特許第6865041号(P6865041)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6865041
(24)【登録日】2021年4月7日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】杭打ち方法および杭打ち装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 7/10 20060101AFI20210419BHJP
   E02D 13/00 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
   E02D7/10
   E02D13/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-1989(P2017-1989)
(22)【出願日】2017年1月10日
(65)【公開番号】特開2018-111962(P2018-111962A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2019年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】390018717
【氏名又は名称】旭化成建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】島崎 傑
(72)【発明者】
【氏名】中野 知樹
(72)【発明者】
【氏名】牧田 晃介
(72)【発明者】
【氏名】山田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】津野 将馬
(72)【発明者】
【氏名】野口 武彦
【審査官】 湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−507551(JP,A)
【文献】 特開平08−027790(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0201612(US,A1)
【文献】 特開平06−073733(JP,A)
【文献】 特開昭59−165729(JP,A)
【文献】 実開平06−071527(JP,U)
【文献】 特開2000−154538(JP,A)
【文献】 特開2013−204408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 7/10
E02D 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼管杭の内部に一体に接合された板を、鋼管杭の内寸より小さい外寸を有する打撃機で打撃することにより前記鋼管杭を地中に埋設する杭打ち方法であって、
前記打撃機に対し鉛直方向に荷重を付加可能な反力装置を連結した状態で、前記板を前記打撃機で打撃し、
前記反力装置は、前記板の打撃による前記打撃機のリバウンドを抑制するように、前記打撃機と前記鋼管杭とを連結する連結部材により、前記打撃機を前記板に対して押圧維持することを特徴とする杭打ち方法。
【請求項2】
鋼管杭の内部に一体に接合された板を、鋼管杭の内寸より小さい外寸を有する打撃機で打撃することにより前記鋼管杭を地中に埋設する杭打ち方法であって、
前記打撃機に対し鉛直方向に荷重を付加可能な反力装置を連結した状態で、前記板を前記打撃機で打撃し、
前記反力装置は、前記鋼管杭の外周に設置した荷重体と前記打撃機とを連結した連結部材により、または、前記鋼管杭の内部に設置した荷重体と前記打撃機とを連結した連結部材により、前記板の打撃による前記打撃機のリバウンドを抑制するように、前記打撃機を前記板に対して押圧維持することを特徴とす杭打ち方法。
【請求項3】
鋼管杭の内部に一体に接合された板を、鋼管杭の内寸より小さい外寸を有する打撃機で打撃することにより前記鋼管杭を地中に埋設する杭打ち方法であって、
前記打撃機に対し鉛直方向に荷重を付加可能な反力装置を連結した状態で、前記板を前記打撃機で打撃し、
前記反力装置は、前記鋼管杭の内寸より小さい外形の荷重体であり、
前記荷重体を前記打撃機の上部に配置して、前記板の打撃による前記打撃機のリバウンドを抑制するように、前記打撃機を前記板に対して押圧維持することを特徴とす杭打ち方法。
【請求項4】
鋼管杭の内部に一体に接合された板を、鋼管杭の内寸より小さい外寸を有する打撃機で打撃することにより前記鋼管杭を地中に埋設する杭打ち装置であって、
前記板の打撃による前記打撃機のリバウンドを抑制するように、前記打撃機と前記鋼管杭とを連結する連結部材により、前記打撃機を前記板に対して押圧維持する反力装置を有し、
前記打撃機に対し鉛直方向に荷重を付加可能な前記反力装置を連結した状態で、前記板を前記打撃機で打撃することを特徴とする杭打ち装置。
【請求項5】
鋼管杭の内部に一体に接合された板を、鋼管杭の内寸より小さい外寸を有する打撃機で打撃することにより前記鋼管杭を地中に埋設する杭打ち装置であって、
前記打撃機に対し鉛直方向に荷重を付加可能に連結される反力装置を有し、
前記反力装置は、前記鋼管杭の外周に設置した荷重体と前記打撃機とを連結した連結部材により、または、前記鋼管杭の内部に設置した荷重体と前記打撃機とを連結した連結部材により、前記板の打撃による前記打撃機のリバウンドを抑制するように、前記打撃機を前記板に押圧維持することを特徴とする杭打ち装置。
【請求項6】
鋼管杭の内部に一体に接合された板を、鋼管杭の内寸より小さい外寸を有する打撃機で打撃することにより前記鋼管杭を地中に埋設する杭打ち装置であって、
前記打撃機に対し鉛直方向に荷重を付加可能に連結される反力装置を有し、
前記反力装置は、前記鋼管杭の内寸より小さい外形の荷重体であり、前記荷重体を前記打撃機の上部に配置して、前記板の打撃による前記打撃機のリバウンドを抑制するように、前記打撃機を前記板に押圧維持することを特徴とする杭打ち装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭打ち方法に関する。
【背景技術】
【0002】
構造物の基礎を支える為に鋼管杭(以下、杭とも称する)が一般に使用されている。この鋼管杭の打ち込み方法として、鋼管杭の内部からハンマーで打撃して杭を打ち込む方法が知られている。
【0003】
例えば下記特許文献1では、鋼管杭の先端部に底板を一体的に溶接接合し、この鋼管杭を予備的に掘削した削孔内に建て込み、鋼管杭の内径よりやや細い外径のハンマーで鋼管杭の内部から打撃する技術が提案されている。下記特許文献1によれば、ハンマーによる打撃が鋼管杭内で行われるから、杭頭を地上で打撃する工法と比較して、低振動,低騒音で打設できる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3683936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、杭を打設する打撃機として、打撃式推進機が用いられることがある。この打撃式推進機としては、例えば、ケーシング内に設けたピストンを空気圧によって駆動させ、このピストンで先端側を打撃して推進力を発生させるものがある。このような打撃式推進機を杭の打撃機として用いる場合、打撃機が鋼管杭の内部で上下してしまい、打撃力が効果的に打撃部へ伝達されないおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、打撃機による打撃力の伝達効率を向上させ、鋼管杭を地中に円滑に打設することができる杭打ち方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る杭打ち方法は、鋼管杭の内部に一体に接合された板を、鋼管杭の内寸より小さい外寸を有する打撃機で打撃することにより前記鋼管杭を地中に埋設する杭打ち方法であって、前記打撃機に対し鉛直方向に荷重を付加可能な反力装置を連結した状態で、前記板を前記打撃機で打撃し、前記反力装置は、前記板の打撃による前記打撃機のリバウンドを抑制するように、前記打撃機を前記板に対して押圧維持する。
【0008】
この態様によれば、打撃機に対し鉛直方向に荷重を付加可能な反力装置を設けているので、打撃機を打撃部(鋼管杭内部に一体に接合された板のうち打撃機が打撃する部分)に押圧することができる。このように、打撃機が打撃部に密着された状態とすることにより、打撃機が鋼管杭の内部で上下動することがなく、打撃機による打撃力の伝達効率を向上させることができる。その結果、打撃機で鋼管杭を打撃する際に生じるリバウンドが抑制され、鋼管杭を地中に円滑に打設することができる。
【0009】
上記態様において、前記打撃機と前記鋼管杭とを連結する連結部材により前記打撃機を前記板に押圧維持するようにしても良い。
【0010】
上記態様において、前記反力装置は、前記鋼管杭の外周に設置した荷重体と前記打撃機とを連結した連結部材により、前記打撃機を前記板に押圧維持するようにしても良い。
【0011】
上記態様において、前記反力装置は、前記鋼管杭の内部に設置した荷重体と前記打撃機とを連結した連結部材により、前記打撃機を前記板に押圧維持するようにしても良い。
【0012】
上記態様において、前記反力装置は、前記鋼管杭の内寸より小さい外形の荷重体であり、前記荷重体を前記打撃機の上部に配置して、前記打撃機を前記板に押圧維持するようにしても良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、打撃機による打撃力の伝達効率を向上させ、鋼管杭を地中に円滑に打設することができる杭打ち方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】本発明の第1実施形態における杭打ち方法を説明するための概略斜視図である。
図1B図1Aに示すA−A断面図である。
図2A】本発明の第2実施形態における杭打ち方法を説明するための模式図である。
図2B図2Aに示すB−B断面図である。
図3A図2に示すウェイトの配置や形状を変更した例を示す概略斜視図である。
図3B図3Aに示すC−C断面図である。
図4A図2に示すウェイトの配置や形状を変更した例を示す概略斜視図である。
図4B図4Aに示すD−D断面図である。
図5A図2に示すウェイトの配置や形状を変更した例を示す概略斜視図である。
図5B図5Aに示すE−E断面図である。
図6】鋼管杭にウェイトを連結した構成を説明する模式図である。
図7図6に示すウェイトの配置や形状を変更した例を説明する模式図である。
図8図6に示すウェイトの配置や形状を変更した例を説明する模式図である。
図9A】打撃機にウェイトを連結した構成の変形例を説明するための概略斜視図である。
図9B図9Aに示すF−F断面図である。
図10A】打撃機及び鋼管杭にウェイトを連結した構成を説明するための概略斜視図である。
図10B図10Aに示すG−G断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0016】
図1Aは、第1実施形態における杭打ち方法について説明するための概略斜視図であり、図1Bは、図1Aに示すA−A断面図である。本実施形態では、杭打機によって巻き上げ及び巻き下げ調整可能なワイヤーで吊持された打撃機で、鋼管杭の内部に設けられた板を打撃することにより、鋼管杭を地中に埋設する。なお、図1図10において、杭打機、打撃機を吊持するためのワイヤー、及び、鋼管杭内部に接合された板などの図示を省略している。また図1図10においては、一部の部材(例えば打撃機3等)の断面の図示を省略している。
【0017】
図1A及び図1Bに示す鋼管杭2は、構造物の基礎に用いられる杭であり、打撃機3により打撃されて地中に埋設される。鋼管杭2は、例えば中空円筒状に形成されるものであるが、これに限定されず、内部に打撃機3を挿通可能であればその形状は特に限定されない。
【0018】
鋼管杭2には、その内部に板(図示略)が設けられ一体に接合されている。板は、打撃機3により打撃を可能とする部材であれば、その形状や大きさは特に限定されないが、例えば、鋼管杭2の内寸と等しいか若しくは大きい外寸を有する板状の部材が用いられる。なお、鋼管杭2が、複数の継杭(杭を複数に分割して構成された分割杭)により構成される場合、この継杭それぞれの内部に板を設けても良い。
【0019】
打撃機3は、鋼管杭2を地中に打ち込むための装置である。打撃機3は、鋼管杭2の内部に導入可能なように、鋼管杭2の内寸よりも小さい外寸を有し、鋼管杭2の内部に一体に接合された板(図示略)を打撃して鋼管杭2を打設する。本実施形態で用いられる打撃機3として打撃式推進機が挙げられる。この打撃式推進機としては、図示は省略するが、例えば、外部に接続されたエアコンプレッサーから供給される圧縮空気により作動するピストンをケーシング内に設け、このピストンを圧縮空気によって作動して鋼管杭2の先端側に打撃力を付与する打撃機を用いることができる。しかしながら、本実施形態における打撃機としては、このような構成に限定されず、打撃部と打撃機が密着した状態において打撃を可能とする装置であればその他の打撃機も適宜選択可能である。
【0020】
図1A及び図1Bに示す例では、鋼管杭2と打撃機3とは、ワイヤロープ5(連結部材)で所定の金具6を用いて連結され、一体化されている。言い換えれば、ワイヤロープ5により両部材間を連結することにより、打撃機3に対し鉛直荷重を付加することが可能となっている。このようにワイヤロープ5で鋼管杭2と打撃機3とを連結することにより、打撃機3を鋼管杭2内の板(図示略)に対して押圧維持することができ、打撃部と打撃機3とが密着した状態で打撃機3により打撃をすることが可能になる。
【0021】
なお、図示されたワイヤロープ5の材料やワイヤロープ5を用いた締結方法は特に限定されず、ワイヤロープ5を用いて連結する両部材間の緊張状態を保持することが可能な部材であればその他の部材を適宜選択することができる。
【0022】
続いて、第2実施形態について図2A及び図2Bを参照して説明する。図2A及び図2Bに示すように、第2実施形態では、ウェイト4(荷重体)を設けた点が第1実施形態と異なっている。その他の構成や機能は第1実施形態と同一であるので、第1実施形態と同一の部分についてはその説明を省略する。
【0023】
図2A及び図2Bに示すように、鋼管杭2の周囲の地面にウェイト4を配置し、このウェイト4と打撃機3とをワイヤロープ5で連結している。詳細には、同形のウェイト4を、打撃機3を挟んで対称な位置に並列に配置して、その各ウェイト4と打撃機3とにそれぞれ所定の金具6を設けてワイヤロープ5等で連結する。打撃機3を打撃部に押し付けた状態を維持するためには、一対のワイヤロープ5を、打撃機3を挟んで対称且つ反対方向に延在させることが好適である。なお、不図示の治具で各ワイヤロープ5の緩みを取ると共に長さを調整することが好ましい。
【0024】
このように、打撃機3に対してウェイト4を連結することによって、打撃機3が打撃部に対して押し当てられた状態を維持することができ、打撃部と打撃機3とが密着した状態で打撃機3により打撃をすることが可能になる。その結果、打撃機3による打撃力の伝達効率を向上させることができる。
【0025】
上記のようにウェイト4を打撃機3に連結する態様を説明したが、図2に示す例に限定されない。例えば、図3A及び図3Bに示すように、鋼管杭2の周囲に配置した平面視略環状のウェイト4を、ワイヤロープ5で打撃機3と連結してウェイト4を吊り下げた状態で保持し、これにより、打撃機3に対して鉛直方向に荷重が付加するように構成しても良い。
【0026】
また、図4A及び図4Bに示すように、鋼管杭2の内部に収容可能な大きさに形成されたウェイト4を用いることも可能である。詳細には、ウェイト4を鋼管杭2内に配置すると共に打撃機3の外周に沿って配置し、この状態で、ワイヤロープ5でウェイト4と打撃機3とを連結してウェイト4を吊り下げ保持するように構成しても良い。このようなウェイト4を用いることによっても、打撃機3に対して鉛直方向の荷重が付加され、打撃機3が打撃部に対して密着した状態を維持することができる。この場合、図2及び図3に示す例に比較して、鋼管杭2の外部にウェイト4を配置するスペースを必要としないので、鋼管杭2を埋設するための作業スペースが狭い場所であっても、打撃機3による打撃力の伝達効率を上げることができ、作業性を向上させることができる。
【0027】
また、図5A及び図5Bに示すように、打撃機3の上部にウェイト4を配置して打撃機3に鉛直荷重を付加し、打撃機3が打撃部に対して密着した状態を維持するように構成しても良い。この場合、打撃機3の内部に圧縮空気を供給するために、外部のエアコンプレッサー(不図示)に接続された空気供給ライン9を挿通可能な挿通孔をウェイト4に形成することが好ましい。このようなウェイト4を配置することによっても、打撃機3に対して鉛直荷重を付加し、打撃機3を打撃部に押し付けて密着した状態を維持することができる。
【0028】
以上、打撃機3に対してウェイト4を連結した構成を説明したが、地中に埋設する鋼管杭2に対してウェイト4を連結しても良い。
【0029】
例えば、図6に示すように、鋼管杭2の周囲の地面にウェイト4を設置し、このウェイト4と鋼管杭2とをワイヤロープ5等で連結するように構成しても良い。
【0030】
また、図7に示すように鋼管杭2の周囲に平面視略環状のウェイト4を配設し、この状態でウェイト4を鋼管杭2に吊り下げ保持するように、ワイヤロープ5で連結しても良い。
【0031】
また、図8に示すように、鋼管杭2の内部に収容可能な程度の大きさに形成されたウェイト4を、鋼管杭2の内部に配置し、このウェイト4と鋼管杭2の上部とをワイヤロープ5で繋ぎ、ウェイト4をワイヤロープ5で吊り下げて保持するように構成しても良い。
【0032】
鋼管杭2にウェイト4を取り付ける目的として、鋼管杭2の地盤への貫入長さが短い場合は十分な周面摩擦力が得られなく、鋼管杭2に打撃力が加えられてもリバウンドしてしまうことがある。このため、鋼管杭2の地盤への貫入長さが短い間は、図6図8に示したように、鋼管杭2にもウェイト4を取り付けることによって、リバウンドの抑制だけでなく、打撃力の伝達効率も向上させることができ、鋼管杭2の滑らかな貫入を実現することができる。
【0033】
以上説明した構成の他に、例えば図9A及び図9Bに示すようにウェイト4を連結しても良い。すなわち、鋼管杭2の周囲の地面にウェイト4を設置し、このウェイト4と打撃機3とをワイヤロープ5等で連結することに加え、鋼管杭2の内部に収容可能な程度の大きさに形成されたウェイト4を鋼管杭2の内部に配置し、このウェイト4と打撃機3とをワイヤロープ5等で繋いでウェイト4を鋼管杭2の内部で吊り下げ保持するように構成しても良い。
【0034】
このように構成することにより、ウェイト4によって打撃機3を打撃部へより確実に密着させた状態で打撃でき、打撃機3による打撃力の伝達効率を更に向上させることができる。その結果、打撃機3で鋼管杭2を打撃する際に生じるリバウンドが更に抑制され、鋼管杭2を地中により一層円滑に打設することができる。
【0035】
以上説明した、打撃機3にウェイト4を連結した構成、及び、鋼管杭2にウェイト4を連結した構成の他に、例えば図10A及び図10Bに示すように、打撃機3及び鋼管杭2にウェイト4を連結しても良い。図10Aは、打撃機3及び鋼管杭2にウェイト4を連結した構成を説明するための概略斜視図であり、図10Bは、図10AのG−G断面図である。
【0036】
図10に示す例では、鋼管杭2の周囲の地面にウェイト4を設置し、このウェイト4と鋼管杭2とをワイヤロープ5等で連結することに加え、鋼管杭2内に収容可能な大きさに形成されたウェイト4を鋼管杭2の内部に配置し、このウェイト4と打撃機3とをワイヤロープ5等で繋いでウェイト4を鋼管杭2の内部で吊り下げ保持するように構成されている。このように、打撃機3及び鋼管杭2にウェイト4を連結することによって、鋼管杭2のウェイトによって打撃による鋼管杭2のリバウンドが抑制されるため、鋼管杭2から打撃機3へ伝わる反発力(鉛直上向きの力)を軽減しつつ、打撃機3のウェイトによって打撃機3を打撃部へ密着させた状態で打撃できるので、打撃力の伝達効率を更に向上させることができる。
【0037】
以上説明した実施形態において、ウェイト4を構成する材質は特に限定されるものではないが、作業性を考慮して比較的小型なものとするために、例えば鉛や鉄等の比重の高い材質を使用すればよい。また、ウェイト4の形状、重量及び個数は、打撃機3又は鋼管杭2に対して鉛直荷重を付加可能なものであれば、その形状、重量や個数は適宜設定することが可能である。打撃機3とウェイト4とを連結するワイヤロープ5、鋼管杭2とウェイト4とを連結するワイヤロープ5についても、図示した2本に限定されず、例えば3本以上等、適宜設定すればよい。
【0038】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる図で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。例えば、打撃機3と鋼管杭2とをワイヤロープ5で連結しつつ、鋼管杭2の外周に設置したウェイト4と打撃機3とを連結するように構成しても良い。また、この構成(打撃機3と鋼管杭2とをワイヤロープ5で連結しつつ、鋼管杭2の外周に設置したウェイト4と打撃機3とを連結する構成)に加え、鋼管杭2の内部に設置したウェイト4と打撃機3とをワイヤロープ5で連結或いは鋼管杭2の内部に設置したウェイト4を打撃機3の上部に配置するように構成しても良い。その他、図1図9に示した構成を適宜組み合わせた構成も本発明の実施形態に含まれる。
【符号の説明】
【0039】
2:鋼管杭
3:打撃機
4:ウェイト
5:ワイヤロープ
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B