特許第6865462号(P6865462)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 共栄社化学株式会社の特許一覧

特許6865462ペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物、その製造方法、有機EL素子及び有機薄膜太陽電池
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6865462
(24)【登録日】2021年4月8日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】ペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物、その製造方法、有機EL素子及び有機薄膜太陽電池
(51)【国際特許分類】
   C07D 491/22 20060101AFI20210419BHJP
   C07F 5/02 20060101ALI20210419BHJP
   C07F 7/10 20060101ALI20210419BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20210419BHJP
   H01L 51/46 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
   C07D491/22CSP
   C07F5/02 F
   C07F7/10 V
   H05B33/14 A
   H05B33/22 B
   H01L31/04 154C
   H01L31/04 154D
【請求項の数】9
【全頁数】102
(21)【出願番号】特願2017-49778(P2017-49778)
(22)【出願日】2017年3月15日
(65)【公開番号】特開2018-39777(P2018-39777A)
(43)【公開日】2018年3月15日
【審査請求日】2020年2月25日
(31)【優先権主張番号】特願2016-170281(P2016-170281)
(32)【優先日】2016年8月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000162076
【氏名又は名称】共栄社化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】特許業務法人タス・マイスター
(74)【代理人】
【識別番号】100120019
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 敏安
(72)【発明者】
【氏名】亀井 稔之
(72)【発明者】
【氏名】高松 嘉則
(72)【発明者】
【氏名】竹中 直巳
【審査官】 桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第103570714(CN,A)
【文献】 国際公開第2014/136972(WO,A1)
【文献】 特表2009−544743(JP,A)
【文献】 特開2015−040254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 491/22
C07F 5/02
C07F 7/10
H01L 51/46
H01L 51/50
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式()であらわされることを特徴とするペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物。
【化1】
(式中、Rは、同一又は異なってもよい炭素数1〜20の直鎖又は分岐の一部に脂環基又は芳香族基を有していてもよく一部に水酸基を有していてもよいアルキル基、環上に置換基を有していてもよい脂環基又は環上に置換基を有していてもよい芳香族基、アルコキシアルキル基、フルオロアルキル基又はカルボキシアルキル基を表し、
式中、X,Y,Z,X,Y及びZは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、ボリル基、アルコキシ基、シアノ基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、複素環芳香族置換基又はアリール基を表す)
【請求項2】
下記一般式であらわされる工程を有することを特徴とする請求項1記載のペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物の製造方法。
【化2】
(式中、X,Y,及びZは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、ボリル基、アルコキシ基、シアノ基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、複素環芳香族置換基又はアリール基を表す。)
【請求項3】
下記一般式(2−1)で表される化合物と臭素とを反応させることによって、水素であるXa1及び/又はXa2を臭素に置換する工程を有することを特徴とするペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物の臭素化方法。
【化3】
(式(2−1)中、Rは、同一又は異なってもよい炭素数1〜20の直鎖又は分岐の一部に脂環基又は芳香族基を有していてもよく一部に水酸基を有していてもよいアルキル基、環上に置換基を有していてもよい脂環基又は環上に置換基を有していてもよい芳香族基、アルコキシアルキル基、フルオロアルキル基又はカルボキシアルキル基を表し、
式中、Xa,Y,Z,Xa,Y及びZは、それぞれ独立に、水素、アルコキシ基、シアノ基、アルキル基、複素環芳香族置換基又はアリール基を表す。
Xa、Xaの一方又は両方が水素である。)
【請求項4】
下記一般式(2−3)で表される化合物とピナコールボランとを反応させることによって、一般式(2−3)中のXh,Yh,Zh,Xh,Yh及びZhの少なくとも1の水素をピナコールボランで置換する工程を有することを特徴とするペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物のボリル化方法。
【化4】
(式(2−3)中、Rは、同一又は異なってもよい炭素数1〜20の直鎖又は分岐の一部に脂環基又は芳香族基を有していてもよく一部に水酸基を有していてもよいアルキル基、環上に置換基を有していてもよい脂環基又は環上に置換基を有していてもよい芳香族基、アルコキシアルキル基、フルオロアルキル基又はカルボキシアルキル基を表し、
式中、Xh,Yh,Zh,Xh,Yh及びZhは、それぞれ独立に、水素、アルコキシ基、シアノ基、アミノ基、アルキル基、複素環芳香族置換基又はアリール基を表す。
Xh,Yh,Zh,Xh,Yh及びZhの少なくとも1が水素である。
【請求項5】
下記一般式(2−2)で表される化合物をボリル化アリール化合物又はボリル化複素環芳香族化合物と反応させて、BrであるXh及び/又はXhをアリール置換又は複素環芳香族基置換する工程を有することを特徴とするペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物のアリール化方法。
【化5】
(式(2−2)中、Rは、同一又は異なってもよい炭素数1〜20の直鎖又は分岐の一部に脂環基又は芳香族基を有していてもよく一部に水酸基を有していてもよいアルキル基、環上に置換基を有していてもよい脂環基又は環上に置換基を有していてもよい芳香族基、アルコキシアルキル基、フルオロアルキル基又はカルボキシアルキル基を表し、
式中、Y,Z,Y及びZは、それぞれ独立に、水素、ボリル基、アルコキシ基、シアノ基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、複素環芳香族置換基又はアリール基を表す。
Xh、Xhの一方又は両方がBrである。)
【請求項6】
下記一般式(2−4)で表される化合物をハロゲン化アリール化合物又はハロゲン化複素環芳香族化合物と反応させてボリル基をアリール基又は複素環芳香族置換基に置換する工程を有することを特徴とするペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物のアリール化方法。
【化6】
(式(2−4)中、Rは、同一又は異なってもよい炭素数1〜20の直鎖又は分岐の一部に脂環基又は芳香族基を有していてもよく一部に水酸基を有していてもよいアルキル基、環上に置換基を有していてもよい脂環基又は環上に置換基を有していてもよい芳香族基、アルコキシアルキル基、フルオロアルキル基又はカルボキシアルキル基を表し、
式中、Xp,Yp,Zp,Xp,Yp及びZpは、それぞれ独立に、水素、ボリル基、アルコキシ基、シアノ基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、複素環芳香族置換基又はアリール基を表す。
Xp,Yp,Zp,Xp,Yp、Zpの少なくとも1がボリル基である。)
【請求項7】
下記一般式(2−2)で表される化合物をトリメチルシリルアセチレンと反応させて、BrであるXh及び/又はXhをエチニル基置換する工程を有することを特徴とするペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物のエチニル化方法。
【化7】
(式(2−2)中、Rは、同一又は異なってもよい炭素数1〜20の直鎖又は分岐の一部に脂環基又は芳香族基を有していてもよく一部に水酸基を有していてもよいアルキル基、環上に置換基を有していてもよい脂環基又は環上に置換基を有していてもよい芳香族基、アルコキシアルキル基、フルオロアルキル基又はカルボキシアルキル基を表し、
式中、Y,Z,Y及びZは、それぞれ独立に、水素、ボリル基、アルコキシ基、シアノ基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、複素環芳香族置換基又はアリール基を表す。
Xh、Xhの一方又は両方がBrである。)
【請求項8】
請求項1記載のペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物からなる層を少なくとも一部に有することを特徴とする有機EL素子。
【請求項9】
請求項1記載のペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物からなる層を少なくとも一部に有することを特徴とする有機薄膜太陽電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物、その製造方法、有機EL素子及び有機薄膜太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
有機半導体は、電子分野における素材として多くの研究がなされている。このような有機半導体として使用可能な化合物として、多環芳香族系化合物が知られており、多くの検討がなされている。
【0003】
このような多環芳香族系化合物の一種であるペリキサンテノキサンテン化合物も、有機半導体の分野において検討がなされている化合物の一つである(例えば、特許文献1,2等)。ペリキサンテノキサンテン化合物の誘導体は、有機半導体材料として多くの検討がなされているが、そのほとんどがp型半導体に関するものである。
【0004】
一般的に有機半導体としてはn型半導体材料として知られているものは少なく、知られている化合物も、低い溶解性、合成のむずかしさ、空気中での不安定性等の欠点を有するものである。よって、n型半導体材料として使用できる新規な化合物が要求されている。
【0005】
ペリレンビスイミド、ナフタレンビスイミド等の多環芳香族イミド化合物は、n型半導体として使用できる化合物としての検討が行われている(特許文献5)。しかし、ペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物についての検討は行われていない。またペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物は溶解性が悪いため、ペリキサンテノキサンテン化合物を原料としてビスイミド化することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2009−544743号公報
【特許文献2】特開2010−6794号公報
【特許文献3】特開2012−19132号公報
【特許文献4】特開2012−12495号公報
【特許文献5】特開2015−40254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記に鑑み、ペリキサンテノキサンテン骨格を有し、n型半導体として使用することができる新規化合物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下記一般式であらわされることを特徴とするペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物である。
【0009】
【化1】
【0010】
(式中、Rは、同一又は異なってもよい炭素数1〜20の直鎖又は分岐の一部に脂環基又は芳香族基を有していてもよく一部に水酸基を有していてもよいアルキル基、環上に置換基を有していてもよい脂環基又は環上に置換基を有していてもよい芳香族基、アルコキシアルキル基、フルオロアルキル基又はカルボキシアルキル基を表し、
式中、X,Y,Z,X,Y及びZは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、ボリル基、アルコキシ基、シアノ基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、複素環芳香族置換基又はアリール基のいずれかを表す)
【0011】
本発明は、下記一般式であらわされる工程を有することを特徴とする上記ペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物の製造方法でもある。
【0012】
【化2】
(式中、X,Y,及びZは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、ボリル基、アルコキシ基、シアノ基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、複素環芳香族置換基又はアリール基を表す。)
【0013】
本発明は、下記一般式(2−1)で表される化合物と臭素とを反応させることによって、水素であるXa1及び/又はXa2を臭素に置換する工程を有することを特徴とするペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物の臭素化方法でもある。
【化3】

(式(2−1)中、Rは、同一又は異なってもよい炭素数1〜20の直鎖又は分岐の一部に脂環基又は芳香族基を有していてもよく一部に水酸基を有していてもよいアルキル基、環上に置換基を有していてもよい脂環基又は環上に置換基を有していてもよい芳香族基、アルコキシアルキル基、フルオロアルキル基又はカルボキシアルキル基を表し、
式中、Xa,Y,Z,Xa,Y及びZは、それぞれ独立に、水素、アルコキシ基、シアノ基、アルキル基、複素環芳香族置換基又はアリール基を表す。
Xa、Xaの一方又は両方が水素である。)
【0014】
本発明は、下記一般式(2−3)で表される化合物とピナコールボランとを反応させることによって、一般式(2−3)中のXh,Yh,Zh,Xh,Yh及びZhの少なくとも1の水素をピナコールボランで置換する工程を有することを特徴とするペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物のボリル化方法でもある。
【化4】
(式(2−3)中、Rは、同一又は異なってもよい炭素数1〜20の直鎖又は分岐の一部に脂環基又は芳香族基を有していてもよく一部に水酸基を有していてもよいアルキル基、環上に置換基を有していてもよい脂環基又は環上に置換基を有していてもよい芳香族基、アルコキシアルキル基、フルオロアルキル基又はカルボキシアルキル基を表し、
式中、Xh,Yh,Zh,Xh,Yh及びZhは、それぞれ独立に、水素、アルコキシ基、シアノ基、アミノ基、アルキル基、複素環芳香族置換基又はアリール基を表す。
Xh,Yh,Zh,Xh,Yh及びZhの少なくとも1が水素である。
【0015】
本発明は、下記一般式(2−2)で表される化合物をボリル化アリール化合物又はボリル化複素環芳香族化合物と反応させて、BrであるXh及び/又はXhをアリール置換又は複素環芳香族基置換する工程を有することを特徴とするペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物のアリール化方法でもある。
【化5】
(式(2−2)中、Rは、同一又は異なってもよい炭素数1〜20の直鎖又は分岐の一部に脂環基又は芳香族基を有していてもよく一部に水酸基を有していてもよいアルキル基、環上に置換基を有していてもよい脂環基又は環上に置換基を有していてもよい芳香族基、アルコキシアルキル基、フルオロアルキル基又はカルボキシアルキル基を表し、
式中、Y,Z,Y及びZは、それぞれ独立に、水素、ボリル基、アルコキシ基、シアノ基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、複素環芳香族置換基又はアリール基を表す。
Xh、Xhの一方又は両方がBrである。)
【0016】
本発明は、下記一般式(2−4)で表される化合物をハロゲン化アリール化合物又はハロゲン化複素環芳香族化合物と反応させてボリル基をアリール基又は複素環芳香族置換基に置換する工程を有することを特徴とするペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物のアリール化方法でもある。
【化6】
(式(2−4)中、Rは、同一又は異なってもよい炭素数1〜20の直鎖又は分岐の一部に脂環基又は芳香族基を有していてもよく一部に水酸基を有していてもよいアルキル基、環上に置換基を有していてもよい脂環基又は環上に置換基を有していてもよい芳香族基、アルコキシアルキル基、フルオロアルキル基又はカルボキシアルキル基を表し、
式中、Xp,Yp,Zp,Xp,Yp及びZpは、それぞれ独立に、水素、ボリル基、アルコキシ基、シアノ基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、複素環芳香族置換基又はアリール基を表す。
Xp,Yp,Zp,Xp,Yp、Zpの少なくとも1がボリル基である。)
【0017】
本発明は、下記一般式(2−2)で表される化合物をトリメチルシリルアセチレンと反応させて、BrであるXh及び/又はXhをエチニル基置換する工程を有することを特徴とするペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物のエチニル化方法でもある。
【化7】
(式(2−2)中、Rは、同一又は異なってもよい炭素数1〜20の直鎖又は分岐の一部に脂環基又は芳香族基を有していてもよく一部に水酸基を有していてもよいアルキル基、環上に置換基を有していてもよい脂環基又は環上に置換基を有していてもよい芳香族基、アルコキシアルキル基、フルオロアルキル基又はカルボキシアルキル基を表し、
式中、Y,Z,Y及びZは、それぞれ独立に、水素、ボリル基、アルコキシ基、シアノ基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、複素環芳香族置換基又はアリール基を表す。
Xh、Xhの一方又は両方がBrである。)
【0018】
本発明は、上記ペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物からなる層を少なくとも一部に有することを特徴とする有機EL 素子でもある。
【0019】
本発明は、上記ペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物からなる層を少なくとも一部に有することを特徴とする有機薄膜太陽電池でもある。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、n型半導体としての機能を有する新規な化合物を提供するものである。当該化合物は、結晶性が良いという利点を有する。このように結晶性が良いことから、デバイス作成時に重要な分子性結晶をつくりやすいという利点を有する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、以下の一般式()で示される化合物及びその誘導体に関するものである。
【化8】
【0022】
(式中、Rは、同一又は異なってもよい炭素数1〜20の直鎖又は分岐の一部に脂環基又は芳香族基を有していてもよく一部に水酸基を有していてもよいアルキル基、環上に置換基を有していてもよい脂環基又は環上に置換基を有していてもよい芳香族基、アルコキシアルキル基、フルオロアルキル基又はカルボキシアルキル基を表し、
式中、X,Y,Z,X,Y及びZは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、ボリル基、アルコキシ基、シアノ基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、複素環芳香族置換基又はアリール基を表す)
【0023】
当該化合物は、新規化合物であり、更に、発明者の検討によって、n型半導体として使用可能な化合物であることが明らかとなった。更に、本発明の化合物の合成は、比較的穏やかな反応条件で行うことができる。このため、環上に置換基を導入した状態でも比較的反応が進行しやすい。このため、必要な置換基を容易に導入することで、物性を調整して目的とする物性を得ることが比較的容易である点でも好ましい。更には、上記化合物()に対する反応で必要な置換基を容易に導入することもできる。
【0024】
上記Rの定義中にある「環上に置換基を有していてもよい脂環基又は環上に置換基を有していてもよい芳香族基」における置換基は、一部がハロゲン基で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基、フッ素基、塩素基、臭素基等を挙げることができる。更に、芳香族基は、フェニル基のほか、2-ピリジル基、3-ピリジル基、4-ピリジル基、2-チエニル基、3-チエニル基等のヘテロ芳香族基であってもよい。
【0025】
上記Rの定義中にある「アルコキシルアルキル基」は、同一又は異なってもよい炭素数1〜20の直鎖又は分岐の一部に脂環基又は芳香族基を有していてもよく一部に水酸基を有していてもよいアルキル基の構造に基づくアルコキシル基又はポリエチレングリコール基であることが好ましい。
【0026】
上記Rの定義中にあるフルオロアルキル基は、上記アルキル基、アルコキシルアルキル基中の1又は2以上の水素がフッ素に置換した官能基であることが好ましい。これらの官能基中のすべての水素がフッ素に置換したパーフルオロ基であってもよい。
【0027】
上記Rの定義中にあるカルボキシアルキル基は、アルキル基、環上に置換基を有していてもよい脂環基又は環上に置換基を有していてもよい芳香族基の構造中に1又は2以上のカルボキシル基を有する構造であることが好ましい。
【0028】
上記Rとして、具体的には、n―ブチル基、n―オクチル基、イソプロピル基、3−ペンチル基、t―ブチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、ベンジル基、1−フェネチル基、2−フェネチル基、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,6-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基、4−t-ブチルフェニル基、2−アニシル基、3−アニシル基、4−アニシル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、2−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2-ピリジル基、3-ピリジル基、4-ピリジル基、2-チエニル基、3-チエニル基、C13CHCH基等を挙げることができる。
【0029】
ペリキサンテノキサンテンにおける環状の、X,Y,Z,X,Y及びZの位置については、すべてが水素であってもよいし、その一部又は全部が置換したものであってもよい。
置換している場合の置換基としては、ハロゲン、ボリル基、アルコキシ基、シアノ基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、複素環芳香族置換基、アリール基を挙げることができる。
ハロゲン基としては、フッ素基、塩素基、臭素基、沃素基の任意のものとすることができる。
ボリル基としては、−B(OH)、−B(OH)R、−BR下記一般式であらわされるピナコールエステル基
【0030】
【化9】
【0031】
であらわされる構造の置換基等を挙げることができる。なお、式R中は、炭素数1〜20の直鎖又は分岐の一部に脂環基又は芳香族基を有していてもよいアルキル基であることが好ましい。なかでも、Rとして2個の芳香族環能基がホウに結合した置換基であることが好ましい。
【0032】
上記ボリル基(特に、上記化4で示されるピナコールボリル基)を導入すると、耐候性が向上するため好ましい。更に、ホウ素が有する空軌道の効果によって化合物のLUMOを下げることができる。これによって、n型半導体として好適な機能を得ることができる点で好ましい。また、鈴木カップリング反応等の手法を利用して、その他の官能基を導入することもできる。このため、中間体としても好適な化合物である。
【0033】
アルコキシ基としては、炭素数1〜20の直鎖又は分岐の一部に脂環基又は芳香族基を有していてもよく一部に水酸基を有していてもよいアルコキシル基であることが好ましい。
アルキル基、アルケニル基としては、炭素数1〜20の直鎖又は分岐の一部に脂環基又は芳香族基を有していてもよく一部に水酸基を有していてもよいアルキル基又は同構造中に一又は二以上の不飽和基を有するアルケニル基である。
アルキニル基としては、炭素数1〜20の直鎖又は分岐の一部に脂環基又は芳香族基を有していてもよく一部に水酸基を有していてもよいアルキル基又は同構造中に一又は二以上の炭素−炭素三重結合基を有するアルケニル基である。またそのSP−1炭素に結合した水素がトリメチルシラン等のトリアルキルシリル基等に置換したものであってもよい。
【0034】
アミノ基は、NH基、ジフェニルアミノ基、ピペリジノ基、ピロリジノ基、等を挙げることができる。更に、下記一般式であらわされるような環状アミノ基であってもよい。
【0035】
【化10】
【0036】
更にアミノ基は、下記一般式のように、N原子上に本発明のペリキサンテノキサンテンビスイミドが2つ結合したものであってもよい。
【0037】
【化11】
【0038】
上記アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基等の単純芳香族置換基を挙げることができる。更に、ナフチル基、アントラニル基等の縮合芳香族置換基であってもよい。
これらのアリール基は、環状の一部又は全部の水素が置換基によって置換されたものであってもよい。置換基としては特に限定されず、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、トリフルオロメトキシ基等のアルコキシ基;トリフルオロメチル基等のフルオロアルキル基等を挙げることができる。
【0039】
上記複素環芳香族置換基としては特に限定されず、チエニル基、ピリジル基、ピロール基等を挙げることができる。これらの複素環芳香族置換基上には、上述したアリール基において説明したような置換基が存在するものであってもよい。
【0040】
上記置換基を導入する場合、X及び/又はXの位置に置換基を導入すると、化合物の熱安定性が向上する点で好ましい。
【0041】
このような本発明の構造として、具体的なものを以下に列挙する。なお、本発明は以下に示す化合物に限定されるわけではない。

【0042】
【化12】



【0043】
【化13】





【0044】
【化14】




【0045】
【化15】








【0046】
【化16】





【0047】
【化17】
【0048】
【化18】





【0049】
【化19】




【0050】
【化20】





【0051】
【化21】
【0052】
【化22】
【0053】
【化23】
【0054】
【化24】
【0055】
【化25】
【0056】
【化26】
【0057】
【化27】
【0058】
【化28】
【0059】
【化29】
【0060】
【化30】
【0061】
【化31】
【0062】
【化32】

【0063】
【化33】


【0064】
【化34】
【0065】
【化35】
【0066】
【化36】

【0067】
【化37】
【0068】
【化38】
【0069】
【化39】

【0070】
【化40】

【0071】
【化41】

【0072】
【化42】

【0073】
【化43】

【0074】
【化44】

【0075】
【化45】

【0076】
【化46】

【0077】
【化47】


【0078】
【化48】

【0079】
【化49】


【0080】
【化50】
【0081】
【化51】

【0082】
【化52】


【0083】
【化53】

【0084】
【化54】
【0085】
【化55】

【0086】
【化56】

【0087】
【化57】

【0088】
【化58】
【0089】
【化59】
【0090】
【化60】
【0091】
【化61】
【0092】
【化62】

【0093】
本発明のペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物は、以下に示す方法によって合成することができる。なお、このような合成方法も本発明の一部である。
【0094】
【化63】
【0095】
上記反応は、フェノール基を有するナフタレンイミド化合物の2量化によって、ペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物を得るものであり、このような合成は新規な合成方法である。このような方法に基づくことで、溶解能の低いペリキサンテノキサンテンからの合成反応を行う必要がない点で好ましい。
【0096】
上記反応は、塩化銅(I)、塩化銅(II)、臭化銅(I)、臭化銅(II)、ヨウ化銅(I)、硝酸銅(II)酢酸銅(II)、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)、酸化銅(I)、酸化銅(II) 等の触媒の存在下で行うことができる。これらのうち、塩化銅(I)は、最も収率が高い点で好ましい。
上記触媒の添加量は特に限定されず、20〜200mol%(原料分子のモルに対するものである)の範囲内とすることが好ましい。
【0097】
上記反応は、DMSO(ジメチルスルホキシド)、ジメチルホルムアミド、トルエン、キシレン、オクタン等の溶媒中で行うことが好ましい。反応における原料濃度は、3〜30重量%で行うことが好ましい。このような条件とすることで、好適に反応を進行させることができる。
【0098】
上記反応は、反応温度を特に限定されるものではないが、具体的には120〜160℃で行うことが好ましい。また、反応は空気中で行うことが好ましい。酸素下では収率が低下する場合があるためである。
【0099】
また、上記化合物(2)として、Rが異なる2種類の化合物を混合して反応を行うこともできる。これによって、異なるRが併存するようなペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物を得ることができる。
【0100】
このようにして得られたペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物は、以下に示す反応によって、環状に置換基を導入することもできる。これらの反応によって置換ペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物を合成する方法も本発明の一部である。
【0101】
(臭素化)
本発明のペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物は、臭素との反応によって、Xの位置を臭素化することができる。このように臭素化することで、当該X上を反応点とすることができ、Xをその他の官能基に変換する反応を行うこともできる。本発明の化合物は、Xの位置の水素が比較的反応性が高い化合物であることから、ここを置換基によって置換することで、化合物の安定性を高めることができる点で好ましい。
実際に熱重量分析装置を用いて熱的安定性を測定したところ、分解開始温度がX=水素のものが250℃であるのに対しブロモ化したものが400℃となり安定性が向上した。
【0102】
このようにして臭素化したペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物は、鈴木宮浦カップリングによってアリール化(すなわち、ボリル化したアリール化合物との反応)によってアリール化したり、複素環芳香族置換したり、薗頭カップリング反応を行うことによって、三重結合を導入したりすることができる。
【0103】
ここで使用できるボリル化したアリール化合物としては限定されず、フェニルボランのほか、上記アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基等の単純芳香族置換基を挙げることができる。更に、ナフチル基、アントラニル基等の縮合芳香族置換基であってもよい。
これらのアリール基は、環状の一部又は全部の水素が置換基によって置換されたものであってもよい。置換基としては特に限定されず、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、トリフルオロメトキシ基等のアルコキシ基;トリフルオロメチル基等のフルオロアルキル基等を挙げることができる。
【0104】
上記ボリル化した複素環芳香族によって導入される置換基としては特に限定されず、チエニル基、ピリジル基、ピロール基等を挙げることができる。これらの複素環芳香族置換基上には、上述したアリール基において説明したような置換基が存在するものであってもよい。
【0105】
(ホウ素化)
更に、上記ペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物は、ビスピナコラトボランとの反応によってXのうち、一方のみをホウ素化することもできる。このような反応の条件は、特に限定されるものでなく、公知の方法を採用することができ、具体的には実施例によって記載したその他の触媒化合物を併用した反応条件によって反応を行うことができる。
【0106】
更には、上記ペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物は、ルテニウム触媒を用いたビスピナコラトボランとの反応によって、Yがホウ素化されたものとZがホウ素化されたものの混合物とすることもできる。
【0107】
上述した方法で環状の水素の一部をホウ素官能基化したペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物は、触媒存在下でハロゲン化アリール又はハロゲン化複素芳香族化合物と反応させることで、アリール置換ペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物又は複素芳香族置換ペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物とすることができる。
このような方法で導入される置換基は、上述した一般式(1)において示されたアリール基や複素芳香族基等を挙げることができる。
【0108】
上述した各種反応を行うことで、種々の置換基を導入することができる。このように置換基を導入することで酸化還元電位が変化したり、化合物の安定性が変化したりする。これによって、使用目的に応じて好適な性質を有する化合物を得ることもできる。
【0109】
上記反応の原料となる化合物(2)は、以下に示すスキームによって合成することができる。
【0110】
【化64】

【0111】
なお、このような反応は、Bioorg. Med. Chem. Lett. 2005, 15, 1769.の記載を参照して行った。
【0112】
本発明のペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物は、有機EL 素子や有機薄膜太陽電池における有機半導体層として使用することができる。
【0113】
本発明のペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物は、赤色を有したものであることから、赤色顔料として使用することもできる。
【実施例】
【0114】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は以下の実施例に記載したものに限定されるものではない。
なお、実施例中において特に限定されない限り、配合量は重量%を示す。
【0115】
(原料となる化合物5の合成)
【化65】
【0116】
(ニトロ化反応)
基質(10 mmol, 1.98g)をナスフラスコに入れ、17mL の硫酸を加え、0 ℃にした。その後、硝酸ナトリウム(10 mmol, 0.85g)を加え、5分間攪拌した。室温に戻し、1.5時間攪拌させた。反応終了後、0℃にし混合物に水を加え、桐山ろ過し、水で洗浄し乾燥させ、目的生成物2を得た。
【0117】
【化66】
【0118】
(還元反応)
化合物2(10 mmol, 2.4g)を三口フラスコに入れ、乾燥させた後に窒素を封入し、パラジウム炭素(1 mmol, 0.01g)、 テトラヒドロフラン20mLを加え、水素を封入した。室温下18時間攪拌した後、ジメチルホルムアミドでろ過・濃縮し、水を加え再沈殿し、粗生成物を得た。粗生成物に酢酸、トルエンで再結晶させ目的生成物3を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO): δ 8.14-8.12 (d, 1H), 8.10-8.08 (d, 1H), 7.96 (s, 1H), 7.68-7.64 (t, 1H), 7.35 (s, 1H) , 6.13 (s, 1H).
【0119】
【化67】
【0120】
化合物3(8 mmol, 1.7g)を三口フラスコに入れ、硫酸水溶液 (硫酸:水1:5)を432mL加え、0 ℃にした。その後、亜硝酸ナトリウム(12 mmol, 0.81g)を加え、1時間攪拌した。室温に戻し、120℃下、12時間攪拌させた。反応終了後、室温に戻し、桐山ろ過、水で洗浄し乾燥させた。粗生成物をクロロホルムにより再結晶させ目的生成物5を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO): δ 10.7 (s, 1H), 8.35-8.33 (d, 1H), 8.30-8.28 (d, 1H), 8.02-8.01 (d, 1H), 7.81-7.76 (t, 1H) , 7.76-7.75 (d, 1H).
【0121】
(実施例1)N−(n−ブチル)ペリキサンテノキサンテンビスイミド
【化68】
【0122】
化合物5 (10 mmol, 2.15g)をナスフラスコに入れ、30mL のイソプロピルアルコールを加え、ノルマルブチルアミン(50 mmol, 5 mL)を滴下し85℃12時間攪拌した。濃縮し、10%塩酸水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層はsat. NaClで洗浄し、MgSO4で乾燥後、ろ過・濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物にジエチルエーテルを加え再結晶し目的生成物6-1を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.45-8.43 (d, 1H), 8.23-8.22 (d, 1H), 8.06-8.04 (d, 1H), 7.72-7.69 (t, 1H), 7.68-7.68 (t, 1H) , 7.56-7.52 (d, 1H), 4.20-4.16 (t, 2H), 1.73-1.68 (m, 2H), 1.48-1.42 (m, 2H), 1.00-0.96 (t, 3H).
【0123】
【化69】
【0124】
化合物6-1(0.4 mmol, 0.11g)、塩化銅(I)をナスフラスコに入れ、含水DMSO 20mL加え、120℃、24時間攪拌した。反応終了後、室温に戻し水を加え桐山ろ過した。粗生成物にアセトニトリルを加え再結晶し目的生成物7-1を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ8.42-8.40 (d, 1H), 8.26 (s, 1H), 7.22-7.18 (d, 1H), 4.19-4.15 (m, 2H), 1.75-1.65 (m, 2H),1.46-1.42 (m, 2H), 1.00-0.97 (t, 3H).
【0125】
(酸化還元電位の測定)
化合物7−1のサイクリックボルタンメトリー測定を行ったところ、フェロセンの酸化を基準にして、-1.43Vに第一還元電位がある。この結果からLUMOのエネルギーを見積もると-3.37eVとなり、計算(B3LYP/6-311G)で求めた-3.23eVと非常に良い一致を示している。
【0126】
(実施例2)N−(イソプロピル)ペリキサンテノキサンテンビスイミド
【化70】
【0127】
化合物5 (0.1 mmol, 21.5 mg)をナスフラスコに入れ、8mL のジオキサンと2mLの水を加え、イソプロピルアミン(1 mmol, 59 mg) を滴下し150 ℃で12時間攪拌した。10%塩酸水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層はsat. NaClで洗浄し、MgSO4で乾燥後、ろ過・濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物にジエチルエーテルを加え再結晶し目的生成物をえた(6.8 mg 25%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.5 (s, 1H), 8.22 (t, J = 5.6 Hz, 2H), 8.00 (s, 1H), 7.73 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 7.63 (s, 1H) , 5.27 (t, J = 5.2 Hz, 1H), 1.49 (d, J = 5.6 Hz, 6H)
【0128】
【化71】
【0129】
実施例1の窒素上ブチル基のものと同様に、窒素上にイソプロピル基を持つナフトール(0.1 mmol, 25.5 mg)を原料に用いて反応を行った(21.6 mg, 83%)。
HRMS (ASAP) m/z calcd for C30H20N2O6 [M-]: 504.1321, found 504.1322.
【0130】
(実施例3)N−(フェニル)ペリキサンテノキサンテンビスイミド
【化72】
【0131】
実施例1と同様の方法で化合物5 (0.1 mmol, 21.5 mg)、アミンとしてアニリン(1 mmol, 93 mg)を用いることにより合成した(27.6 mg, 95%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.6 (s, 1H), 8.30 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 8.26 (d, J = 6.4 Hz, 1H), 8.03 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 7.75 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 7.71 (d, J = 2.4 Hz, 1H) , 7.60-7.44 (m, 4H), 7.37 (d, J = 6.8 Hz, 1H)
【0132】
【化73】
【0133】
実施例1と同様に、窒素上にフェニル基を持つナフトール(0.4 mmol, 115.6 mg)を原料に用いて反応を行った(85.5 mg, 75%)。
HRMS (ASAP) m/z calcd for C36H16N2O6 [M-]: 572.1008, found 572.1001.
【0134】
(酸化還元電位の測定)
化合物7−4のサイクリックボルタンメトリー測定を行ったところ、フェロセンの酸化を基準にして、―1.15Vに第一還元電位がある。この結果からLUMOのエネルギーを見積もると―3.65eVとなり、計算(B3LYP/6-311G)で求めた―3.22eVと非常に良い一致を示している。
【0135】
(実施例4)N−(4−メチルフェニル)ペリキサンテノキサンテンビスイミド
【化74】
【0136】
実施例1と同様の方法で化合物5 (0.6 mmol, 129 mg)、アミンとしてp−トルイジン(6 mmol, 642 mg)を用いることにより合成した(163.8 mg, 90%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.5 (s, 1H), 8.28 (d, J =7.2 Hz, 1H), 8.25 (d, J =7.2 Hz, 1H) 8.02 (s, 1H), 7.75 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.70 (s, 1H) , 7.31 (d, J =7.2 Hz, 2H), 7.23 (d, J =7.2 Hz, 2H), 2.39 (s, 3H)
【0137】
【化75】
【0138】
実施例1と同様に、窒素上に4−トリル基を持つナフトール(0.4 mmol, 121.2 mg)を原料に用いて反応を行った(118.3 mg, 98%)。
HRMS (ASAP) m/z calcd for C38H21N2O6 ([M+H]+): 601.1400, found 601.1429.
【0139】
実施例5 N−(3−トリル)ペリキサンテノキサンテンビスイミド
【化76】
【0140】
実施例1と同様の方法で化合物5 (0.6 mmol, 129 mg)、アミンとしてm−トルイジン(6 mmol, 642 mg)を用いることにより合成した(182.6 mg, 100%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.6 (s, 1H), 8.28 (d, J =8.8 Hz, 1H), 8.25 (d, J =6.8 Hz, 1H), 8.02 (s, 1H), 7.77 (t, J =7.6 Hz, 1H), 7.71 (s, 1H) , 7.40 (t, J =7.6 Hz, 1H), 7.27 (d, J =8.0 Hz, 1H), 7.17(s, 1H), 7.16 (d, J =10.0 Hz, 1H), 2.36 (s, 3H).
【0141】
【化77】
【0142】
実施例1と同様に、窒素上に3−トリル基を持つナフトール(0.4 mmol, 121.2 mg)を原料に用いて反応を行った(79.4 mg, 66%)。
HRMS (ASAP) m/z calcd for C38H21N2O6 ([M+H]+): 601.1400, found 601.1429.
【0143】
実施例6 N−(4−t−ブチルフェニル)ペリキサンテノキサンテンビスイミド
【化78】
【0144】
実施例1と同様の方法で化合物5 (0.6 mmol, 129 mg)、アミンとして4−t−ブチルアニリン(6 mmol, 894 mg)を用いることにより合成した(157.5 mg, 76%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.6 (s, 1H), 8.29 (d, J =8.8 Hz, 1H), 8.25(d, J =7.6 Hz, 1H), 8.02, (s, 1H), 7.77 (t, J =7.6 Hz, 1H), 7.70 (s, 1H), 7.53 (d, J =7.6 Hz, 2H), 7.28 (d, J =7.2 Hz, 2H), 1.35 (s, 9H).
【0145】
【化79】
【0146】
実施例1と同様に、窒素上に4−t―ブチルフェニル基を持つナフトール(0.2 mmol, 69.1 mg)を原料に用いて反応を行った(35.8 mg, 99%)。
HRMS (ASAP) m/z calcd for C44H32N2O6 ([M]): 684.2260, found 684.2233.
【0147】
(酸化還元電位の測定)
化合物7−6のサイクリックボルタンメトリー測定を行ったところ、フェロセンの酸化を基準にして、―1.00Vに第一還元電位がある。この結果からLUMOのエネルギーを見積もると―3.80eVとなり、計算(B3LYP/6-311G)で求めた−3.18eVと非常に良い一致を示している。
【0148】
実施例7 R=4−フルオロフェニル
【化80】
【0149】
実施例1と同様の方法で化合物5 (0.6 mmol, 129 mg)、アミンとして4−フルオロアニリン(6 mmol, 894 mg)を用いることにより合成した(175.5, 95%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 9.71 (s, 1H), 7.44 (d, J =8.4 Hz, 1H), 7.41(d, J =7.6 Hz, 1H), 7.18 (d, J =2.0 Hz, 1H), 6.92 (t, J =7.6 Hz, 1H), 6.86 (d, J =2.8 Hz, 1H), 6.59 (dd, J =9.2, 5.2 Hz, 2H), 6.50 (dd, J =8.8, 8.8 Hz, 2H).
【0150】
【化81】
【0151】
実施例1に、窒素上に4−フルオロフェニル基を持つナフトール(0.4 mmol, 123 mg)を原料に用いて反応を行った(83.3 mg, 91%)。
HRMS (ASAP) m/z calcd for C36H14N2O6F2 ([M]): 608.0820, found 608.0804.
【0152】
(酸化還元電位の測定)
化合物7−7のサイクリックボルタンメトリー測定を行ったところ、フェロセンの酸化を基準にして、―0.99Vに第一還元電位がある。この結果からLUMOのエネルギーを見積もると―3.81eVとなり、計算(B3LYP/6-311G)で求めた-3.44eVと非常に良い一致を示している。
【0153】
実施例8 R=4−アニシル
【化82】
【0154】
実施例1と同様の方法でアミンとして5 (0.6 mmol, 129 mg)、p−アニシジン(6 mmol, 738 mg)を用いることにより合成した(143.4, 75%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.5 (s, 1H), 8.28 (d, J =8.4 Hz, 1H), 8.25 (d, J =6.4 Hz, 1H), 8.02 (d, J =2.4 Hz, 1H), 7.77 (t, J =8.0 Hz, 1H), 7.70 (d, J =2.4 Hz, 1H) , 7.27 (d, J =9.2 Hz, 2H), 7.05 (d, J =8.8 Hz, 2H), 3.82 (s, 3H).
【0155】
【化83】
【0156】
実施例1と同様に、窒素上に4−アニシル基を持つナフトール(0.4 mmol, 127 mg)を原料に用いて反応を行った(67 mg, 53%)。
HRMS (ASAP) m/z calcd for C38H20N2O8 ([M]): 632.1220, found 632.1248.
【0157】
実施例9 R=3−アニシル
【化84】
【0158】
実施例1と同様の方法で5 (0.6 mmol, 129 mg)、アミンとしてm−アニシジン(6 mmol, 738 mg)を用いることにより合成した(175.5, 95%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ10.6 (s, 1H), 8.29 (d, J =8.0 Hz, 1H), 8.26 (d, J =7.2 Hz, 1H), 8.03 (d, J =2.4 Hz, 1H), 7.75 (t, J =8.0 Hz, 1H), 7.70 (d, J =2.0 Hz, 1H) , 7.42 (t, J =7.6 Hz, 1H), 7.03 (d, J =8.0 Hz, 1H), 7.01 (s, 1H), 6.94 (d, J =7.6 Hz 1H), 3.78 (s, 3H).
【0159】
【化85】
【0160】
実施例1と同様に、窒素上に3−アニシル基を持つナフトール(1 mmol, 327 mg)を原料に用いて反応を行った(321 mg, 66%)。
HRMS (ASAP) m/z calcd for C38H20N2O8 ([M]): 632.1220, found 632.1196.
【0161】
実施例10 R=2−ピリジル
【化86】
【0162】
実施例1と同様の方法で5 (0.6 mmol, 129 mg)、アミンとして2−アミノピリジン(6 mmol, 564 mg)を用いることにより合成した(235.1, 81%)
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.6 (s, 1H), 8.65 (d, J =5.2 Hz, 1H), 8.33 (d, J =8.0 Hz, 1H), 8.28 (d, J =6.8 Hz, 1H), 8.04 (d, J =2.0 Hz, 1H), 7.80 (t, J =8.0 Hz, 1H), 7.74 (d, J =2.8 Hz, 1H), 7.59 (d, J =8.0 Hz, 1H), 7.54 (dd, J =7.2, 5.2 Hz 1H)..
【0163】
【化87】
【0164】
実施例1と同様に、窒素上に2−ピリジル基を持つナフトール(0.4 mmol, 116 mg)を原料に用いて反応を行った(111.1 mg, 97%)。
HRMS (ASAP) m/z calcd for C36H14N2O6F2 ([M]): 574.0913, found 574.0894.
【0165】
実施例11 R=n−オクチル
【化88】
【0166】
実施例1と同様の方法で5 (1 mmol, 215 mg)、アミンとしてオクチルアミン(10 mmol, 1.29 g)を用いることにより合成した(172.1 mg, 53%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ10.5 (s, 1H), 8.25 (d, J =6.8 Hz, 1H), 8.23 (d, J =6.8 Hz, 1H), 8.02 (d, J =2.0 Hz, 1H), 7.74 (t, J =8.0 Hz, 1H), 7.65 (d, J =2.4 Hz, 1H) , 4.00 (t, J =7.2 Hz, 2H), 1.60 (t, J =6.8 Hz, 2H), 1.40-1.10 (m, 14H), 0.84 (t, J =6.8 Hz, 3H).
【0167】
【化89】
【0168】
実施例1と同様に、窒素上にノルマルオクチル基を持つナフトール(0.4 mmol, 130 mg)を原料に用いて反応を行った(110.9 mg, 86%)。
HRMS (ASAP) m/z calcd for C40H42N2O6 [M-]: 646.3043, found 646.3050.
【0169】
実施例12 R=3,5−ジメチルフェニル
【化90】
【0170】
実施例1と同様の方法で5 (0.6 mmol, 129 mg)、アミンとして3,5−ジメチアニリン(6 mmol, 726 mg)を用いることにより合成した(149.9 mg, 79%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.5 (s, 1H), 8.30-8.20 (m, 2H), 8.00 (s, 1H), 7.80-8.72 (m, 1H), 7.67 (s, 1H) , 7.06 (s, 1H), 6.92 (s, 2H), 2.28 (s, 6H).
【0171】
【化91】
【0172】
実施例1と同様に、窒素上に3,5−ジメチルフェニル基を持つナフトール(0.4 mmol, 127 mg)を原料に用いて反応を行った(93.5 mg, 74%)。
HRMS (ASAP) m/z calcd for C40H24N2O6 ([M]): 628.1634, found 628.1619.
【0173】
実施例13(ブロモ化)
【0174】
【化92】
【0175】
Bu2-PXXBI (0.4 mmol, 213 mg)をナスフラスコに加え窒素雰囲気化にし、脱水ジクロロメタン(1.5 mL)と臭素(30mmol, 0.772 mL)を加え、50℃、2日間攪拌した。室温に戻し反応終了後、飽和亜硫酸ナトリウム水溶液を加え1日攪拌させ、濃縮、桐山ろ過し、粗生成物にアセトニトリルを加え洗浄し目的生成物をえた(85.4 mg, 68%)。
HRMS Calcd for C32H22N2O6Br2 [M]: 687.9845, found: 687.9870.
【0176】
(酸化還元電位の測定)
化合物7−13のサイクリックボルタンメトリー測定を行ったところ、フェロセンの酸化を基準にして、―1.15Vに第一還元電位がある。この結果からLUMOのエネルギーを見積もると―3.65eVとなり、計算(B3LYP/6-311G)で求めた―3.41eVと非常に良い一致を示している。
【0177】
(熱分析)
実際に熱重量分析装置を用いて熱的安定性を測定したところ、分解開始温度が7−1が250℃であるのに対しブロモ化した7−13は400℃となり安定性が向上した。
【0178】
実施例14(ピナコールボロン化)
【化93】
【0179】
[Ir(OMe)(cod)]2 (0.0015 mmol, 1mg), ジターシャリーブチルビフェニル (0.003 mmol, 0.8052 mg), nBu-PXXBI (0.05 mmol, 0.00266g), ビスピナコラトジボロン (0.11 mmol, 0.0279g)をシュレンクに加え、窒素置換し、THF(1mL)を加え、凍結脱気し、85oC, 20 hで反応させたところ、42%で化合物7−14が得られた。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ8.74 (s, 2H), 8.33 (s, 2H), 4.18 (t, J= 6.8 Hz, 4H), 1.70 (t, J= 8 Hz, 4H), 1.47 (m, 4H), 144 (s, 12H), 0.99 (t, J= 7.4 Hz, 6H)
【0180】
実施例15
【化94】
【0181】
[Ir(OMe)(cod)]2 (1.0 mg, 1.5 μmol), ,ジターシャリーブチルビピリジル(0.8 mg, 3 μmol), ビスピナコラトジボロン (50.8 mg, 0.2 mmol), N-ブチルペリキサンテノキサンテンビスイミド(26.6 mg, 0.50 mmol)を加えTHF (1 mL)に溶解させた。85 °C で20 時間加熱し、溶媒を留去、メタノールから再結晶することにより目的化合物を合成した(31.4 mg, 0.04 mmol、80%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.72 (s, 1H), 8.36 (d, J= Hz, 1H), 8.28 (s, 1H), 8.21 (s, 1H), 7.14 (d, J= Hz, 1H), 4.28 (m, 4H), 1.45 (s, 12H), 0.99 (t, J= 7.4 Hz, 6H)
MS (ASAP) ([M+H]+) 659
【0182】
実施例16
【化95】
【0183】
RuH2(CO)(PPh3)4 (8.7 mg, 9 μmol), ピナコロン (15 μL, 10 μmol), ビスピナコラトジボロン (38.3 mg, 0.151 mmol), N−ブチルペリキサンテノキサンテンビスイミド (10.1 mg, 19 μmol)をメシチレン(0.2 mL)に溶解させ、140℃で48時間加熱攪拌を行った。室温まで冷却の後、シリカゲルパッドを用いてろ過、溶媒留去、メタノールから再結晶することにより生成物を1:1の位置置換体混合物として得た。(6.3 mg, 0.01 mmol).
MS (ASAP) m/z [M+H]+= 659
【0184】
実施例17(1,7-ジブロモ-N-ブチルペリキサンテノキサンテンビスイミドの鈴木宮浦カップリング)
【化96】
【0185】
テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(1.2 mg, 2.0 μmol), 炭酸セシウム (14.3 mg, 0.045 mmol), 1,7-ジブロモ-N-ブチルペリキサンテノキサンテンビスイミド(13.8 mg, 0.02 mmol)と各種芳香族ボロン酸または芳香族ボロン酸ピナコールエステル(0.045 mmol)をトルエン(0.1 mL)に溶解させ、110℃20時間加熱した。反応終了後、シリカゲルパッドにより塩を除去、溶媒を留去しヘキサン:酢酸エチル:エタノール=10:1:1の溶媒を用いて再結晶を行うことにより、生成物を得た。
以下に詳述する、実施例17−1〜17−15は全てこのような鈴木宮浦カップリング反応に基づく合成である。
【0186】
実施例18(1,7-ビスピナコラトボリル-N-ブチルペリキサンテノキサンテンビスイミドの鈴木宮浦カップリング)
【化97】
【0187】
テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(1.2 mg, 2.0 μmol), 炭酸セシウム (14.3 mg, 0.045 mmol), 1,7-ビスピナコラトボリル-N-ブチルペリキサンテノキサンテンビスイミド (13.8 mg, 0.02 mmol)と各種芳香族ハロゲン化物(0.045 mmol)をトルエン(0.1 mL)に溶解させ、110℃で20時間加熱した。反応終了後、シリカゲルパッドにより塩を除去、溶媒を留去しヘキサン:酢酸エチル:エタノール=10:1:1の溶媒を用いて再結晶を行うことにより、生成物を得た。
以下に詳述する、実施例18−1〜18−12は全てこのような鈴木宮浦カップリング反応に基づく合成である。
【0188】
実施例17−1
【化98】
【0189】
フェニルボロン酸を用いてすべての試薬を5倍量用い(0.1 mmoスケール)実施例17に従い合成した(38.1 mg, 5.5 mmol, 56%)。
MS (ASAP) m/z [M+H]+= 685
【0190】
実施例18−1
【化99】
【0191】
ブロモベンゼン用いてすべての試薬を2倍量用い(0.04 mmolスケール)実施例18に従い合成した(25.0 mg, 0.037 mmol, 91%)。
MS (ASAP) m/z [M+H]+= 685
【0192】
(酸化還元電位の測定)
化合物8−3のサイクリックボルタンメトリー測定を行ったところフェロセンの酸化を基準にして−1.10eVのところに第一還元電位がある。この結果からLUMOを見積もると−3.30eVである。
【0193】
実施例17−2
【化100】
【0194】
4−トリルボロン酸を用いて実施例17に従い合成した(9.7 mg, 0.0136 mmol, 68%)。
MS (ASAP) m/z [M+H]+= 713
【0195】
実施例18−2
【化101】
【0196】
4−ブロモトルエンを用いてすべての試薬を2倍量用い(0.04 mmolスケール)実施例18に従い合成した(25.0 mg, 0.037 mmol, 91%)。
MS (ASAP) m/z [M+H]+= 713
【0197】
実施例18−3
【化102】
【0198】
3−ブロモトルエンを用いてすべての試薬を2倍量用い(0.04 mmolスケール)実施例18に従い合成した(28.4 mg, 0.038 mmol, 95%)。
MS (ASAP) m/z [M+H]+= 713
【0199】
実施例17−3
【化103】
【0200】
2−トリルボロン酸を用い実施例17に従い合成した(7.1 mg, 10.0 mmol, 50 %)。
MS (ASAP) m/z [M+H]+= 713
【0201】
実施例18−4
【化104】
【0202】
2−ブロモトルエンを用いてすべての試薬を2倍量用い(0.04 mmolスケール)実施例18に従い合成した(26.5 mg, 0.037 mmol, 92%)。
MS (ASAP) m/z [M+H]+= 713
【0203】
実施例17−4
【化105】
【0204】
4-メトキシフェニルボロン酸を用い、すべての試薬を5倍量用い(0.1 mmolスケール)実施例17に従い合成した(71.9 mg, 0.097 mmol, 97%)。
MS (ASAP) m/z [M+H]+= 745
【0205】
実施例18−5
【化106】
【0206】
4−ブロモアニソールを用いてすべての試薬を2倍量用い(0.04 mmolスケール)実施例18に従い合成した(28.4 mg, 0.038 mmol, 95%)。
MS (ASAP) m/z [M+H]+= 745
【0207】
(酸化還元電位の測定)
化合物8−7のサイクリックボルタンメトリー測定を行ったところフェロセンの酸化を基準にして−1.00eVのところに第一還元電位がある。この結果からLUMOを見積もると−3.40eVである。
【0208】
実施例18−6
【化107】
【0209】
3−ブロモアニソールを用いてすべての試薬を2倍量用い(0.04 mmolスケール)実施例18に従い合成した(0.0213 mg, 0.029 mmol, 71%)。
MS (ASAP) m/z [M+H]+= 745
【0210】
実施例17−5
【化108】
【0211】
2−メトキシフェニルボロン酸を用いてすべての試薬を5倍量(0.10 mmolスケール)用い実施例17に従い合成した( 78.9 mg, 0.10 mmol, 100%)。
MS (ASAP) m/z [M+H]+= 745
【0212】
実施例18−7
【化109】
【0213】
2−ブロモアニソールを用い、実施例18に従い合成した(12.6 mg, 0.017 mmol, 85%)。
MS (ASAP) m/z [M+H]+= 745
【0214】
実施例17−6
【化110】
【0215】
4−フルオロフェニルボロン酸を用い実施例17に従い合成した(18.8 mg, 0.026 mmol ,100%)。
MS (ASAP) m/z [M+H]+= 721
【0216】
(酸化還元電位の測定)
化合物8−10のサイクリックボルタンメトリー測定を行ったところフェロセンの酸化を基準にして−1.15eVのところに第一還元電位がある。この結果からLUMOを見積もると−3.25eVである。
【0217】
実施例17−7
【化111】
【0218】
3-メトキシ-2-フルオロフェニルボロン酸を用い、実施例17に従い合成した(9.4 mg, 0.012 mmol, 60%)。
MS (ASAP) m/z [M+H]+= 781
【0219】
実施例17−8
【化112】
【0220】
3-トリフルオロメトキシフェニルボロン酸を用い実施例17に従い合成した( 6 mg, 0.007 mmol, 35%)。
MS (ASAP) m/z [M+H]+= 853
【0221】
実施例17−9
【化113】
【0222】
2−トリフルオロメトキシフェニルボロン酸を用い実施例1に従い合成した(12.2 mg, 14.3 mmol, 72%)。
MS (ASAP) m/z [M+H]+= 853
【0223】
実施例17−10
【化114】
【0224】
2-トリフルオロメチルフェニルボロン酸を用い、実施例17に従い合成した(0.099 mg, 0.012 mmol, 60%)。
MS (ASAP) m/z [M+H]+= 821
【0225】
実施例18−8
【化115】
【0226】
3−ブロモベンゾトリフルオリドを用いてすべての試薬を2倍量用い(0.04 mmolスケール)実施例18に従い合成した(23.2 mg, 28.3 mmol, 71%)。
MS (ASAP) m/z [M+H]+= 821
【0227】
実施例17−11
【化116】
【0228】
4−トリフルオロメチルフェニルボロン酸ピナコールエステルを用いてすべての試薬を2倍量用い(0.04 mmolスケール)実施例17に従い合成した(25.1 mg, 0.305 mmol, 76%)。
MS (ASAP) m/z [M+H]+= 821
【0229】
実施例18−9
【化117】
【0230】
ブロモメシチレンを用いてすべての試薬を2倍量用い(0.04 mmolスケール)実施例18に従い合成した(25.0 mg, 0.325 mmol, 81%)。
MS (ASAP) m/z [M+H]+= 769
【0231】
実施例17−12
【化118】
【0232】
3,5-ジメチルフェニルボロン酸を用い、実施例17に従い合成した(11.1 mg, 0.015 mmol, 75%)。
MS (ASAP) m/z [M+H]+= 741
【0233】
実施例17−13
【化119】
【0234】
3,5-ジフルオロフェニルボロン酸を用い実施例17に従い合成した(4.2 mg, 0.0055 mmol, 28%)。
MS (ASAP) m/z [M+H]+= 757
【0235】
実施例17−14
【化120】
【0236】
3-ピリジルボロン酸ピナコールエステルを用いてすべての試薬を5倍量用い(0.1 mmolスケール)実施例17に従い合成した(56.8 mg, 0.083 mmol, 83%)。
MS (ASAP) m/z [M+H]+= 687
【0237】
実施例18−10
【化121】
【0238】
3-ブロモピリジンを用いてすべての試薬を2倍量用い(0.04 mmolスケール)実施例18に従い合成した(28.9 mg, 0.042 mmol, 100%)。
MS (ASAP) m/z [M+H]+= 687
【0239】
(酸化還元電位の測定)
化合物8−20のサイクリックボルタンメトリー測定を行ったところフェロセンの酸化を基準にして−1.12eVのところに第一還元電位がある。この結果からLUMOを見積もると−3.28eVである。
【0240】
実施例18−11
【化122】
【0241】
2−ブロモナフタレンを用いてすべての試薬を2倍量用い(0.04 mmolスケール)実施例18に従い合成した(26.0 mg, 0.033 mmol, 83%)。
MS (ASAP) m/z [M+H]+= 785
【0242】
(酸化還元電位の測定)
化合物8−21のサイクリックボルタンメトリー測定を行ったところフェロセンの酸化を基準にして−1.01eVのところに第一還元電位がある。この結果からLUMOを見積もると−3.39eVである。
【0243】
実施例17−15
【化123】
【0244】
2−チエニルボロン酸ピナコールエステルを用いてすべての試薬を5倍量用い(0.1 mmolスケール)実施例17に従い合成した(63.3 mg, 0.091 mmol, 91%)。
MS (ASAP) m/z [M+H]+= 697
【0245】
(酸化還元電位の測定)
化合物8−22のサイクリックボルタンメトリー測定を行ったところフェロセンの酸化を基準にして−0.96eVのところに第一還元電位がある。この結果からLUMOを見積もると−3.44eVである。
【0246】
実施例18−12
【化124】
【0247】
4−ニトロブロモベンゼンを用いてすべての試薬を2倍量用い(0.04 mmolスケール)実施例18に従い合成した(32.0 mg, 0.041 mmol, 100%)。
MS (ASAP) m/z [M+H]+= 775
【0248】
実施例17−16
【化125】
【0249】
4-tert-ブチルフェニルボロン酸を用いてすべての試薬を2倍量用い(0.04 mmolスケール)実施例17に従い合成した(27.3 mg, 0.034 mmol, 86%)。
MS (ASAP) m/z [M+H]+= 797
【0250】
実施例17−17
【化126】
【0251】
2-アントラセンボロン酸を用いてすべての試薬を5倍量用い(0.1 mmolスケール)実施例17に従い合成した(89.3 mg, 0.101 mmol, 100%)。
MS (ASAP) m/z [M+H]+= 885
【0252】
(酸化還元電位の測定)
化合物8−25のサイクリックボルタンメトリー測定を行ったところフェロセンの酸化を基準にして−1.05eVのところに第一還元電位がある。この結果からLUMOを見積もると−3.35eVである。
【0253】
実施例19(1,7-ジブロモ-N-ブチルペリキサンテノキサンテンビスイミドの薗頭カップリング反応)
【0254】
【化127】
【0255】
PdCl2(PPh3)2 (0.84 mg, 1.2 μmol), 塩化銅(I) (0.3 mg, 1.5 μmol),トリメチルシリルアセチレン(0.04 mL, 0.3 mmol),トリエチルアミン (0.5 mL, 3.5 mmol), 1,7-ジブロモペリキサンテノキサンテンビスイミド (20.7 mg, 0.03 mmol)をTHF (0.1 mL)に溶解させ80℃で4時間攪拌した。反応終了後室温まで返却した後シリカゲルパッドでろ過、溶媒留去した。メタノールから再結晶することにより対応する生成物を得た (17.7 mg, 0.024 mmol, 81%)。
MS (ASAP) m/z [M+H]+= 725
【0256】
また、上述した各実施例によって得られた本発明の化合物は高い結晶性を有するものであった。このため、分子性結晶を作りやすく、デバイス作成に適していると推測される。
【産業上の利用可能性】
【0257】
本発明のペリキサンテノキサンテンビスイミド化合物は、n型半導体としての性能を有し、有機EL素子や有機薄膜太陽電池において使用することができる。