特許第6864983号(P6864983)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6864983
(24)【登録日】2021年4月7日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/22 20060101AFI20210419BHJP
   E06B 3/67 20060101ALI20210419BHJP
   E06B 5/00 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
   E06B3/22
   E06B3/67 A
   E06B5/00 B
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-188900(P2015-188900)
(22)【出願日】2015年9月25日
(65)【公開番号】特開2017-61832(P2017-61832A)
(43)【公開日】2017年3月30日
【審査請求日】2018年1月29日
【審判番号】不服2020-4944(P2020-4944/J1)
【審判請求日】2020年4月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】牧田 智明
(72)【発明者】
【氏名】久次米 稔之
(72)【発明者】
【氏名】三浦 修
【合議体】
【審判長】 長井 真一
【審判官】 有家 秀郎
【審判官】 袴田 知弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開平7−26846(JP,A)
【文献】 特開2008−88681(JP,A)
【文献】 特開平4−250285(JP,A)
【文献】 特開平7−26846(JP,A)
【文献】 特開2007−120243(JP,A)
【文献】 特開平4−250285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B3/04-3/46
E06B3/50-3/88
E06B5/00-5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔を開けて複数のガラスパネルが配列された複層パネルと、
前記複層パネルの端部に配設されて前記ガラスパネル間の空間を封止する金属部材と、
前記金属部材を介して前記ガラスパネルの端部と屋外側縁部及び屋内側縁部を覆う框体とを備え、
前記ガラスパネルの屋内側縁部に設けた前記框体の内側框部は前記金属部材の屋内側部を覆って突出しており、
前記框体の内側框部に形成された内側框部中空部は、前記複層パネルの屋外側縁部に設けた前記框体の外側框部より前記複層パネルの中央側に突出しており、
前記金属部材の屋内側部及び屋外側部は前記框体の外側框部より低い高さに設定されており、
前記框体には、屋外側から屋内側の見込み方向にかけて前記内側框部中空部と異なる別の中空部が複数形成されており、
少なくとも前記内側框部中空部を含む複数の中空部に断熱材が設けられており、
見込み方向に複数形成された前記別の中空部のうちの最も屋内側に形成された屋内側中空部は、前記内側框部中空部の前記複層パネルの中央側とは反対の見付け方向外側に隣接て形成され
前記屋内側中空部が、前記框体の屋内側の角部に形成された開閉窓であることを特徴とする建具。
【請求項2】
前記複層パネルの端部に配設された前記金属部材は前記ガラスパネルの端部の間に設けられたスペーサを覆っており、
前記金属部材の屋内側部及び屋外側部は、最も屋内側及び屋外側にそれぞれ設けられた前記ガラスパネルの内側で封止材を挟んで押圧されている請求項1に記載された建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペーサを介して複数層のガラスを配列させた複層ガラスを備えた建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家屋の屋内の断熱性を高めるために開口部にペアガラスやトリプルガラス等の複層ガラスを設置することが行われており、特に寒冷地では断熱性を高めるために複層ガラスのガラスパネルの数を増大する傾向にある。
例えば、特許文献1に記載された建具は、枠体の内部にガラスパネルを納めた窓等の障子が収納されている。障子は断熱性を高めるために複層ガラス、例えばペアガラスを用いて、その周囲の框体や枠体にアルミと樹脂からなる複合サッシが用いられている。ペアガラスのガラスパネル間の端部はシール材やスペーサを配設して封止し、ペアガラスの端部をグレージングチャンネルで覆い、その外側に設けた補強部材でペアガラスの端部と屋外側縁部と屋内側縁部とを覆っている。
【0003】
ところで、このような窓では、ペアガラスのガラスパネル間に形成された空間内にアルゴンガスやクリプトンガス等の不活性ガスを封止して断熱効果を高めている。この空間内の不活性ガスはペアガラスとその端部間に設けたスペーサやパネル間シール材とによって封止されているが、徐々に抜けてしまうので、これを防ぐために金属テープをペアガラスの端部に接着して封止しているものがある。
このような窓では、ペアガラスから不活性ガスが漏洩することを確実に防止するためにペアガラスの上下左右の端部に金属テープをそれぞれ設置して封止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−19116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような建具では、金属テープがペアガラスの各端部だけでなく屋外側縁部から屋内側縁部まで断面コの字状に延びているため、金属テープが屋内外の熱を伝え易く熱橋となり、屋内外の断熱が不完全になる欠点があった。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、屋内外の熱橋となる金属部材を用いても断熱性を高めることができる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による建具は、所定間隔を開けて複数のガラスパネルが配列された複層パネルと、前記複層パネルの端部に配設されて前記ガラスパネル間の空間を封止する金属部材と、前記金属部材を介して前記ガラスパネルの端部と屋外側縁部及び屋内側縁部を覆う框体とを備え、前記ガラスパネルの屋内側縁部に設けた前記框体の内側框部は前記金属部材の屋内側部を覆って突出しており、前記框体の内側框部に形成された内側框部中空部は、前記複層パネルの屋外側縁部に設けた前記框体の外側框部より前記複層パネルの中央側に突出しており、前記金属部材の屋内側部及び屋外側部は前記框体の外側框部より低い高さに設定されており、前記框体には、屋外側から屋内側の見込み方向にかけて前記内側框部中空部と異なる別の中空部が複数形成されており、少なくとも前記内側框部中空部を含む複数の中空部に断熱材が設けられており、見込み方向に複数形成された前記別の中空部のうちの最も屋内側に形成された屋内側中空部は、前記内側框部中空部の前記複層パネルの中央側とは反対の見付け方向外側に隣接て形成され、前記屋内側中空部が、前記框体の屋内側の角部に形成された開閉窓であることを特徴とする。
本発明によれば、複層パネルの端部の厚み方向に設けた金属部材によって屋外側と屋内側との間で冷気や熱気を伝達するため複層ガラスの端部近傍の断熱が不完全になるが、框体の屋内側に設けた複層パネルの屋内側縁部を保持する内側框部は金属部材の屋内側部を覆って複層ガラスに沿って金属部材より中央側に突出するため、金属部材による熱伝達の熱橋を内側框部で遮断して屋内への断熱効果を高めることができる。しかも、内側框部は上框と下框と左右の縦框とに設置されており、内側框部は複層ガラスの屋内側縁部を保護すると共に屋内側に設けたことで屋外からの採光面積を確保して採光量への影響が少ない。
【0008】
また、屋外側の周辺部を外側框部で覆われた複層ガラスを通して入射する外光の遮断を抑制して採光面積を確保することができる。なお、外側框部は複層ガラスを押圧して保持する押し縁でもよい。
さらに、框体の内側框部を中空部に形成して内部に断熱材を配置すれば金属部材による熱橋の断熱効果が一層高くなる。
【0009】
本発明による建具は、前記複層パネルの端部に配設された前記金属部材は前記ガラスパネルの端部の間に設けられたスペーサを覆っており、前記金属部材の屋内側部及び屋外側部は、最も屋内側及び屋外側にそれぞれ設けられた前記ガラスパネルの内側で封止材を挟んで押圧されていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明による建具によれば、屋内外の熱の伝達を阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態による縦辷り出し窓の縦断面図である。
図2図1に示す縦辷り出し窓の横断面図である。
図3図1に示す縦辷り出し窓の複層パネルと下框部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態による建具の一例として、縦辷り出し窓1を図1乃至図3に基づいて説明する。
図1及び図2に示す実施形態による縦辷り出し窓1は例えば断熱性の高い樹脂サッシからなり、図1は縦辷り出し窓1の縦断面図を、図2は水平断面図をそれぞれ示している。本実施形態による縦辷り出し窓1は、躯体の開口部2にそれぞれ樹脂からなる上枠3と下枠4と左右の縦枠5とが四角形枠状に形成された枠体6を取り付けている。
枠体6内に開閉可能に納めた障子8は、吊元側の縦框11回りに外側に開放可能に納めたものである。障子8は、それぞれ樹脂からなる上框9と下框10と左右の縦框11とからなる四角形枠状の框体12を有し、その内部に二層以上のガラスパネル25を備えた複層ガラス18として、例えば5層ガラスを納めている。
【0013】
図1において、枠体6の上枠3は、屋外側から屋内側にかけて複数のホロー部を屋内側が厚くなる段付き形状に形成してなり、複数のホロー部内に断熱材15が設置されている。上枠3の屋内側に設けたホロー部からなる受け部3aには閉鎖した障子8を受けて気密に閉鎖するパッキン16aが係合されている。
また、下枠4は、屋外側から屋内側にかけて複数のホロー部を一体に連結して屋内側が厚くなる段付き形状に形成してなり、複数のホロー部内に断熱材15が設置されている。下枠4の屋内側に設けたホロー部からなる受け部4aには閉鎖した障子8を受けて気密に閉鎖するパッキン16bが係合されている。
また、図2において、枠体6の左右の縦枠5においても屋外側から屋内側にかけて複数のホロー部が屋内側が厚くなる段付き形状に形成してなり、複数のホロー部内に断熱材15が設置されている。各縦枠5の屋内側に設けたホロー部からなる受け部5aには閉鎖した障子8を受けて気密に閉鎖するパッキン16cがそれぞれ係合されている。
【0014】
図1及び図2に示す障子8では、上框9と下框10と左右の縦框11からなる框体12によって複層パネルとして、例えば5層のガラスパネル25からなる複層ガラス18が保持されている。障子8の上框9は屋外側から屋内側にかけて複数のホロー部を屋外側が厚くなる段付き形状に形成してなり、複数のホロー部内に断熱材15が設置されている。上框9の段部の屋内側に設けたホロー部9aには閉鎖状態で上枠3の段部に当接して気密に閉鎖するパッキン19aが係合され、上框9の屋内側端部は上枠3のパッキン16aに当接して気密に保持する。
また、下框10においても、屋外側から屋内側にかけて複数のホロー部を屋外側が厚くなる段付き形状に形成してなり、複数のホロー部内に断熱材15が設置されている。下框10の段部の屋内側に設けたホロー部10aには閉鎖状態で下枠4の段部に当接して気密に閉鎖するパッキン19bが係合され、下框10の屋内側端部は下枠4のパッキン16bに当接して気密に保持する。
【0015】
また、各縦框11においても、屋外側から屋内側にかけて複数のホロー部を屋外側が厚くなる段付き形状に形成してなる。縦框11の段部の屋内側に設けたホロー部11aには閉鎖状態で縦枠5の段部に当接して気密に閉鎖するパッキン19cが係合され、縦框11の屋内側端部は縦枠5のパッキン16cに当接して気密に保持する。縦框11の一部のホロー部には断熱材15が設置され、縦框11の他のホロー部には鋼材からなる芯材17がネジで固定されている。
【0016】
次に、複層ガラス18とその嵌合受け部21〜23の構成について説明する。
障子8の上框9と下框10の対向する内面には断面略コの字状の嵌合受け部21、22がそれぞれ対向して形成され、左右の縦框11,11の対向する内面にも断面略コの字状の嵌合受け部23がそれぞれ形成されている。そして、これらの嵌合受け部21,22,23間に複層ガラス18が嵌合されている。
この複層ガラス18は、例えば四角形板状をなす5層のガラスパネル25の四辺の各端部がスペーサ26を挟んで平行に配列されている。図3の拡大図で示す下框10の部分では、各スペーサ26の間にはガラスパネル25の端部を挟む断面略U字状のパッキン28が形成されている。上框9と縦框11においても、同様にガラスパネル25はスペーサ26間のパッキン28で端部が保持された構成を有している。
また、図1図2に示す例では、各スペーサ26は基板26aを介して一体に形成され、4つのスペーサ26の外側にはそれぞれ屋外側と屋内側のガラスパネル25がそれぞれ設置されている。
【0017】
そして、複層ガラス18の屋外側にはガラスパネル25の各辺の側縁部を押圧する押し縁29が設置されている。各押し縁29は上框9、下框10、左右の縦框11の屋外側に形成した凹部13に基部29aが嵌合することで係止されており、ゴム等の弾性材からなるヒレ部30を介してガラスパネル25を押圧している。
また、各押し縁29に対向する屋内側部分には上框9、下框10、左右の縦框11の屋内側端部からガラスパネル25の面に沿って起立して、内側、即ちガラスパネル25の中央方向に突出する内側框部33がそれぞれ一体形成されている。この内側框部33はその屋外側の面に設けたゴム等の弾性材からなるヒレ部34を介して屋内側のガラスパネル25を押圧している。内側框部33はホロー部形状とされ、その内部には断熱材15が設置されている。各ヒレ部30、34は基部に2枚の当接片が一体に形成され、2枚の当接片がそれぞれ屋内外のガラスパネル25を押圧して保持している。
【0018】
上框9、下框10、左右の縦框11における複層ガラス18の端面に対向する面とその両側に設けた押し縁29と内側框部33とによって上述した嵌合受け部21,22,23を形成している。また、複層ガラス18の各ガラスパネル25間の空間35内には断熱性を向上させるためにアルゴンガスやクリプトンガス等の不活性ガスが充填されて封入されている。
【0019】
そして、図1図3に示すように、複層ガラス18の四辺の各端部を支持する複数のスペーサ26の基板26aの外側を覆って金属テープ37が金属部材として設置され、その両側部37aは屋外側及び屋内側のスペーサ26の外側に延びている。この金属テープ37によって複層ガラス18の四辺の各端部を封止して、各空間35を気密に保持している。しかも、断面コの字状に形成した金属テープ37の両側部37aは屋外側と屋内側のガラスパネル25との間にパッキン等の封止材38を挟んでそれぞれ気密に押圧されている。
また、各金属テープ37は上框9、下框10、左右の縦框11側に位置する支持板36によってスペーサ26の基板26aに押圧して保持されている。
【0020】
各図に示す例では、金属テープ37の両側部37aはスペーサ26より低い高さに設定され、押し縁29はスペーサ26と略同一高さに設定されているため、複層ガラス18を通した外光の採光の障害にならない。また、複層ガラス18の各辺の屋内側に設置した内側框部33は押し縁29やスペーサ26より複層ガラス18の中央側(面内方向内側)に突出しており、そのため、金属テープ37の側部37aよりも高い位置に突出している。
しかも、ホロー部をなす内側框部33内には断熱材15が設置されているために、金属テープ37によって屋外側の熱や冷気が屋内側に伝達されても、内側框部33と断熱材15によって遮断することができる。
【0021】
なお、図2において、縦框11の一方の屋内側の内側框部33を設置した見付け面には障子8を開閉操作するためのグレモン錠のハンドル20が取り付けられている。ハンドル20にはその開閉操作によって上下動させる施錠用ロックピン39が連結されている。これに対向する縦枠5の内壁には、ロックピン39を係合離脱させるロック溝を有する受け具40が設けられている。グレモン錠のハンドル20を開閉方向に操作することによってロックピン39を上下動させて受け具40のロック溝に対してロックピン39のロックとアンロック操作を行う。
グレモン錠のハンドル20を取り付けた部分の内側框部33のホロー部内に断熱材15が設置されていて断熱されている。
【0022】
本実施形態による縦辷り出し窓1は上述した構成を備えており、次にその作用について説明する。
本実施形態による縦辷り出し窓1によれば、枠体6に開閉可能な障子8を閉鎖させた状態で、複層ガラス18は5層のガラスパネル25を備えており、しかもガラスパネル25間の空間35にアルゴンガス等の不活性ガスを充填しているために断熱効果が高い。しかも、障子8の上框9、下框10、左右の縦框11、そして枠体6の上枠3、下枠4、左右の縦枠5はそれぞれ樹脂製のホロー部が屋内外方向に複数連結されて構成され、しかもホロー部内に断熱材15も設置されているために断熱効果が高い。
【0023】
また、障子8における複層ガラス18の各辺の端部部分には金属テープ37が設置されて、各ガラスパネル25の端部を挟持するパッキン28を備えたスペーサ26と基板26aを覆っているため、熱橋となって外部の熱気や冷気を伝達するために屋内外で断熱が不完全になり易い。
しかしながら、本実施形態による縦辷り出し窓1によれば、複層ガラス18の各辺の端部部分において、屋内側のスペーサ26の内側に設けた金属テープ37の側部37aの屋内側にガラスパネル25を介して、スペーサ26や金属テープ37の側部37aより内側に突出するホロー状の内側框部33を備えているため、熱橋を遮ることができて断熱性が高い。更に、ホロー部状の内側框部33内には断熱材15を設置しているために一層断熱性が高い。
【0024】
しかも、上框9、下框10、左右の縦框11の屋外側にそれぞれ設けた押し縁29はスペーサ26とほぼ同一高さにあるため、内側框部33より複層ガラス18から後退している。そのため、外部からの採光は押し縁29に遮られることなく入射され、採光面積を確保できて採光量が減少する等の影響を小さくできる。
【0025】
上述のように本実施形態による縦辷り出し窓1によれば、複層ガラス18を収納保持した上框9、下框10、左右の縦框11の嵌合受け部21,22,23における各内側框部33が屋外側の押し縁29やスペーサ26や金属テープ37の側部37aより突出しているため、複層ガラス18の各端部における金属テープ37の熱橋による熱伝達を遮断できて断熱効果が高い。しかも、内側框部33はホロー部形状で内部に断熱材15を設置したため、一層断熱効果が高い。
また、各押し縁29がスペーサ26と同一高さであるため、屋外から障子8の複層ガラス18を通る外光の採光面積と採光量を減少させることなく採光できる。しかも、屋内側に内側框部33を設置することで、採光を犠牲にすることなく各ガラスパネル25の端部を保護できる。
【0026】
なお、本発明による縦辷り出し窓1は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜の変更や置換等が可能である。以下に、本発明の変形例について上述した実施形態と同一または同様な部品や部分には同一の符号を用いて説明する。
【0027】
例えば上述した実施形態では、複層ガラス18として5層ガラスを用いて説明したが、本発明は5層ガラスに限定されることなく2層以上の複層ガラスであれば適宜枚数のガラスパネル25を積層して適用できる。また、内側框部33は必ずしもホロー部で形成する必要はなく、内部に断熱材15を設置しなくてもよい。
なお、押し縁29は上框9、下框10、縦框11の別部材として、複層ガラス18の屋外側の側端部を覆う外側框部を構成しているが、押し縁29に代えて内側框部33と同様な構成で高さが比較的低い外側框部を上框9、下框10、縦框11の嵌合受け部21,22,23に一体形成してもよい。
また、上述した実施形態では、金属テープ37の側部37aは最も屋外側と屋内側のガラスパネル25の内側でスペーサ26の側面に当接して配置したが、最も屋外側と屋内側のガラスパネル25の外側に配置してもよい。
【0028】
上述した実施形態では、複層ガラス18の各ガラスパネル25間に設置するスペーサ26は基板26aで互いに連結されているが、スペーサ26は個別に設置してもよい。この場合、金属テープ37の内側または外側に各スペーサ26を支持する別の基板を設置してもよい。
また、上述した実施形態では、縦辷り出し窓1に框体12の嵌合受け部21,22,23における内側框部33を設置したが、本発明は縦辷り出し窓1に限定されることなく、横辷り出し窓やFIX窓等、各種の窓を含む障子や複層ガラスを備えたドア等の建具に適用できる。
【符号の説明】
【0029】
1 縦辷り出し窓
6 枠体
8 障子
9 上框
10 下框
11 縦框
15 断熱材
18 複層ガラス
21、22、23 嵌合受け部
25 ガラスパネル
26 スペーサ
28 パッキン
29 押し縁
30、34 ヒレ部
33 内側框部
35 空間
37 金属テープ
37a 側部
図1
図2
図3