(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ハウジング壁を備えるとともに、近位端、遠位端及び、それらの間に全長を有する外部ハウジングであって、前記ハウジング全長に沿って、近位、中間及び遠位領域を有する内路を定義する前記ハウジング、
前記内路に各々が結合した近位端開口、遠位端開口及び前記ハウジング壁を通って延びる近位領域開口、
前記内路の前記遠位領域内の乾燥粉末コンパートメント、
遠位方向に減少する横断面積を有する内部チャンバを備える、前記内路の前記中間領域内の粉末流動及び解砕装置、及び
前記近位領域開口に配置された、閉位置及び開位置を有する弁を含む
乾燥粉末組成物の吸入のためのデバイスであって、
前記閉位置では、第一の気流抵抗を有する第一の気流経路が前記遠位端開口から前記近位端開口へ延び、且つ、前記開位置では、前記第一の気流抵抗よりも低い第二の気流抵抗を有する第二の気流経路が開いて、前記第一の気流経路が前記弁によって少なくとも部分的に遮断される、前記デバイス。
前記柔軟な部品の、前記近位領域開口周辺部に対して非接着な部分が、前記近位領域開口周辺部から分離するフラップを形成し、前記内路内に閾陰圧値が達成された際に前記フラップが前記内路内へ少なくとも部分的に窪む、請求項3に記載のデバイス。
【背景技術】
【0002】
ニコチン系粉剤の吸入は、不快臭及び間接喫煙などの喫煙の危険な影響を減少させながら、血流へニコチンを送達する有効且つ一般的な方法になっている。例えば、乾燥粉末吸入器は、ユーザーが、肺への送達及び血流内への吸収のためのデバイスから、ニコチン粉末を吸入することを可能とする。そのようなデバイスは、参照によって本文に全文が援用されるブルブルックら(「Bulbrook」)の米国特許第6,234,169号に説明されている。ブルブルックが説明する実施形態、及び、当技術分野において既知である他の乾燥粉末吸入器デザインは、ユーザーが吸入する吸入気流内へ粉末を引き込むための、レザバー内の粉末の吸引を必要とする。
【0003】
しかし、これらのデバイスは、従来のシガレットを吸う慣例を模倣するのに苦労している。シガレットの煙の吸入は、典型的に二段階の運動である。例えば、従来のシガレットを吸う場合、典型的な吸入技巧は、第一に、シガレットから初期抵抗を引き出すことを伴う。この初期抵抗の間、ユーザーの唇は、吸い込みと共にシガレットの周りに密着して陰圧または「真空」を生じ、シガレットの燃える巻きタバコの葉からユーザーの口内へ煙を引き込む。燃える巻きタバコの葉に対する空気のこの移動は、高抵抗移動である。ユーザーは、血流内への吸収のために、ニコチンを含む煙を肺へ送りたいので、ユーザーは、典型的に口からタバコを取り除き、口を開いて深呼吸をすることによって、肺内へ煙を吸入する。シガレットが唇から除かれているので、この吸入は、低抵抗吸気であり、肺内への煙の深い送達を可能にする。既存の乾燥粉末吸入器での、この吸入パターンの模倣は、吸入器が口から除かれる短時間に、口内へ引き込まれた粉末の大部分が定着してしまい、ニコチン系粉末の一部分のみが肺内へより深く吸い込まれるように残るので、無効である。
【0004】
さらに、弁は、流体、ガス及び他の物質の流れを制御するための、一般的に使用されるデバイスである。それらは、実質的に全産業に渡りいくつかの形状または様態で利用されるものである。概して、弁は、弁の特定用途に応じて、経路への完全なアクセスを許容する全開、経路への全アクセスを制限する全閉、または、経路への部分的なアクセスまたは部分的な閉塞を生じる部分的な開/閉の状態を採ることが可能である。いくつかのタイプの弁は、例えばハンドルを回す、レバーを上げる、または弁を締める等、手動式で、すなわちユーザーの操作によって作動する。他のタイプの弁は、閾値圧力、温度または物質の流れに応答して作動するもの等があり、自動的に作動する。
【0005】
しかしながら、従来の圧力作動式弾性弁のデザインには、多くの欠点がある。例えば、多くの圧力作動式弾性弁は、複雑な幾何形状を有する。製造工程において、複雑な弁形状に対する高効率成形工程を大量生産形式で達成することは、一般的に困難であるため、これら弁のスクラップ率は、しばしば期待値よりもより高いという現状がある。もう一つの課題は、従来の弁デザインに、美的価値が欠如していることである。多くの場合における弁は、システムのユーザーに見えないようにシステム内へ統合化されている。弁が見えない場合、または、用途が美感を必要としない場合、弁デザインの美的価値には意味がない。しかしながら、弁がユーザーに見える他の場合はあり得る。その場合、可視弁の美的価値は製品デザインに重要である。さらに、弁が見えず美的価値が重要でない実施例においてさえも、弾性膜は、しばしば、デバイスに過剰な体積を付加する、または経路内の流れを阻害するのいずれか、またはこれら両方を伴う様式で着座される。よりエレガントで効率的な解決策は有益である。さらに、従来の弾性弁、スリット弁等は、しばしば耐久性の問題があり、また、性能の課題もある。例えば、スリット弁上のスリットを囲む側は、同一平面で閉じずに、閉じた際にしわになる傾向があり、適切なシールが達成されない。他のタイプの従来の圧力作動式弾性弁には、それら自身の課題がある。例えば、ダックビル弁は、より耐久性を有する傾向があるが、弁を作動させるためにガスが使用されるデバイスにおいては、信頼性のある開口閾値圧力を有するダックビル弁を設計することは、より困難であろう。
【0006】
必要なものは、従来のシガレットを吸うための抵抗フローパターンを模倣する方式の、乾燥粉末ニコチン製剤を吸入するためのデバイス、システム及び方法である。さらに、当技術分野技術には、製造が容易な単純な形状を有する圧力作動式弾性弁の必要がある。視認面に曝される場合、弁は、その関連デバイスの輪郭に弁自体を統合化させて、弁及びデバイスに対して高い美的価値を維持することが可能でなければならない。弾性膜に対する座面は、ハウジング容積を最小に、また、流動経路に関わるインピーダンスを最小にしなければならない。さらに、デザインは、空気またはガス状媒体に生じる圧力に応答して、確実な作動を提供すべきである。本発明は、これらのニーズを満たす。本明細書に開示する圧力作動式弾性弁に対する追加的性能改良は、明白である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、以下の詳細な説明、そこに含まれた実施例、ならびに図面及びそれらの説明を参照することによって、より容易に理解できる。図面は、必ずしも一定の比率ではないが、選択好適実施形態を表し、本発明の範囲を制限することを意図していない。詳細な説明は、本発明の原理を、制限せずに実施例として示す。当業者は、本明細書に説明されるデバイス及び方法が、単に実施例であり、発明の原理及び範囲から逸脱することなく変形例が可能であることを容易に認識する。また、本明細書で使用する用語が、特定の実施形態を説明する目的でのみ用いられ、制限することを意図しないことを理解する。
【0013】
本明細書の以下の用語の各々は、このセクション内においてそれに関わる次の意味を有する。
【0014】
冠詞「a」及び「an」は、本明細書において、その冠詞に関する文法上の目的語が単数あるいは複数(すなわち、少なくとも一つ)であることに言及するために用いる。例証として、「エレメント」は、一つのエレメントまたは複数のエレメントを意味する。
【0015】
量、時間などの測定可能な値に言及する際に本明細書で用いる「about(約)」は、指定値から±20%または±10%、好ましくは±5%、より好ましくは±1%、さらに好適には±0.1%の変動を含むことを意味し、そのような変動は、開示の方法を実行するのに適切である。
【0016】
本明細書で使用する用語「乾燥粉末」は、推進薬、担体または他の液体中に懸濁または溶解されていない微細粒子組成物に言及するが、必ずしも全水分子の完全な欠如を意味するものではない。
【0017】
特に明記しない限り、粒子の説明サイズまたは粒度範囲は、粒子または粒子セットの多量空力学直径中央値(MMAD)と見なすべきである。そのような値は、特徴づけるべき粒子と同じ空気力学的挙動を有する密度1gm/cm
3の球の直径として定義される空気力学的粒子径の分布に基づく。本明細書において説明する粒子は、種々の密度及び形状であってもよいため、粒子のサイズはMMADとして表現され、粒子の実際の直径ではない。
【0018】
範囲:この開示全体に渡り、本発明の種々の態様は範囲形式で提示できる。範囲形式での説明は、単に便宜及び簡潔さのためであると理解すべきで、本発明の範囲に関しての柔軟性のない制限と解釈すべきではない。したがって、範囲の説明は、その範囲内の、起こりうるすべての部分範囲及び個々の数値を特に開示していると考えるべきである。例えば、1〜6等の範囲の説明は、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6等の部分範囲、ならびにその範囲内の個々の数字、例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3及び6を特に開示している、と考えるべきである。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0019】
さて、詳細に図面を参照する。図中の類似参照数字は、複数図面を通して、種々の実施形態における同類部品または構成要素を示す。本明細書で提示するのは、ユーザーの単一吸入中に少なくとも二つのレベルの流動抵抗または可変流動抵抗を提供可能な乾燥粉末吸入器である。
【0020】
図1を参照する。乾燥粉末吸入器またはデバイス10は、近位端12から遠位端16へ延在するシャフトの形態に、ハウジング20から形成される。好適にはハウジング20は、従来のシガレットに類似の、概して円柱形状を形成してもよい。代替実施形態におけるデバイス・ハウジングは、当技術分野における通常の技術を有する者が認識するような、実質的に長方形、三角形、台形または他の形状等の、他の所望の形状を形成してもよい。デバイス10の近位端は、マウスピース(MP)を形成する円形孔11を有する。ユーザーがその開口11を介して吸うことで、デバイス10の近位端12に陰圧を生成することが可能である。開口11は、楕円形または細いスリット等、所望の形状であってもよいことは理解すべきである。好適には、開口11は、対象者の口内に気持ちよく合うように、MPの近位端と併せて、人間工学的に形成される、すなわち輪郭が決められる。デバイス10の中間領域14は、デバイス・ハウジング20の内側チャンバ26内に配置された粉末流動及び解砕装置(PFD)を含む。PFDは、単一ユニットとしてハウジング20の内面に統合されてもよい。または、PFDは、ハウジング20の内部から脱着可能な個別部品であってもよい。PFDは、また、内部チャンバ24を形成するハウジング壁30を有する。PFDは、さらに、その遠位端に、乾燥粉末カプセル50等の乾燥粉末容器を突き刺すためのピアシング部品として機能してもよい開口34を含む。開口34は、内部チャンバ24内へのチャンネルを含むため、カプセル50内部とPFDの内部チャンバ24との間に通風路が形成される。択一的に、PFDの開口34は、ハウジング20内の乾燥粉末レザバーへアクセスするように配置されてもよい。本明細書で想定するように、PFDハウジング壁30は、内部チャンバ24を区画する多数の形状を形成でき、それらは、
図1に示す截頭円錐チャンバ24を形成するテーパ付きの形状をも含む。機能的に、PFDは、粉末流動、すなわち気流内への粉末の引き込み、及び、気流内に浮遊する流動化粉末を、最初の粒子状態またはそれ近くまで減少させることを提供する。デバイス10の遠位端16は、特定の実施形態において脱着可能な、及び/またはフィルタで覆うことが可能な開口17の状態で終端する。
【0021】
MPの近位路22に陰圧が適用されると、デバイス10の遠位端16にある開口17を介して、外部環境5から空気が、カプセル50または他の粉末レザバーを通過してデバイス10の内部チャンバ26内へ引き込まれる。それから、この空気は、PFDハウジングの壁30内の開口32を介して、PFDの内部チャンバ24内へ更に吸引される。チャンバ開口32を介してチャンバ24へ流入する空気の一部は、近位開口11の方へ直接的に流れ、一次気流を形成する。加えて、内部チャンバ24の遠位端にある低圧領域が、内部チャンバ24のこの遠位端領域の方へ誘導される二次気流を形成する。チャンバ24の遠位方向に減少する横断面積が、突き破られたカプセルに入る二次気流の突風を生じさせる。これがカプセル内の粉末の表面を擦り取り、少量の粉末を引き込み、それから、ユーザーによる吸入のために開口11の方へ近位に移動する一次気流に再び加わる。MPのハウジング壁20内の開口40が通路22内へ開き、近位路22と外部環境5との間の経路を提供する。
【0022】
デバイス10は、粉末レザバー・チャンバ内へ直接的に配置される乾燥粉剤、またはデバイス10内に配置可能なカプセルまたは他の個別パッケージング内に含まれる乾燥粉剤の吸入に使用できる。本明細書で想定するように、ユーザーによる単一の吸入は、少なくとも二つの異なる相を含むことができ、これら第一及び第二の吸入相は、気流に対する異なる抵抗を有する。第一相は、レザバーまたはカプセルから主にMP及びユーザーの口内への乾燥粉末の初期引き込みに関し、第二相は、浮遊粉末の肺内への送達に関する。好適には、第一及び第二の吸入相は、単一の連続的な吸入息内で生じる。
【0023】
一つの実施形態においては、第一の吸入相流動抵抗は、35〜55cmH
2Oの陰圧で作用してもよく、第二の吸入相流動抵抗は、25〜30cmH
2Oの陰圧で作用してもよい。もう一つの実施形態においては、第二の吸入相中に生成される陰圧は、第一の吸入相中に生成される陰圧に比べ、5〜15cmH
2O低下してもよい。本明細書で想定するように、第二の吸入相中の吸入流速は、エアロゾル内に粒子飛翔を維持するに十分な高い値に留まりながら、また吸入流速を、上部気道内での粒子衝突を防ぐと共に肺への有利な送達を提供するのに十分に低く維持する。
【0024】
もう一つの実施形態においては、流動抵抗Rを、以下の通り、流速Q及び圧力降下ΔPの関数として定義できる。
【数1】
したがって、第一の吸入相流動抵抗は、約0.60〜0.75SQRT(cmH
2O)/(l/min)の範囲内で降下する可能性があり、吸入相第二の流動抵抗は、約0.1〜0.2SQRT(cmH
2O)/(l/min)の範囲内で降下する可能性がある。
【0025】
しかしながら、吸入の各相のタイミングまたは時間には全く制限がなく、当業者が理解するように、択一的に不連続であってもよいことは理解すべきである。第二の相内の気流抵抗を低下させることによって、吸入中のユーザーが生成する同じ真空プルまたはドローは、マウスピース及びユーザーの口内の浮遊粉末粒子の速度を上昇させる。このため、浮遊粒子は肺内へ急降下することが可能になる。したがって、これを再現することによって、乾燥粉末吸入器での二部分または二相移動は、ユーザーが、従来のシガレットを吸う際の吸入感覚を経験することを可能とする。
【0026】
したがって、一つの実施形態においては、開口40(すなわちCA)は、吸入の第一相または一部の間、ユーザーの指によって閉じる、すなわち密閉してもよい。そうすれば、ユーザーがMP開口11で真空を引き込む際、外部環境5からの空気は、デバイス10の遠位端にある開口17を介してのみ、デバイス10へ流入可能である。この第一相中の抵抗レベルは、PFD内に一次及び二次気流経路を形成するのに十分に高く、粉末をピックアップするのに十分なエネルギーを有し、それをMP内の通路22へ前進させる。その後、第二の吸入相を開始するために、ユーザーは、指を離すことによって開口40を開放する。これによって、より低い抵抗で通路22内へ空気の流入が行われる。抵抗の低下により、MP及びユーザーの口を通る気流の速度は、瞬間的に上昇するため、第一相中にMP内へ先に引かれていた浮遊粉末粒子は、MP及びユーザーの口内に落下する代わりに、肺内へ深く素早く引き込まれる。
【0027】
もう一つの実施形態においては、開口40は、さらに、外部環境からの空気の流れに対して開口40の開け閉めを行う弁を含んでもよい。例えば、
図2A、2B、3A及び3Bに示すように、開口40には、吸入の初期及び吸入の第一相へ移行時に弁42が実質的に閉じるように、一方向の双安定弁42が取り付けられる、または結合される。その閉状態において、
図2A及び3Aに示すように、弁42の外面は、デバイス・ハウジング壁20の円柱形状に倣うため、デバイス全体としての形状及び感触は、従来のシガレットの形状を近似する。デバイス10内に空気の流れを生じる真空が、閾陰圧値に到達すると、
図2B及び3Bに示すように、弁42が開状態へ瞬間的に開いて、
図3Cに示す第二の吸入相中に空気が低抵抗で、その結果、高速度でMPを通過することを可能にする。例えば、一つの実施形態における閾陰圧値は、35〜55cmH
2Oであってもよい。吸入努力が、閾値よりも実質的に低い値へ落ちた場合、弁42は再び閉状態へ戻る。
図3Bに示すように、弁42が開いていると、弁の底部すなわち弁フラップが近位路22内へ窪み、PFDチャンバ24と通路22との間の気流を少なくとも部分的に遮断する。特定の実施形態においては、デバイス・ハウジングの形状を近似するメッシュが、柔軟なエレメントを損傷から保護するために、弁42を覆って取り付けられる。
【0028】
図4A及び4Bを参照する。弁42は、シリコン・ゴム等のエラストマー材料から形成できる。弁を開くのに必要な力及び時間は、弁材料のデュロメータ、厚さ及び/または他の非線形局面によって制御される。弁は、当技術分野において既知である任意のプロセス、例えば注入成形または圧縮成形を用いて製造できる。閾値及び/または圧力差の発生時に適切なスナップスルー動作を誘起するように弁の柔軟性を向上させるために、弁内に、厚さを減少させた領域44を成形できる。弁の円弧、組成、デュロメータ及び形状は、低減気流抵抗のタイミング及び量を達成する所望の弁機能、閾値及び窪み特性を生じるように修正できる。例えば、
図5Aのグラフは、10mm(軸方向長)ハーフ・スリーブ弁及び19mm(軸方向長)ハーフ・スリーブ弁に対して、3秒のコースに渡ってシミュレーションしたユーザー吸入プロファイルを示す。0.3秒までに、ユーザー誘発真空は、開口閾値圧力の下側終端で3500paすなわち約35cmH
2Oへ上昇する。0.5秒までに、ユーザー誘発真空は、
図5Bに示すように、10mmハーフ・スリーブ弁及び19mmハーフ・スリーブ弁の両方を最大反屈へ開くほぼ4,000paへジャンプする。開口遅延は、10mm及び19mmハーフ・スリーブ弁間で、ほとんど同一である。約0.5秒から1秒まで、反屈及びユーザー誘発真空は最大値に留まる。約1秒後、ユーザー吸入真空が減り始めると、弁は閉じ始める。最大開口反屈における差は、流動抵抗に関しては無意味である。弁構造における幾何学的な相違に基づき、10mm及び19mmハーフ・スリーブ弁間の閉止ヒステレシスにおける僅かな差が予想される。
【0029】
図6A〜6C、7A及び7Bに、代替的な弁実施形態を示す。圧力作動式弁142は、実質的にディスク形状で、少なくとも一つのスリット144、または図示のように、弁142の中心で交差する複数のスリットを有する。デバイス・ハウジング壁120内の開口140は、圧力作動式弁142によって密閉される。弁142は、ムーニー・リブリン超弾性ゴムまたは等価の約35ショアA材料から構築できる。もう一つの実施形態における材料は、5〜80、好適には10〜40のショアAデュロメータ値を有するシリコン・ゴムまたは類似の超弾性材料であってもよい。使用中、弁142は、吸入の初めに実質的に閉じており、第一の吸入相中、例えば1秒未満の間、閉に保持される。この閉位置において、弁の外面は、必要に応じて、乾燥粉末吸入器全体としての形状及び感触が従来のシガレットの形状を近似するように、デバイス・ハウジング壁120の表面に近い外形を有してもよい。カプセルまたはレザバー150は、PFDチャンバ124に流体的に連通してPFD内壁130の一部分に隣接するデバイスの遠位路126内に配置される。弁142は、MP内路122内に閾値陰圧が達成されると、
図6C及び7Bに示すように、システム内により低い抵抗をもたらすための開位置へ瞬時に移行する。それから、通路122が大気圧へ戻るときに閾圧力値の通過後、弁142は閉状態へ戻る。さらに、
図7Bに示すように、弁142が開いた際、弁の底縁またはフラップは通路122内へ窪むため、チャンバ124と通路122との間の気流が、少なくとも部分的に遮断される。この弁実施形態は、気流抵抗のより速い減少を促すために、開状態で、より大きな気流断面を提供してもよい。この効果は、先の実施形態に類似して、単一吸入でのシガレットの吸い込みに二相移行感覚を提供する乾燥粉末吸入器の双安定性を生じる。
【0030】
本明細書に示す弁は、吸入気流によって生成される陰圧によって作動する機械弁であるが、本発明は、そのようなデザインに限定されない。例えば、代替的なデザインは、他の機械式閾値弁、電子弁または、当業者が理解する他の弁を含んでもよい。さらに、弁の位置、形状及びサイズ、ならびに弁が配置される開口は、代替の構成において外部環境からマウスピース内へ空気を導入可能なように変化させてもよい。例えば、吸入器デバイス・デザインは、
図8A及び8Bのグラフに示す流動抵抗及び体積流量モデルを近似してもよい。ユーザーは、シガレットの抵抗に類似の、約1秒間20〜40cmH
2Oで吸う。粉末粒子は、流動化及び粉砕され、デバイス・マウスピース、ならびにユーザーの口及び上部気道(URT)に入る。約1秒後、または、いくつかの実施形態においては、約0.1〜0.5秒後、開弁を介して第二相流路が開き、非常に低い流動抵抗で追跡空気が送り込まれる。より高い流速が、浮遊粒子速度を上昇させるため、気持ちよく上部気道を通り肺へエアロゾルを送達する。
【0031】
特定の理論に制限されることなく、デバイス及びシステムの重要な態様は、閾陰圧値の発生及び弁42の開口間の遅延である。この遅延の間、所定またはおよその量の粉末が、PFDを介して流動化及び粉砕される。この遅延の時間値は、0〜0.5秒、好適には0.1〜0.25秒に渡ってもよい。いくつかの実施形態における遅延は、ユーザーによって生成されるピーク陰圧に反比例させてもよいが、この関係は、またユーザーによって生成されるピーク陰圧に正比例するPFDからの粉末の取り込みとバランスをとってもよい。
【0032】
弁42が開いた瞬間、内路の近位領域内の陰圧が、より低い値へ降下することが予想される。陰圧のこの低下は、PFDを介してのエアロゾル生成を抑制するようにも機能する。したがって、システム及びデバイスのもう一つの重要な態様は、内路の近位領域内の陰圧が、閾陰圧値よりも低い値に降下しても弁42が開に留まるような、有意な材料ヒステレシスを必要とすることである。
【0033】
もう一つの態様においては、ユーザーの肺内への乾燥粉末組成物の送達方法が説明される。本明細書で想定するように、この方法は、以下のステップを含む。乾燥粉末組成物を吸入器へ挿入するステップ。乾燥粉末組成物の少なくとも一部分が吸入器内で浮遊するように、第一の気流抵抗で吸入器内に第一の気流パターンを形成するために、ユーザーによる吸入を介して吸入器内に陰圧を生成するステップ。及び、陰圧によって浮遊乾燥粉末が吸入中のユーザーの肺内へ引き込まれるように、吸入器内に第一の気流抵抗よりも低い第二の気流抵抗を有する第二の気流パターンを生成するステップ。この方法は、本明細書で説明及び想定される、乾燥粉末吸入器の実施形態を利用して実行してもよい。例えば、一つの実施形態においては、第二の気流パターンを生成するステップは、デバイス外部ハウジング内の近位領域開口に関わる弁の開閉を介して、吸入器で自動化される。したがって、第二の気流パターンの生成は、吸入器の内部通路内に閾陰圧値が達成された場合に生じてもよい。もう一つの実施形態においては、第一の気流パターンは、吸入器の内路内へ窪む弁の一つ以上のフラップを介しての、第二の気流パターンの発生によって少なくとも部分的に遮断される。
【0034】
さて、弁デザインの実施形態を参照する。本明細書に開示の弁は、概して、ガス、気体状態にある物質、または気体に類似する状態の物質の移動を制御するタイプのものである。これらの物質は、空気、粉末または液体、窒素、ヘリウム、二酸化炭素、水蒸気、天然ガス、水素、酸素、プロパン等のエアロゾル化物質、及び、他の種々の天然及び人工の化学ガスを限定せずに含む。
【0035】
さて、
図9A及び9Bに示す本発明の実施形態201を参照する。弁201は、第一の開口212と第二の開口216との間に延在する管状管腔214を定義する円筒すなわち概して管状の側壁210等の、導管の壁内に配置させてもよい。代替実施形態では、側壁210は、三角形、四角形、五角形、台形、任意の多角形の近似など、多数の幾何学的構造を有してもよい。いくつかの代替的な実施形態においては、管腔214は、例えば、概して円形の、一つの形状であってもよいが、側壁の外面は、正方形または他の多角形もしくは台形類似形状などの、もう一つの形状である。特定の実施形態においては、側壁210及び管腔214は長く、全長に沿って、それらの幾何学的な外形及びサイズが変化する。例示的実施形態に示すように、第一の開口212及び第二の開口216は、周囲環境205内の空気に通じる円形開口である。好適な実施形態における第一212及び第二216の開口は、概して管腔214と同じ形状及びサイズであるが、必要に応じて、異なる形状及びサイズであってもよい。
【0036】
特に
図9Bに示すように、側壁開口218は、第一の開口212と第二の開口216との間の側壁210内に形成され、管腔214と周囲環境205との間の流体連通を提供する。用途に応じて、弁は、より大きなシステム内へ統合可能である。その場合、第一の開口212及び第二の216の開口のいずれか、または側壁開口218が、二次管、容器または外部環境205等の、特定のシステム経路へ導く。この種の構成の実施例は、後の実施形態に示す。
図9Bの側壁開口218は、デバイス201の頂部から見て、形状が実質的に長方形状であり、上面視において概して長方形状の外形を有する柔軟なエラストマー部材220によって覆われている。エラストマー部材220は、側壁開口218内に収納されるため、エラストマー部材220の外面221は、側壁210の外面211に実質的に合致する。これは、必要に応じて、側壁外面211と弁外面221との間の移行に、見た目の良い連続性を提供する。例示的実施形態のケースでは、エラストマー部材220は、ハウジング内に、その配置がカーブするように収納されるので、エラストマー部材220の表面221の曲率は、側壁220の表面211の円柱状曲率すなわち外形と実質的に同じである。エラストマー部材220は、オーバーモールディングまたは他の注入成形技術、部材の縁で側壁210の対向シャフト・セクションを合わせる圧縮嵌合、または側壁開口218の縁の周りへの接着剤の使用など、当技術分野において既知である方法を使用して、側壁開口218を覆うように取り付けることができる。代替実施形態では、側壁開口218外形及びエラストマー部材220は、非長方形状であって、三角形、四角形、五角形、台形もしくは他の多角形を採る、または輪郭の定まった湾曲した形状であってもよい。側壁210の外面211の形状及び輪郭に応じて、エラストマー部材220は、ハウジング内に配置されるように、撓曲、成形及び処置されて、その表面221が側壁表面211の外形に適合されてもよい。例えば、エラストマー部材が平坦な表面に沿って側壁内に収納される場合、湾曲構成ではなく、平坦構成で配置されるように収納できる。特定の実施形態においては、エラストマー部材220は、超弾性材料または等価約35ショアA材料から構築できる。もう一つの実施形態においては、エラストマー部材220は、5〜80、好適には10〜40のショアAデュロメータ値を有するシリコン・ゴムまたは類似の超弾性材料から構築できる。エラストマー部材220は、注入成形または圧縮成形などの、当技術分野において既知である任意のプロセスを利用して製造できる。
【0037】
特に、
図9Bの例示的実施形態に示すように、エラストマー部材220は、それの四つの縁の三つに沿って長方形状の側壁開口18に取り付けられる。エラストマー部材220は柔軟であり、エラストマー部材220を横切って閾圧力差が適用されると、分離縁222は、部材230の部分が、管腔214内へ少なくとも部分的に屈曲することを可能にする。本明細書で想定するように、エラストマー部材の少なくとも一つの縁は、導管壁から分離可能である。特定の実施形態においては、部材が収納される導管の形状、ならびに導管の管腔の形状及び深さに応じて、二つ以上の縁が分離可能である。エラストマー部材230を屈曲させるのに必要な閾圧力差は、ハウジング内の部材の円弧、材料組成、部材または部材の一部のデュロメータ及び形状、ならびに本明細書に開示された追加の要因を含む多数の要因に基づき、予め設定できる。
【0038】
屈曲移動に影響を与えるエラストマー部材のもう一つの特徴は、
図10A〜10Cに示すような、可変厚さである。屈曲を開始させる所定の閾圧力差を設定するために、部材220の選択部分に可変厚さを利用できる。したがって、エラストマー部材220の双安定「スナップスルー」移動を開始させるために、部材の少なくとも一部分内に可変厚さを利用してもよい。それにより、部材220は、中間形状を維持することなく、閉状態から開状態へ有効にスナップスルーする。特に
図10Bに示すように、エラストマー部材220は、部材220の中央領域224に関して相反する側に、各々第一の周辺領域226及び第二の周辺領域228を有する。第一及び第二の周辺領域226、228における部材220の厚さ230は、中央領域224における部材220の厚さ223よりも少ない。この減少厚は、関連導管の管腔内に閾圧力差が生じた際にスナップスルー(双安定)動作を誘起して確実に制御するように、周縁域226、228における部材220の柔軟性を向上させる。一度開くと、弁は、閾値を横切って圧力が以前の状態に戻るまで、その開双安定状態に留まる。しかしながら、エラストマー部材屈曲のもう一つの重要な態様は、管腔内の圧力が閾値を横切って戻っても弁部材が一時的に開に留まるような、有意なヒステレシスを要求することである。そのようなヒステレシスは、
図5Aのグラフに類似に実証される。特定の実施形態においては、閾値陰圧で一旦開いたら、少なくとも1秒間、弁がその双安定開状態に留まることが有利であり、その後、内路の近位領域内の陰圧は、8cmH
2Oの低さの値に到達する。
【0039】
図10A〜10Cを再度参照する。第一226及び第二228の周辺領域における部材220の減少厚230は、分離縁222から離れるように部材220の両側に沿って少なくとも部分的に、または完全に延在し、部材220内に、相互に実質的に平行なチャンネルを形成してもよい。好適な実施形態においては、例示的実施形態に示すように、チャンネル及び減少厚は、エラストマー部材の底面に形成されるため、上述の美的価値性に支障を来さない。部材及び側壁開口の所望の屈曲特性及び形状に応じて、チャンネルは、厚さがテーパ状に薄くなるように、また、分離縁222から離れるに従って相互に対して分離または収束するように設計されてもよい。
図10Cに示すように、本明細書に説明の部材220における可変厚さ及びチャンネルは、スナップスルー移動の発生を誘起する弁の双安定性を促進する。その結果、弁は有効に、中間形状を支持不能に、「開」及び「閉」の二つのバイナリ状態を有する。これは、多数の用途に有益である。その理由は、圧力に応答して自動的に作動する弁における双安定弁移動は、その弁を利用するシステム及びデバイスの確実性及び予測性を向上させるためである。
【0040】
さて、
図11A〜11Cを参照する。これらは、例示的実施形態による弁の種々の作動状態を示す。
図11Aでは、第一の開口212に陰圧が適用される。エラストマー部材220は、閾値圧力が到達されるまで開かないため、閉状態に留まり、側壁開口220を閉に維持して、外部環境205と管腔214との間のガス(このケースでは空気)の流れを遮断する。したがって、第一の開口212の陰圧は、例えば、ガス供給容器または、エアロゾル化気体流を供給するための粉末チャンバ等の、第二の開口から空気を全面的に引き込む。
図11Bは、エラストマー部材220が、導管の管腔内へ部分的に屈曲している状態を示す。この実施形態における部材220は、開状態へと下方へ屈曲することで、管腔214を部分的に遮断するように設計されているため、陰圧によって、第二の開口216及び外部環境205の協調から空気を引き込むことが可能である。弁の所望の性能及び所望の協調に応じて、部材220は、管腔214の小さな部分、管腔214の実質的に半分、または管腔214のほぼ全部を遮断するように設計されてもよい。一方、
図11Cは、エラストマー部材220が全開状態にある様子を示す。この場合、部材220は、側壁210の内壁210’に接触する、または接触に非常に近づく位置へスナップスルーし、管腔214を完全に横切って延在する。全開状態において、エラストマー部材220によって管腔214が有効に閉じられているため、第二の開口216と第一の開口212と間のすべての流れが実質的に制限される。結果的に、陰圧は、排他的に外部環境から空気を引き入れる。両実施例に対しては、上述のように、エラストマー部材220が開くときに管腔214内の圧力が復帰しても、ヒステレシスは、部材220の閉止を遅らせ、短時間(例えば、1秒未満または1〜2秒)、開状態の継続を可能にする。
【0041】
圧力作動式弾性弁の利点は、明らかである。そのような単純な形状を有するため、エラストマー部材の製造は容易である。視認面に曝される場合、エラストマー部材は、関連デバイスの輪郭への統合化が可能であるため、弁及びデバイスに高い美的価値を維持する。エラストマー部材の取り付けは、エラストマー部材形状が関連管腔の壁を近似し、流れ経路へのインピーダンスを最小にするため、ハウジング容積を実質的に増加させない。さらに、デザインは、ガスまたは気体状媒体によって生成される圧力に応答する永続的な性能及び確実な作動に有利である。加えて、開閉状態間での屈曲の双安定移動及びヒステレシスは、多くの産業及び多くの用途に有意な利点であり、さらに、弁性能において高度な予測性を保証する。
【0042】
上述のように、用途に応じて、弁は、先の実施形態からの第一212及び第二216の開口のいずれか、または側壁開口218が、二次管、容器または外部環境205等の特定のシステム経路へ導くような、より大きなシステム内へ統合化が可能である。さて、
図12A及び12Bを参照する。弁301の例示的実施形態は、第一の管腔314の第一の開口312の反対側にサプライ・チャンバ316、及び、側壁開口318を介して第一の管腔314へ結合された第二の管腔315を利用する。エラストマー部材320は、本質的に、第一の開口312、第二の管腔315及びサプライ・チャンバ316間のガスの流れを調整する。本技術における通常の技術を有する者にとっては明白であるが、サプライ・チャンバ316は、第一の管腔314の代わりに、第二の管腔315と連通状態にあるように配置されてもよい。例示的実施形態においては、圧力差が、エラストマー部材320を開くための閾値を横切るまで、閉に留まり、第二の管腔315と第一の管腔314(及び第一の開口312)との間の気体の流れを有効に阻止する。したがって、弁が閉じている間、ガスの流れは、全面的にサプライ・チャンバ316から来る。しかし、圧力差が閾値を横切ると、部材320は開状態へスナップスルーし、少なくとも一つの分離縁322が、側壁310の内面310’へ、下方へ屈曲する。開状態は、第二の管腔315、第一の管腔314及び第一の開口312間の流れに対して開でありながら、サプライ・チャンバ316と第一の開口312との間のガスの流れを少なくとも部分的に遮断してもよい。その後、閾値を横切る圧力の復帰が、部材をスナップスルーさせて閉状態へ戻すことを可能にする。代替的な実施形態は、先の実施形態において説明したように、開状態を、第二の管腔及びサプライ・チャンバの両方からの流れの混合を許容にするよう部分的に遮断する構成に形成してもよい。さらに他の実施形態においては、第二の管腔315内の、空気または他の気体の導入などによる圧力のビルドアップが、弁320を作動させるように機能し、空気及び気体の管腔314内へのその後の解放を可能にしてもよい。管腔315内の圧力が十分に減少した後、弁320は元の状態へ瞬時に戻る。そのように、弁320は、ガス抜きすなわちパージ弁として機能してもよい。
【0043】
本明細書に開示される弁メカニズムは、多くの産業に潜在的な利点及び利益を提供する。単一の実施例を介して、弁メカニズムは、乾燥粉末吸入器デバイス内の乾燥粉剤の吸入を促進するように使用できる。ニコチン系粉剤の吸入は、不快臭及び間接喫煙などの喫煙の危険な影響を減少させながら、血流へニコチンを送達する人気のある有効な方法になっている。例えば、乾燥粉末吸入器は、肺への送達及び血流内への吸収のために、ユーザーが、デバイスからニコチン粉末を吸入することを可能とする。
【0044】
図13A及び13Bの、乾燥粉末吸入器401の例示的実施形態に示すように、乾燥粉末は、管腔414の一端に位置する乾燥粉末チャンバ416内に装填される。択一的に、第一の管腔414内に配置可能なカプセルまたは他の個別パッケージング内に収容されてもよい。本明細書で想定するように、ユーザーによる第一の開口412での単一の吸入が、少なくとも二つの異なる相を含むことが可能であり、第一及び第二の吸入相が、気流に対して異なる抵抗を及ぼす。第一相は、乾燥粉末チャンバ416またはカプセルからの、主にユーザーの口内への乾燥粉末の初期引き込みに関し、第二相は、肺内への浮遊粉末の送達に関する。好適には、第一及び第二の吸入相は、単一の、連続する吸入息内において発生する。第一相においては、管腔内の圧力が閾値差に接近するとき、エラストマー部材420は閉状態にあり、適用された真空が、乾燥粉末チャンバ416内の粉末を掻き上げ、それをチャンバ416から管腔414内へ引き出す。第二相は、閾値圧力が通過された際に開始し、エラストマー部材420が開くと、側壁開口418を介して追跡空気を供給し、外部環境415から管腔414内への突風の導入を提供する。この追跡空気は、エアロゾル化粉末を、ユーザーの口及び上部気道を通ってユーザーの肺へ運搬する。吸入の終端の方で圧力が復帰すると、部材は、スナップスルーして閉状態へ戻る。代替実施形態における部材は、先の実施形態で説明の部分遮断構成へ開くように構成されるため、外部環境及び乾燥粉末チャンバの両方からの流れの混合を可能にする。有利に、ユーザーによる単一吸入が、すべて単一の滑らかで連続な吸入息によって、浮遊粉末を肺内へ送達するための二相吸入移動を含むことができる。
【0045】
本明細書に引用される、すべての特許、特許出願及び公報の開示は、参照によってそれら全文が本明細書に援用される。特定の実施形態を参照して本発明を開示したが、発明の原理及び範囲を逸脱せずに、本発明の他の実施形態及び変形例が、他の当業者によって考案され得ることは明らかである。添付の請求項は、すべてのそのような実施形態及び同等の変形例を含むと解釈されることを意図する。