特許第6865080号(P6865080)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6865080
(24)【登録日】2021年4月7日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】弁制御装置のポジショナ防振構造
(51)【国際特許分類】
   F16K 37/00 20060101AFI20210419BHJP
   F16K 27/00 20060101ALI20210419BHJP
   F16F 15/08 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
   F16K37/00 D
   F16K27/00 B
   F16F15/08 E
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-57753(P2017-57753)
(22)【出願日】2017年3月23日
(65)【公開番号】特開2018-159451(P2018-159451A)
(43)【公開日】2018年10月11日
【審査請求日】2019年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬場 丈雄
(72)【発明者】
【氏名】門出 匡胤
(72)【発明者】
【氏名】岩田 知和
(72)【発明者】
【氏名】田中 充
【審査官】 橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−077080(JP,U)
【文献】 実開昭61−108551(JP,U)
【文献】 実開昭63−101350(JP,U)
【文献】 特開平09−096340(JP,A)
【文献】 特開平08−100706(JP,A)
【文献】 実開昭61−079039(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0047902(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第104632992(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/00−15/36
F16K 27/00−27/12
37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管に設けられた弁本体と、前記弁本体に連結されて前記弁本体を駆動する弁駆動部と、前記弁本体に対して平板状のブラケットを介して取り付けられると共に前記弁駆動部に対して作動ロッドを介して接続され当該作動ロッドの作動に基づいてスリーブ内の位置を変化させて前記弁駆動部に制御信号を出力するパイロットステムを有するポジショナと、を備える弁制御装置のポジショナ防振構造であって、
前記ブラケットに形成された挿通穴と、
前記ポジショナに形成された固定穴と、
前記固定穴に貫通されると共に前記挿通穴に隙間をもって挿通されるボルトと、
前記ブラケットの前記ポジショナとは反対側に対向して設けられて前記ボルトが貫通する第一平座金と、
前記ポジショナの前記ブラケットに対向する面に沿って設けられて前記ボルトが貫通する第二平座金と、
前記ブラケットと前記第二平座金との間に介在されると共に前記ボルトが貫通する第一防振部材と、
前記挿通穴内で前記隙間を埋めると共に前記ボルトが貫通する第二防振部材と、
前記ブラケットと前記第一平座金との間に介在されると共に前記ボルトが貫通する第三防振部材と、
前記ポジショナと前記第一平座金との間で前記ボルトを締め付けるナットと、
を備え、
各前記防振部材は、前記ポジショナの固有振動数が50Hz以下で減衰比が10%以上になる素材からなり、
前記ポジショナ側および前記第二平座金にて前記第一防振部材の接触する平面が、前記第一防振部材の外径よりも大径に形成され、前記ブラケット側および前記第一平座金にて前記第三防振部材の接触する平面が、前記第三防振部材の外径よりも大径に形成されている弁制御装置のポジショナ防振構造。
【請求項2】
前記ボルトは、ネジ部と、ネジ部を有さない棒状部と、を有して構成され、前記棒状部が各前記防振部材を貫通して設けられている請求項1に記載の弁制御装置のポジショナ防振構造。
【請求項3】
前記第二平座金にて前記第一防振部材の接触する平面、前記ブラケット側にて前記第一防振部材の接触する平面、前記ブラケット側にて前記第三防振部材の接触する平面、および前記第一平座金にて前記第三防振部材の接触する平面は、前記第一防振部材や前記第三防振部材を嵌入する凹部が形成されている請求項1または2に記載の弁制御装置のポジショナ防振構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁本体に連結された弁駆動部を制御するポジショナの防振を行う弁制御装置のポジショナ防振構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、弁本体(弁箱)に連結された弁駆動部(アクチュエータ本体)にブラケットを介してポジショナが支持された制御弁において、弁駆動部に砂が充填された砂箱を固定し、砂箱の底板内面にブラケットの下端を固定し、ブラケットの上端にポジショナを支持する防振構造が示されている。
【0003】
また、例えば、特許文献2には、ボルトの幹部との間に円筒状の隙間があるように振動体または固定体の取付穴を形成し、円筒状の隙間の形状に形成した防振部材をボルトの幹部と振動体または固定体の取付穴との間に嵌入してボルトを締結する防振締結構造が示されている。また、特許文献2には、さらにボルトの頭やナットと振動体や固定体との間にも防振部材を介在させることが示されている。なお、特許文献2における防振部材は防振ゴムであることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平4−77080号公報
【特許文献2】特開平9−96340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ポジショナは、弁駆動部において弁本体を駆動した弁本体における弁開度をフィードバックするために、弁駆動部の駆動部分に作動ロッドを介してレバーが接続されている。すなわち、ポジショナは、弁駆動部において弁本体を駆動した弁本体における弁開度が作動ロッドを介してレバーが動かされることでフィードバックする。また、ポジショナは、レバーの動きをバネ支持されたパイロットステムに伝達する。そして、レバーの動きに伴ってスリーブ内のパイロットステムの位置が変化することでスリーブ内に送られた空気の圧力が変化し、この圧力変化を電気信号に変換し弁駆動部の制御信号として出力する。
【0006】
このようなポジショナは、特許文献1に示すように、弁駆動部の弁開度をフィードバックすることから弁本体にブラケットを介して支持されている。このため、配管内を流れる流体によって発生した振動が弁本体からブラケットに伝わりポジショナを振動させる。ポジショナが振動すると、パイロットステムがスリーブ内で揺動してスリーブに衝突して摩耗し、これによりパイロットステムがスリーブ内に固着すると弁制御に支障を来すおそれがある。
【0007】
このようなポジショナの事象に対し、特許文献2のような防振締結構造によりポジショナを弁駆動部のブラケットに取り付けることが考えられる。しかし、ポジショナは、レバーが作動ロッドを介して弁駆動部に接続されているため、作動ロッドを介して振動が伝わるため、弁駆動部と防振部材を介して全て縁を切ることはできない。このため、ポジショナへの振動を防ぐうえで比較的柔らかい素材の防振部材を用いることが好ましいが、柔らかすぎると変位が大きくなって、この結果パイロットステムの揺動を抑えることが難しくなる。
【0008】
本発明は上述した課題を解決するものであり、ブラケットのみならず作動ロッドを介してポジショナが弁駆動部に接続されている弁制御装置においてポジショナを防振することのできる弁制御装置のポジショナ防振構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するために、本発明の一態様に係る弁制御装置のポジショナ防振構造は、配管に設けられた弁本体と、前記弁本体に連結されて前記弁本体を駆動する弁駆動部と、前記弁本体に対して平板状のブラケットを介して取り付けられると共に前記弁駆動部に対して作動ロッドを介して接続され当該作動ロッドの作動に基づいてスリーブ内の位置を変化させて前記弁駆動部に制御信号を出力するパイロットステムを有するポジショナと、を備える弁制御装置のポジショナ防振構造であって、前記ブラケットに形成された挿通穴と、前記ポジショナに形成された固定穴と、前記固定穴に貫通されると共に前記挿通穴に隙間をもって挿通されるボルトと、前記ブラケットの前記ポジショナとは反対側に対向して設けられて前記ボルトが貫通する平座金と、前記ポジショナと前記ブラケットとの間に介在されると共に前記ボルトが貫通する第一防振部材と、前記挿通穴内で前記隙間を埋めると共に前記ボルトが貫通する第二防振部材と、前記ブラケットと前記平座金との間に介在されると共に前記ボルトが貫通する第三防振部材と、前記ポジショナと前記平座金との間で前記ボルトを締め付けるナットと、を備え、各前記防振部材は、前記ポジショナの固有振動数が50Hz以下で減衰比が10%以上になる素材からなる。
【0010】
また、本発明の一態様に係る弁制御装置のポジショナ防振構造では、前記ポジショナ側および前記ブラケット側にて前記第一防振部材の接触する平面が、前記第一防振部材の外径よりも大径に形成され、前記ブラケット側および前記平座金にて前記第三防振部材の接触する平面が、前記第三防振部材の外径よりも大径に形成されていることが好ましい。
【0011】
また、本発明の一態様に係る弁制御装置のポジショナ防振構造では、前記ボルトは、ネジ部と、ネジ部を有さない棒状部と、を有して構成され、前記棒状部が各前記防振部材を貫通して設けられていることが好ましい。
【0012】
また、本発明の一態様に係る弁制御装置のポジショナ防振構造では、前記ポジショナ側にて前記第一防振部材の接触する平面、前記ブラケット側にて前記第一防振部材の接触する平面、前記ブラケット側にて前記第三防振部材の接触する平面、および前記平座金にて前記第三防振部材の接触する平面は、前記第一防振部材や前記第三防振部材を嵌入する凹部が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ポジショナとブラケットとの間、およびブラケットとボルトとの間が各防振部材により非接触で縁切りされており、天然ゴムよりも柔らかい防振部材で、ブラケットに伝達される弁本体の振動がポジショナ側に伝達されないように防振される。本発明によれば、ポジショナの固有振動数が50Hz以下になるよう各防振部材でポジショナを支持することで、パイロットステムがスリーブに接触し、摩耗するような振動の発生を防ぐことができる。しかも、本発明によれば、各防振部材が減衰比が10%以上の素材からなることで、天然ゴムよりも柔らかい素材からなることにより大きくなり得るポジショナの変位を小さく抑えることができ、ポジショナと、作動ロッドの作動をポジショナに伝えるレバーとの相対変位による制御信号のエラーを防ぐことができる。ポジショナのみが変動し、レバー側が固定された状態だと、相対変位によりレバーが回り、弁の開度が変わった誤認識していまい、間違った制御信号を出すことが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施形態に係る弁制御装置の概略構成図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る弁制御装置のポジショナ防振構造の断面図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る弁制御装置のポジショナ防振構造の断面図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る弁制御装置のポジショナ防振構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0016】
図1は、本実施形態に係る弁制御装置の概略構成図である。図1に示す弁制御装置は、弁本体11と、弁駆動部12と、ポジショナ13と、を備えるものである。
【0017】
弁本体11は、配管14の途中に介在されて、配管を流通する流体の流量を変化させる。
【0018】
弁駆動部12は、弁本体11を駆動するもので、アクチュエータを構成する駆動部12Aと、駆動部12Aの動作を弁本体11に伝達する作動部12Bと、を有し、弁本体11と一体に固定されている。
【0019】
ポジショナ13は、主に、フィードバック機構13Aと、出力部13Bと、を有する。フィードバック機構13Aは、弁駆動部12の作動部12Bに接続されて作動部12Bの作動に伴って作動する作動ロッド13Aaと、作動ロッド13Aaの作動を受けるレバー13Abと、を有する。レバー13Abは、ポジショナ13のケーシング13Cに対して回転可能に設けられており、作動ロッド13Aaの作動を受けて揺動する。出力部13Bは、ポジショナ13のケーシング13C内に設けられており、スリーブ13Baと、パイロットステム13Bbと、を有する。スリーブ13Baは、内部に空気が送られる。パイロットステム13Bbは、スリーブ13Ba内での位置を変えられるように設けられていると共にフィードバック機構13Aのレバー13Abの揺動に連動して位置が変化する。出力部13Bは、レバー13Abの揺動に連動してパイロットステム13Bbがスリーブ13Ba内での位置が変わり、スリーブ13Ba内の圧力変化に基づき開閉信号を出力する。開閉信号は、制御器15に送られ、制御器15は開閉信号に応じた制御信号を弁駆動部12の駆動部12Aに送信する。駆動部12Aは、制御信号に従って駆動される。
【0020】
ポジショナ13は、ケーシング13Cがブラケット16を介して弁本体11に取り付けられている。上述したように、ポジショナ13は、フィードバック機構13Aの作動ロッド13Aaが弁駆動部12の作動部12Bに接続されており、作動部12Bの作動に伴って作動ロッド13Aaが適宜作動できることが望ましい。このため、ポジショナ13は、流体の流通による弁本体11の振動に伴って振動する。
【0021】
しかし、ポジショナ13は、出力部13Bにおいてパイロットステム13Bbは、スリーブ13Ba内を移動することで開閉信号を出力する構成であるため、振動によりパイロットステム13Bbがスリーブ13Baに接触して摩耗が発生すると、これによりパイロットステム13Bbがスリーブ13Ba内に固着することがあり、弁制御に支障を来すおそれがある。
【0022】
このため、本実施形態では、弁制御装置のポジショナ防振構造を提供する。図2図4は、本実施形態に係る弁制御装置のポジショナ防振構造の断面図である。
【0023】
ポジショナ13が取り付けられるブラケット16は、撓みが小さい硬質材(例えば、炭素鋼やステンレス合金鋼)により板状部材として形成されている。ブラケット16は、図1に示すように、矩形状に形成されたポジショナ13のケーシング13Cに対し、板状に形成された下縁と、一方の側縁と、上縁の一部に沿って連続して鉤形状に形成されている。ポジショナ13は、ケーシング13Cの下縁および上縁の一部がそれぞれ複数のボルト1によりブラケット16に対して取り付けられている。
【0024】
ボルト1は、図2に示すように、ポジショナ13のケーシング13Cに貫通されると共にブラケット16に挿通されナット2による締め付けによりナット2とボルト頭1Cとの間で互いに締結される。本実施形態において、ナット2は、ダブルナットにて構成されて緩みが生じ難くなっている。
【0025】
ブラケット16は、ボルト1の全周に隙間Sをもって挿通させる挿通穴3が形成されている。挿通穴3は、成形性を考慮して内形状を円形状とすることが好ましいが、円形状に形成されていなくてもよい。なお、ブラケット16の挿通穴3の周りとなる板状部材の両面は平面として形成されている。
【0026】
ポジショナ13のケーシング13Cは、板状に形成された部分にボルト1を貫通させる固定穴4が形成されている。固定穴4は、ボルト1の外径と同等でボルト1を貫通できるクリアランスを含む内径に形成された円形状の穴である。なお、ケーシング13Cの固定穴4の周りとなる板状の両面は平面として形成されていることが好ましいが、平面でない場合は、図2に示すようにボルト1が貫通する平座金5が設けられていてもよい。平座金5は、少なくとも、ブラケット16側に向く側に設けられる。
【0027】
また、ブラケット16のポジショナ13のケーシング13Cとは反対側には、ボルト1が貫通する平座金6が設けられる。
【0028】
ポジショナ13のケーシング13Cとブラケット16との間には、第一防振部材7が介在して設けられている。第一防振部材7は、挿通穴3の内径よりも大きい外径に形成されていると共にボルト1を貫通させる固定穴7Aが形成されている。
【0029】
ブラケット16の挿通穴3内には、ボルト1の全周の隙間Sを埋めるように第二防振部材8が設けられている。第二防振部材8は、挿通穴3の内形状に合致する外形状に形成され、ボルト1を貫通させる固定穴8Aが形成されている。
【0030】
ブラケット16と平座金6との間には、第三防振部材9が介在して設けられている。第三防振部材9は、挿通穴3の内径よりも大きい外径に形成されていると共にボルト1を貫通させる固定穴9Aが形成されている。
【0031】
第一防振部材7、第二防振部材8、および第三防振部材9は、ポジショナ13の固有振動数が50Hz以下で減衰比が10%以上になる素材からなる。そのため、適用される素材としては、柔らかく高減衰のシリコン製のゴムなどが好ましい。なお、第二防振部材8は、第一防振部材7や第三防振部材9と一体に連続して形成されていてもよい。
【0032】
このように構成されたポジショナ防振構造は、ポジショナ13のケーシング13Cとブラケット16との間に介在されると共にボルト1が貫通する第一防振部材7と、ブラケット16の挿通穴3内でボルト1との隙間Sを埋めると共にボルト1が貫通する第二防振部材8と、ブラケット16と平座金6との間に介在されると共にボルト1が貫通する第三防振部材9と、を備え、各防振部材7,8,9は、ポジショナ13の固有振動数が50Hz以下で減衰比が10%以上になる素材からなる。
【0033】
本実施形態のポジショナ防振構造によれば、ポジショナ13のケーシング13Cとブラケット16との間、およびブラケット16とボルト1との間が各防振部材7,8,9により非接触で縁切りされており、各防振部材7,8,9が天然ゴムよりも柔らかい素材からなることで、ブラケット16に伝達される弁本体11の振動がポジショナ13のケーシング13C側に伝達されないように防振される。さらに、本実施形態のポジショナ防振構造によれば、ポジショナの固有振動数が50Hz以下になるよう各防振部材7,8,9でポジショナ13を支持することで、パイロットステム13Bbがスリーブ13Baに接触し、摩耗するような振動の発生を防ぐことができる。しかも、本実施形態のポジショナ防振構造によれば、各防振部材7,8,9が減衰比が10%以上(100%以下)の素材からなることで、天然ゴムよりも柔らかい素材からなることにより大きくなり得るポジショナ13の変位を小さく抑えることができ、ポジショナ13とレバー13Abの相対変位による制御信号のエラーを防ぐことができる。ポジショナ13のみが変動し、レバー13Ab側が固定された状態だと、相対変位によりレバー13Abが回り、弁本体11の開度が変わった誤認識していまい、間違った制御信号を出すことが考えられる。
【0034】
しかも、本実施形態のポジショナ防振構造によれば、各防振部材7,8,9がシリコン製であれば、天然ゴムと比較して永久歪みが小さいため、皿バネのような弾性部材で押さえつける必要がなく、部品点数を削減することができる。
【0035】
なお、各防振部材7,8,9について、弁本体11からブラケット16に伝達される振動がポジショナ13のケーシング13C側に伝達されない防振作用、およびポジショナ13とレバー13Abの相対変位による制御信号のエラーを防ぐ作用を顕著に得るうえで、各防振部材7,8,9は、ポジショナ13の固有振動数が30Hzになる剛性であることが好ましい。固有振動数が30Hzとは、±5Hz程度の範囲を含む。
【0036】
また、本実施形態のポジショナ防振構造では、図2に示すように、ポジショナ13のケーシング13C側およびブラケット16側にて第一防振部材7の接触する平面(図2図4では平座金5の平面5aおよびブラケット16のポジショナ13側の平面16a)が、第一防振部材7の外径D1よりも大径に形成され、ブラケット16およびブラケット16のポジショナ13とは反対側に対向して設けられた平座金6にて第三防振部材9の接触する平面(図2ではブラケット16のポジショナ13とは反対側の平面16bおよび平座金6の平面6a)が、第三防振部材9の外径D2よりも大径に形成されている。
【0037】
すなわち、図2図4に示すように、平座金5の平面5aおよびブラケット16のポジショナ13側の平面16aが第一防振部材7の外径D1よりも大きな外径に形成され、ブラケット16のポジショナ13とは反対側の平面16bおよび平座金6の平面6aが第三防振部材9の外径D2よりも大きな外径に形成されていることで、第一防振部材7および第三防振部材9がそれよりも大きな平面5a,16aおよび平面16b,6aの間で挟まれるため、ボルト1およびナット2での締め付けにおいて平面5a,16aや平面16b,6aから第一防振部材7や第三防振部材9が逸脱せずに保持されるため、防振効果を十分に発揮することができる。
【0038】
また、本実施形態のポジショナ防振構造では、図3および図4に示すように、ボルト1は、ネジ部1Aと、ネジ部1Aを有さない棒状部1Bと、を有して構成されている。そして、棒状部1Bが各防振部材7,8,9を貫通して設けられていることが好ましい。
【0039】
すなわち、図3および図4に示すように、ネジ部1Aが各防振部材7,8,9に接触しないように構成されている。このため、比較的柔らかい素材からなる各防振部材7,8,9がネジ部1Aの溝の凹凸により傷付いて裂けることを防止でき、防振効果を維持することができる。
【0040】
本実施形態では、上記構成とするにあたり、図2の構成と比較してボルト1の棒状部1Bを長くしてネジ部1Aを短くし、ナット2と平座金6との間にネジ部1Aが配置される厚みのある座金10を設け、ネジ部1Aにナット2が螺合できるようにしている。なお、平座金6を厚みのあるものとしてもよい。
【0041】
また、本実施形態のポジショナ防振構造では、図4に示すように、ポジショナ13のケーシング13C側にて第一防振部材7が接触する平面(平座金5の平面5a)、ブラケット16側にて第一防振部材7の接触する平面(ブラケット16のポジショナ13側の平面16a)、ブラケット16側にて第三防振部材9の接触する平面(ブラケット16のポジショナ13とは反対側の平面16b)、およびブラケット16のポジショナ13とは反対側に対向して設けられた平座金6にて第三防振部材9の接触する平面6aは、第一防振部材7や第三防振部材9を嵌入する凹部5b,16c,16d,6bが形成されていることが好ましい。
【0042】
すなわち、図4に示すように、平座金5の平面5aは、第一防振部材7を嵌入する凹部5bの底面として形成され、ブラケット16のポジショナ13側の平面16aは、第一防振部材7を嵌入する凹部16cの底面として形成され、ブラケット16のポジショナ13とは反対側の平面16bは、第三防振部材9を嵌入する凹部16dの底面として形成され、平座金6の平面6aは、第三防振部材9を嵌入する凹部6bの底面として形成されている。このため、第一防振部材7は周囲が凹部5bで囲まれつつ平面5aで抑えられると共に、凹部16cで囲まれつつ平面16aで抑えられ、第三防振部材9は周囲が凹部16dで囲まれつつ平面16bで抑えられると共に、凹部6bで囲まれつつ平面6aで抑えられる。
【0043】
ポジショナ13の固有振動数が50Hz以下になるよう比較的柔らかい素材からなる第一防振部材7および第三防振部材9は、ボルト1およびナット2の押し付け力が小さいため横ずれしやすい。横ずれすることで、支持条件が変わって防振効果が低下するおそれがある。また、ボルト1およびナット2による締め込みにより外側に拡がって横ずれすることで、支持条件が変わって防振効果が低下するおそれがある。この点、本実施形態のポジショナ防振構造によれば、第一防振部材7および第三防振部材9が凹部5b,16c,16d,6bに嵌入して外側への横ずれが抑制されるため、ボルト1およびナット2の押し付け力が得られて支持条件が一定となるため、防振効果の低下を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0044】
1 ボルト
1A ネジ部
1B 棒状部
1C ボルト頭
2 ナット
3 挿通穴
4 固定穴
5 平座金
5a 平面
5b 凹部
6 平座金
6a 平面
6b 凹部
7 第一防振部材
7A 固定穴
8 第二防振部材
8A 固定穴
9 第三防振部材
9A 固定穴
10 座金
11 弁本体
12 弁駆動部
12A 駆動部
12B 作動部
13 ポジショナ
13A フィードバック機構
13Aa 作動ロッド
13Ab レバー
13B 出力部
13Ba スリーブ
13Bb パイロットステム
13C ケーシング
14 配管
15 制御器
16 ブラケット
16a 平面
16b 平面
16c 凹部
16d 凹部
D1 外径
D2 外径
S 隙間
図1
図2
図3
図4