(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記洗浄タンクの側壁には、前記吸引口よりも下方かつ前記噴出口よりも上方に位置し、所定の水位を超えた電解水をオーバーフローさせるオーバーフロー口が設けられている、請求項1〜3のいずれかに記載の食品洗浄装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0018】
(基本構成について)
はじめに、
図1〜
図3を参照して、本実施の形態に係る食品洗浄装置1の基本構成について説明する。
【0019】
食品洗浄装置1は、たとえば立方体形状の筐体90と、筐体90内に設けられた洗浄タンク10とを備えている。洗浄タンク10には、被洗浄物としての食品を収納する網カゴ11が設置される。洗浄タンク10は、たとえば、平面視矩形状の水槽であり、略矩形形状の底壁31と、底壁31の四辺それぞれに下端が連結された4つの側壁32とで構成されている。なお、
図2において、矢印A1は洗浄タンク10の上方を示し、矢印A2は洗浄タンク10の正面方向(前方)を示している。
【0020】
図1に示されるように、筐体90には、洗浄タンク10への食品の投入および取り出しのために開放可能な蓋91と、洗浄の開始および停止を指示するための操作ボタン93とが設けられている。筐体90の蓋91が閉鎖状態の場合、筐体90の内部に密閉空間が形成される。
【0021】
図3に示されるように、食品洗浄装置1は、基本の配管構成として、給水経路21と、排水経路22と、電解水循環経路23とを有している。
【0022】
給水経路21は、洗浄タンク10の給水口12に接続されている。給水経路21上には、制御装置によって開閉制御される給水バルブ21aが設けられている。給水バルブ21aが開状態のとき、塩素成分を含有する電解水が給水経路21を介して洗浄タンク10に供給される。給水経路21を介して供給される電解水は、たとえば40mg/kg程度の有効塩素濃度の微酸性電解水である。給水口12は、洗浄タンク10の側壁32に位置する。
【0023】
排水経路22は、洗浄タンク10の排水口13に接続されている。排水経路22上には、制御装置によって開閉制御される排水バルブ22aが設けられている。排水バルブ22aが開状態のとき、洗浄タンク10内の電解水が排水経路22を介して排水される。排水口13は、洗浄タンク10の底壁31に位置する。
【0024】
電解水循環経路23は、排水経路22から分岐し、洗浄タンク10の戻し口14に接続されている。戻し口14は、側壁32に位置する。電解水循環経路23は、途中位置に循環ポンプ23aを有している。排水バルブ22aが閉状態で、かつ、循環ポンプ23aがONのとき、洗浄タンク10内の電解水が電解水循環経路23を介して循環する。電解水循環経路23は、洗浄タンク10の下部から取水した電解水を、戻し口14から洗浄タンク10に戻す経路であればよく、排水経路22とは独立して設けられていてもよい。
【0025】
なお、洗浄タンク10の側壁32には、給水口12および戻し口14よりも上方に位置するオーバーフロー口15が設けられている。これにより、食品の洗浄期間において所定の水位を超えた電解水がオーバーフロー口15から外部に排水される。
【0026】
本実施の形態の食品洗浄装置1は、たとえば、側壁32に設けられた給水口12および電解水循環経路23の戻し口14から供給される電解水によって洗浄タンク10内に水流を発生させ、その水流によって食品を洗浄する構成である。この場合、給水口12および戻し口14の上下方向位置が互いに異なっており、給水口12からの洗浄水の流水方向と戻し口14からの洗浄水の流水方向とが、立体的に交差することが望ましい。
【0027】
洗浄タンク10の4つの側壁32は、正面側に位置する側壁32aと、正面から見て右側に位置する側壁32bと、背面側に位置して側壁32aに対面する側壁32cと、正面から見て左側に位置して側壁32bに対面する側壁32dとで構成される。本実施の形態において、給水口12は、たとえば背面側の側壁32cに設けられ、戻し口14は、側壁32cと交差する、たとえば右側の側壁32bに設けられる。
【0028】
塩素成分を含有する電解水によって洗浄タンク10内の食品を洗浄する場合、食品の洗浄に伴って、洗浄タンク10内の電解水から塩素ガスが揮発する。公知の蓋付きの洗浄処理装置において塩素成分を含有する電解水によって食品を洗浄する場合、筐体内の空間(上部空間)には、揮発した塩素ガスによる臭気、すなわち塩素臭が充満する。そのため、公知の食品洗浄装置において食品洗浄が完了した後に、蓋を開放して食品を取り出す際に、空間に溜まっていた塩素ガスの臭気成分が食品に付着する可能性がある。また、筐体内部から一気に塩素臭が放出されるため、周辺環境が汚染されるおそれもある。
【0029】
そこで、本実施の形態に係る食品洗浄装置1は、空間に溜まる塩素ガスによる塩素臭を低減させるための塩素臭低減機構を備えている。
図4は、本実施の形態における塩素臭低減機構40を模式的に示す図である。
【0030】
塩素臭低減機構40は、空間94(
図4において想像線で示す)内の塩素ガスを吸引する吸引口41と、吸引口41から吸引された塩素ガスを洗浄タンク10内に噴出する噴出口42と、吸引口41から噴出口42に至る塩素ガス経路43上に設けられた吸引ポンプ44と、吸引ポンプ44の駆動を制御する吸引制御部とを含む。吸引制御部については後述する。
【0031】
図3および
図4に示されるように、吸引口41および噴出口42は、洗浄タンク10の側壁32に設けられている。このように、本実施の形態の洗浄タンク10は、給水口12、排水口13、戻し口14、オーバーフロー口15、吸引口41、および噴出口42を有する。
【0032】
吸引口41は、オーバーフロー口15よりも上方に位置し、空間94に面する。吸引口41の位置は、空間94の上の蓋91に近い位置が好ましい。噴出口42は、オーバーフロー口15よりも下方に位置する。噴出口42は、噴出する塩素ガスが微細気泡(ナノバブル、または、マイクロバブルなど)となるように構成されている。これにより、噴出口42からバブリング供給される塩素ガスの一部が、塩素イオン、次亜塩素酸イオン、およびその他の水溶性物質として電解水に溶解される。噴出口42の位置は、側壁33の下部(底壁31)に近い位置が好ましい。噴出口42は、洗浄タンク10の底壁31に設けられてもよい。
【0033】
なお、本実施の形態においては、噴出口42は、給水口12および戻し口14が設けられた側壁32c,32bとは異なる側壁32aまたは32dに設けられていてもよい。これにより、塩素ガスの噴出を食品洗浄中に行う場合に、洗浄タンク10内に、3方向に水流を生じさせることができる。また、上下方向における噴出口42の位置は、給水口12および戻し口14の位置と異なっていてもよい。
【0034】
塩素臭低減機構40は、空間94における塩素臭を検知する臭気センサ45をさらに含むことが望ましい。これにより、吸引制御部は、臭気センサ45による測定値が許容値未満となるまで、吸引ポンプ44の駆動を継続することが可能となる。
【0035】
臭気センサ45は、たとえば、塩素ガス経路43上であって、吸引口41から吸引ポンプ44までの通路上に設けられる。臭気センサ45は、公知の臭いセンサで構成されてよい。
【0036】
(機能構成について)
次に、食品洗浄装置1の機能構成について説明する。
【0037】
図5は、食品洗浄装置1の機能構成を示すブロック図である。食品洗浄装置1は、上記したバルブ21a,22a、循環ポンプ23a、吸引ポンプ44、および臭気センサ45に加え、水位センサ71,72と、濃度センサ73と、操作部74と、これらに電気的に接続された制御装置50とを備える。
【0038】
水位センサ71は、洗浄タンク10内の電解水の水位が第1水位に達したことを検知する。水位センサ72は、洗浄タンク10内の電解水の水位が第2水位に達したことを検知する。第1水位は第2水位よりも低い。以下、第1水位を「中レベル」、第2水位を「高レベル」という。なお、高レベルは、オーバーフロー口15付近の高さであり、典型的にはオーバーフロー口15のやや上の高さである。中レベルは、典型的には高レベルの1/2程度の高さである。
【0039】
濃度センサ73は、洗浄タンク10内の電解水の有効塩素濃度を検知する。操作部74は、ユーザからの指示を受け付ける。操作部74は、上記した操作ボタン93を含む。
【0040】
制御装置50は、各種演算処理を行う制御部51と、各種データおよびプログラムを記憶するための記憶部52と、計時動作を行う計時部53とを含む。制御部51は、たとえばCPU(Central Processing Unit)により実現される。
【0041】
制御部51の主な機能構成については、
図6を参照して説明する。制御部51は、その機能として、洗浄処理部54と、吸引制御部55と、判断部56と、給水制御部57とを含む。
【0042】
洗浄処理部54は、洗浄タンク10に収容された食品を洗浄するための食品洗浄処理を行う。具体的には、
図5に示した水位センサ71,72および濃度センサ73からの信号に基づいて、給水バルブ21a、排水バルブ22a、および循環ポンプ23aを制御する。本実施の形態では、洗浄処理部54は、給水口12からの水流のみによって食品を洗浄する給水洗浄、給水口12からの水流と戻し口14からの水流との双方によって食品を洗浄する給水・循環洗浄(給水および循環洗浄)、および、戻し口14からの水流のみによって食品を洗浄する循環洗浄を順次実行する。
【0043】
吸引制御部55、判断部56、および給水制御部57は、塩素臭低減機構40に含まれる。吸引制御部55は、臭気センサ45の測定値に基づいて、吸引ポンプ44の駆動(ON/OFF)を制御する。吸引制御部55は、洗浄処理部54による洗浄処理が行われている際に作動することが望ましい。これにより、洗浄処理の終了後に作動する場合に比べて、塩素臭を効率良く低減できる。なお、吸引制御部55は、洗浄処理後に作動してもよい。
【0044】
本実施の形態において、吸引制御部55は、少なくとも循環洗浄期間に、すなわち、給水口12からの電解水の給水が停止されている期間に、吸引ポンプ44を駆動する。吸引制御部55は、臭気センサ45による測定値が許容値未満となるまで、吸引ポンプ44の駆動を継続する。
【0045】
判断部56は、臭気センサ45による測定値に基づいて、洗浄タンク10内の電解水における塩素ガスの溶解度が飽和状態に近いか否かを判断する。塩素ガスの溶解度が飽和状態に近いか否かの判断方法については後述する。
【0046】
給水制御部57は、判断部56によって塩素ガスの溶解度が飽和状態に近いと判断された場合に、給水バルブ21aを開状態とする。これにより、給水口12からの新たな電解水の給水が開始される。
【0047】
新たな電解水の供給の結果、判断部56によって塩素ガスの溶解度が飽和状態に近い状態ではなくなったと判断された場合に、給水制御部57は、給水口12からの電解水の給水を停止する。すなわち、塩素ガスが再び電解水に十分に溶解され始めた場合に、給水バルブ21aを閉状態とする。
【0048】
(食品洗浄処理について)
次に、食品洗浄装置1が実行する食品洗浄処理について説明する。
【0049】
図7は、本実施の形態における食品洗浄処理を示すフローチャートである。なお、
図7に示す一連の食品洗浄処理は、制御装置50の制御部51が、記憶部52に予め記憶された食品洗浄プログラムを読み出して実行することによって実現される。なお、食品洗浄処理が開始される前は、各バルブ21a,22aは閉状態であり、循環ポンプ23aはOFFである。
【0050】
ユーザにより操作ボタン93が操作されて、洗浄開始の指示が入力されると、制御部51の洗浄処理部54は、給水バルブ21aを開状態とし、洗浄タンク10への電解水の給水が開始される(ステップS11)。これにより、給水洗浄が行われる(ステップS12)。給水洗浄では、洗浄タンク10内に、給水口12から噴出される電解水による一定方向の水流が生じる。
【0051】
その後、水位センサ71により洗浄タンク10内の電解水の水位が、中レベルと検知された場合(ステップS13にてYES)、洗浄処理部54は、循環ポンプ23aをONにし、循環ポンプ23aの駆動を開始する。これにより、洗浄タンク10内の電解水の循環が開始される(ステップS14)。すなわち、洗浄タンク10内の電解水が排水口13から取水され、取水された電解水が電解水循環経路23を通過して戻し口14から洗浄タンク10に戻される。これにより、給水・循環洗浄が行われる(ステップS15)。給水・循環洗浄では、洗浄タンク10内に、給水口12から噴出される電解水による水流と、戻し口14から噴出される電解水による水流とが生じる。
【0052】
さらに、水位センサ72により洗浄タンク10内の電解水の水位が、高レベルと検知されると(ステップS16にてYES)、洗浄処理部54は、給水バルブ21aを閉状態とし、給水経路21からの電解水の給水を停止する(ステップS17)。これにより、循環洗浄が行われる(ステップS18)。循環洗浄では、洗浄タンク10内に、戻し口14から噴出される電解水による水流だけが生じる。
【0053】
給水を停止してからたとえば所定時間経過すると(ステップS19にてYES)、洗浄処理部54は、循環ポンプ23aをOFFにし、電解水の循環を停止する(ステップS20)。引き続き、排水バルブ22aを開状態とし、洗浄タンク10内の電解水を排水する(ステップS21)。なお、洗浄タンク10内の電解水は全量排水されるのではなく、一定量の電解水を残して排水されることが望ましい。
【0054】
電解水の排水が終わると、再びステップS11に戻り、上記処理が繰り返される。一連の食品洗浄処理は、予め設定された洗浄時間が経過した場合に終了してもよい。あるいは、洗浄処理部54は、サイクルごとに濃度センサ73により検知される濃度の低下度合を検出し、電解水の濃度の低下度合が所定値未満となった場合に、洗浄が完了したと判断して一連の食品洗浄処理を終了してもよい。
【0055】
洗浄が完了した場合、洗浄タンク10内の電解水が全量排水されるが、本実施の形態では、
図8に示す塩素臭低減処理が終了するのを待ってから、電解水の全量排水が行われる。食品洗浄装置1が、たとえばブザー等の報知手段(図示せず)を備えている場合には、報知手段は、食品洗浄処理および塩素臭低減処理の双方が終了したことを条件として、作動することが望ましい。
【0056】
電解水で青果を洗浄する場合、一般的には流水洗浄(かけ流し)されることが多いが、本実施の形態では電解水循環経路23の戻り水の水流を利用して食品を洗浄するため、流水洗浄だけを行う食品洗浄装置に比べて節水効果がある。
【0057】
なお、本実施の形態では、電解水の給水のみが行われる給水洗浄期間、電解水の給水と電解水の循環とが並行して行われる並行洗浄期間、および、電解水の循環のみが行われる循環洗浄期間が、繰り返されることとしたが、繰り返されることなく1サイクルで終了してもよい。
【0058】
(塩素臭低減処理について)
続いて、食品洗浄装置1が実行する塩素臭低減処理について説明する。
【0059】
図8は、本実施の形態における塩素臭低減処理を示すフローチャートである。本実施の形態において、塩素臭低減処理は、上述の食品洗浄処理と並行して行われる。つまり、ユーザにより操作ボタン93が操作されて、洗浄開始の指示が入力された場合に開始される。なお、
図8に示す一連の塩素臭低減処理もまた、制御装置50の制御部51が、記憶部52に予め記憶された食品洗浄プログラムを読み出して実行することによって実現される。塩素臭低減処理が開始される前は、吸引ポンプ44はOFFである。
【0060】
はじめに、制御部51の吸引制御部55は、臭気センサ45からの検知信号に基づき、空間94における塩素臭の度合を臭気値として測定する(ステップS31)。ここで測定した臭気値は、食品洗浄処理の開始時または開始前の塩素臭の度合を示し、比較用測定値として内部メモリに一時記憶される。
【0061】
食品洗浄処理が開始されると、洗浄タンク10内の電解水から塩素ガスが揮発する。そのため、洗浄処理が進むにつれて、空間94における臭気値は高くなる。吸引制御部55は、食品洗浄処理の開始後、所定のタイミングで吸引ポンプ44をONし、空間94の空気、すなわち塩素ガスの吸引を開始する(ステップS32)。これにより、吸引された塩素ガスが、洗浄タンク10内の電解水に微細気泡として噴出される。噴出された塩素ガスは、洗浄タンク10内の電解水に、塩素イオンおよび次亜塩素酸イオンなどとして溶解されるため、空間94における塩素臭を低減させることができる。
【0062】
所定のタイミングは、たとえば、洗浄処理開始後、所定時間(たとえば2分)経過したときであってもよいし、臭気センサ45により検知された臭気値が閾値以上となったときであってもよい。あるいは、
図7のステップS18に示した循環洗浄処理の開始時であってもよい。
【0063】
吸引制御部55は、一定時間(たとえば1秒)ごとに、空間94の臭気値を測定する(ステップS33)。測定される臭気値が許容値以下となるまで、塩素ガスの吸引が継続して行われる(ステップS34にてNO)。ここでの許容値は、ステップS31で測定した比較用測定値である。この場合、ステップS34では、空間94の臭気値が食品洗浄開始時または開始前に測定した値まで低減したか否かが判断される。なお、許容値は、比較用測定値でなくてもよく、比較用測定値に近い値(比較用測定値+所定値)であってもよい。
【0064】
空間94における臭気値が許容値に達するまでの間、判断部56は、電解水における塩素ガスの溶解度が飽和状態に近いか否かを判断する(ステップS35)。たとえば、ステップS33での測定値の低下度合が一定値未満か否かを判断する。より具体的には、前回の測定値から今回の測定値を引いた値が、所定回数連続して一定値未満の場合に、電解水における塩素ガスの溶解度が飽和状態に近いと判断する。このような状態は、空間94の塩素臭が洗浄タンク10内の電解水に殆ど溶解されずに空間94に戻る状態である。
【0065】
ステップS33での測定値の低下度合が一定値以上であれば(ステップS35にてNO)、塩素ガスの臭気は電解水に適切に溶解されていると考えられるため、塩素ガスの吸引を継続する。このような状態は、電解水における塩素ガスの溶解度に余裕がある状態、つまり、塩素ガスの溶解度が飽和状態に近くない状態である。
【0066】
その後、電解水における塩素ガスの溶解度が、飽和状態に近づいていると判断された場合(ステップS35にてYES)、給水制御部57は、給水バルブ21aを開放し、給水経路21を開状態とする(ステップS36)。これにより、空間94の臭気値が許容値に達していないにもかかわらず、空間94の塩素臭の低減度合が著しく低い場合に、洗浄タンク10内に、(塩素イオンおよび次亜塩素酸イオンなどの水溶性物質が飽和状態でない)新たな電解水が給水される。
【0067】
食品の循環洗浄期間(
図7のステップS18)において給水経路21は閉状態であるが、一時的に給水経路21を開状態として新たな電解水を給水することで、オーバーフロー口15から古い電解水がオーバーフローにより排出する。これにより、再び、塩素ガスが電解水に溶解されるようになる。新たな電解水の給水は、ステップS33での測定値の低下度合が一定値以上となった場合に、停止される。空間94の臭気値の低下度合が一定値以上となると、電解水における塩素ガスの溶解度に余裕が出てきたと判断できるためである。
【0068】
なお、本実施の形態では、給水制御部57により新たな電解水が給水された場合、オーバーフロー口15から古い電解水がオーバーフローされることとした。しかしながら、たとえば、給水口12の位置が側壁32の比較的高い位置(つまり、オーバーフロー口15に近い位置)に設けられる構成の場合には、洗浄タンク10の底壁31に設けられた排水口13から古い電解水を排水させながら、新たな電解水を給水してもよい。
【0069】
塩素ガスの吸引および噴出を繰り返した結果、空間94における塩素ガスの臭気値が許容値以下となった場合(ステップS34にてYES)、吸引制御部55は、吸引ポンプ44の駆動を停止し、塩素ガスの吸引を停止する(ステップS37)。以上で、塩素臭低減処理が終了される。
【0070】
なお、本実施の形態では、塩素臭低減処理は、食品洗浄処理と並行して行われることとしたが、食品洗浄処理の後に直列的に行われてもよい。
【0071】
以上説明したように、食品洗浄装置1が塩素臭低減機構40を備えるため、食品洗浄後に蓋91を開放した場合に、塩素ガスの臭気成分が、取り出した食材に付着する可能性を低減することができる。また、塩素臭が放出されないため、周辺環境の汚染を改善することができる。つまり、塩素臭により人に不快感を与えたり、周辺機器を腐食させたりすることがなくなる。
【0072】
また、塩素臭低減機構40は、空間94に充満する塩素臭を、食品洗浄に用いる電解水に溶解させる構造である。そのため、食品洗浄装置1を大掛かりな装置としなくても塩素臭を低減することができる。つまり、食品洗浄に伴って発生する塩素ガスによる臭気を効果的に低減させる。
【0073】
また、塩素臭低減機構40は、臭気センサ45を備えるため、空間94に発生した塩素ガスの臭気値を精確に把握できる。そのため、塩素臭の低減判断の精度を向上させることができる。なお、塩素臭低減機構40は臭気センサ45を備えていなくてもよい。その場合、上記した吸引制御部55は、所定時間または所定回数、吸引ポンプ44を駆動すればよい。
【0074】
また、本実施の形態では、食品洗浄期間に、塩素成分を電解水に再溶解させるため、食品に対する殺菌力の低下を抑制することも可能である。
【0075】
なお、吸引口41が設けられる位置は、できるだけ空間94の上層部に面する位置であることが望ましいが、少なくとも空間94に面する位置であればよい。そのため、吸引口41は、洗浄タンク10の側壁以外の箇所に設けられてもよい。
【0076】
また、本実施の形態に係る食品洗浄装置1は、食品の循環洗浄を行うことを前提としたが、上記した塩素臭低減機構40は、流水洗浄のみを行うタイプの食品洗浄装置にも適用することが可能である。
【0077】
また、本実施の形態において、電解水は微酸性電解水であることとしたが、限定的ではなく、塩素成分を含有する電解水であれば、アルカリ性の電解水であってもよい。
【0078】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。