(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら実施形態について説明する。全図を通じて同一又は対応する要素には同一の符号を付して重複する詳細な説明を省略する。
【0013】
(第1実施形態)
図1Aおよび1Bは、第1実施形態に係る粘性材料撹拌装置1(以下、単に「撹拌装置1」という)が適用される製造現場を示している。この製造現場では、2つのワーク91,92の重ね合わせまたは突き合わせによって形成されるワーク91,92の合わせ部93に、粘性材料95が塗布される。
【0014】
<製造現場>
製造現場の一例としては、乗り物(例えば、航空機または自動車)や産業機械(例えば、建設機械、農業機械または工作機械)の製造現場を挙げることができる。
【0015】
<ワーク>
本実施形態では、一例として、ワーク91,92が板状であり、合わせ部93がワーク91,92の重ね合わせによって形成されている。合わせ部93は、第1ワーク91の表面と第2ワーク92の側端面とで構成され、直角を形成し、第2ワーク92の側端面に沿って延在している。航空機の製造現場では、ワーク91,92は、円筒状の機体を構成するセグメントであってもよい。
【0016】
<粘性材料>
粘性材料95は、シール剤あるいは接着剤のような粘性を有した材料である。一例として、粘性材料95は、常温環境下(例えば、20〜25℃)での塗布時において、1500〜2000Pa・sの粘度を有する。ただし、シール剤も接着剤も、製造現場における湿気の影響もしくは加熱により、合わせ部93に塗布された後の時間経過と共に硬化する(粘度が高くなっていく)。
【0017】
<塗布作業>
図1Aは、粘性材料95の塗布作業を示す。
図1Aに示すように、粘性材料95の塗布作業では、粘性材料95を吐出する吐出ヘッド80が用いられる。吐出ヘッド80は、図示しないヘッド移動機構によって、合わせ部93への近接または離隔が可能であり、また、合わせ部93の延在方向に沿った移動が可能である。塗布作業では、吐出ヘッド80を作動させて粘性材料95を合わせ部93に吐出しながら、ヘッド移動機構を作動させて吐出ヘッド80と合わせ部93とのクリアランスを適切に保ちつつ吐出ヘッド80を合わせ部93の延在方向に移動させる。吐出速度および移動速度の調整により、吐出ヘッド80が単位距離だけ移動する間に合わせ部93に塗布される粘性材料95の量(体積または重さ)が、製品に要求される量の範囲内に収まるように調整される。以下、当該量を「塗布量」という。
【0018】
この塗布作業により、粘性材料95が合わせ部93の延在方向に沿って塗布される。本実施形態では、粘性材料95が、第1ワーク91の表面と第2ワーク92の側端面とに跨るようにして設けられ、また、合わせ部93の延在方向に沿ってビード状に設けられる。それにより、粘性材料95は、ワーク91,92間の隙間を埋める。以下、ビード状に塗布された粘性材料の延在方向を「塗布方向」ともいう。
【0019】
図1Bに粘性材料95の断面を示すとおり、外から見ると粘性材料95が上述のとおり2ワーク91,92に跨るように設けられていても、その内側にエア96が入り込んでしまうことがある。その場合、粘性材料95のワーク91,92との接触面積が想定よりも小さくなる。すると、粘性材料95がワーク91,92から剥がれやすくなり、求められる性能(例えば、シール性能あるいは接合性能)を満足に得られる期間が想定よりも短くなる可能性がある。なお、エア96が入り込んでしまう状況の例としては、製品に要求される塗布量が多い場合などを挙げることができる。
【0020】
この製造現場では、粘性材料95の塗布作業後、粘性材料95の内側に入り込んだエア96を抜く作業が付帯的に行われる。従前、エア抜き作業は、木もしくは合成樹脂製の櫛状工具を用いて作業員により人手で行われていたが、撹拌装置1は、エア抜き作業の自動化のため、製造現場に適用されている。
【0021】
<粘性材料撹拌装置>
撹拌装置1は、撹拌部材2を備えている。撹拌部材2は、回転軸A周りに回転し、その先端部が回転軸Aから径方向に離れている。撹拌装置1は、撹拌部材2の先端部を塗布作業で合わせ部93に塗布された粘性材料95に没入させ、その状態のままで撹拌部材2を回転軸A周りに旋回させると共に撹拌部材2を塗布方向に沿って移動させるように構成される。ここでいう「旋回」とは、回転軸Aを中心とした自転のみならず、回転軸Aを中心とした公転あるいは回転軸Aを中心とした偏心回転を含む。これにより、粘性材料95の内側に入り込んだエア96を抜くことができ、それにより粘性材料95がワーク91,92と適正に接触し、粘性材料95の耐用期間が長くなる(補修頻度が低くなる)。以下、この撹拌装置1の構成および作用について、より詳しく説明する。
【0022】
図2は撹拌装置1を示す概念図、
図3は撹拌装置1を示すブロック図である。
図2および
図3に示すように、撹拌装置1は、上述した撹拌部材2の他、回転アクチュエータ3、移動機構4、および制御装置8を備えている。回転アクチュエータ3は、撹拌部材2を回転軸A周りに回転させる。回転アクチュエータ3は、一例として、電気モータによって構成される。移動機構4は、撹拌部材2を移動させる。移動機構4は、一例として、垂直多関節ロボットで構成されており、複数(例えば、6つ)の関節を有するロボットアーム5と、複数の関節それぞれを駆動する複数(関節と同数)の移動アクチュエータ6(
図3を参照)とを備えている。
【0023】
本実施形態では、撹拌部材2と回転アクチュエータ3とが、保持部材7によって保持されてユニット化されており、撹拌部材2、回転アクチュエータ3および保持部材7が撹拌ヘッド10を構成している。保持部材7は、ロボットアーム5の先端に取外し可能に装着されている。移動機構4のロボットアーム5が動作すると、保持部材7およびこれに保持された撹拌部材2が回転アクチュエータ3と共に移動する。
【0024】
一例として、ロボットアーム5の基台は、作業現場の床面に設置される。ワーク91,92は、製造現場の床面に設置された治具90に保持され、ロボットアーム5の可動範囲内に位置づけられる。ただし、ロボットアーム5の基台は、製造現場の床面に設置された走行レールに摺動可能に支持されていてもよく、その場合、移動機構4は、走行レール、および走行レールに沿ってロボットアーム5を走行させる走行アクチュエータも含む。ロボットアーム5の基台は、製造現場の床面に設置された架台に支持されていてもよい。
【0025】
図3に示すように、回転アクチュエータ3および移動機構4の移動アクチュエータ6は、制御装置8によって制御される。制御装置8は、例えば、ROMやRAMなどのメモリとCPUを有するコンピュータであり、ROMに記憶されたプログラムがCPUにより実行される。制御装置8は、単一の機器であってもよいし、複数の機器に分割されていてもよい。
【0026】
本実施形態では、ROMに記憶されたプログラムに、ロボットアーム5の先端の移動軌跡および移動速度を教示するプログラムが含まれ、当該プログラムの実行(すなわち、プレイバック)により、保持部材7およびこれに保持された撹拌部材2を予め教示されたとおりに移動させることができる。ROMに記憶されたプログラムには、回転アクチュエータ3の回転速度の指令値を導出するプログラムが含まれ、当該プログラムの実行により、回転アクチュエータ3ひいては撹拌部材2の回転速度が制御される。
【0027】
制御装置8は、操作盤9と接続されている。操作盤9は、製造現場の作業員によって操作される。操作盤9にてエア抜き作業を開始する指令が作業員によって入力されると、制御装置8のCPUが上述したプログラムを実行し、撹拌部材2の旋回および移動が行われる。
【0028】
<撹拌ヘッド>
図4Aは、第1実施形態に係る保持部材7の断面図である。
図4Aに示すように、保持部材7は、撹拌部材2および回転アクチュエータ3を保持する保持部11と、保持部11に一体化された取付部12とを有する。詳細図示は省略するが、取付部12は、円盤状に形成され、ロボットアーム5の先端に取外し可能に装着される。保持部11は、両端開口された筒状に形成されている。保持部11は、図示される角筒のほか、円筒でもよい。
【0029】
回転アクチュエータ3が上述のとおり電気モータで構成される場合、回転アクチュエータ3は、ロータやステータを内蔵するハウジング31、ハウジング31の一端に設けられたフランジ32、フランジ32からハウジング31と反対側へ突出する出力軸33を有する。出力軸33が保持部11の一端開口を通じて保持部11内に挿入された状態でフランジ32を保持部11の一端側に締結することで、回転アクチュエータ3が保持部材7に保持される。保持部11とフランジ32との間にはスペーサ13が介在していてもよい。
【0030】
撹拌部材2は、被動体21および撹拌体22を有する。本実施形態では、被動体21が被動軸23および円盤体24を有する。被動軸23は、保持部11の他端開口を通じて保持部11に部分的に収容されており、被動軸23の一端部は保持部11内において軸継手14を介して回転アクチュエータ3の出力軸33と結合されている。被動軸23の他端部は、保持部11外に位置づけられている。被動軸23は、保持部11内に設けられた軸受15,16によって回転可能に支持されている。円盤体24は被動軸23の他端部に固定されており、保持部11外に位置づけられている。撹拌体22は、被動体21のうち円盤体24に取り付けられ、円盤体24から被動軸23や回転アクチュエータ3とは反対側に突出している。撹拌体22は、撹拌部材2の先端部を構成している。
【0031】
本実施形態では、出力軸33、被動軸23および円盤体24が同軸状に配されており、これらの中心軸が撹拌部材2の回転軸Aを成している。ただし、出力軸33は被動軸23と同軸状に配されていなくてもよく、例えば、2軸33,23が直交軸歯車あるいは食い違い軸歯車を介して連結されていてもよい。この場合、歯車に減速機能を持たせることができるが、同軸配置の場合であっても、波動歯車装置を介在させて減速機能を持たせてもよい。
【0032】
回転アクチュエータ3が作動して出力軸33が回転すると、撹拌部材2(被動体21および撹拌体22)が回転軸Aの周りに回転駆動される。撹拌体22は、偏心量調整機構25を介して円盤体24に取り付けられており、
図4Bに示すように、撹拌体22の先端部(すなわち、撹拌部材2の先端部)は、回転軸Aから径方向に離れている。撹拌部材2が回転軸A周りに回転する際、撹拌体22の先端部に焦点を当てれば、この先端部は回転軸A周りに公転あるいは偏心回転することになる。以下、撹拌部材2の先端部の回転軸Aからの径方向距離を「偏心量e」という。偏心量調整機構25は、撹拌体22の被動体21(円盤体24)への取付け位置を調整可能とし、それにより偏心量e[mm]を調整可能とする。一例として、偏心量eは、0〜10mmの範囲内で調整可能である。
【0033】
<偏心量調整機構>
図5Aは偏心量調整機構25の分解斜視図、
図5Bは偏心量調整機構25を組立て状態で示す斜視図である。一例として、偏心量調整機構25は、撹拌体22に設けられたスライダ26および雄ねじ27、並びに、円盤体24に設けられた溝28を備えている。偏心量調整機構25は、ワッシャ29およびナット30を更に備える。
【0034】
撹拌体22は、一例として、棒状に形成されて直線状に延在している。撹拌体22の先端部は、先細りになっている。図示例では、半球状に形成されて丸みを帯びているが、錐状に形成されて先鋭になっていてもよい。
【0035】
スライダ26は、撹拌体22の基端部に固定されている。換言すれば、撹拌体22は、スライダ26の中心から突出するように設けられている。スライダ26は、一例として、回転軸A方向に見て正方形のブロック状に形成されている。雄ねじ27は、撹拌体22の基端部であってスライダ26よりも若干先端側に位置づけられ、撹拌体22の外周面に設けられている。
【0036】
溝28は、円盤体24の直径方向(回転軸Aに直交する一方向)に沿って直線状に形成されている。溝28は、円盤体24の内部を直線状に延びて円盤体24の周面に開口する貫通部28aと、円盤体24の端面に形成されて貫通部28aを円盤体24の外に開放する開放部28bとを有する。貫通部28aと開放部28bとは平行である。スライダ26は、円盤体24の周面に形成された開口を通じて貫通部28a内に受容され、貫通部28a内で溝28の延在方向に摺動可能である。開放部28bの高さh28bは、スライダ26の高さh26よりも小さく、撹拌体22の外径φ22よりも大きい。そのため、スライダ26が貫通部28aに受容されると、撹拌体22が開放部28bを通じて円盤体24の外に突出できる一方、スライダ26の脱落は阻止される。
【0037】
スライダ26が貫通部28a内に受容されると、雄ねじ27は円盤体24の外であって円盤体24の端面付近に位置づけられる。ワッシャ29が撹拌体22の先端側から撹拌体22に挿通され、次いで、ナット30が雄ねじ27に締め付けられる。この締付けにより、円盤体24がスライダ26とワッシャ29とで挟み込まれ、撹拌体22が被動体21に固定される。通しボルト式の締付け構造が採用されており、スライダ26は当該締付け構造におけるボルト頭部と同等の機能を果たしている。この締付け前に、スライダ26を摺動させながらスライダ26の貫通部28a内での位置を調整することで、偏心量eが調整される(
図4Bを参照)。エア抜き作業の対象となる粘性材料95の塗布量に応じて偏心量eを変えることができ、粘性材料95の塗布量によらずエアを抜くことができる。二重ナット式の締付け構造が採用されているので、ネジが緩みにくく、締付け後に偏心量eが不所望に変化するのを防止できる。
【0038】
<エア抜き作業>
上記構成の撹拌装置1を用いたエア抜き作業は、操作盤9にて作業員によって指令が入力されると開始する。なお、下記のアクチュエータの動作は、制御装置8の制御によるものである。指令が入力されると、移動アクチュエータ6が作動し、ロボットアーム5の姿勢および撹拌部材2の位置および姿勢が変化し、撹拌部材2の先端部が、塗布作業の結果として合わせ部93に塗布された粘性材料95の撹拌開始位置と対向される(
図1Bまたは
図2を参照)。粘性材料95が両端を有する線分状に塗布されている場合、撹拌開始位置は粘性材料95のいずれかの端である。粘性材料95は閉ループ状に塗布される場合もあり、この場合、撹拌開始位置は粘性材料95の任意の位置、もしくは塗布作業の起点かつ終点位置である。
【0039】
移動アクチュエータ6は作動し続け、撹拌部材2の先端部が塗布された粘性材料95の上記撹拌開始位置に没入する(
図1Bまたは
図6を参照)。撹拌部材2(撹拌体22)の先端部は、粘性材料95の内部に没入した没入部2aを形成する(
図6を参照)。
【0040】
図6を参照して、この没入工程の後、回転アクチュエータ3が作動し、撹拌部材2が回転軸A周りに旋回する。併せて、移動アクチュエータ6が作動し、撹拌部材2の先端部を粘性材料95の内部に没入させたまま、撹拌部材2が粘性材料95の塗布方向に沿って移動する。没入部2aは、回転軸Aに対して偏心回転しながら、撹拌開始位置から塗布方向に移動する。没入部2aの移動軌跡Tは、塗布方向に並ぶ複数の長円を連ねたものとなる。
【0041】
この撹拌部材2の旋回および移動工程は、没入部2aが粘性材料95の撹拌終了位置に達するまで行われる。粘性材料95が線分状に塗布されている場合、撹拌終了位置は粘性材料95のうち撹拌開始位置とは反対側の端である。粘性材料95が閉ループ状に塗布されている場合、撹拌終了位置は撹拌開始位置と同位置である。没入部2aが撹拌終了位置まで移動すると、移動アクチュエータ6が作動し、撹拌部材2を粘性材料95から退避させる。この退避工程では、移動アクチュエータ6による退避移動の前あるいは最中に、回転アクチュエータ3が停止して撹拌部材2の旋回が停止する。
【0042】
撹拌部材2の先端部を粘性材料95に没入させたまま撹拌部材2を旋回および移動させると、没入部2aが粘性材料95を押し退けながら移動軌跡Tに沿って移動し、それにより粘性材料95が没入部2aによって撹拌される。粘性材料95には、没入部2aの通過痕95aが、没入部2aを基準として移動軌跡Tの下流側に形成される。粘性材料95の内側に入り込んでいたエアは、没入部2aの周囲、特に通過痕95aを通じて粘性材料95の外に抜ける。
【0043】
回転アクチュエータ3は、一定の回転数n[rpm]で撹拌部材2を回転させる(撹拌部材2の角速度ω[rad/s]は、2πn/60)。移動アクチュエータ6は、一定の移動速度v[mm/s]で撹拌部材2を移動させる。この場合、没入部2aの移動軌跡Tは、塗布方向をx方向、塗布方向および回転軸A方向に直交する方向をy方向とする二次元直交座標系が想定された場合において、次式(1)で表される。
【0044】
x=ecosωt+vt, y=esinωt ……(1)
ここで、tは、没入部2aの回転および移動の開始からの経過時間[s]、xは、没入部2aの回転および移動の開始からt秒後のx座標、yは、同y座標である。なお、e、ωおよびvは、上述した偏心量[mm]、角速度[rad/s]および移動速度[mm/s]である。
【0045】
一例として、回転数nは50〜100rpmの範囲内に設定される。このように比較的低速に設定されることで、塗布された粘性材料95が掻き乱されず、粘性材料95が合わせ部93に塗布された状態を維持して粘性材料95を撹拌できる。この場合において、移動速度vがあまりに低速であれば、移動軌跡Tが複数の長円を幾重に重ねたようなものとなり、粘性材料95が掻き乱される。移動速度vがあまりに高速であれば、複数の長円が塗布方向に大きな間隔をおいて並べられることとなり、撹拌されない領域ができてしまう。そこで、移動速度vは、移動軌跡Tを構成する複数の長円が互いに外接する、もしくは、少ない被り量でオーバーラップする、もしくは、少ないクリアランスをおいて配列されるように設定される。一例として、移動速度vは0.1〜15m/min(1.7〜250mm/s)の範囲内に設定される。これにより、粘性材料95を掻き乱すことなく、塗布方向の位置に関わらず万遍なくエア96を抜くことができる。
【0046】
このように本実施形態では、今まで人手で行われてきたエア抜き作業を自動化できる。このため、粘性材料の塗布作業に付帯する作業の省力化に資する。
【0047】
(第2実施形態)
図7は第2実施形態に係る撹拌装置101の保持部材107を示す斜視図である。本実施形態では、保持部材107のベース113に、第1実施形態に係る撹拌ヘッド10(撹拌部材2、回転アクチュエータ3および保持部材7の保持部11で構成されるユニット)が搭載されている。このベース113には、撹拌ヘッド10と隣接して、吐出ヘッド180が搭載されている。吐出ヘッド180は、ハウジング181、吐出アクチュエータ182、およびノズル183を有する。詳細図示を省略するが、ハウジング181は、粘性材料を貯留した貯留部、貯留部に貯留されている粘性材料をノズル183に押し出すプランジャなどを内蔵している。ノズル183は貯留部から供給される粘性材料を吐出する。吐出アクチュエータ182は、プランジャの動力源であり、吐出アクチュエータ182が作動すると粘性材料がノズル183から吐出される。吐出アクチュエータ182は、一例として、電気モータによって構成される。
【0048】
保持部材107の取付部112は、ベース113と一体化されており、また、第1実施形態と同様にして移動機構(例えば、垂直多関節ロボットのロボットアームの先端)に取外し可能に装着される。
【0049】
本実施形態に係る撹拌装置101は、エア抜き作業を行うための撹拌ヘッド10と、粘性材料を吐出する吐出ヘッド180とがユニット化されている。そのため、塗布作業とエア抜き作業とを並行実施できる。
【0050】
詳細図示を省略するが、第2実施形態に係る撹拌装置101も、第1実施形態と同様にして制御装置8および操作盤9(
図3を参照)を備えている。操作盤9において作業開始指令が入力されると、制御装置8は粘性材料の塗布作業とエア抜き作業とを実施する。
【0051】
すなわち、制御装置8は、移動機構を駆動して吐出ヘッド180が保持部材107の移動方向前側、撹拌部材2が保持部材107の移動方向後側となる姿勢で、保持部材107を移動させる。この保持部材107の移動過程において、制御装置8は、吐出ヘッド180(吐出アクチュエータ182)を駆動して粘性材料をワークに塗布していくと共に、回転アクチュエータ3を駆動して撹拌部材2を回転軸A周りに回転させる。これにより、ワークの合わせ部に粘性材料を塗布する作業を行いながら、塗布された直後の粘性材料に撹拌部材2の先端部を没入させて第1実施形態と同様にして粘性材料を撹拌できる。塗布作業とエア抜き作業とを並行実施できるので、製造現場での生産効率が向上する。
【0052】
(変形例)
以上、実施形態について説明したが、上記構成は本発明の範囲内で適宜変更、追加および/または削除可能である。
【0053】
撹拌部材2は、その先端部が回転軸Aから径方向に離れていればよく、撹拌体22の形状は棒状に限定されない。一例として、撹拌体22はクランク状であってもよい。撹拌部材2の旋回および移動の工程にて、回転数nおよび移動速度vを変動させてもよい。
【0054】
保持部材7は省略可能である。移動機構4が垂直多関節ロボットであって、最も先端側の関節が捻り軸(いわゆるT軸)である場合、撹拌部材2をロボットアーム5の先端に取外し可能に装着してもよい。その場合、垂直多関節ロボットの関節を駆動する複数のアクチュエータのうち、最も先端側の関節と対応したアクチュエータが、撹拌部材2を回転駆動する回転アクチュエータ3として機能し、残余のアクチュエータが撹拌部材2を移動させる移動アクチュエータ6として機能する。なお、移動機構4は、垂直多関節ロボットに限定されない。