特許第6865246号(P6865246)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6865246クロック分配回路及びクロック分配方法と誤り率測定装置及び誤り率測定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6865246
(24)【登録日】2021年4月7日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】クロック分配回路及びクロック分配方法と誤り率測定装置及び誤り率測定方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/10 20060101AFI20210419BHJP
   H04L 1/00 20060101ALI20210419BHJP
   G06F 1/06 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
   G06F1/10
   H04L1/00 C
   G06F1/06
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-75028(P2019-75028)
(22)【出願日】2019年4月10日
(65)【公開番号】特開2020-173605(P2020-173605A)
(43)【公開日】2020年10月22日
【審査請求日】2019年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】石毛 剛志
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 浩輔
【審査官】 豊田 真弓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−070909(JP,A)
【文献】 特開平06−216729(JP,A)
【文献】 特開平11−046185(JP,A)
【文献】 特開2010−032401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/10
G06F 1/06
H04L 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯域の異なる動作周波数範囲ごとに高周波デバイス(12c)を備えた複数のクロックルート(R1,R2,R3)を有し、異なる範囲からなる複数のビットレート範囲と1対1で対応した入力クロック周波数範囲と同じ周波数倍率の前記動作周波数範囲が統合されたクロック分配回路であって、
前記複数のビットレート範囲から設定されるビットレート範囲と対応する入力クロック周波数範囲が前記動作周波数範囲内のときに、該入力クロック周波数範囲に対応するクロックルートに選択的に切り替え、前記設定されたビットレート範囲に応じて前記高周波デバイスを補正したクロックを出力することを特徴とするクロック分配回路。
【請求項2】
帯域の異なる動作周波数範囲ごとに高周波デバイス(12c)を備えた複数のクロックルート(R1,R2,R3)を有し、異なる範囲からなる複数のビットレート範囲と1対1で対応した入力クロック周波数範囲と同じ周波数倍率の前記動作周波数範囲が統合されたクロック分配回路を用いたクロック分配方法であって、
誤り率測定装置(1)が備える制御部(7)により、前記複数のビットレート範囲から設定されるビットレート範囲と対応する入力クロック周波数範囲が前記動作周波数範囲内のときに、該入力クロック周波数範囲に対応するクロックルートに選択的に切り替え、前記設定されたビットレート範囲に応じて前記高周波デバイスを補正したクロックを出力するステップを含むことを特徴とするクロック分配方法。
【請求項3】
パルスパターン発生器(4)から既知パターンのテスト信号を被測定物(W)に入力し、このテスト信号の入力に伴って前記被測定物から受信する入力データのビット誤り率を誤り率測定器(5)にて測定する誤り率測定装置において、
請求項1のクロック分配回路にて出力されるクロック信号を、前記パルスパターン発生器または前記誤り率測定器にタイミング信号として入力することを特徴とする誤り率測定装置。
【請求項4】
パルスパターン発生器(4)から既知パターンのテスト信号を被測定物(W)に入力し、このテスト信号の入力に伴って前記被測定物から受信する入力データのビット誤り率を誤り率測定器(5)にて測定する誤り率測定方法において、
請求項2のクロック分配方法にて出力されるクロック信号を、前記パルスパターン発生器または前記誤り率測定器にタイミング信号として入力するステップを含むことを特徴とする誤り率測定方法。
【請求項5】
前記複数のビットレート範囲を選択肢として1つのビットレート範囲を選択設定するクロック設定画面(2a)を表示制御することを特徴とする請求項3に記載の誤り率測定装置。
【請求項6】
前記複数のビットレート範囲を選択肢として1つのビットレート範囲を選択設定するクロック設定画面(2a)を表示制御するステップとを含むことを特徴とする請求項4に記載の誤り率測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯域の異なる内部動作周波数範囲ごとに例えば帯域可変フィルタやゲイン可変アンプなどの高周波デバイスを備えた複数のクロックルートを有し、内部動作周波数範囲に応じてクロックルートを切り替え、ビットレートに応じて高周波デバイスを補正したクロックを出力するクロック分配回路及びクロック分配方法と、クロック分配回路及びクロック分配方法を用いて被測定物の誤り率を測定する誤り率測定装置及び誤り率測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば下記特許文献1に開示されるように、誤り率測定装置は、固定データを含む既知パターンのテスト信号を被測定物に送信し、このテスト信号の送信に伴って被測定物から折り返して受信した被測定信号と基準となる参照信号とをビット単位で比較してビット誤り率(BER:Bit Error Rate)を測定する装置として従来から知られている。
【0003】
ところで、近年、より高速なビットレートでの誤り率測定が求められるようになり、誤り率測定装置の動作クロックの高周波化が進んでいる。これにより、誤り率測定装置内部で使用される例えば帯域可変フィルタやゲイン可変アンプなどの高周波デバイスもより高い周波数に対応したものが要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−274474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、高周波デバイスは、動作周波数帯域に制約があり、1つの高周波デバイスで数百MHzから数十GHzまでの広帯域をカバーすることは困難である。そのため、誤り率測定装置内のクロック分配回路では、複数の高周波デバイスを使用して帯域の異なる複数のクロックルートを設けている。そして、図7のクロック設定画面51において、プルダウンメニューからビットレート範囲が選択されると、この選択されたビットレート範囲と1対1で対応した入力クロック周波数範囲による1つのクロックルートが複数のクロックルートの中から選択されるようになっている。
【0006】
さらに説明すると、図7(a)に示すように、従来のクロック設定画面51では、プルダウンメニュー表示されるビットレート範囲の選択肢(Operation Bit Rate)51aと、入力クロック周波数範囲の指示(Input Clock Freq)51bとが1対1で対応した設定項目として表示される。具体的には、図6に示すように、ビットレート範囲の選択肢と入力クロック周波数範囲の指示は、「2.4−32.1[Gbit/s]」と「1.2−16.05(1/2Clock)[GHz]」(図7(a)のクロック設定画面51)、「32.1−40[Gbit/s]」と「8.025−10(1/4Clock)[GHz]」(図7(b)のクロック設定画面51)、「40−64.2[Gbit/s]」と「10−16.05(1/4Clock)[GHz]」(図7(c)のクロック設定画面51)がそれぞれ1対1で対応している。
【0007】
そして、従来のクロック設定画面51では、プルダウンメニューからビットレート範囲の選択肢(Operation Bit Rate)を選択すると、選択したビットレート範囲の選択肢に対応した入力クロック周波数範囲の指示(Input Clock Freq)が表示される。例えばビットレート範囲の選択肢としてプルダウンメニューから「2.4−32.1[Gbit/s]」を選択すると、「1.2−16.05(1/2Clock)[GHz]」が入力クロック周波数範囲の指示として設定される。
【0008】
そして、クロックルートを制御する場合には、図8に示すように、上述したクロック設定画面でビットレート範囲を選択する(ST11)。ビットレート範囲が選択されると、このビットレート範囲と1対1で対応したクロック周波数による1つのクロックルートを設定し(ST12)、周波数不定時用の高周波デバイスの補正値を仮設定する(ST13)。
【0009】
その後、所定周期(例えば100ms間隔)で同期処理を行い(ST14)、入力クロック周波数範囲をクロックカウンタから取得し(ST15)、取得した入力クロック周波数範囲が動作周波数範囲内であるか否かを判別する(ST16)。
【0010】
そして、入力クロック周波数範囲が動作周波数範囲内であれば(ST16−Yes)、周波数に応じた補正値を設定して高周波デバイスを補正し(ST17)、所定周期の同期処理に戻る(ST14)。これに対し、入力クロック周波数範囲が不定または動作周波数範囲内でなければ(ST16−No)、周波数不定時用の補正値を再設定し(ST18)、所定周期の同期処理に戻る(ST14)。
【0011】
このように、従来、ユーザーは、測定するビットレートに応じてビットレート範囲の選択肢から選択してクロックルートの制御を行う必要があった。ところが、誤り率測定装置は、近年の高ビットレート化に対応してビットレート範囲も拡大するため、クロック設定画面におけるビットレート範囲の選択肢やクロックルートが増える。そして、ビットレート範囲の選択肢やクロックルートが増えると、ユーザーは最適なクロックルートに制御されるように多数のビットレート範囲から好ましいビットレート範囲を選択しなければならなくなり、操作が複雑になるという問題があった。また、ビットレート範囲の選択ミスによって最適なクロックルートに制御できない場合には、正常な測定を行うことができず、ユーザによる原因究明に手間と時間がかかる問題があった。
【0012】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、設定の煩雑さを解消してユーザビリティの向上を図ることができるクロック分配回路及びクロック分配方法と誤り率測定装置及び誤り率測定方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明に係る請求項1に記載されたクロック分配回路は、帯域の異なる動作周波数範囲ごとに高周波デバイス12cを備えた複数のクロックルートR1,R2,R3を有し、異なる範囲からなる複数のビットレート範囲と1対1で対応した入力クロック周波数範囲と同じ周波数倍率の前記動作周波数範囲が統合されたクロック分配回路であって、
前記複数のビットレート範囲から設定されるビットレート範囲と対応する入力クロック周波数範囲が前記動作周波数範囲内のときに、該入力クロック周波数範囲に対応するクロックルートに選択的に切り替え、前記設定されたビットレート範囲に応じて前記高周波デバイスを補正したクロックを出力することを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載されたクロック分配方法は、帯域の異なる動作周波数範囲ごとに高周波デバイス12cを備えた複数のクロックルートR1,R2,R3を有し、異なる範囲からなる複数のビットレート範囲と1対1で対応した入力クロック周波数範囲と同じ周波数倍率の前記動作周波数範囲が統合されたクロック分配回路を用いたクロック分配方法であって、
誤り率測定装置1が備える制御部7により、前記複数のビットレート範囲から設定されるビットレート範囲と対応する入力クロック周波数範囲が前記動作周波数範囲内のときに、該入力クロック周波数範囲に対応するクロックルートに選択的に切り替え、前記設定されたビットレート範囲に応じて前記高周波デバイスを補正したクロックを出力するステップを含むことを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載された誤り率測定装置は、パルスパターン発生器4から既知パターンのテスト信号を被測定物Wに入力し、このテスト信号の入力に伴って前記被測定物から受信する入力データのビット誤り率を誤り率測定器5にて測定する誤り率測定装置において、
請求項1のクロック分配回路にて出力されるクロック信号を、前記パルスパターン発生器または前記誤り率測定器にタイミング信号として入力することを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載された誤り率測定方法は、パルスパターン発生器4から既知パターンのテスト信号を被測定物Wに入力し、このテスト信号の入力に伴って前記被測定物から受信する入力データのビット誤り率を誤り率測定器5にて測定する誤り率測定方法において、
請求項2のクロック分配方法にて出力されるクロック信号を、前記パルスパターン発生器または前記誤り率測定器にタイミング信号として入力するステップを含むことを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載された誤り率測定装置は、請求項3の誤り率測定装置において、
前記複数のビットレート範囲を選択肢として1つのビットレート範囲を選択設定するクロック設定画面2aを表示制御することを特徴とする。
【0018】
請求項6に記載された誤り率測定方法は、請求項4の誤り率測定方法において、
前記複数のビットレート範囲を選択肢として1つのビットレート範囲を選択設定するクロック設定画面2aを表示制御するステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、複数のクロックルートの中から最適なクロックルートを選択するように内部で自動切替制御することができ、クロックルートの選択に起因する測定のトラブルを防止でき、ユーザビリティが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係るクロック分配回路の一例を示す図である。
図2】本発明に係るクロック分配回路を含む誤り率測定装置の概略構成を示す図である。
図3】(a),(b)クロック設定画面の表示例を示す図である。
図4】クロック設定画面のビットレート範囲の選択肢、入力クロック周波数範囲の指示、内部動作周波数範囲の関係を示す図である。
図5】本発明に係るクロックルートの制御方法のフローチャートである。
図6】本発明と従来のクロック設定画面のビットレート範囲の選択肢と入力クロック周波数範囲の指示との関係を示す比較図である。
図7】従来のクロック設定画面の表示例を示す図である。
図8】従来のクロックルートの制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図2に示すように、本実施の形態の誤り率測定装置1は、操作表示器2、クロック発生器3、パルスパターン発生器4、誤り率測定器5、記憶部6、制御部7を備えて概略構成される。以下、各部の構成について説明する。
【0023】
[操作表示器]
操作表示器2は、例えば表示器の表示画面上のポインタやアイコンを操作するマウスやタッチスクリーンなどのポインティングデバイス、装置本体に設けられるキー、スイッチ、ボタンなどを含む。
【0024】
操作表示器2は、後述するクロックルートの制御を行うための設定、被測定物Wの測定開始や停止の指示、測定チャネルの指定、測定パラメータの設定/変更/参照などの被測定物Wの誤り率測定を含む各種測定に関わる操作を行う。
【0025】
操作表示器2は、後述するクロックルートの制御を行うための設定画面として、図3に示すクロック設定画面2aを表示する。図3のクロック設定画面2aは、ハーフレート動作の誤り率測定装置1にて測定を行う場合の表示例を示しており、例えばClock Source(2a1)、Bit Rate(2a2)、Output Clock Rate(2a3)、Operation Bit Rate(2a4)、Input Clock Freq(2a5)が設定項目として表示される。
【0026】
上述した設定項目のうち、Operation Bit Rate(2a4)は、異なる範囲からなる複数のビットレート範囲をプルダウンメニューから1つのビットレート範囲を選択して設定される。また、Input Clock Freq(2a5)は、入力クロック周波数範囲の指示であり、1つのビットレート範囲を選択して設定すると、この設定したビットレート範囲と1対1で対応する入力クロック周波数範囲が自動的に表示される。
【0027】
図3(a)は、プルダウンメニューから「2.40−32.10[Gbit/s]」を選択してビットレート範囲に設定したときに、このビットレート範囲「2.40−32.10[Gbit/s]」と1対1で対応し、ビットレート範囲の1/2倍の入力クロック周波数範囲「1.200−16.050GHz(1/2Clock)」が自動的に表示された状態を示している。また、図3(b)は、プルダウンメニューから「32.10−64.20[Gbit/s]」を選択してビットレート範囲に設定したときに、このビットレート範囲「32.10−64.20[Gbit/s]」と1対1で対応し、ビットレート範囲の1/4倍の入力クロック周波数範囲「8.025−16.050GHz(1/4Clock)」が自動的に表示された状態を示している。
【0028】
ここで、図4は、クロック設定画面2aのビットレート範囲の選択肢、入力クロック周波数範囲の指示、内部動作周波数範囲(以下、動作周波数範囲とも言う)の関係を示している。
【0029】
図4に示すように、複数のビットレート範囲の選択肢と入力クロック周波数範囲の指示とが1対1で対応しており、入力クロック周波数範囲がビットレートに対して異なる周波数倍率(1/2,1/4)の複数の範囲からなる。また、動作周波数範囲は、入力クロック周波数範囲と同じ周波数倍率を統合して入力クロック周波数範囲に対応付けられている。具体的に、図4の例では、動作周波数範囲の「8.025−10[GHz]」と「10−16.05[GHz]」を統合して入力クロック周波数範囲「8.025−16.05(1/4Clock)[GHz]」に対応付けられている。
【0030】
なお、操作表示器2は、入力操作機能と表示機能とが独立した構成としてもよい。この場合、設定や指示などの入力操作を受け付ける複数のキーやスイッチ等を入力操作機能のために設け、表示機能のために液晶表示器等を設けた構成とすることができる。
【0031】
[クロック発生器]
クロック発生器3は、パルスパターン発生器4に入力するための基準となる周波数のクロックを発生する。
【0032】
[パルスパターン発生器]
パルスパターン発生器4は、被測定物Wにテスト信号として入力されるパルスパターン信号を発生するもので、クロック入力部11、クロック分配回路12、信号発生部13、クロック出力部14、PPGクロックカウント部15を備える。
【0033】
クロック入力部11は、クロック発生器3と接続され、クロック発生器3が発生するクロックを入力とし、制御部7がPPGクロックカウント部15から取得した入力クロック周波数範囲のクロックをクロック分配回路12に出力する。
【0034】
[クロック分配回路]
クロック分配回路12は、図1に示すように、帯域の異なる動作周波数範囲ごとに高周波デバイス12cを備えた複数のクロックルート(図1のルート1:R1、ルート2:R2、ルート3:R3)を有し、動作周波数範囲に応じてクロックルートを切り替え、ビットレートに応じて高周波デバイス12cを補正したクロックを出力するものである。
【0035】
クロック分配回路12は、図1に示すように、スイッチ12a、逓倍器12b、高周波デバイス12cを備えた回路から構成される。
【0036】
スイッチ12aは、第1スイッチ12a1、第2スイッチ12a2、第3スイッチ12a3、第4スイッチ12a4からなり、クロック設定画面2aで選択設定されたビットレート範囲に応じて図1のルート1:R1、ルート2:R2、ルート3:R3から1つのクロックルートに切り替えるように制御部7により切替制御される。
【0037】
図1に示すように、スイッチ12aは、入力側に第1スイッチ12a1が接続され、出力側に第2スイッチ12a2が接続され、第1スイッチ12a1の一方の出力と第2スイッチ12a2の一方の入力との間がルート1:R1を形成する。
【0038】
また、第1スイッチ12a1の他方の出力には第3スイッチ12a3が接続され、第2スイッチ12a2の他方の入力には第4スイッチ12a4が接続される。そして、第3スイッチ12a3の一方の出力と第4スイッチ12a4の一方の入力との間がルート2:R2を形成し、第3スイッチ12a3の他方の出力と第4スイッチ12a4の他方の入力との間がルート3:R3を形成する。
【0039】
逓倍器12bは、入力するクロック信号の周波数を逓倍する。図1の例では、ルート2:R2における第3スイッチ12a2の後段とルート3:R3における第3スイッチ12a3の後段のそれぞれに逓倍器(周波数2逓倍器)12b1,12b2が接続される。
【0040】
高周波デバイス12cは、例えば帯域可変フィルタやゲイン可変アンプなどで構成される。図1の例では、ルート1:R1における第1スイッチ12a1と第2スイッチ12a2との間にゲイン可変アンプ12c1が接続される。また、ルート2:R2における第3スイッチ12a3と第4スイッチ12a4との間の逓倍器12b1の後段に帯域可変フィルタ12c2、ゲイン可変アンプ12c3が順に接続される。さらに、ルート3:R3における第3スイッチ12a3と第4スイッチ12a4との間の逓倍器12b2の後段に帯域可変フィルタ12c4、ゲイン可変アンプ12c5が順に接続される。
【0041】
なお、本実施の形態では、操作表示器2のクロック設定画面2aにおけるビットレート範囲の選択肢ごとにデフォルトのクロックルートが仮設定されるように定義している。図1のクロック分配回路12では、例えばビットレート範囲の選択肢として「2.4−32.1[Gbit/s]」が選択設定されると、ルート1:R1が仮設定される。また、ビットレート範囲の選択肢として「32.1−64.2[Gbit/s]」が選択設定されると、ルート2:R2が仮設定される。
【0042】
信号発生部13は、クロック分配回路12にて分周または逓倍されたクロックをタイミング信号として、所望のパルスパターン信号を発生する。この信号発生部13にて発生したパルスパターン信号は、各種測定を行う際に既知パターンのテスト信号として被測定物Wに入力される。
【0043】
クロック出力部14は、クロック分配回路12にて分周または逓倍されたクロックを出力する。
【0044】
PPGクロックカウント部15は、周波数カウンタで構成され、クロック分配回路12にて分周または逓倍されるクロックのクロック周波数を計測し、計測したクロック周波数を制御部7に出力する。
【0045】
[誤り率測定器]
誤り率測定器5は、誤り率を測定するもので、クロック入力部21、信号受信部22、クロック再生部23、分周/逓倍部24、EDクロックカウント部25を備える。
【0046】
クロック入力部21は、パルスパターン発生器4のクロック出力部14から出力されるクロックを入力とし、制御部7がEDクロックカウント部25から取得した入力クロック周波数範囲のクロックを分周/逓倍部24に出力する。
【0047】
信号受信部22は、分周/逓倍部24にて分周または逓倍されたクロックをタイミング信号として、パルスパターン発生器4の信号発生部13から被測定物Wへのテスト信号の入力に伴って被測定物Wから折り返される信号を受信する。
【0048】
クロック再生部23は、信号受信部22にて受信した信号からクロックを再生する。
【0049】
分周/逓倍部24は、制御部7の制御により、クロック入力部21またはクロック再生部23からのクロックを分周または逓倍する。
【0050】
EDクロックカウント部25は、周波数カウンタで構成され、分周/逓倍部24にて分周または逓倍されるクロックのクロック周波数を計測し、計測したクロック周波数を制御部7に出力する。
【0051】
[記憶部]
記憶部6は、高周波デバイス12cを補正するための情報として、ビットレートに応じた所定ステップごとの高周波デバイス12cのゲイン可変アンプ12c1,12c3,12c5のゲインに対応した電圧テーブルや帯域可変フィルタ12c2,12c4の中心周波数の情報を記憶する。また、記憶部17は、被測定物Wの誤り率を測定するために必要な各種情報を記憶する。
【0052】
[制御部]
制御部7は、後述する図5のクロックルートの制御処理を実行するべく、クロックルート(ルート1:R1、ルート2:R2、ルート3:R3)の切替制御、高周波デバイスの補正を行う。すなわち、制御部7は、クロック設定画面で選択されたビットレート範囲に応じて図1のルート1:R1、ルート2:R2、ルート3:R3から1つのクロックルートに切り替えるようにスイッチ12a(12a1,12a2,12a3,12a4)を切替制御する。
【0053】
また、制御部7は、所定周期(例えば100ms間隔)の同期処理により、PPGクロックカウント部15から入力クロック周波数範囲を取得し、取得した入力クロック周波数範囲が動作周波数範囲内か否かを判別し、入力クロック周波数範囲が動作周波数範囲内にあると判別すると、そのときのクロックルート(ルート1:R1、ルート2:R2、ルート3:R3の何れか)の高周波デバイス12cを記憶部6に記憶された情報に基づいて補正する。
【0054】
さらに、制御部7は、パルスパターン発生器4の信号発生部13が発生するパルスパターン信号を既知パターンのテスト信号として被測定物Wに入力したときに、このテスト信号の入力に伴って被測定物Wから誤り率測定器5の信号受信部22が受信した入力データのビット誤り率(BER)を測定する。
【0055】
また、制御部7は、通信規格で定められた高ビットレートに対応した通信装置やデバイスを被測定物Wとしてビット誤り率(BER)を含む各種測定を行う際に操作表示器2、パルスパターン発生器4、誤り率測定器4を統括制御する。
【0056】
ところで、上述した図2の誤り率測定装置1では、図1のクロック分配回路12をパルスパターン発生器4に採用した場合について説明したが、誤り率測定器5の分周/逓倍部24に同様の考えに基づくクロック分配回路を採用することができる。
【0057】
次に、上記のように構成される誤り率測定装置1のクロック分配回路12のクロックルートの制御方法について図5を参照しながら説明する。
【0058】
クロックルートを制御する場合には、図3(a),(b)のクロック設定画面2aで複数のビットレート範囲から1つのビットレート範囲を選択して設定する(ST1)。例えば図3(b)に示すように、Operation Bit Rateのプルダウンメニューから「32.10−64.20[Gbit/s]」をビットレート範囲として選択設定する。
【0059】
次に、制御部7は、デフォルトのクロックルートに仮設定する(ST2)。例えばビットレート範囲として「32.10−64.20[Gbit/s]」が選択設定されると、図1のルート2:R2をデフォルトのクロックルートに仮設定する。
【0060】
次に、制御部7は、周波数不定時用の高周波デバイス12cの補正値を仮設定する(ST3)。すなわち、入力クロック周波数範囲が動作周波数範囲内にない場合の高周波デバイス12cの補正値を仮設定する。
【0061】
その後、制御部7は、所定周期(例えば100ms間隔)で同期処理を行い(ST4)、入力クロック周波数範囲をクロックカウンタ(PPGクロックカウント部15)から取得し(ST5)、取得した入力クロック周波数範囲が動作周波数範囲内にあるか否かを判別する(ST6)。
【0062】
そして、入力クロック周波数範囲が動作周波数範囲内にあると判別すると(ST6−Yes)、入力クロック周波数範囲に応じた最適なクロックルートに設定する(ST7)。例えば入力クロック周波数範囲が動作周波数範囲「10−16.05[GHz]」内にあると判断すると、「10−16.05[GHz]」内にある入力クロック周波数範囲に応じたクロックルートとして、ルート3:R3に設定するべくクロック分配回路12のスイッチ12aを切替制御する。
【0063】
そして、入力クロック周波数範囲に応じた補正値を設定して高周波デバイス12cを補正し(ST8)、所定周期の同期処理に戻る(ST4)。例えばルート3:R3に設定された場合、入力クロック周波数範囲に応じた補正値を記憶部6から読み出し設定して高周波デバイス12cの帯域可変フィルタ12c4とゲイン可変アンプ12c5を補正する。
【0064】
これに対し、入力クロック周波数範囲が不定または動作周波数範囲内にないと判別すると(ST6−No)、デフォルトのクロックルートに再設定する(ST9)。
【0065】
そして、周波数不定時用の高周波デバイス12cの補正値を再設定し(ST10)、所定周期の同期処理に戻る(ST4)。
【0066】
このように、本実施の形態によれば、クロック設定画面2a上で異なる複数のビットレート範囲から1つのビットレート範囲を選択設定し、複数のクロックルート(ルート2:R2、ルート3:R3)が統合されたビットレート範囲が設定された場合は周波数カウンタ(PPGクロックカウント部15)から取得した入力クロック周波数範囲が各ルート(ルート2:R2、ルート3:R3)の動作周波数範囲内にあるか否かに基づいて複数のクロックルート(ルート2:R2、ルート3:R3)の中から最適なクロックルートを選択するように内部で自動切替制御することができる。しかも、確実に同一の周波数倍率内で最適なクロックルートが選択されるので、クロックルートの選択に起因する測定のトラブルを防止でき、ユーザビリティが向上する。
【0067】
また、入力クロック周波数範囲と同じ周波数倍率の動作周波数範囲を統合して入力クロック周波数範囲と対応付け、異なる周波数倍率ごとの入力クロック周波数範囲と1対1で対応するビットレート範囲をクロック設定画面2a上に選択肢として表示するので、クロック設定画面2a上の選択肢の数を減らすことができ、ユーザの設定の煩雑さを解消することができる。
【0068】
さらに、複数のビットレート範囲から1つのビットレート範囲を選択設定してクロックルートの自動切替を行う際、内部的な切り替えポイント(例えば図6の40[Gbit/s])をユーザに見せずに済むという副次的な効果も奏する。しかも、1つのクロックルートの設定で広範囲のビットレートを測定できるので、可変ビットレートの被測定物の試験でクロックルートの設定を切り替える手間を減らすことができる。
【0069】
以上、本発明に係るクロック分配回路及びクロック分配方法と誤り率測定装置及び誤り率測定方法の最良の形態について説明したが、この形態による記述および図面により本発明が限定されることはない。すなわち、この形態に基づいて当業者等によりなされる他の形態、実施例および運用技術などはすべて本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0070】
1 誤り率測定装置
2 操作表示器
2a クロック設定画面
2a1,2a2,2a3,2a4,2a5 設定項目
3 クロック発生器
4 パルスパターン発生器
5 誤り率測定器
6 記憶部
7 制御部
11 クロック入力部
12 クロック分配回路
12a(12a1,12a2,12a3,12a4) スイッチ
12b(12b1,12b2) 逓倍器
12c(12c1,12c2,12c3,12c4,12c5) 高周波デバイス
13 信号発生部
14 クロック出力部
15 PPGクロックカウント部
21 クロック入力部
22 信号受信部
23 クロック再生部
24 分周/逓倍部
25 EDクロックカウント部
51 クロック設定画面
51a,51b 設定項目
R1,R2,R3 クロックルート
W 被測定物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8