(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態における採光装置は、太陽光を反射して、反射光を屋内の天井面に照射する採光装置であって、窓に沿って、上方から下方へ向けて光導入緩和領域と光導入領域とがこの順に設けられ、前記光導入緩和領域は、外端部が屋外側に、内端部が屋内側に位置するように設けられて、上面が光を拡散させるように仕上げられた複数の光拡散反射板を備え、前記光導入領域は、外端部が屋外側に、内端部が屋内側に位置するように設けられて、上面が光を直接反射させるよう鏡面仕上げされた複数の鏡面反射板を備えてなることを特徴とする。
【0016】
図1は、本発明の実施形態として示した採光装置1の設置状況を示す、建物2の側面図である。
図2は、
図1の、G矢視部分の拡大図である。建物2内には、外壁3a、天井3b、内壁3c、及び床3dより囲まれて、屋内空間3(屋内)が形成されている。本実施形態においては、屋内空間3は室であるが、後述するように廊下などの室外であってもよい。屋内空間3の、外壁3aを挟んだ反対側は、屋外5となっている。
【0017】
外壁3aの上側と下側は、それぞれ、窓3fと下側外壁3eとなっている。本実施形態においては、下側外壁3eは光を透過しない壁であるが、本実施形態の第3変形例として後述するように、下側外壁3eは、ブラインドを備えた窓等であってもよい。窓3fには、
図2以降に図示されている、太陽光を透過する板材4が設けられている。板材4は、例えばガラスであってよい。窓3fの下端は、
図6を用いて後に示すように、居住者の眼の高さよりも高い位置に設けられている。
本実施形態においては、窓3fの外側には上方に庇15が設けられており、庇15によって、次に説明する採光装置1の一部に影15aが形成されている。庇15は、採光装置1に影15aを形成するものの一例として本実施形態において示されるものである。例えば、庇15が設けられておらず、採光装置1が図示されているよりも窓3fから離れてより屋内3側に設けられた場合も、窓枠の上部が庇15と同様に採光装置1に影15aを形成するように作用する。
【0018】
上記のような建物2に対し、採光装置1が設けられている。採光装置1は、複数の鏡面反射板10と、複数の光拡散反射板11を備えている。
窓3fには、窓3fに沿って、上方から下方に向けて光導入緩和領域R1と光導入領域R2がこの順に設けられている。光導入緩和領域R1と光導入領域R2の境界は、窓3f内の所定の高さに位置付けられている。
光導入緩和領域R1においては、複数の光拡散反射板11が、窓3fの内側、すなわち屋内空間3に、窓3fの上端から光導入緩和領域R1の下端まで、上下方向Zに間隔を空けて整列して設けられている。
光導入領域R2においては、複数の鏡面反射板10が同様に、窓3fの内側に、光導入領域R2の上端から窓3fの下端まで、上下方向Zに間隔を空けて整列して設けられている。
【0019】
光導入緩和領域R1に設けられる複数の光拡散反射板11の各々は、長尺の、合成樹脂や、アルミニウム等の薄く軽量な金属により形成された板状の部材であり、光拡散反射板11の長さ方向が、屋内方向と屋外方向を結ぶ方向Xに水平面内で交差する横方向Yに平行になるように設けられている。光拡散反射板11は、その長さ方向に沿った一端辺が屋外側に位置して外端部11aとなり、また、反対側の端辺が屋内側に位置して内端部11bとなるように、それぞれ位置づけられて設けられている。
光拡散反射板11は、外端部11aと内端部11bの間が下方向に湾曲するように形成されている。光拡散反射板11の上面は、光を拡散反射させるように仕上げられている。
【0020】
光導入領域R2に設けられる複数の鏡面反射板10の各々は、長尺の、アルミニウム等により形成された鋼板であり、鏡面反射板10の長さ方向が、屋内方向と屋外方向を結ぶ方向Xに水平面内で交差する横方向Yに平行になるように設けられている。鏡面反射板10は、その長さ方向に沿った一端辺が屋外側に位置して外端部10aとなり、また、反対側の端辺が屋内側に位置して内端部10bとなるように、それぞれ位置づけられて設けられている。
【0021】
図3は、
図2における鏡面反射板10の拡大図である。複数の鏡面反射板10の各々は、
図3に示されるように、太陽光S、ここでは主に、指向性を有する直射日光を反射して、反射光Rを
図1に示される屋内空間3の天井面3bに照射する。このために鏡面反射板10は、上面10cに反射面を備えている。本実施形態においては、鏡面反射板10を構成する鋼板の上面10cを鏡面仕上げとすることで、この上面10cが反射面となっている。鏡面反射板10の下面10dは、太陽光Sまたは下方に位置する他の鏡面反射板10の上面10cにより反射された反射光Rが、下面10dに入射して屋内へ向けて反射することによりグレア源となるのを抑制するため、拡散面仕上げとされている。
【0022】
複数の鏡面反射板10の各々は、湾曲部7と、屋内延伸部8を備えている。湾曲部7と屋内延伸部8は、外端部10aから一定の位置Eにおいて区分されるように形成されている。この位置Eの設定方法については後に説明する。湾曲部7は、位置Eに対して鏡面反射板10の屋外側に位置しており、屋内延伸部8は、位置Eに対して鏡面反射板10の屋内側に位置している。これにより、屋内延伸部8は、位置Eにおいて、湾曲部7の屋内側の端辺に接続されるように形成されている。後述するように、入射された太陽光Sは、湾曲部7によって上方に反射されて反射光Rとなり、この反射光Rにより天井3bが照射される。また、屋内延伸部8によって、太陽光S及び鏡面反射板10が反射した反射光Rが、
図6に示される居住者6の眼に入射するのが防止される。
【0023】
本実施形態における鏡面反射板10は、鏡面反射板10が反射した反射光Rによる眩しさを居住者に感じさせずに、太陽高度に依存せず、一年中、屋内空間3に一定以上の水準の量の採光を得る構成となっている。これを実現するための、鏡面反射板10の湾曲部7と屋内延伸部8の形状について、以下詳細に説明する。
【0024】
まず、
図1に示すように、H
Rを床3dから天井3bまでの高さ、H
Bを窓3fの下端の高さ、すなわち最も下に位置する鏡面反射板10の高さ、d
aを太陽高度がaの時の照射対象距離、すなわち鏡面反射板10によって反射光Rを導入し天井3bを照射したい位置Fまでの、窓3fからの屋内方向Xの距離とする。このとき、太陽高度がaの時の鏡面反射板10による反射光Rの反射光角度θ
ra、すなわち、最下端の鏡面反射板10が窓3fの下端の高さに位置する水平面Hよりも上方向に太陽光を反射して、窓3fから屋内方向Xにd
aの距離だけ離れた天井3bの位置Fを照射するために必要な角度は、次式により求めることができる。
【0026】
上記の式(1)で表されるように、本実施形態においては、反射光角度θ
ra及び照射対象距離d
aの値は、太陽高度aに依存して異なるように設定されているが、後述するように、これらの値は太陽高度に依存せずに常に一定となるように設定しても構わない。
【0027】
式(1)の反射光角度θ
raを実現し得る湾曲部7の詳細な形状について、
図4を用いて説明する。
図4は、鏡面反射板10の湾曲部7の拡大図である。鏡面反射板10の湾曲部7は、太陽高度aの場合の太陽光を反射光角度θ
raで反射させ、
図1に示される外壁3aから照射対象距離d
aまでの天井3bを照射する。湾曲部7が様々な太陽高度の値に対応できるように、湾曲部7は、各太陽高度に対応した設置角を備える、複数の反射領域の集合体として形成されている。より具体的には、湾曲部7は、屋外側から屋内側Xに向かって、太陽高度毎に複数の反射領域に区分したときに、複数の反射領域は、屋内側に配置されるものほど低い太陽高度に対応して、水平面に対する角度が小さくなるように形成されている。
【0028】
図4に示されるように、本実施形態においては、対象となる太陽高度を、例えば20°以上80°以下としている。この範囲の太陽高度に、例えば10°刻みで対応するように、7区分の反射領域7a、7b、7c、7d、7e、7f、7gが形成されている。すなわち、反射領域7a〜7gの各々は、太陽高度a(=80°、70°、60°、50°、40°、30°、20°)の対応する太陽光を、水平面に対して反射光角度θ
ra(=θ
r80、θ
r70、θ
r60、θ
r50、θ
r40、θ
r30、θ
r20)の角度を付けられた反射光として反射する。後述するように、太陽高度の上限下限、及び、刻み幅は、上記に限られない。
【0029】
本実施形態においては、反射領域7a〜7gの各々は、平面として形成されている。反射領域7a〜7gは、対応する太陽高度が高いものほど、屋外側に位置せしめられており、屋内方向Xに隣接する反射領域7a〜7gの、横方向Yに延在する端辺同士が、互いに接合されている。後述の式(2)で表されるように、反射領域7a〜7gは、対応する太陽高度が高いものほど、水平面に対する角度が大きくなるように形成されているため、上記のように湾曲部7は、鏡面反射板10の外端部10aから屋内方向Xに向けて、下方向に湾曲する形状を備えている。
【0030】
ここで、太陽高度aが80°、70°、60°、50°、40°、30°、20°の場合の、入射角(太陽高度)をθ
sa(=θ
s80、θ
s70、θ
s60、θ
s50、θ
s40、θ
s30、θ
s20)と表記する。θ
s80、θ
s70、θ
s60、θ
s50、θ
s40、θ
s30、θ
s20の各々は、80°、70°、60°、50°、40°、30°、20°と等しい。また、太陽高度が80°、70°、60°、50°、40°、30°、20°の各々に対応する反射領域7a〜7gの、水平面に対する角度を、θ
b80、θ
b70、θ
b60、θ
b50、θ
b40、θ
b30、θ
b20と表記する。複数の反射領域7a〜7gの各々は、対応する太陽高度θ
saからの太陽光を、反射光角度θ
raの角度で反射するために、次式で表される角度θ
baをつけて設けられている。
【0032】
各反射領域7a〜7gは、各々が、上記したような互いに異なる角度θ
baをつけて設けられるとともに、互いに異なる長さを備えている。本実施形態においては、各反射領域7a〜7gの長さは、対応する太陽高度θ
saに関する係数と、板材4の透過率に関する係数の、2つの係数に基づいて決定されている。
【0033】
まず、
図5を用いて、太陽高度θ
saに関する長さの係数について説明する。
図5は、各反射領域7a〜7gにおける、太陽光の反射状況を示す説明図である。上記のように鏡面反射板10は、太陽高度θ
saに依存せずに、一年中、
図1に示される屋内空間3に一定以上の水準の量の採光を得るためのものである。すなわち、
図5に示されるように、太陽高度θ
saに依らず、採光量及び反射光量を同程度にする必要がある。これを実現するために、本実施形態においては、各太陽高度θ
saに対応する反射領域7a〜7gの、平面視した場合の内外方向の長さL
a(=L
80、L
70、L
60、L
50、L
40、L
30、L
20)、すなわち、各反射領域7a〜7gを平面視した場合における、鏡面反射板10の長さ方向に直交する幅方向の長さは、以下の式(3)により算出される係数β
a(=β
80、β
70、β
60、β
50、β
40、β
30、β
20)を基に決定されている。
【0035】
板材4の透過率に関する長さの係数については、次のように決定される。本実施形態における採光装置1は、
図3に示されるように、ガラス等の太陽光Sを透過する板材4の屋内側に設けられているため、太陽光Sは、板材4を透過して、鏡面反射板10に入射されている。板材4の透過率は、入射角、すなわち太陽高度θ
saにより異なっている。すなわち、太陽高度θ
saが板材4に対して垂直に近く位置するほど、透過率は高いが、垂直から離れるにつれて、透過率が低くなる。また、透過率は板材4の厚さにも依存する。したがって、太陽高度θ
saに依存せずに、屋内空間3に一定以上の水準の量の採光を得るためには、各反射領域7a〜7gの長さL
aを決定する際に、板材4への入射角に応じた透過率を反映させるのが適切である。
【0036】
このため、本実施形態においては、各太陽高度θ
saに対応する反射領域7a〜7gの、平面視した場合の内外方向の長さL
aは、次式(4)として表されるような、
図1に示される窓3fに設けられた、太陽光Sを透過する板材4の、太陽高度θ
saにおける透過率τ
a(=τ
80、τ
70、τ
60、τ
50、τ
40、τ
30、τ
20)の逆数である係数α
a(=α
80、α
70、α
60、α
50、α
40、α
30、α
20)を基に決定されている。
【0038】
これにより、太陽高度θ
saが、透過率τ
aが低くなるような高度である場合には、透過率τ
aが高い場合に比べると、係数α
aの値が相対的に大きくなる。結果として、反射領域の長さL
aを決定する際に、対応する透過率τ
aが低いほど、反射領域の長さが長くなるように、係数α
aを作用させることが可能である。
【0039】
上記したような、太陽高度に関する長さの係数である、式(3)に示されたβ
aと、板材4の透過率に関する長さの係数である、式(4)に示されたα
aによる、次式に示される係数W
a(=W
80、W
70、W
60、W
50、W
40、W
30、W
20)が、各反射領域7a〜7gの長さL
aの算出において、最終的に使用される。
【0041】
本実施形態においては、上記の係数W
aは、各反射領域7a〜7gの内外方向の長さL
aを決定する際において、反射領域7a〜7gの長さの比として使用されている。すなわち、反射領域7a〜7gの各々が、それぞれ対応する係数W
aに比例する値を備えるように、各反射領域7a〜7gの長さL
aが決定されている。これにより、
図5等に示されるように、複数の反射領域7a〜7gは、屋内側に配置されるものほど低い太陽高度に対応して、平面視した場合の内外方向の長さL
a、すなわち、各反射領域7a〜7gを平面視した場合における、鏡面反射板10の長さ方向に直交する幅方向の長さが長くなるように形成されている。
【0042】
以上により、各反射領域7a〜7gの水平面に対する角度θ
ba、及び、各反射領域7a〜7gの内外方向の長さL
aを算出する際に使用すべき係数、すなわち反射領域7a〜7g間の相対的な長さ比W
aが決定された。次に、各反射領域7a〜7gの絶対的な長さL
aの値、及び、屋内延伸部8の形状を含めた、鏡面反射板10の全体形状を決定する方法を説明する。
【0043】
そのために、まず、
図6を用いて、グレア防止角度θ
gを定義する。
図6は、鏡面反射板10により反射される反射光と居住者6の関係を示す説明図である。鏡面反射板10の湾曲部7は、
図1等を用いて上記したように、各太陽高度θ
saに対して、対応する反射領域7a〜7gが、天井3bの、窓3fから屋内方向Xへの位置Fまでの距離d
aに向けて、反射光を照射するように設計されている。しかし、ある反射領域に対して、当該反射領域が対応しない太陽高度θ
saからの太陽光が照射されて、当該反射領域がこの太陽光を反射することで、
図6に示されるように、反射光R
Wが、窓3fの下端が位置する水平面Hよりも下方向に反射される場合が想定され得る。水平面Hよりも下方向に反射される反射光R
Wは、屋内空間3の居住者6の眼に入射し、グレア源となる可能性がある。
【0044】
グレア防止角度θ
gは、上記したような、鏡面反射板10の湾曲部7によって、窓3fの下端が位置する水平面Hよりも下方向に反射された反射光R
Wが、居住者6の眼に直接入射しないための、反射角の最大角度である。上下方向Zに間隔を空けて整列して設けられている複数の鏡面反射板10の内、どの鏡面反射板10からの反射光R
Wも、居住者6の眼に直接入射しないようにするためには、屋内空間3における居住者6の想定される行動範囲の中で、この反射角の最大角度が最も小さくなる場合の角度を算出し、それをグレア防止角度θ
gとすればよい。反射角の最大角度が最も小さくなる場合は、最下端の鏡面反射板10による反射光が、内壁3c近傍に居る居住者6の眼に入射する場合である。すなわち、グレア防止角度θ
gは、H
Eを居住者6の眼の高さ、DRを外壁3aから内壁3cまでの距離とすると、次式により求めることができる。
【0046】
グレア防止角度θ
gを、上記の式(6)の値以下に収めるために、
図7に示されるような屋内延伸部8が設けられている。
図7は、屋内延伸部8の形状の説明図である。屋内延伸部8の形状を調整して、鏡面反射板10の内端部10bを一定の位置に設けることにより、湾曲部7によって、窓3fの下端が位置する水平面Hよりも下方向に反射された反射光R
Wが、居住者6の眼に直接入射することが防止される。
【0047】
上記のように湾曲部7は、鏡面反射板10の外端部10aから屋内方向Xに向けて、下方向に湾曲する形状を備えているため、鏡面反射板10の外端部10aが、湾曲部7の高さ方向Zにおいて最も高くなっている。グレア防止角度θ
gは、反射光が居住者6の眼に直接入射しないための、反射角の最大角度であるから、グレア防止角度θ
gが最大値をとり得るのは、鏡面反射板10の外端部10aによって太陽光Sが反射された場合である。したがって、角度θ
gで入射する反射光によるグレアを防止するには、鏡面反射板10の内端部10bは、鏡面反射板10の外端部10aの高さ位置より、鏡面反射板10の屋内方向Xの長さL
bを用いて次式(7)で表される差分L
bgの値だけ低い位置よりも、高い位置に設けられなければならない。
【0049】
すなわち、
図7に示されるように、鏡面反射板10の形状を屋内方向Xと高さ方向Zの2軸の座標系として表現すると、外端部10aは点A(0、0)、内端部10bは点B(L
b、−L
bg)として表すことができる。鏡面反射板10の屋内方向Xの長さL
bは、採光装置1を設置しようとする屋内空間3の広さ等の住環境に応じて、例えば10cm等と、予め定められている場合が多い。したがって、内端部10bの位置である点Bは、式(7)により一意に決定される。
【0050】
上記のように鏡面反射板10の内端部10bの位置である点Bが決定されると、次のように、点Bと、湾曲部7と屋内延伸部8を区分する位置Eを結ぶ直線L
Mの、X−Z座標系上の傾きが決定される。これを説明するために、反射光角度θ
ra(=θ
r80、θ
r70、θ
r60、θ
r50、θ
r40、θ
r30、θ
r20)の最小値をθ
rminと表記する。B−E間を結ぶ直線L
Mの傾きの角度がθ
rminより大きいと、θ
rminの角度で反射された反射光Rは屋内延伸部8によって遮られる可能性がある。また、B−E間を結ぶ直線L
Mの傾きの角度がθ
rminより小さいと、屋内延伸部8の勾配が緩やかとなるため屋内延伸部8の屋内方向Xの長さが必要以上に長くなる。上記のように、屋内方向Xの長さL
bの値は予め定められている場合が多いため、これに伴い、湾曲部7の屋内方向Xの長さを短くする必要があるが、湾曲部7の上面の反射面積が低減されるので、鏡面反射板10の反射効率が低下してしまう。したがって、B−E間を結ぶ直線L
Mの傾きの角度は、θ
rminに一致させるのが好適である。
【0051】
本実施形態においては、屋内延伸部8は、θ
rminの角度で反射される反射光を遮らないようにするために、下方向に湾曲した形状を備えており、B−E間を結ぶ直線L
Mより上方に突出する部位がないように形成されている。
【0052】
このように、屋内方向Xと高さ方向Zの2軸の座標系において、点Bを通る傾きθ
rminの直線L
M上に、位置Eが位置し得る。ここで、上記のように各反射領域7a〜7gの水平面に対する角度θ
baと、長さ比W
aが決定されているため、各反射領域7a〜7gの角度、及び長さ比の条件を満たし、なおかつ、最も屋内側に位置する反射領域7gの屋内側の端辺が直線L
M上に位置するような、各反射領域7a〜7gの長さL
aが一意に定められる。このときの、湾曲部7と屋内延伸部8との交点が、位置Eとなる。
【0053】
以上のように、鏡面反射板10の屋内方向Xの長さL
b、グレア防止角度θ
g、反射光角度θ
raの最小値θ
rmin等を基にして、位置E、すなわち湾曲部7と屋内延伸部8の全体形状が決定される。
【0054】
図8は、鏡面反射板10の形状の説明図である。上記のように決定された、湾曲部7の各反射領域7a〜7gと、屋内延伸部8の形状は、
図8に示されるように、各反射領域のベクトルをB
a(=B
80、B
70、B
60、B
50、B
40、B
30、B
20)、屋内延伸部8のベクトルをB
G、点Aから点Bまでのベクトルをθ
Gとすると、点A−点B間の距離はL
bg/sinθ
gとあらわされるため、次式の関係が成立している。
【0056】
鏡面反射板10の厚さはどのような値であってもよいが、厚さが薄ければ薄いほど、一定の高さを有する窓3fに多くの鏡面反射板10を設置することができ、それだけ総採光面積を広くすることができるため、鏡面反射板10の形状を維持できる範囲において、より薄い値であるのが望ましい。
【0057】
次に、本実施形態のような鏡面反射板10と光拡散反射板11の配置構成を備えた採光装置1の作用を説明する。
【0058】
図2においては、屋内空間3に建物2の外から、直線で示される、指向性を有する太陽光(直射日光)Sと、破線で示される指向性のない、天空光等の拡散光DSが入射している。窓3fの外側には庇15が設けられているため、窓3fの上端から一定の高さにおいては、庇15によって影15aが形成され、太陽光Sが入射しない影領域Q1となっている。影領域Q1の下側は、太陽光Sが入射している入射領域Q2となっている。
影領域Q1は窓3fの上側に形成されるため、光導入緩和領域R1に設けられた複数の光拡散反射板11の中の一部が影領域Q1に位置している。
図2において、影領域Q1に位置する光拡散反射板11は、光拡散反射板11Aとして示されている。また、影領域Q1に位置しない光拡散反射板11と、光導入領域R2に設けられた複数の鏡面反射板10が、入射領域Q2に位置している。
図2において、入射領域Q2に位置する光拡散反射板11は、光拡散反射板11Bとして示されている。
【0059】
まず、光導入緩和領域R1の影領域Q1においては、太陽光Sは入射せず、拡散光DSのみが入射している。このため、影領域Q1に位置している光拡散反射板11Aには、拡散光DSのみが照射されている。したがって、天井面3bの窓3f近傍には、太陽光(直射日光)Sの指向性を有する反射光Rが照射されず、拡散光DSが影領域Q1に位置する光拡散反射板11Aによって拡散反射された拡散反射光DRが照射されている。これにより、天井面3bの窓3f近傍には、拡散反射光DRが照射されて明るさが柔らかく調光された窓際領域C1が形成されている。
【0060】
次に、入射領域Q2について説明する。入射領域Q2のうち、光導入緩和領域R1と重複する部分には、光拡散反射板11Bが設けられている。この光拡散反射板11Bには太陽光Sと拡散光DSの双方が照射されており、これら太陽光Sと拡散光DSは光拡散反射板11Bにより拡散反射されて、拡散反射光DRとなって窓際領域C1よりも屋内側に照射される。すなわち、光拡散反射板11Bには影領域Q1の光拡散反射板11Aよりも太陽光S相当分だけ多くの光が照射されており、影領域Q1の光拡散反射板11Aに比べると拡散反射光DRの明るさもより強くなっている。したがって、天井面3bの窓際領域C1よりも屋内側には、窓際領域C1よりも明るい中間領域C2が形成されている。
【0061】
入射領域Q2の残りの部分、すなわち光導入領域R2には、鏡面反射板10が設けられている。この鏡面反射板10には、太陽光Sと拡散光DSが照射されている。これらの入射光の中で、特に太陽光Sは、鏡面反射板10によって鏡面反射されて、指向性を有する反射光(直射光)Rとなって中間領域C2よりも更に屋内側に照射される。したがって、天井面3bの中間領域C2よりも更に屋内側には、指向性を有する反射光Rが照射されて中間領域C2よりも更に明るい直射領域C3が形成されている。
【0062】
このように、天井面3bの、窓際領域C1と直射領域C3の間に、窓際領域C1よりも明るく直射領域C3よりも柔らかく調光された中間領域C2が形成されている。
【0063】
ここで、既に説明したように鏡面反射板10は、
図4等に示される、太陽光Sを太陽高度aに対応した反射領域7a〜7gにより、反射光角度θ
raで反射することを意図したものである。当然、太陽高度aに対応しない他の反射領域によっても太陽光Sが反射されるため、太陽光Sが指向性により一方向から入射したとしても、その反射光Rは広い範囲に反射され得る。すなわち、鏡面反射板10の各々は、天井面3bの広い領域に指向性を有する反射光Rを照射するような形状となっている。したがって、下に位置している鏡面反射板10ほど天井面3bのより広い領域に反射光Rを照射し得る。このため、天井面3bの屋内側には下側の鏡面反射板10による反射光Rのみが照射されるが、天井面3bの窓3f側には当該鏡面反射板10による反射光Rに加え、これよりも上方に位置する鏡面反射板10による反射光Rが直接照射される。
したがって、例えば本実施形態とは異なり、鏡面反射板10を上下方向により多く過剰に設けた場合においては、天井面3bの窓3f側には非常に多くの指向性を有する反射光Rが集中し得る。したがって、天井面3bに大きな明暗差が生じ得る。また、集中した多くの指向性を有する反射光Rが互いに干渉し、天井面3bに特殊な模様やムラ等が発生することも考えられる。
【0064】
本実施形態においては、上記のように窓際領域C1と直射領域C3の間に中間領域C2が形成されるよう、光導入緩和領域R1に光拡散反射板11が設けられている。これにより、天井面3bの窓3f側における指向性を有する反射光Rの集中が抑制され、各領域間の明暗差が抑えられるとともに、特殊な模様やムラ等の発生が抑制されている。
【0065】
光導入緩和領域R1と光導入領域R2の境界の高さ位置は、本採光装置1が設置される地域の太陽高度や気象状況等により決定されてよい。
【0066】
次に、上記の採光装置1の効果について説明する。
【0067】
上記のような採光装置1においては、窓3fに沿って、上方から下方へ向けて光導入緩和領域R1と光導入領域R2とがこの順に設けられている。
太陽光(直射日光)Sは、下側に位置する光導入領域R2に設けられた複数の鏡面反射板10により鏡面反射され、指向性を有する反射光Rとして天井面3bの屋内3側へ照射される。したがって、窓3fから離れて暗くなりがちな屋内3側を明るくすることができる。
また、太陽光Sや指向性の無い拡散光DSは、上側に位置する光導入緩和領域R1に設けられた複数の光拡散反射板11により拡散反射され、指向性の無い拡散反射光DRとして天井面3bの窓3f側へ照射される。したがって、眩しくなりがちな窓3f側の明るさを柔らかく調光することができる。
以上により、天井面3bにおける明るさが均されて、自然な光環境を実現できる。
【0068】
また、鏡面反射板10は、屋外側から屋内側に向かって、太陽高度毎に複数の反射領域7a〜7gに区分したときに、複数の反射領域7a〜7gは、屋内側に配置されるものほど低い太陽高度に対応して、水平面に対する角度θ
baが、式(2)によって示されるように小さくなるように形成されている。このような状況下において、各反射領域7a〜7gの、平面視した場合の内外方向の長さL
aは、上記式(3)により算出された係数β
aを基に決定されているため、
図5に示されるように、各反射領域7a〜7gの対応する太陽高度における採光量、及び反射光量を、一定に近くすることが可能である。これにより、太陽高度に依存せずに、一年中、屋内に一定以上の水準量の採光を得ることが可能となり、屋内の光環境の質を一定以上の水準に維持することができる。
また、本実施形態においては採光装置1が窓3fの内側に設けられているが、このような場合においても、
図3に示されるような、太陽光を透過する板材4、例えばガラス等の、入射角により透過率の異なる特性を、式(4)に示されるように考慮して、各反射領域7a〜7gの内外方向の長さL
aがより適切に設定されるため、屋内の光環境の質を、更に効果的に、一定以上の水準に維持することができる。
【0069】
また、光導入緩和領域R1には、鏡面加工された鏡面反射板10よりも安価に製造可能な光拡散反射板11が設けられている。このため、採光装置1の製造コストを低減可能である。
【0070】
また、
図7に示されるように、屋内延伸部8を適切に位置付けて設ける、すなわち、鏡面反射板10の内端部10bの位置を、鏡面反射板10の外端部10aの高さ位置より、式(7)で表される差分L
bg以上、低くならないように設けることにより、
図9に示されるような、湾曲部7に照射されずに屋内空間3に入射しようとする太陽光S
W、及び、湾曲部7によって一旦反射されて、屋内空間3に入射しようとする反射光R
Wが、屋内空間3に入射するのを防止し、これらの光が人間の眼に入射するのを防ぐことができる。
【0071】
上記のように、鏡面反射板10の下面10dは拡散面仕上げとされているため、上記の眩しさを抑えるという効果を、より顕著に奏することが可能となる。
【0072】
また、太陽高度に依存せずに、屋内の光環境の質を一定以上の水準に維持可能であるため、電気等のエネルギーを使用する照明の利用頻度を低減可能である。したがって、照明エネルギーの利用量を低減することができる。
【0073】
また、上記の、太陽高度に依存せずに、屋内の光環境の質を一定以上の水準に維持するという効果は、鏡面反射板10の備える反射面の形状に起因するものであるため、鏡面反射板10の角度等を太陽高度に対応して、都度、変更し、調整する必要がない。したがって、維持運用に要する手間や費用が大きく低減可能である。
【0074】
また、本実施形態においては、採光装置1は屋内空間3に設置する。したがって、建物2の外観を損ねることがないとともに、清掃などに要する維持費用を低減することが可能である。
【0075】
また、本実施形態においては、複数の鏡面反射板10と光拡散反射板11を上下方向Zに間隔を空けて整列して設けることで、窓3fを覆うような構成となっているため、鏡面反射板10と光拡散反射板11の数を多くして、反射板10、11間の間隔を小さくすることで、上記効果を損なわずに、各鏡面反射板10と光拡散反射板11の大きさを、例えば数cm程度に小さくすることが可能である。すなわち、鏡面反射板10と光拡散反射板11の設置に必要な空間を、窓3fから数cm程度に収めることが可能であるため、既存建物のリニューアルなどの、設置条件が厳しいような建物2においても容易に導入可能である。
【0076】
(実施形態の第1変形例)
次に、
図10を用いて、上記実施形態として示した採光装置1の第1変形例を説明する。
図10は、第1変形例の採光装置20を示す説明図である。本第1変形例の採光装置20においては、光導入緩和領域R1に設けられている複数の光拡散反射板11に混在して、鏡面反射板10Cが設けられている点が異なっている。
【0077】
本第1変形例が、上記実施形態と同様の効果を奏することはいうまでもない。
特に、本第1変形例においては、窓3fの上側に光拡散反射板11のみを設けると、窓3f近傍の反射光量が不足するような場合に、複数の光拡散反射板11に混在して鏡面反射板10Cを設けることで、窓3f近傍の反射光量を増加し調整することができる。これにより、屋内の光環境の質を一定以上の水準に維持することができる。
【0078】
(実施形態の第2変形例)
次に、
図11を用いて、上記実施形態として示した採光装置1の第2変形例を説明する。
図11は、第2変形例の採光装置30を示す説明図である。本第2変形例の採光装置30においては、光導入緩和領域R1には、複数の光拡散反射板11は設けられておらず、その代わりに、屋外からの光を遮蔽する遮蔽部材31、または、屋内へ通過する光を低減させる光低減部材31を備えている点が異なっている。
より詳細には、本第2変形例においては、窓3fには、例えば、ロールスクリーン31が設けられている。
【0079】
本第2変形例においては、上記実施形態と同様に、太陽光は、上側に位置する光導入緩和領域R1に設けられた遮蔽部材31または光低減部材31によって、遮蔽または光量が低減される。したがって、眩しくなりがちな窓3f側の明るさを柔らかく調光することができる。これにより、天井面3bにおける明るさが均されて、自然な光環境を実現できる。
【0080】
(実施形態の第3変形例)
次に、
図12を用いて、上記実施形態として示した採光装置1の第3変形例を説明する。
図12は、第3変形例の採光装置40を示す説明図である。本第3変形例の採光装置40においては、光導入領域R2の下方にも窓3fが延在しており、これに伴い、鏡面反射板10の下方に日射調整用のブラインド41が設けられている点が異なっている。
【0081】
本第3変形例が、上記実施形態と同様の効果を奏することはいうまでもない。
本第3変形例においては特に、ブラインド41を構成する各スラット42の角度を調整することにより、屋内空間3への採光量を調整することが可能となる。
また、例えば光導入緩和領域R1に設けられた光拡散反射板11を、ブラインド41のスラット42と同一の物品により実現した場合においては、美観を向上させることが可能となる。また、同一の物品を使用することにより、部品製作や調達におけるコストを低減可能である。
【0082】
(実施形態の第4変形例)
次に、
図13を用いて、上記実施形態として示した採光装置1の第4変形例を説明する。
図13は、第4変形例の採光装置50を示す説明図である。本第4変形例の採光装置50においては、光導入緩和領域R1と光導入領域R2の境界の高さを変更可能である点が異なっている。
【0083】
図13(a)に示されるように、天井面3bには、窓3fに沿って水平方向に延在するように、断面矩形形状の取付部材53が設けられている。また、最も下に位置する光拡散反射板11の下には、光拡散反射板11と鏡面反射板10を区画するように、窓3fに沿って水平方向に延在する支持板51が設けられている。
支持板51は、取付部材53から吊下げられた、紐状の昇降部材52の下端に固定されている。光拡散反射板11は、支持板51と取付部材53の間に間隔を置いて設けられている。
鏡面反射板10は、支持板51に対して吊り下げられて設けられている。鏡面反射板10は、窓3fを覆うように設けられるとともに、窓3fよりも下方の下側外壁3eの高さ位置にも設けられている。
【0084】
上記のような
図13(a)に示される採光装置50は、
図13(b)として示されるように、昇降部材52を短くして支持板51の高さを上昇させることが可能となっている。
図13(b)のように支持板51を上昇させることにより、支持板51の上昇した区間に位置していた光拡散反射板11は、支持板51の上に載置される。また、鏡面反射板10は支持板51とともに上昇される。
図13(a)の状態において鏡面反射板10は下側外壁3eの高さ位置にも設けられているため、
図13(b)のように鏡面反射板10が全体的に上昇された場合であっても、窓3fは鏡面反射板10により覆われている。
【0085】
図13(b)のように支持板51を上昇させた後には、逆に支持板51の位置を下降させることにより、
図13(a)に示された状態に戻すことも可能である。
【0086】
本第4変形例が、上記実施形態と同様の効果を奏することはいうまでもない。
本第4変形例においては特に、支持板51の高さを変えることで、光導入緩和領域R1と光導入領域R2の境界の高さを変更することができる。これにより、鏡面反射板10の最上段の高さを調整し、例えば季節ごとの太陽光度の変化等の、外部環境の変化に対応して、採光量を調整することができる。
また、居住者の要望に応じて高さを適宜変更し、採光量の調整やグレアの抑制が可能となる。
【0087】
なお、本発明の採光装置は、図面を参照して説明した上述の実施形態及び各変形例に限定されるものではなく、その技術的範囲において他の様々な変形例が考えられる。
【0088】
例えば、上記実施形態及び各変形例においては、屋内空間3は室であったが、これに限られず、廊下、付室など、室以外の空間であっても構わない。
【0089】
また、上記実施形態及び各変形例においては、
図4等に示されるように、湾曲部7を形成する反射領域7a〜7gの各々は、平面として形成されており、隣接する反射領域の、横方向Yに延在する端辺が、互いに角度をつけて接合されているが、各反射領域の角度や長さが、上記実施形態の条件を満たしていれば、これに限られない。例えば、反射領域間は、緩やかに連続する曲面を介して接続されていても構わない。
反射領域自体が湾曲していても構わないのは、言うまでもない。
【0090】
また、屋内延伸部8の形状は、
図7を用いて上記実施形態で説明したような、下方向に湾曲する形状に限られない。具体的には、点B−位置E間を結ぶ直線よりも上方向に突出して、θ
rminの角度で導入される反射光を遮ることがなければ、直線状など、他の形状で形成されていても構わない。
【0091】
また、上記実施形態及び各変形例においては、
図6、
図7等を用いて説明したように、屋内延伸部8によって、屋内空間3に入射しようとする太陽光等が居住者の眼に入射するのが抑制されていた。
だが、例えば、光の居住者の眼への入射を厳密に抑制する必要がない場合等においては、屋内延伸部8は、式(7)等による上記の設定方法に限られず、他の方法により形状が決定されてもよい。あるいは、鏡面反射板10や光拡散反射板11の互いの間隔が適度に広く設けられていてもよいし、採光装置の下端の高さが、居住者の眼の高さよりも下方に位置するように設けられていても構わない。
【0092】
また、上記実施形態及び各変形例においては、対象となる太陽高度を20°以上80°以下としたが、これに限られないことは、言うまでもない。例えば、太陽高度の下限値が10°等と、20°以下の値であってもよいし、上限値が85°等と、80°以上の値であっても構わない。
更に、上記実施形態及び各変形例においては、上記範囲の太陽高度に対して、10°刻みで対応するように反射領域を設けたが、これに限られず、20°刻み幅で、上記実施形態及び各変形例よりも少ない数の反射領域を設けることで、より簡易な構造としてもよいし、5°、1°刻みなど、より小さな刻み幅で、上記実施形態及び各変形例よりも多い数の反射領域を設けることで、より緻密に、太陽高度の変化に対応できるようにしても構わない。
【0093】
また、上記実施形態及び各変形例においては、光拡散反射板11は合成樹脂や金属等の上面を、光を拡散反射させるように仕上げることで形成されていたが、これに限られない。光拡散反射板11は、例えば有色の半透明材料等によって形成されていてもよい。すなわち、光拡散反射板11は、遮光性、拡散反射性あるいは拡散透過性を有するいずれの材料によって形成されていてもよい。
【0094】
また、上記第2変形例において、遮蔽部材または光低減部材としてロールスクリーン31が用いられていたが、これに限られず、例えば、遮光フィルム等の他の部材が用いられても構わないのは、言うまでもない。
【0095】
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態及び各変形例で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。