【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、独立請求項により定義される。従属請求項は、有利な実施例を定義する。
【0012】
本明細書を通して、「空気処理システム」又は「家庭用空気処理システム」への参照が為される。これらは、例えば家庭環境における空気を処理するシステムである。空気の処理は、空気のフィルタリングに関連し得る。空気の処理はまた、空気に対する感知動作を実行することに関連し得る。例えば、空気中の気体又は粒子のタイプの検出である。
【0013】
本発明の一態様による例によれば、空気処理システムを制御するためのコントローラを有する空気処理システムであって、
前記コントローラは、複数の家庭用機器からの動作状態情報を受信するよう構成された入力部を有し、前記コントローラは、前記動作状態情報から前記空気処理システムの動作設定を決定するよう構成され、更に、前記決定された動作設定で前記空気処理システムを制御し動作させるよう構成された、空気処理システムが提供される。斯くして、該空気処理システムは、例えば該空気処理システムの寿命を延ばすように、該動作状態情報に依存して制御される。該空気処理システムはまた、例えば該空気処理システムのフィルタリング動作を該動作状態情報に適合させるよう、該動作状態情報に依存して制御された、空気処理システムが提供される。
【0014】
一実施例においては、前記コントローラは、前記空気処理システムの一部である場合、空気清浄器の動作を、前記空気清浄器を動作させる及び/又は空気品質センサを動作させること、及び/又は前記空気品質センサの情報を解釈することのいずれか一方により、制御するよう構成される。例えば、前記決定された動作設定を用いて前記空気処理システムを動作させることは、前記空気清浄器をスイッチオンすること、前記空気清浄器をスイッチオフすること、前記空気清浄器を通る空気流を増大させること、及び前記空気清浄器を通る空気流を低減させること、のいずれか1つを有する。
【0015】
現在の空気清浄化及び感知方法は、利用される周囲の環境において何が起きているかについて、限られた認知しか持たない。例えば、アイロンがけは多くの粒子の生成及び放出に帰着し、調理又は揚げ料理は油の又は脂肪の粒子の生成及び放出に帰着する。このことは、望ましくない健康への影響に帰着し、更に空気処理システム、特にセンサ及び空気清浄化フィルタにおける構成要素の動作寿命を著しく低減させ得る。実用的には、空気品質センサ及び空気清浄器は、単一のユニットに含まれ得る。処理は、空気中の目標の感知及び空気のフィルタリングを有しても良い。
【0016】
本発明は、空気品質センサ及び/又は空気清浄器の全体的なコントローラへの、家庭用機器の動作の通信を利用する。このようにして、これらは家庭の空気処理システムの一部としてネットワーク接続され、多くの装置間の通信を提供する。
【0017】
機器が利用されるとすぐに、例えばこのことをコントローラに通信しても良い。空気品質センサ(粒子センサ及び/又は総揮発性有機化合物(TVOC)センサ、及び/又は空気品質に関連する少なくとも1つのパラメータを測定するその他のセンサであっても良い)により決定された局所的な環境に基づいて、例えば該システムの構成要素の寿命を延ばすことに重点を置いた、最も適切な動作タイプを選択するため自動化されるという目的に沿って、自動化された動作がとられても良い。このことは、センサをスイッチオフすること、サンプリングレート(例えばデューティサイクル)及び/又はサンプル空気体積を変更すること、特定のタイプの汚染物質クラスについて最適化された空気清浄フィルタの特別な選択を用いること、及び利用可能な空気処置動作の選択肢間で最も適切な清浄化動作を選択することを含んでも良い。これら動作は全て、空気品質センサ又は空気清浄器を「動作させる」態様とみなされ得る。斯くして、「動作」は、スイッチオン若しくはオフ、又はいずれかの利用可能な設定を制御することを含むものである。該システムは更に、どの動作が検出され、どの動作がとられるかを、消費者に示しても良い。該空気清浄器は、スイッチオフされても良いし、又は代替として、例えば該清浄器を通る空気の流れを増大させることにより、動作状態へと起動されても良い。
【0018】
代替として、又はこれに加えて、センサの測定値が解釈される態様は、用いられている既知の機器に基づいて調節されても良い。この場合には、目的は、センサ測定値の精度及び/又は信頼度を改善することである。例えば、第1の汚染物質を検出するためのセンサは、(交差感受性のために)特定の第2の汚染物質により引き起こされることが知られている信号を生成しても良く、このことは、第2の汚染物質を生成する装置が用いられていることが知られているためである。斯くして、センサ信号はこれに応じて解釈されても良く、即ち第1の汚染物質が実際には存在しないと解釈されても良い。
【0019】
実施例においては、着想は、家庭用機器の動作状態情報に応じて、空気センサ又は空気清浄器をスイッチオフすることであり、このことは、幾つかの家庭用機器は、実際には生成された粒子状物質が有害ではなくてもセンサ測定値を上昇させ得、この場合には、家庭用機器をスイッチオフすることなく又は窓を開けることなく、フィルタ機能がスイッチオフされ得るからである。このようにして、センサ/空気清浄器の寿命が延長されることができ、空気品質は損なわれない。
【0020】
空気清浄器の例については、結果的な該空気清浄器の動作は、以下のいずれか1つを有しても良い。
−該空気清浄器をスイッチオンする、
−該空気清浄器をスイッチオフする、
−該空気清浄器を通る空気の流れを増大させる、及び
−該空気清浄器を通る空気の流れを減少させる。
【0021】
該空気の流れは、該空気清浄器のファンの速度を制御することにより増大又は減少させられても良い。
【0022】
空気品質センサの例については、結果的な該空気品質センサの動作は、以下のいずれか1つを有しても良い。
−該空気品質センサをスイッチオンする、
−該空気品質センサをスイッチオフする、
−該空気品質センサのサンプリングレートを低減させる、及び
−該空気品質センサのサンプリングレートを増大させる。
【0023】
該空気品質センサのサンプリングレートは、センサの測定が行われる頻度に関連する。幾つかのセンサについては、センサ測定を行う動作は、汚染物質が該センサを通過又は通るよう駆動され、光学要素のようなセンサ部分の汚れを引き起こし得る。
【0024】
動作情報を提供する家庭用機器は、家庭用電気機器である、特に用いられているセンサにより感知され得る空気汚染物質を生成し得ること、及び/又は該システムにおいて用いられているフィルタによる必要なフィルタリングに帰着し得ることが知られているものである。
【0025】
前記入力部は例えば、以下の1つ以上に関する動作状態情報を受信するよう構成される。
−油揚げ器、
−調理ポット、
−オーブン又はストーブ、
−電子レンジ、
−コーヒーメーカー、
−調理用換気フード、
−電気掃除機、
−屋内用芳香剤放出器、及び
−アイロン。
【0026】
これらの家庭用電子機器のそれぞれは、汚染物質とみなされ得るものであり、それ故空気品質センサ及び/又は空気清浄器の機能に影響を与える化合物を生成/放出する。
【0027】
第1の例においては、前記コントローラは、油揚げ器の動作に応答して空気品質センサをスイッチオフする及び/又は空気清浄器を通る空気を増大させるよう構成される。このことは、空気品質センサの寿命を延ばす。このことは既にユーザに知られているため、汚染物質の増大を検出する必要はない。
【0028】
第2の例においては、前記コントローラは、電気掃除機の動作に応答して空気清浄器をスイッチオフするよう構成される。電気掃除機は粒子を生成するが、掃除機の動作が既にフィルタリングの機能を実行しているため、掃除機がけが完了するまでは、これら粒子をフィルタリングする必要はない。
【0029】
第3の例においては、前記コントローラは、アイロンの動作に応答して空気清浄器を通る空気を増大させるよう構成される。このことは、フィルタリング機能の寿命を延ばす。アイロンがけにより生成される粒子のフィルタリングは、粒子フィルタの寿命を短くすることに帰着し得るが、これらの粒子は健康への影響も持ち、そのため空気清浄器をスイッチオフするよりも、粒子のフィルタリングが好ましい。
【0030】
第4の例においては、オーブン又はストーブが、自身が利用されていることを示す。その結果、相対湿度、絶対粒子数、揮発性有機化合物(VOC)濃度、及び、特にストーブの場合には、温度が上昇する。高い相対湿度は、より大きな見かけの粒子サイズに帰着し、センサ測定値を解釈する際、このことを補正するためにソフトウェアが用いられても良い。以下に更に議論されるように、動作状態情報の更なる利用は、センサ測定値の精度を向上させることであり、このことは一例である。
【0031】
調理の事象により、粒子の絶対数もまた、予測される態様で増大する。ストーブの上で用いられているポット(例えば揚げ鍋、中華鍋又は炊き鍋)、又はオーブンの中で用いられている調理トレイ(例えば開いた焼きトレイ又は閉じた調理ポット)、及びその動作温度の知識を用いて、予測される粒子の性質が決定されることができ、対応する動作がとられ、又は対応するメッセージが通信されることができる。
【0032】
本発明の実施例によれば、該空気処理システムは、空気清浄器を有する。空気処理装置の動作設定の決定は、空気中に家庭用機器により放出された汚染物質のタイプを動作状態情報から特定すること、及び該特定された汚染物質のタイプに依存して空気清浄器のフィルタリング動作を選択すること、を有する。該空気処理システムは次いで、これら決定された動作設定を用いて動作させられる。
【0033】
斯くして、空気清浄動作は、汚染物質のタイプに合わせて調整される。例えば、調理ポットが、大部分が油の性質から成る大量の粒子をそれ自体が示す動作を示唆した場合、高効率粒子空気(HEPA)フィルタの寿命を最長化させるよう、フィルタの特別な部分にフィルタリング動作が向けられる。代替としては、該システムはまた、同じ機器の一部としてであっても(例えば静電粒子フィルタ及びHEPAフィルタを持つ機器)、別の清浄化方法を持つ機器を起動するものであっても(例えば静電清浄器をスイッチオンする、HEPAフィルタを持つ清浄器をスイッチオフする、等)、特に1つよりも多いタイプの空気清浄化方法が利用可能である場合、最も適切な清浄化動作を選択することを支援しても良い。例えば、該空気処理システムは、特定された汚染物質に応じて、適切なフィルタリング動作を選択するよう構成されても良い。該適切なフィルタリング動作を選択することは、特定された汚染物質をフィルタリングして取り除くフィルタを選択し、該選択されたフィルタを用いて空気をフィルタリングすることであっても良い。代替としては、該適切なフィルタリング動作を選択することは、特定された汚染物質をフィルタリングして取り除くフィルタへと、該空気処理システムにおける空気の流れを変更することを有しても良い。
【0034】
前記空気品質センサは、総揮発性有機化合物(即ちTVOC)センサを有しても良く、このとき前記コントローラは、前記動作状態情報に応答して、前記TVOCセンサをスイッチオフする又はサンプリングレートを低減させるよう構成される。当該情報は、例えばTVOCセンサ出力における対応する急速な上昇を測定する、センサ情報によって補足される。このようにして、該動作状態情報は、既知の汚染事象が行なわれていることをより信頼性高く検出するため、センサ情報における変化と組み合わせられる。センサの使用をスイッチオフする又は低速化することにより、このことはいちど検出されると高いレベルからセンサを保護する。いちど警告が生成されるか又は訂正動作が提案されると、繰り返される警告は必要ない。
【0035】
前記空気品質センサは、粒子センサを有しても良く、このとき前記コントローラは、前記動作状態情報に応答して前記粒子センサをスイッチオフする又はサンプリングレートを低減させるよう構成される。ここでもまた、該動作状態情報は、該粒子センサの出力における対応する急速な上昇を測定する、センサ情報によって補足される。
【0036】
粒子センサは、他のセンサ(例えばVOCセンサ)についての情報に基づいてスイッチオフされる又はサンプリングレートを低減されても良く、同様に、VOCセンサは、他のセンサ(例えば粒子センサ)についての情報に基づいてスイッチオフされる又はサンプリングレートを低減されても良い。
【0037】
ここでもまた、いちど警告が生成されるか又は訂正動作が提案されると、繰り返される警告は必要ない。
【0038】
前記システムは更に、相対湿度センサ、二酸化炭素センサ、存在検出センサのうちの1つ以上から選択された環境センサを有しても良く、このとき前記コントローラは更に、前記環境センサからの情報を処理するよう構成される。当該付加的な情報は、動作状態情報が正しいことを確認する際の更なる支援を提供する。
【0039】
本発明はまた、
以上に定義された家庭用空気処理システムと、
それぞれが前記コントローラに動作状態情報を供給し、それぞれがネットワーク識別子を持つ、家庭用機器のセットと、
前記動作状態情報に基づいて特定された動作をユーザに通信し、前記コントローラにより実装され空気清浄器動作又は空気品質センサ動作を通信するための、出力装置と、
を有する、家庭用機器ネットワークを提供する。
【0040】
前記出力装置は、例えば窓を開ける助言のような、ユーザに対する助言及び更新を提供しても良い。
【0041】
本発明の一態様による例によれば、
複数の家庭用機器から動作状態情報をコントローラにおいて受信するステップと、前記動作状態情報から空気処理装置の動作設定を決定するステップと、前記決定された動作設定で前記空気処理装置を動作させるステップと、
を有する、空気処理装置を制御するための方法が提供される。
【0042】
本発明の実施例によれば、前記動作設定を決定するステップは、前記動作状態情報から、空気中に前記家庭用機器の1つ以上により放出された汚染物質のタイプを特定するステップと、前記汚染物質のタイプに依存して前記空気清浄器のフィルタリング動作を選択するステップと、を有する。同じ実施例において、前記決定された動作設定で前記空気処理装置を動作させるステップは、前記選択されたフィルタリング動作を用いて前記空気清浄器を動作させるステップを有する。
【0043】
前記空気処理装置を動作させるステップは、空気清浄器を動作させるステップ及び/又は空気品質センサを動作させるステップ、及び/又は空気品質センサ情報を解釈するステップを有しても良い。
【0044】
斯くして、該方法は、センサ及び/又は空気清浄器を制御する際に、家庭用機器の使用を考慮に入れる。
【0045】
前記動作状態情報は、例えば以下のうち1つ以上に関するものである。
−調理ポット、
−オーブン又はストーブ、
−電子レンジ、
−調理用換気フード(1つ以上の調理鍋と組み合わせられたもの)、
−コーヒーメーカー、
−電気掃除機、
−屋内用芳香装置、及び
−アイロン。
【0046】
一般的に、前記決定された動作設定で前記空気処理装置を動作させるステップは、
−前記空気清浄器をスイッチオンするステップ、
−前記空気清浄器をスイッチオフするステップ、
−前記空気清浄器を通る空気の流れを増大させるステップ、
−前記空気清浄器を通る空気の流れを減少させるステップ、
−前記空気品質センサをスイッチオンするステップ、
−前記空気品質センサをスイッチオフするステップ、
−前記空気品質センサのサンプリングレートを低減させるステップ、及び
−前記空気品質センサのサンプリングレートを増大させるステップ
のうちいずれか1つを有しても良い。
【0047】
前記決定された動作設定で前記空気処理装置を動作させるステップのより具体的な例は、
油揚げ器の動作に応答して前記空気品質センサをスイッチオフする及び/又は前記空気清浄器を通る空気の流れを増大させるステップと、
電気掃除機の動作に応答して前記空気清浄器をスイッチオフするステップと、
アイロンの動作に応答して前記空気清浄器を通る空気の流れを増大させるステップと、
を有しても良い。
【0048】
本発明の実施例によれば、前記コントローラは、前記動作状態情報から、前記家庭用機器から放出された粒子が有害であるか有害ではないかを決定するよう構成される。このことは、どの家庭用機器が前記動作状態情報を送信したかをチェックすることにより為されても良い。当該情報は、前記動作状態情報内に含まれる。粒子が有害である場合、空気から該有害な粒子をフィルタリングして取り除くための適切なフィルタリング動作が起動される。粒子が有害でない場合、寿命を延ばす設定で、該空気処理システムを動作させる適切な動作がとられる。
【0049】
空気品質センサ及び/又は空気清浄器を制御する代わりに、又はこれに加えて、単に消費者に助言(例えば窓を開ける)が与えられても良いし、又は検出された事象についての示唆を与える情報が消費者に与えられても良い。
【0050】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に説明される実施例を参照しながら説明され明らかとなるであろう。
【0051】
本発明の実施例は、添付図面を参照しながら、以下に詳細に説明される。