特許第6864736号(P6864736)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6864736
(24)【登録日】2021年4月6日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】直接駆動スパイラルコンベヤ
(51)【国際特許分類】
   B65G 15/02 20060101AFI20210419BHJP
   B65G 21/18 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
   B65G15/02
   B65G21/18
【請求項の数】11
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-501471(P2019-501471)
(86)(22)【出願日】2017年6月30日
(65)【公表番号】特表2019-523197(P2019-523197A)
(43)【公表日】2019年8月22日
(86)【国際出願番号】US2017040451
(87)【国際公開番号】WO2018026454
(87)【国際公開日】20180208
【審査請求日】2020年6月26日
(31)【優先権主張番号】15/224,809
(32)【優先日】2016年8月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508181663
【氏名又は名称】レイトラム,エル.エル.シー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】コト,オスカー アール.
【審査官】 土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03348659(US,A)
【文献】 特表2015−514047(JP,A)
【文献】 特表2013−530906(JP,A)
【文献】 特表2008−529925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 15/02
B65G 21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパイラルコンベヤであって、
底部から上部まで延在し、垂直軸の周りで回転可能な円筒周囲を有する駆動ドラムと、
前記底部から前記上部まで前記駆動ドラムの円筒に沿って長手方向に延在する複数の平行駆動部材と、
前記駆動部材との係合によって内側エッジにおいて確実に駆動されるコンベヤベルトを支持し、前記底部から前記上部まで前記駆動ドラムの前記周囲で前記コンベヤベルトのヘリカル経路を画定するヘリカル搬送路とを備え、
前記ヘリカル搬送路は下降するスパイラルコンベヤでは前記上部、上昇するスパイラルコンベヤでは前記底部の入口端部から、下降するスパイラルコンベヤでは前記底部、上昇するスパイラルコンベヤでは前記上部の出口まで延在し、
前記ヘリカル経路は前記出口端部より前記入口端部においてより急峻である、スパイラルコンベヤ。
【請求項2】
前記ヘリカル経路は前記入口端部から第1距離だけ第2セグメントまで延在する第1セグメントを有し、前記第2セグメントは前記第1セグメントから第2距離だけ第3セグメントまで延在し、前記第3セグメントは第3距離だけ前記出口端部まで延在し、前記ヘリカル経路は前記ヘリカル経路に沿った各点にリード角を形成し、前記リード角は、前記第1セグメント内の一定の第1角度と、前記第3セグメント内により小さな一定の第2角度であり、前記リード角は、前記第1セグメントの一定の前記第1角度から、前記第3セグメントの一定の第2角度まで、前記第2セグメント内で単調減少する、請求項1に記載のスパイラルコンベヤ。
【請求項3】
前記第3距離は前記第1及び第2距離の合計より大きい、請求項2に記載のスパイラルコンベヤ。
【請求項4】
前記第1及び第2セグメントを含むヘリカル経路は、前記駆動ドラムの円筒周囲の360°未満だけ延在する、請求項2に記載のスパイラルコンベヤ。
【請求項5】
前記平行駆動部材は前記垂直軸と平行である、請求項1に記載のスパイラルコンベヤ。
【請求項6】
前記ヘリカル搬送路上に支持され、駆動係合中、前記駆動部材によって係合させた前記駆動ドラムに隣接する前記ベルトのエッジに駆動面を有し、前記ヘリカル経路に沿って前記コンベヤベルトを進める側屈曲コンベヤベルトを備える、請求項1に記載のスパイラルコンベヤ。
【請求項7】
前記ヘリカル経路は前記ヘリカル経路の大部分に沿って一定の急峻性を有する、請求項1に記載のスパイラルコンベヤ。
【請求項8】
前記ヘリカル経路は前記ヘリカル経路に沿った各点にリード角を形成し、前記リード角は、前記入口端部において開始する前記ヘリカル経路の一部に沿って、リード角αからより小さなリード角αまで減少し、前記ヘリカル経路の大部分に沿って前記出口端部まで、より小さいリード角αで一定である、請求項1に記載のスパイラルコンベヤ。
【請求項9】
スパイラルコンベヤの動作方法であって、
垂直軸の周りで円筒駆動ドラムを回転させることと、
前記円筒駆動ドラム上の平行駆動部材と、側屈曲コンベヤベルトの内側エッジを確実に係合させることと、
前記ヘリカル経路の入口端部から出口端部まで、前記駆動ドラムの周りのヘリカル経路の上又は下に前記側屈曲コンベヤベルトを駆動し、前記ヘリカル経路は前記出口端部より前記入口端部においてより急峻であることとを備える方法。
【請求項10】
前記ヘリカル経路は、前記ヘリカル経路の大部分に沿って一定の急峻性を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ヘリカル経路は、前記入口端部を含む前記ヘリカル経路の一部に沿って一定の急峻性を有する、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は一般に動力駆動コンベヤに関し、特に直接駆動スパイラルコンベヤとそれらの動作方法に関する。
【0002】
ドラム駆動スパイラルコンベヤにおいて、コンベヤベルトは回転円筒駆動ドラム又はタワーの周囲を上又は下に巻き付くヘリカル経路内で駆動される。いわゆる低摩擦スパイラルコンベヤにおいて、駆動ドラムの周囲はベルトの内側エッジと摩擦的に係合し、ヘリカル経路に沿ってそれを駆動する。ドラムはベルトより大きな角速度で回転する。言い換えると、駆動ドラムは過駆動され、ベルトはドラムに対してスリップする。ベルトが常にスリップするとベルト内に振動を発生させ、搬送される製品の向きを変化させる可能性がある。直接駆動又は確動スパイラルコンベヤの駆動ドラムは、ドラムの周囲に間隙を介した垂直駆動バーを有する。駆動バーはコンベヤベルトの内側エッジと確実に係合し、スリップなしで及びより少ないベルト振動でそのヘリカル経路に沿ってそれを駆動する。
【0003】
長いスパイラルコンベヤベルト内の張力はかなり高くなる可能性がある。直接駆動スパイラルベルト内の張力を低減する1つの方法は、ドラムの周りのそのヘリカル経路の残りの部分より、ドラム上へのベルトの入口においてより大きな直径を有する駆動ドラムを備えることである。ドラムの大きな直径部はベルトを入口で延伸させる。その後、ベルトがドラムのより小さな直径部に進む際、ベルトはゴムバンドのようにやや弛緩し、その張力は減少する。駆動ドラムに大きな直径部を配置するには、ドラムへの入口近くのそれらの長手方向の一部に沿って半径方向に全ての駆動バーを構成する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の特徴を具現化するスパイラルコンベヤの一形態は、底部から上部まで延在し、垂直軸の周りで回転可能な円筒周囲を有する駆動ドラムを備える。平行駆動部材は、底部から上部まで駆動ドラムの円筒周囲に沿って長手方向に延在する。ヘリカル搬送路は、駆動部材との係合によって内側エッジにおいて確実に駆動されるコンベヤベルトを支持し、底部から上部まで駆動ドラムの周囲でコンベヤベルトのヘリカル経路を画定する。ヘリカル搬送路は、下降するスパイラルコンベヤでは上部、上昇するスパイラルコンベヤでは底部の入口端部から、下降するスパイラルコンベヤでは上部、上昇するスパイラルコンベヤでは底部の出口端部まで延在する。ヘリカル経路は出口端部より入口端部において急峻である。
【0005】
本発明の別の形態では、スパイラルコンベヤベルトの動作方法は、(a)垂直軸の周りで円筒駆動ドラムを回転させることと、(b)円筒駆動ドラム上の平行駆動部材と、側屈曲コンベヤベルトの内側エッジを確実に係合させることと、(c)ヘリカル経路の入口端部から出口端部まで駆動ドラムの周りのヘリカル経路の上又は下に側屈曲コンベヤベルトを駆動し、ヘリカル経路は出口端部より入口端部においてより急峻であることとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の特徴を具現化するスパイラルコンベヤの斜視図である。
図2図1のコンベヤ等のスパイラルコンベヤの垂直断面図である。
図3図1のスパイラルコンベヤの1つの階層の一部の概略平面図である。
図4】ベルト延伸時にリード角を変化させる効果を示す図である。
図5】底部に急峻な入口を備えた請求項1に記載のスパイラルコンベヤの概略図である。
図6図5のスパイラルコンベヤのヘリカル経路に沿っての距離の関数としてリード角を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の特徴を具現化するスパイラルコンベヤを図1に示す。スパイラルコンベヤ10は、底部16から上部17まで延在する円筒外周14を備えた駆動タワー12又はドラムを含む。平行駆動部材18は、底部16から上部17まで駆動ドラム12の周囲14に沿って長手方向に延在する。駆動部材18は、周囲14から半径方向外向きに延在する。階層支持部32に取り付けた一対の平行な摩耗ストリップ20(外側摩耗ストリップだけを示す)は駆動ドラム12の周りにヘリカル搬送路22を形成する。ヘリカル搬送路22は、摩耗ストリップ20上に支持した側屈曲コンベヤベルト30に対して、駆動ドラム12の周囲14に多層ヘリカル経路を画定する。駆動ドラム12は、図1の駆動部材18の長手方向と平行な垂直軸24の周りで回転するように駆動される。しかし、駆動部材は代わりに、垂直軸24に対して傾斜した角度において平行に配置することもできる。駆動部材18は、コンベヤベルトの内側エッジと確実に係合し、ヘリカル経路22に沿ってそれを駆動する。この例では、スパイラルコンベヤ10は、ベルトが底部16において搬送路22の入口端部26でヘリカル経路に入り、上部17において出口端部27から出る上昇スパイラルである。下降スパイラルでは、入口端部は上部17にあり、出口端部は底部16にある。スパイラルコンベヤ10から出るベルトは、巻取りスプロケット(図示せず)の周りを通過し、入口端部26に帰る際、ローラ28に戻る。駆動ドラム12と巻取りスプロケットはモータ(図示せず)によって従来どおり駆動される。
【0008】
図2に示したように、コンベヤベルト30は摩耗ストリップ20上に支持され、摩耗ストリップ20はフレーム34に取り付けた階層支持部32から上向きに延在する。階層支持部32は、ヘリカル搬送路22を形成するように配置され、駆動ドラム12の周囲14に多層ヘリカル経路を画定する。
【0009】
図3に概略的に示したように、コンベヤベルト30は、ベルトモジュールの一連の列36から構成した側屈曲ベルトである。ベルト30の内側エッジ38の列36は、駆動ドラム12の周りの回転の内側で共に折り畳まれる。ドラムの周囲14から外向きに延在する駆動部材18は、ベルト30の内側エッジ38上の駆動面40と確実に係合し、ヘリカル経路に沿ってベルトを駆動する。駆動部材18は互いに周囲に間隙を介しているので、全てのベルト列36が駆動部材に直接係合するわけではない。しかし、ベルトの入口で駆動部材18によってスパイラルコンベヤ10内に係合させた駆動面40は、ベルトの入口から駆動ドラム12のその出口までその駆動部材と係合したままである。従って、過駆動はなく、ベルト30は駆動ドラム12に対してスリップしない。垂直軸24の周りのベルト30と駆動ドラムの角速度は同じである。
【0010】
図4は、異なるリード角αにおけるヘリカル経路に沿っての連続的な平行駆動部材18の間の距離を示す。リード角は、ヘリカル経路が回転の垂直軸に対する直交方向となす角度αとして定義される。この例では、直交方向は水平面Hである。図4に示した全ての距離は実際には、駆動ドラムの周囲に沿っての円弧の長さを表す。連続駆動部材18の間の駆動ドラムの周囲の円弧の長さはL=r θで与えられ、ここでrは駆動部材の円経路の半径であり、それは駆動ドラムの半径よりほんの少し大きく、θは連続駆動部材の間のラジアン単位の中心角である。リード角αを備えたヘリカル経路上で測定した連続駆動部材18の間の円弧の長さCは、C=L/cosαによって与えられる。従って、C>L。そして、より浅いヘリカル経路上では、C=L/cosα。ヘリカル経路のリード角にかかわらず、連続的な駆動バーの間に同じ数のベルト列が閉じ込められている場合、円弧の長さCはリード角と共に増大するので、より大きなリード角上のより大きな範囲までベルトは延伸されるであろう。より正確には、円弧の長さCはリード角αの割線に比例する。そして、ゴムバンドのように、コンベヤベルトは延伸されるとより大きな張力を有する。従って、ヘリカル経路のリード角αをαからαまで減少させることによって、ベルトを弛緩させ、張力を低減する。
【0011】
駆動ドラム12の周りのヘリカル搬送路22の配置は図5に示されている。上昇するスパイラルコンベヤ10に対して示したように、搬送路によって画定されたヘリカル経路42は、上部17の出口端部27より駆動ドラムの底部16の入口端部26において急峻である。言い換えると、入口端部26におけるヘリカル経路42のリード角αは、出口端部27までのヘリカル経路の大部分に沿ってのリード角αより大きい。ドラムが回転のその垂直軸24の周りで回転する際、搬送路22の最低階層44の少なくとも一部上のコンベヤベルトは残りの階層上より延伸される。その方法では、ベルトは弛緩され、ヘリカル経路42の大部分の上ではより低い張力下にある。
【0012】
ヘリカル経路42のリード角αの関係の一例は図6にグラフで示されている。ヘリカル経路の入口端部から距離dだけ延在する第1セグメントIのヘリカル経路のリード角αは、一定の第1リード角αである。(距離dはヘリカル経路に沿っての距離を表す。)ヘリカル経路の第1セグメントIは距離diだけ第2セグメントIIまで延在し、第2セグメントIIは第1セグメントから距離dだけ第3セグメントIIIまで延在する。第3セグメントのヘリカル経路のリード角αは一定の第2リード角αであり、ここでα<αである。第3セグメントIIIは第2セグメントIIから距離dだけヘリカル搬送路の出口端部まで延在する。リード角αは、遷移的な第2セグメントII内で第1セグメントのαから第3セグメントIIIのαまで単調減少する。単調な変動は、実線で示したように直線であっても、破線で示したように直線でなくてもよい。一般に、第3セグメントIIIは最初の2つのセグメントI、IIよりずっと長い。つまり、d≫d+d。最初の2つのセグメントI、IIは、最低階層の一部に沿ってのみ、又は駆動ドラム12の周囲の360°未満だけ延在するように図5には示されている。
【0013】
ベルト内の張力を低減するために、他の方法でヘリカル経路のリード角を配置することも可能であろう。ほんの一例として、一定の第1リード角αの第1セグメントIを除去することもでき(d=0)、ヘリカル経路のリード角αは出口端部のαから、第3セグメントIIIのヘリカル経路の大部分に沿って出口端部まで一定のαまで常に減少する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6