(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記正圧は、絶対圧1バールから9バールであり、好ましくは絶対圧2.5バールから6バールであり、より好ましくは絶対圧2.8バールから3.3バールであることを特徴とする、
請求項1または2に記載の方法。
前記正圧は、大気圧に対応しており、好ましくは絶対圧1バールであり、あるいは前記充填物(110)の飽和圧に対応しており、好ましくは絶対圧1.1バールから6バールであり、またあるいは前記飽和圧を上回っており、好ましくは絶対圧1.6バールから9バールであることを特徴とする、
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
前記プリフォーム(30)と前記内壁(22)の間に区画される外部空間(O)は、前記ブロー媒質による前記プリフォーム(30)の加圧に先立って負圧まで排気されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
前記外部空間(O)の前記負圧は、絶対圧0.5バールから0.05バールであり、好ましくは0.3バールから0.1バールであり、より好ましくは0.1バールであることを特徴とする、
請求項6に記載の方法。
前記プラスチック容器(3)の前記内部空間(I)への前記充填物の導入に先立ち、前記内部空間(I)の圧力と前記外部空間(O)の圧力は等しくされることを特徴とする、請求項6または7に記載の方法。
前記充填物の導入に先立ち、前記プラスチック容器(3)の前記内部空間(I)の圧力は、当該プラスチック容器(3)を前記ブロー金型(2)の前記キャビティ(20)の前記内壁(22)から外すために、前記外部空間(O)の圧力よりも低くされることを特徴とする、
請求項6または7に記載の方法。
前記充填物は、炭酸入りの充填物であり、好ましくは炭酸飲料であり、より好ましくは、ビール、炭酸入りソフトドリンク、あるいはミネラルウォーターであることを特徴とする、
請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
前記プラスチック容器(3)の前記内部空間(I)への前記充填物(110)の供給に先立ち、あるいは供給中に、またあるいは供給後に、当該プラスチック容器(3)の当該内部空間(I)へ香料、飲料添加物、および飲料成分の少なくとも一つが投入されることを特徴とする、
請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
前記ブロー金型(2)内に配置されたプリフォーム(30)を前記プラスチック容器(3)にブロー成型あるいは延伸ブロー成型するブローノズル(4)が設けられており、
前記ブローノズル(4)は、前記プラスチック容器(3)の内部空間(I)を排気して前記充填物を当該内部空間(I)へ導入するように構成されていることを特徴とする、
請求項17から19のいずれか一項に記載の装置(1)。
前記ブロー金型(2)内に配置されたプリフォーム(30)を前記プラスチック容器(3)にブロー成型あるいは延伸ブロー成型するブローノズル(4)が設けられており、
前記プラスチック容器(3)の内部空間(I)を負圧になるまで排気し、排気された当該内部空間(I)に充填物を充填する充填ノズル(5)がさらに設けられており、
前記ブローノズル(4)と前記充填ノズル(5)は、前記プリフォーム(30)または前記プラスチック容器(3)の口部(26)と順次圧密接続されることを特徴とする、
請求項17から20のいずれか一項に記載の装置(1)。
充填済みの前記プラスチック容器(3)を容器蓋で閉じることが可能なキャッパー(89)が、前記ロータリーカルーセル(80)にさらに設けられていることを特徴とする、請求項22に記載の装置(1)。
香料、飲料添加物、及び飲料成分の少なくとも一つを前記プラスチック容器(3)の内部空間(I)へ投入するフレーバー投入器(58)が設けられていることを特徴とする、請求項17から25のいずれか一項に記載の装置(1)。
【背景技術】
【0002】
ブロー成型機および延伸ブロー成型機が知られている。これらの装置によりプラスチック容器(ペットボトルなど)が製造される。この場合、いわゆるプリフォームがまずオーブンで加熱され、ブロー成型機または延伸ブロー成型機のブロー金型に導入される。ブロー金型は、製造されるペットボトルの形状に対応する内輪郭形状を有している。プリフォームは、ブロー媒質による加圧を通じて膨らまされ、最終的なペットボトル形状となる。ブロー圧力によりプリフォームの材料がブロー金型のキャビティの内壁に押し付けられ、容器の輪郭が形成される。
【0003】
延伸ブロー成型法においては、ブロー媒質によるプリフォームの(内側の)本加圧に先立ち、延伸ロッドによってプリフォームが機械的に予備延伸されるとともに、予備膨張がなされる。予備膨張の後で、プリフォームはブロー媒質により加圧される。これにより、プリフォームは、ブロー金型のキャビティの内壁に押し付けられる。その後、ブロー金型が開かれ、完全にブロー成型あるいは延伸ブロー成型されたペットボトルが離型され、次工程に送られうる。
【0004】
ブロー金型は、互いに独立した少なくとも一つの基型と二つの半型を含むことが一般的である。二つの半型は、成型されたペットボトルを支障なく離型できるように、離間可能とされている。このとき、開かれたブロー金型に新たなプリフォームが導入されうる。
【0005】
ブロー成型機には様々な構成がありうる。特に、ロータリー型のブロー成型機が知られている。ロータリー型のブロー成型機は、カルーセル上に配置されて回転する複数のブロー金型を有している。これによってほぼ連続的なプラスチックボトルの製造がなされうる。固定されたブロー金型を有するブロー成型機も知られている。この場合、複数のブロー金型が並んでいるか、複数のキャビティを有する単一のブロー金型が設置されているのが一般的である。固定されたブロー金型を有するそのようなブロー成型機の場合、複数のペットボトルが周期的に製造され、それらが次工程に送られうる。
【0006】
ブロー成型機内で製造されて各ブロー金型から離型された後のペットボトルは、充填機において充填に供されることが一般的である。充填機において、容器(ペットボトルの場合)は、その基部または支持リングにおいて保持され、周知の充填物バルブにより充填される。ペットボトルを充填するための多様な充填システムや充填エレメントが知られている。これらにより可能とされる充填法としては、フリージェット充填、カウンタープレッシャー充填、重量充填、真空充填、投入室充填などが知られている。
【0007】
ペットボトルは、実充填に先立って洗浄または消毒に供される。充填が衛生的かつ無菌的に行なわれるようにするためである。特に酸素に敏感な充填物の場合、当該充填物の実充填に先立って、所定のガス組成(好ましくは、低酸素のガス組成)を容器内に形成することも知られている。この場合、充填用容器はガスフラッシングに曝されることが一般的である。ガスフラッシングにおいては、まず容器内に負圧状態が形成される。次いで、フラッシングガス(二酸化炭素のような不活性ガス)が、当該容器内に導入される。その後、この所定のガス雰囲気下において充填物が充填される。特に低酸素の雰囲気が容器内に必要とされる場合、フラッシング工程は、繰り返し行なわれうる。
【0008】
また、以下のような容器の製造および充填法が知られている。プラスチックボトルの製造がブロー成型機または延伸ブロー成型機により行なわれ、当該成型機内において充填物による充填も行なわれる。この方法の利点は、製造後における各容器の内部空間が概ね衛生的である点にある。ブロー成型用のプリフォームは、一旦100℃を上回る高温で加熱されるからである。製造後直ちに各容器が充填されると、無菌的な、あるいは少なくとも衛生的な充填が可能である。
【0009】
例えば、熱可塑性材料からなる中空体を成型および充填するブロー成型・充填ヘッドが特許文献1に記載されている。ブロー成型・充填ヘッドには、成型された容器を直ちに充填物で充填する。
【0010】
各プラスチック容器を充填物により膨らませる充填ヘッドが特許文献2に記載されている。すなわち、製造と充填が同時に行なわれ、容器は、製造の完了時において充填物により充填されている。
【0011】
ブロー成型機内において充填がなされる手法においては、大気圧状態あるいは正圧状態で充填が行なわれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記に鑑み、本発明は、プラスチック容器を製造し、充填物で充填する方法および装置であって、充填効率が向上したものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、請求項1に記載の特徴を有する方法により達成される。さらなる有利な構成は、従属請求項に記載の特徴により得られる。
【0015】
ここに提案される方法は、プラスチック容器を製造し、充填物で充填する方法であって、プリフォームをブロー金型に導入するステップと、前記プリフォームをブロー媒質で加圧して前記プラスチック容器を製造するステップとを備えている。本発明によれば、前記ブロー金型に収容された前記プラスチック容器の内部空間は、負圧になるまで排気され、正圧とされた充填物が前記負圧とされた前記プラスチック容器の前記内部空間に導入される。
【0016】
ブロー成型後かつ充填物による充填前にプラスチック容器が負圧にされ、当該容器が正圧とされた充填物により充填されることにより、特に効率的かつ迅速なプラスチック容器の充填が行なわれうる。容器が既に十分に排気されているため、口部の全断面が容器への充填物の導入に使われうる。また、充填物の流入によって置換される気体のような流体の逆流が起こりえない(排気の度合いによっては僅かに起こりうる)ため、充填が特に迅速に行なわれうる。
【0017】
さらに、内部空間と供給される充填物の間に大きな圧力差が存在するため、プラスチック容器の立場からは充填物が容器に吸い込まれ、充填物供給部の立場からは充填物が容器へ押し出される。
【0018】
したがって、容器が排気された直後に、非常に迅速なプラスチック容器の充填が可能とされうる。
【0019】
プラスチック容器は、充填物の導入前に負圧になるまで排気されることが好ましい。当該負圧は、絶対圧0.5バールから0.05バールであり、好ましくは0.3バールから0.1バールであり、より好ましくは0.1バールである。そのような負圧下で充填物がプラスチック容器に充填されるため、充填中も容器の内部空間は排気されており、当該充填物による置換気体が存在しない。すなわち、プラスチック容器の内部空間から流出を強いられる気体が存在しない。他方、プラスチック容器の口部の断面全体が充填物の流入に使用されうる。換言すると、プラスチック容器内へ向かう充填物の流れのみが生ずる。さらに、充填に供されるプラスチック容器内の負圧と充填物リザーバ内の正圧の圧力差により、充填物による充填が促進される。
【0020】
本方法の有利な別実施形態においては、充填物が大気圧に対応する正圧(好ましくは絶対圧1バール)で供給される。プラスチック容器内の負圧に対する正圧が生じる結果として、供給される充填物とプラスチック容器の間に圧力勾配が生ずる。
【0021】
当該正圧は、充填物の飽和圧に対応してもよい。当該正圧は、好ましくは絶対圧1.1バールから6バールであり、より好ましくは絶対圧2.5バールから6バールであり、さらに好ましくは絶対圧2.8バールから3.3バールである。飽和圧に対応する正圧により、炭酸入り充填物からの二酸化炭素の放出を抑制できる。
【0022】
別例においては、前記正圧は、充填物の飽和圧を上回っている。当該正圧は、絶対圧1.6バールから9バールであることが好ましい。充填物の飽和圧を上回るような高い正圧は、充填物中の二酸化炭素を飽和状態にできる。また、供給される充填物とプラスチック容器の圧力勾配が非常に大きくなり、充填工程をさらに高速化できる。
【0023】
充填物とプラスチック容器の間にもたらされた圧力勾配により、プラスチック容器の充填は、突発的に行なわれうる。突発的な充填は、充填工程のほぼ開始時に行なわれる。充填工程の終了が近づき、プラスチック容器が充填物によりほぼ充填されると、プラスチック容器のヘッドルームの圧力と充填物の圧力の間に平衡が生じうる。プラスチック容器内の残留気体の圧力が、大気圧あるいは供給される充填物の圧力まで上昇するからである。しかしながら、得られる圧力差や圧力平衡は、初期圧(特に、充填に供されるプラスチック容器内の初期負圧)に依存する。
【0024】
すなわち、充填工程中のプラスチック容器内の圧力変化は、充填工程の開始時において充填に供されるプラスチック容器内に存在する初期圧、および当該プラスチック容器内に存在する残留気体に依存する。プラスチック容器が充填物により充填されるとき、当該充填物は、残留気体と開きスペースを共有する。したがって、プラスチック容器の内圧が上昇する。結果として得られる圧力曲線は、プラスチック容器の現充填状況を判断する手段にもなりうる。これに基づき、例えば充填工程の終了時点に達したことも判断されうる。
【0025】
プラスチック容器の充填物による充填が無菌状態および低酸素状態で行なわれうるようにするために、充填に供されるプラスチック容器は、充填物の充填のために行なわれる実排気に先立ち、まず予備排気され、次いでフラッシングガスによりフラッシングされることが特に好ましい。これに続き、当該プラスチック容器は、前述の負圧になるまで再排気される。そして、そのように排気されたプラスチック容器が充填物により充填される。これにより、プラスチック容器内に残留する気体のほとんどは、所定の気体(二酸化炭素など)とされうる。これにより、充填に供されるプラスチック容器の充填が、所定の雰囲気下(特に低酸素雰囲気下)で行なわれうる。したがって、保存期間や製品寿命の延長がなされうる。よって、ビールのように酸素に敏感な製品を充填できる。
【0026】
充填物が導入された後、充填済みのプラスチック容器は、加圧ガスにより加圧されることが好ましい。加圧ガスは、絶対圧2バールから9バールであり、好ましくは絶対圧3.5バールから7バールであり、より好ましくは絶対圧3.8バールから5.5バールである。二酸化炭素のような不活性ガスが、加圧ガスとして特に好ましく使用されうる。
【0027】
充填済みのプラスチック容器が二酸化炭素のような加圧ガスで加圧されると、圧力が上昇し、充填済みプラスチック容器のヘッドルームに存在する充填物の泡が、強制的にプラスチック容器内に押し戻されうる。また、充填物パイプ内に残る泡や充填物が空にされる。さらに、加圧ガスによるプラスチック容器の加圧により、充填物への二酸化炭素の再吸収あるいは再溶解を促進できる。結果として、充填済みプラスチック容器内の充填物の沈静時間が短縮され、充填済みプラスチック容器の搬出やキャッピングの準備に充てられうる。
【0028】
プラスチック容器の圧潰を防止するために、プラスチック容器の内部空間の排気時に当該プラスチック容器の外側が負圧とされることが好ましい。この場合、例えば、プラスチック容器の壁とブロー金型の内壁の間の空間が、負圧になるまで排気されうる。好適な別例においては、排気されたプラスチック容器の内部空間と外側の圧力は、ほぼ等しい。プラスチック容器の内部空間と外側について同じ圧力条件が得られるため、印加される負圧によるプラスチック容器の圧潰が防止されうる。
【0029】
プリフォームやプラスチック容器とブロー金型のキャビティの内壁の間に区画される外部空間は、当該プリフォームがブロー媒質により加圧される前と、当該プラスチック容器に充填物が導入される前の少なくとも一方において、負圧になるまで排気されることが好ましい。この場合、当該負圧は、絶対圧0.5バールから0.05バールであり、好ましくは0.3バールから0.1バールであり、より好ましくは0.1バールである。別例においては、プラスチック容器の内部空間への充填物の導入に先立ち、内部空間と外部空間の圧力が等しくされる。
【0030】
ブロー金型内の負圧は、プリフォームからプラスチック容器がブロー成形あるいは延伸ブロー成形される前に印加されうる。これにより、ブロー成形工程あるいは延伸ブロー成型工程が容易とされる。結果として、プラスチック容器は、より低いブロー圧で製造されうる。これにより、製造工程を全体として低コストにできる。
【0031】
しかしながら、プラスチック容器の内部空間とブロー金型内に印加された負圧は、製造工程の途中で変化されうる。例えば、製造済みのプラスチック容器がブロー金型の壁から外れるのを容易にするためである。この場合、例えば、まず僅かな負圧がブロー成形済みのプラスチック容器内に印加される。これにより、当該プラスチック容器は僅かに収縮し、ブロー金型のキャビティの壁から外れることができるようになる。また、取外しを容易にするために、プラスチック容器の製造後において、プラスチック容器の内部空間に対して僅かに高い初期圧力を、ブロー金型内に(すなわち、キャビティの壁とプラスチック容器の壁の間に)印加できる。これは、充填工程の完了後に行なわれてもよい。
【0032】
充填物によるプラスチック容器の充填後に、プラスチック容器とブロー金型(すなわち、プラスチック容器とブロー金型のキャビティの壁の間の空間)の双方が同じ圧力または大気圧に戻されうる。その後、充填を終えたプラスチック容器が搬出されうる。
【0033】
別例においては、充填完了後に内部空間を不活性ガスのような加圧ガスで加圧できる。これにより、プラスチック容器内のヘッドルームに所定の雰囲気を形成できる。これは、酸素に敏感な飲料の場合に特に有用である。
【0034】
上記の充填法は、炭酸を含まない飲料(炭酸を含まない水、ジュース、茶製品など)が充填用プラスチック容器内に突発的に充填される場合に特に適している。炭酸を含まない飲料は発泡性が僅かか皆無であるため、プラスチック容器の内部空間は、充填後直ちに大気圧に戻されうる。充填済みプラスチック容器は、ブロー金型から離型された後、キャッパーなどの次工程ステーションへ搬送されうる。
【0035】
方法や装置が炭酸飲料(ソフトドリンク、ビール、炭酸入りミネラルウォーターなど)の充填に用いられる場合、負圧とされたプラスチック容器の内部空間が炭酸飲料で突発的に充填されると、二酸化炭素の放出が多く生ずる。炭酸入り充填物は発泡性が高く、充填直後に内部空間の圧力が大気圧と等しくされると噴き出しや泡立ちが生じうる。よって、少なくともプラスチック容器が炭酸入り充填物で充填される場合には、充填済みのプラスチック容器に加圧ガス(二酸化炭素など)を注入することが好ましい。注入時の圧力は、炭酸入り充填物中の二酸化炭素の飽和圧であることが好ましく、当該飽和圧を上回る圧力であることが特に好ましい。これにより、充填物からの過剰な二酸化炭素の放出が回避されうる。また、炭酸入り充填物への二酸化炭素の再溶解がさらに促進されうる。したがって、高い二酸化炭素圧で内部空間を加圧することにより、炭酸入り充填物が沈静するまでの時間が短縮され、沈静工程が高速化されうる。すなわち、上記のように加圧ガスにより加圧されたプラスチック容器内の圧力は、過剰な泡立ちやプラスチック容器からの充填物の噴き出しのリスクを伴うことなく、短時間で常圧に戻されうる。
【0036】
そして、当該プラスチック容器は、この圧力レベルで閉塞されることが特に好ましい。この場合、充填が完了したばかりのプラスチック容器がブロー金型から離型され、適当な圧力雰囲気下とされたキャッパーへ搬送されうる。あるいは、プラスチック容器がブロー金型内で加圧されているうちに閉塞がなされうる。
【0037】
前述のように、好適な別例においては、プラスチック容器は、炭酸を含まない充填物(すなわち、炭酸を含まない水、ジュース、茶製品のように二酸化炭素が加えられていない充填物)により充填される。このとき、充填済みの容器は、大気圧条件下(絶対圧1バール)で閉塞されうる。すなわち、充填工程の後、充填済み容器内の圧力は、例えば大気圧まで解放されうる。次いで、当該容器は、適当なキャッパーへ搬送されうる。キャッパーは、やはりほぼ大気圧条件下において、充填済み容器を閉塞できる。
【0038】
キャッピング工程の前あるいは最中に、充填済みプラスチック容器のヘッドルームへ不活性ガスを導入できる。例えば、気化した不活性ガスを吹き付けることにより、あるいは液体窒素のような液化不活性ガスを滴下することにより、導入がなされる。液化不活性ガスは、プラスチック容器のキャッピング中、あるいはキャッピング後に気化する。すなわち、充填済みプラスチック容器のキャッピングは、充填時とは異なる圧力でも行なわれうる。
【0039】
プラスチック容器のブロー成形と充填が同じノズルにより遂行される場合、充填工程が非常に効率的に行なわれる。排気と充填の別工程がノズルを変更することなく行なわれうるからである。しかしながら、ブローノズルを充填ノズルで交換してもよい。
【0040】
好ましくは、プラスチック容器の内部空間への充填物の充填前、充填中、および充填後の少なくともいずれかにおいて、香料、飲料添加物、および飲料成分の少なくともいずれかがプラスチック容器の内部空間へ投入される。「飲料添加物」という語は、シロップや保存料を含む意味である。
【0041】
香料、飲料添加物、および飲料成分の少なくともいずれかをプラスチック容器の内部空間へ投入することにより、香料、飲料添加物、および飲料成分の少なくともいずれかの柔軟な投入が可能である。これにより、異なるフレーバー間の迅速な変更が可能になる。前述の迅速な充填工程により、ロータリー充填機における処理角度の一部が他の機能に使用されうる。したがって、前述の方法によれば、香料、飲料添加物、および飲料成分の少なくともいずれかを投入するフレーバー投入器をさらに設けてもよい。これにより、フレーバー間の有利な変更が可能になる。
【0042】
また、上記の目的は、請求項17に記載の特徴を有する装置によって達成される。さらなる有利な構成は、従属請求項に記載の特徴により得られる。
【0043】
当該装置は、プラスチック容器を製造し、充填物で充填する装置であって、プリフォームからプラスチック容器をブロー成型あるいは延伸ブロー成型するブロー金型と、前記ブロー金型に収容されたままの前記プラスチック容器に充填物を供給する充填物供給部と、を備えている。本発明によれば、前記充填物の充填に先立ち、前記ブロー金型に収容された前記プラスチック容器の内部空間を排気する真空装置が設けられている。
【0044】
当該装置は、内部空間を負圧にする真空装置を備えているため、充填物で充填される前に内部空間を排気できる。これにより、前述のように充填工程を高速化できる。
【0045】
ブロー金型は、内部が負圧に保たれるように、圧密に形成されていることが好ましい。上記の方法について説明したように、プラスチック容器の壁とブロー金型のキャビティの壁の間に負圧を印加することにより、排気が行なわれてもプラスチック容器が圧潰しないようにできる。また、所定の圧力条件をプラスチック容器の外側に形成できる。これにより、例えば、ブロー金型の壁からのプラスチック容器の取り外しが容易とされる。
【0046】
ブロー金型は、真空装置と連通可能であることが好ましい。これにより、プラスチック容器への充填物の導入前に、ブロー金型のキャビティが負圧になるまで排気されうる。
【0047】
ブロー金型内に配置されたプリフォームをプラスチック容器にブロー成型あるいは延伸ブロー成型するブローノズルが設けられることが好ましい。当該ブローノズルは、プラスチック容器の内部空間を排気して充填物を当該内部空間へ導入するように構成される。
【0048】
ブロー金型内に配置されたプリフォームをプラスチック容器にブロー成型あるいは延伸ブロー成型するブローノズルが設けられており、プラスチック容器の内部空間を負圧になるまで排気し、排気された当該内部空間に充填物を充填する充填ノズルがさらに設けられていると有利である。この場合、ブローノズルと充填ノズルは、プリフォームまたはプラスチック容器の口部と順次圧密接続される。
【0049】
有利な別例においては、複数のブロー金型がロータリーカルーセルに設けられており、当該ロータリーカルーセルにおいて、ブロー金型に収容されたプリフォームをプラスチック容器にブロー成型あるいは延伸ブロー成型するだけでなく、プラスチック容器の内部空間を排気して充填物を当該内部空間へ導入することが可能である。
【0050】
特に好ましくは、キャッパーが設けられる。当該キャッパーにより、充填済みのプラスチック容器が閉塞されうる。このとき、プラスチック容器内の圧力が大気圧に解放されることはない。これにより、充填済みプラスチック容器内の圧力解放が回避されうる。よって、充填工程が高速化されうる。泡立ち、噴き出し、溢れ出しを防ぐために充填物が沈静するのを待つ必要がないからである。他方、キャッピングが同じ条件で(特に充填時と同じ圧力条件で)行なわれる。
【0051】
充填済みプラスチック容器のキャッピング自体は、周知のキャッパーにより周知のキャップを用いて行なわれうる。すなわち、当該キャッパーは、クラウンコルカー、プラグキャッパー、スクリューキャッパー、ロールオンキャッパーなどでありうる。
【0052】
キャッピングヘッドが設けられることが好ましい。キャッピングヘッドは、外気に対して封止されたキャッピングヘッド領域を有している。キャッピングヘッド領域は、充填物パイプとキャッパーをプラスチック容器の口部とともに収容する。特に好ましくは、キャッピングヘッド領域は、プラスチック容器を収容するために開閉されうる。キャッピングヘッド領域は、二つのキャッピングヘッド掴みを備えていることが好ましい。二つのキャッピングヘッド掴みは、プラスチック容器を収容し、好ましくは容器蓋を供給するために開閉されうる。このようなキャッピングヘッドにより、キャッピングヘッド領域において同じ気体雰囲気下かつ同じ圧力下で充填とキャッピングがなされうる。
【0053】
充填物供給部に正圧が印加されうると有利である。このような構成は、充填物の高さの上方で加圧されたガス室を備える充填物リザーバとして実現されることが好ましい。あるいは、充填物で満たされ、加圧されたライン(好ましくは、加圧されたブラック充填ライン)として実現されることが好ましい。
【0054】
有利なさらに別の例においては、充填物パイプは、プラスチック容器の口部の断面積と同一の断面積を有している。そして、充填用プラスチック容器の口部の断面全体が充填物の充填に使用されうる。口部の断面全体を使用することにより、特に迅速な充填物の充填がなされうる。
【0055】
有利なさらに別の例においては、香料、引用添加物、および飲料成分の少なくとも一つをプラスチック容器の内部空間に投入するフレーバー投入器が設けられている。フレーバー投入器は、例えば、蠕動ポンプの形態で設けられうる。蠕動ポンプによって、香料、引用添加物、および飲料成分の少なくとも一つが、対応するリザーバから送り出され、投入される。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図面の補助を得つつ、好適な実施形態の例が以下に記載される。各図においては、同一または同様の要素、あるいは同一の効果を奏する要素は、同一の参照符号により指示される。これらの要素について繰り返しとなる説明の一部は、冗長性を避けるために省略される。
【0059】
図1から
図4においては、プラスチック容器を製造し、これを充填物で充填する装置1が模式的に示されている。プラスチック容器を製造するために、ブロー金型2が設けられている。ブロー金型2は、キャビティ20を有している。キャビティ20は、内壁22を有している。内壁22は、製造される容器の外形状に対応している。ブロー金型2においては、基本的には周知の手法で(ブロー成型または延伸ブロー成型によるプリフォームの加熱を通じて)プラスチック容器が製造される。延伸ブロー成型工程においては、加熱されたプリフォームが延伸ロッドにより予備延伸されるとともに予備膨張される。次いで、ブロー媒質(圧縮空気)による加圧を通じて完全なブロー成型がなされる。これにより、ブロー金型2のキャビティ20の内壁22の輪郭に沿うプラスチック容器3の壁が形成される。
【0060】
ブロー金型2は、二つの横型200、202と一つの基型204を有している。例えば新たなプリフォームを挿入したり、出来上がったプラスチック容器を離型したりするために、ブロー金型2が開かれる。このとき、横型200、202は、矢印Sで示される横方向へ離間されうる。また、基型204は、矢印Aで示される下方向へ変位されうる。二つの横型200、202と基型204は、ともにブロー金型2を形成し、キャビティ20を区画する。二つの横型200、202と基型204が離間される場合、二つの横型200、202が横方向Sに変位されると基型204が下方向Aに変位され、キャビティ20内のブロー成型されたプラスチック容器が、窪みに邪魔されることなく離型されうる。そのようなブロー金型2も、基本的に周知である。
【0061】
図示されたブロー金型2は、模式的に示されたガスケット206により圧密的な構成とされる。これにより、ブロー金型2のキャビティ20内に形成された正圧あるいは負圧がほぼ維持されうる。
【0062】
プリフォーム30は、ブロー金型2のキャビティ20に挿入される。プリフォーム30の口部32(ねじ部あり)と支持リング34は、プリフォーム30をキャビティ20内に堅固に保持する。そのため、図示の実施形態例においては、ネックホルダ24が設けられている。ネックホルダ24は、ネックホルダガスケット240により、横型200、202に対して圧密的に封止されている。ネックガスケット230がさらに設けられており、プリフォーム30の口部32をネックホルダ24に対して圧密的に封止可能にしている。
【0063】
図示されたこれらのガスケットにより、プリフォーム30は、ブロー金型2内に収容されうる。プリフォーム30の内部空間Iは、外部空間Oと圧密的に隔離されている。外部空間Oは、プリフォーム30の外壁とブロー金型2におけるキャビティ20の内壁の間に形成されている。ブロー金型2の内壁22は、プリフォーム30の内部空間Iに対して封止されている。これにより、内部空間Iと外部空間Oの間で異なる圧力が存在しうる。また、当該異なる圧力が維持されうる。
【0064】
プリフォーム30とブロー金型2におけるキャビティ20の内壁22の間に形成される外部空間Oは、外部環境に対してはより完全に封止されている。挿入されたプリフォーム30は、ネックガスケット230により封止され、基本的にストッパとして機能する。これにより、ブロー金型2の入口部26が閉じられる。
【0065】
外部空間Oは、圧力平衡チャネル28を通じてアクセス可能である。内部空間Iは、プリフォーム30の口部32を通じてアクセス可能である。
【0066】
プリフォーム30がブロー金型2内に挿入され、横型200、202と基型204が密閉されると、ブロー成型工程あるいは延伸ブロー成型工程が開始可能となる。プリフォーム30は、約100℃に予備加熱された状態でブロー金型2に挿入されることが一般的である。すなわち、プリフォーム30は、ブロー金型2に挿入される前に、オーブンで加熱される。
【0067】
図2は、延伸ブロー成型工程における第一工程を模式的に示している。ブローノズル4がネックホルダ24上に配置され、シールを形成する。また、延伸ロッド40がプリフォーム30内に導入される。延伸ロッド40により、プリフォームが予備延伸される。このとき、ブロー媒質チャネル42を通じて予備膨張も行なわれる。次いでプラスチック容器のブロー成型が行なわれる。
【0068】
図3は、ブロー成型が完了した状態を模式的に示している。ここで、延伸ロッド40は既に引き抜かれている。完全にブロー成型されたプラスチック容器3の内部空間Iは、ブロー媒質チャネル42を通じて正圧とされている。この正圧により、容器の壁300は、キャビティ20の内壁22に当接し、その形状に追随する。すなわち、このように製造されたプラスチック容器3は、キャビティ20の内壁22に沿う外形状を有している。
【0069】
外部空間Oに存在する気体は、圧力平衡チャネル28を通じて逃げうる。そのような気体の例としては、ブロー金型2が閉じられる前にプリフォーム30が挿入されたとき(
図1に示される状態)に進入を許した外気が挙げられる。よって、プラスチック容器3の内部空間Iにおいては、ブロー金型2内の外部空間Oの圧力(例えば1バールの大気圧)に対する正圧が存在する。この圧力は、圧力平衡チャネル28によりもたらされる。
【0070】
あるいは、外部空間Oは、延伸ブロー成型が始まる前に排気されうる。これにより、外部空間Oが負圧とされ、ブロー成型工程を容易にできる。したがって、ブロー成型工程あるいは延伸ブロー成型工程のためにプラスチック容器3の内部空間Iに印加が必要とされる圧力を低減できる。また、外部空間Oが負圧にされることにより、ブロー成型あるいは延伸ブロー成型中に必要とされる圧縮空気の量も低減できる。よって、工程全体を安価にできる。したがって、外部空間Oを負圧にすることは、プラスチックボトルの成型工程を容易にする。
【0071】
ブロー成型工程あるいは延伸ブロー成型工程を容易にするために外部空間Oに印加される負圧は、絶対圧0.5バールから0.05バールであることが好ましい。
【0072】
図4においては、充填ノズル5がブロー金型2の入口部26に配置されてシールを形成している。この充填ノズル5は、模式的に示された充填物供給部50と真空装置6の双方に接続されている。充填物をプラスチック容器3へ導入するために、充填物供給部50は、充填物バルブ52によって充填ノズル5と連通されうる。プラスチック容器3を排気するために、充填ノズル5は、真空バルブ60によって真空装置6と連通されうる。
【0073】
例えば、充填物供給部50は、充填物リザーバと接続されうる。充填物リザーバには正圧が印加されて全体として加圧状態とされる。充填物リザーバのガス室に収容されたガスは、好ましくは不活性ガスであり、より好ましくは二酸化炭素である。当該正圧は、好ましくは絶対圧1バールから9バールであり、より好ましくは絶対圧2.5バールから6バールであり、さらに好ましくは絶対圧2.8バールから3.3バールである。
【0074】
別例においては、充填物供給部50内の充填物は、大気圧に対応する正圧(好ましくは絶対圧1バール)で供給されうる。また、充填物は、当該充填物の飽和圧(好ましくは絶対圧1.1バールから6バール)で供給されうる。さらなる別例においては、充填物は、当該充填物の飽和圧を上回る正圧(好ましくは絶対圧1.6バールから9バール)で供給されうる。
【0075】
真空装置6によって、プラスチック容器3の内部空間Iは排気されうる。そして、当該プラスチック容器3の内部空間Iに存在する気体が吸い出されうる。真空装置6によりプラスチック3の内部空間Iにもたらされうる圧力は、好ましくは絶対圧0.5から0.05バールであり、より好ましくは0.3バールから0.1バールであり、さらに好ましくは約0.1バールである。これにより、内部空間Iに存在する気体の大部分は、真空装置6により吸い出されうる。
【0076】
プラスチック容器3の内部空間Iと連通されうる真空装置6によって、当該内部空間Iは、充填物の充填前に排気されうる。この場合、真空バルブ60が開かれると、内部空間Iに存在する気体は、真空装置6によって抜かれる。プラスチック容器3の内部空間Iに存在する気体は、プリフォーム30から当該プラスチック容器3をブロー成型したブロー媒質であることが一般的である。
【0077】
真空装置6は、大きな負圧を内部空間Iに提供できるように構成されることが好ましい。当該負圧は、例えば、絶対圧0.5から0.05バールの範囲である。
【0078】
バルブ(特に充填物バルブ52と真空バルブ60)は、ここでは図示されていない制御装置により制御される。制御装置は、アナログコンピュータにより実施されうる。あるいは、制御装置は、プログラムされたコンピュータ(パーソナルコンピュータや産業コンピュータなどの形態)により有利に実施されうる。また、制御装置は、ブロー成型機や充填設備の全体制御システムにおけるモジュールでありうる。
【0079】
制御装置は、本明細書に記載された方法を遂行するように構成されており、特に、当該方法を遂行して設備における然るべき構成部品を制御するようにプログラムされている。すなわち、バルブと構成部品は、当該方法が記載の通りに実行されるように、順次操作されうる。
【0080】
図示はされていないものの、制御装置は、例えばプラスチック容器3の内部空間Iの圧力状態を監視するセンサや送信器と接続されていることが特に好ましい。
【0081】
圧力平衡チャネル28もまた、真空ライン62と圧力平衡バルブ64を介して真空装置6と接続されており、外部空間Oの排気も可能にしている。これにより外部空間Oが到達する負圧は、内部空間Iが到達する負圧に対応している。
【0082】
あるいは、内部空間Iの圧力は、外部空間Oの圧力と相違してもよい。
【0083】
図示された実施形態例においては、プラスチック容器3の充填物による充填を開始するために、まず充填ノズル5が真空バルブ60を介して真空装置6と連通される。これにより、プラスチック容器3の内部空間Iが排気され、当該内部空間Iが負圧とされる。
【0084】
このとき、外部空間Oは、圧力平衡チャネル28、真空ライン62、および圧力平衡バルブ64を介して真空装置6に接続される。これにより、外部空間Oもまた負圧とされる。真空バルブ60と圧力平衡バルブ64が同時に開かれ、真空装置6との接続が形成されると、外部空間Oに印加される負圧が、内部空間Iにおける圧力とほぼ一致する。換言すると、同じ圧力が内部空間Iと外部空間Oの双方に提供される。
【0085】
特に好ましい実施形態においては、内部空間Iと外部空間Oの圧力は、僅かに相違してもよい。両者の差、あるいは両者の絶対圧は、時間とともに変化しうる。
【0086】
ブロー成型後にプラスチック容器3の壁300の外側がブロー金型2のキャビティ20の内壁に付着するのを防止するために、あるいは、容器の壁300をブロー金型2の内壁22から取り外すのを容易にするために、プラスチック容器3の内部空間Iの圧力は、外部空間Oの圧力よりも低くされうる。これにより、プラスチック容器3は僅かに収縮し、当該プラスチック容器3の壁300の少なくとも一部が、ブロー金型2のキャビティ20の内壁22から剥がれる。この様子は、
図4に模式的に示されている。
【0087】
さらに好ましい実施形態においては、外部空間Oへの負圧の印加は、内部空間Iへの負圧の印加よりも僅かに遅れて行なわれる。これにより、プラスチック容器3の壁300がまずキャビティ20の内壁から剥がれ、次いで外部空間O内が負圧とされる。この場合、真空バルブ60と圧力平衡バルブ64は、わずかな間隔をあけて順次開かれる。これにより、まずプラスチック容器3の内部空間Iが真空装置6と連通され、次いで外部空間Oが連通される。このような手法によれば、繰り返し上下する圧力を印加可能であり、プラスチック容器3の壁300の収縮と膨張が繰り返されうる。これにより、容器の壁300をブロー金型2の内壁22から完全に剥がすことができる。
【0088】
内部空間Iと外部空間Oが同一あるいは同等の負圧とされた後、真空バルブ60と圧力平衡バルブ64は閉じられ、充填バルブ52が開かれる。これにより、内部空間Iへ向かって充填物が充填物供給部50から流出可能とされる。
【0089】
よって、充填物供給部50からの充填物は、内部空間Iに存在する負圧に対して正圧とされる。圧力差あるいは圧力勾配により、充填物による内部空間Iの充填は、突発的に行なわれる。大きな圧力勾配の存在のみならず、プラスチック容器3の口部32を通じた流体の逆流が生じないため、充填工程は非常に迅速に行なわれる。他方、充填物供給部50から供給される充填物は、内部空間Iを充填し始め、当該空間の負圧は徐々に減少する。
【0090】
ブロー金型2で製造され、引き続きブロー金型2内に収容されているプラスチック容器3を充填物で充填するために、真空装置6によってプラスチック容器3の内部空間Iが排気される。このとき、充填物バルブ52は閉じられ、真空バルブ60は開かれている。これにより、内部空間Iは負圧とされる。内部空間Iが所定の負圧(例えば0.1バール)に達すると、真空バルブ60が閉じられ、充填物バルブ52が開かれる。負圧とされたプラスチック容器3の内部空間Iと正圧である充填物との圧力差により、プラスチック容器3は、まず突発的に充填物で充填される。この手法により、充填工程は非常に迅速に遂行され、よって素早く完了する。このとき、プラスチック容器3は、外部空間Oに印加された負圧による圧潰から保護される。
【0091】
外部空間Oの負圧は、充填工程中も低減されうる。充填工程中は、内部空間Iの負圧も同様に低減されるからである。外部空間Oの負圧は、内部空間Iの負圧によるプラスチック容器3の圧潰を防ぐのに十分な値に維持されていればよい。外部空間Oの適切な圧力制御は、圧力平衡チャネル28を通じてなされうる。
【0092】
好適な実施形態においては、外部空間Oの圧力は、内部空間Iの圧力に追随する。これにより、充填工程中は常にほぼ同じ圧力となる。この手法により、プラスチックボトル3本来の安定性により圧潰を回避できるだけでなく、当該プラスチックボトル3の壁がブロー金型2の内壁22に過剰に押し付けられることも防止できる。これにより、容器の壁のブロー金型2の内壁22への付着が抑制あるいは防止されうる。
【0093】
ある充填高さを超えると、外部空間Oの圧力は、内部空間Iの圧力を上回りうる。これにより、ブロー金型2の内壁22からのプラスチックボトル3の剥離が容易になる。
【0094】
プラスチック容器3内に既に存在する負圧により、充填工程中あるいは少なくとも充填の初期段階においては、充填物の流入に伴って気体がプラスチック容器3から置換流出することはない。代わりに、内部空間I内に存在する負圧が減少するのみである。これにより、充填物は、プラスチック容器3の口部の断面全体を通じて流入できる。したがって、充填工程中の少なくとも大部分において、プラスチック容器3の充填物による充填は、一方へ流れる流体(すなわち、プラスチック容器3の内部にのみ向かう流体)により行なわれる。反対方向へ向かう流体(例えば気体)は存在しない。プラスチック容器3から気体が置換流出しないからである。代わりに、プラスチック容器3の充填は、当該プラスチック容器3の内部空間Iに存在する負圧を徐々に低減させるだけである。充填工程の終了が近づくにつれ、充填物の流入は減速する。プラスチック容器3の内部空間Iの緩やかな圧力上昇が起こると、プラスチック容器3の内圧と充填物の間で圧力平衡が生じうる。
【0095】
しかしながら、プラスチック容器3の内部空間Iにおける負圧によっては、上記の減速を回避できる。充填に供されるプラスチック容器の内圧が低いほど、減速は生じにくい。充填前にプラスチック容器3内に存在する低い圧力が、充填物バルブ52が閉じられるときにも残っていれば、非常に高い負圧がプラスチック容器3内に残存する。
【0096】
よって、減速が起こるタイミングは、プラスチック容器3内に存在する負圧に依存し、ひいては真空装置6の仕様に依存する。プラスチック容器3内の圧力が低いほど、圧力平衡に至るまで時間がかかる。プラスチック容器3内が非常に高い真空である極端な場合、圧力平衡には至らない。代わりに、所望の充填量に既に達しており、充填物バルブ52が既に閉じられていたとしても、ヘッドルームには負圧が残り続ける。この現象は、始めに比較的弱い負圧が形成され、充填工程中(すなわち容器内の負圧の減少中)に真空装置6が再稼動された場合に起こりうる。これにより、負圧が高められるか、増加中の圧力が下げられる。
【0097】
充填工程がこのように終了され、プラスチック容器3が所望量の充填物により充填された後、充填物バルブ52が閉じられる。
【0098】
充填物が炭酸を含まないもの(例えば、炭酸を含まない水やフルーツジュースなど)である場合、内部空間Iと外部空間Oの負圧は、充填工程に続いて大気圧に解放されうる。そして、二つの横型200、202と基型204を開くことにより、プラスチック容器3は、ブロー金型2から離型され、次の処理ステーション(例えば、キャッパー)へ搬送される。プラスチック容器3の充填がブロー金型2の内部で行なわれるため、内部空間Iに存在する負圧により充填が非常に速く行なわれ、非常に好ましい。充填を伴わない純粋なブロー成型と比較すると、工程に要する時間がそれほど長くならないか、全くならない。すなわち、従来のブロー成型機がプラスチック容器をブロー成型するためだけに要する時間で、ほぼ充填が完了したプラスチック容器3を得ることができる。
【0099】
充填済みプラスチック容器3は、例えばキャッパーへ搬送される。キャッパーは、プラスチック容器3に蓋を装着する。充填済みプラスチック容器3のキャッパーへの搬送は、クリーンルーム雰囲気下で行なわれるか、大気条件下で行なわれうる。搬送がクリーンルーム雰囲気下で行なわれる場合、キャッパーとブロー成型機は、同じアイソレータ内に配置されることを要する。あるいは、所定の雰囲気とされたチャネルを介して両者が接続されうる。
【0100】
加圧ガスバルブ70が開かれると、加圧ガス装置7により、例えば二酸化炭素がプラスチック容器3内に導入されうる。複数の加圧ガスも加圧ガスとして使用されうる。加圧ガスは、充填済みのプラスチック容器3を、絶対圧2バールから9バールで、好ましくは絶対圧3.5バールから7バールで、より好ましくは絶対圧3.8バールから5.5バールで加圧できる。
【0101】
酸素に敏感な充填物に好適な方法においては、真空バルブ60を開くことにより、まずプラスチック容器3を真空装置6で排気する。このとき、充填物バルブ52は閉じられ、加圧ガスバルブ70も閉じられている。圧力が0.1バールになると、大気中の酸素の90%がプラスチック容器3から除去される。プラスチック容器3内が所望の圧力(例えば0.1バール)に達すると、真空バルブ60は閉じられ、加圧ガスバルブ70が開かれる。すると、加圧ガス装置7により加圧ガス(例えば二酸化炭素)がプラスチック容器3内に導入される。
【0102】
加圧ガス装置7による加圧ガスの導入に引き続き、加圧ガスバルブ70が再び閉じられ、真空バルブ60が再び開かれる。これにより、混合気体が再び真空装置6によってプラスチック容器3から抜き出される。併行してプラスチック容器3内が0.1バールまで減圧され、初期値と比較して99%の酸素がプラスチック容器3から除去される。この手法は、酸素に敏感な充填物が充填され、圧縮大気がブロー媒質として用いられる場合に特に好ましい。ブロー成型工程の完了時においてブロー成型済みのプラスチック容器3の内部空間Iに存在する混合気体は空気であり、大気に対応する酸素比率を有しているからである。
【0103】
特に好適な変形例においては、充填物による充填後ただちに蓋がプラスチック容器に装着されうる。この場合、
図5において模式的に示されるように、充填ノズル5とキャッパー54の組合せが設けられ、二者択一的にプラスチック容器3の口部32と係合されうる。すなわち、プラスチック容器3は、まず充填ノズル5を通じて上述のように排気され、次いで充填物による充填がなされ、次いでキャッパー54により蓋が装着される。キャッパー54と充填ノズル5は、ともにキャッパー領域56内に配置されている。キャッパー領域56は、外気に対して封止されている。よって、充填ノズル5を通じて印加される充填圧は、キャッパー領域56にも印加される。充填圧は、例えば、加圧ガス装置7により供給される。これにより、プラスチック容器3のキャッピングは、充填雰囲気下(すなわち充填圧力下)において行なわれうる。
【0104】
プラスチック容器3にキャップが装着された後、プラスチック容器3はブロー金型2から離型され、更なる処理や次の製造工程へ搬送される。
【0105】
装置1は、それ自体は周知である延伸ブロー成型機にも好適に適用できる。この場合、装置1は、ブロー金型2を基本的に周知の方法で備えており、ブロー成型装置で製造されたプラスチック容器3がブロー金型2内に収容されたままで非常に高速な充填を可能にできる。この場合、プラスチック容器3の内部空間Iは負圧とされる。これにより、プラスチック容器3は、製造後直ちに充填物により充填されうる。充填工程は、実質的に真空充填工程となる。したがって、その外形が形成された後(すなわちブロー成型の後)、プラスチック容器3は、まず減圧される。これにより、大気圧状態が容器内に形成される。次いで、ブロー金型2に収容されたままのプラスチック容器3に負圧が印加され、内部空間Iが大気圧(絶対圧1バール)を下回る。好ましくは、プラスチック容器3の外側と内部空間Iとが同等の圧力(好ましくは等圧)にされる。これにより、プラスチック容器3の圧潰が防止される。プラスチック容器3の充填に先立つ内部空間Iの排気前に、別の工程(例えばフラッシング工程)が行なわれうる。これにより、内部空間Iに所定の雰囲気が形成される。この場合、例えば、プラスチック容器3の内部空間Iが、少なくとも一度排気され、次いで所定のガス(例えば二酸化炭素のような不活性ガス)が再充填されうる。これにより、再排気の後、充填前において、プラスチック容器3内に残っている気体が含む酸素成分を低い割合かほぼ皆無にできる。
【0106】
相対的に正圧である充填物が負圧である内部空間Iに導入される場合、当該充填物は、突発的に内部空間Iへ噴射される。これにより、充填が非常に高速で行なわれうる。充填物がプラスチック容器3内で沈静した後、当該プラスチック容器3の内部空間Iと外部空間Oの双方が大気圧に戻されうる。続いて、ブロー金型2が開かれ、プラスチック容器3が離型されうる。
【0107】
炭酸を含まない充填物がプラスチック容器3に導入される場合、当該容器は、充填工程の直後に大気圧へ戻されうる。しかしながら、充填物が炭酸入りの場合、流体を沈静させるために十分に長い時間が必要である。あるいは、
図5に示される例のように、プラスチック容器3は、好ましくは充填圧が印加される充填工程の直後にブロー金型内でキャップされうる。
【0108】
別の好適な実施形態においては、プリフォーム30がブロー金型2内に挿入されうる。そして、この初期段階において、外部空間O(すなわちプリフォーム30とブロー金型2のキャビティ20の内壁22との間の空間)が排気されうる。これにより、外部空間Oが所定の負圧となる。この手法により、ブロー工程あるいはブロー成型工程が高速化されうる。あるいは、ブロー成型のために内部空間Iに印加される圧力が低減されうる。よって、必要とされる圧縮空気の量が減り、ブロー工程が全体として効率的となる点において有利である。
【0109】
プラスチック容器3の内部空間Iに印加される正圧により当該プラスチック容器3の外形が形成された後、当該内部空間Iは排気される。これにより、当該プラスチック容器3の内部空間Iと、当該プラスチック容器3の外壁300とブロー金型2のキャビティ20の内壁22との間の外部空間Oとが、同等または同一の圧力条件となる。この手法により、内部空間Iの排気時においてプラスチック容器3が損傷あるいは圧潰することを防止できる。
【0110】
前述の実施形態例において、充填物は、独立した充填ノズル5を通じてプラスチック容器3に導入される。しかしながら、充填ノズル5とブローノズル4は、組み合わせられうる。特に、プラスチック容器3をブロー成型するための正圧を印加するブローノズル4が、負圧、充填物、加圧ガスを印加してもよい。すなわち、ブローバルブと充填物バルブは同じものとして組み合わされ、両者を切替える時間が不要である。結果として、工程全体が高速化されうる。
【0111】
ブローノズルが充填物ノズルとしても使用される場合、前述の真空装置、および充填物を供給する充填物供給部を備えるようにすれば、従来のブロー成形機を使用できる。これにより、成型済みのプラスチック容器3の排気を可能にできる。しかしながら、この場合、容器壁300とブロー金型2のキャビティ20の内壁22との間の外部空間Oを真空にできるように、ブロー金型2は十分に圧密に構成されることを要する。
【0112】
外部空間Oの圧力は、様々な手段により提供されうる。例えば、容器口部の領域においてブロー金型に直接印加されうる。この場合、吸引手段により容器口部の領域に負圧が印加される。すなわち、プラスチック容器3の内部空間Iに必要な負圧が印加されるのと同様の場所である。プラスチック容器3の内部空間Iと外部空間Oに印加される負圧は、同じ装置(例えばブローノズル)により印加されることが好ましい。これにより、内部空間Iと外部空間Oが同じ圧力とされる。
【0113】
しかしながら、これまでの図に示されるように、ブロー金型2の壁の一部に貫通穴(例えば圧力平衡チャネル28)が設けられうる。当該貫通穴は、内部空間Iの排気時において真空装置6とも接続されうる。この場合においても、内部空間Iと外部空間Oで同じ値の圧力が形成されうる。これにより、プラスチック容器3の圧潰が防止される。
【0114】
前述の実施形態例と同様に、内部空間Iと外部空間Oに形成された圧力は、相互に連通しないように隔離されうる。しかしながら、適切なコントローラを用い、内部空間Iと外部空間Oの圧力を独立して調節し、両者が同一になるようにしてもよい。
【0115】
また、両圧力は、充填工程中を通じて同じ値に維持されうる。この場合、感度の高い陽圧バルブによってヘッドルームに蓄積した残留気体の排出が可能とされる。これにより、充填工程においてプラスチック容器3内への充填量が増加しても、プラスチック容器の内圧はほぼ同じ値のままである。
【0116】
しかしながら、充填工程中は、外部空間Oに対して相対的に正圧の状態が内部空間Iに形成されることが好ましい。これにより、容器壁300は外方に押され、外部空間Oの圧力を上昇させうる。圧力が適切に測定されるのであれば、プラスチック容器3内の正圧は、例えば充填工程の終了を判断するために用いられうる。内部空間Iの初期圧に鑑みた所定の圧力に達したときに、充填工程が終了されうる。
【0117】
ブロー金型2のキャビティ20の内壁22に容器壁300を付着させないために、幾つかの方策がさらに考えられる。例えば、プリフォーム30が挿入された直後にブロー金型(より具体的には、プリフォーム30と内壁22の間の外部空間O)が排気されうる。これにより、ブロー成型工程あるいは延伸ブロー成型工程の開始時には負圧が存在している。この手法により、ブロー成型プロセスがより効率的に行なわれうる。圧力制御は、ブローノズルと適当なアクセス手段の少なくとも一方によりなされうる。アクセス手段の例としては、ブロー金型2の内壁22に形成された貫通穴やチャネルが挙げられる。あるいは、圧力制御はブローノズル単独でなされうる。プリフォーム30が適切に配置されていれば、ブローノズルは、内部空間Iと外部空間Oの双方に作用可能である。
【0118】
別例においては、プラスチック容器3の外部空間Oの負圧は、ブロー成型の後にのみ印加されうる。この場合においても、圧力制御は、ブロー金型2に独立して形成された圧力チャネルとブローノズル自身のいずれかによってなされうる。
【0119】
この方法は、例えば以下のように遂行されうる。プリフォーム30を収容して閉じられたブロー金型2にブローノズル5が配置される。次いでブロー成型工程が周知の方法で行なわれる。プラスチック容器3が形成された後、ブローノズル5に負圧が印加される。これによりプラスチック容器3が排気される。したがって、プラスチック容器3は、ブロー金型2の内壁22から容易に外れる。圧力平衡が成立していないからである。すなわち、プラスチック容器3が僅かに収縮する結果として、ブロー金型2の内壁22から外れる。しかしながら、外れた後は、外部空間Oに負圧が印加されることを要する。当該負圧は、内部空間Iとほぼ同じであることを要する。これにより圧力平衡が形成され、さらなる変形が回避される。その後、前述のように充填が行なわれうる。すなわち、排気されたプラスチック容器3の内部空間Iへ充填物が導入される。
【0120】
充填工程の終了時において、例えば通気により、外部空間Oに存在する負圧は除去されうる。よって、プラスチック容器3のヘッドルームに存在する正圧は維持されうる。しかしながら、別例として、充填工程によりプラスチック容器3のヘッドルームに印加された正圧は、外部空間Oへ導かれてもよい。この正圧により、ブロー金型2の内壁22からの容器壁200の離型が容易になる。プラスチック容器3の充填中は、正圧が僅かに上昇することにより、容器が元の形状に戻る。すなわち、真空による高速充填の利点が、ブロー金型の壁に完全に沿ったプラスチック容器3の成型と、当該ブロー金型の壁からの容易な離型と組み合されうる。プラスチック容器3へ付加的に圧力を導入することによっても、当該容器を元の形状に戻しうる。
【0121】
外部空間Oの圧力状態は、供給チャネルを通じて制御されうる。これにより、容器壁300は、ブロー金型2の壁に付着することを防止される。この場合、外部空間Oの負圧が内部空間Iよりもやや低くなるように調節される。これにより、プラスチック容器3は僅かに収縮する。また、工程における特定の時点において、ブロー金型の壁に形成されたチャネルを通じて、追加ガスが積極的に導入されうる。いずれの例においても、プラスチック容器3が僅かに収縮し、離型が容易になる。
【0122】
金型からのプラスチック容器3の離型を容易にするために、外部空間O(すなわちブロー金型の内壁22と容器壁300の間)にエアクッションを形成することが好ましい。エアクッション(すなわち僅かな正圧)は、プラスチック容器3に視認可能な変形が生じない程度に形成されることを要する。しかしながら、エアクッションあるいはエアベアリングが形成されることにより、プラスチック容器3の付着が防止される。当該エアクッションは、容器の形状や使用される材料に応じて、工程における様々な時点で形成されうる。エアクッションの形成は、ブロー金型2の解放の直前に行なわれれば十分である。これにより、ブロー金型2からのプラスチック容器3の離型が簡単になる。
【0123】
図6は、延伸ブロー成形機8を模式的に示す平面図である。複数の独立したブロー金型2(例えば、上記の実施形態例において説明したもの)が、ロータリーカルーセル80に配置されており、回転可能とされている。プレフォームは、加熱モジュール84から搬入ステアホイール82を経由してロータリーカルーセル80の各ブロー金型2へ搬送される。ブロー成型されて充填を終えたプラスチック容器は、搬出ステアホイール86を経由して搬出され、次の工程へ搬送される。ロータリーカルーセル80では、先の実施形態例において記載の通り、各ブロー金型2内で充填物の充填が行なわれる。各プラスチック容器の充填物による充填が行なわれる前に、当該プラスチック容器は排気される。これにより、排気されたプラスチック容器への急速充填が可能とされる。このとき、プラスチック容器3は、外部空間Oに印加された負圧により安定にされている。すなわち、ロータリーカルーセル80に配置された比較的少ない数のブロー金型2で、高い製造能力を得ることができる。この手法により、後段に別の充填機を設ける必要がなくなる。
【0124】
図7は、延伸ブロー成形機8の別実施形態を示している。加熱モジュール84とブロー金型2の間に殺菌モジュール88が設けられている。殺菌モジュール88により、加熱モジュール84により処理温度とされたプレフォームは、ロータリーカルーセル80に配置されたブロー金型2内に導入される前に殺菌されうる。したがって、ロータリーカルーセル80上では、前述のようにブロー金型内でプラスチック容器のブロー成型がなされた後、無菌的な充填がなされうる。
【0125】
図8は、延伸ブロー成形機8のさらなる別実施形態を示している。加熱モジュール84と殺菌モジュール88の双方が設けられている。ロータリーカルーセル80上には、さらにキャッパー89が設けられている。これにより、ロータリーカルーセル80上でブロー成型と充填物による充填がなされた後のプラスチック容器に蓋を装着できる。すなわち、ロータリーカルーセル80上でプラスチック容器が製造される。具体的には、加熱モジュール84で加熱され、殺菌モジュール88で殺菌されたプリフォームが、ブロー金型2内でプラスチック容器としてブロー成型される。次に、ロータリーカルーセル80上で、排気されたプラスチック容器に充填物が充填される。充填は、非常に高速かつ突発的に行なわれる。その後、同じくロータリーカルーセル80上において、キャッパー89によりプラスチック容器のキャッピングが行なわれる。
【0126】
これにより、プラスチック容器がブロー金型2内に配置された状態で、高速充填とキャッピングが行なわれうる。負圧とされたプラスチック容器に炭酸入りの充填物が充填される場合、充填が効率的に行なわれうる。
【0127】
蓋供給部内の蓋は、
図8に示されるキャッパー89の真空チャンバへ供給される。蓋は、エアロックを介して真空チャンバへ給送される。よって、蓋の装着は、真空状態下で行なわれうる。
【0128】
換言すると、キャッパー89は、充填済みプラスチック容器3の内部空間を大気圧に戻すことなくキャッピングを可能にする。よって、充填済みプラスチック容器3のキャッピングは、充填時あるいはその後の加圧ガスによる加圧時における圧力状態に対応する圧力状態下で行なわれうる。
【0129】
図9は、延伸ブロー成形機8のさらなる別実施形態を示している。加熱モジュール84と殺菌モジュール88により、加熱および殺菌されたプリフォームが投入ステアホイール82を通じてロータリーカルーセル80上に配置された各ブロー金型2に供給されうる。ロータリーカルーセル80上では、プラスチック容器が製造されるだけでなく、充填物の充填も完了される。本例においては搬出ステアホイール86の背後に配置されているキャッパー89により、ブロー金型2から離型されて搬出ステアホイール86を通じて搬出された充填済みのプラスチック容器は、直ちにキャッピングに供されうる。
【0130】
この場合、キャッパー89は、延伸ブロー成形機8のプラットフォーム800上に配置されることが好ましい。これにより、装置が全体として小型かつ自己完結的な構成とされうる。
【0131】
図10は、延伸ブロー成形機8のさらなる別実施形態を示している。プリフォームの加熱は加熱モジュール84で行なわれ、続いて殺菌が殺菌モジュール88で行なわれ、搬入ステアホイール82を通じてロータリーカルーセル80上のブロー金型2へ供給される。これにより、ブロー金型2内で製造されたプラスチック容器は、ロータリーカルーセル80上で充填物により充填され、同じくロータリーカルーセル80上でキャッパー89によりキャッピングされる。これにより、充填物が充填されたプラスチック容器は、ブロー金型2内に在りながらにして蓋が装着されうる。加えて、ラベリングモジュール87が設けられている。ラベリングモジュール87は、ブロー成型され、充填され、キャッピングされたプラスチック容器を、搬出ステアホイール86を通じて受け付け、ラベルを貼り付ける。特に好適な実施形態においては、ラベリングもまたプラスチック容器がロータリーカルーセル80上にある間に、すなわちブロー金型から離型された直後に行なわれる。
【0132】
図11は、
図10に示される装置の変形例を示している。搬送ベルト85が追加的に設けられている。製造され、充填され、キャッピングされ、ラベリングされたプラスチック容器は、搬送ベルト85により外部へ搬送される。プラスチック容器は、配送遅延ステアホイールを介して搬送ベルト85へ搬出され、二列あるいは複数列に並んで搬送される。
【0133】
図12は、延伸ブロー成形機8の断面を模式的に示している。ブロー金型2は、カルーセルに保持され、回転軸Rを中心として回転可能とされている。各ブロー金型2の上方にはブローノズル4が配置されている。ブローノズル4は、対応するブロー金型2の入口領域に下降されうる。これにより、プラスチック容器のブロー成型と排気、および充填物による充填のための圧密接続が形成される。
【0134】
複数の分配ライン90を備えたロータリー媒質分配器9が設けられている。ロータリー媒質分配器9は、延伸ブロー成形機8のプラットフォーム800に配置されている。分配ライン90は、これに対応してロータリーカルーセル80に配置されている。ロータリー媒質分配器9により、ブロー金型2をテンパーリング処理するためのテンパーリング流体と充填物の双方が、延伸ブロー成形機8の固定部分から回転部分へ分配されうる。ロータリー媒質分配器9を通じて、圧縮空気や真空も固定部分から回転部分へ送られうる。その他の媒質、電力や制御信号も同様に送られうる。
【0135】
別の実施形態が
図13に示されている。ロータリー媒質分配器9は、連続的な形態とされている。ロータリー媒質分配器9により、すべての媒質が固定部分から回転部分へ送られうる。この場合、ロータリー媒質分配器9は、同図に示されるようにプラットフォーム800上に配置されうるか、
図14に示されるようにブローホイールやロータリーカルーセル80とともに回転しうる。
【0136】
図15は、延伸ブロー成形機8の別実施形態を示している。各ブロー金型2あるいはロータリーカルーセル80全体が、アイソレータ92内に配置されている。プリフォームはアイソレータ92に搬入され、充填済みプラスチック容器はアイソレータ92から搬出される。アイソレータ92の内部が一定の負圧に保たれうるように、エアロックが設けられる。
【0137】
図16は、別の延伸ブロー成形機8を模式的に示している。容器壁とブロー金型2のキャビティの内壁の間に介在する空間を、真空ライン62を通じて排気できる。排気は、プリフォームの挿入直後、あるいはプラスチック容器の製造完了の直後に行なわれうる。
【0138】
図17は、特に小型化された構成の延伸ブロー成形機8を模式的に示している。ロータリーカルーセル80は、充填用のプラスチック容器を製造するための延伸ブロー成型と、充填(キャッピングやラベリング工程が付随してもよい)の双方を実行するために、各ブロー金型2が少なくとも二回転を要するように構成されている。この場合、奇数のブロー金型が設けられ、二つ置きにプリフォームが挿入され、二回転後に完成したプラスチック容器が搬出される。ステージ間の進行は、奇数のブロー金型2が設けられることによりなされうる。
【0139】
図18は、
図1から
図4を参照して説明済みの装置1に基づく別の実施形態を示している。
図4に記載された特徴に加え、フレーバー投入器58が設けられている。これにより、香料、飲料添加物、および飲料成分の少なくとも一つがプラスチック容器3の内部空間Iに投入されうる。「飲料添加物」という語は、シロップや保存料を含む意味である。
【0140】
図示の実施形態例においては、フレーバー投入器58は、香料、飲料添加物、および飲料成分の少なくとも一つを、充填物供給部50により供給される充填物と同じ経路でプラスチック容器3に到達するように充填ノズル5へ排出する。
【0141】
図示の実施形態例においては、フレーバー投入器58は、充填物バルブ52の下流で充填ノズル5への排出を行なうことにより、充填物バルブ52が閉じられているときに香料、飲料添加物、および飲料成分の少なくとも一つの投入が行なわれうる。よって、充填物投入部50からの充填物の導入前、充填物の充填中、充填工程の完了後に投入が行なわれうる。本例においては、充填工程の完了後、およびプラスチック容器3内の充填物の沈静後に投入が行なわれることが好ましい。
【0142】
フレーバー投入器58は、例えば蠕動ポンプの形態として構成されうる。これにより、香料、飲料添加物、飲料成分を対応するリザーバから正確に投入できる。
【0143】
複数のフレーバー投入器58が設けられてもよいし、複数の香料、複数の飲料添加物、複数の飲料成分の少なくともいずれかが単一のフレーバー投入器58を通じて供給されてもよい。充填動作ごとに異なる香料濃度、異なる飲料添加物濃度、異なる飲料成分濃度の少なくとも一つが選べるように、少なくとも一つのフレーバー投入器58が構成および制御されうる。しかしながら、通常の充填動作中は、作業手順上の理由により、あるフレーバーについての充填がまとめてなされてから、フレーバーの変更がなされることが一般的である。種別が異なる飲料の間(例えば、果実繊維が入っている飲料と入っていない飲料の間)の変更についても同様である。
【0144】
図19は、
図5に示される実施形態例の別例を示している。模式的に描かれた進退可能あるいは回動可能な充填物ノズル5に加えて、フレーバー投入器58の入口がキャッパー領域56に設けられている。
【0145】
フレーバー投入器58は、プラスチック容器3の口部の上方に配置され、プラスチック容器3内に投入される香料、飲料添加物、飲料成分の少なくとも一つを計量する。この場合、フレーバー投入器58は、充填物によるプラスチック容器3の充填前に口部の上方に配置されてもよいし、充填動作の完了後に配置されてもよい。したがって、充填物ノズル5とフレーバー投入器5は、入れ違いにプラスチック容器3の口部の上方に配置される。
【0146】
発明の範囲から逸脱することなく可能の範囲内において、各実施形態例について記載された各特徴は、組合せと交換の少なくとも一方が可能である。