(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の突出部と前記第2の突出部と前記第3の突出部は滑らかに連続し、前記第3の突出部を頂部とする略錐体形状に前記本体部を形成していることを特徴とする請求項1または2に記載の装着具。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る装着具を、図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る装着具の斜視外観図である。
図1に示すように、本実施形態に係る装着具1は、所定の大きさを有する本体部3と、装着具1を手首に固定するための固定部5とから構成されている。本実施形態に係る装着具1は右手または左手の手首に装着して用いるものである。
【0011】
ここで説明の便宜上、手の向きおよび装着具1に関する向きについて定義する。本実施形態において手の向きは、手のひら側を「内側」または「内方」とし、手のひらの反対側の手の甲側を「外側」または「外方」とし、指先側を「前方」とし、肘側を「後方」とする。また、装着具1に関する向きは、装着具1が手首の外側に装着された状態、具体的には手首の外側に本体部3が配置されるように装着具1が手首に装着された状態において、前記手の向きと同様とする。さらに、装着具1の向きに関して、前方から後方または後方から前方へ向かう前後方向を長さ方向とし、内方から外方または外方から内方へ向かう方向を厚さ方向とし、長さ方向および厚さ方向に直交する方向を幅方向とする。以下の説明は、装着具1が手首の外側に装着された状態におけるこれらの向きに関する用語を用いて行う。また、以下の説明において、「装着具1が手首の外側に装着された状態」とは、「手首の外側に本体部3が配置されるように装着具1が手首に装着された状態」のことをいう。また、ここで定義した手および装着具1の向きは、後述する第2実施形態の説明においても同様に用いる。
【0012】
装着具1の本体部3は所定の硬さを有するゴム素材で中実に形成されている。本実施形態においては、本体部3は非導電性のシリコンゴムで形成されている。本体部3は、装着具1が手首に装着された状態において、手首と対向する平面部7を底面とし、平面部7の外方側の頂部9を頂点とする略錐体形状に形成されている。具体的には、本体部3は、平面部7が角の丸い前後方向に長い略菱形或いは前後方向に長い楕円形に形成され、平面部7と、頂部9と平面部7の外周とを結ぶなだらかな斜面部11とからなる略四角錘形状或いは略楕円錘形状に形成されている。したがって本体部3を幅方向または前後方向から見ると、本体部3の外側部分である斜面部11は、中央部の頂部9を頂点として外方に向けて突出するなだらかな山形を成している。言い換えると、本体部3の斜面部11および頂部9は、外方に向けて突出する外方向き突出部を形成している。
【0013】
本体部3の外方向き突出部の頂部9は、曲率半径の大きな部分球面状をなしている。頂部9は、半導電性を有するシリコンゴムで形成されている。頂部9を構成する半導電性のシリコンゴムは、接触することにより静電容量方式のタッチパネルの操作を可能とする抵抗率を有している。
【0014】
本体部3の前方側部分、すなわち斜面部11および平面部7の前方側部分は、前方に向けて細長く突出する前方向き突出部13を形成している。前方向き突出部13の先端部は部分球面状に形成されている。本体部3の後方側部分、すなわち斜面部11および平面部7の後方側部分は、後方に向けて細長く突出する後方向き突出部15を形成している。後方向き突出部15の先端部は部分球面状に形成されている。本体部3は、外方向き突出部である斜面部11および頂部9と、前方向き突出部13と、後方向き突出部15とが滑らかに連続して略四角錘形状或いは略楕円錘形状に形成されている。
【0015】
固定部5は、本体部3の平面部7の中央部に設けられている。固定部5は本体部3と同じゴム素材で本体部3と一体に形成されている。すなわち本実施形態においてはシリコンゴムで形成されている。固定部5は前後方向に所定の長さを有し、本体部3の平面部7から内方に向かって突出する突出部であり、内方に開口部17を向け前後方向から見て略C字状に形成されている。固定部5は、略C字状の開口部17が広がる方向に弾性変形し、広がった開口部17から手首に嵌め込まれ、手首に嵌め込まれた後、開口部17が狭まる方向に弾性復帰することにより固定部5が手首に密着し、これにより装着具1が手首に固定される。
【0016】
装着具1を手首の外側に装着した状態において、本体部3は長さ方向が前腕に沿う方向に延在して配置される。また、装着具1を手首の外側に装着した状態において、本体部3の前方向き突出部13は、手の甲と隙間を介して手の甲の外方に配置され、本体部3の後方向き突出部15は、前腕の手首側の部分と隙間を介して前腕の手首側の部分の外方に配置される。このように、本体部3の前後方向の長さは、手の甲の先端部から前腕の手首側の部分までを覆う大きさである。具体的には15センチメートル程度の大きさである。また、本体部3の幅は、手首の幅と同程度の大きさを有している。具体的には4〜5センチメートル程度の大きさである。また、本体部3の厚さは、最も厚い頂部9の部分で2〜3センチメートル程度の厚さである。本実施形態の装着具1はこのような大きさに形成されているため、手首に装着しても、外側から見て手の甲および手首から大きくはみ出すことがなく、手での作業または日常の行動の大きな妨げになることはない。
【0017】
本実施形態に係る装着具1は、150グラム程度の重量であることが望ましい。これにより、手首に装着した状態での行動或いは様々な作業を行っても装着具1の重さがこれらの行動或いは作業の大きな負担になることがない。一方、装着具1の重量が重すぎると、長時間手首に装着した場合、手の負担が大きくなり、作業の効率が悪化してしまう虞がある。また、本実施形態に係る装着具1は、適度な硬度を有していることが望ましい。これにより、後述するように装着具1を使用する際、ドア開閉用操作部や押しボタン等の操作対象を、装着具1が変形することなく確実に操作することが可能になる。
【0018】
また、本実施形態に係る装着具1は、消毒薬等に対する耐性を有していることが望ましい。例えば、本実施形態に係る装着具1は、99%エタノールや1000ppm程度の濃度の次亜塩素酸水などの消毒薬に対し、不可逆変形しない耐薬品性を備えている。これにより、装着具1の使用前後に殺菌作用のある薬品によって装着具1を確実に消毒することができる。また、本実施形態に係る装着具1は、耐熱性を備えていることが望ましい。例えば、本実施形態に係る装着具1は、80℃の高温の環境下に1時間保持しても不可逆変形しない耐熱性を備えている。これにより、誤って高温の物或いは液体に装着具が接触しても装着具1は変形してしまうことがなく、高い耐久性を確保することができる。
【0019】
また、本実施形態に係る装着具1は、上述したように、頂部9が半導電性のシリコンゴムで形成されている。この構成により、頂部9によって静電容量方式のタッチパネルの操作が可能になるとともに、指先からドア開閉用操作部等への静電気の放電による電撃を防止し、当該放電による人体へのショックを防止することもできる。
【0020】
また、本実施形態に係る装着具1は、前方向き突出部13の先端部、後方向き突出部15の先端部、および外方向き突出部の先端部である頂部9は、いずれも部分球面状に形成されている。したがって本体部3は先端が尖った部分を有していない。さらに本体部3はシリコンゴムで形成されているため、本体部3に触れることによって装着者および他人がケガをすることがなく、安全に使用できる。また、本体部3は突出部それぞれの先端が尖った部分を有していないので、手首に装着した状態で作業中に、他の物に引っ掛かってしまうことがなく、装着者は安全に使用できる。
【0021】
また、本実施形態に係る装着具1は、
図1に示すように、本体部3に追加機能搭載部19が設けられている。追加機能搭載部19には、例えば時計(図示省略)を搭載することができる。或いは、時計を含めたさらに多くの機能を有する所謂スマートウォッチ(図示省略)を搭載することができる。
【0022】
次に、本実施形態に係る装着具1の使用方法について説明する。
図2は、本実施形態に係る装着具1を右手21の手首の外側に装着した状態を示す斜視図である。
本実施形態に係る装着具1は、3つの操作部を備えている。すなわち、第1の操作部は、指先方向に向けて突出する前方向き突出部13であり、第2の操作部は、肘側に向けて突出する後方向き突出部15であり、第3の操作部は、外方に向けて突出する外方向き突出部である斜面部11および頂部9である。本実施形態に係る装着具1は、前方、後方、および外方の3つの方向にそれぞれ突出する突出部を備えることにより、様々な操作対象を操作することが可能となる。
【0023】
前方向き突出部13は、
図2に示すように、装着具1を手首に装着した状態において、手の甲23と所定の隙間を介して手の甲の外側に位置している。前方向き突出部13の先端部は、指先を伸ばした状態で、手の甲の先端部或いは第3指(中指)の付け根部分の外側に位置している。後述するように、前方向き突出部13は操作対象を押す動作、引く動作、引き上げる動作、押し下げる動作等、多くの動作に適しており、例えばドア開閉用のレバーハンドルの操作や取っ手のある蓋の開閉に適している。
【0024】
図3は、本実施形態に係る装着具1で操作可能なドア開閉用操作部の例であるレバーハンドルを示し、
図4は、本実施形態に係る装着具1で開閉可能な容器の蓋の例を示している。
図3に示すレバーハンドル25の操作は、手首に装着した状態の装着具1の前方向き突出部13の先端部または側面部を、上方からレバーハンドル25の上面に接触させ、
図3中に矢印で示すように、そのまま装着具1を装着した手を下方に下ろし、レバーハンドル25を下方に押し下げて回転させる。このようにすれば、手指をレバーハンドル25に接触させることなくレバーハンドル25を操作できる。当該ドアが手前に引けば開く場合は、レバーハンドル25を下方に回転させた状態から装着具1の前方向き突出部13をレバーハンドル25とドアの間に挿入させ、前方向き突出部13でレバーハンドル25を手前に引けばドアを開けることができる。一方当該ドアが奥に押せば開く場合は、レバーハンドル25を下方に回転させた状態から、そのまま前方向き突出部13の外側面或いは頂部9でドアを奥に押せばドアを開けることができる。このように装着具1の前方向き突出部13或いは頂部9を用いてレバーハンドル25を操作することにより、手指をレバーハンドル25に接触させることなくドアを開閉することができる。なお、以上に説明したレバーハンドル25の操作は、装着具1を装着している方の手を拳を作るように握り、且つ手首を内側に曲げた状態で行うことが好ましい。このようにすれば、レバーハンドル25を押し下げる際、或いはドアを開閉する際に、誤って手指がレバーハンドル25またはドアに接触することを防止することができる。なお、以降に説明する装着具1の使用方法においても、装着具1を装着している方の手を拳を作るように握り、且つ手首を内側に曲げた状態で装着具1を用いることが好ましい。
【0025】
図4に示す容器の蓋27は、手の甲23を下に向けた状態で、手首に装着した状態の装着具1の前方向き突出部13の先端部のみを蓋27の取っ手29に差し込み、
図4中に矢印で示すように、そのまま上方に持ち上げる。このようにすれば、手指を取っ手29または蓋27に接触させることなく容器の蓋27を開けることができる。
【0026】
装着具1の後方向き突出部15は、操作対象を引く動作に適し、例えば引き戸の開閉に適している。
図5は、本実施形態に係る装着具1で操作可能な引き戸の例を示している。
図5に示すような引き戸31の開閉は、例えば装着具1を右手に装着している場合で、引き戸31を右手方向にスライドさせたい場合に、装着具1の後方向き突出部15を用いることができる。すなわち、装着具1の後方向き突出部15の先端部を引き戸31の引手33に引っ掛け、そのまま引き戸31を右手方向にスライドさせれば、手指を接触させることなく引き戸31を開閉できる。なお、引き戸の開閉は、装着具を左右のどちらの手に装着しているか、および引き戸を左右のどちらの方向にスライドさせるかによって、装着具1の後方向き突出部15と前方向き突出部13を使い分けることができる。
【0027】
装着具1の外方向き突出部の頂部9は、操作対象に押し当てて操作対象を操作する動作に適し、例えばドアの押し板(図示省略)を押す動作、押しボタン(図示省略)を押す動作に適している。さらに、頂部9は半導電性のシリコンゴムで形成されているので、タッチパネルの操作等に適している。
【0028】
さらに、本実施形態に係る装着具1は、手袋を外す動作にも適している。
医療現場、分析機関等において、手袋をして作業をした作業従事者が手袋を外す際、ウイルス等が付着している可能性のある手袋が素手に接触する可能性がある。例えば、両手に手袋をしている状態から右手の手袋を外す際、手袋をしている状態の左手親指を右手の手首と手袋との隙間に入れ、その状態から右手袋を指先に向けてまくり上げると、手袋をしている状態の左手親指が右手首および右手の手のひら等に接触してしまう。このため左手袋にウイルス等が付着していた場合には、ウイルス等が右手の皮膚に付着する虞がある。
【0029】
図6は、本実施形態に係る装着具1を用いて手袋を外す動作を示す図である。
両手に手袋をし、左手35に装着具1を装着している状態で右手37の手袋39を外す場合は、次のように手袋を外せば良い。すなわち、
図6の矢印Aに示すように、左手35に装着している装着具1の前方向き突出部13の先端部(
図6中の丸印で示す部分)を右手37の手首の内側と手袋39との隙間に入れ、その状態から、
図6の矢印Bに示すように、前方向き突出部13で右の手袋39を指先に向けてまくり上げる。すると右手袋39は前方向き突出部13に引っ掛かった状態で右手37から外れる。このように、本実施形態に係る装着具1を用いれば、左手袋の表面が右手37の手首および手のひら等に接触することなく右手37の手袋39を外すことができる。
【0030】
本実施形態の装着具1は、このような手袋外し機能を有している。このため、医療現場、分析機関等において、必要な時にその場で衛生的に手袋を外すことができる。さらに、日常の行動においても、例えば接触感染予防用の手袋を装着して外出し、外出先で装着した手袋を外す必要が生じた際にも、手袋を手指に接触させることなく外すことができる。このように本実施形態の装着具1は、操作対象の操作機能だけでなく手袋外し機能も有しているので、手指との直接接触を防止できる対象の範囲が広い。
【0031】
以上説明した本実施形態に係る装着具1の使用方法は、具体的な例として挙げたものであり、これらに限られるものではない。本実施形態に係る装着具は、操作対象の形状および操作方法等により、前方向き突出部13、後方向き突出部15、および外方向き突出部の頂部9のどれを用いるか、或いはこれらの突出部をどの向きで使用するかを工夫することにより、様々な状況において、これら操作対象を直接手指で接触することなく操作することができる。例えば、図示は省略するが、プッシュプルドアハンドルの開閉操作、自動車のスライドドアの開閉操作、エレベーターの押しボタンの操作、自動販売機の押しボタン或いはタッチパネルの操作、ATMのタッチパネルの操作、公衆トイレの蓋或いは便座の上げ下げ、さらに公衆トイレの水洗レバーの操作等に用いることができる。
【0032】
なお、本実施形態に係る装着具1によっては、握り玉式のドアノブ(図示省略)を直接回転させてドアを開閉することは困難である。しかし、握り玉に取り付て握り玉式のドアノブをレバーハンドル式に変更する市販の補助具を用いることにより、本実施形態に係る装着具1によって操作することが可能となる。
【0033】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る装着具を、図面を参照しつつ説明する。
図7は本発明の第2実施形態に係る装着具の分解図である。
本実施形態に係る装着具101は、本体部103と、装着具101を手首に固定するための固定部105とから構成されている。本実施形態に係る装着具101は、本体部103および固定部105の構成が、それぞれ第1実施形態とは異なっている。
【0034】
図7に示すように、本実施形態に係る装着具101の本体部103は、固定部105とは別体に形成されている。本体部103は第1実施形態と同様に非導電性のシリコンゴムで形成されている。本体部103は、前後方向に細長く延在する部材であり、中央部の連結部141で固定部105と連結されている。連結部141は、幅方向から見て、外方に開口部を向けた略U字状に形成されている。連結部141の底部143には、底部143を厚さ方向に貫通する貫通孔145が形成されている。連結141の前方側端部には、前方に向けて細長く突出する板状の前方向き突出部113が形成され、連結部141の後方側端部には、後方に向けて細長く突出する板状の後方向き突出部115が形成されている。前方向き突出部113の先端部は半円弧状に形成されている。後方向き突出部115の先端部も、前方向き突出部113と同様に、半円弧状に形成されている。
【0035】
固定部105は、手首へ巻き付けるバンド147と、手首に巻き付けたバンド147を手首に固定できる長さで固定するストッパー149とを備えている。バンド147の中間部には、前方に向けて突出する突出部151がバンド147と一体に形成されている。突出部151には貫通孔153が設けられている。突出部151には、本体部103が回転可能に連結されている。
【0036】
本体部103と固定部105とは、連結部材155によって、連結部材155を中心に相対回転可能に連結されている。連結部材155は本体部103と同様の非導電性のシリコンゴムで形成されている。連結部材155は外方から内方に向けて、本体部103の底部143の貫通孔145と固定部105の突出部151の貫通孔153とを貫通している。固定部105の突出部151の貫通孔153から内方に突出する連結部材155の内方側端部には、固定部材157が固定されている。固定部材157は、連結部材155が外方へ抜けることを防止している。連結部材155の内方側端部近傍には径が大きい拡径部159が形成されている。拡径部159は本体部103の底部143の貫通孔145の外方に配置される。したがって、本体部103の底部143と固定部105の突出部151とは、固定部材157と拡径部159とによって厚さ方向に挟持されている。ここで本体部103の底部143と固定部105の突出部151とは、連結部材155を中心にして本体部103が固定部105に対して回転が可能であるとともに、固定部105に対する回転後の本体部103の角度位置を保持できる程度の摩擦が生じるように、固定部材157と拡径部159とによって挟持されている。
【0037】
連結部材155は、前方向き突出部113および後方向き突出部115よりも外方に突出している。連結部材155の外方側の先端部161は半球状に形成されている。連結部材155の先端部161は半導電性のシリコンゴムで形成されている。このような構成なので、連結部材155および先端部161は、外方に向けて突出する外方向き突出部を形成している。なお、連結部材155の先端部161と固定部材157とは、固定部材157が手首または手の甲と接触することにより電気的に導通する。
【0038】
図8は、本実施形態に係る装着具101を左手135の手首の外側に装着した状態を示す斜視図である。このように本実施形態に係る装着具101は、第1実施形態と同様に、手首に装着された状態において、指先方向に向けて突出する前方向き突出部113と、肘側に向けて突出する後方向き突出部115と、外方に向けて突出する外方向き突出部である連結部材155および先端部161とを備えている。したがって本実施形態に係る装着具101は、第1実施形態と同様に、各突出部を用いて様々な操作対象を操作することができ、さらに前方向き突出部113は手袋外し機能も有している。
【0039】
図9は、
図8に示す状態すなわち装着具101の通常の使用状態における本体部103の状態から、連結部155を中心に本体部103を固定部105に対して約90°回転させた状態を示す斜視図である。
このように本実施形態に係る装着具101は、固定部105に対して本体部103が回転可能であるため、本体部103の各突出部を用いない場合に、本体部103を回転させて他の作業と干渉しにくい角度位置に配置することができる。さらに、摩擦力によって固定部105に対する回転後の本体部103の角度位置を保持できるため、本体部103を他の作業と干渉しにくい状態で保持することができる。なお、本体部103は固定部105に対して任意の角度で回転可能である。
【0040】
ここで、本実施形態に係る装着具101の固定部105は、その形状から、市販のロッカーキー用のキーバンドを固定部105として用いることが可能である。具体的には、図示は省略するが、ゴム素材で形成され、ロッカーキー収納部を有し、ロッカーキーを回転可能に保持し、ロッカーキーを回転させることによってロッカーキーを前記収納部に出し入れ可能とするキーバンドを用いることができる。このようなキーバンドにおいて、ロッカーキーを回転可能に保持する保持部に、ロッカーキーに替えて本実施形態に係る装着具101の本体部103の底部143を配置する。さらにキーバンドのハトメに替えて本実施形態に係る装着具101の連結部材155を配置し、本体部103を回転可能に保持する。このように市販のロッカーキー用のキーバンドを用いれば、簡易に且つ低コストで装着具101を構成することができる。
【0041】
なお、本発明の装着具は、上記各実施形態に限定されず、変形が可能である。例えば、本体部3、103の材質は、シリコンゴムに代えて他のゴム素材としても良いし、金属や樹脂等の他の素材を用いることもできる。また、本体部3、103の形状も変形が可能である。例えば、角の丸い前後方向に長い菱形或いは前後方向に長い楕円形に形成された所定の厚さの板状部材の中央部に、上記各実施形態の頂部9または先端部161に対応する、外方に向けて突出する突出部を形成した形状でも良い。また、本体部3、103の大きさおよび重さは、例えば男性用、女性用、子供用のように数種類のものを設定しても良い。また、第1実施形態の固定部5は、手首に嵌め込む形態ではなく、バンドとバックルを用いて手首へ巻き付けて手首に固定するタイプとしても良い。また、第1実施形態の本体部3を、第2実施形態のように固定部5に対して回転可能な構成とすることもできる。具体的には、本体部3と固定部5とを軸部材(図示省略)で連結し、本体部3を使用しない場合は、他の作業と干渉しにくい位置に本体部3を保持するようにすることができる。
【0042】
以上説明した本願発明の装着具1、101によれば、医療現場等、さらに日常の行動において、ドア開閉用操作部や押しボタン等の不特定多数の人が接触する部分に直接手が触れる回数を大幅に減少させることができる。さらに本願発明の装着具1、101は、手袋を手指に接触させることなく外すことができる。したがって本願発明の装着具1、101を用いることは、ウイルス等の接触感染の予防対策として大変有効である。
【解決手段】 手首に装着可能な装着具1であって、手首の外側に配置される本体部3を有し、本体部3は、操作対象を操作する際、手指と操作対象とを非接触状態で操作対象を操作可能な操作部を備えていることを特徴とする。