(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6864594
(24)【登録日】2021年4月6日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】感温ペレット型温度ヒューズ
(51)【国際特許分類】
H01H 37/76 20060101AFI20210419BHJP
【FI】
H01H37/76 C
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-187633(P2017-187633)
(22)【出願日】2017年9月28日
(65)【公開番号】特開2019-61923(P2019-61923A)
(43)【公開日】2019年4月18日
【審査請求日】2020年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】300078431
【氏名又は名称】ショット日本株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉川 時弘
【審査官】
太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭57−141347(JP,U)
【文献】
特開2003−281984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 37/76
H01H 37/00−37/56
H01H 37/58−37/74
H01H 85/00−85/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
良導電性かつ良熱伝導性の筒状ケースの内部に、少なくとも、特定温度で溶融または軟化する感温ペレットと、この感温ペレットを押圧する強圧縮ばねと、筒状ケースの開口端を閉止する絶縁管と、この絶縁管に当接した弱圧縮ばねと、絶縁管を貫通した内端を接点部とした第1リードと、この第1リードおよび筒状ケースと電気接続した可動接点とを有し、さらに筒状ケースの片端に配設された第2リードを備え、可動接点は、少なくとも、第1リードの接点部との当接面および筒状ケースとの当接面を除く表面に絶縁被覆を設けた感温ペレット型温度ヒューズ。
【請求項2】
少なくとも前記第1リードの接点部の側面に、さらに絶縁被覆を設けた請求項1に記載の感温ペレット型温度ヒューズ。
【請求項3】
良導電性かつ良熱伝導性の筒状ケースの内部に、少なくとも、特定温度で溶融または軟化する感温ペレットと、この感温ペレットを押圧する強圧縮ばねと、筒状ケースの開口端を閉止する絶縁管と、この絶縁管に当接した弱圧縮ばねと、絶縁管を貫通した内端を接点部とした第1リードと、この第1リードおよび筒状ケースと電気接続した可動接点とを有し、さらに筒状ケースの片端に配設された第2リードを備え、第1リード内端の接点部は、少なくとも可動接点との当接面を除く表面に絶縁被覆を設け、かつ
前記可動接点は、少なくとも、前記第1リードの接点部との当接面および前記筒状ケースとの当接面を除く表面に、さらに絶縁被覆を設けた感温ペレット型温度ヒューズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器の過熱を検知して回路を遮断する感温ペレット型温度ヒューズに関し、ケース内に発生したアークによる部材同士(接点部の周辺など)の溶着もしくは絶縁抵抗低下を防止できるように改良した感温ペレット型温度ヒューズに関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用電気製品あるいは産業用電気・電子機器には、機器の温度を感知して異常過熱時に速やかに回路を遮断する保護部品として温度ヒューズが使用される。温度ヒューズは、例えば家電製品、携帯機器、通信機器、事務機器、車載機器、ACアダプタ、充電器、モータ、電池などの製品に搭載されている。一般に温度ヒューズには、定格電流値が概ね0.5Aから15A程度までの種々の物があるが、特に6A以上の高電流定格用として感温ペレット型温度ヒューズが好適に利用されている。感温ペレット型温度ヒューズの代表的な形態の一つとして、例えば、特許文献1または特許文献2に示すように、内部に中空部を有する筒状の金属ケースと、この金属ケースの両端に配設された第1リードと第2リードを有し、第2リードに接して配設された感温ペレットと、この感温ペレットを介して第1リードに当接し常時開離方向に付勢された可動接点とを備え、搭載された電気機器の温度が所定温度以上となった場合に感温ペレットが溶融または軟化することにより、可動接点が付勢力により第1リードより開離して回路を遮断する感温ペレット型温度ヒューズがある。前述の構成における感温ペレット型温度ヒューズを電気機器に直列に接続しかつ電子、電気機器の異常温度上昇を検知したい箇所に配置することによって、感温ペレット型温度ヒューズを介して電気機器に給配電することができる。感温ペレットは平常温度で固体であり、このとき該付勢力により可動接点を第1リードのケース内端部に押圧接触させている。したがって、第1リード―金属ケース―可動接点―第2リードが導通状態に保持されている。そして、電気機器の短絡等の異常通電によって設置箇所の温度が感温ペレット型温度ヒューズの動作温度にまで上昇すると、感温ペレットが溶融し、可動接点を第1リードの端部に押圧接触させている付勢力が減少して解かれるので、可動接点が第1リードのケース内端部から開離して、第1リードと第2リードとの間が非導通状態となる。これによって電気機器への給配電が停止されて電気機器の温度上昇が阻止され、電気設備の過熱損傷あるいはそれに起因する発火などの事故を未然に防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平01−154422号公報
【特許文献2】実案登録第3161636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、感温ペレット型温度ヒューズは非復帰型の保護素子であり、動作後の再導通を防止し通電遮断性をより完全かつ確実なものとする必要から、感温ペレット型温度ヒューズの動作後において、第1リードと第2リードとの間の耐電圧は高いほど望ましく、また動作後の絶縁抵抗もより高いものが望ましい。
図3(a)および(b)に示す従来例の感温ペレット型温度ヒューズの構成では、専らリード内端に設けた固定接点部と可動接点との空間距離を長くとることで動作時あるいは動作後のアーク放電によるショートの発生を抑制していた。
【0005】
本発明は、動作時あるいは動作後においてケース内に生じたアークから圧縮ばねを含む可動接点周辺の金属部材を確実に絶縁遮蔽することで通電遮断性を向上した感温ペレット型温度ヒューズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の観点によると、良導電性かつ良熱伝導性の筒状ケースの内部に、少なくとも、特定温度で溶融または軟化する感温ペレットと、この感温ペレットを押圧する強圧縮ばねと、筒状ケースの開口端を閉止する絶縁管と、この絶縁管に当接した弱圧縮ばねと、絶縁管を貫通した内端を接点部とした第1リードと、この第1リードおよび筒状ケースと電気接続した可動接点とを有し、さらに筒状ケースの片端に配設された第2リードを備え、可動接点は、少なくとも第1リードの接点部との当接面および筒状ケースとの当接面を除く表面に絶縁被覆を設けた感温ペレット型温度ヒューズが提供される。
【0007】
本発明の第二の観点によると、良導電性かつ良熱伝導性の筒状ケースの内部に、少なくとも、特定温度で溶融または軟化する感温ペレットと、この感温ペレットを押圧する強圧縮ばねと、筒状ケースの開口端を閉止する絶縁管と、この絶縁管に当接した弱圧縮ばねと、絶縁管を貫通した内端を接点部とした第1リードと、この第1リードおよび筒状ケースと電気接続した可動接点とを有し、さらに筒状ケースの片端に配設された第2リードを備え、第1リード内端の接点部は、少なくとも可動接点との当接面を除く表面に絶縁被覆を設けた感温ペレット型温度ヒューズが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第一の観点の感温ペレット型温度ヒューズは、その可動接点に、少なくとも、第1リードの接点部との当接面および筒状ケースとの当接面を除く表面に絶縁被覆を設け、この絶縁被覆により可動接点と弱圧縮ばねとを電気絶縁することで、接点開離時に第1リードの接点部と弱圧縮ばねとの間にアーク放電が発生し難くする事ができ、部品点数を増やすことなく絶縁低下や絶縁破壊を防止する。
【0009】
本発明の第二の観点の感温ペレット型温度ヒューズは、その第1リード内端の接点部に、少なくとも可動接点の当接面を除く表面に絶縁被覆を設け、この絶縁被覆により第1リードの接点部の側面を被覆し周壁を電気的に絶縁することで、接点開離時に第1リードの接点部の側面にアーク放電が発生し難くする事ができ、部品点数を増やすことなく絶縁低下や絶縁破壊を防止する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る感温ペレット型温度ヒューズ10の断面図を示す。
【
図2】本発明に係る感温ペレット型温度ヒューズ20の断面図を示す。
【
図3】従来の感温ペレット型温度ヒューズ(a)および(b)の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第一の観点によると、良導電性かつ良熱伝導性の筒状ケースの内部に、少なくとも、特定温度で溶融または軟化する感温ペレットと、この感温ペレットを押圧する強圧縮ばねと、筒状ケースの開口端を閉止する絶縁管と、この絶縁管に当接した弱圧縮ばねと、絶縁管を貫通した内端を接点部とした第1リードと、この第1リードおよび筒状ケースと電気接続した可動接点とを有し、さらに筒状ケースの片端に配設された第2リードを備え、可動接点は、少なくとも第1リードの接点部との当接面および少なくとも筒状ケースとの当接面を除く表面に絶縁被覆を設けた感温ペレット型温度ヒューズが提供される。一つの好ましい構成においては、少なくとも傘形に反った可動接点の内側面(すなわち第1リードの接点部との当接面が配置される側の面)の少なくとも第1リードの接点部との当接面を除く傘形の内面に絶縁膜を施した感温ペレット型温度ヒューズが提供される。絶縁膜は絶縁樹脂、プラスチック、ゴム、ワニス、セラミック、無機絶縁材と有機絶縁材との複合材などが利用できる。また、可動接点は筒状ケースとの当接面を除く傘形の外面にも絶縁膜をさらに施してもよい。絶縁膜は、同様な働きをする絶縁シートを弱圧縮ばねと可動接点との間に挟み込んだ形態に替えてもよい。なお、上記絶縁被覆は、所望する絶縁被覆機能および温度ヒューズの接点機能を妨げない程度において、上記当接面の一部に絶縁被覆が施されていてもよい。また、上記絶縁被覆の被覆膜形成手段は、可動接点の所定部分を被覆でき電気的に絶縁できれば、何れの方法を用いてもよく特定の手段に限定されない。
【0012】
本発明の第二の観点によると、良導電性かつ良熱伝導性の筒状ケースの内部に、少なくとも、特定温度で溶融または軟化する感温ペレットと、この感温ペレットを押圧する強圧縮ばねと、筒状ケースの開口端を閉止する絶縁管と、この絶縁管に当接した弱圧縮ばねと、絶縁管を貫通した内端を接点部とした第1リードと、この第1リードおよび筒状ケースと電気接続した可動接点とを有し、さらに筒状ケースの片端に配設された第2リードを備え、第1リード内端の接点部は、少なくとも可動接点との当接面を除く表面に絶縁被覆を設けた感温ペレット型温度ヒューズが提供される。一つの好ましい構成においては、第1リード内端の接点部は、少なくとも可動接点との当接面を除く表面に絶縁筒を当接させて固定した感温ペレット型温度ヒューズが提供される。絶縁筒は第1リードの接点部側面に隙間なく挿着され固定されており、材質は絶縁樹脂、プラスチック、ゴム、ワニス、セラミック、無機絶縁材と有機絶縁材との複合材などが利用できる。絶縁筒に替えて、同様な働きをする絶縁コート膜を用いてもよい。なお、上記絶縁被覆は、所望する絶縁被覆機能および温度ヒューズの接点機能を妨げない程度において、上記当接面の一部に絶縁被覆が施されていてもよい。また、上記絶縁被覆の被覆膜形成手段または絶縁筒により絶縁被覆を形成する場合の絶縁筒の固定手段は、第1リードの接点部の側面周壁の所定周辺を被覆でき電気的に絶縁できれば、何れの方法を用いてもよく特定の手段に限定されない。
【実施例】
【0013】
本発明に係る実施例1の感温ペレット型温度ヒューズ10は、
図1に示すように、銀めっき銅合金製筒状ケース11の内部に、特定温度で溶融する感温ペレット12と、2枚の金属板60と、両金属板60の間に介在され感温ペレット12を押圧するように設けた強圧縮ばね13と、筒状ケース11の開口端を閉止するセラミック製絶縁管14と、この絶縁管14に当接した弱圧縮ばね15と、絶縁管14の中心部を貫通し内端部を固定接点とする銀めっき銅材の第1リード16と、弱圧縮ばね15に付勢され第1リード16の固定接点に当接しかつ筒状ケース11の内壁に摺接した銀合金製可動接点17と、筒状ケース11の一端にかしめ固定されている銀めっき銅材の第2リード18とを有し、さらに筒状ケース11の開口端部をエポキシ樹脂封止材70で密閉封止すると共に、封止材70の端部にセラミック製の碍管80とを備え、弱圧縮ばね15は、可動接点17と絶縁管14との間に挟まれて配置されており、可動接点17は、少なくとも第1リード16の固定接点との当接面および筒状ケース11との摺接面を除く表面に高分子箔膜からなる絶縁被覆19を設け、この絶縁被覆19により可動接点17と弱圧縮ばね15とを電気絶縁することで、接点開離時に第1リード16の固定接点側面と弱圧縮ばね15との間にアーク放電が発生し難いようになる。
【0014】
本発明に係る実施例2の感温ペレット型温度ヒューズ20は、
図2に示すように、銀めっき銅合金製筒状ケース21の内部に、特定温度で溶融する感温ペレット22と、2枚の金属板60と、両金属板60の間に介在され感温ペレット22を押圧するように設けた強圧縮ばね23と、筒状ケース21の開口端を閉止するセラミック製絶縁管24と、この絶縁管24に当接した弱圧縮ばね25と、絶縁管24の中心部を貫通し内端部を固定接点とする銀めっき銅材の第1リード26と、弱圧縮ばね25に付勢され第1リード26の固定接点に当接しかつ筒状ケース21の内壁に摺接した銀合金製可動接点27と、筒状ケース21の一端にかしめ固定されている銀めっき銅材の第2リード28とを有し、さらに筒状ケース21の開口端部をエポキシ樹脂封止材70で密閉封止すると共に、封止材70の端部にセラミック製の碍管80とを備え、弱圧縮ばね25は、可動接点27と絶縁管24との間に挟まれて配置されており、第1リード26内端の固定接点は、可動接点27との当接面を除く表面にセラミック・リングを挿着固定してなる絶縁被覆29を設け、この絶縁被覆29により第1リード26の固定接点の側面を電気的に絶縁することで、接点開離時に第1リード26の固定接点の側面にアーク放電が発生し難いようになる。
図2に示す感温ペレット型温度ヒューズ20の絶縁被覆は、第1リードの接点部の周壁部に絶縁性リングを挿着固定して覆った構成を有する。
【0015】
なお、実施例1の感温ペレット型温度ヒューズ10の第1リードの固定接点の側面に、実施例2と同様な絶縁被覆29を適用してもよい。(従って、逆に実施例2の感温ペレット型温度ヒューズ20の可動接点に、実施例1と同様に絶縁被覆19を設けてもよい。)
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明は、可動接点を有し異常温度を感知して接点を開離動作させる接点開離型温度ヒューズに利用でき、特に感温ペレット型温度ヒューズに好適に利用できる。
【符号の説明】
【0017】
10,20・・・感温ペレット型温度ヒューズ、
11,21・・・筒状ケース、 12,22・・・感温ペレット、
13,23・・・強圧縮ばね、 14,24・・・絶縁管、
15,25・・・弱圧縮ばね、 16,26・・・第1リード、
17,27・・・可動接点、 18,28・・・第2リード、
19,29・・・絶縁被覆、
60・・・金属板、 70・・・封止材、 80・・・碍管。