(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6864679
(24)【登録日】2021年4月6日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】タイミングおよび料金データに基づく家庭エネルギー制御のための電子コントローラ
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20210419BHJP
【FI】
H04Q9/00 301D
【請求項の数】10
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-521202(P2018-521202)
(86)(22)【出願日】2016年7月1日
(65)【公表番号】特表2018-523440(P2018-523440A)
(43)【公表日】2018年8月16日
(86)【国際出願番号】ZA2016050021
(87)【国際公開番号】WO2017008090
(87)【国際公開日】20170112
【審査請求日】2019年7月1日
(31)【優先権主張番号】2015/04789
(32)【優先日】2015年7月3日
(33)【優先権主張国】ZA
(73)【特許権者】
【識別番号】518002826
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ サウス アフリカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スナイマン、ルーカス、ウィレム
(72)【発明者】
【氏名】ケネ、アール.
【審査官】
山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−111311(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0053737(US,A1)
【文献】
特開2013−042652(JP,A)
【文献】
特表2014−509177(JP,A)
【文献】
特開2009−006816(JP,A)
【文献】
特開2008−026455(JP,A)
【文献】
Yusuf Ozturk et.al.,"An Intelligent Home Energy Management System to Improve Demand Response",IEEE TRANSACTION ON SMART GRID, VOL.4, NO.2,June 2013,[online],2013年 6月,第694−701頁,[令和2年3月31日検索],URL,インターネット<URL:https://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?tp=&arnumber=6502291>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J3/00−5/00
13/00
H03J9/00−9/06
H04Q9/00−9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スマートマイクロプロセッサおよびセンサベースのコントローラシステムであって、家庭の需要、時間データ、および/または料金データに関する外部センサから送られる外部情報に基づいて、宅内家庭における個々の負荷ラインのオンまたはオフを個々にスイッチすることを通じて、前記家庭へのエネルギー供給の選択的管理を可能にし、
受信された前記情報に基づいて、前記コントローラシステムは、低い電気グリッド需要時間に、スイミングプール等の高い家庭負荷に電気エネルギーを選択的に供給することによって電気グリッド供給元のピーク負荷が低減されるように、前記家庭へのエネルギーの前記供給を管理し、前記電気グリッド供給元は外部制御ポイントから家庭近傍のまたは家庭内の重負荷をオンまたはオフにスイッチできるように構成され、そして、前記コントローラシステムは太陽光給電されそして外部センサによって感知される太陽光強度によって同期化され、日中に入射する平均光強度を使用して前記家庭内の個々の負荷に対するエネルギースイッチングまたは負荷遮断を同期化して制御するようにした、スマートマイクロプロセッサおよびセンサベースのコントローラシステム。
【請求項2】
前記家庭料金が、負荷需要の関数であり、前記コントローラシステムが、家庭電気請求額が低減されるように、家庭電化製品に対する電気エネルギーの管理全体を管理する、請求項1に記載のスマートマイクロプロセッサおよびセンサベースのコントローラシステム。
【請求項3】
前記コントローラシステムが、全体として、より大きい町区および都市において、1時間あたりの家庭内の選択的負荷管理を可能にし、かつ前記電気グリッド供給元によって経験される総負荷の低減を、大規模で可能にする、請求項1〜2のいずれか1項に記載のスマートマイクロプロセッサおよびセンサベースのコントローラシステム。
【請求項4】
前記コントローラシステムによって遠隔開始されたスイッチングがオーバライドされ、第3者コントローラからGSM(登録商標)を通じて制御される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のスマートマイクロプロセッサおよびセンサベースのコントローラシステム。
【請求項5】
このオーバライドが、前記家庭の所有者または前記電気グリッド供給元によるものである、請求項4に記載のスマートマイクロプロセッサおよびセンサベースのコントローラシステム。
【請求項6】
家庭用電気スイッチングおよび分配ボックスとインターフェースする、スマート家庭用マイクロ電子エネルギーコントローラシステムを含み、該コントローラシステムが、前記家庭内の負荷へのエネルギー供給を選択的におよび/または個々に管理する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のスマートマイクロプロセッサおよびセンサベースのコントローラシステム。
【請求項7】
前記スマート家庭用マイクロ電子エネルギーコントローラシステムが、日中に、一般的な異なるクロック時間に従って、前記家庭内の負荷へのエネルギー供給を個々に管理する、請求項6に記載のスマートマイクロプロセッサおよびセンサベースのコントローラシステム。
【請求項8】
前記スマート家庭用マイクロ電子エネルギーコントローラシステムが、日中のクロック時間あたりのエネルギー料金あたりの異なる一般価格に従って、前記家庭内の負荷へのエネルギー供給を個々に管理する、請求項7に記載のスマートマイクロプロセッサおよびセンサベースのコントローラシステム。
【請求項9】
前記スマート家庭用マイクロ電子エネルギーコントローラシステムが、ピーク電気グリッド負荷時間中の家庭エネルギー使用を低減するように、遠隔場所から無線周波数通信を通じて遠隔的に外部制御される、請求項1〜8のいずれか1項に記載のスマートマイクロプロセッサおよびセンサベースのコントローラシステム。
【請求項10】
該スマート家庭用マイクロ電子エネルギーコントローラシステムが、前記電気グリッド上の前記総負荷を低減するように、別個のラインから直接的に利用可能な際、または事前にエネルギー貯蔵システムに貯蔵されている際、グリーンエネルギーを前記家庭に選択的に送給する、請求項1〜9のいずれか1項に記載のスマートマイクロプロセッサおよびセンサベースのコントローラシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイミングおよび料金データに基づくエネルギー制御のための電子コントローラに関する。
【発明の概要】
【0002】
本発明の第1の態様によると、スマートマイクロプロセッサおよびセンサベースのコントローラシステムが提供され、これは、家庭の需要、時間データ、および/または料金データに関する外部センサから送られる外部情報に基づいて、宅内家庭における個々の負荷ラインのオンまたはオフを個々にスイッチすることを通じて、家庭へのエネルギー供給の選択的管理を可能にし、受信された情報に基づいて、コントローラシステムは、電気グリッド供給元のピーク負荷が、低い電気グリッド需要時間に、スイミングプール等の高い家庭負荷に電気エネルギーを選択的に供給することによって低減されるように、家庭へのエネルギーの供給を管理する。
【0003】
ここでは、家庭料金は、負荷需要の関数であり、コントローラシステムは、家庭電気請求額が低減されるように、家庭電化製品に対する電気エネルギーの管理全体を管理し得る。
【0004】
任意選択的に、電気グリッド供給元はまた、外部制御ポイントから、家庭近傍の、または家庭内の重負荷を、オンまたはオフにスイッチし得る。
【0005】
コントローラシステムは、全体として、より大きい町区および都市において、1時間あたりの家庭内の選択的負荷管理を可能にし得、かつ電気グリッド供給元によって経験される総負荷の低減を、大規模で可能にし得る。
【0006】
コントローラシステムは、スイッチングプロセスを制御するために使用される、スマートスイッチングデバイスと、マイクロプロセッサ論理と、ソフトウェアアルゴリズムと、タイミングデバイスと、を含み得る。
【0007】
コントローラシステムによって遠隔開始されたスイッチングは、内部意思決定プロセスによってオーバライド(無効)とすることができ、第3者コントローラからGSM(登録商標)を通じて制御され得る。このオーバライド(無効)は、家庭の所有者または電気グリッド供給元によってでも良い。
【0008】
例として、南アフリカは、現在、予想外の電力障害を経験している。これは、家庭居住管理に影響しているばかりでなく、産業および鉱業部門等の国内生産性にも影響する。マイクロプロセッサが事前プログラムした意思および電気送給情報に基づく選択的管理システムは、これらの問題を大幅に軽減し得る。
【0009】
このため、本発明は、南アフリカの住宅にあり、そして現地ではDBボードと称され、家庭内の負荷へのエネルギー供給を選択的におよび/または個々に管理するような、家庭用電気スイッチングおよび分配ボックスとインターフェースするスマート家庭用マイクロ電子エネルギーコントローラシステムにまで及ぶ。
【0010】
スマート家庭用マイクロ電子エネルギーコントローラシステムは、日中に、一般的な異なるクロック時間に従って、家庭内の負荷へのエネルギー供給を個々に管理し得る。
【0011】
スマート家庭用マイクロ電子エネルギーコントローラシステムは、日中のクロック時間あたりのエネルギー料金あたりの異なる一般価格に従って、家庭内の負荷へのエネルギー供給を個々に管理し得る。
【0012】
スマート家庭用マイクロ電子エネルギーコントローラシステムは、外部センサによって感知される太陽光強度によって給電および同期化されることができ、家庭内の個々の負荷に対するエネルギースイッチングまたは負荷遮断を同期化および制御するように、日中に入射する最大平均光強度を使用する。
【0013】
スマート家庭用マイクロ電子エネルギーコントローラシステムは、例えば、ピーク電気グリッド負荷時間中の家庭エネルギー使用を低減するように、遠隔場所から無線周波数通信を通じて遠隔的に外部制御され得る。
【0014】
スマート家庭用マイクロ電子エネルギーコントローラシステムは、電気グリッド上の総負荷を低減するように、別個のラインから直接的に利用可能な際、または事前にエネルギー貯蔵システムに貯蔵されている際、グリーンエネルギーを住宅に選択的に送給し得る。
【0015】
本特許明細書の文脈において、「グリーンエネルギー」という用語は、太陽光パネル、風力電力、水力電力、ならびに他の電気の源(石炭、油、およびこれらの誘導体等の炭化水素、ならびに電気を生成するためのガスの燃焼を使用せず、かつ廃棄物、バイオ燃料、およびバイオガスの燃焼、ならびに原子力を含み得る)から得られる電気を示すために使用される。
【0016】
スマート家庭用マイクロ電子エネルギーコントローラシステムは、都市のオフィス環境または公共のエネルギー供給エリアにおいて使用され得る。
【0017】
ここで、添付の図面を参照して、本発明を非限定的であるに過ぎない例によって説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】家庭へのエネルギー供給の選択的管理を可能にする、スマートマイクロプロセッサおよびセンサベースのコントローラシステムを使用した、電力供給システムの図を示す。
【
図2】本発明において使用されるマイクロプロセッサベースのコントローラシステムの描写を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以降、すべての参照番号は、本発明が非限定的であるに過ぎない例によって例解されている
図1および
図2を参照する。
【0020】
システムの実施形態は、
図1に例解されるように、4つのサブ構成要素、即ち、グリッド電力供給システムAと、電力需要システム(B)と、特殊設計された電力分配ボックス(C)と、スマートエネルギーコントローラ(D)と、太陽光エネルギー2次電力供給およびタイミングシステムユニットEと、RF遠隔制御ユニット(G)と、からなる。
【0021】
エネルギーは、異なる負荷カテゴリ、例えば、重、中、低、基本的な照明、特殊位相要件を必要とする特殊負荷システム(C2〜C6)のために各々機能する、一連の電力リレースイッチ(C1)を通じて、別個のラインに電力を再分配する、特殊設計された電力分配ボックスに、都市ネットワークグリッド(A)を通じて供給される。2つ以上の負荷を、特定のラインC3〜C6と並列に接続することができる。
【0022】
第2のスイッチバンクC2は、任意選択的なものであり、これは、太陽光もしくは熱システム等のグリーンエネルギー供給から直接的に、またはバッテリもしくは熱エネルギー貯蔵システムに貯蔵した後に間接的に、供給される別個のラインによって、個々に供給される。
【0023】
分配ボックススイッチは、すべての重負荷が、1つのサブライン(C3)に接続され、すべての中負荷が、第2の別個のライン(C4)に接続され、すべての軽負荷(例えば、照明、照明電化製品、プラグなど)が、第3のライン(C5)に接続され、特殊位相制御を必要とするコンピュータ、ラップトップ、電子サブ制御機器等のすべての特殊機器が、第4のライン(C6)に接続されるように、配設される。
【0024】
これらのラインの各々は、いずれか1つの段階において、都市グリッドネットワーク、または代替的に、太陽光エネルギーバックアップ供給のいずれかに、スマートマイクロ電子エネルギーコントローラ(D)によって制御される一連の電子スイッチによって、その後接続される。スイッチは、典型的に、自由市場において入手可能であるようなMOSFETまたはサイリスタタイプのスイッチであり得る。
【0025】
分配ボックススイッチは、すべての重負荷(例えば、コンロ、自動湯沸かし器、スイミングプール、および温泉ポンプ)が、1つのサブラインに接続され、すべての中負荷(例えば、冷蔵庫、テレビ、ヘアドライヤ、湯沸かしなど)が、第2の別個のラインに接続され、すべての軽負荷(例えば、照明、照明電化製品、プラグなど)が、第3のラインに接続され、特殊位相制御を必要とするコンピュータ、ラップトップ、電子サブ制御機器等のすべての特殊機器が、第4のラインに接続されるように、配設される。これらのラインの各々は、いずれか1つの段階において、都市グリッドネットワーク、または代替的に、太陽光エネルギーバックアップ供給のいずれかに、スマートコントローラによって制御される一連の電子スイッチによって、その後接続される。スイッチは、典型的に、自由市場において入手可能であるようなMOSFETまたはサイリスタタイプのスイッチであり得る。
【0026】
マイクロプロセッサベースのコントローラ(D)は、システムの心臓部であると見なされる。これは、
図2で強調されているようないくつかのサブユニットと、マイクロコントローラ、センサ入力ならびに入力増幅器およびバッファと、GSM(登録商標)またはRFベースの受信器モジュールと、タイミングモジュールと、高電力スイッチを駆動することができる一連のアクチュエータと、からなる。
【0027】
タイミングユニットのデータベースは、極めて重要である。タイマユニットは、外部太陽光給電モジュールおよびセンサユニットによって制御される。このユニットは、日中の太陽からの入射放射線を非常に正確に感知し、一連の2次制御回路を通じて、毎日正午12:00にコントローラモジュールD内のタイマをリセットする。また、これは、停電の時間中にさえ、コントローラユニット全体に太陽光電力を供給する。
【0028】
コントローラユニットの主な目的は、RF遠隔制御ユニットから、家庭所有者またはグリッドエネルギー供給ネットワークからのいずれかから、1時間当たりの料金価格に関する情報をインポートすることである。コントローラが受信する情報に基づいて、次いで、コントローラは、家庭用自動湯沸かし器、スイミングプール、床暖房システム、および冷却システム等の重負荷をいつスイッチオンまたはスイッチオフするかの賢明な意思を決定する。リサイクリングアルゴリズムは、特定の瞬間に利用可能であるデータおよびセンサ情報のすべてを周期的に繰り返すことによって意思決定する。高い料金が有効である場合、これは、自動湯沸かし器、スイミングプール、床暖房、冷蔵庫の冷却の温度状態を感知し、かつ適切な場合、高い料金期間中は、これらの負荷をスイッチオフする。低い料金期間中は、これは、再度、高い負荷の電化製品を優先させ、住宅内の他の電化製品ラインの各々を最適に管理することを優先させる。
【0029】
エネルギーが代替的な源から利用可能であるとき、太陽もしくは熱システムから直接的に利用可能である際、または事前に貯蔵システムに蓄積されている際のいずれかに、スマートコントローラは、グリッド供給ネットワーク上の総負荷を軽減するように、これらのエネルギー資源に選択的にスイッチすることができる。
【0030】
したがって、該システムは、住居所有者およびグリッドエネルギー供給元の両方に対する2つの有益な目的を達成することができる。
1)これは、グリッドエネルギー供給元に対して、ピークおよび重負荷需要期間中に、自動的に高い負荷の電化製品をオフにした状態にすることができる。町区またはより大きい都市の多数の家庭が、同じ標準的システムを使用する場合の集団的利益は、莫大であり得る。
2)1日の異なる期間に対して、異なる料金が有効であるエリアにおいて、スマートコントローラは、住宅所有者の電力使用請求額が、1か月以上にわたって最小化されるように、家庭へのエネルギーフローを知的に管理することができる。長期にわたって考慮した場合、住宅所有者に対する節約は莫大であり得る。
3)コントローラシステムは、太陽光エネルギーから動作し、太陽の周期的強度を使用して、コントローラのクロックタイマを調節する。これは、コントローラの管理サイクルに対する精度を確実にし、他の電力源またはタイミング制御回路から完全に独立したものにする。