(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1ATG基地局、前記第2ATG基地局、及び前記複数の追加のATG基地局のうち、選択された1つとATGリンクを形成し、かつ、前記ATG通信レイヤ内の前記飛行中の航空機との航空機リンクを形成するために、高高度サービス用飛行体が前記第2高度の上に配置される、
請求項2に記載のATGネットワーク。
前記ATG通信レイヤ内の前記飛行中の航空機との航空機リンクおよび衛星との衛星リンクを形成するために、前記高高度サービス用飛行体が前記第2高度の上に配置される、
請求項11に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照していくつかの例示的実施形態をより詳しく説明するが、これらの図面には、全てではないがいくつかの例示的実施形態が示されている。実際、ここに説明及び図示された例は、本開示の適用可能性又は構成を制限するものと解釈してはならない。むしろ、適用され得る法的必要条件を本開示が満たすように、これらの例示的実施形態が提供される。全図を通して、同様の要素には同様の参照番号が使用される。また、本明細書において使用される場合、用語「又は(or)」は、複数のオペランドのうちの1つ又は複数が真であるときに結果が真となる論理演算子として解釈すべきである。
【0012】
本明細書に記載のいくつかの例示的実施形態は、改善された空対地(ATG)無線通信の実施のためのアーキテクチャを提供する。これに関して、いくつかの例示的実施形態は、楔形セルを生成するアンテナ構造を有するよう構成された地上の基地局の使用を提供してよく、上記楔形セルの内部で指向性ビームをフォーカスできる。楔形セルは、互いに離間して設けてよく、高度帯において互いに重複するように配置してよく、これによって、広範囲に亘る、飛行中の航空機の巡航高度までのカバレッジを提供する。従って楔形セルは、水平線及びそのすぐ上に向かって延在する、重複した楔形を形成してよい。従って、楔形セルのサイズは、基地局からの距離が増加するほど高度帯幅が増加(高度における垂直方向の幅が増加)する特徴を有する。その一方で、飛行中の航空機はアンテナを使用してよく、上記アンテナは、水平線及び水平線のすぐ下に向かってフォーカスでき、それによって航空機は通常、航空機の直下又はそれ以外の近位(例えば最も近位)にあってよい基地局ではなく、遠方の基地局と通信を行うことができる。実際、例えば、航空機のアンテナが水平線の近くにフォーカスし、基地局のアンテナが水平線の上にフォーカスするため、基地局の真上の航空機は、より遠方の基地局のサービスを受けることになる。これによって、航空機は本質的に、航空機の真下に存在し得る通信送信器の影響を受けない。このように、例えば、航空機が遠くに位置する基地局との通信に使用している同一のRFスペクトル、更には同一の特定周波数を、航空機の真下の地上波ネットワークが再使用してよい。その結果、同一の地理的領域の地上波無線通信ネットワーク及びATG無線通信ネットワークに関して、スペクトルの再使用を実施できる。
【0013】
複数の基地局を分散することによって、対応する複数の隣接する楔形セルカバレッジエリアを提供できる。各楔形セルは、上方高度限界と下方高度限界との間に延在する一つのカバレッジエリアを画定してよく、上方及び下方高度限界は、楔形セルを形成する送信器からの距離が増加するに従って(略線形に)増加してよい。従ってカバレッジエリアは、送信サイトから離れるにつれてサイズ及び高度が増加する複数の高度帯の間に画定できる。各楔形セル内の複数のセクタは、楔形セルを形成するように結合してよい。場合によっては、各楔形セルが提供する全体で180°の方位角カバレッジのために、それぞれ30°をカバーするセクタを6個使用してよい。従って、セルカバレッジエリアは水平面において略半円であってよく、半円の方位角のうちの対応する部分にわたって楔形セクタをそれぞれ提供する複数のアンテナによって提供できる。基地局は、第1方向に略整列しながら第2方向においてはオフセットするように、配備できる。例えば、基地局はまた、第1方向においては、所定の高度に亘るカバレッジを達成するために高さ方向に重複するカバレッジを提供するよう、第1距離に、そして第2方向においては、上記セクタの達成可能なカバレッジエリア距離に基づく第2距離以内に、配備できる。いくつかの実施形態では、360°のカバレッジのために任意の数のセクタを使用してよい。
【0014】
図1は、前述のようにATG無線通信カバレッジを提供するために配備された基地局のネットワーク100の上面図を示す。ネットワーク100は、略半円のセルカバレッジエリアを提供する種々の基地局を含む。セルカバレッジエリアはそれぞれ2つの部分で描かれている。例えば、第1基地局のセルカバレッジエリアは同じ模様の部分102及び104として示されている。部分102及び104は、水平面上の単一の連続的なセルカバレッジエリアを表現している。しかしながら、
図1は、本明細書において更に説明されるように、所定の高度までの連続的なカバレッジを達成するために、重複カバレッジを提供するものとして、別のセルカバレッジエリアの介在部分108を描いている。部分102は、例示を目的として、対応する基地局の位置から適当な距離までの初期セルカバレッジエリアを表現するために示されており、当然のことながら、この部分102は、所定の高度におけるカバレッジを達成するために、別のセルカバレッジの部分108の重複カバレッジエリアも含む。更に、部分106及び108で表現されるカバレッジエリアは、カバレッジエリア部分104の境界130を超えて延在してよく、上記カバレッジエリアは、境界を接するカバレッジエリアが所定の高度におけるATG無線通信カバレッジを提供できる少なくとも1点を図示するよう、限定して描かれている。更に、基地局は説明を簡単にするために描かれているのではなく、当然のことながら、基地局は、部分102及び104、部分106及び108、部分110及び112等によって示されるセルカバレッジエリアを提供するように配置できる。
【0015】
セルカバレッジエリア102/104及び106/108は、第1基地局アレイの各基地局によって提供でき、1つ又は複数の基地局アレイの基地局は、(代表的なセルカバレッジエリアによって描かれているように)第1方向120において略整列している。図示のように、セルカバレッジエリア102/104及び106/108は、第1方向に向けられた指向性の放射パターンを投影しており、第1方向に沿って前から後ろへ整列している。このような整列は、略整列したセルカバレッジエリアを提供するために、基地局アレイの基地局を略整列させること、第1方向120におけるセルカバレッジエリアの整列を達成するためにアンテナを回転すること、等によって達成できる。上記のように、これに関して、セルカバレッジエリア102/104を提供する第1基地局は、少なくとも、第1方向120において第1基地局の前に位置する第2基地局のセルカバレッジエリア106/108と重複できる。例えば、基地局、又はそのアンテナは、基地局からの一定の距離に対して所定の高度を達成するように信号を送信するアンテナに使用される、複数の仰角で定義される楔形セルカバレッジエリアを提供できる。このように、セルカバレッジエリアが第1方向120において重複することによって、セルカバレッジエリア106/108は、少なくとも、セルカバレッジエリア102/104を提供する基地局とセルカバレッジエリア102/104が所定の高度を達成する線130上の1点との間の一定の距離に関して、所定の高度を達成できる。
【0016】
また、セルカバレッジエリア102/104及び106/108を提供する第1基地局アレイの基地局は、第2基地局アレイの基地局から第2方向122に離間させる(即ちランダムな、固定された、又は所定の間隔で配置する)ことができ、第2基地局アレイは、第1方向120に整列された追加のセルカバレッジエリア110/112、114/116等を提供できる。第1及び第2基地局アレイは、第1方向において互いに対して略平行に延在できる。また、第2基地局アレイの基地局は、(代表的なセルカバレッジエリアによって描かれているように)第1基地局アレイの基地局から第1方向120にオフセットさせることができる。一例では、第2方向122は、第1方向120に対して略垂直であり得る。この例では、第1及び第2基地局アレイをオフセットさせることにより、それぞれのセルカバレッジエリアのオフセット(例えばセルカバレッジエリア102/104とセルカバレッジエリア110/112との間のオフセット)及び第1方向120に整列した基地局アレイの任意の他のカバレッジエリアを提供できる。
【0017】
第1及び第2基地局アレイは、第1方向120において離間した各アレイ内の基地局に比べて、より大きな距離だけ第2方向122に離間させることができる。例えば、基地局は、セルカバレッジエリアを提供する基地局の達成可能なカバレッジ距離に従って、第2方向122において離間させることができる。第1基地局アレイ内の、セルカバレッジエリア102/104及び106/108を提供する基地局は、第1方向120において整列し、これにより、セルカバレッジエリア106/108がセルカバレッジエリア102/104に対して重複するカバレッジを提供することによって所定の高度を達成するため、基地局アレイ自体は、各セルカバレッジエリア102/104及び110/112の達成可能な距離に基づいて離間させることができる。これに関して、所定の高度に達するために、隣接する基地局アレイの基地局によって提供されるセルカバレッジエリア102/104及び110/112の境界に実質的な重複を設ける必要はない。というのは、各基地局の近くの高度不足は、第1方向120に整列された基地局アレイ内の基地局のセルカバレッジエリアによってカバーされるためである。
【0018】
更に、第2方向122に種々のセルカバレッジエリアを提供する基地局をオフセットさせることにより、第1方向120及び/又は第2方向122における更なる離間を許容する。というのは、水平面上のあるセルカバレッジエリアの端部は、隣接する基地局アレイのある基地局からの別のセルカバレッジエリアの中間部に当接することにより、連続的なカバレッジを維持しながら、セルカバレッジエリア間の許容される距離を最大化でき、これが、所与の領域のカバレッジを提供するのに必要な基地局の数を低減できるためである。一例では、第2方向122における離間は、セルカバレッジエリアのカバレッジ距離、及びセルカバレッジエリアが所定の高度に達するために必要な距離に応じて、第1方向120における離間の2倍超とすることができる。
【0019】
図示のように、第1方向120において、所与の基地局アレイ内の基地局間の第1距離の間隔は、距離140として示すことができる。第2方向122における基地局アレイ間の第2距離の間隔は距離142として示すことができる。更に、基地局アレイ間のオフセットは第3距離144として示すことができる。ある具体例では、距離140は約100キロメートル(km)とすることができ、セルカバレッジエリア102/104を提供する基地局間の距離142は300km以上とすることができる。この例では、達成可能なセルカバレッジエリアは、カバレッジエリア又はその関連セクタを形成する送信信号の方向において、対応する基地局から少なくとも200kmとすることができ、これは、一方のアレイ内の基地局から、第2アレイの基地局の交差するカバレッジまでの傾斜距離としての数値である。更に、この例では、距離144は75kmであり得る。
【0020】
一例では、セルカバレッジエリア102/104、106/108、110/112等を提供する基地局はそれぞれ、第1方向に向けられた指向性の放射パターンを画定するアンテナアレイを含むことができる。各アンテナアレイは、垂直面において楔形のカバレッジエリアをもたらす放射パターンのセクタ部分を提供する、複数のアンテナを含むことができる。例えば、各アンテナが提供するセルカバレッジエリアは第1及び第2仰角を有することができ、これらは、垂直面において垂直ビーム幅又は範囲の増加を示し、水平面においては方位角の一部分を占める。方位角のより小さな部分を提供するより集中した信号を使用することにより、送信パワーを増大させることなく、更に遠い距離及び/又は増加した仰角を達成できる。図示した例では、アンテナアレイによって画定されるセルカバレッジエリアは、6個の略30°の方位角セクタを含み、これらは略隣接して、第1方向上に中心を有する略180°の方位角に延在する指向性の放射パターンを形成し、半円のカバレッジエリアを画定している。各セクタは、例えば、対応する基地局のアンテナによって提供され得る。更に、一例では、基地局は、アンテナ1つ当たり1つのラジオ、及び/又はラジオリソースを保護するためにアンテナを切り替えるための1つ若しくは複数のスイッチを有する、より少ない数のラジオ、等を有することができる。当然のことながら、追加の、又はより少ない数のセクタを提供できる。また、セクタは30°より大きい若しくは小さい方位角を有することができ、及び/又は図示された半円のセルカバレッジエリアより大きな若しくは小さな合計セルカバレッジエリアの方位角を形成できる。
【0021】
更に別の例では、ネットワーク100は、1個、3個、4個、7個、又は他の適切な個数(例えば式N=i^2+j^2+ij(iは元のセルから上のセルの数、jは元のセルから下のセルの数である)を用いる)の周波数再使用を実行でき、これにより、近接した複数の基地局が、セルカバレッジエリアの提供において同一のチャネルを使用できる。例えば、セルカバレッジエリア102/104を提供する基地局は第1チャネルを使用でき、同一基地局アレイ内のセルカバレッジエリア106/108を提供する基地局は第2チャネルを使用でき、セルカバレッジエリア114/116を提供する基地局は第3チャネルを使用できる。同様に、異なる基地局アレイ内のセルカバレッジエリアを提供する3つの基地局の隣接するグループは、同一のチャネルを使用できる。当然のことながら、他の周波数再使用パターン及び/又は再使用に関する多数の因子をこのスキームにおいて利用して、隣接するセルカバレッジエリア間の周波数ダイバーシティを提供できる。
【0022】
更なる例では、システムは、従来のものとは異なる2つの周波数再使用スキームを採用してよい。楔形の基地局カバレッジエリアは、指向性の航空機のアンテナとの組み合わせによって、2個のチャネルセットのみで4個の再使用を効果的に達成する。この例では、基地局のアレイは、上記アレイ内の2つのチャネル間でのチャネル割り当てを交互に行い、第1基地局に対してチャネルA、第2基地局に対してチャネルB、第3基地局に対してチャネルA、のようになる。第2アレイは同様に、2つのチャネル間での割り当てを交互に行い、チャネルAは、第1アレイの同様のチャネルA基地局からオフセットされる。2個のアレイ間の重複領域は、重複領域内の同一チャネル周波数を時には提供するが、2個の同一チャネル基地局からの到達角度方向は十分に区別できるものとなり、これにより、航空機のアンテナはより近い基地局にフォーカスし、第2のより弱い基地局の方向においては航空機のアンテナが無効となる。このように、楔形の基地局カバレッジの設計、及び指向性を有する航空機アンテナの設計によって、従来のものとは異なる周波数再使用が達成される。
【0023】
更に、ネットワーク100の例示的な配備では、第1方向120及び/又は第2方向122は、水平面における主要方位(例えば北、南、東若しくは西)、中間方位(例えば北東、北西、南東、南西、北北東、東北東等)等、又はその近傍とすることができる。また、ネットワーク100は、ある国の境界内、1つ又は複数の国にまたがる空中回廊の境界内等に配備できる。一例では、セルカバレッジエリア106/108は、ある国又は空中回廊の境界の最初の基地局によって提供できる。この例では、境界におけるセルカバレッジエリア106/108、110/112及び/又は追加のセルカバレッジエリアを提供する基地局は、1つ又は複数のパッチアンテナを含むことができ、これにより、基地局と、各セルカバレッジエリア106/108、110/112等が所定の高度に到達する点との間の距離から、所定の高度におけるカバレッジを提供する。例えば、1つ又は複数のパッチアンテナは、所定の高度までのセルカバレッジを提供するために、(例えば上方に傾斜した及び/又は水平線に平行な角度の1つ又は複数のアンテナとして)セルカバレッジエリア106/108、110/112等の後ろに、及び/又はその基地局上に設けることができる。
【0024】
図2は、少なくとも所定の高度におけるATG無線通信カバレッジを容易にするために、(例えば垂直方向に)重複するセルを提供するための、ネットワーク200の例を示す。ネットワーク200は、ATG無線通信を提供するための信号を送信する基地局202、204及び206を含む。基地局202、204及び206は、それぞれ所定の高度を達成するような第1及び第2仰角によって画定される放射パターンを示す信号を送信できる。この例では、基地局202、204及び206はそれぞれ、元来はオフセットされて垂直方向に重複する楔形セルカバレッジエリア212、214及び216を提供する。基地局202、204及び206は、前述のように、同一基地局アレイの部分として第1方向120に略整列するように配備でき、又はセルカバレッジエリア212、214及び216が第1方向に整列できるように配備でき、これにより、セルカバレッジエリア212がセルカバレッジエリア214(及び/又は、垂直面における異なる高度範囲において216)と重複でき、セルカバレッジエリア214がセルカバレッジエリア216と重複でき、その他についても同様となる。これによって、セルカバレッジエリア212、214及び216は、種々の整列された基地局202、204、206等によって画定された距離に関して、少なくとも所定の高度(例えば45,000フィート(ft))を達成できる。
【0025】
図示されているように、基地局202は、この例では、基地局204のセルカバレッジエリア214と重複するセルカバレッジエリア212を提供でき、これによって、基地局204の近くで、基地局204から送信された信号が所定の高度45,000ftに達する距離(例えば近い点130)で、45,000ftまでのセルカバレッジを提供することが容易となる。この例では、基地局204は、基地局202のセルカバレッジエリア212の達成可能な距離から基地局204のセルカバレッジエリア214が所定の高度に達するのに要する距離を差し引いた距離に対応する位置に配備できる。これに関して、仰角に基づく所定の高度、仰角に基づく所定の高度での垂直ビーム幅を達成するのに要する距離、基地局間の距離等に到達するために、異なる基地局の重複するセルカバレッジエリアが実質的に任意の個数存在できる。
【0026】
ある具体例では、基地局202、204及び206は、上記のように第1距離140だけ離間させることができる。第1距離140は、第1方向120に沿って略100kmとすることができ、従って基地局204は基地局202から約100km、基地局206は基地局202から約200kmとなる。更に、一例では、基地局206と基地局204との間を飛行する航空機は、その高度に応じて基地局202にカバーされる場合があり、一例では、高度を用いて、航空機上の受信器の連続的な引き渡しを提供するために、上記航空機上のデバイスを別の基地局若しくはこの基地局が提供するセルへ引き渡すか否か及び/又は引き渡しの時点を決定できる。
【0027】
更に、いくつかの例において説明されるように、基地局202、204、及び206は、
図1に示すように、第1方向120に沿って向けられた指向性の放射パターンを提供するアンテナアレイを含むことができ、上記指向性の放射パターンは第1方向120上に中心を有する所定の方位角の範囲に延在し、各カバレッジエリア212、214及び216の第1仰角と第2仰角との間に、少なくとも所定の距離に亘って延在して、略楔形放射パターンを画定する。これに関して、
図2は、基地局202、204及び206と、それぞれのカバレッジエリア212、214及び216との、垂直面における側面図を描いている。このように、一例では、基地局202は、水平面において、
図1のセルカバレッジエリア106/108と同様のセルカバレッジエリア212を提供でき、基地局204は、
図1のセルカバレッジエリア102/104と同様のセルカバレッジエリア214を提供できる。更に、上記のように、方向120は、主要方位及び/又は中間方位等と関連付けることができる。また、ネットワーク200の配備において、所望のカバレッジエリアが提供されるまで(例えば境界又は空中回廊の端に到達するまで)、方向120に沿って基地局206の前に追加の基地局を設けることができる。
【0028】
上述のように、
図1及び2に示すような方法で配備及び構成された基地局を有するATGネットワークを確立することにより、所与の領域をカバーする階層化アプローチを生み出す能力が提供され、ここでレイヤは、機体の前後及び側方を監視するアンテナアレイを有する航空機に対して遠位に位置する基地局がカバレッジを提供する高度帯を画定し、上記アンテナアレイは、その直下の送信器との潜在的な干渉から本質的に遮断される。従って、例えば最下レイヤ(即ち地面に最も近いレイヤ)は、当該レイヤ又はこれより上のレイヤで画定されている高度帯で既に採用されているラジオスペクトルを再使用してよい。従って、別個の高度帯の所与の領域に関して、周波数の再使用を採用できる。
【0029】
図3は、地上波ネットワークによって再使用され得るRFスペクトルを用いたATG無線通信カバレッジを容易にするために、重複セルに階層化された高度帯を提供するネットワークアーキテクチャの一例を図示している。
図3は2次元(例えば水平面におけるX方向及び垂直面におけるZ方向)のみを示しているが、当然のことながら、ATGネットワークの楔形アーキテクチャは、ページ内外の方向に(即ち、Y方向に)もカバレッジを延在させるような構造としてよい。
図3は正確な縮尺率で描かれていないが、当然のことながら、ネットワークアーキテクチャのATG部のために基地局によって生成された楔形セルは、垂直成分よりも遥かに長い水平成分を有するように構成されている。これに関して、楔形セルは数十から100マイル近く又はそれ以上の水平範囲を有してよい。その一方で、垂直成分は基地局からの距離と共に増加するが、いずれの場合でも、通常は約8マイルより短い(例えば約45,000ft)。
【0030】
図3に示すように、アーキテクチャの地上波ネットワークの構成要素は、1つ又は複数の地上波基地局300を含んでよい。地上波基地局300は一般に、地上波ネットワーク電波310を送信して、地上に分散された種々の固定又は移動体通信ノード(例えばUE)及び他の無線通信デバイスにサービスを提供してよい。地上波基地局300は、地上波バックホール及びネットワーク制御部315に動作可能に接続されてよく、これは地上波ネットワークの動作を調和させて、及び/又は制御してよい。地上波バックホール及びネットワーク制御部315は一般的に、RFスペクトル及びシステムリソースの割り当てを制御してよく、また、地上波ネットワークのUE及び他の無線通信デバイスが互いに、並びに/又はインターネットのようなワイドエリアネットワーク(WAN)と、通信することを可能にする、ルーティング及び制御サービスを提供してよい。
【0031】
地上波ネットワークのUEは、それ自体の地上波ネットワーク電波を送信してもよく、この電波は地上から所定の最低高度325まで延在する地上通信レイヤ320において相当量の通信トラフィックが発生する可能性を生成してよく、最低高度325から上には飛行中の航空機330の受信器のみが存在する。飛行中の航空機330は、高度1又は2マイル(例えば所定の最低高度325)から高度約8マイル(例えば所定の最高高度340)にまで延在してよいATG通信レイヤ335において動作してよい。一方、所定の最低高度325及び所定の最高高度340は、単一のATG通信レイヤの境界となってよく、あるいは、複数のATG楔形セルが重複する場合は、複数のATG通信レイヤの境界となってよい。
【0032】
このアーキテクチャは第1ATG基地局350及び第2ATG基地局355を採用してもよく、これらは
図1及び2の例で記載されているように採用される基地局の例である。よって例えば、第1ATG基地局350はX軸に沿って第2ATG基地局355と略一直線に並ぶように配備してよく、第2ATG基地局355によって生成された第2楔形セル365の上に積層され得る第1楔形セル360を生成してよい。飛行中の航空機330が完全に第1楔形セル360内にある場合、飛行中の航空機330は割り当てられたRFスペクトルを用いて第1ATG基地局350と通信してよく、飛行中の航空機330が完全に第2楔形セル365内にある場合、飛行中の航空機330は割り当てられたRFスペクトルを用いて第2ATG基地局355と通信してよい。第1楔形セル360と第2楔形セル365との間の重複領域は、それぞれ第1ATG基地局350と第2ATG基地局355との間での飛行中の航空機330の引き渡しの機会を提供してよい。従って、本明細書に記載するように、重複カバレッジエリアを有する基地局のカバレッジエリア間を通過しながら、飛行中の航空機330の受信器の連続した引き渡しを提供できる。
【0033】
ある例示的実施形態では、ATGバックホール及びネットワーク制御部370は、第1ATG基地局350及び第2ATG基地局355に動作可能に接続されてよい。ATGバックホール及びネットワーク制御部370は一般に、RFスペクトル及びシステムリソースの割り当てを制御してよく、また飛行中の航空機及び任意のUE及び他の無線通信デバイスが互いに、及び/又はインターネットのようなワイドエリアネットワーク(WAN)と、通信することを可能にする、ルーティング及び制御サービスを提供してよい。
【0034】
地面の湾曲及びATGネットワークの基地局間の距離を考慮して、楔形セルの階層化を強化できる。更に、第1ATG基地局350及び第2ATG基地局355は、ビーム形成技術を用いて生成される比較的小さい指向性のビームを使用して、飛行中の航空機330と通信するように構成されてよい。使用されるビーム形成技術は、比較的狭くフォーカスされたビームの生成を含んでよい。これにより、地上通信レイヤ320における通信への干渉を発生させ得るサイドローブ(例えば主ビームの方向と異なる方向の放射電波)の発生を低減できる。場合によっては、地面に近接した比較的狭いレイヤにおける送信のみを一般に必要とする地上波基地局300は、サイドローブ抑制技術を使用するアンテナ及び/又はアレイを使用するようにも構成してよく、このサイドローブ抑制技術は、地上通信レイヤ320を出てATG通信レイヤ335へと送信される潜在的な干渉の量を低減することを目的としている。
【0035】
従って、ネットワークアーキテクチャ自体が、レイヤ間干渉量の低減を補助できる。これに関して、楔形セル構造は、水平線のすぐ上にエネルギをフォーカスし、地上波ネットワーク動作に使用される地上のレイヤをATG基地局からの顕著な干渉がない状態で放置し、ATGネットワーク通信のためのより高い高度の別のレイヤを生み出す。更に、ATG基地局によるビーム操作機能付指向性アンテナ、及びサイドローブ抑制機能付アンテナの使用により、これらのレイヤ間の干渉量が低減される。しかしながら、以下により詳しく述べるように、通信が望まれるATG通信レイヤ335の全ての機器が飛行中の航空機330にあるため、いくつかの実施形態は、飛行中の航空機330に設けられたアンテナアセンブリ375と連携する更なる干渉軽減技術を使用してよい。従って、例えば飛行中の航空機330上の又は飛行中の航空機330と関連付けられたUE又は他の無線通信デバイスは、飛行中の航空機330のアンテナアセンブリ375を介して、第1ATG基地局350又は第2ATG基地局355と通信可能に接続できる。これに関して例えば、アンテナアセンブリ375は飛行中の航空機330に戦略的に搭載されてよく、及び/又はアンテナアセンブリ375は、以下により詳細に述べるように、干渉軽減を容易にするように操作若しくは制御できる。
【0036】
レイヤ間干渉を概ね最小化することにより、地上通信レイヤ320及びATG通信レイヤ335の両方で同一のRFスペクトルを再使用できる。従って、ある例示的実施形態のネットワークアーキテクチャは、周波数スペクトル2倍器として効果的に作用してよく、上記周波数スペクトル2倍器では、地上波ネットワークで使用されるスペクトルが、最小限のレイヤ間干渉でATGネットワークによって再使用され得る。各レイヤにサービスを提供する基地局は、互いに対して遠位に位置してよく、これにより例えば、飛行中の航空機330との通信においてサービスを提供するATG基地局は、飛行中の航空機330がその上方に位置する地上通信レイヤ320の一部分の各地上波基地局のカバレッジエリアの外側に、地理的に位置することになる。ATG基地局(350及び355)が略水平にフォーカスされているので、それらのATG基地局は飛行中の航空機330の位置の下方の領域の遥か外に位置することができる。従ってアンテナアセンブリ375は、自らの通信作用を、飛行中の航空機330の直下の潜在的な干渉源から離れて「注視する(look)」、又はフォーカスすることができる。
【0037】
上述のように、レイヤ間干渉軽減は、飛行中の航空機330において、アンテナアセンブリ375の戦略的な位置決めによって達成できる。例えば、アンテナアセンブリ375が、飛行中の航空機330の垂直安定板上に位置決めされている場合、アンテナアセンブリ375は一般に、アンテナ垂直面指向特性の優れた制御を提供しながら、地上及び地上からの任意の送信に対して、狭いアスペクトを有してよい。更に、飛行中の航空機330の本体のある側面にアンテナアセンブリをマウントするために、機体の一部が、飛行中の航空機330の下方の地上波基地局300が発生させる地上波ネットワーク電波310からアンテナアセンブリ375を遮断してよい。このような遮断は、例えば、アンテナアセンブリ375が飛行中の航空機330の上部又は屋根に位置する場合に一層顕著となり得る。これらの例では、飛行中の航空機330の金属機体は、接地面の延長として作用し得る。従って、これらの配置のいずれか(又は両方)のアンテナアセンブリ375は、飛行中の航空機330からの距離の垂直成分が上記距離の水平成分よりも実質的に大きい位置からではない送信を受信する能力を制限され得る。言い換えれば、アンテナアセンブリ375は、水平線に近くない送信器から遮断されている。従って、これらの配置(例えば航空機の側面又は上部)は、レイヤ間干渉を更に緩和するのに有利である。しかしながら、これらの配置は一般に、飛行中の航空機330の前面又は背面にある送信器との通信よりも、飛行中の航空機330の側面にある送信器との通信にとってより良好となり得る。飛行中の航空機330の前面及び背面のより良好なカバレッジのために、飛行中の航空機330の下部にアンテナアセンブリ375(又はアンテナアセンブリ375の部分若しくは部品)を位置決めしてよい。このように、アンテナ要素がより少なくなる(例えば飛行中の航空機330の下部のアンテナ要素のみ)と、レイヤ間干渉の低減を容易にするために、複雑なサイドローブ抑制技術の使用が必要となり得る。
【0038】
前述のアンテナアセンブリ375の一般的な戦略的な配置に従って、アンテナアセンブリ375は、飛行中の航空機330の下方の送信器への露出を回避することにより、レイヤ間干渉から(少なくとも部分的に)遮断され得る。しかしながら、このような戦略は、代わりにアンテナアセンブリ375が水平線により近い送信器を注視する必要があることを暗示している。この水平線にフォーカスするパラダイムは、実際に、ATG基地局が一般に水平線のすぐ上にフォーカスした楔形セルを形成するように構成されているため、前述の対応するレイヤ構造のネットワークアーキテクチャと良好に適合する。このように、ある例示的実施形態の地上の送信器及びアンテナアセンブリ375は両方とも、垂直面よりも水平面に有意に多くのエネルギをフォーカスするために、互いに最適化されている。これによって、基地局間のスペースを最大化する能力(ひいてはATG基地局の数及びネットワーク構築のコストを低減する能力)が高められ、(場合によっては機体の天然の遮断を利用できるため)アンテナアセンブリ375のアーキテクチャが簡素化される。その結果、水平線の上にエネルギをフォーカスする対応するATG基地局と、水平線の真下にエネルギをフォーカスする空中のアンテナアセンブリとが互いに最適化され、これにより、地上波ネットワークで使用されているものと同一のスペクトルをATGネットワークが再使用する場合であっても、飛行中の航空機330のすぐ下(又は殆どすぐ下)の地上波ネットワーク基地局からの干渉の心配が有意に少ない状態で互いに通信が行われる。
【0039】
ある例示的実施形態では、アンテナアセンブリ375は、(飛行中の航空機330から見て)水平線から水平線より約10°又は15°下までの範囲にエネルギをフォーカスするように構成されてよい。
図4は、アンテナアセンブリ375の部分としてのサイドパネル要素400を備えた飛行中の航空機330の一例を示している。サイドパネル要素400は垂直安定板上に位置決めされているが、航空機の側面、頂上、下部又は他の部分上に位置決めしてもよい。なお、場合によっては、サイドパネル要素400を平面アレイ以外の形状で(例えばブレードアンテナ要素及び/又はコンフォーマルアレイ等として)具体化してよい。
図4の例から理解できるように、水平線と水平線より10°又は15°下との間の範囲に主としてフォーカスすることにより、通信を確立できるATG基地局のサブセットはいくらか制限される。従って、サイドパネル要素400は、航空機のピッチ(即ち矢印410で示すような機首の上下動)又はロール(即ち矢印420で示すような側方回転)が生じても、水平線及び水平線のすぐ下に向かう指向性を確実に維持するために、安定化する必要があり得る。
【0040】
場合によっては、飛行中の航空機330が遭遇し得るピッチ及びロールの量は、高度、速度及び乗客快適性に依存する一定の制約に基づいて制限され得る。例えばピッチ(即ち上向き又は下向きの角度)は、高度10,000ftの上空で約7度に制限されてよい。その一方で、例えばロール(即ち回転時の左右のバンク角)は、高度10,000ftの上空で20度未満に制限されてよく、高度20,000ftの上空で15度未満に制限されてよい。従って、アンテナアセンブリ375(例えばサイドパネル要素400)の補償及び/又は安定化を提供することが望ましいだけでなく、そのような補償及び/又は安定化は、高度又は他の環境因子に依存してよい。
【0041】
実施形態では、アンテナアセンブリ375がパネルアンテナ(例えばサイドパネル要素400)として、あるいはパネルアンテナを含むように具体化され、サイドパネル要素400は複数のセクタアンテナを含んでよい。場合によっては、前述の補償及び/又は安定化を提供するために、パネルアンテナを機械的に及び/又は電気的に操舵するか又は傾斜させてよい。従って、パネルアンテナは、操舵可能なマトリックスアンテナと呼ぶこともできる。
図5は、ある例示的実施形態のアンテナアセンブリの制御に関して使用してよいシステム構成部品のブロック図を示す。
図5に示すように、アンテナアセンブリ375は、左サイドパネル要素402及び右サイドパネル要素404を含んでよい。上記アンテナアセンブリは、アンテナ要素406及び408のような、1つ又は複数のブレード、モノポール、又は他のアンテナ要素も含んでよい。ある例示的実施形態では、要素408は、機体の前後の受信のために構成されたブレードアンテナであってよい。その一方で、右サイドパネル要素404及び左サイドパネル要素402は、航空機の各側面のための受信要素であってよい。アンテナ要素406は、4つ以上の送信要素を有するブレードアンテナであってよく、選択可能な指向性を有してよい。大きな機体のため等のいくつかの実施形態では、受信要素はそれぞれ、オプションとして、1つ又は複数のケーブルを介して遠隔ラジオヘッド430に接続してもよい。しかしながら、遠隔ラジオヘッドを使用しない場合は、無線機自体が、遠隔ラジオヘッドに関連して本明細書に記載されている機能を実行できる。場合によっては、遠隔ラジオヘッド430は、(分散型要素(DE)432及び434で示すように)2箇所以上の物理的位置に分散してよい。遠隔ラジオヘッド430は、典型的な変調、復調及び他のラジオ機能が実行されるラジオ基地440に(例えば光ファイバ又は他のケーブルを介して)接続してよい。送信要素406も、ラジオ基地440に接続してよい。
【0042】
ある例示的実施形態では、遠隔ラジオヘッド430は、受信アンテナの間の切り替えを提供してよい。アレイパネルの垂直ビーム操舵が実行される例では、左サイドパネル要素402及び右サイドパネル要素404のそれぞれを遠隔ラジオヘッド430に接続するために、4つ以上のケーブルが使用されてよい。遠隔ラジオヘッド430は、遠隔ラジオヘッド430に設けられたアンテナ出力の数に対応する1つ又は複数の空胴フィルタを含んでよい。アレイの電気的傾斜を調整する機械的なデバイスによって垂直ビーム操舵を実施する場合、1本のみのケーブルと、空胴フィルタ、バルク弾性波(BAW)フィルタ、表面弾性波(SAW)フィルタ、サーキュレータ、又は他の任意の適当なフィルタとを各アレイのために使用してよい。場合によっては、遠隔ラジオヘッド430を取り除いてよく、フィルタ、ローノイズアンプ(LNA)及びスイッチ構成部品を、アンテナハウジング又はアンテナに最も近い他のハウジング内に集積化してよい。(遠隔ラジオヘッド430の一部又は外部の)スイッチ構成部品は、送信先又は送信元の位置、ATG基地局の信号強度、及び周囲の基地局又は地上局からの干渉のレベルに基づいて、任意の所与の信号の受信又は送信のための最善のアンテナを選択するために使用される。そしてアンテナの選択は、信号対干渉パルスノイズ比を最大化するように設計された複数のトリガを有する。
【0043】
図6は、パネルアンテナの垂直面指向特性を図示している。パネルが進行方向に対して概ね垂直にフォーカスされるように航空機に搭載される場合、航空機ローリング操縦の補償が必要となり得る。
図6から理解できるように、(一般に水平線及び水平線より少し下にあるATG基地局と通信を行っている)飛行中の航空機330が地上局に対してローリングを生じているとき、上記アンテナ指向特性の上部が地上局に対してローリングする。その一方で、地上局から離れる方向のローリングが存在する場合、上記アンテナ指向特性は、地上局に対してより小さなゲインを提供する。このように、航空機ロールを補償するようにアンテナアセンブリを傾斜させることによって地上局にアンテナゲインをフォーカスするために、ビーム操舵が必要となり得る(又は少なくとも有用であり得る)。パネル要素に関しては、機械的又は電気的な操舵を使用してよい。
【0044】
従って、いくつかの実施形態では、アンテナアセンブリ375は更に、航空機の操縦の補償のために適用すべき補償量を決定するために、種々の航空機のセンサとのインタフェースを形成してよい制御要素との通信を行ってよい。
図7は、アンテナアセンブリ構成部品(例えばサイドパネル)の制御に使用されてよい構成部品のブロック図を示している。
図7に示すように、サイドパネル要素400は、操舵アセンブリ500に動作可能に接続されてよい。操舵アセンブリ500は、サイドパネルを水平線に最も近い(例えば水平線より下約15°の範囲内の)ATG基地局との通信のために向けられた状態に維持するために、アンテナアセンブリ375の少なくとも一部分(例えばサイドパネル要素400の(個々の又は全体としての)複数のサイドパネル)を機械的に又は電気的に傾斜させるように構成されてよい。操舵アセンブリ500の制御を提供するために、コントローラ505が操舵アセンブリ500と通信するように設けられてよい。コントローラ505は、例えば基地局の位置及び飛行中の航空機330の相対位置及び方位の知識に基づいて、サイドパネル要素400の操舵のための出力を制御するように構成された、処理回路510を含んでよい。処理回路510は、本発明のある例示的実施形態に従って、データ処理、制御機能の実行並びに/又は他の処理及び管理サービスを実施するように構成してよい。いくつかの実施形態では、処理回路510は、チップ又はチップセットとして具体化されてよい。言い換えれば、処理回路510は、構造アセンブリ(例えば基板)上に材料、部品及び/又はワイヤを含む1つ又は複数の物理的なパッケージ(例えばチップ)を含んでよい。この構造的アセンブリは、物理的な強度、サイズの節約及び/又はその上に含まれる部品回路の電気的な相互作用の制限をもたらす場合がある。従って処理回路510は、場合によっては、単一のチップ上で本発明の実施形態を実施するように、又は単一の「チップ上のシステム」として、構成してよい。従って、場合によっては、チップ又はチップセットは、本明細書に記載の機能を提供するための1つ又は複数の動作を行う手段として構成してよい。
【0045】
ある例示的実施形態では、処理回路510は、プロセッサ512及びメモリ514の1つ又は複数の具体例を含んでよく、これらは、デバイスインタフェース520及び場合によってはユーザインタフェース530と通信してよく、そうでなければこれらを制御してよい。従って、処理回路510は、(例えばハードウェア、ソフトウェア又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせを用いて)本明細書に記載する動作を実行するように構成された回路チップ(例えば集積回路チップ)として具体化してよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、処理回路510は、オンボードコンピュータの一部分として具体化してよい。いくつかの実施形態では、処理回路510は、飛行中の航空機330の種々の部品、要素及び/又はセンサと通信してよい。このように、例えば処理回路510は、高度情報、位置情報(例えばGPS座標、緯度/経度等)、ピッチ及びロール情報等を受信するよう、飛行中の航空機330のセンサネットワーク518と通信してよい。
【0046】
デバイスインタフェース520は、他のデバイス(例えば飛行中の航空機330のモジュール、要素、センサ及び/又は他の部品)との通信を可能にする1つ又は複数のインタフェースメカニズムを含んでよい。場合によっては、デバイスインタフェース520は、処理回路510と通信している飛行中の航空機330のモジュール、要素、センサ及び/又は他の部品に対するデータ受信又はデータ送信を行うように構成されたハードウェア又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせのいずれかによって具体化されたデバイス又は回路のような、任意の手段であってよい。
【0047】
プロセッサ512は、多くの異なる方法で具体化してよい。例えばプロセッサ512は、例えばASIC(特定用途向け集積回路)又はFPGA(フィールドプログラム可能ゲートアレイ)等のような集積回路を含む、マイクロプロセッサ若しくは他の処理要素、コプロセッサ、コントローラ、又は種々の他の演算若しくは処理デバイスのうちの1つ又は複数といった、種々の処理手段として具体化してよい。ある例示的実施形態では、プロセッサ512は、メモリ514に記憶された命令を実行するように構成してよく、そうでなければ、プロセッサ512にアクセス可能でよい。従って、ハードウェア又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせのいずれによって構成されるにせよ、プロセッサ512は、適宜構成された(例えば回路として物理的に具体化された、つまり処理回路510の形態の)本発明の実施形態に従って動作を実施できるエンティティを表すことができる。このように、例えばプロセッサ512がASIC、FPGA等として具体化される場合、プロセッサ512は、本明細書に記載の動作を行うように特別に構成されたハードウェアであってよい。あるいは、別の例では、プロセッサ512がソフトウェア命令の実行要素として具体化される場合、これらの命令は、本明細書に記載の動作を行うプロセッサ512を具体的に構成してよい。
【0048】
ある例示的実施形態では、プロセッサ512(又は処理回路510)は、操舵アセンブリ500として具体化してよく、操舵アセンブリ500を含んでよく、又はATG基地局の位置及び/若しくは航空機の操縦若しくは位置情報を指示する、処理回路510が受信された入力に基づいて、操舵アセンブリ500の動作を制御してよい。従って、いくつかの実施形態では、プロセッサ512(又は処理回路510)は、プロセッサ512(又は処理回路510)を構成する命令又はアルゴリズムの実行に基づくアレイの補償/安定化に関連する、対応する機能を、アンテナアレイに実行させるための調整に関連する、操舵アセンブリ500に関して説明された各動作を生じさせると言ってよい。特に、上記命令は、アンテナアレイと固定送信局のうちの1つとの間の通信リンクの確立を容易にする方向にアンテナアレイを傾斜させるかそれ以外の方法で向かせるように、アンテナアレイに命令するために、固定送信サイトの位置情報と共に飛行中の航空機330の3D位置情報(方位を含む)を処理する命令を含んでよい。
【0049】
ある例示的実施形態において、メモリ514は、例えば固定又は取り外し可能でよい揮発性及び/又は不揮発性メモリのような1つ又は複数の非一時的メモリデバイスを含んでよい。メモリ514は、処理回路510が本発明の例示的実施形態に従って種々の機能を実行できるようにするための情報、データ、アプリケーション又は命令等を記憶するように構成してよい。例えばメモリ514は、プロセッサ512による処理のための入力データをバッファリングするように構成できる。更に、又はあるいは、メモリ514は、プロセッサ512による実行のための命令を記憶するように構成できる。更に別の代替として、メモリ514は、入力センサ及び部品に応答する種々のデータセットを記憶してよい1つ又は複数のデータベースを含んでよい。メモリ514の内容のうち、アプリケーション及び/又は命令は、各アプリケーション/命令と関連付けられた機能を実行するためのプロセッサ512による実行のために記憶されていてよい。場合によっては、アプリケーションは、本明細書に記載されているように、操舵アセンブリ500の動作を制御するための入力を提供する命令を含んでよい。ある例示的実施形態では、メモリ514は、ATG基地局の固定地理的位置を指示する固定位置情報を記憶してよい。
【0050】
処理回路510は、の航空機330の3次元位置及び方位を指示する動的位置情報を受信して、飛行中の航空機330の動的位置に基づいてサイドパネル要素400の方位に(必要な場合には)加えられる調整を計算するように構成されてもよい。従ってアンテナアセンブリ375は、現在使用している対応するATG基地局との通信を続けるために最適な位置に配置されてよい。アンテナアセンブリ375は、予想される未来の飛行中の航空機330の位置及びATG基地局の既知の位置に基づいて、次のATG基地局への引き渡しを予測するための最適位置に位置決めすることもできる。
【0051】
航空機のアンテナの更なる実施形態は、航空機に搭載された長いブレードのようなものであってよく、上記ブレード内に複数のアンテナ要素を含む。上記複数の要素は、水平線にフォーカスしたビームパターンを一般に提供するビーム形成のために使用される。しかしながら、長いブレードの設計を使用することにより、水平線にフォーカスしたビームパターンを、(パネルアンテナのそれに比べて)より狭い水平面(方位角)指向特性で達成でき、これにより、所望の基地局に対してゲインをフォーカスして、他の干渉する方向のゲインを低減できる。上記ブレードは、(パネルアンテナに比べて)より広いアンテナ垂直面指向特性を生じ、ピッチ又はロールのための垂直方向のビーム操舵の必要性を取り除くことができる。より狭い水平面指向特性は、より広い垂直面指向特性との組み合わせにより、指向特性が捕捉する干渉「表面積」がより小さいため、パネルアンテナよりも小さな干渉プロファイルを提供する。しかしながら、一般の水平線へのフォーカスが維持され、航空機の下方の地上通信レイヤ320からの干渉が実質的に回避される。
【0052】
図1及び2を参照して前述した楔形セルアーキテクチャを使用するネットワーク100及びその対応するATG基地局を用いて、非常に大きな地理的領域、又は更に国全体に渡る航空機の受信器との通信のためのカバレッジを提供できる。更に、このようなアーキテクチャを使用することにより、比較的大きな距離をATG基地局間に提供できるため、ネットワーク100を構築するために必要なATG基地局の数を実質的に低減でき、又は更に最小化できる。ビーム形成技術(ビーム操舵技術と呼ばれる場合もある)及び周波数再使用を採用することによって、ネットワーク100の能力を更に改善して、複数のターゲットに干渉の無い良質のサービスを提供できる。更に、飛行中の航空機330に可動又は操舵可能なアンテナアレイ(例えばアンテナアレイ375)を備えることにより、特に、飛行中の航空機330の直下(又は略直下)の送信から遮断されるアレイ、又はそうでなければ水平線近く以外でより小さなゲインを有するように構成されたアレイに関して、ATG基地局及びアンテナアレイ375の両方を、飛行中の航空機330の下方における干渉を回避するように構成できる。これにより、例えば任意の所望の周波数範囲の認可されていない、又は更に認可されたバンド周波数であってよいISMバンド周波数(例えば2.4GHz及び/又は5.8GHz)のスペクトルの再使用を可能とすることができる。
【0053】
例えば地上のWiFi送信器のような地上の送信器からの空中の干渉が、カバーされるべき地理的領域の全体に亘って比較的低い場合は、地上の送信器(例えば地上波基地局300)が、同一周波数を用いて上り送信を行うために少なくとも部分的に向けられた全方向性アンテナを用いる場合であっても、
図1及び2のネットワーク100の楔形アーキテクチャが、いずれの更なる修正なしに、強固で費用効果が高いカバレッジを提供できる。
【0054】
上述のように、ATG基地局(350及び355)は、(例えば固定基地局の位置の2D情報及び飛行中の航空機330に関する位置情報の3D情報の両方を使用して、ビーム形成技術のアプリケーションにおけるアシストを行うビーム形成制御モジュールを介して)ビーム形成を使用してよい。同様に、ATG基地局の位置並びに航空機の(例えば旋回又はピッチ及びロール)の知識を用いて、飛行中の航空機330の操縦時にATG基地局と通信を行うために有利な方位にアンテナアレイ375を維持するために、飛行中の航空機330のアンテナアレイ375がビーム形成及び/又はビーム操作を使用してよい。従ってアンテナアレイ375を、飛行中の航空機330の操縦に応答して補償するような様式で調整できる。使用される補償は、アレイのフォーカス領域に対して有利な位置にアレイを維持するように、サービスを提供しているATG基地局の位置に対する航空機の方位及び/又はアンテナアレイ375の傾斜のためにアンテナ要素を切り替えることを含んでよい。
【0055】
ATGネットワーク100の全ての可能な実施形態の全ての要素が本明細書に示され記載されているわけではないが、当然のことながら、航空機330の通信器は、ATGネットワーク100を介して、多数の異なるネットワークのうちの任意の1つ又は複数に接続してよい。これに関して、上記1つ又は複数のネットワークは、多数の第1世代(1G)、第2世代(2G)、第3世代(3G)、第4世代(4G)及び/又は未来の移動体通信プロトコル等のうちの任意の1つ又は複数に準拠した通信をサポートできる。場合によっては、サポートされる通信は、2.4GHz又は5.8GHzのような認可されていないバンド周波数を用いて定義される通信リンクを使用してよい。例示的実施形態は、時分割複信(TDD)、周波数分割複信(FDD)、又はシステム内の双方向通信を可能にする任意の他の好適なメカニズムを使用してよい。
【0056】
前述のように、例示的実施形態では、ビーム形成制御モジュールを、ネットワーク側及び航空機側のいずれか一方又は両方の無線通信器に使用してよい。更に、いくつかの実施形態では、航空機側で受信される通信を、航空機の機器(例えばWiFiルータ若しくは他の無線アクセスポイントを介する電話の受話器若しくはUE、又は航空機通信器)に配信してよい。いくつかの実施形態では、無線アクセスポイントから配信される情報は、中間記憶を介して又は介さずに乗客のデバイス又は他の航空機通信器に提供されてよい。
【0057】
ある例示的実施形態では、処理回路510は、ATG基地局のうちの最適のもの、又はそうでなければ選択された1つとの通信のために、アンテナアセンブリのうちの1つのアンテナ要素を選択する切り替えを行うように、構成してよい。この切り替えを実施することによって、ATG基地局のうちの選択された1つの、飛行中の航空機330に対する位置に基づいて、パネル要素における特定のアンテナ要素(若しくはセクタ)を選択してよく、又はパネル要素及び/若しくは他のアンテナ要素(例えばブレードアンテナ)の中から選択してよい。上述のように、切り替えは、遠隔ラジオヘッド430内の又は別の位置にある切り替えデバイスを用いて行ってよい。更に、又はあるいは、いくつかの実施形態では、選択される特定のアンテナ要素を、電気的に傾斜させる、又は位置的に調整することによって、飛行中の航空機の操縦に応答する特定のアンテナ要素を補償するか、又は安定化してよい。このように、例えば処理回路510は、飛行中の航空機330の動的位置情報を指示する情報を初めに受信してよく、この情報は、3D位置及び/若しくは方位情報(例えばピッチ及びロール)並びに/又は予想未来位置を含んでよい。処理回路510は、(例えばATG基地局の位置及び動的位置情報を示す固定位置情報に基づいて)、航空機に対する第1ネットワークノード(例えばATG基地局のうちの1つ)の予想相対位置を決定してよい。トラッキングアルゴリズムは、現在位置及び速度及び移動方向に基づいて動的位置変化を追跡するため、並びに/又は(相対的若しくは地理の)未来位置を計算するために使用してよい。予想相対位置の決定後、処理回路510は、上記予想相対位置に基づいて、フォーカス領域において第1ネットワークノードと通信するアンテナ要素を選択する命令を発行するように構成してよい。その後、特にピッチ及びロールに関係する動的位置情報の任意の変化は、アンテナ要素の(例えば機械的又は電気的な)操舵によって補償されてよい。
【0058】
図8は、前述のようなある例示的実施形態に関連付けることができる一方法のブロック図を示す。技術的視点から、前述の処理回路510を用いて、
図8に記載の動作のうちのいくつか又は全てをサポートできる。従って、
図7に記載のプラットフォームを用いて、いくつかのコンピュータプログラム及び/又はネットワーク通信を基礎とする相互作用の実行を容易にすることができる。一例として、
図8は、本発明のある例示的実施形態による方法及びプログラム製品のフローチャートである。フローチャートの各ブロック及びフローチャートにおけるブロックの組み合わせは、1つ又は複数のコンピュータプログラム命令を含むソフトウェアの実行と関連付けられた、ハードウェア、ファームウェア、プロセッサ、回路及び/又は他のデバイスのような種々の手段によって実行されてよいことが理解されるであろう。例えば前述の手順のうちの1つ又は複数は、コンピュータプログラム命令によって具体化してよい。これに関して、前述の手順を具体化するコンピュータプログラム命令は、デバイス(例えばコントローラ505等)のメモリデバイスに保存され、デバイスのプロセッサで実行できる。理解されるように、任意のこのようなコンピュータプログラム命令をコンピュータ又は他のプログラム可能なデバイス(例えばハードウェア)にロードすることによって、機械を生成してよく、これにより、例えばコンピュータ又は他のプログラム可能なデバイス上で実行される命令が、1つ又は複数のフローチャートのブロックにおいて指定された機能を実行するための手段を生成する。これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ可読メモリに記憶されてもよく、このメモリは、コンピュータ又は他のプログラム可能なデバイスを、特定の様式で機能するよう導いてよく、これにより、コンピュータ可読メモリに記憶された命令が、1つ又は複数のフローチャートのブロックに指定された機能を実装する製品を形成する。コンピュータプログラム命令は、一連の動作をコンピュータ又は他のプログラム可能なデバイス上で実施させてコンピュータ実装型プロセスを生成するために、コンピュータ又は他のプログラム可能なデバイスにロードされてもよく、これにより、コンピュータ又は他のプログラム可能なデバイス上で実行される上記命令は、1つ又は複数のフローチャートのブロックにおいて指定された機能を実装する。
【0059】
従って、フローチャートのブロックは、指定された機能を実行するための手段の組み合わせ、及び指定された機能を実行するための動作の組み合わせをサポートする。更に理解されるように、フローチャートの1つ又は複数のブロック及びフローチャートのブロックの組み合わせは、指定された機能、又は特定目的ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせを実行する、特定目的ハードウェアベースのコンピュータシステムによって実施され得る。
【0060】
これに関して、本発明の一実施形態に係る方法は、
図8に示すように、動作800において、飛行中の航空機に対するATG基地局の予想相対位置を決定することを含んでよい。予想相対位置は、航空機位置を指示する情報及びATG基地局の既知の固定位置を指示する情報に基づいて決定されてよい。しかしながら、場合によっては、ATG基地局の位置は、パイロット信号又はATG基地局からの他の送信の検出に基づいて発見され得る。この方法は、更に、動作810において、予想相対位置に基づいてATG基地局との通信のために採用するために、アンテナ要素を選択することを含んでよい。選択されたアンテナ要素は、航空機のアンテナアセンブリの要素であってよい。アンテナアセンブリは、送信及び受信用構成部品を含んでよく、またブレードアンテナ及び/又はパネルアンテナ等を含んでよい。このように、選択されたアンテナ要素は、ある特定のパネルアンテナ若しくはブレードアンテナであってよく、又はパネルアンテナのある特定のセクタであってよい。選択されたアンテナ要素は、航空機に対するフォーカス領域内(例えば水平線から水平線より約15°下)の基地局に関する、測定された若しくは推定された信号強度、又は他の因子に基づいて選ばれてよい。動作820では、動的位置情報に対する変化の指示を受信してよく、この変化は、少なくとも航空機のピッチ又はロールの変化を指示してよい。動作830では、選択されたアンテナ要素を、(例えば機械的又は電気的な傾斜によって)調整することによって、動的位置情報に対する変化を補償してよい(例えば動的位置情報に対する変化に基づいて、選択されたアンテナ要素を実質的にフォーカス領域に向けたまま保つ)。
【0061】
ある例示的実施形態では、前述の階層化アプローチは、ATG通信レイヤの上の追加のレイヤを含むように拡張できる。ATG通信レイヤの上のレイヤは、高高度サービスレイヤであってよい。高高度サービスレイヤには、高高度を飛行する(又は軌道を回る)ことが可能なドローン又は他のデバイスのような、高高度サービス用飛行体が存在してよい。高高度サービス用飛行体は、ATG基地局(又は衛星)からの通信信号を受信してその通信を飛行中の航空機へ中継する、地上局との通信を行ってよい。しかしながら、飛行中の航空機が通信を行う高高度サービス用飛行体は、水平線近くに位置してよい。垂直ビーム操舵アンテナが、遠方の高高度サービス用飛行体の位置を見つけるために、水平線よりすぐ下のフォーカス範囲を維持するように操舵されるのではなく、垂直ビーム操舵アンテナが水平線のすぐ上のフォーカス範囲を維持するように操舵されることを除けば、水平線近くの高高度サービス用飛行体との通信によって、前述のものと同一の垂直ビーム操舵アンテナを使用できる。追加の高度により、連続的なカバレッジを得るために提供できるサービス局(例えばドローン及び/又はATG局)間の空間を拡張できる。従ってカバレッジを、飛行体の存在がまばらである範囲及び/又は海洋に提供され得る。
【0062】
図9に示すように、
図3のネットワークは、高高度サービスレイヤ910に、1つ又は複数の高高度サービス用飛行体900を備えてよい。高高度サービスレイヤ910は、ATG通信レイヤ335の上(例えば所定の最高高度340の上)から低周回軌道及びその上を含む高高度まで延在してよい。いくつかの例では、高高度サービス用飛行体900として機能するドローン又は気球は、50,000ftから75,000ft(又はもっと高い)高度において浮遊するか、又はその他の様式で動作してよい。しかしながら、本明細書に記載の具体的な高度例は、航空機の能力が変化するに従って経時変化し得ることに留意すべきである。高高度サービス用飛行体900は、ATGリンク920を介してATG基地局(350及び355)と通信してよく、航空機リンク930を介して飛行中の航空機330と通信してよく、かつ/又は衛星リンク940を介して衛星と通信してよい。従って、高高度サービス用飛行体900は、広大な距離に亘る、かつ異なる複数の通信環境における、飛行中の航空機330へのサービスの提供を可能とすることができる。
【0063】
従って、本明細書に記載するように、ATG基地局の、及び重複カバレッジエリアを有する高高度サービス用飛行体のカバレッジエリアの間を通過しながらの、飛行中の航空機330の受信器の連続した引き渡しを提供できる。高高度サービスレイヤ910を含むネットワークにおいて使用される場合、アンテナアセンブリ375は、(飛行中の航空機330から見て)水平線から水平線より約10°又は15°上までの範囲にエネルギをフォーカスして、高高度サービス用飛行体900と通信を行うように構成してよい。更に、アンテナアセンブリ375は、信号強度、又はATG基地局と高高度サービス用飛行体(若しくはその逆)との間で行われる引き渡しと関連する他の因子に基づいて、ATG基地局によってサービスが提供される状態と、高高度サービス用飛行体によってサービスが提供される状態との間を移動するよう、垂直方向に操舵できる。高高度サービス用飛行体900は、(例えば(高高度サービス用飛行体900から見て)水平線から水平線より約10°又は15°下までの範囲にエネルギをフォーカスする)水平線に対してフォーカスされたアンテナも含んでよく、またサービス用飛行体のアンテナアセンブリは、飛行中の航空機330のアンテナアセンブリ375が(前述のように)操舵可能であるのと同様の様式で、高高度サービス用飛行体900の旋回又はバンキングを構成するために垂直方向に操舵可能でよい。このように、高高度サービス用飛行体900は、航空機、他のドローン及び/又は地上との通信のために、水平にフォーカスしたアンテナアセンブリを使用してもよい。更に、これらのリンクそれぞれのために同一の周波数を使用でき、またこのような通信のためのビームが、上記ビームを実質的に地表と平行に延在させて地上通信レイヤ320における通信との干渉を回避するように(例えば空間フィルタリング及び垂直ビーム操作を使用して)操舵可能であれば、上記周波数は、地上通信レイヤ320において使用されるものと同一の周波数としてよい。しかしながら場合によっては、高高度サービス用飛行体900は、航空機及び地上局との通信のために第1周波数を使用してよく、航空機(接続性のために高高度サービス用飛行体900を使用しない場合)は、航空機から地上への、及び地上間の通信のために第2周波数を使用してよい。
【0064】
高高度サービスレイヤ910の使用により、サンドイッチメッシュアーキテクチャを効果的に生成できる。高高度サービス用飛行体900は、一握りの場所の地上局又は衛星に選択的にのみ接触又はアクセスし得るGB/s無線バックホールネットワークを提供するために、他の高高度サービス用飛行体にリンクしてよい。従って高高度サービス用飛行体900は、一般に天候に左右されない高度にあってよく、また地上との接続は、RF又は光による高い周波数での通信に対する天候の悪影響を最小化するために、天候が優れた領域において選択的に行われてよい。また、高高度において、ネットワーク性能を更に高めるために、自由空間光通信又は高周波数RFの使用を可能にしてよい。その一方で、飛行中の航空機330のアンテナアセンブリ375は、ATG基地局(350及び355)、他の飛行中の航空機330及び/又は高高度サービス用飛行体900との通信を選択的に行うよう、水平線から+/‐10乃至15°の範囲で操舵できる。
【0065】
別個の受信要素及び送信要素が設けられる
図5のアーキテクチャの代替例として、いくつかの実施形態では、二重化(duplexing)を使用することによって送信及び受信器能の両方を扱う、単一の操舵可能なアンテナ要素(又はパネル)を使用してよい。送信及び受信器能の両方を扱うことができるアンテナ要素を使用することにより、使用されるアンテナ要素のサイズ、重量、数及びコストを低減してよい。最大比合成法を使用してもよい。全二重化を使用すると、受信器フィルタリングが、信号の区別を可能にするために重要となる。従ってBAWフィルタ、インライン空胴フィルタ、又はBAWデュプレクサが使用される。BAWデュプレクサは、上述のような全二重化による解決策に関して比較的簡単なオプションであり得る。
【0066】
図10は、第1オプションによる全二重ラジオアーキテクチャを示す。これに関して、
図10は、いくつかの実施形態に設けられる場合がある比較的長いブレードアンテナ1000のためのアーキテクチャを示す。アンテナ1000は、多極多投スイッチ1030(例えば10極スイッチ)に動作可能に接続してよいバトラー結合器1020に信号を提供してよい、1つ又は複数の要素1010(例えば場合によっては10個)を含んでよい。スイッチ1030は、サーキュレータ1040に動作可能に接続されてよい。サーキュレータ1040は、ポート1の信号がポート2へ行き、ポート2の信号がポート3へ行くといったように、ポート間で信号を分離してよい。サーキュレータ1040は、0.6dBの比較的低い挿入損失で、18dBのポート間分離を提供してよい。サーキュレータ1040は、ローノイズアンプ(LNA)1054及びスイッチ1058を介して、受信フィルタ1050、及び最終的には受信器回路1060に動作可能に接続されてよい。このアーキテクチャでは、受信器過負荷保護の増強のために、LNA1054の前に受信フィルタ1050が存在してよい(例えば‐34dBmのLNA入力における送信信号レベルにとって、全ノイズ指数は7.9dBでよい)。サーキュレータ1040は更に、スイッチ1072、空胴フィルタ1080及びパワー増幅器1090を通して送信器回路1070に動作可能に接続されている。
【0067】
図11は、第2オプションによる全二重ラジオアーキテクチャを示す。これに関して、
図11は、いくつかの実施形態に設けられる場合がある比較的長いブレードアンテナ1100のためのアーキテクチャを示す。アンテナ1100は、多極多投スイッチ1130(例えば10極スイッチ)に動作可能に接続してよいバトラー結合器1120に信号を提供してよい、1つ又は複数の要素1110(例えば場合によっては10個)を含んでよい。スイッチ1130は、サーキュレータ1140に動作可能に接続されてよい。サーキュレータ1140は、ポート1の信号がポート2へ行き、ポート2の信号がポート3へ行くといったように、ポート間で信号を分離してよい。サーキュレータ1140は、前述のように、0.6dBの比較的低い挿入損失で、18dBのポート間分離を提供してよい。しかしながらこの例では、受信フィルタ1150の前にLNA1154が設けられる。受信フィルタ1150は、スイッチ1158を介して受信器回路1160に動作可能に接続される。このアーキテクチャでは、ノイズ指数を低減する一方で、LNA1154における信号送信レベルをより高くするために、LNA1154の後ろに受信フィルタ1150が存在する(例えば、+6dBmのLNA入力における送信信号レベルにとって、全ノイズ指数は6.1dBでよい)。サーキュレータ1140はまた、スイッチ1172、空胴フィルタ1180及びパワー増幅器1190を介して送信器回路1170に動作可能に接続に接続されてよい。いくつかの代替実施形態では、代替アプローチとして、
図10のアーキテクチャ又は
図11のアーキテクチャを、各図のサーキュレータ2つのデュプレクサ要素で置換することによって二重化できる。
【0068】
前述の記載及び関連の図面に開示された教示の利益を有する、これらの発明が属する技術分野における当業者には、本明細書に記載の本発明の多くの修正及び他の実施形態が想起されるであろう。従って、本発明は本開示の特定の実施形態に限定されないこと、並びに修正形態及び他の実施形態が添付の特許請求の範囲に含まれることを理解すべきである。更に、前述の記載及び関連の図面は、要素及び/又は機能の特定の例示的な組み合わせとの関連で例示的実施形態を説明しているが、当然のことながら、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、代替実施形態が、要素及び/又は機能の異なる組み合わせを提供し得る。これに関して、例えば、上で明確に記載されたものとは異なる要素及び/又は機能の組み合わせが、添付の特許請求の範囲のうちのいくつかに記載されてよいとも考えられる。本明細書に、利点、利益、又は課題に対する解決策が記載されている場合、当然のことながら、このような利点、利益及び/又は解決策はいくつかの例示的実施形態に適用可能であってよいが、全ての例示的実施形態に適用可能とは限らない。このように、本明細書に記載の任意の利点、利益又は解決策は、全ての実施形態又は請求項の記載にとって重要な、必要な又は必須のものと考えてはならない。本明細書において具体的な用語を使用したが、それらの用語は単に一般的及び説明的な意味で使用されており、限定的な意図はない。
【0069】
(付記1)
種々のセルにおける空対地(ATG)無線通信を提供するためのネットワークであって、
前記ネットワークは:
アンテナアセンブリを含む飛行中の航空機;
複数のATG基地局であって、各前記ATG基地局は対応する放射パターンを画定し、ここで前記基地局は互いから離間しており、これにより、第1高度と第2高度との間に画定されたATG通信レイヤにおいてアンテナアセンブリと通信するための、少なくとも部分的に重複するカバレッジエリアを画定する、ATG基地局;並びに
主に前記第1高度の下方の地上通信レイヤにおいて通信を行うよう構成された、複数の地上波基地局
を備え、
前記地上波基地局及び前記ATG基地局は、それぞれ前記地上通信レイヤ及び前記ATG通信レイヤにおいて、同一のラジオ周波数(RF)スペクトルを用いて通信を行うよう構成される、ネットワーク。
(付記2)
前記飛行中の航空機と通信を行う、サービスを提供している前記ATG基地局は、前記飛行中の航空機がその上方に位置する前記地上通信レイヤの一部分の各前記地上波基地局のカバレッジエリアの外側に、地理的に位置している、付記1に記載のネットワーク。
(付記3)
前記アンテナアセンブリは、前記ATG基地局のうちの選択された1つと、前記ATG基地局のうちの前記選択された1つが、水平線と、前記飛行中の航空機に対して前記水平線より約15°下との間のフォーカス領域にあることに基づいて、通信するよう構成される、付記1に記載のネットワーク。
(付記4)
前記アンテナアセンブリの少なくとも一部分は、前記飛行中の航空機の操縦に応答して、前記アンテナアセンブリを前記フォーカス領域に向けた状態に維持するよう、傾斜させることができる、付記3に記載のネットワーク。
(付記5)
前記アンテナアセンブリは、コントローラからの命令に応答して、操舵アセンブリによって傾斜させることができるよう構成された、パネルアンテナを備える、付記4に記載のネットワーク。
(付記6)
前記操舵アセンブリは、前記コントローラからの前記命令に応答して、前記パネルアンテナを機械的に傾斜させる、付記5に記載のネットワーク。
(付記7)
前記操舵アセンブリは、前記コントローラからの前記命令に応答して、前記パネルアンテナを電気的に傾斜させる、付記5に記載のネットワーク。
(付記8)
前記コントローラは、前記飛行中の航空機のセンサデータを受信し、前記センサデータが指示する前記ATG基地局の位置及び前記飛行中の航空機の向きの知識に基づいて、傾斜命令を提供して、前記飛行中の航空機の操縦を補償するよう構成される、付記5に記載のネットワーク。
(付記9)
前記パネルアンテナは、前記飛行中の航空機の垂直安定板上に配置される、付記5に記載のネットワーク。
(付記10)
前記コントローラによって命令される傾斜の量は、少なくとも部分的に、前記飛行中の航空機の高度に基づく、付記5に記載のネットワーク。
(付記11)
前記アンテナアセンブリは、1つ又は複数の非パネルアレイ要素を更に含み、
前記コントローラは、前記ATG基地局のうちの前記選択された1つの、前記飛行中の航空機に対する位置に基づいて、前記アンテナアセンブリのアンテナ要素間の切り替えを行うよう構成される、付記5に記載のネットワーク。
(付記12)
前記アンテナアセンブリは、前記地上波基地局及び他の前記ATG基地局から、前記飛行中の航空機の機体の部分によって少なくとも部分的に遮断された、前記飛行中の航空機の一部分に配置される、付記1に記載のネットワーク。
(付記13)
前記第2高度の上の高高度サービスレイヤに配置された1つ又は複数の高高度サービス用飛行体を更に備え、
前記高高度サービス用飛行体は、エネルギを水平線の近くにフォーカスするために垂直ビーム操舵を用い、前記地上通信レイヤ及び前記ATG通信レイヤとして同一のラジオ周波数(RF)スペクトルを用いて、通信を行うよう構成される、付記1に記載のネットワーク。
(付記14)
航空機のためのアンテナアセンブリであって、
前記アンテナアセンブリは、空対地(ATG)無線通信ネットワークのATG基地局と通信を行うことができ、
前記アンテナアセンブリは複数のアンテナ要素を備え、
前記複数のアンテナ要素のうちの少なくとも1つは、飛行中の航空機の操縦に応答して、前記アンテナアセンブリをフォーカス領域に向けた状態に維持するよう、傾斜させることができる、アンテナアセンブリ。
(付記15)
前記アンテナアセンブリは、ラジオ周波数(RF)スペクトルを用いて、第1高度と第2高度との間に画定されたATG通信レイヤにおいて、前記ATG基地局と通信するよう構成され、
前記航空機の下に配置された複数の地上波基地局は、前記ATG通信レイヤの下の地上通信レイヤにおいて前記RFスペクトルを使用する、付記14に記載のアンテナアセンブリ。
(付記16)
前記フォーカス領域は、水平線と、前記飛行中の航空機に対して前記水平線より約15°下との間に延在する、付記14に記載のアンテナアセンブリ。
(付記17)
前記アンテナアセンブリは、コントローラからの命令に応答して、操舵アセンブリによって傾斜させることができるよう構成された、パネルアンテナを備える、付記16に記載のアンテナアセンブリ。
(付記18)
前記コントローラは、前記飛行中の航空機のセンサデータを受信し、前記センサデータが指示する前記ATG基地局の位置及び前記飛行中の航空機の向きの知識に基づいて、傾斜命令を提供して、前記飛行中の航空機の操縦を補償するよう構成される、付記17に記載のアンテナアセンブリ。
(付記19)
前記パネルアンテナは、前記飛行中の航空機の垂直安定板上に配置される、付記17に記載のアンテナアセンブリ。
(付記20)
前記コントローラによって命令される傾斜の量は、少なくとも部分的に、前記飛行中の航空機の高度に基づく、付記17に記載のアンテナアセンブリ。
(付記21)
前記アンテナアセンブリは、1つ又は複数の非パネルアレイ要素を更に含み、
前記コントローラは、前記ATG基地局のうちの選択された1つの、前記飛行中の航空機に対する位置に基づいて、前記アンテナアセンブリの前記アンテナ要素間の切り替えを行うよう構成される、付記17に記載のアンテナアセンブリ。