(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
  図1は、無線アクセス方式の説明図である。
図1Aに示すように、CDMA、OFDMAなどの直交多元接続では、直交する無線リソース(例えば、周波数、時間、符号の少なくとも一つ)間で複数のユーザ端末の信号が多重される。一方、
図1Bに示すように、NOMAでは、直交する無線リソース間に加えて、同一の無線リソースに複数のユーザ端末の信号が電力領域で多重(電力多重)されることが検討されている。
 
【0013】
  図2は、下りリンク(DL:Downlink)におけるNOMAの概念図である。
図2では、無線基地局(BS:Base  Station、eNB:eNodeB等ともいう)によって形成されるセルの中央部(以下、セル中央部という)にユーザ端末(UE:User  Equipment)#1(Cell-center  UE、Near  UE等ともいう)が位置し、当該セルの端部(以下、セル端部という)にユーザ端末#2(Cell-edge  UE、Far  UE等ともいう)が位置する場合が示される。
 
【0014】
  NOMAでは、チャネルゲイン(例えば、パスロス、SINR(Signal  to  Interference  plus  Noise  Ratio)、SNR(Signal-Noise  Ratio)など)の相違に応じて送信電力を異ならせることで、同一の無線リソースに対して複数のユーザ端末を多重する。例えば、
図2では、セル内のパスロスは、セル中央部からセル端部に向かうにつれて大きくなる。このため、送信側の無線基地局は、パスロスが大きい(チャネルゲインが小さい)セル端部のユーザ端末#2に対するDL信号を、パスロスが小さい(チャネルゲインが大きい)セル中央部のユーザ端末#1に対するDL信号よりも大きい送信電力で送信する。
 
【0015】
  一方、受信側では、キャンセラ(例えば、SIC(Successive  Interference  Cancellation))により受信信号から干渉信号を除去することで、自端末に対するDL信号が抽出される。具体的には、自端末より受信SINRが低い他のユーザ端末に対するDL信号を除去することで、自端末に対するDL信号が抽出される。
 
【0016】
  例えば、
図2において、ユーザ端末#2に対するDL信号は、ユーザ端末#1に対するDL信号より大きい送信電力で送信される。このため、ユーザ端末#1は、ユーザ端末#2に対するDL信号を干渉信号として受信してしまうが、当該干渉信号をSICにより適切に除去する。この結果、ユーザ端末#1は、自端末に対するDL信号を抽出して適切に復号できる。
 
【0017】
  一方、ユーザ端末#1に対するDL信号は、ユーザ端末#2に対するDL信号より小さい送信電力で送信される。このため、ユーザ端末#2は、ユーザ端末#1に対するDL信号による干渉を無視でき、SICによる干渉除去を行わなくともよい。
 
【0018】
  このように、下りリンクにおいてNOMAを適用する場合、同一の無線リソースに対して、チャネルゲインが異なる複数のユーザ端末#1及び#2を電力多重できるので、周波数利用効率を向上させることができる。このため、NOMAは、将来の無線通信システムの無線アクセス方式の一つとして期待されている。
 
【0019】
  また、将来の無線通信システム(例えば、5G)では、既存のLTEシステムの通信方式のように、サイクリックプリフィクス(CP)長、シンボル長、伝送時間間隔(TTI:Transmission  Time  Interval)長などを固定長とするのではなく、CP長、シンボル長、TTI長の少なくとも一つを動的(dynamic)又は/及び準静的(semi-static)に変更可能な通信方式を採用することが想定される。
 
【0020】
  図3は、将来の無線通信システムの通信方式の一例を示す図である。
図3Aに示すように、将来の無線通信システムでは、周波数パラメータ(例えば、サブキャリア間隔や帯域幅など)をLTEシステムのN倍とし、時間パラメータ(例えば、CP長、シンボル長、TTI長)を1/N倍にすることが想定される。この場合、複数のシンボルで構成されるTTIをLTEシステムの1msよりも短くできるので、低遅延を実現し易くなる。
 
【0021】
  或いは、将来の無線通信システムでは、周波数パラメータ(例えば、サブキャリア間隔や帯域幅など)をLTEシステムの1/N倍とし、時間パラメータ(例えば、CP長、シンボル長、TTI長)をN倍にすることが想定される。この場合、CP長が長くなるので、フェージングに対する耐性を向上させることができる(フェージングに対してロバストになる)。
 
【0022】
  ところで、将来の無線通信システムでは、モバイルブロードバンド(MBB:Mobile  Broad  Band)を想定した高度なハードウェア構成のMBB端末と、機器間通信(M2M:Machine-to-Machine)、MTC(Machine  Type  Communication)、IoT(Internet  of  Things)などを想定した簡易なハードウェア構成の低コスト端末(LC(Low-Cost)−MTC端末、IoT端末ともいう)と、が混在することが想定される。
 
【0023】
  例えば、
図2では、セル中央部のユーザ端末#1は、SICを有する必要があるので、MBB端末が想定される。一方、セル端部のユーザ端末#2は、SICを行う必要がないので、ユーザ端末#2としては、MBB端末と低コスト端末との双方が想定される。このように、NOMAにおいて同一の無線リソースに電力多重されるユーザ端末間では、要求条件が異なる。
 
【0024】
  しかしながら、既存のLTEシステムの通信方式にNOMAを単に適用する場合、同一の無線リソースに電力多重されるユーザ端末間で同一のCP長、シンボル長、TTI長の少なくとも一つが使用されることが想定される。この場合、将来の無線通信システムで要求される、より一層の高速化・大容量化や低遅延化を実現できない恐れがある。
 
【0025】
  図4は、既存のLTEシステムの通信方式に対するNOMAの適用例を示す図である。例えば、
図4Aに示すように、セル中央部のユーザ端末#1とセル端部のユーザ端末#2とを同一の無線リソースに電力多重する場合、LTEシステムの通信方式では、
図4Bに示すように、ユーザ端末#1に対するDL信号とユーザ端末#2に対するDL信号との間で、同一のCP長及びシンボル長が用いられる。
 
【0026】
  一方で、CP長は、信号の最大伝搬遅延時間が長いほど長く(すなわち、無線基地局からの距離が遠いほど長く)設定することが好ましい。このため、
図4Bに示すように、ユーザ端末#1及び#2に同一のCP長が設定される場合、セル中央部のユーザ端末#1に対して過剰に大きいCP長を用いることになる結果、高速化・大容量化を妨げる恐れがある。また、ユーザ端末#1及び#2の要求条件が異なるにも関わらず、同一のシンボル長又は/及びTTI長が設定される場合、低遅延化を妨げたりする恐れがある。
 
【0027】
  そこで、本発明者らは、複数のユーザ端末が電力領域で多重される将来の無線通信システムにおいて、当該複数のユーザ端末に対するDL信号間で、シンボル長、CP長、TTI長の少なくとも一つを異ならせることで、より一層の高速化・大容量化や低遅延化を図ることを着想した。
 
【0028】
  具体的には、本発明の一実施形態において、ユーザ端末は、当該ユーザ端末に対する下りリンク(DL)信号を受信し、当該ユーザ端末に対するDL信号を復号する。当該ユーザ端末に対するDL信号と電力領域で多重(電力多重)される他のユーザ端末に対するDL信号との間で、CP長(第1の態様)とシンボル長(第2の態様)とTTI長(第3の態様)との少なくとも一つが異なる。
 
【0029】
  以下、本発明の一実施形態に係る無線通信方法について説明する。なお、以下では、OFDMAにより直交化された無線リソースに複数のユーザ端末のDL信号が電力多重されるものとするが、これに限られない。すなわち、以下において、シンボルとは、OFDMシンボルを想定するが、これに限られない。例えば、シングルキャリア−周波数分割多元接続(SC−FDMA)により直交化された無線リソースに複数のユーザ端末のDL信号が電力多重されてもよく、シンボルは、SC−FDMAシンボルであってもよい。
 
【0030】
  また、以下では、直行化された無線リソースに2ユーザ端末が多重されるものとするが、これに限られない。以下では、複数のユーザ端末が同一の無線リソースに電力多重される場合に、相対的に小さい送信電力でDL信号が送信されるユーザ端末がNear  UEであり、Near  UEよりも大きい送信電力でDL信号が送信されるユーザ端末がFar  UEであるものとする。
 
【0031】
(第1の態様)
  第1の態様では、電力多重される複数のユーザ端末に対するDL信号間でそれぞれ異なるCP長が設定される。
 
【0032】
  図5は、電力多重される複数のユーザ端末間で異なるCP長を適用する例を示す図である。
図5Aでは、セル中央部のユーザ端末#1とセル端部のユーザ端末#2とを同一の無線リソースに電力多重する例が示される。無線基地局は、同一の無線リソースに電力多重されるユーザ端末#1及び#2をスケジューリングにより決定する。なお、当該スケジューリングは、CP長の決定後に行われてもよいし、決定前に行われてもよい。
 
【0033】
  図5Bに示すように、無線基地局は、同一の無線リソースに電力多重されるユーザ端末#1に対するDL信号とユーザ端末#2に対するDL信号との間で異なるCP長を決定する。具体的には、
図5Cに示すように、無線基地局は、複数のCPカテゴリの中から、ユーザ端末#1及び#2に対して異なるCPカテゴリを選択してもよい。
 
【0034】
  ここで、CPカテゴリとは、CP長の候補であり、異なるカテゴリは異なるCP長を示す。例えば、
図5Cでは、CP長2μ秒、4μ秒、6μ秒、8μ秒をそれぞれ示すCPカテゴリ1、2、3及び4が定められる。なお、CPカテゴリは、
図5Cに示すものに限られない。
 
【0035】
  例えば、
図5Aでは、セル端部のユーザ端末#2に対してCPカテゴリ4が適用され、セル中央部のユーザ端末#1に対してCPカテゴリ1が適用される。この場合、
図5Bに示すように、ユーザ端末#1のCP長は、ユーザ端末#2のCP長よりも短く設定される。このため、セル中央部のユーザ端末#1とセル端部のユーザ端末#2とに十分に大きいCP長を用いる場合と比較して、CP長のオーバーヘッドを減少させることができ、高速化・大容量化を図ることができる。
 
【0036】
  第1の態様において、無線基地局は、ユーザ端末#1に対してはユーザ端末#1及び#2の双方のCP長を通知する。ユーザ端末#1は、ユーザ端末#2のCP長に基づいてユーザ端末#2のDL信号を復号し、当該ユーザ端末#2のDL信号をキャンセラ(例えば、SIC)により受信信号から除去し、ユーザ端末#1のCP長に基づいてユーザ端末#1のDL信号を復号する。
 
【0037】
  一方、無線基地局は、ユーザ端末#2に対して、ユーザ端末#2のCP長だけを通知してもよいし、ユーザ端末#1のCP長とユーザ端末#2のCP長の双方を通知してもよいし、ユーザ端末#1のCP長とユーザ端末#2のCP長との双方を通知しなくともよい。
 
【0038】
  無線基地局がユーザ端末#2に対してユーザ端末#2のCP長だけを通知する場合、ユーザ端末#2は、ユーザ端末#2のCP長に基づいて、ユーザ端末#1のDL信号を雑音と見なして、ユーザ端末#2のDL信号を復号する。
 
【0039】
  無線基地局は、ユーザ端末#2に対して、ユーザ端末#1のCP長とユーザ端末#2のCP長の双方を通知する場合、ユーザ端末#2は、ユーザ端末#1のDL信号を復号し、当該ユーザ端末#1のDL信号をキャンセラ(例えば、SIC)により受信信号から除去し、ユーザ端末#2のCP長に基づいてユーザ端末#2のDL信号を復号する。
 
【0040】
  無線基地局は、ユーザ端末#2に対して、ユーザ端末#1のCP長とユーザ端末#2のCP長の双方を通知しない場合、ユーザ端末#2は、同期信号(PSS:Primary  Synchronization  Signal及びSSS:Secondary  Synchronization  Signalを含む)を受信する時間差を用いて、CP長を推定してもよい。
 
【0041】
<CP長(CPカテゴリ)の決定>
  第1の態様におけるCP長(CPカテゴリ)の決定方法について詳細に説明する。無線基地局は、(1)ユーザ端末のタイミングアドバンス(TA)、(2)ユーザ端末との間のパスロス、(3)ユーザ端末の分類情報、(4)ユーザ端末の電力多重情報の少なくとも一つに基づいて、電力多重される各ユーザ端末のCP長(又は、CPカテゴリ)を決定する。
 
【0042】
(1)タイミングアドバンス(TA)
  無線基地局は、ランダムアクセスプリアンブルの受信タイミングに基づいてユーザ端末のTAを算出する。ここで、TAは、無線基地局における上りリンク(UL)信号の受信タイミングが一致するように、ユーザ端末と無線基地局との間の距離に応じて調整されるUL信号の送信タイミングである。
 
【0043】
  無線基地局は、ユーザ端末のTAに基づいて、当該ユーザ端末のCP長を決定してもよい。一般に、ユーザ端末のTAが長いほど、無線基地局からの距離が遠いといえる。このため、無線基地局は、ユーザ端末のTAが長いほど、長いCP長(を示すCPカテゴリ)をユーザ端末に決定してもよい。
 
【0044】
  なお、無線基地局は、ユーザ端末からのランダムアクセスプリアンブルに応じたランダムアクセス応答(RAR)に、決定されたCP長を含めて、ユーザ端末に送信してもよい。
 
【0045】
(2)パスロス
  或いは、無線基地局は、ユーザ端末との間のパスロスに基づいて、当該ユーザ端末のCP長を決定してもよい。ここで、パスロスは、ユーザ端末から無線基地局に報告されてもよい。或いは、無線基地局は、ユーザ端末から報告された受信電力(例えば、RSRP:Reference  Signal  Received  Power)及び/又はパワーヘッドルーム(PHR)に基づいて、ユーザ端末との間のパスロスを算出してもよい。PHRとは、ユーザ端末における余剰送信電力であり、例えば、ユーザ端末からの上り制御信号(例えば、PUCCH:Physical  Uplink  Control  Channel)の送信電力と最大送信電力との差に基づいて算出される。
 
【0046】
(3)分類情報
  或いは、無線基地局は、ユーザ端末の分類情報に基づいて、当該ユーザ端末のCP長を決定してもよい。ここで、分類情報とは、性能(例えば、SICを有する/有さない)、用途、種別(例えば、MBB端末又は低コスト端末)などによって定められるユーザ端末の分類を示す情報である。
 
【0047】
  例えば、
図5Aにおいて、低コスト端末(例えば、IoT端末やLC−MTC端末)は、SICにより他のユーザ端末#1のDL信号を除去する必要がないユーザ端末#2(Far  UE)として設定されることが想定される。このため、無線基地局は、低コスト端末に対して、MBB端末よりも長いCP長を決定してもよい。
 
【0048】
(4)電力多重情報
  或いは、無線基地局は、ユーザ端末の電力多重情報に基づいて、当該ユーザ端末のCP長を決定してもよい。ここで、電力多重情報とは、
図5A示すようにユーザ端末#1及び#2が同一の無線リソースに電力多重される場合に、相対的に小さい送信電力でDL信号が送信されるユーザ端末#1(Near  UE)であるか、又は、ユーザ端末#1よりも大きい送信電力でDL信号が送信されるユーザ端末#2(Far  UE)であるかを示す情報である。
 
【0049】
  無線基地局は、ユーザ端末#1(Near  UE)は、無線基地局からの距離がユーザ端末#2よりも近いと想定されるため、ユーザ端末#1に対しては、ユーザ端末#2よりも短いCP長を決定してもよい。なお、ユーザ端末がFar  UE又はNear  UEのいずれであるかは、ユーザ端末のパスロス、受信電力、受信品質、PHRの少なくとも一つと所定の閾値との比較結果に基づいて決定されてもよい。
 
【0050】
  以上のように、無線基地局は、TA、パスロス、分類情報、電力多重情報の少なくとも一つに基づいて、同一の無線リソースに電力多重される複数のユーザ端末のCP長(又は、CPカテゴリ)を決定する。一般に、CP長は、無線基地局からの距離が大きいほどCP長が大きくすることが望ましいため、無線基地局は、
図5Bに示すように、ユーザ端末#2(Far  UE)のCP長をユーザ端末#1(Near  UE)のCP長よりも長く設定することが想定されるが、これに限られない。
 
【0051】
  また、
図5Bに示すように、ユーザ端末#1(Near  UE)のCP長(又は、CPカテゴリ)は、常に、ユーザ端末#2(Far  UE)のCP長以下であると規定されてもよい。これにより、電力多重されるユーザ端末#1及び#2に対する無線基地局からのシグナリングの量を削減できる。
 
【0052】
  例えば、
図5Cに示すように、4種類のCPカテゴリが規定される場合、ユーザ端末#1及び#2とで異なるCP長が用いられるとすると、ユーザ端末#1用の2ビットと、ユーザ端末#2用の2ビットとの合計4ビットが必要となる。一方、ユーザ端末#1(Near)のCP長がユーザ端末#2(Far  UE)のCP長以下であると規定される場合、ユーザ端末#2がCPカテゴリ2であれば、ユーザ端末#1のCPカテゴリはCPカテゴリ1又は2の2種類となるので、CP長の通知に必要なビット数は、ユーザ端末#1用の1ビットとユーザ端末#2用の2ビットとの合計3ビットとなる。また、ユーザ端末#2がCPカテゴリ1であれば、ユーザ端末#1は必ずCPカテゴリ1となるので、ユーザ端末#1のCP長を通知する必要はない。このため、CP長の通知に必要のビット数は、ユーザ端末#2用の2ビットのみとなる。
 
【0053】
  このように、ユーザ端末#1(Near  UE)のCP長(又は、CPカテゴリ)は、常に、ユーザ端末#2(Far  UE)のCP長以下であると規定される場合、ユーザ端末#1(Near  UE)のCP長候補が制限されるので、ユーザ端末と無線基地局との間のシグナリング量を削減できる。
 
【0054】
  また、ユーザ端末#1(Near  UE)のCP長(又は、CPカテゴリ)は、常に、ユーザ端末#2(Far  UE)のCP長以下であると規定される場合、ユーザ端末及び/又は無線基地局における動作を軽減できる。例えば、ユーザ端末#1(Near  UE)にユーザ端末#1のCP長のみが通知される場合で、ユーザ端末#1が、例えば、PSSやSSSによりユーザ端末#2(Far  UE)のCP長を推定する必要がある場合、ユーザ端末#2のCP長候補が制限されるので、ユーザ端末#1におけるCP長の推定動作を軽減できる。同様に、ユーザ端末#2にユーザ端末#1のCP長のみが通知される場合で、ユーザ端末#2が、例えば、PSSやSSSによりユーザ端末#1のCP長を推定する必要がある場合、ユーザ端末#1のCP長候補が制限されるので、ユーザ端末#2におけるCP長の推定動作を軽減できる。
 
【0055】
  なお、無線基地局は、上述のCP長の決定方法をNOMA以外の無線アクセス方式(例えば、OFDMA)を用いる場合にも適用可能である。この場合、無線基地局は、ユーザ端末毎に決定したCP長を、各ユーザ端末に通知してもよい。
 
【0056】
  第1の態様によれば、電力多重される複数のユーザ端末に対するDL信号間でそれぞれ異なるCP長が設定されるので、各ユーザ端末に対するDL信号に必要十分なCP長を用いて通信することができる。この結果、電力多重される複数のユーザ端末に対するDL信号間で十分に大きい共通のCP長を用いる場合と比較して、CP長のオーバーヘッドが減少するので、高速化・大容量化を図ることができる。
 
【0057】
(第2の態様)
  第2の態様では、電力多重される複数のユーザ端末間で異なるシンボル長が設定される。以下では、電力多重される複数のユーザ端末間で同一のCP長が用いられるものとするが、異なるCP長が用いられてもよい。すなわち、第2の態様は、第1の態様と組み合わせることができる。
 
【0058】
  図6は、電力多重されるユーザ端末間で異なるシンボル長を適用する一例を示す図である。
図6Aでは、セル中央部のユーザ端末#1とセル端部のユーザ端末#2とを同一の無線リソースに電力多重する例が示される。無線基地局は、同一の無線リソースに電力多重されるユーザ端末#1及び#2をスケジューリングにより決定する。なお、当該スケジューリングは、シンボル長の決定後に行われてもよいし、決定前に行われてもよい。
 
【0059】
  図6Bに示すように、無線基地局は、同一の無線リソースに電力多重されるユーザ端末#1及び#2間で異なるシンボル長を決定する。なお、シンボル長とサブキャリア間隔とは逆数の関係にあるため(
図3参照)、シンボル長の決定は、サブキャリア間隔の決定と同義である。
 
【0060】
  具体的には、
図6Cに示すように、無線基地局は、ユーザ端末から報告される遅延要求レベルに応じて、ユーザ端末#1及び#2に適用するシンボル長を決定してもよい。例えば、
図6Cでは、許容遅延時間1ms未満、1ms以上5ms未満、5ms以上10ms未満、10ms以上をそれぞれ示す遅延要求レベル1、2、3及び4が定められる。なお、遅延要求レベルの種類及び数は、
図6Cに示すものに限られない。
 
【0061】
  例えば、
図6Aでは、セル端部のユーザ端末#2に対して遅延要求レベル1が適用され、セル中央部のユーザ端末#1に対して遅延要求レベル4が適用される。この場合、
図6Bに示すように、許容遅延時間が短いユーザ端末#2のシンボル長は、許容遅延時間が長いユーザ端末#1のシンボル長よりも短く設定される。
 
【0062】
  また、
図6Bに示すように、ユーザ端末#1のシンボル長は、ユーザ端末#2のシンボル長のn倍(nは、正の整数)でなくともよいし、n倍であってもよい。
図6Bに示すように、ユーザ端末#1のシンボル長がユーザ端末#2のシンボル長のn倍でない場合、ユーザ端末#1は、ユーザ端末#1に対するDL信号を復号するために、ユーザ端末#1のシンボル長を超えてユーザ端末#2のシンボル長のn倍(
図6Bでは、n=3)を受信する必要がある。この結果、ユーザ端末#1の復号遅延が増加する。
 
【0063】
  このため、
図6Bとは異なり、ユーザ端末#1のシンボル長はユーザ端末#2のシンボル長のn倍であることが望ましい。或いは、図示しないが、ユーザ端末#2のシンボル長がユーザ端末#1のシンボル長のn倍であってもよい。
 
【0064】
  図7は、電力多重されるユーザ端末間で異なるシンボル長の適用する他の例を示す図である。
図7Aでは、セル中央部のユーザ端末#1(Near  UE)とセル端部のユーザ端末#2、#3、#4(Far  UE)とを電力多重する例が示される。
 
【0065】
  図7Bに示すように、ユーザ端末#2、#3、#4(Far  UE)のシンボル長をユーザ端末#1(Near  UE)のシンボル長よりも短くする場合、無線基地局は、シンボル毎に異なるFar  UEに対するDL信号を割り当ててもよい。例えば、
図7Bでは、ユーザ端末#1とユーザ端末#2、#3、#4とが電力領域で多重され、ユーザ端末#2とユーザ端末#3とユーザ端末#4とが時間領域で多重される。無線基地局は、ユーザ端末#1−#4のそれぞれに対して、遅延要求レベルに応じて決定されたシンボル長を通知する。
 
【0066】
  図6、
図7において、無線基地局は、ユーザ端末#1(Near  UE)に対しては、ユーザ端末#1及びFar  UE(
図6では、ユーザ端末#2、
図7では、ユーザ端末#2−#4)の双方のシンボル長を通知する。ユーザ端末#1は、Far  UEのCP長に基づいてFar  UEのDL信号(
図6、7では、3シンボル長)を順次復号し、ユーザ端末#1に対する1シンボル長をすべて受信してから、Far  UEのDL信号をキャンセラ(例えば、SIC)により受信信号から除去し、ユーザ端末#1のシンボル長に基づいてユーザ端末#1のDL信号を復号する。
 
【0067】
  一方、無線基地局は、Far  UEに対して、Far  UEのCP長だけを通知してもよいし、ユーザ端末#1(Near  UE)のCP長とFar  UEのCP長の双方を通知してもよいし、双方のCP長を通知しなくともよい。Far  UEにおけるDL信号の復号処理は、第1の態様と同様であるため、説明を省略する。
 
【0068】
<シンボル長の決定>
  第2の態様に係るシンボル長の決定方法について詳細に説明する。無線基地局は、(1)ユーザ端末から報告される遅延要求レベル、(2)ユーザ端末の分類情報、(3)ユーザ端末の料金プランの少なくとも一つに基づいて、ユーザ端末のシンボル長を決定する。
 
【0069】
(1)遅延要求レベル
  上述のように、無線基地局は、ユーザ端末の遅延要求レベルに基づいて、当該ユーザ端末のシンボル長を決定してもよい。また、ユーザ端末は、無線基地局からの報告要求に応じて、上り制御信号(例えば、PUCCH)又は上位レイヤシグナリング(例えば、RRC(Radio  Resource  Control)シグナリング)により、遅延要求レベルを無線基地局に報告してもよい。或いは、ユーザ端末は、上り制御信号又は上位レイヤシグナリングにより、周期的に遅延要求レベルを無線基地局に報告してもよい。或いは、ユーザ端末は、無線基地局に対する初期アクセス時に、ランダムアクセス信号(例えば、PRACH:Physical  Random  Access  Channel)により、遅延要求レベルを無線基地局に報告してもよい。
 
【0070】
(2)分類情報
  或いは、無線基地局は、ユーザ端末の分類情報に基づいて、当該ユーザ端末のシンボル長を決定してもよい。上述のように、分類情報とは、性能(例えば、SICを有する/有さない)、用途、種別(例えば、MBB端末又は低コスト端末)などによって定められるユーザ端末の分類を示す情報である。
 
【0071】
(3)料金プラン
  或いは、無線基地局は、ユーザ端末の料金プランに基づいて、当該ユーザ端末のシンボル長を決定してもよい。例えば、無線基地局は、高い料金プランのユーザ端末ほどシンボル長を短く設定してもよい。これにより、高い料金プランのユーザ端末ほど低遅延化を図ることができる。この場合、無線基地局は、ユーザ端末の料金プランを記憶するデータサーバからユーザ端末の料金プランを示す情報を取得し、当該料金プランのカテゴリに応じて、シンボル長を決定してもよい。
 
【0072】
  なお、無線基地局は、上述のシンボル長の決定方法をNOMA以外の無線アクセス方式(例えば、OFDMA)を用いる場合にも適用可能である。この場合、無線基地局は、ユーザ端末毎に決定したCP長を、各ユーザ端末に通知してもよい。
 
【0073】
  第2の態様によれば、電力多重される複数のユーザ端末間で異なるシンボル長が設定されるので、短いシンボル長のユーザ端末に対するDL信号を短時間で復号でき、低遅延化を図ることができる。
 
【0074】
(第3の態様)
  第3の態様では、同一の無線リソースに電力多重される複数のユーザ端末間で異なるTTI長が設定される。以下では、電力多重される複数のユーザ端末間で同一のCP長が用いられるものとするが、異なるCP長が用いられてもよい。すなわち、第3の態様は、第1の態様と組み合わせることができる。また、第3の態様は、第2の態様とも組み合わせることができるし、組み合わせずに用いることもできる。
 
【0075】
  図8は、電力多重されるユーザ端末間で異なるTTI長を適用する一例を示す図である。
図8Aでは、セル中央部のユーザ端末#1(Near  UE)とセル端部のユーザ端末#2(Far  UE)とを同一の無線リソースに電力多重する例が示される。無線基地局は、同一の無線リソースに電力多重されるユーザ端末#1及び#2をスケジューリングにより決定する。なお、当該スケジューリングは、シンボル長の決定後に行われてもよいし、決定前に行われてもよい。
 
【0076】
  図8Bに示すように、無線基地局は、電力多重されるユーザ端末#1及び#2間で異なるシンボル長及びTTI長を決定する。具体的には、無線基地局は、ユーザ端末から報告される遅延要求レベルに応じて、ユーザ端末#1及び#2に適用するシンボル長を決定してもよい。
 
【0077】
  例えば、
図8Aでは、セル端部のユーザ端末#2に対して遅延要求レベル1が適用され、セル中央部のユーザ端末#1に対して遅延要求レベル4が適用される。この場合、
図8Bに示すように、許容遅延時間が短いユーザ端末#2のシンボル長及びTTI長は、許容遅延時間が長いユーザ端末#1のシンボル長及びTTI長よりも短く設定される。
 
【0078】
  図9は、電力多重されるユーザ端末間で異なるTTI長を適用する他の例を示す図である。
図9Bに示すように、無線基地局は、電力多重されるユーザ端末#1及び#2間で異なるシンボル数を決定してもよい。
図9Bに示すように、ユーザ端末#1及び#2間で同一のCP長及びシンボル長が用いられる場合、無線基地局は、ユーザ端末#1及び#2間でシンボル数を変更することで異なるTTI長を決定してもよい。例えば、
図9Bに示すように、ユーザ端末#2のシンボル数をユーザ端末#1のシンボル数よりも少なくすることで、ユーザ端末#2のTTI長がユーザ端末#1のTTI長よりも短く設定される。
 
【0079】
  なお、
図8B及び
図9Bにおいて、シンボル毎に異なるユーザ端末が時間多重されてもよい(
図7参照)。また、TTI内のシンボル数は、ユーザ端末毎及び/又は無線基地局毎に異なっていてもよいし、固定であってもよい。
 
【0080】
  TTI内のシンボル数が固定である場合、無線基地局は、TTI長だけをユーザ端末に通知すればよい。ユーザ端末は、無線基地局から通知されるTTI長と予め定められたシンボル数(例えば、14)とからシンボル長を推定できる。一方、TTI内のシンボル数が可変である場合、無線基地局は、TTI長及びシンボル数をユーザ端末に通知する。
 
【0081】
  また、
図8、
図9において、無線基地局は、ユーザ端末#1に対しては、ユーザ端末#1及びユーザ端末#2のTTI長を通知する。一方、無線基地局は、ユーザ端末#2に対して、ユーザ端末#2のTTI長だけを通知してもよいし、ユーザ端末#1のCP長とユーザ端末#2のCP長の双方を通知してもよいし、双方のCP長を通知しなくともよい。ユーザ端末#1及び#2におけるDL信号の復号処理は、第1、第2の態様と同様であるため、説明を省略する。
 
【0082】
<TTI長の決定>
  第3の態様に係るTTI長の決定方法について詳細に説明する。
図8及び
図9では、無線基地局は、ユーザ端末の遅延要求レベルに応じて、TTI長を決定する。具体的には、無線基地局は、遅延要求レベルの高い(遅延許容時間が短い)ユーザ端末#2に対して、遅延要求レベルの低い(遅延許容時間が長い)ユーザ端末#1よりも短いTTI長を決定するが、これに限られない。
 
【0083】
  第3の態様において、無線基地局は、(1)ユーザ端末から報告される遅延要求レベル、(2)ユーザ端末の分類情報、(3)ユーザ端末の料金プランの少なくとも一つに基づいて、ユーザ端末のTTI長(又はシンボル数)を決定してもよい。なお、遅延要求レベル、分類情報、料金プランの詳細は、第2の態様と同様であるため、説明を省略する。
 
【0084】
  なお、無線基地局は、上述のTTI長の決定方法をNOMA以外の無線アクセス方式(例えば、OFDMA)を用いる場合にも適用可能である。この場合、無線基地局は、ユーザ端末毎に決定したTTI長を、各ユーザ端末に通知してもよい。
 
【0085】
  第3の態様によれば、同一の無線リソースに電力多重される複数のユーザ端末間で異なるTTI長が設定されるので、短いTTI長のユーザ端末に対するDL信号を短時間で復号できる、低遅延化を図ることができる。
 
【0086】
(第4の態様)
  第4の態様では、第1−第3の態様で決定されたCP長、シンボル長、TTI長の少なくとも一つをユーザ端末に通知する態様について詳細に説明する。具体的には、無線基地局は、物理レイヤ制御信号、上位レイヤ制御信号、物理レイヤ制御信号及び上位レイヤ信号の双方のいずれかにより、CP長(又は、CPカテゴリ)、シンボル長、TTI長の少なくとも一つを示す通信方式情報をユーザ端末に通知する。
 
【0087】
<物理レイヤ制御信号>
  無線基地局は、Near  UE(
図5−9におけるユーザ端末#1)に対するDL信号及び/又はFAR  UE(
図5−9におけるユーザ端末#2、
図7におけるユーザ端末#3、4)に対するDL信号に適用されるCP長(又は、CPカテゴリ)とシンボル長とTTI長との少なくとも一つを示す通信方式情報を含む、物理レイヤ制御信号を送信してもよい。
 
【0088】
  ここで、物理レイヤ制御信号とは、PDCCH(Physical  Downlink  Control  Channel)又はEPDCCH(Enhanced  Physical  Downlink  Control  Channel)などの物理レイヤの制御信号である。物理レイヤ制御信号により、種々のフォーマットの下り制御情報(DCI)が送信される。上記通信方式情報は、DCIの新たな情報要素として追加されてもよいし、既存の情報要素を再利用するものであってもよい。例えば、上記通信方式情報として、変調及び符号化方式(MCS)用のビットが再利用されてもよい。
 
【0089】
  図10は、DCIフォーマット2Cの一例を示す図である。DCIフォーマット2Cは、シングルユーザMIMO(Multiple  Input  and  Multiple  Output)とマルチユーザMIMOとの動的切り替えをサポートする送信モード(TM)9用のフォーマットである。
 
【0090】
  ランク(レイヤ)1の場合、MCSビットに要するビット数は5ビットである。ランク1の場合に、10ビットのMCSビットのDCIフォーマット2Cを利用することで、MCSの通知に利用されない残りの5ビット(例えば、10ビットの後半5ビット)を上記通信方式情報の通知に利用する。
 
【0091】
  一方、ランク2以上の場合、MCSビットに要するビット数は、通常DCIフォーマット2Cで規定される10ビットである。このため、通知可能なMCSの種類を削減することで、MCSの通知に5ビットを利用し、残りの5ビット(例えば、10ビットの後半5ビット)を上記通信方式情報の通知に利用する。
 
【0092】
  物理レイヤ制御信号により通信方式情報を無線基地局からユーザ端末に送信する場合、CP長、シンボル長、TTI長を動的(dynamic)に変更することが可能である。
 
【0093】
<上位レイヤ制御信号>
  或いは、無線基地局は、Near  UE(
図5−9におけるユーザ端末#1)に対するDL信号及び/又はFAR  UE(
図5−9におけるユーザ端末#2、
図7におけるユーザ端末#3、4)に対するDL信号に適用されるCP長(又は、CPカテゴリ)とシンボル長とTTI長との少なくとも一つを示す通信方式情報を含む、上位レイヤ制御信号を送信してもよい。
 
【0094】
  ここで、上位レイヤ制御信号とは、RRCシグナリングや報知信号などの物理レイヤよりも上位(例えば、レイヤ2、3)の制御信号である。上位レイヤ制御信号には、ランダムアクセス応答などが含まれてもよい。また、上位レイヤ制御信号には、ネットワーク主導の干渉キャンセル(NAICS:Network-Assisted  Interference  Cancellation  and  Suppression)シグナリングが含まれてもよい。
 
【0095】
  上位レイヤ制御信号により通信方式情報を無線基地局からユーザ端末に送信する場合、CP長、シンボル長、TTI長を準静的(semi-static)に変更することが可能である。
 
【0096】
<物理レイヤ制御信号及び上位レイヤ制御信号の双方>
  或いは、無線基地局は、CP長(又は、CPカテゴリ)とシンボル長とTTI長との少なくとも一つを含んで構成される各候補セットを示す上位レイヤ制御信号を送信し、Near  UE(
図5−9におけるユーザ端末#1)に対するDL信号及び/又はFAR  UE(
図5−9におけるユーザ端末#2、
図7におけるユーザ端末#3、4)に対するDL信号に適用される候補セットを示す物理レイヤ制御信号を送信してもよい。
 
【0097】
  図11は、候補セットと当該候補セットを示す物理レイヤ制御信号の説明図である。
図11では、4つの候補セット(パラメータセット)を含む上位レイヤ制御信号が予め送信される例を説明するが、候補セットの数はこれに限られない。
 
【0098】
  各候補セットは、Near  UEに対するDL信号及び/又はFAR  UEに対するDL信号に適用されるCP長、シンボル長、TTI長、MCSの少なくとも一つを含む。例えば、
図11Bでは、4つの候補セットにそれぞれ含まれるCP長は、それぞれ、物理レイヤ制御信号に含まれるビット値に関連づけられる。なお、各候補セットは、LTE  Rel.11におけるQuasi  co-locationで用いられるパラメータセットに含まれてもよいし、Quasi  co-locationとは別に規定されてもよい。
 
【0099】
  無線基地局は、予め通知される複数の候補セットの中から、Near  UEに対するDL信号及び/又はFAR  UEに対するDL信号に適用される候補セットを選択し、選択した候補セットを示す物理レイヤ制御信号を送信する。
図11Aに示すように、各候補セットはビット値に関連付けられるので、無線基地局は、選択した候補セットを示すビット値を含む物理レイヤ制御信号を送信する。
 
【0100】
  上位レイヤ制御信号により通知される複数の候補セットの中から選択される候補セットを物理レイヤ制御信号により指定する場合、CP長、シンボル長、TTI長を動的に変更しながら、無線基地局とユーザ端末との間のシグナリングを簡略化できる。
 
【0101】
  なお、無線基地局は、選択した候補セットを示すビット値を含む物理レイヤ制御信号を送信しなくともよい。この場合、ユーザ端末は、予め通知される複数の候補セットの中から、Near  UEに対するDL信号及び/又はFAR  UEに対するDL信号に適用される候補セットを推定する。
 
【0102】
(無線通信システム)
  以下、本発明の一実施形態に係る無線通信システムの構成について説明する。この無線通信システムでは、上記無線通信方法が適用される。なお、上記各態様に係る無線通信方法は、単独で適用されてもよいし、組み合わせて適用されてもよい。
 
【0103】
  図12は、本発明の一実施形態に係る無線通信システムの概略構成の一例を示す図である。無線通信システム1では、LTEシステムのシステム帯域幅(例えば、20MHz)を1単位とする複数の基本周波数ブロック(コンポーネントキャリア)を一体としたキャリアアグリゲーション(CA)及び/又はデュアルコネクティビティ(DC)を適用することができる。なお、無線通信システム1は、SUPER  3G、LTE−A(LTE−Advanced)、IMT−Advanced、4G、5G、FRA(Future  Radio  Access)などと呼ばれても良い。
 
【0104】
  図12に示す無線通信システム1は、マクロセルC1を形成する無線基地局11と、マクロセルC1内に配置され、マクロセルC1よりも狭いスモールセルC2を形成する無線基地局12a〜12cとを備えている。また、マクロセルC1及び各スモールセルC2には、ユーザ端末20が配置されている。
 
【0105】
  ユーザ端末20は、無線基地局11及び無線基地局12の双方に接続することができる。ユーザ端末20は、異なる周波数を用いるマクロセルC1とスモールセルC2を、CA又はDCにより同時に使用することが想定される。また、ユーザ端末20は、複数のセル(CC)(例えば、6個以上のCC)を用いてCA又はDCを適用することができる。
 
【0106】
  ユーザ端末20と無線基地局11との間は、相対的に低い周波数帯域(例えば、2GHz)で帯域幅が狭いキャリア(既存キャリア、Legacy  carrierなどと呼ばれる)を用いて通信を行うことができる。一方、ユーザ端末20と無線基地局12との間は、相対的に高い周波数帯域(例えば、3.5GHz、5GHzなど)で帯域幅が広いキャリアが用いられてもよいし、無線基地局11との間と同じキャリアが用いられてもよい。なお、各無線基地局が利用する周波数帯域の構成はこれに限られない。
 
【0107】
  無線基地局11と無線基地局12との間(又は、2つの無線基地局12間)は、有線接続(例えば、CPRI(Common  Public  Radio  Interface)に準拠した光ファイバ、X2インターフェースなど)又は無線接続する構成とすることができる。
 
【0108】
  無線基地局11及び各無線基地局12は、それぞれ上位局装置30に接続され、上位局装置30を介してコアネットワーク40に接続される。なお、上位局装置30には、例えば、アクセスゲートウェイ装置、無線ネットワークコントローラ(RNC)、モビリティマネジメントエンティティ(MME)などが含まれるが、これに限定されるものではない。また、各無線基地局12は、無線基地局11を介して上位局装置30に接続されてもよい。
 
【0109】
  なお、無線基地局11は、相対的に広いカバレッジを有する無線基地局であり、マクロ基地局、集約ノード、eNB(eNodeB)、送受信ポイント、などと呼ばれてもよい。また、無線基地局12は、局所的なカバレッジを有する無線基地局であり、スモール基地局、マイクロ基地局、ピコ基地局、フェムト基地局、HeNB(Home  eNodeB)、RRH(Remote  Radio  Head)、送受信ポイントなどと呼ばれてもよい。以下、無線基地局11及び12を区別しない場合は、無線基地局10と総称する。
 
【0110】
  各ユーザ端末20は、LTE、LTE−Aなどの各種通信方式に対応した端末であり、移動通信端末だけでなく固定通信端末を含んでもよい。
 
【0111】
  無線通信システム1においては、無線アクセス方式として、下りリンクにNOMA(非直交多元接続)(電力多元接続ともいう)が適用されるが、OFDMA(直交周波数分割多元接続)が適用されてもよい。OFDMAは、周波数帯域を複数の狭い周波数帯域(サブキャリア)に分割し、各サブキャリアにデータをマッピングして通信を行うマルチキャリア伝送方式である。また、上りリンクにSC−FDMA(シングルキャリア−周波数分割多元接続)が適用されるが、NOMAやOFDMAが適用されてもよい。SC−FDMAは、システム帯域幅を端末毎に1つ又は連続したリソースブロックからなる帯域に分割し、複数の端末が互いに異なる帯域を用いることで、端末間の干渉を低減するシングルキャリア伝送方式である。なお、上り及び下りの無線アクセス方式は、これらの組み合わせに限られない。
 
【0112】
  無線通信システム1では、下りリンクのチャネルとして、各ユーザ端末20で共有される下りデータチャネル(PDSCH:Physical  Downlink  Shared  Channel)、報知チャネル(PBCH:Physical  Broadcast  Channel)、L1/L2制御チャネル(L1/L2制御信号)などが用いられる。PDSCHにより、ユーザデータや上位レイヤ制御情報、SIB(System  Information  Block)などが伝送される。また、PBCHにより、MIB(Master  Information  Block)が伝送される。
 
【0113】
  L1/L2制御チャネルは、下り制御チャネル(PDCCH(Physical  Downlink  Control  Channel)、EPDCCH(Enhanced  Physical  Downlink  Control  Channel))、PCFICH(Physical  Control  Format  Indicator  Channel)、PHICH(Physical  Hybrid-ARQ  Indicator  Channel)などを含む。PDCCHにより、PDSCH及びPUSCHのスケジューリング情報を含む下り制御情報(DCI:Downlink  Control  Information)などが伝送される。PCFICHにより、PDCCHに用いるOFDMシンボル数が伝送される。PHICHにより、PUSCHに対するHARQの送達確認情報(ACK/NACK)が伝送される。EPDCCHは、PDSCH(下り共有データチャネル)と周波数分割多重され、PDCCHと同様にDCIなどの伝送に用いられる。
 
【0114】
  無線通信システム1では、上りリンクのチャネルとして、各ユーザ端末20で共有される上りデータチャネル(PUSCH:Physical  Uplink  Shared  Channel)、上り制御チャネル(PUCCH:Physical  Uplink  Control  Channel)、ランダムアクセスチャネル(PRACH:Physical  Random  Access  Channel)などが用いられる。上りデータチャネルにより、ユーザデータ、上位レイヤ制御情報が伝送される。送達確認情報(ACK/NACK)や無線品質情報(CQI)などの少なくも一つを含む上り制御情報(UCI:Uplink  Control  Information)は、上りデータチャネル又は上り制御チャネルにより、伝送される。ランダムアクセスチャネルにより、セルとの接続確立のためのランダムアクセスプリアンブルが伝送される。
 
【0115】
<無線基地局>
  
図13は、本発明の一実施形態に係る無線基地局の全体構成の一例を示す図である。無線基地局10は、複数の送受信アンテナ101と、アンプ部102と、送受信部103と、ベースバンド信号処理部104と、呼処理部105と、伝送路インターフェース106とを備えている。なお、送受信アンテナ101、アンプ部102、送受信部103は、それぞれ1つ以上を含むように構成されてもよい。
 
【0116】
  下りリンクにより無線基地局10からユーザ端末20に送信されるユーザデータは、上位局装置30から伝送路インターフェース106を介してベースバンド信号処理部104に入力される。
 
【0117】
  ベースバンド信号処理部104では、ユーザデータに関して、PDCP(Packet  Data  Convergence  Protocol)レイヤの処理、ユーザデータの分割・結合、RLC(Radio  Link  Control)再送制御などのRLCレイヤの送信処理、MAC(Medium  Access  Control)再送制御(例えば、HARQ(Hybrid  Automatic  Repeat  reQuest)の送信処理)、スケジューリング、伝送フォーマット選択、チャネル符号化、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse  Fast  Fourier  Transform)処理、プリコーディング処理などの送信処理が行われて送受信部103に転送される。また、下り制御信号に関しても、チャネル符号化や逆高速フーリエ変換などの送信処理が行われて、送受信部103に転送される。
 
【0118】
  送受信部103は、ベースバンド信号処理部104からアンテナ毎にプリコーディングして出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に変換して送信する。送受信部103で周波数変換された無線周波数信号は、アンプ部102により増幅され、送受信アンテナ101から送信される。
 
【0119】
  また、送受信部103は、ユーザ端末20に対する下りリンク(DL)信号及び/又はユーザ端末20と電力領域で多重される他のユーザ端末20に対するDL信号に適用されるCP長(又は、CPカテゴリ)とシンボル長とTTI長との少なくとも一つを示す通信方式情報を含む、物理レイヤ制御信号又は上位レイヤ制御信号を送信してもよい。
 
【0120】
  また、送受信部103は、CP長(又は、CPカテゴリ)とシンボル長とTTI長との少なくとも一つを含んで構成される各候補セットを示す上位レイヤ制御信号を送信し、ユーザ端末20に対するDL信号及び/又はユーザ端末20と電力領域で多重される他のユーザ端末20に対するDL信号に適用される候補セットを示す物理レイヤ制御信号を送信してもよい。
 
【0121】
  本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるトランスミッター/レシーバー、送受信回路又は送受信装置から構成することができる。なお、送受信部103は、一体の送受信部として構成されてもよいし、送信部及び受信部から構成されてもよい。
 
【0122】
  一方、上りリンク(UL)信号については、送受信アンテナ101で受信された無線周波数信号がアンプ部102で増幅される。送受信部103はアンプ部102で増幅されたUL信号を受信する。送受信部103は、受信信号をベースバンド信号に周波数変換して、ベースバンド信号処理部104に出力する。
 
【0123】
  ベースバンド信号処理部104では、入力されたUL信号に含まれるユーザデータに対して、高速フーリエ変換(FFT:Fast  Fourier  Transform)処理、逆離散フーリエ変換(IDFT:Inverse  Discrete  Fourier  Transform)処理、誤り訂正復号、MAC再送制御の受信処理、RLCレイヤ及びPDCPレイヤの受信処理がなされ、伝送路インターフェース106を介して上位局装置30に転送される。呼処理部105は、通信チャネルの設定や解放などの呼処理や、無線基地局10の状態管理や、無線リソースの管理を行う。
 
【0124】
  伝送路インターフェース106は、所定のインターフェースを介して、上位局装置30と信号を送受信する。また、伝送路インターフェース106は、基地局間インターフェース(例えば、CPRI(Common  Public  Radio  Interface)に準拠した光ファイバ、X2インターフェース)を介して隣接無線基地局10と信号を送受信(バックホールシグナリング)してもよい。
 
【0125】
  図14は、本実施形態に係る無線基地局の機能構成の一例を示す図である。なお、
図14は、本実施形態における特徴部分の機能ブロックを主に示しており、無線基地局10は、無線通信に必要な他の機能ブロックも有しているものとする。
図14に示すように、ベースバンド信号処理部104は、制御部301と、送信信号生成部302と、マッピング部303と、受信信号処理部304と、測定部305と、を備えている。
 
【0126】
  制御部301は、無線基地局10全体の制御を実施する。制御部301は、例えば、送信信号生成部302による下り信号の生成や、マッピング部303による信号のマッピング、受信信号処理部304による信号の受信処理を制御する。
 
【0127】
  また、制御部301は、DL信号(下りデータチャネル、下り制御チャネル(物理レイヤ制御信号)、下り参照信号を含む)に対する無線リソースの割り当て(スケジューリング)を制御する。また、制御部301は、同一の無線リソースに電力領域で多重される複数のユーザ端末を決定し、各ユーザ端末に割り当てる送信電力を制御する。
 
【0128】
  また、制御部301は、ユーザ端末20に対するDL信号と電力領域で多重される他のユーザ端末20に対するDL信号との間で、サイクリックプリフィクス(CP)長とシンボル長と伝送時間間隔(TTI)長との少なくとも一つが異なるように制御する。
 
【0129】
  具体的には、制御部301は、(1)ユーザ端末20のタイミングアドバンス(TA)、(2)ユーザ端末20との間のパスロス、(3)ユーザ端末20の分類情報、(4)ユーザ端末20の電力多重情報の少なくとも一つに基づいて、ユーザ端末20のCP長(又は、CPカテゴリ)を決定してもよい(第1の態様)。
 
【0130】
  例えば、制御部301は、Near  UE(電力多重される複数のユーザ端末20のうち、小さい送信電力が割り当てられるユーザ端末20)に対するDL信号に適用されるCP長は、Far  UE(電力多重される複数のユーザ端末20のうち、大きい送信電力が割り当てられるユーザ端末20)に対するDL信号に適用されるCP長よりも短くしてもよい。
 
【0131】
  また、制御部301は、(1)ユーザ端末20から報告される遅延要求レベル、(2)ユーザ端末20の分類情報、(3)ユーザ端末20の料金プランの少なくとも一つに基づいて、ユーザ端末20のシンボル長を決定してもよい(第2の態様)。
 
【0132】
  例えば、制御部301は、Near  UEに対するDL信号に適用されるシンボル長は、Far  UEに対するDL信号に適用されるシンボル長よりも長くしてもよい。また、制御部301は、Near  UEに対するDL信号に適用されるシンボル長は、Far  UEに対するDL信号に適用されるシンボル長のn倍(nは、正の整数)としてもよい。また、制御部301は、複数のFar  UEを時間多重してもよい。
 
【0133】
  また、制御部301は、(1)ユーザ端末20から報告される遅延要求レベル、(2)ユーザ端末20の分類情報、(3)ユーザ端末20の料金プランの少なくとも一つに基づいて、ユーザ端末20のTTI長(又は/及びシンボル数)を決定してもよい(第3の態様)。
 
【0134】
  制御部301は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるコントローラ、制御回路又は制御装置から構成することができる。
 
【0135】
  送信信号生成部302は、制御部301からの指示に基づいて、DL信号(下りデータチャネル、下り制御チャネル(L1制御信号)、下り参照信号を含む)を生成して、マッピング部303に出力する。
 
【0136】
  送信信号生成部302は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明される信号生成器、信号生成回路又は信号生成装置とすることができる。
 
【0137】
  マッピング部303は、制御部301からの指示に基づいて、送信信号生成部302で生成された下り信号を、所定の無線リソースにマッピングして、送受信部103に出力する。マッピング部303は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるマッパー、マッピング回路又はマッピング装置とすることができる。
 
【0138】
  受信信号処理部304は、ユーザ端末20から送信される上りリンク(UL)信号(上りデータチャネル、上り制御チャネル、上り参照信号を含む)に対して、受信処理(例えば、デマッピング、復調、復号など)を行う。処理結果は、制御部301に出力される。
 
【0139】
  受信信号処理部304は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明される信号処理器、信号処理回路又は信号処理装置、並びに、測定器、測定回路又は測定装置から構成することができる。
 
【0140】
  測定部305は、ユーザ端末20からの上り参照信号を用いた測定を行い、測定結果を制御部301に出力する。具体的には、測定部305は、レイヤ間で直交又は準直交する上り参照信号を用いて、各レイヤのチャネル状態を測定(推定)する。
 
【0141】
  測定部305は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明される信号処理器、信号処理回路又は信号処理装置、並びに、測定器、測定回路又は測定装置から構成することができる。
 
【0142】
<ユーザ端末>
  
図15は、本発明の一実施形態に係るに係るユーザ端末の全体構成の一例を示す図である。ユーザ端末20は、MIMO伝送のための複数の送受信アンテナ201と、アンプ部202と、送受信部203と、ベースバンド信号処理部204と、アプリケーション部205と、を備えている。
 
【0143】
  複数の送受信アンテナ201で受信された無線周波数信号は、それぞれアンプ部202で増幅される。各送受信部203はアンプ部202で増幅された下り信号を受信する。送受信部203は、受信信号をベースバンド信号に周波数変換して、ベースバンド信号処理部204に出力する。
 
【0144】
  ベースバンド信号処理部204は、入力されたベースバンド信号に対して、FFT処理や、誤り訂正復号、再送制御の受信処理などを行う。下りリンクのユーザデータは、アプリケーション部205に転送される。アプリケーション部205は、物理レイヤやMACレイヤより上位のレイヤに関する処理などを行う。また、下りリンクのデータのうち、報知情報もアプリケーション部205に転送される。
 
【0145】
  一方、上りリンクのユーザデータについては、アプリケーション部205からベースバンド信号処理部204に入力される。ベースバンド信号処理部204では、再送制御の送信処理(例えば、HARQの送信処理)や、チャネル符号化、プリコーディング、離散フーリエ変換(DFT:Discrete  Fourier  Transform)処理、IFFT処理などが行われて各送受信部203に転送される。送受信部203は、ベースバンド信号処理部204から出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に変換して送信する。送受信部203で周波数変換された無線周波数信号は、アンプ部202により増幅され、送受信アンテナ201から送信される。
 
【0146】
  なお、送受信部203は、ユーザ端末20に対するDL信号及び/又はユーザ端末20と電力領域で多重される他のユーザ端末20に対するDL信号に適用されるCP長とシンボル長とTTI長との少なくとも一つを示す通信方式情報を含む、物理レイヤ制御信号又は上位レイヤ制御信号を受信してもよい。
 
【0147】
  また、送受信部203は、CP長とシンボル長とTTI長との少なくとも一つを含んで構成される各候補セットを示す上位レイヤ制御信号を受信し、ユーザ端末20に対するDL信号及び/又はユーザ端末20と電力領域で多重される他のユーザ端末20に対するDL信号に適用される候補セットを示す物理レイヤ制御信号を受信してもよい。
 
【0148】
  送受信部203は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるトランスミッター/レシーバー、送受信回路又は送受信装置とすることができる。また、送受信部203は、一体の送受信部として構成されてもよいし、送信部及び受信部から構成されてもよい。
 
【0149】
  図16は、本実施形態に係るユーザ端末の機能構成の一例を示す図である。なお、
図16においては、本実施形態における特徴部分の機能ブロックを主に示しており、ユーザ端末20は、無線通信に必要な他の機能ブロックも有しているものとする。
図16に示すように、ユーザ端末20が有するベースバンド信号処理部204は、制御部401と、送信信号生成部402と、マッピング部403と、受信信号処理部404と、測定部405と、を備えている。
 
【0150】
  制御部401は、ユーザ端末20全体の制御を実施する。制御部401は、例えば、送信信号生成部402による信号の生成や、マッピング部403による信号のマッピング、受信信号処理部404による信号の受信処理を制御する。
 
【0151】
  また、制御部401は、送受信部203で受信された通信方式情報が示すCP長、シンボル長、TTI長に基づいて、ユーザ端末20に対するDL信号の受信処理を行うように受信信号処理部404を制御する。
 
【0152】
  具体的には、制御部401は、Near  UE(電力多重される複数のユーザ端末20のうち、小さい送信電力が割り当てられるユーザ端末20)である場合、Far  UE(電力多重される複数のユーザ端末20のうち、大きい送信電力が割り当てられるユーザ端末20)に対するDL信号の復号結果と、Near  UEに対するDL信号に適用されるCP長とシンボル長とTTI長との少なくとも一つと、に基づいて、Near  UEに対するDL信号を復号するように、受信信号処理部404を制御する。
 
【0153】
  一方、制御部401は、Far  UEである場合、Far  UEに対するDL信号に適用されるCP長とシンボル長とTTI長との少なくとも一つと、に基づいて、Far  UEに対するDL信号を復号するように、受信信号処理部404を制御してもよい。
 
【0154】
  或いは、制御部401は、Far  UEである場合、Near  UEに対するDL信号の復号結果と、Far  UEに対するDL信号に適用されるCP長とシンボル長とTTI長との少なくとも一つと、に基づいて、Far  UEに対するDL信号を復号するように、受信信号処理部404を制御してもよい。
 
【0155】
  また、制御部401は、Far  UEである場合、PSSとSSSとの受信時間差に基づいて推定したCP長に基づいて、Far  UEに対するDL信号を復号するように、受信信号処理部404を制御してもよい。
 
【0156】
  制御部401は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるコントローラ、制御回路又は制御装置から構成することができる。
 
【0157】
  送信信号生成部402は、制御部401からの指示に基づいて、UL信号(上りデータチャネル、上り制御チャネル、上り参照信号を含む)を生成して、マッピング部403に出力する。例えば、送信信号生成部402は、UCIを含む上り制御チャネルを生成する。また、送信信号生成部402は、上りユーザデータを含む上りデータチャネルを生成する。
 
【0158】
  具体的には、送信信号生成部402は、制御部401からの指示に基づいて、レイヤ間で直交又は準直交する上り参照信号を生成する。具体的には、送信信号生成部402は、レイヤ間で直交又は準直交する系列を用いて各レイヤの上り参照信号を生成してもよい。
 
【0159】
  送信信号生成部402は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明される信号生成器、信号生成回路又は信号生成装置とすることができる。
 
【0160】
  マッピング部403は、制御部401からの指示に基づいて、送信信号生成部402で生成されたUL信号(上り制御チャネル、上りデータチャネル、上り参照信号など)を無線リソースにマッピングして、送受信部203へ出力する。マッピング部403は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるマッパー、マッピング回路又はマッピング装置とすることができる。
 
【0161】
  受信信号処理部404は、制御部401に指示に従って、DL信号(下り制御チャネル(L1制御信号)、下りデータチャネルの少なくとも一つを含む)に対して、受信処理(例えば、デマッピング、復調、復号など)を行う。受信信号処理部404は、無線基地局10から受信した情報を、制御部401に出力する。受信信号処理部404は、例えば、報知情報、システム情報、RRCシグナリングなどの上位レイヤシグナリングによる制御情報、DCIなどを、制御部401に出力する。
 
【0162】
  受信信号処理部404は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明される信号処理器、信号処理回路又は信号処理装置から構成することができる。また、受信信号処理部404は、Near  UEである場合、SICなどのキャンセラを有し、Far  UEである場合、当該キャンセラを有してもよいし、有さなくともよい。また、受信信号処理部404は、本発明に係る復号部を構成することができる。
 
【0163】
  測定部405は、無線基地局10からの下り参照信号(例えば、CRS、CSI−RS)に基づいて、チャネル状態を測定し、測定結果を制御部401に出力する。
 
【0164】
  測定部405は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明される信号処理器、信号処理回路又は信号処理装置、並びに、測定器、測定回路又は測定装置から構成することができる。
 
【0165】
  なお、上記実施形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現手段は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的に結合した1つの装置により実現されてもよいし、物理的に分離した2つ以上の装置を有線又は無線で接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。
 
【0166】
  例えば、無線基地局10やユーザ端末20の各機能の一部又は全ては、ASIC(Application  Specific  Integrated  Circuit)、PLD(Programmable  Logic  Device)、FPGA(Field  Programmable  Gate  Array)などのハードウェアを用いて実現されても良い。また、無線基地局10やユーザ端末20は、プロセッサ(CPU:Central  Processing  Unit)と、ネットワーク接続用の通信インターフェースと、メモリと、プログラムを保持したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体と、を含むコンピュータ装置によって実現されてもよい。つまり、本発明の一実施形態に係る無線基地局、ユーザ端末などは、本発明に係る無線通信方法の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。
 
【0167】
  ここで、プロセッサやメモリなどは情報を通信するためのバスで接続される。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、例えば、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read  Only  Memory)、EPROM(Erasable  Programmable  ROM)、CD−ROM(Compact  Disc−ROM)、RAM(Random  Access  Memory)、ハードディスクなどの記憶媒体である。また、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。また、無線基地局10やユーザ端末20は、入力キーなどの入力装置や、ディスプレイなどの出力装置を含んでいてもよい。
 
【0168】
  無線基地局10及びユーザ端末20の機能構成は、上述のハードウェアによって実現されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実現されてもよいし、両者の組み合わせによって実現されてもよい。プロセッサは、オペレーティングシステムを動作させてユーザ端末の全体を制御する。また、プロセッサは、記憶媒体からプログラム、ソフトウェアモジュールやデータをメモリに読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。
 
【0169】
  ここで、当該プログラムは、上記の各実施形態で説明した各動作を、コンピュータに実行させるプログラムであれば良い。例えば、ユーザ端末20の制御部401は、メモリに格納され、プロセッサで動作する制御プログラムによって実現されてもよく、他の機能ブロックについても同様に実現されてもよい。
 
【0170】
  また、ソフトウェア、命令などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア及びデジタル加入者回線(DSL)などの有線技術及び/又は赤外線、無線及びマイクロ波などの無線技術を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び/又は無線技術は、伝送媒体の定義内に含まれる。
 
【0171】
  なお、本明細書で説明した用語及び/又は本明細書の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。例えば、チャネル及び/又はシンボルは信号(シグナリング)であってもよい。また、信号はメッセージであってもよい。また、コンポーネントキャリア(CC)は、キャリア周波数、セルなどと呼ばれてもよい。
 
【0172】
  また、本明細書で説明した情報、パラメータなどは、絶対値で表されてもよいし、所定の値からの相対値で表されてもよいし、対応する別の情報で表されてもよい。例えば、無線リソースはインデックスで指示されるものであってもよい。
 
【0173】
  本明細書で説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
 
【0174】
  本明細書で説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的に(例えば、当該所定の情報の通知を行わないことによって)行われてもよい。
 
【0175】
  情報の通知は、本明細書で説明した態様/実施形態に限られず、他の方法で行われてもよい。例えば、情報の通知は、物理レイヤシグナリング(例えば、DCI(Downlink  Control  Information)、UCI(Uplink  Control  Information))、上位レイヤシグナリング(例えば、RRC(Radio  Resource  Control)シグナリング、MAC(Medium  Access  Control)シグナリング、報知情報(MIB(Master  Information  Block)、SIB(System  Information  Block)))、その他の信号又はこれらの組み合わせによって実施されてもよい。また、RRCシグナリングは、RRCメッセージと呼ばれてもよく、例えば、RRC接続セットアップ(RRCConnectionSetup)メッセージ、RRC接続再構成(RRCConnectionReconfiguration)メッセージなどであってもよい。
 
【0176】
  本明細書で説明した各態様/実施形態は、LTE(Long  Term  Evolution)、LTE−A(LTE-Advanced)、SUPER  3G、IMT−Advanced、4G、5G、FRA(Future  Radio  Access)、CDMA2000、UMB(Ultra  Mobile  Broadband)、IEEE  802.11(Wi−Fi)、IEEE  802.16(WiMAX)、IEEE  802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及び/又はこれらに基づいて拡張された次世代システムに適用されてもよい。
 
【0177】
  本明細書で説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本明細書で説明した方法については、例示的な順序で様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
 
【0178】
  以上、本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
 
【0179】
  本出願は、2015年9月24日出願の特願2015−186886に基づく。この内容は、全てここに含めておく。