特許第6865204号(P6865204)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6865204
(24)【登録日】2021年4月7日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】バックドアハンドル装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 83/18 20140101AFI20210419BHJP
   E05B 85/10 20140101ALI20210419BHJP
   B60J 5/10 20060101ALI20210419BHJP
   B60Q 1/56 20060101ALI20210419BHJP
   H01H 13/06 20060101ALI20210419BHJP
   H01H 13/52 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
   E05B83/18
   E05B85/10
   B60J5/10 Z
   B60Q1/56
   H01H13/06 B
   H01H13/52 B
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-225106(P2018-225106)
(22)【出願日】2018年11月30日
(65)【公開番号】特開2020-84716(P2020-84716A)
(43)【公開日】2020年6月4日
【審査請求日】2020年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福井 弘貴
(72)【発明者】
【氏名】立松 孝司
(72)【発明者】
【氏名】小幡 淳史
(72)【発明者】
【氏名】根元 翔
【審査官】 鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】 独国実用新案第202016001147(DE,U1)
【文献】 特開2007−001524(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3083860(JP,U)
【文献】 特開平10−223080(JP,A)
【文献】 特開2012−069414(JP,A)
【文献】 特開2002−307949(JP,A)
【文献】 特開平10−266643(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0010951(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00−85/28
B60J 5/10
B60Q 1/56
E05B 85/10
H01H 13/06
H01H 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のバックドアのナンバープレートの上方に設置される、前記ナンバープレートを照明するためのライセンスランプと前記バックドアを開錠又は施錠するためのハンドルスイッチを兼ねたバックドアハンドル装置であって、
前記ライセンスランプの光源としての発光素子と、
前記バックドアを開錠又は施錠するための信号を出力するスイッチと、
前記発光素子及び前記スイッチを収容するハウジングと、
前記発光素子から発せられる光を透過する材料からなる透明部と、弾性を有する材料からなり、前記透明部の外側を覆う弾性部とを含む一体成形品からなり、前記ハウジングの外側を覆うアウターカバーと、
を備え、
前記透明部が、前記発光素子から発せられる光を取り出すレンズ部を含み、
前記弾性部が、前記スイッチに前記信号を出力させるときに外側から押し込む力を加える部分であるスイッチカバー部を含
前記アウターカバーの前記バックドアと接触する面が、前記弾性部で構成されている、
バックドアハンドル装置。
【請求項2】
車両のバックドアのナンバープレートの上方に設置される、前記ナンバープレートを照明するためのライセンスランプと前記バックドアを開錠又は施錠するためのハンドルスイッチを兼ねたバックドアハンドル装置であって、
前記ライセンスランプの光源としての発光素子と、
前記バックドアを開錠又は施錠するための信号を出力するスイッチと、
前記発光素子及び前記スイッチを収容するハウジングと、
前記発光素子から発せられる光を透過する材料からなる透明部と、弾性を有する材料からなり、前記透明部の外側を覆う弾性部とを含む一体成形品からなり、前記ハウジングの外側を覆うアウターカバーと、
を備え、
前記透明部が、前記発光素子から発せられる光を取り出すレンズ部を含み、
前記弾性部が、前記スイッチに前記信号を出力させるときに外側から押し込む力を加える部分であるスイッチカバー部を含み
前記アウターカバーが、前記透明部と、前記弾性部と、前記アウターカバーのボルト固定用の取り付け穴に嵌め込まれた金属カラーとを含む一体成形品からなる、
バックドアハンドル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックドアハンドル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のバックドアガーニッシュの内側に取り付けられるライセンスランプとバックドアの開錠又は施錠用のハンドルスイッチを一体化させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ライセンスランプとバックドアの開錠又は施錠用のハンドルスイッチを一体化することにより、これらを別個に用いる場合と比べて、全体のサイズを小さくすることができる。サイズを小さくすることができれば、バックドアガーニッシュ内の占有スペースを減らし、他の部品の設置スペースを確保したり、各部品の設置位置の自由度を向上させたりすることができる。
【0004】
特許文献1に記載の車体後部ハッチ構造によれば、ライセンスランプの光源としてのLEDランプからの光を取り出すため、LEDランプは樹脂製の透明カバーに覆われている。バックドアの開錠用のマイクロスイッチは、透明カバーの外に突出しており、操作者が直接押し込むことにより作動する。あるいは、マイクロスイッチは透明カバー内に収容されており、透明カバーの外に突出した押しボタンを操作者が押すことにより、押しボタンを介してマイクロスイッチが押され、作動する。
【0005】
また、従来、車両のパックドアパネルに取り付けられるスイッチ装置であって、バックドアの開錠用のスイッチを収容するスイッチケースが、エラストマーなどの弾性を有する樹脂からなる防水カバーとインサート成形により一体的に設けられたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
特許文献2に記載のスイッチ装置によれば、スイッチケースに収容された操作部材が防水カバーの内側に接しており、操作者が弾性を有する防水カバーを介して操作部材を押すことにより、スイッチケース内の接点機構が働き、スイッチが作動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−001524号公報
【特許文献2】特開2009−110867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ライセンスランプとハンドルスイッチが一体化され、かつ表面が弾性材で覆われたバックドアハンドル装置は現在まで知られていない。また、このようなバックドアハンドル装置を製造するためには、各部品を単純に組み合わせただけでは、部品点数や製造工程数が多くなってしまうため、コストやサイズの点で問題がある。
【0009】
本発明の目的の1つは、ライセンスランプとハンドルスイッチが一体化され、かつ表面が弾性材で覆われたバックドアハンドル装置であって、製造コストの低減及び小型化を実現可能な構造を有するバックドアハンドル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、上記目的を達成するために、下記[1]〜[4]のバックドアハンドル装置を提供する。
【0011】
[1]車両のバックドアのナンバープレートの上方に設置される、前記ナンバープレートを照明するためのライセンスランプと前記バックドアを開錠又は施錠するためのハンドルスイッチを兼ねたバックドアハンドル装置であって、前記ライセンスランプの光源としての発光素子と、前記バックドアを開錠又は施錠するための信号を出力するスイッチと、前記発光素子及び前記スイッチを収容するハウジングと、前記発光素子から発せられる光を透過する材料からなる透明部と、弾性を有する材料からなり、前記透明部の外側を覆う弾性部とを含む一体成形品からなり、前記ハウジングの外側を覆うアウターカバーと、を備え、前記透明部が、前記発光素子から発せられる光を取り出すレンズ部を含み、前記弾性部が、前記スイッチに前記信号を出力させるときに外側から押し込む力を加える部分であるスイッチカバー部を含む、バックドアハンドル装置。
【0012】
[2]前記アウターカバーの前記バックドアと接触する面が、前記弾性部で構成されている、上記[1]に記載のバックドアハンドル装置。
【0013】
[3]前記アウターカバーが、前記透明部と、前記弾性部と、前記アウターカバーのボルト固定用の取り付け穴に嵌め込まれた金属カラーとを含む一体成形品からなる、上記[1]又は[2]に記載のバックドアハンドル装置。
【0014】
[4]前記アウターカバーが、前記透明部と前記弾性部との一体成形品からなる、上記[1]又は[2]に記載のバックドアハンドル装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ライセンスランプとハンドルスイッチが一体化され、かつ表面が弾性材で覆われたバックドアハンドル装置であって、製造コストの低減及び小型化を実現可能な構造を有するバックドアハンドル装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施の形態に係るバックドアハンドル装置が設置されたバックドアの垂直断面図である。
図2図2(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係るバックドアハンドル装置の斜視図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係るバックドアハンドル装置の分解斜視図である。
図4図4(a)、(b)は、ハウジング及びアウターカバーの断面図である。
図5図5(a)、(b)は、バックドアに取り付けられた状態のバックドアハンドル装置の取り付け部の周辺を拡大した断面図である。
図6図6は、発光素子及びアウターカバーのレンズ部の断面を含むバックドアハンドル装置の断面図である。
図7図7(a)、(b)は、バックドアに取り付けられたバックドアハンドル装置の垂直断面図である。
図8図8(a)、(b)は、ロックスイッチがスイッチカバー部及びロックスイッチノブを介して操作者により押し込まれる前後のバックドアハンドル装置の状態を示す垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔実施の形態〕
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。各図に示される方向W、L、Hは、それぞれバックドアハンドル装置1の幅方向、バックドアハンドル装置1の長さ方向、バックドアハンドル装置1の高さ方向を示す。各図のW方向、L方向、H方向の正負は共通している。
【0018】
(バックドアハンドル装置の全体構成)
図1は、本発明の実施の形態に係るバックドアハンドル装置1が設置されたバックドア50の垂直断面図である。
【0019】
バックドア50は、自動車等の車両の後面に設けられるドアであり、リアハッチ、あるいはテールゲートとも呼称されるものである。バックドア50には、ナンバープレート51が取り付けられている。
【0020】
バックドア50のナンバープレート51の上方にはバックドアガーニッシュ52が取り付けられ、バックドアガーニッシュ52の内側(バックドア50とバックドアガーニッシュ52の間の空間)には、ナンバープレート51に光を照射するためのライセンスランプとバックドア50の開閉用ハンドルスイッチを兼ねたバックドアハンドル装置1が設置されている。
【0021】
図2(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係るバックドアハンドル装置1の斜視図である。図2(a)は、バックドアハンドル装置1を車両の前上方から視た斜視図であり、図2(b)は、バックドアハンドル装置1を車両の後下方から視た斜視図である。
【0022】
図3は、本発明の実施の形態に係るバックドアハンドル装置1の分解斜視図である。
【0023】
バックドアハンドル装置1は、ライセンスランプの光源としての発光素子11と、バックドア50を開錠するための信号を出力するオープンスイッチ12と、バックドア50を施錠するための信号を出力するロックスイッチ13と、発光素子11、オープンスイッチ12、及びロックスイッチ13が実装された基板10と、オープンスイッチ12の作動力(スイッチを押し込むための外力に反発する力)を補足するためのオープンスイッチノブ14と、ロックスイッチ13の作動力を補足するためのロックスイッチノブ15と、基板10、発光素子11、オープンスイッチ12、ロックスイッチ13、オープンスイッチノブ14、及びロックスイッチノブ15を収容するハウジング20と、ハウジング20の外側を覆うアウターカバー30と、を備える。
【0024】
基板10は、発光素子11、オープンスイッチ12、及びロックスイッチ13の電極に接続される配線を有する配線基板である。発光素子11、オープンスイッチ12、及びロックスイッチ13は、複数の基板に分けて搭載されてもよいが、バックドアハンドル装置1の小型化や、部品数削減によるコストダウン、組み付け工数の低減のため、同一の基板10上に設置されることが好ましい。
【0025】
発光素子11は、オープンスイッチ12及びロックスイッチ13よりも車両の後方側に配置されることが好ましい。これにより、バックドアハンドル装置1の光取出し部である、後述するレンズ部310と、バックドア開閉用のハンドルスイッチの操作部である、後述するスイッチカバー部320及びスイッチカバー部321との車幅方向の位置を重ねることができるため、光を目印にハンドルスイッチの操作部の位置を特定しやすくなる。
【0026】
また、発光素子11が車両の後方側に配置されることにより、バックドアガーニッシュ52内にカメラを設置する場合に、カメラによるバックドアハンドル装置1から発せられる光の遮光範囲を狭めることができるため、カメラをバックドアハンドル装置1により近付けて配置することができる。すなわち、視認性のよいバックドア50の車幅方向の中央により近い位置にカメラを配置することができる。
【0027】
なお、図示していないが、基板10にはコネクタ付きケーブルが接続されており、このコネクタ付きケーブルを介して、発光素子11、オープンスイッチ12、及びロックスイッチ13と外部装置(電源装置、開錠装置、施錠装置など)とが接続されている。
【0028】
ハウジング20は、発光素子11から発せられた光を通し、また、外部からオープンスイッチ12及びロックスイッチ13を操作するため、車両下方側に開口部21を有する。そして、基板10、オープンスイッチノブ14、及びロックスイッチノブ15は、ハウジング20の車両上方側の内面に設置される。また、ハウジング20は、基板10に接続されたコネクタ付きケーブルを通すためのケーブル口24を有する。
【0029】
アウターカバー30は、発光素子11から発せられる光を透過する材料からなる透明部31と、弾性を有する材料からなり、透明部31の外側を覆う弾性部32とを含む、インサート成形などによる一体成形品からなる。
【0030】
透明部31は、ポリカーボネート、アクリルなどの発光素子11から発せられる光を透過する性質を有する材料からなる。透明部31は、アウターカバー30の車両下方側に、発光素子11から発せられる光を車幅方向の出射範囲を拡げつつ取り出すためのレンズ部310を含む。
【0031】
弾性部32のレンズ部310と重なる部分は、レンズ部310から光を取り出すため、開口している。
【0032】
アウターカバー30は、バックドアハンドル装置1をバックドア50に取り付けるための、ボルト固定用の取り付け穴34を有する取り付け部33を有する。取り付け部33は、アウターカバー30のバックドア50と接触する部分に設けられ、透明部31のハウジング20を覆う本体部分から車幅方向に延在する部分と、その表面を覆うアウターカバー30から構成される。
【0033】
図2に示されるように、取り付け穴34には、金属カラー35が嵌め込まれていることが好ましい。取り付け部33に金属からなるボルトを直接締め付けると、熱クリープによる変形が生じるおそれがある。この場合、バックドア50に取り付けられたバックドアハンドル装置1ががたつくことによる異音が生じたり、アウターカバー30とバックドア50の取り付け面との間に隙間が生じ、後述する防水性が低下したりする場合がある。金属カラー35を用いて、金属カラー35にボルトを締め付けることにより、取り付け部33の熱クリープを防ぐことができる。金属カラー35は、透明部31及び弾性部32と、インサート成形などにより一体成形することができる。
【0034】
弾性部32は、例えば、TPE(Thermo Plastic Elastomer)などの熱可塑性エラストマーからなる。弾性部32は、アウターカバー30の車両下方側に、スイッチカバー部320及びスイッチカバー部321を有する。スイッチカバー部320は、バックドア50を開錠するとき、すなわちオープンスイッチ12に信号を出力させるときに、操作者が外側から押し込む力を加える部分である。また、スイッチカバー部321は、バックドア50を施錠するとき、すなわちロックスイッチ13に信号を出力させるときに、操作者が外側から押し込む力を加える部分である。
【0035】
透明部31のスイッチカバー部320及びスイッチカバー部321と重なる部分は、スイッチカバー部320とスイッチカバー部321をオープンスイッチ12とロックスイッチ13にそれぞれ接触させるため、開口している。
【0036】
アウターカバー30のバックドア50と接触する面は、弾性部32で構成されている。弾性を有する弾性部32がバックドア50の取り付け面に密着することにより、ハウジング20内への水の浸入を防ぐことができる。
【0037】
また、アウターカバー30の防水性能をより高めるため、弾性部32のバックドア50の取り付け面に接する部分には、ハウジング20のバックドア50と接触する面を囲む環状の突起322が設けられていることが好ましい。この弾性部32の突起は、バックドアハンドル装置1をバックドア50へ取り付けることにより、バックドア50へ押し付けられて潰れ又は撓み、バックドア50へ強く密着する。特に、弾性部32の突起が撓んでその側面がバックドア50の取り付け面へ密着する場合に、より強い防水性が得られる。
【0038】
透明部31は、アウターカバーの樹脂部分とレンズを兼ねており、また、透明部31と弾性部32はインサート成形などにより一体成形できるため、バックドアハンドル装置1の部品点数や製造工程数を減らし、製造コストの低減及び小型化を実現することができる。
【0039】
なお、アウターカバー30は透明部31及び弾性部32と異なる材料からなる部分を含んでもよいが、製造コストを抑えるため、透明部31及び弾性部32を含めて一体に成形できることが好ましい。
【0040】
図4(a)、(b)は、ハウジング20及びアウターカバー30の断面図である。図4(a)に示されるように、ハウジング20とアウターカバー30の透明部31は、互いに嵌合する凹部25と凸部311をそれぞれ有することが好ましい。
【0041】
ハウジング20の側面に長さ方向(L方向)に沿って設けられる凹部25とそこに嵌合する凸部311を設けることにより、ハウジング20をアウターカバー30に組み付ける際にハウジング20の高さ方向(H方向)の位置決めを行うことができる。また、ハウジング20の底面に長さ方向(L方向)に沿って設けられる凹部25とそこに嵌合する凸部311を設けることにより、ハウジング20をアウターカバー30に組み付ける際にハウジング20の幅方向(W方向)の位置決めを行うことができる。さらに、凸部311を設けることにより、透明部31の断面係数を向上させて、剛性を向上させることができる。
【0042】
また、図4(b)に示されるように、ハウジング20とアウターカバー30の透明部31は、爪26と爪26を掛けるための溝312をそれぞれ有することが好ましい。爪26は、例えば、ハウジング20の側面に設けられる。爪26及び溝312を設けることにより、ハウジング20をアウターカバー30に組み付ける際にハウジング20の長さ方向(L方向)の位置決めを行い、また、組み付け後のハウジング20とアウターカバー30の分離を防ぐことができる。
【0043】
また、図4(b)に示されるように、ハウジング20を挿入するアウターカバー30の開口部の縁に掛かるストッパー27をハウジング20に設けることにより、ハウジング20をアウターカバー30に組み付ける際にハウジング20の長さ方向(L方向)の位置決めを行うことができる。
【0044】
図5(a)、(b)は、バックドア50に取り付けられた状態のバックドアハンドル装置1の取り付け部33の周辺を拡大した断面図である。
【0045】
図5(a)は、バックドアハンドル装置1が金属カラー35を有する場合の取り付け状態の一例を示す。この場合、取り付け穴34に嵌め込まれた金属カラー35とバックドア50とが、段付きナット53とボルト54により固定される。
【0046】
図5(b)は、バックドアハンドル装置1が金属カラー35を有しない場合の取り付け状態の一例を示す。図5(b)に示される例では、アウターカバー30が、透明部31と弾性部32との一体成形品からなり、取り付け穴34近傍の透明部31は弾性部32に覆われておらず、バックドア50と接触する。そして、段付きナット55とボルト56は、取り付け部33に接触せず、バックドア50を両側から固定することが好ましい。これにより、金属カラー35を用いることなく、取り付け部33の熱クリープによる変形を防ぐことができる。
【0047】
バックドアハンドル装置1に金属カラー35を用いない場合、金属カラー35と取り付け穴34との固定部に生じる応力に起因する、取り付け部33の破損のおそれがない。一方で、上述のように段付きナット55とボルト56を取り付け部33に接触させない場合には、バックドア50と取り付け部33の間に隙間が生じるおそれがある。このため、弾性部32の突起322により防水性を向上させることが重要である。
【0048】
(ライセンスランプ機能に係る構成)
バックドアハンドル装置1は、ライセンスランプ機能のため、光を発する発光素子11と、アウターカバー30の透明部31のレンズ部310とを備える。バックドアハンドル装置1においては、発光素子11から発せられた光が、レンズ部310を介して取り出され、ナンバープレート51を照明する。
【0049】
発光素子11としては、典型的には、LEDが用いられる。LEDは、小型の発光素子であり、また、消費電力、発熱量が小さく、かつ長寿命であるため、発光素子11としての使用に適している。レンズ部310は、アクリル樹脂等の透明材料からなる。
【0050】
図6は、発光素子11及びアウターカバー30のレンズ部310の断面を含むバックドアハンドル装置1の断面図である。図6に示されるように、レンズ部310は、アウターカバー30の内側の面に設けられた凹部310aと、凹部310aを覆うようにアウターカバー30の外側の面に設けられた凸部310bとを有することが好ましい。発光素子11から発せられる光を凹部310a及び凸部310bの面で屈折させることにより、車幅方向の出射範囲を拡げることができる。また、凹部310a及び凸部310bを設けることにより、レンズ部310の断面係数を向上させて、剛性を向上させることができる。
【0051】
このため、所望の明るさ(配光法規を満たす明るさ)でナンバープレート51を照明するために必要な発光素子11の数を低減し、バックドアハンドル装置1を小型化することができる。バックドアハンドル装置1に含まれる発光素子11は1つであってもよい。
【0052】
(バックドア開閉用ハンドルスイッチ機能に係る構成)
図7(a)、(b)は、バックドア50に取り付けられたバックドアハンドル装置1の垂直断面図である。図7(a)の断面図は、オープンスイッチ12及びオープンスイッチノブ14の断面を含み、図7(b)の断面図は、ロックスイッチ13及びロックスイッチノブ15の断面を含む。図7(a)、(b)においては、バックドアガーニッシュ52の図示を省略する。
【0053】
バックドアハンドル装置1は、バックドア開閉用ハンドルスイッチ機能のため、バックドア50を開錠するための信号を外部の開錠装置に出力するオープンスイッチ12と、バックドア50を施錠するための信号を外部の施錠装置に出力するロックスイッチ13と、オープンスイッチ12の作動力を補足するためのオープンスイッチノブ14と、ロックスイッチ13の作動力を補足するためのロックスイッチノブ15と、バックドア50の開錠操作の際に操作者の手60が触れるスイッチカバー部320と、バックドア50の施錠操作の際に操作者の手60が触れるスイッチカバー部321と、を備える。
【0054】
オープンスイッチ12及びロックスイッチ13は、押し込むことにより内部の接点が電気的に接続されたときに接点信号(接点が接続されているか否かの信号)を出力するプッシュスイッチである。オープンスイッチ12から出力された接点信号が開錠装置に入力されることにより、開錠装置が動作し、バックドア50の開錠が行われる。また、オープンスイッチ12から出力された接点信号が施錠装置に入力されることにより、施錠装置が動作し、バックドア50の施錠が行われる。なお、バックドアハンドル装置1においては、プッシュスイッチの代わりに、静電スイッチ等の他の方式のスイッチをオープンスイッチ12及びロックスイッチ13として用いてもよい。
【0055】
図8(a)、(b)は、ロックスイッチ13がスイッチカバー部321及びロックスイッチノブ15を介して操作者により押し込まれる前後のバックドアハンドル装置1の状態を示す垂直断面図である。なお、オープンスイッチ12がスイッチカバー部320及びオープンスイッチノブ14を介して操作者により押し込まれる前後のバックドアハンドル装置1の状態も、図8(a)、(b)に示されるものと同様である。
【0056】
オープンスイッチノブ14は、バックドア50の開錠の際の押し込み操作により初期位置からスイッチ位置まで移動する操作部140と、操作部140が初期位置からスイッチ位置へ向けて移動した際に弾性変形し、操作部140を初期位置に戻す方向の弾性力が生じるバネ部141と、基板10、発光素子11、オープンスイッチ12、ロックスイッチ13、オープンスイッチノブ14、及びオープンスイッチノブ14をハウジング20内に仮固定するための仮固定部142と、を有する。
【0057】
操作部140、バネ部141、及び仮固定部142は、一体に形成されている。すなわち、オープンスイッチノブ14は一体成形品である。
【0058】
操作者がアウターカバー30のスイッチカバー部320に外側から押し込む力を加え、オープンスイッチノブ14の操作部140が初期位置から移動してスイッチ位置へ達したときに、操作部140によりオープンスイッチ12が押し込まれ、接点信号が出力される。
【0059】
オープンスイッチノブ14の操作部140は、典型的には板状であり、アウターカバー30のスイッチカバー部320側を向く第1の面140aと、第1の面140aの反対側の面であってオープンスイッチ12側を向く第2の面140bを有する。バックドア50の開錠の際には、操作者がスイッチカバー部320を押すと、スイッチカバー部320が操作部140の第1の面140aを押し、操作部140の第2の面140bがオープンスイッチ12を押す。操作部140が初期位置にあるとき、第2の面140bはオープンスイッチ12に接触しているか、又はオープンスイッチ12から僅かに離れている。
【0060】
オープンスイッチノブ14のバネ部141は、その一部がハウジング20の内面に接触しており、バックドア50の開錠の際に操作者がスイッチカバー部320を介してオープンスイッチノブ14の操作部140を押すと、バネ部141はハウジング20の内面に押し付けられて弾性変形し、操作部140を初期位置に戻す方向の弾性力がバネ部141に生じる。バネ部141は、操作部140と一体であり、棒状の部材、板状の部材、又はこれらの組み合わせから構成される。
【0061】
バネ部141を有するオープンスイッチノブ14を用いてオープンスイッチ12の作動力を補足することにより、小型のプッシュスイッチをオープンスイッチ12として用いた場合であっても、適度な操作荷重、クリック感を得ることが可能となる。これにより、バックドアハンドル装置1の小型化と適度な操作荷重とを共に実現することができる。なお、バネ部141に生じる弾性力は、バネ部141の形状や材質などにより、適宜調整することができる。すなわち、バネ部141の形状や材質などを調整することにより、所望の操作荷重を実現することができる。
【0062】
ロックスイッチノブ15は、バックドア50の施錠の際の押し込み操作により初期位置からスイッチ位置まで移動する操作部150と、操作部150が初期位置からスイッチ位置へ向けて移動した際に弾性変形し、操作部150を初期位置に戻す方向の弾性力が生じるバネ部151と、基板10、発光素子11、オープンスイッチ12、ロックスイッチ13、オープンスイッチノブ14、及びロックスイッチノブ15をハウジング20内に仮固定するための仮固定部152と、を有する。
【0063】
操作部150、バネ部151、及び仮固定部152は、一体に形成されている。すなわち、ロックスイッチノブ15は一体成形品である。
【0064】
操作者がアウターカバー30のスイッチカバー部321に外側から押し込む力を加え、ロックスイッチノブ15の操作部150が初期位置から移動してスイッチ位置へ達したときに、操作部150によりロックスイッチ13が押し込まれ、接点信号が出力される。
【0065】
ロックスイッチノブ15の操作部150は、典型的には板状であり、アウターカバー30のスイッチカバー部321側を向く第1の面150aと、第1の面150aの反対側の面であってロックスイッチ13側を向く第2の面150bを有する。バックドア50の施錠の際には、操作者がスイッチカバー部321を押すと、スイッチカバー部321が操作部150の第1の面150aを押し、操作部150の第2の面150bがロックスイッチ13を押す。操作部150が初期位置にあるとき、第2の面150bはロックスイッチ13に接触しているか、又はロックスイッチ13から僅かに離れている。
【0066】
ロックスイッチノブ15のバネ部151は、その一部がハウジング20の内面に接触しており、バックドア50の施錠の際に操作者がスイッチカバー部321を介してロックスイッチノブ15の操作部150を押すと、バネ部151はハウジング20の内面に押し付けられて弾性変形し、操作部150を初期位置に戻す方向の弾性力がバネ部151に生じる。バネ部151は、操作部150と一体であり、棒状の部材、板状の部材、又はこれらの組み合わせから構成される。
【0067】
バネ部151を有するロックスイッチノブ15を用いてロックスイッチ13の作動力を補足することにより、小型のプッシュスイッチをロックスイッチ13として用いた場合であっても、適度な操作荷重、クリック感を得ることが可能となる。これにより、バックドアハンドル装置1の小型化と適度な操作荷重とを共に実現することができる。なお、バネ部151に生じる弾性力は、バネ部151の形状や材質などにより、適宜調整することができる。すなわち、バネ部151の形状や材質などを調整することにより、所望の操作荷重を実現することができる。
【0068】
仮固定部142は、図3に示される例では、先端に爪142aを有する棒状の部材である。また、仮固定部142は、ハウジング20や基板10に仮固定される。例えば、仮固定部142の先端をハウジング20に固定された基板10の孔100に通し、爪142aをハウジング20の突起や基板10の裏側の面(操作部140に対向しない面)に引っ掛けることにより、オープンスイッチノブ14をハウジング20内に仮固定する。図3に示される例では、仮固定部142は基板10に仮固定される。
【0069】
オープンスイッチノブ14は、バネ部141がある程度弾性変形した状態、すなわちバネ部141がハウジング20の内面に押し付けられた状態で、仮固定部142により仮固定されることが好ましい。
【0070】
仮固定部152は、図3図8に示される例では、先端に爪152aを有する棒状の部材である。また、仮固定部152は、ハウジング20や基板10に仮固定される。仮固定部152の先端をハウジング20に固定された基板10の孔101に通し、爪152aをハウジング20の突起や基板10の裏側の面(操作部150に対向しない面)に引っ掛けることにより、ロックスイッチノブ15をハウジング20内に仮固定する。図3に示される例では、仮固定部142は基板10に仮固定され、図8に示される例では、仮固定部142はハウジング20に固定される。
【0071】
ロックスイッチノブ15は、バネ部151がある程度弾性変形した状態、すなわちバネ部151がハウジング20の内面に押し付けられた状態で、仮固定部152により仮固定されることが好ましい。
【0072】
図3に示されるように、ハウジング20は、オープンスイッチノブ14の第2の面140b(操作部140のオープンスイッチ12側を向く面)及びロックスイッチノブ15の第2の面150b(操作部150のロックスイッチ13側を向く面)に当てるためのリブ22を有することが好ましい。リブ22は、第2の面140b及び第2の面150bに対向するハウジングの内面から、基板10の孔102を通って第2の面140b及び第2の面150bに向かって延びている。
【0073】
ハウジング20がリブ22を有する場合、操作部140又は操作部150がスイッチ位置に達したときに、第2の面140b又は第2の面150bがリブ22の先端に接触するか、リブ22から僅かに離れた状態になる。このため、操作者が過剰な力でオープンスイッチノブ14又はロックスイッチノブ15を押し込んだ場合であっても、第2の面140b又は第2の面150bがリブ22の先端に当たり、オープンスイッチノブ14又はロックスイッチノブ15の過剰変形による破損を抑えることができる。
【0074】
なお、リブ22の個数は特に限定されず、また、オープンスイッチノブ14の第2の面140bに当てるためのリブ22とロックスイッチノブ15の第2の面150bに当てるためのリブ22を別に設けてもよい。また、オープンスイッチノブ14又はロックスイッチノブ15の破損をより効果的に抑えるため、第2の面140b又は第2の面150bの車幅方向の両端、又は車幅方向の両端及び中央付近に当たる複数のリブ22を設けることが好ましい。
【0075】
また、図3図7に示されるように、ハウジング20は、レンズ部310の内面に当てるためのリブ23を有することが好ましい。リブ23は、レンズ部310の内面に対向するハウジングの内面から、基板10の孔103を通って延び、先端がレンズ部310の内面に接触している。ハウジング20がリブ23を有する場合、レンズ部310が内側からリブ23に支持されているため、操作者が誤ってレンズ部310に強い力を加えた場合のレンズ部310の破損を抑えることができる。
【0076】
バックドアハンドル装置1においては、透明部31がアウターカバーの樹脂部分とレンズを兼ねているため、別体のアウターカバーの樹脂部分とレンズが接合されている場合と比較して、レンズの外力に対する耐性が強い。そこに、リブ23を設けることにより、さらにレンズの外力に対する耐性を向上させることができる。
【0077】
図7に示されるように、リブ22及びリブ23は、基板10を貫通しており、基板10の位置決め用部材としても機能する。このように、リブ22及びリブ23に2つの機能を兼用させることにより、基板10に設けられる貫通孔の数を減らして、基板10の熱伝導性の低下を抑えることができる。
【0078】
(実施の形態の効果)
上記実施の形態のバックドアハンドル装置1は、アウターカバー30の透明部31がアウターカバーの樹脂部分とレンズを兼ねており、また、透明部31と弾性部32はインサート成形などにより一体成形できる。このため、バックドアハンドル装置1の部品点数や製造工程数を減らし、製造コストの低減及び小型化を実現することができる。
【0079】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。例えば、上記実施の形態においては、バックドアハンドル装置1がオープンスイッチ12とロックスイッチ13の両方を含むが、これらのうちの一方のみがバックドアハンドル装置1に含まれ、他方はバックドアハンドル装置1の外部に設置されてもよい。
【0080】
また、上記の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0081】
1 バックドアハンドル装置
10 基板
11 発光素子
12 オープンスイッチ
13 ロックスイッチ
14 オープンスイッチノブ
140 操作部
141 バネ部
142 仮固定部
15 ロックスイッチノブ
150 操作部
151 バネ部
152 仮固定部
20 ハウジング
30 アウターカバー
31 透明部
310 レンズ部
32 弾性部
320、321 スイッチカバー部
33 取り付け部
34 取り付け穴
35 金属カラー
50 バックドア
51 ナンバープレート
52 バックドアガーニッシュ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8