特許第6865306号(P6865306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6865306ニオブ含有膜形成用組成物及びニオブ含有膜の蒸着
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6865306
(24)【登録日】2021年4月7日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】ニオブ含有膜形成用組成物及びニオブ含有膜の蒸着
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20210419BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
   H01L21/316 X
   C23C16/455
【請求項の数】15
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2019-570456(P2019-570456)
(86)(22)【出願日】2018年6月5日
(65)【公表番号】特表2020-524905(P2020-524905A)
(43)【公表日】2020年8月20日
(86)【国際出願番号】US2018036015
(87)【国際公開番号】WO2019005433
(87)【国際公開日】20190103
【審査請求日】2019年12月19日
(31)【優先権主張番号】15/636,354
(32)【優先日】2017年6月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】クレメント・ランサロット−マトラス
(72)【発明者】
【氏名】チュホ・リー
(72)【発明者】
【氏名】ウォンテ・ノ
【審査官】 鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−164131(JP,A)
【文献】 特表2010−504999(JP,A)
【文献】 特表2012−505177(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0040480(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0307708(US,A1)
【文献】 米国特許第06133161(US,A)
【文献】 Karl R.Gust, et al.,Synthesis, structure, and properties of niobium and tantalum imido complexes bearing pyrazolato ligands. Crystal structures of Ta(Nt-Bu)(t-Bu2Pz)3, Ta(Ni-Pr)(t-Bu2Pz)3, Ta(Nt-Bu)(Me2Pz)3(py), and Ta(Nt-Bu)(t-Bu2Pz)2(Cl)(py),Polyhedron,2001年 4月30日,Vol. 20, No. 9-10,805-813,URL,https://doi.org/10.1016/S0277-5387(01)00695-7
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/316
C23C 16/455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

(式中、それぞれのR、R、R及びRは、独立して、H、アルキル基又はR’Siであり、それぞれのR’は、独立して、H又はアルキル基である。ただし、前記式からNb(=NtBu)(tBu,H,tBu−Pyr)は除く。
を有するニオブ含有膜形成用前駆体を含むニオブ含有膜形成用組成物。
【請求項2】
前記ニオブ含有膜形成用前駆体は、式Nb(=NiPr)(R,R,R−Pyr)を有する、請求項1に記載のニオブ含有膜形成用組成物。
【請求項3】
前記ニオブ含有膜形成用前駆体は、Nb(=NiPr)(H,H,H−Pyr)、Nb(=NiPr)(Me,H,H−Pyr)、Nb(=NiPr)(Me,H,Me−Pyr)、Nb(=NiPr)(Me,Me,Me−Pyr)、Nb(=NiPr)(Et,H,Et−Pyr)、Nb(=NiPr)(nPr,H,nPr−Pyr)、Nb(=NiPr)(iPr,H,iPr−Pyr)、Nb(=NiPr)(tBu,H,tBu−Pyr)、Nb(=NiPr)(nBu,H,nBu−Pyr)、Nb(=NiPr)(sBu,H,sBu−Pyr)、Nb(=NiPr)(iBu,H
,iBu−Pyr)、Nb(=NiPr)(tアミル,H,tアミル−Pyr)、Nb(=NiPr)(iPr,H,tBu−Pyr)、Nb(=NiPr)(iPr,H,Me−Pyr)、Nb(=NiPr)(iPr,H,Et−Pyr)、Nb(=NiPr)(TMS,H,TMS−Pyr)、Nb(=NiPr)(DMS,H,DMS−Pyr)及びNb(=NiPr)(MMS,H,MMS−Pyr)からなる群から選択される、請求項2に記載のニオブ含有膜形成用組成物。
【請求項4】
前記ニオブ含有膜形成用前駆体は、Nb(=NiPr)(iPr,H,iPr−Pyr)である、請求項3に記載のニオブ含有膜形成用組成物。
【請求項5】
前記ニオブ含有膜形成用前駆体は、式Nb(=NtBu)(R,R,R−Pyr)を有する、請求項1に記載のニオブ含有膜形成用組成物。
【請求項6】
前記ニオブ含有膜形成用前駆体は、Nb(=NtBu)(H,H,H−Pyr)、Nb(=NtBu)(Me,H,H−Pyr)、Nb(=NtBu)(Me,H,Me−Pyr)、Nb(=NtBu)(Me,Me,Me−Pyr)、Nb(=NtBu)(Et,H,Et−Pyr)、Nb(=NtBu)(nPr,H,nPr−Pyr)、Nb(=NtBu)(iPr,H,iPr−Pyr)、Nb(=NtBu)(nBu,H,nBu−Pyr)、Nb(=NtBu)(sBu,H,sBu−Pyr)、Nb(=NtBu)(iBu,H,iBu−Pyr)、Nb(=NtBu)(tアミル,H,tアミル−Pyr)、Nb(=NtBu)(iPr,H,tBu−Pyr)、Nb(=NtBu)(iPr,H,Me−Pyr)、Nb(=NtBu)(iPr,H,Et−Pyr)、Nb(=NtBu)(TMS,
H,TMS−Pyr)、Nb(=NtBu)(DMS,H,DMS−Pyr)及びNb(=NtBu)(MMS,H,MMS−Pyr)からなる群から選択される、請求項5に記載のニオブ含有膜形成用組成物。
【請求項7】
前記ニオブ含有膜形成用前駆体は、Nb(=NtBu)(iPr,H,iPr−Pyr)である、請求項6に記載のニオブ含有膜形成用組成物。
【請求項8】
前記ニオブ含有膜形成用前駆体は、式Nb(=Ntアミル)(R,R,R−Pyr)を有する、請求項1に記載のニオブ含有膜形成用組成物。
【請求項9】
前記ニオブ含有膜形成用前駆体は、Nb(=Ntアミル)(H,H,H−Pyr)、Nb(=Ntアミル)(Me,H,H−Pyr)、Nb(=Ntアミル)(Me,H,Me−Pyr)、Nb(=Ntアミル)(Me,Me,Me−Pyr)、Nb(=Ntアミル)(Et,H,Et−Pyr)、Nb(=Ntアミル)(nPr,H,nPr−Pyr)、Nb(=Ntアミル)(iPr,H,iPr−Pyr)、Nb(=Ntアミル)(tBu,H,tBu−Pyr)、Nb(=Ntアミル)(nBu,H,nBu−Pyr)、Nb(=Ntアミル)(sBu,H,sBu−Pyr)、Nb(=Ntアミル)(iBu,H,iBu−Pyr)、Nb(=Ntアミル)(tアミル,H,tアミル−Pyr)、Nb(=Ntアミル)(iPr,H,tBu−Pyr)、Nb(=Ntアミル)(iPr,H,Me−Pyr)、Nb(=Ntアミル)(iPr,H,Et−Pyr)、Nb(=Ntアミル)(TMS,H,TMS−Pyr)、Nb(=Ntアミル)(DMS,H,DMS−Pyr)及びNb(=Ntアミル)(MMS,H,MMS−Pyr)からなる群から選択される、請求項8に記載のニオブ含有膜形成用組成物。
【請求項10】
前記ニオブ含有膜形成用前駆体は、Nb(=Ntアミル)(iPr,H,iPr−Pyr)である、請求項9に記載のニオブ含有膜形成用組成物。
【請求項11】
ニオブ含有膜を形成する原子層堆積方法であって、請求項1〜10のいずれか一項に記載のニオブ含有膜形成用組成物の蒸気を、反応器であって、その中に基板を有する反応器中に導入するステップと、
前記ニオブ含有膜形成用前駆体の少なくとも一部を前記基板上に堆積するステップと
を含む原子層堆積方法。
【請求項12】
反応物を前記反応器中に導入するステップを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記反応物は、O、O、HO、H2、NO、NO、NO、それらの酸素ラジカル及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ニオブ含有膜形成用前駆体は、Nb(=NtBu)(iPr,H,iPr−Pyr)であり、及び前記反応物は、Oである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記基板は、Ru層である、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体があらゆる目的で参照により本明細書に援用される、2017年6月28日に出願された米国特許出願公開第15/636,354号明細書に対する優先権を主張するものである。
【0002】
ニオブ含有膜形成用組成物、それを合成する方法及びニオブ含有膜形成用組成物を使用する蒸着プロセスを介して1つ以上の基板上にニオブ含有膜を形成する方法が開示される。
【背景技術】
【0003】
従来、酸化ジルコニウム(ZrO)の薄膜がキャパシタ構造物における絶縁層のための高k材料として使用されてきた。最近、2つのZrO誘電体層間に挟まれた酸化ニオブ(Nb)薄膜が漏れ電流を著しく減らし、ZrOの立方/正方相を安定化させるのに役立つことが分かった。結果として得られるZrO/Nb/ZrOスタックは、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)の現在の金属−絶縁体−金属(MIM)キャパシタにおいてより高いk値を提供する。(Alumina,J.Vac.Sci.Technol A 4(6),1986及びMicroelectronic Engineering 86(2009)1789−1795)。
【0004】
窒化ニオブ(NbN、ここで、xは、約1である)などの金属窒化物膜は、それらが超電導体になる極めて低いT(4K)での光検出器などの幾つかの特定分野用途向けに使用されてきた。Romestain et al.,New Journal of Physics,Vol.6,2004。過去10年にわたり、TiN、TaN、WN又はNbNなどの金属窒化物がマイクロ電子デバイスにおける拡散障壁及び接着剤/膠層として一層使用されている[Applied Surface Science 120(1997)199−212]。NbClが例えばNbNの原子層エピタキシャル成長のためのニオブ源として検討されてきたが、このプロセスは、還元剤としてZnを必要とした[Applied Surface Science 82/83(1994)468−474]。NbN膜は、NbCl及びNHを使用する原子層堆積によっても堆積された[Thin Solid Films 491(2005)235−241]。塩素含有量は、強い温度依存性を示した。500℃で堆積した膜は、ほとんど塩素を含まなかったが、堆積温度が250℃ほどに低い場合、塩素含有量は、8原子%であった。同書。500℃の塩素を含まない堆積温度は、幾つかの半導体デバイスの製造にとって高すぎ得る。NbClの高い融点も、この前駆体を蒸着プロセスで使用することを困難にする。
【0005】
Gustらは、ピラゾラト配位子を有するニオブ及びタンタルイミド錯体の合成、構造及び性質並びにCVDによる窒化タンタル膜の成長のためのそれらの潜在的使用を開示している。Polyhedron 20(2001)805−813。しかし、当業者は、すべてのCVD前駆体がALDプロセスに適切であり得るわけではないことを認めるであろう。例えば、https://www.scribd.com/document/310950017/ALD−an−Enabler−for−Nanoscience−及び−Nanotechnology−Gordon−Harvard−Revied−Amide−CompoundsでGordon et al.を参照されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
絶縁性であろうと導電性であろうと、Nb含有膜の原子層堆積に適切である、液体又は低融点(50℃未満)で高度に熱安定性のある新規のニオブ含有前駆体分子が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
表記及び用語
特定の略語、記号及び用語が以下の説明及び特許請求の範囲の全体にわたって使用され、そのようなものとして以下が挙げられる。
【0008】
本明細書において使用される場合、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、1つ以上を意味する。
【0009】
本明細書において使用される場合、「およそ」又は「約」という用語は、記載の値の±10%を意味する。
【0010】
本明細書において列挙される任意の及びすべての範囲は、「両端値を含む」という用語が使用されているかどうかに関わらず、それらの終点を含む(すなわちx=1〜4又は1〜4のx範囲は、x=1、x=4及びx=その間の任意の数を含む)。
【0011】
元素の周期表からの元素の標準的な略語が本明細書において使用される。元素は、これらの略語によって表され得るものと理解されたい(例えば、Nbは、ニオブを意味し、Nは、窒素を意味し、Cは、炭素を意味するなど)。
【0012】
本明細書において使用される場合、R基の記載に関連して使用される場合の「独立して」という用語は、対象のR基が、同じ又は異なる下付き文字又は上付き文字を有する別のR基に対して独立して選択されるだけでなく、その同じR基のあらゆる追加の種類に対しても独立して選択されることを示すものと理解されたい。例えば、式MR(NR(4−x)(ここで、xは、2又は3である)中、2つ又は3つのR基は、互いに又はR若しくはRと同じ場合があるが、同じである必要はない。
【0013】
本明細書において使用される場合、「アルキル基」という用語は、炭素原子及び水素原子のみを含有する飽和官能基を意味する。更に、「アルキル基」という用語は、直鎖、分岐又は環状のアルキル基を意味する。直鎖アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。分岐アルキル基の例としては、t−ブチルが挙げられるが、これに限定されるものではない。環状アルキル基の例としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0014】
本明細書において使用される場合、「Me」という略語は、メチル基を意味し;「Et」という略語は、エチル基を意味し;「Pr」という略語は、プロピルを意味し;「nPr」という略語は、「ノルマル」又は直鎖プロピル基を意味し;「iPr」という略語は、イソプロピル基を意味し;「Bu」という略語は、ブチル基を意味し;「nBu」という略語は、「ノルマル」又は直鎖ブチル基を意味し;「tBu」という略語は、1,1−ジメチルエチルとしても知られるtert−ブチル基を意味し;「sBu」という略語は、1−メチルプロピルとしても知られるsec−ブチル基を意味し;「iBu」という略語は、2−メチルプロピルとしても知られるイソブチル基を意味し;「アミル」という用語は、アミル基又はペンチル基を意味し;「tアミル」という用語は、1,1−ジメチルプロピルとしても知られるtert−アミル基を意味する。
【0015】
本明細書において使用される場合、「TMS」という略語は、トリメチルシリル(MeSi−)を意味し;「DMS」という略語は、ジメチルシリル(MeHSi−)を意味し;「MMS」という略語は、モノメチルシリル(MeHSi−)を意味し;「py」という略語は、ピリジンを意味し;R,R,R−Pyrという略語は、次の構造:
【0016】
【化1】
【0017】
を有するピラゾリル配位子を意味する。
【0018】
酸化ニオブ又は窒化ニオブなど、堆積される膜又は層は、それらの適切な化学量論(例えば、NbONb)に言及することなく本明細書及び特許請求の範囲の全体にわたって列挙され得ることに留意されたい。これらの層は、典型的には0原子%〜15原子%で水素も含有し得る。しかし、定期的に測定されるわけではないため、与えられる任意の膜の組成は、特に明記されない限り、それらのH含有量を無視する。
【0019】
式:
【0020】
【化2】
【0021】
(式中、それぞれのR、R、R及びRは、独立して、H、アルキル基又はR’Siであり、それぞれのR’は、独立して、H又はアルキル基である)
を有する前駆体を含むニオブ含有膜形成用組成物が開示される。開示されるニオブ含有膜形成用組成物は、以下の態様の1つ以上を含み得る:
・それぞれのR、R、R及びRは、独立して、H、Me、Et、nPr、iPr、tBu、sBu、iBu、nBu、tアミル、SiMe、SiMeH又はSiHMeから選択される;
・それぞれのRは、iPr、tBu又はtアミルである;
・それぞれのRは、H又はMeである;
・R、R、R及びRは、それぞれtBu、H、H及びHである;
・R、R、R及びRは、それぞれtBu、Me、H及びHである;
・R、R、R及びRは、それぞれtBu、Me、H及びMeである;
・R、R、R及びRは、それぞれtBu、Me、Me及びMeである;
・R、R、R及びRは、それぞれtBu、Et、H及びEtである;
・R、R、R及びRは、それぞれtBu、nPr、H及びnPrである;
・R、R、R及びRは、それぞれtBu、iPr、H及びiPrである;
・R、R、R及びRは、それぞれtBu、tBu、H及びtBuである;
・R、R、R及びRは、それぞれtBu、tアミル、H及びtアミルである;
・R、R、R及びRは、それぞれtBu、iPr、H及びtBuである;
・R、R、R及びRは、それぞれtBu、iPr、H及びMeである;
・R、R、R及びRは、それぞれtBu、iPr、H及びEtである;
・R、R、R及びRは、それぞれtBu、SiMe、H及びSiMeである;
・R、R、R及びRは、それぞれtBu、SiHMe、H及びSiHMeである;
・R、R、R及びRは、それぞれtBu、SiHMe、H及びSiHMeである;
・R、R、R及びRは、それぞれtアミル、H、H及びHである;
・R、R、R及びRは、それぞれtアミル、Me、H及びHである;
・R、R、R及びRは、それぞれtアミル、Me、H及びMeである;
・R、R、R及びRは、それぞれtアミル、Me、Me及びMeである;
・R、R、R及びRは、それぞれtアミル、Et、H及びEtである;
・R、R、R及びRは、それぞれtアミル、nPr、H及びnPrである;
・R、R、R及びRは、それぞれtアミル、iPr、H及びiPrである;
・R、R、R及びRは、それぞれtアミル、tBu、H及びtBuである;
・R、R、R及びRは、それぞれtアミル、tアミル、H及びtアミルである;
・R、R、R及びRは、それぞれtアミル、iPr、H及びtBuである;
・R、R、R及びRは、それぞれtアミル、iPr、H及びMeである;
・R、R、R及びRは、それぞれtアミル、iPr、H及びEtである;
・R、R、R及びRは、それぞれtアミル、SiMe、H及びSiMeである;
・R、R、R及びRは、それぞれtアミル、SiHMe、H及びSiHMeである;
・R、R、R及びRは、それぞれtアミル、SiHMe、H及びSiHMeである;
・R、R、R及びRは、それぞれiPr、H、H及びHである;
・R、R、R及びRは、それぞれiPr、Me、H及びHである;
・R、R、R及びRは、それぞれiPr、Me、H及びMeである;
・R、R、R及びRは、それぞれiPr、Me、Me及びMeである;
・R、R、R及びRは、それぞれiPr、Et、H及びEtである;
・R、R、R及びRは、それぞれiPr、nPr、H及びnPrである;
・R、R、R及びRは、それぞれiPr、iPr、H及びiPrである;
・R、R、R及びRは、それぞれiPr、tBu、H及びtBuである;
・R、R、R及びRは、それぞれiPr、tアミル、H及びtアミルである;
・R、R、R及びRは、それぞれiPr、iPr、H及びtBuである;
・R、R、R及びRは、それぞれiPr、iPr、H及びMeである;
・R、R、R及びRは、それぞれiPr、iPr、H及びEtである;
・R、R、R及びRは、それぞれiPr、SiMe、H及びSiMeである;
・R、R、R及びRは、それぞれiPr、SiHMe、H及びSiHMeである;
・R、R、R及びRは、それぞれiPr、SiHMe、H及びSiHMeである;
・前駆体は、式Nb(=NiPr)(H,H,H−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=NiPr)(Me,H,H−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=NiPr)(Me,H,Me−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=NiPr)(Me,Me,Me−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=NiPr)(Et,H,Et−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=NiPr)(nPr,H,nPr−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=NiPr)(iPr,H,iPr−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=NiPr)(tBu,H,tBu−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=NiPr)(iBu,H,iBu−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=NiPr)(nBu,H,nBu−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=NiPr)(sBu,H,sBu−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=NiPr)(tアミル,H,tアミル−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=NiPr)(iPr,H,tBu−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=NiPr)(iPr,H,Me−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=NiPr)(iPr,H,Et−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=NiPr)(TMS,H,TMS−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=NiPr)(DMS,H,DMS−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=NiPr)(MMS,H,MMS−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=NtBu)(H,H,H−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=NtBu)(Me,H,H−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=NtBu)(Me,H,Me−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=NtBu)(Me,Me,Me−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=NtBu)(Et,H,Et−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=NtBu)(nPr,H,nPr−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=NtBu)(iPr,H,iPr−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=NtBu)(tBu,H,tBu−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=NtBu)(sBu,H,sBu−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=NtBu)(nBu,H,nBu−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=NtBu)(iBu,H,iBu−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=NtBu)(tアミル,H,tアミル−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=NtBu)(iPr,H,tBu−Pyr),を有する;
・前駆体は、式Nb(=NtBu)(iPr,H,Me−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=NtBu)(iPr,H,Et−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=NtBu)(TMS,H,TMS−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=NtBu)(DMS,H,DMS−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=NtBu)(MMS,H,MMS−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=Ntアミル)(H,H,H−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=Ntアミル)(Me,H,H−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=Ntアミル)(Me,H,Me−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=Ntアミル)(Me,Me,Me−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=Ntアミル)(Et,H,Et−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=Ntアミル)(nPr,H,nPr−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=Ntアミル)(iPr,H,iPr−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=Ntアミル)(tBu,H,tBu−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=Ntアミル)(sBu,H,sBu−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=Ntアミル)(nBu,H,nBu−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=Ntアミル)(iBu,H,iBu−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=Ntアミル)(tアミル,H,tアミル−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=Ntアミル)(iPr,H,tBu−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=Ntアミル)(iPr,H,Me−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=Ntアミル)(iPr,H,Et−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=Ntアミル)(TMS,H,TMS−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=Ntアミル)(DMS,H,DMS−Pyr)を有する;
・前駆体は、式Nb(=Ntアミル)(MMS,H,MMS−Pyr)を有する;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約95.0%w/w〜約100.0%w/wの前駆体を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0.0%w/w〜約5.0%w/wの不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0.0%w/w〜約2.0%w/wの不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0.0%w/w〜約1.0%w/wの不純物を含む;
・不純物は、ピラゾール類;ピリジン類;アルキルアミン;アルキルイミン;THF;エーテル;ペンタン;シクロヘキサン;ヘプタン;ベンゼン;トルエン;塩素化金属化合物;リチウム、ナトリウム又はカリウムピラゾールを含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0.0%w/w〜約2.0%w/wのピラゾール類不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0.0%w/w〜約2.0%w/wのピリジン類不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0.0%w/w〜約2.0%w/wのアルキルアミン不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0.0%w/w〜約2.0%w/wのアルキルイミン不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0.0%w/w〜約2.0%w/wのTHF不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0.0%w/w〜約2.0%w/wのエーテル不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0.0%w/w〜約2.0%w/wのペンタン不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0.0%w/w〜約2.0%w/wのシクロヘキサン不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0.0%w/w〜約2.0%w/wのヘプタン不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0.0%w/w〜約2.0%w/wのベンゼン不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0.0%w/w〜約2.0%w/wのトルエン不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0.0%w/w〜約2.0%w/wの塩素化金属化合物不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0.0%w/w〜約2.0%w/wのリチウム、ナトリウム又はカリウムピラゾリル不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0ppbw〜約1ppmwの金属不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0ppbw〜約500ppbwの金属不純物を含む;
・金属不純物は、アルミニウム(Al)、ヒ素(As)、バリウム(Ba)、ベリリウム(Be)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、銅(Cu)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、インジウム(In)、鉄(Fe)、鉛(Pb)、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、ストロンチウム(Sr)、トリウム(Th)、スズ(Sn)、チタン(Ti)、ウラン(U)及び亜鉛(Zn)を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0ppbw〜約500ppbwのAl不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0ppbw〜約500ppbwのAs不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0ppbw〜約500ppbwのBa不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0ppbw〜約500ppbwのBe不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0ppbw〜約500ppbwのBi不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0ppbw〜約500ppbwのCd不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0ppbw〜約500ppbwのCa不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0ppbw〜約500ppbwのCr不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0ppbw〜約500ppbwのCo不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0ppbw〜約500ppbwのCu不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0ppbw〜約500ppbwのGa不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0ppbw〜約500ppbwのGe不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0ppbw〜約500ppbwのHf不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0ppbw〜約500ppbwのZr不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0ppbw〜約500ppbwのIn不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0ppbw〜約500ppbwのFe不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0ppbw〜約500ppbwのPb不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0ppbw〜約500ppbwのLi不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0ppbw〜約500ppbwのMg不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0ppbw〜約500ppbwのMn不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0ppbw〜約500ppbwのW不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0ppbw〜約500ppbwのNi不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0ppbw〜約500ppbwのK不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0ppbw〜約500ppbwのNa不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0ppbw〜約500ppbwのSr不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0ppbw〜約500ppbwのTh不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0ppbw〜約500ppbwのSn不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0ppbw〜約500ppbwのTi不純物を含む;
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0ppbw〜約500ppbwのU不純物を含む;及び
・ニオブ含有膜形成用組成物は、約0ppbw〜約500ppbwのZn不純物を含む。
【0022】
入口導管及び出口導管を有し、上記に開示されるニオブ含有膜形成用組成物のいずれかを収容するするキャニスターを含むニオブ含有膜形成用組成物送出装置も開示される。開示される送出装置は、以下の態様の1つ以上を含み得る:
・入口導管の末端は、ニオブ含有膜形成用組成物の表面より上に位置し、及び出口導管の末端は、ニオブ含有膜形成用組成物の表面より上に位置する;
・入口導管の末端は、ニオブ含有膜形成用組成物の表面より上に位置し、及び出口導管の末端は、ニオブ含有膜形成用組成物の表面より下に位置する;
・入口導管の末端は、ニオブ含有膜形成用組成物の表面より下に位置し、及び出口導管の末端は、ニオブ含有膜形成用組成物の表面より上に位置する。
【0023】
基板上へのニオブ含有膜の堆積プロセスも開示される。上記に開示されるニオブ含有膜形成用組成物は、反応器であって、その中に配置された基板を有する反応器中に導入される。前駆体の少なくとも一部が基板上に堆積されてニオブ含有層を形成する。開示されるプロセスは、以下の態様の1つ以上を更に含み得る:
・反応物を反応器中に導入する;
・反応物は、プラズマ処理される;
・反応物は、プラズマ処理されない;
・反応物は、遠隔プラズマ処理される;
・反応物は、H、HCO、N、NH、水素ラジカル、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、トリシリルアミン及びそれらの混合物からなる群から選択される;
・反応物は、Hである;
・反応物は、NHである;
・反応物は、O、O、HO、H2、NO、NO、NO、それらの酸素ラジカル及びそれらの混合物からなる群から選択される;
・反応物は、HOである;
・反応物は、プラズマ処理されたOである;
・反応物は、Oである;
・ニオブ含有前駆体及び反応物は、チャンバー中に逐次導入される;
・ニオブ含有前駆体の導入及び反応物の導入は、反応物とNb含有前駆体との気相混合を回避するために時間的又は空間的に分離される;
・別の前駆体を反応器中に導入する;
・第2前駆体は、IV族元素、別のV族元素、Si、Ge、Al又は任意のランタニドから選択される元素Mを含む;
・ニオブ含有膜及び第2前駆体は、積層体を形成する;
・ニオブ含有膜及び第2前駆体は、NbO/MO積層体を形成する;
・反応器は、原子層堆積のために構成される;
・反応器は、プラズマ支援原子層堆積のために構成される;
・反応器は、空間原子層堆積のために構成される;
・ニオブ含有膜は、Nbであり、ここで、n及びmのそれぞれは、1〜6(両端値を含む)の範囲である整数である;
・ニオブ含有膜は、NbO又はNbである;
・ニオブ含有膜は、Nbであり、ここで、o及びpのそれぞれは、1〜6(両端値を含む)の範囲である整数である;
・ニオブ含有膜は、NbNである;
・ニオブ含有膜は、Nbであり、ここで、o、p及びqのそれぞれは、1〜6(両端値を含む)の範囲である整数である;
・ニオブ含有膜は、NbONである;
・ニオブ含有膜は、NbMOであり、ここで、Mは、IV族元素、別のV族元素、Si、Ge、Al又は任意のランタニドである。
【0024】
本発明の性質及び目的の更なる理解のため、添付の図面とともに以下の詳細な説明を参照すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】ニオブ(tブチルイミド)トリス(3,5−ジメチルピラゾリル)[Nb(=NtBu)(Me,H,Me−Pyr)]のHNMRスペクトルである。
図2】Nb(=NtBu)(Me,H,Me−Pyr)の温度の上昇に伴って重量減少の百分率を実証する熱重量分析(TGA)グラフである。
図3】Nb(=NtBu)(Me,H,Me−Pyr)の融点及び分解温度を実証する示差走査熱量測定法(DSC)グラフである。
図4】ニオブ(tアミルイミド)トリス(3,5−ジメチルピラゾリル)[Nb(=NtAm)(Me,H,Me−Pyr)]のHNMRスペクトルである。
図5】Nb(=NtAm)(Me,H,Me−Pyr)の温度の上昇に伴って重量減少の百分率を実証するTGAグラフである。
図6】ニオブ(tブチルイミド)トリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)[Nb(=NtBu)(iPr,H,iPr−Pyr)]のHNMRスペクトルである。
図7】Nb(=NtBu)(iPr,H,iPr−Pyr)の温度の上昇に伴って重量減少の百分率を実証するTGAグラフである。
図8】Nb(=NtBu)(iPr,H,iPr−Pyr)の融点及び分解温度を実証するDSCグラフである。
図9】Nb(=NtBu)(iPr,H,iPr−Pyr)を使用するチャンバー温度の関数としての窒化ニオブ膜成長速度及び%非一様性を示すグラフである。
図10】Nb(=NtBu)(iPr,H,iPr−Pyr)を使用する前駆体源導入時間の関数としての375℃での窒化ニオブ膜成長速度を示すグラフである。
図11】Nb(=NtBu)(NEt及びNb(=NtBu)(iPr,H,iPr−Pyr)を使用して、ALDサイクルの数当たりを用いるチャンバー温度の関数としての窒化ニオブ膜成長速度を示すグラフである。
図12】Nb(=NtBu)(iPr,H,iPr−Pyr)を使用するチャンバー温度の関数としてのNb膜成長速度(菱形)及び非一様性(丸形)を示すグラフである。
図13】300℃で生成したNb膜のX線分光法(XPS)グラフである。
図14】325℃で生成したNb膜のXPSグラフである。
図15a】1:15アスペクト比を有する構造物上に形成されたNb膜の走査電子顕微鏡(SEM)画像である。
図15b図15aの構造物の最上部のクローズアップSEM画像である。
図15c図15aの構造物の底部のクローズアップSEM画像である。
図16】液体ニオブ含有膜形成用組成物送出装置1の一実施形態の側面図である。
図17】ニオブ含有膜形成用組成物送出装置1の第2実施形態の側面図である。
図18】固体ニオブ含有膜形成用組成物を昇華させるための固体前駆体昇華装置100の代表的な実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
式:
【0027】
【化3】
【0028】
(式中、それぞれのR、R、R及びRは、独立して、H、アルキル基又はR’Siであり、それぞれのR’は、独立して、H又はアルキル基である)
を有する前駆体を含むニオブ含有膜形成用組成物が開示される。式に例示されるように、窒素原子は、ニオブ原子に結合し、4配位Nb(V)中心をもたらし得る。結果として得られるジオメトリーは、それぞれの3,5−ジアルキルピラゾリル部分中の窒素−窒素結合の中心が一座配位子と見なされる4面体であり得る。ピラゾリル配位子中の炭素原子は、sp混成であり、Nbは、η5結合ピラゾラト環によって配位されていると考えることができるモノアニオン性配位子にわたって非局在化電荷をもたらし得る。この実施形態では、式は、
【0029】
【化4】
【0030】
であろう。
【0031】
代わりに、ピラゾリル配位子中の炭素原子は、sp3混成又はsp2混成とsp混成とのある組み合わせのいずれかであり、窒素原子の1つ上に負電荷をもたらし、且つ窒素原子の他のものの上に中性電荷をもたらし得る。この実施形態では、式は、
【0032】
【化5】
【0033】
であろう。
【0034】
便宜上、非局在結合は、下式に描かれる。しかし、それぞれの式は、代わりに、NとNbとの間の単結合を示すこの式で表され得る。
【0035】
R=iPrである場合、ニオブ含有膜形成用前駆体は、式Nb(=NiPr)(R,R,R−Pyr)
【0036】
【化6】
【0037】
(式中、それぞれのR、R及びRは、独立して、H、アルキル基又はSiR’であり、それぞれのR’は、独立して、H又はアルキル基である)
を有し得る。好ましくは、それぞれのR、R及びRは、独立して、H、Me、Et、nPr、iPr、tBu、sBu、iBu、nBu、tアミル、SiMe、SiMeH又はSiHMeである。
【0038】
代表的な前駆体としては、Nb(=NiPr)(H,H,H−Pyr)、Nb(=NiPr)(Me,H,H−Pyr)、Nb(=NiPr)(Me,H,Me−Pyr)、Nb(=NiPr)(Me,Me,Me−Pyr)、Nb(=NiPr)(Et,H,Et−Pyr)、Nb(=NiPr)(nPr,H,nPr−Pyr)、Nb(=NiPr)(iPr,H,iPr−Pyr)、Nb(=NiPr)(tBu,H,tBu−Pyr)、Nb(=NiPr)(iBu,H,iBu−Pyr)、Nb(=NiPr)(nBu,H,nBu−Pyr)、Nb(=NiPr)(sBu,H,sBu−Pyr)、Nb(=NiPr)(tアミル,H,tアミル−Pyr)、Nb(=NiPr)(iPr,H,tBu−Pyr)、Nb(=NiPr)(iPr,H,Me−Pyr)、Nb(=NiPr)(iPr,H,Et−Pyr)、Nb(=NiPr)(TMS,H,TMS−Pyr)、Nb(=NiPr)(DMS,H,DMS−Pyr)又はNb(=NiPr)(MMS,H,MMS−Pyr)が挙げられる。
【0039】
R=tBuである場合、ニオブ含有膜形成用前駆体は、式Nb(=NtBu)(R,R,R−Pyr)
【0040】
【化7】
【0041】
(式中、それぞれのR、R及びRは、独立して、H、アルキル基又はSiR’であり、それぞれのR’は、独立して、H又はアルキル基である)
を有し得る。好ましくは、それぞれのR、R及びRは、独立して、H、Me、Et、nPr、iPr、tBu、sBu、iBu、nBu、tアミル、SiMe、SiMeH又はSiHMeである。
【0042】
代表的な前駆体としては、Nb(=NtBu)(H,H,H−Pyr)、Nb(=NtBu)(Me,H,H−Pyr)、Nb(=NtBu)(Me,H,Me−Pyr)、Nb(=NtBu)(Me,Me,Me−Pyr)、Nb(=NtBu)(Et,H,Et−Pyr)、Nb(=NtBu)(nPr,H,nPr−Pyr)、Nb(=NtBu)(iPr,H,iPr−Pyr)、Nb(=NtBu)(tBu,H,tBu−Pyr)、Nb(=NtBu)(sBu,H,sBu−Pyr)、Nb(=NtBu)(nBu,H,nBu−Pyr)、Nb(=NtBu)(iBu,H,iBu−Pyr)、Nb(=NtBu)(tアミル,H,tアミル−Pyr)、Nb(=NtBu)(iPr,H,tBu−Pyr)、Nb(=NtBu)(iPr,H,Me−Pyr)、Nb(=NtBu)(iPr,H,Et−Pyr)、Nb(=NtBu)(TMS,H,TMS−Pyr)、Nb(=NtBu)(DMS,H,DMS−Pyr)又はNb(=NtBu)(MMS,H,MMS−Pyr)が挙げられる。
【0043】
R=tアミルである場合、ニオブ含有膜形成用前駆体は、式Nb(=Ntアミル)(R,R,R−Pyr)
【0044】
【化8】
【0045】
(式中、それぞれのR、R及びRは、独立して、H、アルキル基又はSiR’であり、それぞれのR’は、独立して、H又はアルキル基である)
を有し得る。好ましくは、それぞれのR、R及びRは、独立して、H、Me、Et、nPr、iPr、tBu、sBu、iBu、nBu、tアミル、SiMe、SiMeH又はSiHMeである。
【0046】
代表的な前駆体としては、Nb(=Ntアミル)(H,H,H−Pyr)、Nb(=Ntアミル)(Me,H,H−Pyr)、Nb(=Ntアミル)(Me,H,Me−Pyr)、Nb(=Ntアミル)(Me,Me,Me−Pyr)、Nb(=Ntアミル)(Et,H,Et−Pyr)、Nb(=Ntアミル)(nPr,H,nPr−Pyr)、Nb(=Ntアミル)(iPr,H,iPr−Pyr)、Nb(=Ntアミル)(tBu,H,tBu−Pyr)、Nb(=Ntアミル)(sBu,H,sBu−Pyr)、Nb(=Ntアミル)(nBu,H,nBu−Pyr)、Nb(=Ntアミル)(iBu,H,iBu−Pyr)、Nb(=Ntアミル)(tアミル,H,tアミル−Pyr)、Nb(=Ntアミル)(iPr,H,tBu−Pyr)、Nb(=Ntアミル)(iPr,H,Me−Pyr)、Nb(=Ntアミル)(iPr,H,Et−Pyr)、Nb(=Ntアミル)(TMS,H,TMS−Pyr)、Nb(=Ntアミル)(DMS,H,DMS−Pyr)又はNb(=Ntアミル)(MMS,H,MMS−Pyr)が挙げられる。
【0047】
これらの前駆体は、Nb(=NR)X(py)を3当量のZ(R,R,R−Pyr)と反応させることによって合成され得、ここで、Xは、F、Cl、Br及びIからなる群から選択されるハロゲンであり;Zは、Li、Na及びKからなる群から選択されるアルカリ金属であり;R、R、R及びRは、上記に定義されている。Nb(=NR)X(py)は、Chemische Berichte,Vol 127,Issue 7,1994,1201−12に記載されているように調製され得る。Z(R,R,R−Pyr)は、n−ブチルリチウム(nBuLi)などのアルキルアルカリ金属と、対応するR,R,R−ピラゾールとの反応によって調製され得る。反応物の添加は、温度が−50℃未満である低温で行われ得る。反応は、THF又はジエチルエーテルなどの極性溶媒中で行われ得る。前駆体は、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン及びトルエンなどの非極性溶媒での抽出によってアルカリ塩から分離され得る。結果として得られるニオブ含有膜形成用組成物は、減圧昇華、減圧蒸留又は限定なしにTHF、ジエチルエーテル、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン若しくはそれらの混合物からなる群から選択される適切な溶媒中での再結晶によって精製され得る。
【0048】
開示されるニオブ含有膜形成用組成物の純度は、95%w/w超(すなわち95.0%w/w〜100.0%w/w)、好ましくは98%w/w超(すなわち98.0%w/w〜100.0%w/w)、より好ましくは99%w/w超(すなわち99.0%w/w〜100.0%w/w)である。当業者は、この純度がH NMR又は質量分析法付きのガス又は液体クロマトグラフィーによって測定され得ることを認めるであろう。開示されるニオブ含有膜形成用組成物は、次の不純物:ピラゾール類;ピリジン類;アルキルアミン;アルキルイミン;THF;エーテル;ペンタン;シクロヘキサン;ヘプタン;ベンゼン;トルエン;塩素化金属化合物;又はリチウム、ナトリウム若しくはカリウムピラゾリルのいずれかを含有し得る。これらの不純物の全量は、5%w/w未満(すなわち0.0%w/w〜5.0%w/w)、好ましくは2%w/w未満(すなわち0.0%w/w〜2.0%w/w)、より好ましくは1%w/w未満(すなわち0.0%w/w〜1.0%w/w)である。組成物は、再結晶、昇華、蒸留及び/又は4Aモレキュラーシーブなどの適切な吸着材にガス又は液体を通すことによって精製され得る。
【0049】
開示されるニオブ含有膜形成用組成物の精製はまた、0ppbw〜1ppmw、好ましくは0〜500ppbw(十億重量当たりの部)レベルでの金属不純物をもたらし得る。これらの金属不純物としては、アルミニウム(Al)、ヒ素(As)、バリウム(Ba)、ベリリウム(Be)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、銅(Cu)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、インジウム(In)、鉄(Fe)、鉛(Pb)、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、ストロンチウム(Sr)、トリウム(Th)、スズ(Sn)、チタン(Ti)、ウラン(U)及び亜鉛(Zn)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
蒸着プロセスを用いて基板上にニオブ含有層を形成する方法も開示される。本出願人らは、開示されるニオブ含有膜形成用組成物が原子層堆積に適していると考えており、それを以下の堆積実施例において実証する。より具体的には、開示されるニオブ含有膜形成用組成物は、表面飽和、1サイクル当たりの自己限定的成長及び約2:1〜約200:1、好ましくは約20:1〜約100:1の範囲のアスペクト比に関する完全ステップカバレージが可能である。更に、開示されるニオブ含有膜形成用組成物は、ALDを可能にするための良好な熱安定性を示す高い分解温度を有する。高い分解温度は、より高い純度を有する膜をもたらすより高い温度でのALDを可能にする。
【0051】
この方法は、半導体、光起電力、LCD−TFT又はフラットパネル型のデバイスの製造において有用であり得る。当業者に周知のあらゆる堆積方法を用いるニオブ含有薄膜の堆積に、開示されるニオブ含有膜形成用組成物を用いることができる。適切な気相成長方法の例としては、化学気相成長(CVD)又は原子層堆積(ALD)が挙げられる。代表的なCVD方法としては、熱CVD、プラズマ支援CVD(PECVD)、パルスCVD(PCVD)、低圧CVD(LPCVD)、準大気圧CVD(SACVD)又は大気圧CVD(APCVD)、ホットワイヤーCVD(HWCVD、cat−CVDとしても知られ、ホットワイヤーが堆積プロセスのエネルギー源として機能する)、ラジカル組み込みCVD及びそれらの組合せが挙げられる。代表的なALD方法としては、熱式ALD,プラズマ支援ALD(PEALD)、空間隔離ALD、ホットワイヤーALD(HWALD)、ラジカル組み込みALD及びそれらの組み合わせが挙げられる。超臨界流体堆積も使用され得る。堆積方法は、好ましくは、適切なテップカバレージ及び膜厚制御を提供するためにALD、PE−ALD又は空間ALDである。
【0052】
開示されるニオブ含有膜形成用組成物は、ニート形態又はエチルベンゼン、キシレン、メシチレン、デカリン、デカン、ドデカンなどの適切な溶媒とのブレンド物のいずれかで供給され得る。開示される前駆体は、溶媒中に様々な濃度で存在し得る。
【0053】
ニートの又は混合されたニオブ含有膜形成用組成物は、配管及び/又は流量計などの従来手段によって蒸気形態で反応器中に導入される。従来の気化ステップ、例えば直接気化、蒸留若しくはバブリングにより、又はXuらのPCT公開国際公開第2009/087609号パンフレットに開示されるものなどの昇華器を用いることにより、ニートの又は混合された組成物を気化させることによって蒸気形態を得ることができる。反応器中に導入する前に気化させる場合、ニートの又は混合された組成物を液体状態で蒸発器に供給することができる。代わりに、組成物を収容する容器中にキャリアガスを流すことにより、又はキャリアガスを組成物中にバブリングすることにより、ニートの又は混合された組成物を気化させることができる。キャリアガスとしては、Ar、He、N及びそれらの混合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。キャリアガスのバブリングにより、ニートの又は混合された組成物溶液中に存在するあらゆる溶存酸素を除去することもできる。キャリアガスと組成物とは、次に蒸気として反応器中に導入される。
【0054】
必要に応じて、組成物がその液相にあることができ、十分な蒸気圧を有することができる温度まで、開示される組成物を収容する容器を加熱することができる。容器は、例えば、約0℃〜約180℃の範囲内の温度に維持することができる。当業者は、気化させる前駆体の量を制御するために周知の方法で容器の温度を調節できることを認識する。
【0055】
ニオブ含有膜形成用組成物は、開示されるニオブ含有膜形成用組成物送出装置によって半導体処理ツールまで送出することができる。図16及び17は、開示される送出装置1の2つの実施形態を示す。
【0056】
16は、ニオブ含有膜形成用組成物送出装置1の一実施形態の側面図である。図16では、開示されるニオブ含有膜形成用組成物11は、少なくとも2つの導管、入口導管3及び出口導管4を有する容器2内に収容される。前駆体分野の当業者であれば、高温及び高圧でも気体の形態のニオブ含有膜形成用組成物11の漏れが防止されるように容器2、入口導管3及び出口導管4が製造されることを認識するであろう。
【0057】
適切なバルブとしては、ばね荷重バルブ又はダイヤフラムが取り付けられたバルブが挙げられる。バルブは、制限流オリフィス(RFO)を更に含むことができる。送出装置1は、ガスマニホールドに接続され、エンクロージャー中にあるべきである。ガスマニホールドにより、あらゆる残留量の材料が反応しないように、送出装置1が交換されるときに空気に曝露し得る配管の安全な排気及びパージが可能となるであろう。
【0058】
送出装置1は、漏れが生じないようにする必要があり、閉じたときにわずかな量の材料も漏れないようにすることができるバルブを取り付ける必要がある。送出装置1は、バルブ6及び7により、前述の開示のガスキャビネットなどの半導体処理ツールの別の構成要素に流体接続される。好ましくは、容器2、入口導管3、バルブ6、出口導管4及びバルブ7は、典型的には316L EPステンレス鋼でできている。
【0059】
16では、入口導管3の末端8は、ニオブ含有膜形成用組成物11の表面より上に位置する一方、出口導管4の末端9は、ニオブ含有膜形成用組成物11の表面より下に位置する。この実施形態では、ニオブ含有膜形成用組成物11は、好ましくは、液体形態である。限定するものではないが、窒素、アルゴン、ヘリウム及びそれらの混合物などの不活性ガスを入口導管3内に導入することができる。不活性ガスによって容器2が加圧され、それにより、液体のニオブ含有膜形成用組成物11は、出口導管4から半導体処理ツールの構成要素(図示せず)まで押し出される。半導体処理ツールとしては、修復されるウエハが配置され、気相での処理が行われるチャンバーに蒸気を送出するために、ヘリウム、アルゴン、窒素又はそれらの混合物などのキャリアガスを使用して又は使用せずに、液体のニオブ含有膜形成用組成物11を蒸気に変換する蒸発器を挙げることができる。代わりに、液体のニオブ含有膜形成用組成物11は、ジェット又はエアロゾルとしてウエハ表面に直接送出することができる。
【0060】
17は、ニオブ含有膜形成用組成物送出装置1の第2の実施形態の側面図である。図17では、入口導管3の末端8は、ニオブ含有膜形成用組成物11の表面より下に位置する一方、出口導管4の末端9は、ニオブ含有膜形成用組成物11の表面より上に位置する。図17は、任意選択の加熱要素14も含み、これによってニオブ含有膜形成用組成物11の温度を上昇させることができる。ニオブ含有膜形成用組成物11は、固体又は液体の形態であり得る。限定するものではないが、窒素、アルゴン、ヘリウム及びそれらの混合物などの不活性ガスが入口導管3内に導入される。不活性ガスは、ニオブ含有膜形成用組
成物11中を流れ、不活性ガスと気化したニオブ含有膜形成用組成物11との混合物を出口導管4に運び、半導体処理ツールの構成要素まで運ぶ。
【0061】
16及び17の両方は、バルブ6及び7を含む。当業者は、それぞれ導管3及び4を通して流れることができるように、バルブ6及び7を開放位置又は閉鎖位置に配置できることを認識するであろう。別の代替形態では、入口導管3及び出口導管4は、本明細書における本開示から逸脱することなく、ニオブ含有膜形成用組成物11の表面より上に両方とも配置し得る。更に、入口導管3は、充填口であり得る。
【0062】
別の代替形態では、ニオブ含有膜形成用組成物11が蒸気形態にある場合又は十分な蒸気圧が固相/液相の上方に存在する場合、図16若しくは17における送出装置1又は存在する任意の固体若しくは液体の表面より上で終わる単一導管を有するより単純な送出装置が使用され得る。この場合、ニオブ含有膜形成用組成物11は、それぞれ図16におけるバルブ6又は図17におけるバルブ7を開けることによって簡単に導管3又は4を通して蒸気形態で送出される。例えば、任意選択の加熱要素14を用いることにより、ニオブ含有膜形成用組成物11を蒸気形態で送出するのに十分な蒸気圧を得るために適切な温度に送出装置1を維持することができる。
【0063】
ニオブ含有膜形成用組成物が固体である場合、昇華器を用いてそれらの蒸気を反応器に送出することができる。図18は、適切な昇華器100の一実施形態を示す。昇華器100は、容器33を含む。容器33は、円筒形容器であり得るか、又はこれとは別に制限なくあらゆる形状であり得る。容器33は、ステンレス鋼、ニッケル及びその合金、石英、ガラス並びに他の化学的に適合する材料などの材料で構成され、制限はない。ある場合には、容器33は、別の金属又は金属合金で構成され、制限はない。ある場合には、容器33は、約8センチメートル〜約55センチメートルの内径を有し、且つ代わりに約8センチメートル〜約30センチメートルの内径を有する。当業者によって理解されるように、別の構成は、別の寸法を有することができる。
【0064】
容器33は、封止可能な上部15、封止部材18及びガスケット20を含む。封止可能な上部15は、外部環境から容器33を封止するように構成される。封止可能な上部15は、容器33に到達できるように構成される。更に、封止可能な上部15は、容器33中への導管の通路のために構成される。代わりに、封止可能な上部15は、容器33中に流体が流れるように構成される。封止可能な上部15は、容器33との流体接触を維持するための浸漬管92を含む導管を収容し、それが貫通するように構成される。制御バルブ90及び取付具95を有する浸漬管92は、キャリアガスが容器33中に流れるように構成される。ある場合には、浸漬管92は、容器33の中心軸の下方に延在する。更に、封止可能な上部15は、出口管12を含む導管を収容し、それが貫通するように構成される。キャリアガスとニオブ含有膜形成用組成物の蒸気とは、出口管12を通って容器33から取り出される。出口管12は、制御バルブ10及び取付具5を含む。ある場合には、出口管12は、昇華器100から膜堆積チャンバーまで送るためにガス送出マニホールドと流体連結される。
【0065】
容器33及び封止可能な上部15は、少なくとも2つの封止部材18により、代わりに少なくとも約4つの封止部材により封止される。ある場合には、封止可能な上部15は、少なくとも約8つの封止部材18によって容器33に封止される。当業者によって理解されるように、封止部材18は、封止可能な上部15を容器33に取り外し可能に連結し、ガスケット20とともに耐ガス性シールを形成する。封止部材18は、容器33を封止するための当業者に周知のあらゆる適切な手段を含むことができる。ある場合には、封止部材18は、つまみねじを含む。
【0066】
18に示されるように、容器33は、内部に配置される少なくとも1つのディスクを更に含む。ディスクは、固体材料のための棚又は水平支持体を含む。ある実施形態では、
ディスク30が容器33の内径又は円周よりも小さい外径又は円周を含み、開口部31を形成するように、内側ディスク30は、容器33内に環状に配置される。ディスク86が容器33の内径と同じ、ほぼ同じ又はほぼ重なる外径又は円周を含むように、容器内の周囲に外側ディスク86が配置される。外側ディスク86により、ディスクの中央に配置される開口部87が形成される。複数のディスクが容器33内に配置される。これらのディスクは、交互に積み重ねられ、内側ディスク30、34、36、44は、容器内で交互に外側ディスク62、78、82、86と垂直方向に積み重ねられる。実施形態では、内側ディスク30、34、36、44は、外側に向かって環状に延在し、外側ディスク62、78、82、86は、容器33の中央に向かって環状に延在する。図18の実施形態に示されるように、内側ディスク30、34、36、44は、外側ディスク62、78、82、86と物理的に接触しない。
【0067】
組み立てられた昇華器100は、配列され且つ連結された支持脚50、内部通路51、同心の壁40、41、42及び同心のスロット47、48、49を含む内側ディスク30、34、36、44を含む。内側ディスク30、34、36、44は、垂直に積み重ねられ、浸漬管92の周囲に環状の方向にある。更に、昇華器は、外側ディスク62、78、82、86を含む。図18に示されるように、容器33からディスク62、78、82、86に熱が伝達するために良好な接触となるように、外側ディスク62、78、82、86は、容器33中に隙間なく嵌合すべきである。好ましくは、外側ディスク62、78、82、86は、容器33の内壁に結合されるか又は物理的に接触する。
【0068】
図示されるように、外側ディスク62、78、82、86と、内側ディスク30、34、36、44とは、容器33の内側に積み重ねられる。容器33中で組み立てて昇華器100が形成されると、内側ディスク30、34、36、44は、組み立てられた外側ディスク62、78、82、86間で外側ガス通路31、35、37、45を形成する。更に、外側ディスク62、78、82、86は、内側ディスク30、34、36、44の支持脚と内側ガス通路56、79、83、87を形成する。内側ディスク30、34、36、44の壁40、41、42は、固体前駆体を保持するための溝付きスロットを形成する。外側ディスク62、78、82、86は、固体前駆体を保持するための壁68、69、70を含む。組立中、内側ディスク30、34、36、44の環状スロット47、48、49及び外側ディスク62、78、82、86の環状スロット64、65、66中に固体前駆体が入れられる。
【0069】
18は、任意の固体のニオブ含有膜形成用組成物の蒸気を反応器に送出することができる昇華器の一実施形態を開示しているが、当業者であれば、本明細書の教示から逸脱しない別の昇華器設計も適切であり得ることを認識するであろう。更に、当業者であれば、本明細書の教示から逸脱せずに、開示されるニオブ含有膜形成用組成物11は、Jurcikらの国際公開第2006/059187号パンフレットに開示されるアンプルなどの別の送出装置を用いて半導体処理ツールに送出できることを認識するであろう。
【0070】
反応器は、限定するものではないが、化合物を反応させ、層を形成させるのに適切な条件下において、平行板型反応器、コールドウォール型反応器、ホットウォール型反応器、枚葉式反応器、多葉式反応器又は他のタイプの堆積システムなどの装置内で堆積方法が行われるあらゆるエンクロージャー又はチャンバーであり得る。当業者は、これらの反応器のいずれかがALD又はCVD堆積プロセスのいずれかのために使用され得ることを認めるであろう。
【0071】
反応器には、膜がその上に堆積される1つ以上の基板が収容される。基板は、プロセスが行われる材料として一般に定義される。基板は、半導体、光起電力、フラットパネル又はLCD−TFTのデバイスの製造に使用されるあらゆる適切な基板であり得る。適切な基板の例としては、シリコン、シリカ、ガラスなどのウエハ又はGaAsウエハが挙げられる。ウエハは、前の製造ステップでその上に堆積された異なる材料の1つ以上の層を有し得る。例えば、ウエハは、シリコン層(結晶性、非晶質、多孔質など)、酸化ケイ素層、窒化ケイ素層、酸窒化ケイ素層、炭素ドープ酸化ケイ素(SiCOH)層、金属若しくは金属窒化物層(Ti、Ru、Taなど)又はそれらの組み合わせを含み得る。更に、ウエハは、銅層又は貴金属層(例えば、白金、パラジウム、ロジウム若しくは金)を含み得る。ウエハは、マンガン、酸化マンガンなどの障壁層を含み得る。ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホネート)[PEDOT:PSS]などのプラスチック層も使用され得る。層は、平面である場合もパターン化される場合もある。開示される方法により、ウエハの上に直接又はウエハの上面上の1つ若しくは2つ以上の層(パターン化された複数の層が基板を形成する場合)の上に直接、ニオブ含有層を堆積することができる。更に、当業者であれば、本明細書において使用される「膜」又は「層」という用語は、表面上に配置されるか又は広げられるある厚さのある材料を意味し、この表面は、トレンチ又は線であり得ることを認識するであろう。本明細書及び請求項の全体にわたって、ウエハ及びその上の任意の関連する層が基板と呼ばれる。例えば、酸化ニオブ膜は、ZrO層、HfO層又はMoO層などの金属酸化物層上に堆積され得る。引き続く処理において、別の金属酸化物層を酸化ニオブ層の上に堆積して積層体を形成し得る。ZrO/Nb/ZrO積層体誘電性スタックは、DRAM高kスタックに典型的なものである。窒化ニオブ層又は窒化チタン層などの導電性金属窒化物層は、それぞれ下部及び上部電極を形成するために最後の金属酸化物層の前又は最後の層の上に堆積され得る。結果として得られるNbN/ZrO/Nb/ZrO/NbNスタックは、DRAMキャパシタ中に使用され得る。RuO、Ru、Pt、Ir、WN、WNCなどの他の導電性膜も、単独で又はNbN若しくはTaN層に加えて下部又は上部電極として使用され得る。
【0072】
反応器内の温度及び圧力は、原子層堆積に適切な条件に維持される。換言すると、気化した組成物をチャンバー中に導入した後、チャンバー内の条件は、前駆体の一部が基板上に堆積してニオブ含有層を形成するような条件である。例えば、反応器内の圧力は、堆積パラメーターに準拠して必要に応じて約1Pa〜約10Pa、より好ましくは約25Pa〜約10Paに維持することができる。同様に、反応器内の温度は、約100℃〜約500℃、好ましくは約150℃〜約400℃に維持することができる。当業者であれば、「前駆体の少なくとも一部が堆積する」とは、前駆体の一部又はすべてが基板と反応するか又は基板に付着することを意味することを認識するであろう。
【0073】
反応器の温度は、基板ホルダーの温度の制御又は反応器壁の温度の制御のいずれかによって制御することができる。基板の加熱に使用される装置は、当技術分野において周知である。反応器壁は、十分な成長速度において、所望の物理的状態及び組成を有する所望の膜を得るのに十分な温度に加熱される。反応器壁を加熱できる非限定的で代表的な温度範囲としては、約100℃〜約500℃を挙げることができる。プラズマ堆積プロセスが使用される場合、堆積温度は、約150℃〜約400℃の範囲であり得る。代わりに、熱プロセスが行われる場合、堆積温度は、約200℃〜約500℃の範囲であり得る。
【0074】
開示されるニオブ含有膜形成用組成物に加えて、反応物を反応器中に導入することができる。標的が導電性膜である場合、反応物は、H、HCO、N、NH、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、トリシリルアミン、それらのラジカル及びそれらの混合物であり得る。好ましくは、反応物は、H又はNHである。
【0075】
代わりに、標的が誘電性膜である場合、反応物は、O、O、HO、H、NO、NO、NO、O・若しくはOH・などの酸素含有ラジカル、カルボン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸及びそれらの混合物の1つなどの酸化性ガスであり得る。好ましくは、酸化性ガスは、O、H又はHOからなる群から選択される。
【0076】
反応物は、反応物をそのラジカル形態に分解するために、プラズムで処理され得る。プラズマで処理される場合、Nも窒素源ガスとして利用され得る。例えば、プラズマは、約50W〜約500W、好ましくは約100W〜約400Wの出力で発生させることができる。プラズマは、反応器自体の内部で発生させるか、又は反応器自体の内部に存在することができる。代わりに、一般に反応器から離れた位置において、例えば遠隔配置されたプラズマシステム中にプラズマが存在する。当業者であれば、このようなプラズマ処理に適切な方法及び装置を認識するであろう。
【0077】
例えば、反応チャンバー中でプラズマが発生する直接プラズマ反応器中に反応物を導入して、反応チャンバー中でプラズマ処理された反応物を生成することができる。代表的な直接プラズマ反応器としては、Trion Technologiesによって製造されるTitan(商標)PECVD Systemが挙げられる。反応物は、プラズマ処理前に反応チャンバー中に導入し維持することができる。代わりに、反応物の導入と同時にプラズマ処理を行うことができる。その場プラズマは、典型的には、シャワーヘッドと基板ホルダーとの間で発生する13.56MHzのRF誘導結合プラズマである。基板又はシャワーヘッドは、陽イオン衝突が起こるかどうかにより、電力印加電極であり得る。その場プラズマ発生器中の典型的な印加電力は、約30W〜約1000Wである。好ましくは、開示される方法において約30W〜約600Wの電力が使用される。より好ましくは、電力は、約100W〜約500Wの範囲である。その場プラズマを用いた反応物の解離は、同じ電力入力の遠隔プラズマ源を用いて実現される場合よりも典型的には少なく、したがって遠隔プラズマプラズマほど反応物の解離が効率的ではなく、プラズマによって容易に損傷する基板上のニオブ含有膜の堆積に有益であり得る。
【0078】
代わりに、プラズマ処理した反応物は、反応チャンバーの外部で生成することができる。MKS InstrumentsのASTRONi(登録商標)反応ガス発生器を用いて、反応チャンバー中に送る前に反応物を処理することができる。2.45GHz、7kWのプラズマ出力及び約0.5Torr〜約10Torrの範囲の圧力で運転すると、反応物Oは、分解して2つのOラジカルになることができる。好ましくは、遠隔プラズマは、約1kW〜約10kW、より好ましくは約2.5kW〜約7.5kWの出力で発生させることができる。
【0079】
チャンバー内の原子層堆積条件は、基板表面上に吸着された又は化学吸着された開示されるNb組成物を反応させ、基板上にニオブ含有膜を形成させる。幾つかの実施形態では、本出願人らは、反応物のプラズマ処理により、開示される組成物との反応に必要なエネルギーを有する反応物を得ることができると考えている。
【0080】
堆積が望まれる膜の種類により、追加の前駆体化合物を反応器中に導入することができる。前駆体を用いることで、追加の元素をニオブ含有膜に加えることができる。追加の元素としては、ランタニド類(イッテリビウム、エルビウム、ジスプロシウム、ガドリウム、プラセオジム、セリウム、ランタン、イットリウム)、IV族元素(ジルコニウム、チタン、ハフニウム)、主族元素(ゲルマニウム、ケイ素、アルミニウム)、追加のV族元素(タンタル、バナジウム)又はこれらの混合物が挙げられ得る。追加の前駆体化合物が利用される場合、基板上に堆積された得られる膜は、追加の元素と組み合わせてニオブ金属を含有する。追加の前駆体及びNb前駆体が2つ以上のALDスーパーサイクルシーケンスにおいて使用される場合、ナノ積層体膜が得られる。
【0081】
ニオブ含有膜形成用組成物及び反応物は、逐次反応器中に導入され得る(原子層堆積)。反応器は、Nb含有膜形成用組成物、任意の追加の前駆体及び反応物のそれぞれの導入間に不活性ガスでパージされ得る。別の例は、Nb組成物と非活性化反応物とがチャンバー温度及び圧力条件で実質的に反応しないという条件で、反応物をプラズマで逐次活性化しながら、反応物を連続的に導入すること及びニオブ含有膜形成用組成物をパルスで導入することである(CW PEALD)。
【0082】
組成物のそれぞれのパルスは、約0.01秒〜約120秒、代わりに約1秒〜約60秒、代わりに約5秒〜約30秒の範囲の時間にわたって続くことができる。反応物もパルスで反応器中に送ることができる。このような実施形態では、それぞれのパルスは、約0.01秒〜約120秒、代わりに約1秒〜約30秒、代わりに約2秒〜約20秒の範囲の期間にわたって続くことができる。別の代替形態では、気化した組成物及び反応物は、数枚のウエハを保持するサセプターがその下で回転するシャワーヘッドの異なるセクターから(組成物と反応物との混合なしに)同時に噴霧され得る(空間ALD)。
【0083】
特定のプロセスパラメーターに応じて、堆積は、種々の長さの時間にわたって行われ得る。一般に、堆積は、必要な性質を有する膜を生成するために所望の又は必要な長さで続けられ得る。典型的な膜厚は、具体的な堆積プロセスに応じて、数オングストローム〜数百ミクロン、典型的には2nm〜100nmで変動し得る。堆積プロセスは、所望の膜を得るために必要な回数でも行われ得る。
【0084】
1つの非限定的で代表的なALD型プロセスにおいて、気相の開示されるニオブ含有膜形成用組成物が反応器中に導入され、反応器において、それは、適切な基板と接触する。過剰の組成物は、次に、反応器をパージすること及び/又は排気することによって反応器から除去され得る。反応物(例えば、NH)が反応器中に導入され、反応器において、それは、吸収された組成物と自己限定的に反応する。いかなる過剰の反応物も、反応器をパージすること及び/又は排気することによって反応器から除去される。所望の膜が窒化ニオブである場合、この2ステッププロセスは、所望の膜厚を提供し得るか、又は必要な厚さを有する膜が得られるまで繰り返され得る。
【0085】
代わりに、所望の膜がニオブ含有遷移金属と第2の元素とを含む場合、前述の2ステッププロセス後、追加の前駆体化合物の蒸気を反応器中に導入することができる。追加の前駆体化合物は、堆積されるニオブ含有膜の性質に基づいて選択される。反応器中への導入後、追加の前駆体化合物は、基板と接触する。いかなる過剰の前駆体化合物も反応器のパージ及び/又は排気によって反応器から除去される。再び、反応物を反応器中に導入して前駆体化合物と反応させることができる。過剰の反応物は、反応器のパージ及び/又は排気によって反応器から除去される。所望の膜厚が実現されれば、プロセスを終了することができる。しかし、より厚い膜が望まれる場合、この4ステッププロセス全体を繰り返すことができる。ニオブ含有膜形成用組成物、追加の前駆体化合物及び反応物の供給を交替で行うことにより、所望の組成及び厚さの膜を堆積することができる。
【0086】
この代表的なALDプロセスにおける反応物がプラズマで処理される場合、代表的なALDプロセスは、代表的なPEALDプロセスになる。反応物は、チャンバーに導入される前又は後にプラズマで処理することができる。
【0087】
第2の非限定的で代表的なALDプロセスにおいて、気相の開示されるニオブ含有膜形成用組成物の1つ、例えばニオブ(tブチルイミド)トリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)(Nb(=NtBu)(iPr,H,iPr−Pyr))が反応器中に導入され、反応器において、それは、Si基板と接触する。過剰の組成物は、次に、反応器をパージすること及び/又は排気することによって反応器から除去され得る。反応物(例えば、NH)が反応器中に導入され、反応器において、それは、吸収された組成物と自己限定的に反応して窒化ニオブ膜を形成する。いかなる過剰のNHガスも、反応器をパージすること及び/又は排気することによって反応器から除去される。窒化ニオブ膜が所望の厚さ、典型的には約10オングストロームを得るまで、これらの2つのステップが繰り返され得る。ZrOが次にNbN膜上に堆積され得る。例えば、ZrCp(NMeがZr前駆体としてとして役立ち得る。Nb(=NtBu)(iPr,H,iPr−Pyr)及びNHを使用する上記の第2の非限定的で代表的なALDプロセスは、次に、ZrO層上で繰り返され得る。結果として得られるNbN/ZrO/NbNスタックは、DRAMキャパシタ中に使用され得る。
【0088】
別の代表的なALDプロセスにおいて、別の前駆体(例えば、O含有反応物/Nb前駆体/O含有反応物)は、NbMO膜又はNbO/MOナノ積層体(Mは、IV族元素、別のV族原子、ケイ素、ゲルマニウム、アルミニウム又は任意のランタニドから選択される)を堆積するために1つ又は幾つかのALDスーパーサイクル間で逐次導入され得る。選択されるM前駆体は、好ましくは、選択されるNb含有膜形成用組成物によって示される同じ温度ウィンドウでALD成長を受ける。
【0089】
前述のプロセスの結果として得られるニオブ含有膜は、Nb、NbSi、Nb、Nb又はNb(式中、k、l、m、n、o、p及びqは、それぞれ独立して、1〜6の範囲であり得る)を含み得る。代表的な膜は、NbO、Nb、NbN及びNbONを含む。当業者は、適切なニオブ含有膜形成用組成物、反応物の公平な選択により、所望の膜組成が得られ得ることを認めるであろう。NbN膜は、DRAM中のキャパシタ電極、3Dフラッシュメモリデバイス中のゲート金属、相変化メモリ中の加熱素子又は論理デバイス中のエレクトロマイグレーション障壁層、ゲート金属及び接触層に適切なステップカバレージを提供し得る。
【0090】
所望の膜厚を得た後、膜は、熱アニール、炉内アニール、高速熱アニール、UV若しくはeビーム硬化及び/又はプラズマガス曝露などの更なる処理を行うことができる。当業者であれば、これらの更なる処理ステップを行うために用いられるシステム及び方法を認識するであろう。例えば、NbN膜は、不活性雰囲気、N含有雰囲気又はそれらの組合せの下で、約200℃〜約1000℃の範囲の温度に0.1秒〜約7200秒の範囲の時間にわたって曝露することができる。最も好ましくは、不活性雰囲気下又はN含有雰囲気下において、温度は、400℃で3600秒である。結果として得られる膜は、より少ない不純物を含むことができ、したがって密度を改善して漏れ電流を改善することができる。アニールステップは、堆積が行われる反応チャンバーと同じ反応チャンバー中で行うことができる。代わりに、基板を反応チャンバーから取り出すことができ、アニール/フラッシュアニールプロセスは、別の装置中で行われる。上記のいずれかの後処理方法、特に熱アニールは、NbN膜の炭素及び窒素による汚染の軽減に有効であることが分かっている。これにより、したがって膜の抵抗率が改善される傾向にある。
【0091】
アニーリング後、開示されるプロセスのいずれかによって堆積されたNbN膜は、約50μohm.cm〜約1,000μohm.cmの室温でのバルク抵抗率を有し得る。室温は、季節に応じて約20℃〜約28℃である。バルク抵抗率は、体積抵抗率としても知られる。当業者は、バルク抵抗率が典型的には約50nm厚さであるNbN膜に関して室温で測定されることを認めるであろう。バルク抵抗率は、典型的には、電子輸送メカニズムの変化のためにより薄い膜について増加する。バルク抵抗率は、より高い温度でも増加する。
【0092】
別の代替形態では、開示される組成物は、ドーピング剤又は着床剤として使用され得る。開示される組成物の一部は、酸化インジウム(In)膜、二酸化タンタル(TaO、二酸化バナジウム(VO)膜、酸化チタン膜、酸化銅膜又は二酸化スズ(SnO)膜など、ドープされる膜の最上部上に堆積され得る。ニオブは、その後、アニーリングステップ中に膜中に拡散してニオブ−ドープ膜{(Nb)In、(Nb)VO、(Nb)TiO、(Nb)CuO、(Nb)SnO}を形成する。例えば、そのドーピング方法が全体として参照により本明細書に援用される、Lavoieらに対する
米国特許出願公開第2008/0241575号明細書を参照されたい。
【実施例】
【0093】
以下の非限定的な実施例は、本発明の実施形態を更に例示するために提供される。しかし、これらの実施例は、すべてを含むことを意図するものではなく、本明細書において記載される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0094】
実施例1:ニオブ(tブチルイミド)トリス(3,5−ジメチルピラゾリル)の合成
−78℃における40mLのTHF中の1H−3,5−ジメチルピラゾール(2g、0.00214mol)の溶液にnBuLi(14mL、1.6M)を滴加した。室温で一夜撹拌した後、混合物を−78℃における500mLのTHF中のNb(=NtBu)Cl(py)(3g、7.00mmol)の溶液に添加した。混合物を室温で終夜撹拌した。溶媒を次に減圧下で除去し、生成物をペンタンで抽出して黄色固体を得た。この物質を次に25mTorrにおいて130℃までの昇華によって精製して、0.64g(20%)の純黄色固体を得た。NMR Hスペクトルを図1に提供する。NMR H(δ,ppm,C6D6):6.04(s,3H),2.31(s,18H),0.96(s,9H).
【0095】
200mL/分で窒素(クローズカップ中に15%)を流す雰囲気中において10℃/分の昇温速度で測定したオープンカップのTGA分析中、固体は、5.6%の残留質量を残した。これらの結果を図2に示し、それは、昇温時の重量減少の百分率を図示するTGAグラフである。図3に示すように、融点は、示差走査熱量測定法(DSC)を用いて約95℃であると測定された。図3は、分解が始まる温度が、ALDを可能にするための良好な熱安定性(ウエハ表面上での自己分解なし)を示す338℃であることも開示している。
【0096】
実施例2:ニオブ(tアミルイミド)トリス(3,5−ジメチルピラゾリル)の合成
−78℃における40mLのTHF中の1H−3,5−ジメチルピラゾール(2g、20.81mol)の溶液にnBuLi(14mL、1.6M)を滴加した。室温で6時間撹拌した後、混合物を−78℃における30mLのTHF中のNb(=Ntアミル)Cl(py)(3g、6.78mmol)の溶液に添加した。混合物を室温で終夜撹拌した。溶媒を次に減圧下で除去し、生成物をペンタンで抽出して黄色固体を得た。この物質を次に25mTorrにおいて130℃までの昇華によって精製して、0.64g(20%)の純黄色固体を得た。NMR Hスペクトルを図4に提供する。NMR H(δ,ppm,C6D6):6.05(s,3H),2.32(s,18H),1.18(q,2H),0.93(s,6H),0.77(t,3H).
【0097】
200mL/分で窒素(クローズカップ中に15%)を流す雰囲気中において10℃/分の昇温速度で測定したオープンカップのTGA分析中、固体は、4.1%の残留質量を残した。これらの結果を図5に示し、それは、昇温時の重量減少の百分率を図示するTGAグラフである。融点は、DSCを用いて、tアミル基の使用が融点を低下させるのに役立たなかったことを例示する約96℃であると測定された。
【0098】
実施例3:ニオブ(tブチルイミド)トリス(3−メチルピラゾリル)の合成
室温における50mLのTHF中の1H−3−メチルピラゾール(1.8g、21.92mmol)の溶液にカリウム(0.94g、24.04mmol)の新たにカットした片を添加した。室温で6時間撹拌した後、混合物を−78℃における40mLのTHF中のNb(=NtBu)Cl(py)(3g、7.00mmol)の溶液に添加した。混合物を室温で終夜撹拌した。溶媒を次に減圧下で除去し、生成物をペンタンで抽出して黄色固体を得た。この物質を次に20mTorrにおいて170℃までの昇華にかけたが、色が黒色に変化し、物質は収集されなかった。
【0099】
代わりに、−78℃における50mLのTHF中の1H−3−メチルピラゾール(1.8g、21.92mmol)の溶液にnBuLi(14mL、1.6M)を滴加した。室温で6時間撹拌した後、混合物を−78℃における40mLのTHF中のNb(=NtBu)Cl(py)(3g、7.00mmol)の溶液に添加した。混合物を室温で終夜撹拌した。溶媒を次に減圧下で除去し、生成物をペンタンで抽出してオレンジ色固体を得た。この物質を次に50mTorrにおいて150℃までの昇華にかけたが、色が暗褐色に変化し、物質は収集されなかった。
【0100】
実施例4:ニオブ(tブチルイミド)トリス(3,5−ジイソプロピルピラゾリル)の合成
−78℃における800mLのTHF中の1H−3,5−ジイソプロピルピラゾール(73g、0.48mol)の溶液にnBuLi(195mL、2.5M)を滴加した。室温で一夜撹拌した後、混合物を−78℃における500mLのTHF中のNb(=NtBu)Cl(py)(66g、0.154mol)の溶液に添加した。混合物を室温で終夜撹拌した。溶媒を次に減圧下で除去し、生成物をペンタンで抽出して黄色オイルを得た。この物質を次に20mTorrにおいて220℃まで蒸留によって精製して、72g(76%)の純黄色オイルを得た。NMR Hスペクトルを図6に提供する。NMR H(δ,ppm,C6D6):6.17(s,3H),3.12(m,6H),1.27(d,36H),1.07(s,9H).
【0101】
200mL/分で窒素(クローズカップ中に15%)を流す雰囲気中において10℃/分の昇温速度で測定したオープンカップのTGA分析中、オイルは、1.7%の残留質量を残した。これらの結果を図7に示し、それは、昇温時の重量減少の百分率を図示するTGAグラフである。図8に示すように、分解温度は、DSCを用いて、ALDを可能にするための良好な熱安定性(ウエハ表面上での自己分解なし)を示す約430℃で始まることが測定される。
【0102】
この前駆体の液体状態は、意外である。Gustらは、Nb(=NtBu)(tBu,H,tBu−Pyr)が白色固体であることを報告している(Polyhedron 20(2001)805−813、806−807において)。実施例1は、類似のMe生成物(すなわちNb(=NtBu)(Me,H,Me−Pyr))も固体であることを実証している。当業者は、iPr置換基がそのMe又はtBu類似体のそれらと異なる性質の生成物をもたらすと予期しなかったであろう。この前駆体の予期されない液体状態は、この前駆体の蒸気送出を、固体状態のGustら及び実施例1の類似前駆体よりも容易にし得る。より特に、液体状態は、固体状態の前駆体のものと比べてより一貫性のある、再現性のある蒸気濃度を提供し得る。更に、DSC分析は、この化合物を高温(300℃超)でのALDに非常に適したものにする、熱分解の意外にも高い開始(430℃)を示す。
【0103】
堆積実施例1
Nb(=NtBu)(iPr,H,iPr−Pyr)及びNHを使用するALD堆積をSi基板上で行った。Nb(=NtBu)(iPr,H,iPr−Pyr)のキャニスターを140℃に維持した。チャンバー圧を0.5torrに設定した。プロセス温度を約300℃〜約475℃の範囲の温度に設定した。これらの結果を図9に示し、それは、Nb(=NtBu)(iPr,H,iPr−Pyr)を使用するチャンバー温度の関数としてのNbN膜成長速度を示すグラフである。ALD堆積は、非一様性が低い約350℃〜約400℃の範囲の温度で起こった。図10は、前駆体源導入時間が増加するときに375℃におけるNbN膜成長速度が約0.34A/Cyで安定したままであることを示す。図11は、Nb(=NtBu)(NEt及びNb(=NtBu)(iPr,H,iPr−Pyr)を使用するチャンバー温度の関数としてのNbN膜成長速度を示すグラフである。図11に示すように、Nb(=NtBu)(iPr,H,iPr−Pyr)からのNbN膜は、Nb(=NtBu)(NEtからのものよりも約200℃高い温度で堆積する。
【0104】
堆積実施例2
Nb(=NtBu)(iPr,H,iPr−Pyr)及びOを使用するALD堆積をSi基板上で行った。Nb(=NtBu)(iPr,H,iPr−Pyr)のキャニスター温度を115℃に維持し、プロセス圧を0.5torrに設定した。ALDプロセス温度を、非一様性が低い約250℃〜約400℃の範囲の温度に設定した。図12は、Nb(=NtBu)(iPr,H,iPr−Pyr)を使用するチャンバー温度の関数としてのNb膜成長速度(菱形)及び%非一様性(円形)を示すグラフである。ALDウィンドウが350℃まで観察された。図13及び14のXPSグラフに示すように、300℃及び325℃で得られた膜は、それぞれ分析器の検出限界未満であるC又はN不純物を含有した。
【0105】
Nb(=NtBu)(iPr,H,iPr−Pyr)及びOを使用する追加のALD堆積を、1:15のアスペクト比を有するSi基板上で行った。Nb(=NtBu)(iPr,H,iPr−Pyr)のキャニスター温度を115℃に維持し、プロセス圧を1torrに設定した。ALDプロセス温度を約325℃に設定した。100%ステップカバレージが得られた。より具体的には、図15a〜15cに示すように、Nbの67nm層は、1:15構造の最上部及び底部の両方において走査電子顕微鏡法を用いて測定された。これらの結果に基づき、本出願人らは、Ruなど、良好な化学吸着がその上で起こるあらゆる表面上において、Nb(=NtBu)(iPr,H,iPr−Pyr)前駆体がNbNのよく制御された厚さの層を提供するであろうことを0.4A/サイクル成長速度が実証していると考える。より特に、本出願人らは、開示されるNb(=NtBu)(iPr,H,iPr−Pyr)前駆体が、定温放置時間の実質的な変化なしに本実施例のSi表面上と等しいか又はより良好な有効性でRu表面上に化学吸着するであろうと予期する。結果として、開示されるNb(=NtBu)(iPr,H,iPr−Pyr)前駆体は、1:40、1:50又は更に1:60のアスペクト比を有するDRAM構造物におけるRu基板上への堆積に非常に好適であり得る。
【0106】
本発明の性質を説明するために本明細書に記載され例示された詳細、材料、ステップ及び部品の配置の多くの更なる変更形態は、添付の請求項に示される本発明の原理及び範囲から逸脱せずに当業者によってなされ得ることを理解されたい。したがって、本発明は、前述の実施例及び/又は添付の図面中の特定の実施形態に限定されることを意図するものでない。
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