場合(ステップS48:YES)、信号処理回路18は、ステップS49において、コイル141及びコイル143で検出された自己インダクタンスの変化率の平均値を算出した後、ステップS45以降の処理を実行する。
【0085】
金属異物の通過に伴うコイル143の自己インダクタンスの変化(検出信号)が存在しない場合(ステップS48:NO)、信号処理回路18は、ステップS50において、金属異物を検出していないと判定し、判定処理を終了する。
【0086】
金属異物の通過に伴うコイル141の自己インダクタンスの変化(検出信号)が検出されていない場合(ステップS41:NO)、信号処理回路18は、ステップS51において、金属異物の通過に伴うコイル142の自己インダクタンスの変化(検出信号)が検出されているか否かを判定する。
【0087】
金属異物の通過に伴うコイル142の自己インダクタンスの変化(検出信号)が検出されている場合(ステップS51:YES)、信号処理回路18は、ステップ52において、金属異物の通過に伴ってコイル142の自己インダクタンスが変化した時刻を基準とする誤差時間範囲Tx内に、金属異物の通過に伴うコイル143の自己インダクタンスの変化(検出信号)が存在するか否かを判定する。
【0088】
金属異物の通過に伴うコイル143の自己インダクタンスの変化(検出信号)が存在する場合(ステップS52:YES)、信号処理回路18は、ステップS53において、コイル142及びコイル143で検出された自己インダクタンスの変化率の平均値を算出した後、ステップS45以降の処理を実行する。
【0089】
金属異物の通過に伴うコイル143の自己インダクタンスの変化(検出信号)が存在しない場合(ステップS52:NO)、信号処理回路18は、ステップS54において、金属異物を検出していないと判定し、判定処理を終了する。
【0090】
金属異物の通過に伴うコイル142の自己インダクタンスの変化(検出信号)が存在しない場合(ステップS51:NO)、信号処理回路18は、ステップS55において、金属異物を検出していないと判定し、判定処理を終了する。
【0091】
つまり、本実施の形態では、表1に示すように、1つのコイルしか自己インダクタンスが変化していない場合には、金属異物を検出していないと判定し、2つ以上のコイルにおいて自己インダクタンスが変化した場合には、金属異物を検出したと判定する。ここで、表1は、信号処理回路18が判定処理を行うときの判定基準(潤滑油に金属異物が含まれているか否かの判定基準)を示す。なお、表1において、数値「1」は検出信号があることを示し、数値「0」は検出信号がないことを示す。
【0092】
【表1】
【0093】
このような金属異物検出装置10においては、2つ以上のコイルにおいて自己インダクタンスが変化した場合に金属異物を検出したと判定するので、金属異物の検出に対する信頼性が高まる。そのため、金属異物の検出精度が向上する。
【0094】
ここで、金属異物検出装置10においては、2つ以上のコイルにおいて自己インダクタンスが変化した場合に、これらの自己インダクタンスの変化が同じ金属異物の通過に起因するものであるか否かを確認するので、金属異物の検出に対する信頼性がさらに高まる。
【0095】
また、金属異物検出装置10においては、検出した自己インダクタンスの変化率に基づいて金属異物の大きさを算出するので、検出した金属異物の大きさを把握することができる。
【0096】
加えて、金属異物検出装置10においては、検出した金属異物の大きさに関する情報を収集しているので、当該情報の収集を開始してから現在までの期間における金属異物の総量や金属異物の大きさが変化する様子等を把握することができる。
【0097】
[第1の実施の形態の応用例]
続いて、図16を参照しながら、第1の実施の形態の応用例において信号処理回路18が実行する判定処理について説明する。図16は、第1の実施の形態の応用例において信号処理回路18が実行する判定処理を示すフローチャートである。
【0098】
本応用例に係る判定処理は、上記第1の実施の形態に係る判定処理と比べて、複数のコイル141、142、143のうち、少なくとも1つのコイルの自己インダクタンスが変化したときに、金属異物を検出したと判定する点で異なる。具体的には、以下のとおりである。
【0099】
本応用例に係る判定処理では、上記第1の実施の形態に係る判定処理でのステップS50の代わりに、ステップS50Aを行う。ステップS50Aにおいて、信号処理回路18は、コイル141の自己インダクタンスyt1の変化率Yt1を、金属異物の大きさの算出に用いる変化率Ytとする。その後、信号処理回路18は、判定処理を終了する。
【0100】
本応用例に係る判定処理では、上記第1の実施の形態に係る判定処理でのステップS54の代わりに、ステップS54Aを行う。ステップS54Aにおいて、信号処理回路18は、コイル142の自己インダクタンスyt2の変化率Yt2を、金属異物の大きさの算出に用いる変化率Ytとする。その後、信号処理回路18は、判定処理を終了する。
【0101】
本応用例に係る判定処理では、上記第1の実施の形態に係る判定処理でのステップS55の代わりに、ステップS55Aを行う。ステップS55Aにおいて、信号処理回路18は、金属異物の通過に伴うコイル143の自己インダクタンスの変化(検出信号)が検出されているか否かを判定する。
【0102】
金属異物の通過に伴うコイル143の自己インダクタンスの変化(検出信号)が検出されている場合(ステップS55A:YES)、信号処理回路18は、ステップS56において、コイル143の自己インダクタンスyt3の変化率Yt3を金属異物の大きさの算出に用いる変化率Ytとした後、判定処理を終了する。
【0103】
金属異物の通過に伴うコイル143の自己インダクタンスの変化(検出信号)が検出されていない場合(ステップS55A:YES)、信号処理回路18は、ステップS57において、金属異物を検出していないと判定した後、判定処理を終了する。
【0104】
つまり、本応用例では、表2に示すように、少なくとも1つのコイルにおいて自己インダクタンスが変化した場合には、金属異物を検出したと判定し、複数のコイル141、142、143の何れにおいても自己インダクタンスが変化していない場合には、金属異物を検出していないと判定する。ここで、表2は、本応用例において信号処理回路18が判定処理を行うときの判定基準(潤滑油に金属異物が含まれているか否かの判定基準)を示す。なお、表2において、数値「1」は検出信号があることを示し、数値「0」は検出信号がないことを示す。
【0105】
【表2】
【0106】
本応用例においては、少なくとも1つのコイルの自己インダクタンスが変化した場合に金属異物を検出したと判定するので、小さな検出信号であっても検出できる可能性が高くなる。したがって、本応用例では、金属異物の検出精度を向上させることができる。
【0107】
[第2の実施の形態]
図17を参照しながら、本発明の第2の実施の形態による金属異物検出装置10Aについて説明する。図17は、金属異物検出装置10Aの概略構成を示す模式図である。
【0108】
金属異物検出装置10Aは、金属異物検出装置10と比べて、コイル143を備えていない点で異なる。
【0109】
金属異物検出装置10Aでは、図18に示すように、複数(本実施の形態では、2つ)のコイル141、142において金属異物の通過に伴う自己インダクタンスの変化(検出信号)が検出される場合(図18中のB1及びB2参照)や、複数のコイル141、142の一方のみにおいて金属異物の通過に伴う自己インダクタンスの変化(検出信号)が検出される場合(図18中のC1及びD2参照)がある。
【0110】
ここで、複数のコイル141、142において金属異物の通過に伴う自己インダクタンスの変化(検出信号)が検出されており、且つ、これらの検出信号が複数のコイル141、142の並び順に沿って所定の間隔で順次検出されているのであれば、潤滑油に金属異物が含まれていることは略間違いないと考えられるので、潤滑油に金属異物が含まれていると判定することは容易である。しかしながら、複数のコイル141、142の全てにおいて金属異物の通過を示す自己インダクタンスの変化(検出信号)が検出されていない場合には、潤滑油に金属異物が含まれているか否かの判定に迷うところである。そこで、本実施の形態では、複数のコイル141、142の全てにおいて金属異物の通過を示す自己インダクタンスの変化(検出信号)が検出されており、且つ、これらの検出信号が複数のコイル141、142の並び順に沿って所定の間隔で順次検出されているのであれば、潤滑油に金属異物が含まれていると判定することにする。なお、潤滑油に金属異物が含まれていると判定するときの基準として、複数のコイル141、142のうち、少なくとも1つのコイルにおいて金属異物の通過を示す自己インダクタンスの変化(検出信号)が検出されているとの基準を採用することも当然可能である。
【0111】
図19を参照しながら、本実施の形態において信号処理回路18が実行する判定処理について説明する。図19は、本実施の形態において信号処理回路18が実行する判定処理を示すフローチャートである。なお、本実施の形態において信号処理回路18が実行する信号検出処理は、第1の実施の形態において信号処理回路18が実行する信号検出処理(図12図13及び図14参照)と同じであるから、その詳細な説明は省略する。
【0112】
信号処理回路18は、先ず、ステップS81において、金属異物の通過に伴うコイル141の自己インダクタンスの変化(検出信号)が検出されているか否かを判定する。
【0113】
金属異物の通過に伴うコイル141の自己インダクタンスの変化(検出信号)が検出されている場合(ステップS81:YES)、信号処理回路18は、ステップS82において、コイル141の自己インダクタンスが変化した時刻を基準とする誤差時間範囲Tx内に、金属異物の通過に伴うコイル142の自己インダクタンスの変化(検出信号)が存在するか否かを判定する。
【0114】
金属異物の通過に伴うコイル142の自己インダクタンスの変化(検出信号)が検出されている場合(ステップS82:YES)、信号処理回路18は、ステップS83において、複数のコイル141、142で検出された自己インダクタンスの変化率の平均値を算出する。
【0115】
続いて、信号処理回路18は、ステップS84において、ステップS83で算出した自己インダクタンスの変化率の平均値に基づいて、検出した金属異物のサイズを算出する。その後、信号処理回路18は、ステップS85において、ステップS84で算出した金属異物のサイズを記憶して、判定処理を終了する。
【0116】
金属異物の通過に伴うコイル142の自己インダクタンスの変化(検出信号)が検出されていない場合(ステップS82:NO)、信号処理回路18は、ステップS86において、金属異物を検出していないと判定し、判定処理を終了する。
【0117】
金属異物の通過に伴うコイル141の自己インダクタンスの変化(検出信号)が検出されていない場合(ステップS81:NO)、信号処理回路18は、ステップS87において、金属異物を検出していないと判定し、判定処理を終了する。
【0118】
つまり、本実施の形態では、表3に示すように、複数のコイル141、142の全てにおいて自己インダクタンスが変化した場合にのみ、金属異物を検出したと判定する。ここで、表3は、第2の実施の形態において信号処理回路18が判定処理を行うときの判定基準(潤滑油に金属異物が含まれているか否かの判定基準)を示す。なお、表3において、数値「1」は検出信号があることを示し、数値「0」は検出信号がないことを示す。
【0119】
【表3】
【0120】
このような金属異物検出装置10Aにおいては、複数のコイル141、142の全てにおいて自己インダクタンスが変化した場合に金属異物を検出したと判定するので、金属異物の検出そのものに対する信頼性を高めることができる。そのため、金属異物の検出精度を向上させることができる。
【0121】
[第2の実施の形態の応用例]
続いて、図20を参照しながら、第2の実施の形態の応用例において信号処理回路18が実行する判定処理について説明する。図20は、第2の実施の形態の応用例において信号処理回路18が実行する判定処理を示すフローチャートである。
【0122】
本応用例に係る判定処理は、上記第2の実施の形態に係る判定処理と比べて、複数のコイル141、142のうち、少なくとも1つのコイルの自己インダクタンスが変化した場合に、金属異物を検出したと判定する点で異なる。具体的には、以下のとおりである。
【0123】
本応用例に係る判定処理では、上記第2の実施の形態に係る判定処理でのステップS86の代わりに、ステップS86Aを行う。ステップS86Aにおいて、信号処理回路18は、コイル141の自己インダクタンスyt1の変化率Yt1を、金属異物の大きさの算出に用いる変化率Ytとする。その後、信号処理回路18は、判定処理を終了する。
【0124】
本応用例に係る判定処理では、上記第2の実施の形態に係る判定処理でのステップS87の代わりに、ステップS87Aを行う。ステップS87Aにおいて、信号処理回路18は、金属異物の通過に伴うコイル142の自己インダクタンスの変化(検出信号)が検出されているか否かを判定する。
【0125】
金属異物の通過に伴うコイル142の自己インダクタンスの変化(検出信号)が検出されている場合(ステップS87A:YES)、信号処理回路18は、ステップS88において、コイル142の自己インダクタンスyt2の変化量Yt2を、金属異物の大きさの算出に用いる変化率Ytとした後、判定処理を終了する。
【0126】
金属異物の通過に伴うコイル142の自己インダクタンスの変化(検出信号)が検出されていない場合(ステップS87A:YES)、信号処理回路18は、ステップS89において、金属異物を検出していないと判定した後、判定処理を終了する。
【0127】
つまり、本応用例では、表4に示すように、少なくとも1つのコイルにおいて自己インダクタンスが変化した場合には、金属異物を検出したと判定し、複数のコイル141、142、143の何れにおいても自己インダクタンスが変化していない場合には、金属異物を検出していないと判定する。ここで、表4は、本応用例において信号処理回路18が判定処理を行うときの判定基準(潤滑油に金属異物が含まれているか否かの判定基準)を示す。なお、表4において、数値「1」は検出信号があることを示し、数値「0」は検出信号がないことを示す。
【0128】
【表4】
【0129】
本応用例においては、複数のコイル141、142のうち、少なくとも1つのコイルにおいて自己インダクタンスが変化した場合に金属異物を検出したと判定するので、小さな検出信号であっても検出できる可能性が高くなる。したがって、本応用例では、金属異物の検出精度を向上させることができる。
【0130】
[第3の実施の形態]
図21を参照しながら、本発明の第3の実施の形態による金属異物検出装置について説明する。図21は、第3の実施の形態による金属異物検出装置が備える検出ユニット13Bの概略構成を示す模式図である。
【0131】
本実施の形態による金属異物検出装置は、金属異物検出装置10と比べて、検出ユニット13の代わりに、検出ユニット13Bを備える点で異なる。検出ユニット13Bは、検出ユニット13と比べて、複数の検出回路161、162、163を備える代わりに、1つの検出回路16と、1つの切替回路22とを備える点で異なる。
【0132】
切替回路22は、複数のコイル141、142、143の何れかを検出回路16に接続する。切替回路22は、2つのスイッチ回路221、222を備える。切替回路22は、2つのスイッチ回路221、222の各々を適当なタイミングで動作させることにより、各コイル141、142、143を択一的に検出回路16に接続する。
【0133】
このような金属異物検出装置においても、第1の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
【0134】
また、上記実施の形態においては、切替回路22が設けられているので、複数のコイル141、142、143によって1つの検出回路16が共有される。その結果、複数のコイル141、142、143の各々に対して検出回路16を1つずつ設けなくてもよい。
【0135】
[第4の実施の形態]
図22を参照しながら、本発明の第4の実施の形態による金属異物検出装置10Dについて説明する。図22は、金属異物検出装置10Dが備えるシールド24の概略構成を示す模式図である。
【0136】
金属異物検出装置10Dは、金属異物検出装置10と比べて、シールド24を備える点で異なる。シールド24は、検出ユニット13を覆う。
【0137】
このような金属異物検出装置10Dにおいても、金属異物検出装置10と同様な効果を得ることができる。
【0138】
また、金属異物検出装置10Dにおいては、シールド24が検出ユニット13を覆っている。そのため、検出回路161、162、163がコイル141、142、143の自己インダクタンスの変化を検出するときに、ノイズの影響を受け難くなる。
【0139】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、上述の実施の形態の記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
【0140】
本発明の配管路は、非金属管路のみで形成されていてもよい。
【0141】
本発明の非金属管路は、配管路の内部に配置されていてもよい。つまり、非金属管路が配管路の少なくとも一部を構成する態様は、非金属管路が配管路の内部に配置される態様を含む。この場合、非金属管路は、例えば、配管路に沿って延びる孔によって実現される。コイルは、例えば、当該孔に差し込まれた状態で配置されてもよいし、当該孔の周囲に埋め込まれた状態で配置されてもよい。
【0142】
本発明のコイルは、非金属管路の内側に配置されていてもよいし、非金属管路に埋め込まれた状態で配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0143】
10 金属異物検出装置
11 配管路
12 非金属管路
13 検出ユニット
141 コイル
142 コイル
143 コイル
161 検出回路
162 検出回路
163 検出回路
182 判定回路
183 情報収集回路
22 切替回路
24 シールド
図1
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