(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。
図1は実装装置10の斜視図、
図2は実装装置10が備えるパーツカメラ40の構成の概略説明図、
図3は実装装置10の制御に関わる構成を示すブロック図である。なお、本実施形態において、左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)は、
図1に示した通りとする。
【0015】
実装装置10は、基台12と、基台12の上に設置された実装装置本体14と、実装装置本体14に装着された部品供給装置としてのリールユニット70とを備えている。
【0016】
実装装置本体14は、基台12に対して交換可能に設置されている。この実装装置本体14は、基板16を搬送したり保持したりする基板搬送装置18と、XY平面を移動可能なヘッド24と、ヘッド24に取り付けられZ軸に沿って移動可能なメカニカルチャック37と、メカニカルチャック37に把持された部品を撮像するパーツカメラ40と、各種制御を実行するコントローラ60とを備えている。
【0017】
基板搬送装置18は、
図1の前後に間隔を開けて設けられ左右方向に延びる支持板20,20と、両支持板20,20の互いに対向する面に設けられたコンベアベルト22,22(
図1では片方のみ図示)とを備えている。コンベアベルト22,22は、支持板20,20の左右に設けられた駆動輪及び従動輪に無端状となるように架け渡されている。基板16は、一対のコンベアベルト22,22の上面に乗せられて左から右へと搬送される。この基板16は、多数立設された支持ピン23によって裏面側から支持されている。
【0018】
ヘッド24は、X軸スライダ26の前面に取り付けられている。X軸スライダ26は、前後方向にスライド可能なY軸スライダ30の前面に、左右方向にスライド可能となるように取り付けられている。Y軸スライダ30は、前後方向に延びる左右一対のガイドレール32,32にスライド可能に取り付けられている。Y軸スライダ30の前面には、左右方向に延びる上下一対のガイドレール28,28が設けられ、このガイドレール28,28にX軸スライダ26が左右方向にスライド可能に取り付けられている。ヘッド24は、X軸スライダ26が左右方向に移動するのに伴って左右方向に移動し、Y軸スライダ30が前後方向に移動するのに伴って前後方向に移動する。なお、各スライダ26,30は、それぞれ駆動モータ26a,30a(
図3参照)により駆動される。また、ヘッド24は、Z軸モータ34を内蔵し、Z軸に沿って延びるボールネジ35に取り付けられたメカニカルチャック37の高さをZ軸モータ34によって調整する。さらに、ヘッド24は、メカニカルチャック37を回転させるQ軸モータ36(
図3参照)を内蔵している。
【0019】
メカニカルチャック37は、部品を把持することで部品の保持が可能な機構である。メカニカルチャック37は、メカニカルチャック37の本体底面から下方に突出している前後一対の把持部38と、この一対の把持部38を互いに近接及び離間する方向にスライド可能な図示しないスライダと、このスライダを駆動する駆動モータ39(
図3参照)と、を備えている。駆動モータ39により把持部38が互いに接近することで、把持部38は部品を把持する。また、Z軸モータ34によってメカニカルチャック37がZ軸方向に沿って昇降することで、把持部38に把持された部品の高さが調整される。Q軸モータ36によってメカニカルチャック37が回転することで、把持部38に把持された部品の向きが調整される。
【0020】
パーツカメラ40は、基板搬送装置18の前側の支持板20の前方に配置されている。パーツカメラ40は、パーツカメラ40の上方が撮像範囲であり、メカニカルチャック37に保持された部品を下方から撮像して画像を生成する。パーツカメラ40は、
図2に示すように、撮像対象の部品に対して光を照射する照明部41と、受光した光に基づいて部品を撮像する撮像部51と、パーツカメラ40全体を制御する撮像制御部52と、を備えている。
【0021】
照明部41は、ハウジング42と、連結部43と、落射用光源44と、ハーフミラー46と、側射用光源47と、を備えている。ハウジング42は、上面及び下面(底面)が八角形状に開口した椀状の部材である。ハウジング42は、下面の開口よりも上面の開口の方が大きく、下面から上面に向かって内部空間が大きくなる傾向の形状をしている。連結部43は、ハウジング42と撮像部51とを連結する筒状の部材である。落射用光源44から照射される光や撮像部51に受光される光は、この連結部43の内部空間を通過する。落射用光源44は、メカニカルチャック37に保持された部品に対して撮像部51の光軸51aに沿う方向に光を照射するための光源である。落射用光源44は、ハーフミラー46に向けて光軸51aに垂直な方向に光を照射するLED45を複数有している。この複数のLED45は、連結部43の内周面に取り付けられている。本実施形態では、光軸51aは上下方向に沿っており、LED45からの光は水平方向(例えば左右方向)に照射される。ハーフミラー46は、連結部43の内部に、光軸51aから傾斜して(例えば傾斜角45°)配置されている。ハーフミラー46は、落射用光源44からの水平方向の光を上方に反射する。そのため、落射用光源44のLED45からの光は、ハーフミラー46での反射後に、撮像部51の光軸51aに沿う方向(ここでは上方向)に照射される。また、ハーフミラー46は上方からの光については撮像部51に向けて透過する。側射用光源47は、メカニカルチャック37に保持された部品に対して光軸51aから傾斜した方向に光を照射するための光源である。側射用光源47は、複数のLED48aを有する上段光源47aと、上段光源47aよりも下方に配置され複数のLED48bを有する中段光源47bと、中段光源47bよりも下方に配置され複数のLED48cを有する下段光源47cと、を備えている。これらのLED48a〜48cは、ハウジング42の内周面に取り付けられている。LED48a〜48cは、いずれも光軸51aから傾斜した方向(光軸51aからの傾斜角が0°超過90°未満)に光を照射する。LED48a〜48cの照射方向の光軸51aからの傾斜角は、LED48aが最も大きく、LED48aは水平に近い方向に光を照射する。また、この傾斜角は、LED48cが最も小さくなっている。
【0022】
撮像部51は、図示しないレンズなどの光学系及び撮像素子を備えている。落射用光源44及び側射用光源47から発せられ撮像対象の部品で反射した後の光がハーフミラー46を透過して撮像部51に到達すると、撮像部51はこの光を受光する。そして、撮像部51は、受光した光を光電変換して画像中の各々の画素に対応する電荷を生成し、生成された電荷に基づいて各々の画素の情報を含むデジタルデータである画像データを生成する。
【0023】
撮像制御部52は、照明部41に制御信号を出力して照明部41からの光の照射を制御したり、撮像部51に制御信号を出力して画像の撮像を行わせたり、撮像部51が生成した画像データをコントローラ60に出力したりする。撮像制御部52は、照明部41のLED45,48a〜48cの各々に通電する電流の値及び通電時間を制御して、落射用光源44及び側射用光源47の単位時間当たりの発光量及び発光時間を個別に制御可能である。撮像制御部52は、側射用光源47の上段光源47a,中段光源47b,及び下段光源47cの各々について、単位時間当たりの発光量及び発光時間を個別に制御可能である。
【0024】
ここで、パーツカメラ40が撮像する部品の一例について
図2を用いて説明する。
図2に示す部品90の図のうち、上段の図は部品90の下面図であり、下段の図は部品90の正面図である。部品90は、本体部91と、本体部91を基板上に配置する際の基板との接続に用いられる端子板92と、を有している。端子板92は、下面が略平面上の板状部材である。端子板92は、下面視で2箇所の角部が切り落とされた四角形状をしている。切り落とされた部分のうち
図2の上段における左下に位置する部分を切り欠き部92aと称し、右下に位置する部分を切り欠き部92bと称する。端子板92の下面には、端子93,94と、端子93に接続された配線パターン95と、端子94に接続された配線パターン96と、が配設されている。端子93,94は、例えば他の部品又は基板上の配線パターンなどと接続される電極であり、表面(ここでは下面)は平坦であり且つ金属などの導体が露出している。また、端子93及び端子94には極性があり、切り欠き部92a,92bとの位置関係によって端子93と端子94とを識別可能になっている。配線パターン95,96は、端子93,94と本体部91の内部とを導通するための配線であり、下面は平坦であり且つ金属などの導体で主に構成されている。また、配線パターン95,96の表面(ここでは下面)は、短絡を防止するために絶縁皮膜で覆われている。配線パターン95,96は、絶縁皮膜で覆われているため、端子93,94と比べて反射率が低い。また、端子板92は、例えば黒色の樹脂など、端子93,94及び配線パターン95,96と比べて反射率の低い材質で構成されている。パーツカメラ40は、端子板92の下面に照明部41からの光を照射し、その光の反射光を撮像部51が受光して、端子板92の下面を撮像する。また、詳細は後述するが、パーツカメラ40は、撮像対象がこの部品90である場合とそれ以外の部品の場合とで、照明部41の発光量を異ならせて撮像を行う。
【0025】
コントローラ60は、
図3に示すように、CPU61を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶するROM62、各種データを記憶するHDD63、作業領域として用いられるRAM64、外部装置と電気信号のやり取りを行うための入出力インターフェース65などを備えており、これらはバス66を介して接続されている。このコントローラ60は、基板搬送装置18、X軸スライダ26の駆動モータ26a、Y軸スライダ30の駆動モータ30a、Z軸モータ34、Q軸モータ36、及びメカニカルチャック37の駆動モータ39へ駆動信号を出力する。また、コントローラ60は、撮像時の落射用光源44及び側射用光源47の制御量などを含む撮像条件に関する情報をパーツカメラ40に出力したり、パーツカメラ40からの画像データを入力したりする。なお、図示しないが、各スライダ26,30には図示しない位置センサが装備されており、コントローラ60はそれらの位置センサからの位置情報を入力しつつ、各スライダ26,30の駆動モータ26a,30aを制御する。
【0026】
リールユニット70は、複数のリール72を備え、実装装置本体14の前側に着脱可能に取り付けられている。各リール72には、テープが巻き付けられ、テープの表面には、部品がテープの長手方向に沿って保持されている。これらの部品は、テープの表面を覆うフィルムによって保護されている。こうしたテープは、リールから後方に向かって巻きほどかれ、フィーダ部74においてフィルムが剥がされて部品が露出した状態となる。この露出した状態の部品をメカニカルチャック37の把持部38が把持することで、部品はメカニカルチャック37に保持されてヘッド24と共に移動可能になる。
【0027】
管理コンピュータ80は、実装装置10の生産ジョブを管理するコンピュータであり、実装装置10のコントローラ60と通信可能に接続されている。なお、生産ジョブは、実装装置10においてどの部品をどういう順番でどの基板16に装着するか、また、何枚の基板16に部品の実装を行うかなどを定めた情報である。管理コンピュータ80は、この生産ジョブを記憶しており、生産ジョブに含まれる情報を必要に応じて実装装置10に出力する。
【0028】
次に、本実施形態の実装装置10の動作、特に、パーツカメラ40を用いた部品の撮像を伴って部品を基板16に実装する処理について説明する。実装装置10のコントローラ60のCPU61は、管理コンピュータ80からの指令を受けると、まず、これから実装しようとする実装対象の部品に関する情報を管理コンピュータ80から取得する。次に、CPU61は、実装対象の部品を撮像する処理や基板上に配置する処理を含む部品実装処理を行う。そして、CPU61は、基板16にすべての部品の実装を完了するまで、次の実装対象の部品に関する情報を取得する処理及び部品実装処理を繰り返し行う。以下では、特に、
図2に示した部品90が実装対象の部品である場合の部品実装処理について説明する。
図4は、部品実装処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図4の部品実装処理ルーチンは、HDD63に記憶されている。
図4の部品実装処理ルーチンは、管理コンピュータ80から取得された次の実装対象の部品の部品種が部品90であった場合に、コントローラ60により開始される。
【0029】
図4の部品実装処理ルーチンを開始すると、CPU61は、落射受光量<側射受光量となるように撮像時の落射用光源44及び側射用光源47の制御量を設定する(ステップS100)。ここで、落射受光量とは、落射用光源44から発せられ部品90で反射して撮像部51に受光される光の光量である。同様に、側射受光量とは、側射用光源47から発せられ部品90で反射して撮像部51に受光される光の光量である。なお、落射受光量及び側射受光量は、それぞれ、撮像時の受光量の積分値(例えば単位時間当たりの受光量と受光時間との積)とする。落射受光量<側射受光量となる場合とは、換言すると、落射用光源44のみを発光させて撮像した場合の画像の各画素の輝度値(例えば256階調の輝度値)の平均値が、側射用光源47のみを発光させて撮像した場合の画像の各画素の輝度値の平均値よりも小さくなるような場合である。なお、本実施形態では、部品90を撮像する際には、側射用光源47のうち上段光源47aのみを発光させるものとした。また、本実施形態では、撮像時の落射用光源44の発光時間(落射発光時間t1と称する)と側射用光源47(ここでは上段光源47aのみ)の発光時間(側射発光時間t2と称する)とが等しい場合に落射受光量と側射受光量とが等しくなるように、撮像部51がLED45及びLED48aに通電する電流の値が予め実験によりそれぞれ定められているものとした。そのため、ステップS100では、CPU61は、落射用光源44及び側射用光源47の制御量として、t1<t2となるように落射発光時間t1及び側射発光時間t2を設定する。なお、落射発光時間t1及び側射発光時間t2の値は、例えば部品90に対応付けられて予めHDD63に記憶されていてもよいし、生産ジョブに含まれていてもよいし、CPU61が生産ジョブに含まれる情報に基づいて導出してもよい。
【0030】
ステップS100で落射発光時間t1及び側射発光時間t2を設定すると、CPU61は、ヘッド24を移動させ、リールユニット70によって供給される実装対象の部品をメカニカルチャック37の把持部38に把持させる(ステップS110)。続いて、CPU61は、ヘッド24を移動させてメカニカルチャック37に把持された部品をパーツカメラ40の上方へ移動させる(ステップS120)。そして、CPU61は、ステップS100で設定した制御量(ここでは落射発光時間t1及び側射発光時間t2)で照明部41を制御して撮像を行うよう、撮像制御部52に制御信号を出力する(ステップS130)。撮像制御部52は、入力した落射発光時間t1及び側射発光時間t2に基づいて落射用光源44及び側射用光源47を発光させると共に、撮像部51に受光した光に基づく画像を生成させて、メカニカルチャック37に把持された部品を撮像させる。これにより、落射受光量<側射受光量となる条件で部品90の画像が撮像される。なお、本実施形態では、撮像部51は、受光した光に基づいて、例えば各画素の輝度値を256階調で表したグレースケールの画像データを生成するものとした。撮像制御部52は、撮像された画像データをコントローラ60に出力する。
【0031】
撮像により得られた画像データを撮像制御部52から入力すると、CPU61は、その画像に基づく所定の処理を行う(ステップS140〜S180)。具体的には、CPU61は、まず、得られた画像データの各画素の輝度値を2値化して2値画像を得る(ステップS140)。2値化は、例えば判別分析法(大津の2値化)などの周知の方法で行うことができる。
【0032】
ここで、部品90を撮像した画像データから得られた2値画像の一例について説明する。
図5は、落射受光量<側射受光量として部品90を撮像した2値画像P1の説明図である。
図6は、比較例として本実施形態とは異なり落射受光量と側射受光量とを等しく且つ共に大きくして部品90を撮像した場合の2値画像P2の説明図である。
図7は、比較例として本実施形態とは異なり落射受光量と側射受光量とを等しく且つ共に小さくして部品90を撮像した場合の2値画像P3の説明図である。
図5〜7では、2値化後の輝度値が小さい側の画素を黒色で表し、2値化後の輝度値が大きい側の画素を白色で表している。
【0033】
図5からわかるように、2値画像P1では、部品90の外形部分(ここでは端子板92の下面視における縁部分)及び端子93,94に対応する画素は白色になっている。一方、2値画像P1では、端子板92の縁以外の部分、配線パターン95,96、及び部品90以外の部分(背景部分)に対応する画素は黒色になっており、配線パターン95,96は写っていない。このように、落射受光量<側射受光量として部品90を撮像することで、配線パターン95,96が写らず部品90の外形部分と端子93,94とを写した2値画像を得ることができる。この理由について説明する。
【0034】
まず、落射用光源44からの光は撮像部51の光軸51aに沿う方向(ここでは上方)に照射される。これにより、落射用光源44から上方に照射され部品90のうち光軸51aに垂直な平面部分で反射された光は、そのまま光軸51aに沿う方向(ここでは下方)に進む。そのため、落射用光源44から照射され表面が平坦な端子93,94で反射された光は、落射用光源44から照射され部品90の外形部分で反射された光と比べて、撮像部51に比較的到達しやすい。すなわち、落射用光源44を用いることで、表面が平坦な端子93,94を写した画像を撮像しやすくなる。一方、落射用光源44から照射され配線パターン95,96で反射された光も、配線パターン95,96の表面が平坦であるため撮像部51に比較的到達しやすい。しかし、配線パターン95,96は、上述したように表面が絶縁皮膜で覆われており端子93,94と比較して反射率が低い。そのため、落射受光量を側射受光量よりも小さくする、すなわち落射用光源44からの光量を大きくしすぎないようにすることで、配線パターン95,96は写りにくくしつつ端子93,94を写した画像を撮像できる。なお、本実施形態では、撮像部51が撮像した画像(ここでは256階調のグレースケール画像)において、その画像を2値化する際の閾値よりも端子93,94に対応する画素の輝度値が大きく且つ配線パターン95,96に対応する画素の輝度値が小さくなる程度に、落射受光量を小さい値にしている。これにより、撮像部51が撮像した画像に基づいて、
図5の2値画像P1のように、端子93,94を写しつつ配線パターン95,96を写さない画像を得ることができる。このような落射受光量の値及びその値を実現するための落射用光源44の制御量(ここでは落射発光時間t1)は、例えば実験により予め定めておくことができる。
【0035】
また、側射用光源47(ここでは上段光源47a)からの光は撮像部51の光軸51aから傾斜した方向に照射される。そのため、側射用光源47から照射され部品90の外形部分(ここでは下面視における端子板92の縁部分)で反射された光は、側射用光源47から照射され配線パターン95,96又は端子93,94で反射された光と比べて、撮像部51に比較的到達しやすい。すなわち、側射用光源47を用いることで、部品90の外形部分を写した画像を撮像しやすくなる。したがって、側射受光量を落射受光量よりも大きくする、すなわち側射用光源47からの光量を比較的大きくすることで、配線パターン95,96は写りにくくしたままで部品90の外形部分を写した画像を撮像できる。なお、本実施形態では、撮像部51が撮像した画像(ここでは256階調のグレースケール画像)において、その画像を2値化する際の閾値よりも部品90の外形部分に対応する画素の輝度値が大きくなる程度に、側射受光量を大きい値にしている。これにより、撮像部51が撮像した画像に基づいて、
図5の2値画像P1のように、部品90の外形部分を写した画像を得ることができる。このような側射受光量の値及びその値を実現するための側射用光源47の制御量(ここでは側射発光時間t2)は、例えば実験により予め定めておくことができる。
【0036】
これに対し、例えば撮像時の落射受光量と側射受光量とが等しく且つ共に大きい場合は、部品90の外形部分及び端子93,94を写すことができるものの、配線パターン95,96も写りやすい。すなわち撮像部51が撮像した画像における配線パターン95,96に対応する画素の輝度値が大きくなりやすい。そのため、
図6の2値画像P2のように、2値化後における配線パターン95,96に対応する画素が白色になってしまいやすい。また、例えば落射受光量と側射受光量とが等しく且つ共に小さい場合は、配線パターン95,96は写りにくくできるものの、部品90の外形部分及び端子93,94が写りにくくなりやすい。すなわち撮像部51が撮像した画像における部品90の外形部分及び端子93,94に対応する画素の輝度値が小さくなりやすい。そのため、
図7の2値画像P3のように、2値化後における部品90の外形部分及び端子93,94の少なくとも一方に対応する画素(
図7では部品90の外形部分に対応する画素)が黒色になってしまいやすい。なお、図示は省略するが、例えば本実施形態とは逆に落射受光量>側射受光量として撮像を行った場合には、部品90の外形部分は写りにくく、且つ配線パターン95,96は写りやすくなる。そのため、例えば撮像された画像を2値化すると、部品90の外形部分は写らず端子93,94及び配線パターン95,96が写った画像になりやすい。
【0037】
以上のように、本実施形態のパーツカメラ40は、落射受光量を側射受光量よりも小さくすることで配線パターン95,96を写りにくくしつつ、主に落射用光源44からの光により端子93,94を写し、主に側射用光源47からの光により部品90の外形部分を写した画像を撮像することができる。そしてその画像を2値化することで、
図5の2値画像P1のように、配線パターン95,96が写らず部品90の外形部分と端子93,94とを写した2値画像を得ることができる。
【0038】
ステップS140で部品90の2値画像を得ると、CPU61は、その2値画像に基づいて部品90に関する情報を取得する(ステップS150)。本実施形態では、CPU61は、部品90の外形、端子93,94、部品90の中心、及び部品90の向きを検出するものとした。具体的には、CPU61は、まず、2値画像に基づいて部品90の外形及び端子93,94をパターンマッチングなどにより検出する。次に、CPU61は、検出した外形に基づいて部品90の中心位置を検出する。また、CPU61は、検出した外形に基づいて切り欠き部92a,92bを検出し、これに基づいて部品90の向きを検出する。本実施形態では、上述した
図5のように2値画像には配線パターン95,96が写っていない。そのため、例えば
図6のように配線パターン95,96が写っている場合と比較して、ステップS150においてCPU61が配線パターン95,96を部品90の外形部分や端子93,94であると誤検出することを抑制できる。
【0039】
続いて、CPU61は、ステップS150で取得した情報に基づいて、把持部38に把持された部品90の異常の有無を判定し(ステップS160)、異常がある場合には把持部38に把持された部品90を廃棄して(ステップS170)、ステップS110以降の処理を行う。CPU61は、例えば部品90の外形の形状や端子93,94の形状に基づいて、部品90の異常の有無を判定する。ステップS160で異常がない場合には、CPU61は、ステップS150で取得した情報に基づいて、部品90の実装位置及び向きの補正量を導出する(ステップS180)。例えば、CPU61は、検出した部品90の中心位置(座標)に基づいて、部品90の基板16への実装位置の補正量を導出する。また、CPU61は、検出した部品90の向きに基づいて、部品90を基板16に実装する際に必要なQ軸モータ36の駆動量(部品90の回転量)を向きの補正量として導出する。そして、CPU61は、導出した実装位置及び向きの補正量を加味して部品90を基板16上に配置して(ステップS190)、部品実装処理ルーチンを終了する。上述したように、ステップS150においてCPU61が配線パターン95,96を部品90の外形部分や端子93,94であると誤検出することを抑制できるため、ステップS160,S180の処理についても、CPU61は精度良く行うことができる。
【0040】
なお、CPU61は、部品90以外の部品種の部品に対して行われる部品実装処理を、
図4の部品実装処理ルーチンと同様に行う。ただし、ステップS100における落射用光源及び側射用光源の制御量は、部品種毎に予め定められており、CPU61は実装対象の部品種に応じた制御量を設定する。例えば、部品90とは異なり配線パターンを有さず端子のみを有する部品種については、CPU61はステップS100でt1=t2に設定して、落射受光量=側射受光量となるようにしてもよい。また、ステップS150〜S180の処理の内容も、部品種毎に予め定められており、CPU61は実装対象の部品種に応じた処理を行う。これらの部品種毎に予め定められた情報は、例えば予めHDD63に記憶されていてもよいし、生産ジョブに含まれていてもよい。
【0041】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のパーツカメラ40が本発明の撮像装置に相当し、撮像部51が撮像部に相当し、落射用光源44が落射用光源に相当し、側射用光源47が側射用光源に相当し、撮像制御部52が発光制御部に相当する。また、メカニカルチャック37が部品保持部に相当し、X軸スライダ26及びY軸スライダ30が移動部に相当し、コントローラ60が実装制御部に相当する。
【0042】
以上詳述した本実施形態の実装装置10のパーツカメラ40によれば、配線パターン95,96と表面が平坦な端子93,94とを有する部品90を撮像するにあたり、撮像制御部52は、落射受光量が側射受光量よりも小さくなるように、部品90の撮像時に落射用光源44及び側射用光源47を発光させる。これにより、配線パターン95,96を写りにくくしつつ部品90の外形部分と端子93,94とを写した画像を撮像することができる。
【0043】
また、撮像制御部52は、部品90の撮像時に、落射用光源44及び側射用光源47の発光時間(t1,t2)を制御することで、落射受光量を側射受光量よりも小さくする。そのため、例えば落射用光源44及び側射用光源47に供給する電力を制御する場合と比較して、比較的容易に落射受光量と側射受光量とを制御できる。
【0044】
また、撮像制御部52は、画素の輝度値を2値化すると配線パターン95,96に対応する画素が輝度の小さい側に含まれ端子93,94に対応する画素及び部品90の外形部分に対応する画素が輝度の大きい側に含まれるような画像(例えば
図5の2値画像P1)が得られるよう予め定められた落射受光量及び側射受光量となるように、落射用光源44及び側射用光源47を発光させる。そのため、2値化することで配線パターン95,96を写らなくすることができるような画像を撮像できる。
【0045】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0046】
例えば、上述した実施形態では、落射受光量及び側射受光量は、画素の輝度値を2値化すると配線パターン95,96に対応する画素が輝度の小さい側に含まれ端子93,94に対応する画素及び部品90の外形部分に対応する画素が輝度の大きい側に含まれるような画像が得られるよう予め定められていたが、これに限らず、落射受光量が側射受光量より小さければよい。例えば、撮像制御部52は、部品90の撮像時に、落射受光量が側射受光量の0.9倍以下となるように落射用光源44及び側射用光源47を発光させてもよい。こうすることで、配線パターン95,96をより確実に写りにくくすることができる。落射受光量は、側射受光量の0.8倍以下としてもよいし、0.7倍以下としてもよい。なお、落射受光量は値0でなければよいが、側射受光量の0.1倍以上としてもよい。また、落射受光量は、側射受光量の0.3倍以上としてもよいし、0.5倍以上としてもよい。
【0047】
あるいは、撮像制御部52は、配線パターン95,96に対応する画素の輝度値の最大値が部品90の外形部分に対応する画素の輝度値の最小値よりも小さい状態の画像が得られるよう予め定められた落射受光量及び側射受光量となるように、落射用光源44及び側射用光源47を発光させてもよい。こうすれば、部品90の外形部分と配線パターン95,96とを輝度値に基づいて容易に区別できる程度に配線パターン95,96を写りにくくした画像を撮像できる。この場合において、撮像制御部52は、配線パターン95,96に対応する画素の輝度値が全画素中で最も小さい状態の画像が得られるよう予め定められた落射受光量及び側射受光量となるように、落射用光源44及び側射用光源47を発光させてもよい。こうすれば、配線パターン95,96をさらに写りにくくした画像を撮像できる。
【0048】
あるいは、撮像制御部52は、配線パターン95,96が写らず部品90の外形部分と端子93,94とを写した画像が得られるよう予め定められた落射受光量及び側射受光量となるように、落射用光源44及び側射用光源47を発光させてもよい。こうすれば、撮像の不要な配線パターン95,96が写っていない画像を得ることができる。なお、配線パターン95,96が写っていない画像とは、例えば、上述した実施形態のように配線パターン95,96に対応する画素が輝度の小さい側に含まれている2値画像としてもよいし、配線パターン95,96に対応する画素の輝度値がその周囲の画素の輝度値と同じとみなせる画像(換言すると、画像処理を行っても配線パターン95,96の画素を特定できない画像)としてもよいし、配線パターン95,96に対応する画素の輝度値が全画素中で最も小さい状態の画素としてもよいし、配線パターン95,96に対応する画素の輝度値が値0(黒)である画像としてもよい。
【0049】
上述した実施形態では、撮像制御部52は、落射発光時間t1及び側射発光時間t2を制御することで、落射受光量<側射受光量となるようにしたが、これに限られない。例えば、撮像制御部52は、落射発光時間t1及び側射発光時間t2すなわち連続的な発光時間を制御する代わりに、落射用光源44及び側射用光源47の発光時間と非発光時間とのデューティー比を制御して落射受光量<側射受光量となるようにしてもよい。すなわち、1回の撮像において落射用光源44及び側射用光源47が発光と非発光とを繰り返すこととし、撮像制御部52はこの発光と非発光との1サイクル中の発光時間の割合(=デューティー比)を制御して落射受光量<側射受光量となるようにしてもよい。あるいは、撮像制御部52は、落射用光源44及び側射用光源47に通電する電流を制御して落射受光量<側射受光量となるようにしてもよい。
【0050】
上述した実施形態では、撮像部51が撮像する画像はグレースケール画像であり、CPU61はステップS140でこれを2値化してからステップS150で部品90に関する情報を取得したが、これに限られない。例えば、CPU61は、グレースケール画像に対してパターンマッチング又はエッジの検出などを行うことで部品90に関する情報(例えば部品90の外形の形状や端子93,94の形状)を取得してもよい。この場合でも、落射受光量<側射受光量とすることでグレースケール画像中の配線パターン95,96が写りにくくなる(配線パターン95,96に対応する画素の輝度値が小さくなる)。そのため、上述した実施形態と同様に、例えばCPU61が部品90に関する情報を取得する際の誤検出を抑制できる。なお、撮像部51が撮像する画像がカラー画像であったり2値画像であったりしてもよい。
【0051】
上述した実施形態では、部品90を撮像する際には、撮像制御部52は側射用光源47のうち上段光源47aのみを発光させるものとしたが、特にこれに限らず、上段光源47a,中段光源47b,及び下段光源47cの少なくともいずれかを発光させればよい。ただし、光軸51aからの傾斜角が90°に近い光源を用いるほど、配線パターン95,96は写りにくくしたままで部品90の外形部分を写した画像を撮像できる傾向にある。そのため、最も傾斜角が90°に近い光源(上述した実子形態では上段光源47a)を発光させることが好ましい。
【0052】
上述した実施形態では、落射受光量が側射受光量よりも小さくなるようにして撮像を行う対象として部品90を例示したが、撮像対象の部品はこれに限られない。配線パターンと表面が平坦な端子とを有し、且つ配線パターンの検出が不要で部品の外形部分と端子とを検出する必要がある部品であれば、上述した実施形態と同様に落射受光量<側射受光量とすることで、同様の効果が得られる。例えば、撮像対象の部品が、部品90とは異なり複数の端子に極性がない部品であってもよい。また、部品90は外形部分(端子板92の下面視における縁部分)の形状が直角の角部になっていたが、これに限らず、撮像対象の部品は外形部分が面取りされているなど外形部分の形状が光軸51aから傾斜した斜面になっていてもよい。
【0053】
上述した実施形態では、実装装置10は部品を把持するメカニカルチャック37を備えていたが、部品の保持が可能であればこれに限られない。例えば、実装装置10は、メカニカルチャック37に代えて、部品を吸着して保持する吸着ノズルを備えていてもよい。
【0054】
上述した実施形態では、コントローラ60が落射用光源44及び側射用光源47の制御量を設定したが、これに限らず例えば撮像制御部52が決定してもよい。