特許第6865441号(P6865441)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6865441
(24)【登録日】2021年4月8日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】光学式内面測定装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 23/24 20060101AFI20210419BHJP
   G02B 23/26 20060101ALI20210419BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20210419BHJP
   A61B 1/12 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
   G02B23/24 A
   G02B23/26 C
   G02B23/26 B
   A61B1/00 523
   A61B1/00 526
   A61B1/12 540
   A61B1/00 654
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-524689(P2018-524689)
(86)(22)【出願日】2016年6月30日
(86)【国際出願番号】JP2016069540
(87)【国際公開番号】WO2018003097
(87)【国際公開日】20180104
【審査請求日】2019年6月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000240477
【氏名又は名称】アダマンド並木精密宝石株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山崎 大志
(72)【発明者】
【氏名】森本 正人
(72)【発明者】
【氏名】舘山 拓也
(72)【発明者】
【氏名】淺田 隆文
【審査官】 越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−501719(JP,A)
【文献】 特開昭61−002119(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/132664(WO,A1)
【文献】 特表2015−518398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 23/24−23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物の観察および測定を行う光学式内面測定装置において、
チューブに内蔵された光ファイバーと、
前記光ファイバーの先端部に少なくとも1つ以上の光路変換手段を有し、
前記光路変換手段を回転駆動させるモータをチューブ内に有し、
前記モータより先端側から取り込んだ気体はチューブ内を通して前記モータよりも手前側から排気し、
前記モータは、第1モータと、前記第1モータの後方側に配置された第2モータとからなり、
前記光路変換手段は、前記第1モータにより動作する第1光路変換手段と、前記第2モータにより動作する第2光路変換手段とからなり、
前記光ファイバーは、前記第2モータの後方側で、固定具を介して前記チューブに回転不能に配置された固定側光ファイバーと、前記第2モータにより回転する回転側光ファイバーとで構成されており、
前記第1モータの回転軸部および前記第2モータの回転軸部は、各々が中空形状をしており、
前記回転側光ファイバーは、先端側の少なくとも一部が前記第1モータの回転軸部の中空穴に回転自在に挿通されるとともに、後方側の少なくとも一部が前記第2モータの回転軸部の中空穴に固定されており、
前記第1光路変換手段は、前記第2光路変換手段の先端側で、前記第1モータの回転軸部と一体的に回転可能に配置され、
前記第2光路変換手段は、前記回転側光ファイバーの先端にあり前記第1光路変換手段と前記第1モータの間に位置するように構成されており、
前記チューブの先端部は硬質の透光性パイプが取り付けられ、
被測定物の内径に前記透光性パイプを挿入し、
前記光路変換手段が前記光ファイバーから導いた光線は前記透光性パイプを通して円周方向に光線を放射し、その放射を受けた被測定物からの反射光を、再び前記透光性パイプを通して検出することを特徴とする光学式内面測定装置。
【請求項2】
前記モータより先端側から取り込んだ気体はチューブ内のモータの回転部と固定部の隙間を経由して前記モータより手前側に導かれ、強制的に排気するよう構成したことを特徴とする請求項1記載の光学式内面測定装置。
【請求項3】
被測定物の観察および測定を行う光学式内面測定装置において、
チューブに内蔵された光ファイバーと、
前記光ファイバーの先端部に少なくとも1つ以上の光路変換手段を有し、
前記光路変換手段を回転駆動させるモータをチューブ内に有し、
前記モータより先端側から取り込んだ気体はチューブ内のモータの回転部と固定部の隙間を経由して前記モータより手前側に導かれ、強制的に排気するように構成され、
前記チューブの先端部は硬質の透光性パイプが取り付けられ、
被測定物の内径に前記透光性パイプを挿入し、
前記光路変換手段が前記光ファイバーから導いた光線は前記透光性パイプを通して円周方向に光線を放射し、その放射を受けた被測定物からの反射光を、再び前記透光性パイプを通して検出することを特徴とする光学式内面測定装置。
【請求項4】
被測定物の観察および測定を行う光学式内面測定装置において、
チューブに内蔵された光ファイバーと、
前記光ファイバーの先端部に少なくとも1つ以上の光路変換手段を有し、
前記光路変換手段を回転駆動させるモータをチューブ内に有し、
前記モータより先端側から取り込んだ気体はチューブ内を通して前記モータよりも手前側から排気し、
前記チューブの先端部は硬質の透光性パイプが取り付けられ、
被測定物の内径に前記透光性パイプを挿入し、
前記光路変換手段が前記光ファイバーから導いた光線は前記透光性パイプを通して円周方向に光線を放射し、その放射を受けた被測定物からの反射光を、再び前記透光性パイプを通して検出し、
前記チューブ又は前記透光性パイプの少なくともいずれか一方は摺動部材に固定され、前記透光性パイプ又は前記チューブが被測定物に当接した時、一定以上の当接荷重により前記摺動部材が前記透光性パイプと共に摺動し損傷を防止することを特徴とする光学式内面測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定物の内周面または深穴内径に、光学式測定プローブを進入させ、内面または深穴底面に光線を放射し、反射光を立体的に取り込んで内部形状の観察、及び寸法及び幾何学精度を測定するための光学式内面測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車用エンジンの燃料噴射ノズル部品の加工仕上がり寸法や幾何学精度の良否は自動車の動力性能と燃料消費効率に大きく影響するが、これらの検査は一般には真円度測定機、表面粗さ計、リニヤスケールを用いた測長機等の接触式測定機を用いて検査されていた。しかし近年、被測定物に傷を付けない目的から光学式の非接触式測定機が登場している。
【0003】
非接触で被測定物内面を観察または検査する手段として、画像診断技術(光イメージング技術)は、装置機械、医療現場などにおいて広く利用されている技術である。例えば、精密機器などの製造現場において、深穴の奥部の検査や画像診断の手法として、一般的な内視鏡によるカメラ観察に加えて、光線を内面に照射し反射光の強弱を光センサで捉え、コンピュータで判断して表面傷の有無を自動検査する方法等が採用されている。
【0004】
一方、医療の分野では人体内部の患部の観察に断層画像が観察可能なX線CT、核磁気共鳴、光の干渉性を利用した内視鏡によるOCT画像(近赤外光を用いた光干渉断層撮影)などの方式が研究されると共に活用されている。そして、これら光学技術を機械装置の分野で活用し、穴や精密内径を有する機械部品の内周面に光線を照射して内周面の傷の観察または寸法測定が検討されている。これら観察および測定装置の代表的な構造は、例えば、特許文献1から3に示す通りである。
【0005】
特許文献1に示す穴形状測定方法および測定装置では、該文献中の被測定物(2)の小径穴(1)の中にスリットを通した光線を斜めから照射し、小径穴(1)の内周面から反射した光線をカメラで捉え、小径穴の形状精度を読み取っていた。
しかしながらこの構成では、被測定物の表面が例えばリングゲージのように平滑な面であれば測定が可能であるが、光線を斜めから照射しているために、一般的な複雑形状の機械部品の測定を行う場合には、小径穴(1)の内面の凹凸形状の影響を受け、光線が発散し反射光が得られにくくなるため正しい形状をカメラが捉えることができず、高精度な測定は不可能であった。また、被測定物(2)が想定以上に長い場合にも反射光を捉えることが出来ず測定が行えなかった。
【0006】
また、特許文献2に示す光イメージング用プローブを用いて細孔内面を測定する方法では、被測定物孔の内周面にプローブを挿入し、集光レンズ(3)からの光線を光路変換手段であるミラー(18)が回転し360度回転すると共に、遠心力の変化によりミラーの角度が変化し光線の放射角が変わることにより光線を三次元方向に放射して立体形状を計測する。
しかしながら被測定物の内部にプローブを挿入するため、プローブ内で回転するモータの発熱が被測定物に伝搬するため、被測定物の測定面が数ナノメートル程度ではあるが変形し正しい形状寸法を測定することができなかった。
【0007】
特許文献3に示す測定機においては、内径寸法の測定基準となるリングゲージと、被測定物(2)の温度差を温度計(6)で実測し、この温度差による熱膨張量を演算し、測定寸法を補正するというものである。
しかしながら被測定物の膨張は一定ではなく材質や形状に複雑に変化するため、正しい補正は行い難く、例えば0.01マイクロメートルレベルの正しい補正計算と高精度な測定ができていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】日本特開平08−233545号公報
【特許文献2】日本特開2015−008995号公報
【特許文献3】日本特開平05−312557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記従来事情に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、被測定物の内周面または深穴内径、または長くて屈曲するパイプの穴内に、測定用プローブを進入させ内周面または深穴底面に光線を回転放射し、反射光を立体的に収集してコンピュータ処理し三次元画像データを観察、及び寸法測定及び幾何学精度を測定すること。そして、測定内周面に光線を回転放射する測定プローブ自身の機械振動、および回転放射用モータ回転軸に生じる軸振れの影響を完全に排除すること。そして、より重要な要求は、回転用モータからの発熱を被測定物及び自身の回転放射部への伝搬を防止することである。これら課題解決により、従来、回転モータの発熱が引き起こしていた温度変化によるデータのばらつきを解消して、正しく精密な内径及び内周面の三次元精度測定を可能にする光学式内面測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための一手段は、光学測定法(光干渉法、分光干渉法等)を用いて被測定物内周面の観察および寸法精度を測定する光学式内面測定装置において、チューブに内蔵された光ファイバーと、前記光ファイバーの先端部に少なくとも1つ以上の光路変換手段を有し、前記光路変換手段を回転駆動させるモータをチューブ内に有し、前記モータより先端側から取り込んだ気体はチューブ内を通して前記モータより手前側から排気し、前記チューブの先端部は硬質の透光性パイプが取り付けられ、被測定物の内径に前記透光性パイプを挿入し、前記光ファイバーを通して導いた光線は前記光路変換手段から放出され、前記透光性パイプを通して被測定物の円周面に照射され、その反射光は前記透光性パイプを通して検出するよう構成した。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、測定用光プローブを被測定物の穴内に侵入して光線の放射が行えるため、表面形状や粗さの影響なく安定に測定が行えると共に、光プローブに内蔵されたモータからの発熱の伝搬を防止する冷却機能を有し、また、測定用プローブ内モータの軸受振れや振動の影響が測定の基準となる透光性パイプを用いた測定により排除でき、正しく精密な内径及び内周面の精度測定が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態に係る光学式内面測定装置の構成図
図2】同光学式内面測定装置の第1の光プローブ断面図
図3】同光プローブの回転動作説明図
図4】同光プローブの走査角度説明図
図5】同光プローブの走査角度説明図
図6】同光プローブの3次元走査範囲説明図
図7】同光プローブの校正方法説明図
図8】同光プローブの温度変化説明図
図9】同光学式内面測定装置の測定ばらつき説明図
図10】同光学式内面測定装置の第2の光プローブ断面図
図11】同光プローブ用スライダの荷重制限機構説明図
図12】同スライダの荷重オーバー時の動作説明図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施の光学式内面測定装置の第1の特徴は、被測定物の観察および測定を行う光学式内面測定装置において、チューブに内蔵された光ファイバーと、光ファイバーの先端部に少なくとも1つ以上の光路変換手段を有し、光路変換手段を回転駆動させるモータをチューブ内に有し、モータより先端側から取り込んだ気体はチューブ内を通してモータより手前側から排気し、チューブの先端部は硬質の透光性パイプが取り付けられ、被検対象物の内径に前記透光性パイプを挿入し、光路変換手段が前記光ファイバーから導いた光線は透光性パイプを通して円周方向に光線を放射し、その反射光を再び透光性パイプを通して検出するよう構成している。
この構成により、測定用プローブを被測定物の穴内に侵入させて、穴内近くから内周面に略直角に光線の放射が行えるので、表面形状や粗さの影響なく安定した測定が行える。また、光プローブに内蔵されたモータからの発熱の伝搬を、気体の流入による冷却作用により防止できる。また、測定精度のばらつき原因であった光プローブ内蔵モータの軸受振れや振動の影響は、透光性パイプの寸法を基準にして被測定物の内面を計測することにより排除することができる。これらのことによって、正しく精密な内径及び内周面の精度測定が可能である。
【0014】
第2の特徴としては、第1モータと、第1モータの後方側に配置された第2モータとを有し、第1モータにより動作する第1光路変換手段と、第2モータにより動作する第2光路変換手段を有し、第2モータの後方側で、固定具を介してチューブに回転不能に配置された固定側光ファイバーと、第1モータまたは第2モータの回転軸部と一体的に回転する回転側光ファイバーとで構成され、第1モータおよび第2モータの前記回転軸部は、各々が中空形状をしており、前記回転側光ファイバーは、先端側の少なくとも一部が第1モータの回転軸部の中空穴に回転自在に挿通されるとともに、後方側の少なくとも一部が第2モータの回転軸部の中空穴に固定されており、第1光路変換手段は、第2光路変換手段の先端側で、第1モータの回転軸部と一体的の回転可能に配置されており、第2光路変換手段は、回転側光ファイバーの先端にあり第1光路変換手段と前記第1モータの間に位置するよう構成している。
この構成により、光線が3次元方向に放出され、被測定物内周面の3次元データの取得と内周面の三次元精密測定が行える。
【0015】
第3の特徴としては、モータより先端側から取り込んだ気体はチューブ内のモータの回転部と固定部の隙間を経由してモータより手前側に導かれ、排気するよう構成している。
この構成により、モータの発熱源であるモータコイル部分を流入させた気体で直接に冷却できるため、測定プローブ内モータからの発熱の伝搬をより確実に防止し、一層精密な精度測定が可能である。
【0016】
第4の特長としては、前記チューブ又は透光性パイプの少なくともいずれか一方は摺動部材に固定され、透光性パイプ又はチューブが被検対象物に当接した時、一定以上の当接荷重により摺動部材が透光性パイプと共に摺動し損傷を防止するよう構成した。
この構成によれば、吸気穴を開けているために強度が低く損傷し易いチューブまたは透光性パイプが、被検対象物に当接した場合の損傷を防止し、安心して内径及び内周面の精度測定が可能である。
【0017】
次に本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0018】
本発明に関わる光学式内面測定装置の実施形態について説明する。
図1図8は本発明に係る光学式内面測定装置の実施形態を示している。
【0019】
図1は本発明の実施の形態に係る光学式内面測定装置の構成図である。測定機ベース80にスタンド81が固定され、スライダ用モータ83によりスライダ82が光プローブ34と共に上下に移動する。被測定物100は測定ベース80上にセットされており、光プローブ34の先端部又は透光性パイプ21は被測定物100の深穴に出入りするよう構成されている。光線はチューブ6の先端に固定された透光性パイプ21を通して被測定物100の内周面に照射され、この反射光は、透光性パイプ21を通してチューブ6の内部を通過して固定側光ファイバー1を進み、さらに測定機本体85の接続部84を通過して、光干渉解析部88に入り、コンピュータ89で解析してモニタ90に画像もしくは測定数値を表示する。
【0020】
この光学式内面測定装置は、直径測定機能、真円度測定機能、および三次元的に表示して得る円筒度測定機能を有している。
【0021】
図2は本発明の実施形態に係る光学式内面測定装置の光プローブ34の先端部断面図である。光プローブ34の後端側から先端側に光線を導く固定側光ファイバー1は十分に長いチューブ6の内部に挿通され、光ファイバー固定具4により固定されている。
【0022】
固定側光ファイバー1の先端側には回転側光ファイバー2が回転自在に配置されている。回転側光ファイバー2のさらに先端側には略平面状のミラー等からなる第1光路変換手段3a、3bが第1モータ12により回転側光ファイバー2とは独立して回転自在に取り付けられ、回転する事で光線を360度の全周方向に放射するよう構成されている。
【0023】
回転側光ファイバー2と固定側光ファイバー1のそれぞれの端面は5ミクロン程度の微小距離を隔てて対向し,回転する遮光板5,光ファイバー固定具4を含めて回転光コネクター22を構成し,回転側光ファイバー2と固定側光ファイバー1の間は高い透過率が維持でき、ほとんど損失なく光学的に接続されている。
【0024】
また、第1光路変換手段3a、3bと第1モータ12との間に位置において、固定側光ファイバー1と回転光コネクター22を透過してきた光線を集光して回転しながら先端方向に少々の角度を付けて第1光路変換手段3a、3bに向けて光線を放射する第2光路変換手段20が回転側光ファイバー2の先端に取り付けられている。
【0025】
第1モータ12は、モータケース24に第1モータコイル7、第1軸受9b、9a、モータスラスト板8が固定され、第1ロータ磁石11が取り付けられた第1中空回転軸10が回転する。第1モータコイル7には電線17から電圧が印加され、回転する第1中空回転軸10にはミラー等を用いた第1光路変換手段3が取り付けられている。
【0026】
第2モータ19は、第1モータ12より後方に位置すると共に、モータケース24に第2軸受16a、16bと、第2モータコイル15が取り付けられ、第2軸受16a、16bは第2ロータ磁石14を有する第2中空回転軸13を回転自在に支持し、第2電線18から電圧が印加され回転する。第2中空回転軸13の穴13aには回転側光ファイバー2が挿通固定され、その先端にはプリズム等からなる第2光路変換手段20が取り付けられこれらは一体的に回転する。また回転側光ファイバー2の一部は第1モータ12の第1中空回転軸の穴に回転自在に挿入され相対的に回転する。
【0027】
第1モータ12及び第2モータ19は、固定ダボ33a、33bによりモータケース24に隙間を空けて固定される。第1モ−タ12より先端側において、チューブ6または透光性パイプ21には、少なくとも1個以上の吸気穴6aが空けられ、透光性パイプ21またはチューブ6には、パイプ用温度センサ31が設けられている。図1において、チューブ6には吸気チューブ29と吸気ファン30が取り付けられており、図2の吸気穴6aから気体を吸い込み、吸い込まれた気体は吸気ファン29から排気されるまでの間、第1モータ12、第2モータ19を冷却し、これらモータからの発熱が透光性パイプ21と被測定物100に伝搬することを防止し、熱膨張による被測定物の測定寸法が防止されている。
【0028】
図2の第1モータ12には図1に示す第1モータドライバ回路86から電力が供給されて回転駆動され、第2モータ19は第2モータドライバ回路87から電圧が印加されて回転駆動される。
【0029】
光線26,27が放射される第1光路変換手段3の外周近傍には光線が透過可能な透光性パイプ21がチューブ6と一体的に取り付けられている。透光性パイプ21の内周面または外周の表面には必要に応じて表面反射を減らし、光線の透過率を高めるためのコーティング等がなされている。また、第1光路変換手段3は回転可能なミラー又はプリズムで構成されており、反射効率が高く光学的損失を減らして高精度な精度測定が可能である。
【0030】
第2光路変換手段20は先端に傾斜する略平面を有するプリズム等で構成されており、光線の集光性が高く、光学的損失を減らして高精度な精度測定が可能である。
【0031】
次に図2に示した三次元走査型の光プローブを用いた図1の光学式内面測定装置について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
【0032】
図1および図2において測定機本体85内から発光された近赤外またはレーザ等の光線はチューブ6に内蔵された固定側光ファイバー1の中を通過して進む。
【0033】
電線17、18から電力が供給され、第1モータ12と第2モータ19の2個のモータが約900〜2万rpmの範囲の同一回転数で同期回転すると、導かれた光線は回転光コネクター22と回転側光ファイバー2を通過し,図2に示すように、第2光路変換手段20から放出され、第1光路変換手段3aの略平面部で反射し一定の角度方向(図2においてはθ1の角度)に方向を変えて360度方向に回転放射され、この時の放射範囲は図4の様に角度θ1の傘状の範囲になる。
【0034】
光線はさらに透光性パイプ21を通過し、被検査物100の内周面から反射した光線を上記と同じ光路を逆方向に透光性パイプ21⇒第1光路変換手段3⇒第2光路変換手段20⇒回転側光ファイバー2⇒回転光コネクター22⇒固定側光ファイバー1を通過して光干渉解析部88に導かれる。
【0035】
次に、第1モータ12と第2モータ19の回転数が例えば、第1モータ12の回転数が3600rpm一定で、一方第2モータ19の回転数は3570rpm一定で回転させ、これら2個のモータ回転数に若干の差を与える回転状態に切り換える。この状態では、図3に示すように第1光路変換手段3が回転すると同時に、第2光路変換手段21との相対回転角度位相が徐々に変化していき、やがて光線は回転する第1光路変換手段3で反射し光線は360度に全周方向に放射されつつ、長手方向の放射角度が徐々に変化し図5の図中θ2に示すように変わる。すなわち、この瞬間の光線の放射範囲は図5に示すような傾斜した傘状の走査範囲に変わっている。
【0036】
この回転角度位相差は、第1モータ12が1分間に3600回転する間に第2モータ19の回転数との差分である30回転(即ち、3600−3570=30回転/分)ずれるので、即ち1分間あたり30回(即ち30往復)、回転角度位相差が生じ、引き続き第1光路変換手段3と第2光路変換手段20の回転位相差がゆっくりと1分間に30回ずつ生じ続ける、この動作により、光線の放射方向が図6に示すように、θ1〜θ2の範囲で連続的に変化し、光線の放射範囲79はθ1+θ2の範囲で三次元的に繰り返し照射される。
【0037】
図2において、回転パルス発生器28が第1光路変換手段3または、第1中空回転軸10の1回転当り1回のパルスを発生し、このパルス信号は図1の第1モータドライバ回路に送られ、第1モータ12の回転速度を調整し、また、コンピュータ89に送られ、三次元ディジタル画像を1フレーム毎に描写するためのトリガー信号に使用される。
【0038】
本発明の光学式内面測定装置において、被測定物100の内径100aの測定を行う手順は次のとおりである。
【0039】
まず、測定を行う前の準備としてキャリブレーション(校正)を行う。図7に示すように、内径寸法(D1)が既知のリングゲージ78の穴部に光プローブ34の透光性パイプ21を挿入し、透光性パイプ21の外径からリングゲージ78内周面までの半径差(L1−L2)と(L1’−L2’)と、リングゲージ内周面から光プローブ34の仮想中点までの距離L1とL1’を求める。ここで、透光性パイプ21の半径数値(R=D1/2―(L1−L2)、 R’=D1/2―(L1’−L2’)を求め、このR、R’の基準半径数値を透光性パイプ21の基準半径データとして、コンピュータ89に記憶させキャリブレーションを完了する。このキャリブレーションは1ケ月に1回程度定期的に行うものである。
【0040】
キャリブレーション(校正)が終わると次に測定を開始する。別の被検査物の内周面100aに光プローブ34の透光性パイプ21挿入し、第1モータ12及び第2モータ19を回転させ、光線を放射し、被測定物100の内径寸法(D)=R+(L1−L2)+R’+(L1’−L2’)を求めることができる。
【0041】
図8及び図9は、図1及び図2において、吸気穴6aから気体を吸い込み、第1モータ12、第2モータ19を吸気ファン30の運転により冷却している場合と、吸気ファン30を停止し冷却していない場合の差異を示している。図8の示すように冷却有りでは約20秒で透光性パイプ21が0.5℃上昇するがその後は上昇が止まり一定温度が保たれ、被測定物100への温度伝搬はほぼ無く温度変化による測定精度の狂いは防止できている。一方、冷却無しでは透光性パイプ21の温度は約1分で3℃上昇しその後も徐々に上昇を続け、被測定物100も温度上昇を始めるため、高精度な測定が行い難い。
【0042】
図9は本発明内面測定装置で被測定物100に内径寸法を繰り返し測定した場合の測定ばらつきの大きさを示している。冷却有りの条件で30分の時間内に計100回繰返し測定を行った結果のばらつきは(繰返し再現性:σ)が0.05マイクロメートルに収まり、高精度な測定が行えたが、一方冷却が無い場合は0.15マイクロメートルのばらつきが生じ、高精度な測定は困難であった。
【0043】
このように図2に示す光プローブ34を用いることにより、図1の被測定物100の内周面100aから、光ファイバー1および2を経て導き入れた反射光をコンピュータ89で計算することにより、透光性パイプを基準に寸法測定が行え、スライダ82が静止した状態で三次元データの収集が可能になり、また、測定プローブ34内のモータ12,19からの発熱の伝搬が防止でき、従来問題であった、測定用プローブ内モータの軸受振れや振動の影響を排除し、正しく精密な内径及び内周面の精度測定が可能である。
【実施例2】
【0044】
図10は本発明に係る光学式面測定装置の第2の光プローブの断面を示している。
図10においては、モータケース24はチューブ6の内部に直接固定されており、吸気穴6aから導入された気体はモータスラスト板8に適宜設けられた通気穴8aを通し、少なくとも第1モータ12の第1モータコイル7と第1ロータ磁石11の隙間を通過することで、第1モータが効率良く冷却されるよう構成されている。また第2モータ19に関しても必要に応じて気体を第2モータコイル15と第1ロータ磁石14の隙間を通過させより一層冷却が良く行えるように構成されている。
【0045】
この構成により、吸気穴から取り込んだ気体はチューブ内のモータの回転部と固定部の隙間を経由してモータより手前側(プローブの先端側に対して測定機本体側)に導かれ、モータの発熱源であるモータコイル部分を流入させた気体で直接に冷却できるため、測定プローブ内モータからの発熱の伝搬を確実に防止し、一層精密な精度測定が可能である。
【0046】
図10において、その他の構成と機能は図2の第1の光プローブの図と同じである。
【実施例3】
【0047】
図11及ぶ図12は本発明に係る光学式面測定装置の第3の実施形態を示している。
図11において通気穴6aが開けられたチューブ6又は薄肉の石英やガラスからなる透光性パイプ21は強度が弱くなっており、測定作業中にうっかり被測定物100に強く当接すると折れて損傷する危険性がある。そこで図11のようにチューブ6はプローブ固定具37に対し摺動自在にセットされ、例えばボール等による予圧手段39a、39b、39cにより押圧された摺動部材38に固定されることにより、被測定物100に強く当接した場合には、例えばボールと切り欠きの組合せで構成される荷重リミッター40が外れて光プローブ34は図中上方向にスライドし、衝突による損傷が防止されるよう構成されている。尚、拡大鏡(カメラ)35は被測定物100の穴100a付近の状態を常にモニタ90に表示し、測定機の使用者に光プローブ34が衝突させないよう注意を促す働きをしている。
【0048】
この構成によれば、光プローブ34は摺動部材38に固定され、透光性パイプ21又はチューブ6が被測定物100に強く当接した場合には、一定以上の当接荷重により前記摺動部材38が透光性パイプ21と共に上方へ摺動し損傷を防止することができ、正しく精密な内径及び内周面の精度測定を安全に行うことができる。
【0049】
尚、図2及び図10において、チューブ6はその直径は約2ミリメートル以下程度でありその内部に貫通する固定側光ファイバー1は、屈曲自在なグラスファイバーであり直径は0.085〜0.125ミリメートル程度の物を採用している。
【0050】
第1光路変換手段3は平滑な反射面を有するミラーかプリズムで構成されており、反射率を高めるため、その表面粗さと平面度は一般の光学部品と同等以上の精度に磨きあげられている。
【0051】
第1中空回転軸10は、金属またはセラミックスからなり、溶融金属のダイによる引き抜き加工か、または焼成前のセラミックスのダイによる押し出し加工で中空が成形され、硬化処理後に研磨加工法等により仕上げ加工される。
【0052】
第1中空回転軸10の穴は直径が0.1〜0.5ミリメートルであり、回転側光ファイバー2の直径より十分大きくしているため、光ファイバー固定具4で固定された固定側光ファイバー1が第1中空回転軸10に接触する危険性はなく、仮に軽く接触しても摩耗粉が発生するほどではない。また、この部分で回転摩擦トルクが変動する問題もない。
【0053】
本発明によれば、測定用プローブ34を被測定物100の穴内に侵入させて、穴内から光線を放射することで、内周面の表面形状や粗さの影響なく安定に測定が行えると共に、光プローブ34内のモータ12,19からの発熱の伝搬を防止する。また、従来問題であった、光プローブ内モータの軸受振れや振動の影響が排除でき、また、光プローブの損傷を防止する荷重リミッターを設けることで、正しく精密な内径及び内周面の精度測定が安全に行える。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の光学測定法を用いて被測定物の観察と測定を行う光学式内径測定装置は、深穴内面の高精度な三次元観察と幾何学精度計測が可能になるため、軸受部品、エンジン燃料噴射部品、ウォータジェットノズル部品、等の工業用精密機構部品の高精度な測定を行うことができる。また、医療現場での微細な病巣の寸法の数値的な診断や治療への活用についても期待される。
【符号の説明】
【0055】
1 固定側光ファイバー
2 回転側光ファイバー
3a、3b 第1光路変換手段(ミラー)
4 光ファイバー固定具
5 回転遮蔽板
6 チューブ
6a 吸気穴
7 第1モータコイル
8 モータスラスト板
9a、9b 第1軸受
10 第1中空回転軸
11 第1ロータ磁石
12 第1モータ
13 第2中空回転軸
13a 穴
14 第2ロータ磁石
15 第2モータコイル
16a、16b 第2軸受
17 電線
18 電線
19 第2モータ
20、20a、20b 第2光路変換手段(プリズム等)
21 透光性パイプ
22 回転光コネクター(光ロータリコネクター)
23a パルス発生器
24 モータケース
25、25a、25b 走査範囲
26、27 光線
28 回転パルス発生器
29 吸気チューブ
30 吸気ファン
31 パイプ用温度センサ
32 ワーク用温度センサ
33a、33b 固定ダボ
34 光プローブ
35 拡大鏡(カメラ)
37 プローブ固定具
38 摺動部材
38a 切り欠き
39a、39b、39c 予圧手段
40 荷重リミッター
78 リングゲージ
79 走査範囲
80 測定機ベース
81 スタンド
82 スライダ
83 スライダ用モータ
84 接続部
85 測定機本体
86 第1モータドライバ回路
87 第2モータドライバ回路
88 光干渉解析部
89 コンピュータ
90 モニタ
100 被測定物
100a 被測定内面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12