特許第6864900号(P6864900)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6864900
(24)【登録日】2021年4月7日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】弾球遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20210419BHJP
【FI】
   A63F7/02 304D
   A63F7/02 310C
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-222085(P2016-222085)
(22)【出願日】2016年11月15日
(65)【公開番号】特開2018-78976(P2018-78976A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2019年11月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】591044614
【氏名又は名称】株式会社足立ライト工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100112531
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】足立 一夫
【審査官】 平井 隼人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−302110(JP,A)
【文献】 特開2008−137375(JP,A)
【文献】 特開2013−039390(JP,A)
【文献】 特開2011−083383(JP,A)
【文献】 特開2014−018356(JP,A)
【文献】 特開2005−219394(JP,A)
【文献】 特開2007−289583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明又は半透明な合成樹脂製の遊技板と、該遊技板に形成された窓孔を通して表示が視認されるように該遊技板の後方に設けられる図柄変動表示装置と、熱可塑性合成樹脂製シートを熱成形することにより図等が立体的に形成された凹凸状成形シートとを具備し、前記遊技板を透過して前記図柄等が視認されるように前記凹凸状成形シートを前記遊技板の後側に配設し、しかも該凹凸状成形シートは中央部寄りよりも外周部寄りが前方に位置するように傾斜状に配設するとともに、該凹凸状成形シートにスリット状の開口を形成し、該凹凸状成形シートの裏側に電動アクチュエータによって進退動する可動部材を設け、該可動部材を該電動アクチュエータの作動により前記開口から前面に出没させるようにしたことを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
前記凹凸状成形シートは、複数のシート部材を前方から見て一部が重なるように前後に隙間を置いて配設することで裏側が丸見えとならないように前記開口を形成したことを特徴とする請求項1に記載した弾球遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機,アレンジボール遊技機,雀球遊技機等の弾球遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機等の弾球遊技機は、遊技板の前面に球誘導レールが設けられ、弾発した遊技球が該球誘導レールによって囲まれた遊技領域に誘導され、該遊技領域に図柄変動表示装置、入賞装置、および、多数本の障害釘、風車が配置され、遊技球が該障害釘、風車等に当たることで該遊技領域を様々な落下経路で流下し得るように構成されている。
また、近年の遊技板は、環境保護や意匠上の観点から従来のベニヤ板製のものから合成樹脂製のものに変わりつつあり、なかでも例えば特許文献1に示されたような透明合成樹脂製の遊技板を用いた遊技機では、遊技者が該遊技板の後方まで見通せるようになることから、立体感のある斬新なデザインを採ることができ、遊技機の興趣が高められるといった利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−169403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、透明合成樹脂製の遊技板を用いた遊技機では、特許文献1にも示されたような、例えば蝶を模した複数の可動役物装置や、虹を模したような多数の装飾体、或いは回転ランプのような装飾体を該遊技板の後方全域に配置する必要があるが、これらの装置や装飾体は、従来では専ら合成樹脂の射出成形により製造され、製造するうえで複雑な射出成形用金型を要し、多数の成形品をカラフルに色分けして成形したり、成形後に塗装したり組み立てる必要が生じるので、製造コストが高いものになるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る弾球遊技機は上記課題を解決しようとするもので、透明又は半透明な合成樹脂製の遊技板と、該遊技板に形成された窓孔を通して表示が視認されるように該遊技板の後方に設けられる図柄変動表示装置と、熱可塑性合成樹脂製シートを熱成形することにより図形等が立体的に形成された凹凸状成形シートとを具備し、前記遊技板を透過して前記図柄等が視認されるように前記凹凸状成形シートを前記遊技板の後側に配設し、しかも該凹凸状成形シートは中央部寄りよりも外周部寄りが前方に位置するように傾斜状に配設されていることを特徴とする。
また本発明に係る弾球遊技機は、多数の発光ダイオードが配設された発光基板を前記凹凸状成形シートの背面に配設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、凹凸状成形シートによって図柄等が立体的に表示され、該図柄等が遊技板を透過して視認され、しかも該凹凸状成形シートが傾斜状に配設されていることにより、キャラクターや背景等を立体的で奥行きがあるようにリアルに表示することができ、興趣のある弾球遊技機を低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る弾球遊技機に組み込まれる遊技盤ユニットの斜視図。
図2】本発明に係る弾球遊技機に組み込まれる遊技盤ユニットの水平断面図。
図3】本発明に係る弾球遊技機に組み込まれる遊技盤ユニットの水平断面図。
図4】本発明に係る弾球遊技機に組み込まれる遊技盤ユニットの分解斜視図。
図5】本発明に係る弾球遊技機の凹凸状成形シートの斜視図。
図6】本発明に係る弾球遊技機の凹凸状成形シートの成形法を示す工程図。
図7】本発明に係る弾球遊技機の水平断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に本発明の実施形態を弾球遊技機に着脱可能に組み込まれる遊技盤ユニットにより説明する。図1図3に示す遊技盤ユニット1は、図4に分解斜視図を示したように、表部品2と、遊技板3と、導光板4と、凹凸状成形シート5と、拡散シート6と、発光基板7と、組付ケース8と、図柄変動表示装置9とからなる。遊技板3は、光を透過し得る透明又は半透明な合成樹脂を射出成形、押出成形、切削加工する等の適宜工程を経ることにより、中央に貫通状の大きな窓孔3aを形成するとともに、部品取付孔3b〜3eをそれぞれ貫通状に形成し、四角部に位置決孔3fを形成してなる。そして、該遊技板3の前面にステンレス製の球誘導レール3gが固着される。表部品2は、大入賞口2a、可変入賞口2b、多連入賞口2c、通過チャッカー2d、センター枠2e等からなり、該大入賞口2a、可変入賞口2b、多連入賞口2c、通過チャッカー2dは前記部品取付孔3b〜3eにそれぞれ嵌着され、センター枠2eは前記窓孔3aの内周に嵌着される。そして、該遊技板3の前記球誘導レール3gの内側遊技領域に図1にも示したように遊技球を誘導する多数本の遊技釘および風車が固植される。また、導光板4は透明な樹脂シートの裏面に光をレンズのように屈折し得る凹凸をスジ状に形成してなる透明な薄板で、該導光板4は遊技板3の裏面に貼付される。
【0009】
凹凸状成形シート5は、予め表面に図柄、文字、キャラクタ等の所望の図形を印刷をした厚さ1mm以下の熱可塑性合成樹脂製シートを熱成形することにより、こうした図形等を立体的に形成してなる。即ち、熱可塑性合成樹脂製シートを加熱して軟化させ、石膏型、木型、または金型等の成形型を用い、該熱可塑性合成樹脂製シートを真空成形または圧空成形することにより、該熱可塑性合成樹脂製シートに凹凸を形成し、該凹凸によって図形等が立体的に表示されるようにする。図5に示した凹凸状成形シート5は、中央に略四辺形の透孔5aが形成され、該透孔5aの周囲に各シート部材5b〜5eが中央部寄りよりも外周部寄りが前方に位置するように傾斜状に成形され、該各シート部材5b〜5eには凹凸により花柄を立体的に形成してなるものである。図6の(a)〜(d)に真空成形による凹凸状成形シート5の成形工程を示す。即ち、(a)に示したように、予め図形が印刷された熱可塑性合成樹脂製シート20をヒータ21によって加熱することにより軟化させた後、(b)に示したように通気性の雌型22を真空吸引することにより該熱可塑性合成樹脂製シート20を該雌型22の成形面に真空吸着させる。これによって該熱可塑性合成樹脂製シート20を該成形面に倣い図5に示したような四角いコーン形に形成すると同時に該熱可塑性合成樹脂製シート20の全体に花柄を凹凸状に形成する。そして、(c)に示したように該雌型22に空気を吹き込むことにより熱可塑性合成樹脂製シート20を該雌型22の成形面から離脱させた後、該熱可塑性合成樹脂製シート20の不要部分をトムソン型でカットし、トリミングすることにより、上記凹凸状成形シート5に仕上げられる。
【0010】
なお、図5に示した凹凸状成形シート5は、前方が拡開する四角いコーン形となるように一体に成形しているが、各シート部材5b〜5eを別々に成形し、各シート部材5b〜5eを中央部寄りよりも外周部寄りが前方に位置するように傾斜状に配設することで、四角いコーン形になるようにしてもよい。また、四角いコーン形でなくても丸いコーン形となるように形成乃至は配置してもよい。要するに、凹凸状成形シート5は、遊技板3の後側に配設され、しかも、該凹凸状成形シート5は中央部寄りよりも外周部寄りが前方に位置する傾斜状に設けられていることから、遊技板3の背後に広い空間と奥行きがあるように見せることができる。
また、図3に示した実施形態では、一側のシート部材5bにスリット状の開口5fを形成し、該シート部材5bの裏側に電動アクチュエータ5gによって進退動する例えば蝶を模したようなキャラクタ5hを設け、該キャラクタ5hが該開口5fから前面に出没し得るようにしている。このようにキャラクタ5hをゲームの進行状況に合致させて出没させることにより該ゲームが一層盛り上げられる。
なお、図3に示した実施形態は、一枚のシート部材5bに開口5fを形成しているが、複数のシート部材を前方から見て一部が重なるように前後に隙間を置いて配設し、その隙間から上記のようなキャラクタ5hを出没させるようにしてもよい。こうすることで、開口から裏側が丸見えになってしまうことがないとともに、開口によって図柄等が途切れることもなく連続的に表示することができる。
【0011】
前記発光基板7は、複数の発光ダイオード7aが前面に実装され、該発光基板7を中央に透孔7bが形成され前方に向かって拡開する四角いコーン状に形成された組付板7cの前面に止着してなる。拡散シート6は、該発光基板7の前面に配置され、発光ダイオード7aから発せられる点光源を平面的に拡散する。前記組付板7cを組付ケース8内に収容し、該組付ケース8の中央に形成された組付孔8aに液晶等の図柄変動表示装置9を嵌着し、該組付ケース8を前記遊技板3の裏面にビス止する。これにより発光基板7から発せられた光は凹凸状成形シート5の裏面に略々均一に当たり、該凹凸状成形シート5に形成された図柄が前記遊技板3を透過して遊技者に前方から視認されると同時に、前記窓孔3aを通しては図柄変動表示装置9の表示が視認される。なお、窓孔3aを通しては前記凹凸状成形シート5の一部も視認される。
【0012】
このように構成した遊技盤ユニット1は、図7に示したように、遊技機本体10に組み込まれる。そして、遊技者が該遊技機本体10の前面に設けられた発射ハンドル10aを操作し、球皿10bに溜まった遊技球を弾発することにより、該遊技球は前記球誘導レール3gに沿って上方に発射され、該遊技球は該球誘導レール3gの内側の遊技領域を流下し、前記可変入賞口2b、多連入賞口2c等に入賞し得るようになる。
こうした遊技中は、入賞状況に応じて前記図柄変動表示装置9に文字、図柄等が表示され、窓孔3aを通してその表示が見られると同時に、透明または半透明なる遊技板3を透過して前記凹凸状成形シート5を見られるので、該凹凸状成形シート5に立体的に表示された花柄等の図柄が遊技板3の略々全体で見られる。ここで、該凹凸状成形シート5は、遊技板3の後側であって該遊技板3の外周縁に近づくに従い序々に前方へ傾斜するように配設されているので、遊技者から見て実際以上に広い空間と奥行きが遊技機内にあるように見受けられる。また、発光ダイオード7aを点滅させることによっては、該凹凸状成形シート5に形成された図柄が遊技板3を透過して一層際立ってリアルに見られるとともに、該発光ダイオード7aの点滅と図柄変動表示装置9の表示とを連動させることによっては演出効果がさらに絶大になる。
【0013】
なお、凹凸状成形シート5に形成する図柄としては、この実施形態に示した花柄以外にも、花火を表示したり、洞窟に探検に入った際に見える岩肌を表示したり、宇宙旅行に行った際にロケットの窓から見られる景色を表示するなど、種々の試みをすることができる。
また、凹凸状成形シート5の成形方法は、実施形態に示した真空成形の他、熱可塑性合成樹脂製シートを空気圧により成形型に圧着させる圧空成形によって成形してもよい。いずれにしても、熱成形は、使い捨て弁当箱等の包装用容器が成形されるように、石膏型、木型等の安価な成形型と安価な装置によって実現できるので、従来のように射出成形される装飾体のような製作コストは要さず、コストを大幅に軽減することができる。このため、透明又は半透明な合成樹脂製の遊技板を用いることで奥行きのある演出が可能な優れた性能の魅力ある弾球遊技機を低コストで製造することが可能となる。
【0014】
なお、この実施形態では導光板4や拡散シート6を設けたが、このように光を屈折、拡散させる資材は、表示の必要に応じて適宜設けられ、常に必要とするものではない。例えば、点光源である発光ダイオードを夜空に輝く星の如くに表示しようとする場合には、拡散シート6は必要としない。このように導光板4や拡散シート6は光の演出効果を増大させるために必要に応じて設けられ、この実施形態に示した以外の光加工シートを設けることも可能である。
また、発光ダイオード等の光源を前記センター枠2e等の表部品2の裏側、或いは遊技板3等に設け、該光源により凹凸状成形シート5を前方から照らすようにすることもできる。要するに、光源の配置についてもこの実施形態に限らず自在に設定することが可能である。
【符号の説明】
【0015】
1…遊技盤ユニット、 2…表部品、 2a…大入賞口、 2b…可変入賞口、 2c…多連入賞口、 2d…通過チャッカー、 2e…センター枠、 3…遊技板、 3a…窓孔、 3b〜3e…部品取付孔、 3f…位置決孔、 3g…球誘導レール、 4…導光板、 5…凹凸状成形シート、 5a…透孔、 5b〜5e…シート部材、 5f…開口、 5g…電動アクチュエータ、 5h…キャラクタ、 6…拡散シート、 7…発光基板、 7a…発光ダイオード、 7b…透孔、 7c…組付板、 8…組付ケース、 8a…組付孔、 9…図柄変動表示装置、 10…遊技機本体、 10a…発射ハンドル、 10b…球皿、 20…熱可塑性合成樹脂製シート、 21…ヒータ、 22…雌型
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7