(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6865515
(24)【登録日】2021年4月8日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】施肥機能付直播機
(51)【国際特許分類】
A01C 7/12 20060101AFI20210419BHJP
A01C 7/06 20060101ALI20210419BHJP
A01C 7/20 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
A01C7/12 Z
A01C7/06 A
A01C7/20 A
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-88422(P2020-88422)
(22)【出願日】2020年4月15日
【審査請求日】2020年7月10日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518423571
【氏名又は名称】藤井 道夫
(72)【発明者】
【氏名】藤井 道夫
【審査官】
小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第04023511(US,A)
【文献】
特許第034812(JP,C2)
【文献】
特開平01−141511(JP,A)
【文献】
特表2016−533178(JP,A)
【文献】
米国特許第02340240(US,A)
【文献】
米国特許第05359948(US,A)
【文献】
国際公開第2017/126519(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 3/00− 9/08
A01C15/00−23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
種子ホッパー内の種子を繰出しロールで車輪の回転と共に1箇所に播種する量を等間隔で連続して分量選択し、この種子を車輪内の送りリングに送り、車輪の回転と共に送りリングの外枠の排出口から固定爪と可動爪が接触した状態の固定爪の上に載せ、固定爪が車軸の真下(土中)に来た時、可動爪の下部を開き、種子を真下に落し、可動爪の下端により作られた隙間に播種し、土落しブラシで土を落し、覆土押えで押えて播種を繰り返す播種車輪による直播機であって、前記繰出しロールで、種子を分量選択する時、種子量調整プレートの上面に整粒櫛を取付け、スプーン形に曲げた整粒櫛の底部の半円形部分が繰出しロールの種子だまりの凹部に掛かり、繰出しロールの回転により整粒櫛が上下運動をすることで種子が常に動き、種子を滞留することなく繰出しロールの種子だまりに落し、播種車輪の回転と共に下方の種子受けロートを通して送りリングへ送る直播機。
【請求項2】
前記送りリングが、播種車輪の回転と共に送りリングの外枠の内側を回転し、送りリングの種子だまりで受けた種子を、固定爪より高い位置に種子を送り、この外枠の排出口から固定爪と可動爪が接触した状態の固定爪の上に種子を載せる請求項1に記載の直播機。
【請求項3】
前記可動爪の下端を開く方法は、可動爪の上部をバネで引っ張り固定爪の下部に可動爪の下部を接触させ種子の落し口を閉じた状態で、送りリングから種子を受取り、ストッパーで止めた可動爪をストッパー当りによってストッパーを外し、可動爪の上部をバネによって引寄せ、支点より下にある土中の可動爪の下端を開き播種穴を開ける請求項1から2のいずれかに記載の直播機。
【請求項4】
前記固定爪と前記可動爪の接触部において、可動爪の上端部は、固定爪の上端部よりも下方にあることにより、種子は固定爪の上端から可動爪の上端に移り、可動爪が固定爪から離れる時に種子を残りなく真下に落とすことができ、種子が可動爪側に曲げた固定爪の斜面に当り、跳ねて可動爪の下端で開けられた播種穴に奥深くに散らして播種する請求項1から3のいずれかに記載の直播機。
【請求項5】
前記覆土押えは、可動爪の下部が固定爪に戻る時、接地面積を広くした接地面を有する食い込み抑止カバーを備え、この覆土押えを蒲鉾型にすることで、土中に食い込むにつれて接地面の幅が広くなり食い込み抑止効果を高めることができる請求項1から4のいずれかに記載の直播機。
【請求項6】
前記固定爪の下端は、可動爪に密着するように可動爪側に同じ角度で曲げ、固定爪の下端が可動爪の下になるように、可動爪の下端より長くし、また、可動爪の両側にある播種車輪のホイールから突出した固定爪補強プレートと可動爪保護プレートで囲い、土の浸入を防ぐ土落しブラシと共に可動爪を守り、播種機能を維持する請求項1から5のいずれかに記載の直播機。
【請求項7】
請求項1から6に記載の直播機の機構を車輪の片面に収め、同じ機構を持った車輪の背面で張り合わせ、片方を播種車輪として、もう片方を施肥車輪として使用することができる施肥機能付直播機。
【請求項8】
請求項1から6に記載の直播機の機構を、固定車軸の外側に筒状の可動車軸を挿した二重車軸とし、この可動車軸に播種車輪と繰出しロールを固定した機構を1セットとし、固定車軸に挿して横に連結した場合、それぞれの播種車輪が、独立して回転する直播機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、牽引又は手押しにより耕起・不耕起の圃場面に、粒状の種子又は肥料を撒くための直播機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の直播機は、播種する圃場面を部分的に耕し播種、円盤またはスキ形の固定爪等により播種溝や播種穴を形成し、播種溝や播種穴を形成する装置から離れた別の装置で播種、施肥、覆土する機械であり、曲がるとき装置を持ち上げて曲がる必要がある。また、曲がりのある圃場で連続して播種する場合、種子が播種溝や播種穴の外にこぼれる。畝数を増やし播種装置を横に連結して使用する場合、外輪側、内輪側とも同じタイミングで種子を供給するため、内輪側では播種間隔が極端に近くなり、種子が近い位置に必要以上に供給され種子が無駄になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018−143118
【特許文献2】特開昭52−93514号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の直播機は、播種及び施肥、覆土を別の装置で行なうため、曲がりのある圃場に播種するとき、種子が播種溝または播種穴の外にこぼれ、種子上に覆土ができず、種子が乾燥して発芽しない、鳥獣の食害を受ける。
【0005】
播種及び施肥、覆土を別の装置で行なう直播機は、構造が複雑になり重く人力で使いづらく、曲がるとき、播種装置を持ち上げないと曲がれない。
【0006】
畝数が多く播種装置を横に連結する場合、曲がりのある圃場では、内輪と外輪の播種装置の回転数が同じ場合、内輪側では、同じ場所又は近くに必要以上に種子を繰返し供給するため種子が無駄になり、作物が過密で生育が悪くなる。
【0007】
山間地の曲がりの多い圃場で、牽引車で牽引して使用する場合、方向転換するとき、播種するスペースを牽引車に占有され、後で手作業する部分が多くなり、効率よく直播機を使用することができないなどの課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するため、本発明は、請求項1に示すように、播種車輪を手押し又は牽引車により牽引することにより、播種車輪を転がし種子の分量選択供給から播種・覆土までの機構を稼働させ、播種穴を開ける機構に種子を供給する仕組みを組込み、播種穴を開けるのとほぼ同時に播種するため、播種穴から種子がこぼれることなく、覆土も種子上の土を押えることにより完了する機構を特徴とする。これにより、種子が乾燥して発芽しない、鳥獣の食害を受けるなどの課題を解決できる。
【0009】
請求項2と3の発明は、播種穴を開ける可動爪上に種子を送るための発明で、請求項2の繰出しロールで種子を分量選択する際、種子を種子量調整プレートの上に取付けた整粒櫛を通すことにより、繰出しロールの回転と共に整粒櫛が常に上下運動することを特徴とし、種子を動かし滞留することなく、繰出しロールの種子だまりに落とすことができる。
【0010】
また、請求項3の発明は、繰出しロールで分量選択された種子を可動爪上に送るため、先に固定爪上に載せる必要があり、この固定爪より高い位置に種子を送るための送りリングで、この送りリングを回転させて、種子を固定爪上に載せる仕組みで、これにより、播種機構の可動爪上に種子を供給でき、播種車輪内に、播種機構を収めることができる。
【0011】
請求項4の発明は、可動爪10の下端を開き播種穴を開ける方法で、
図1に示すストッパー6をフレームに固定されたストッパー当り304に当てストッパー6を持ち上げ外し、バネで引っ張られた可動爪10上部を固定爪3上部に引寄せ、
図1の可動爪ヒンジ14の下にある可動爪下端18を開き播種穴を開ける。
【0012】
請求項5の発明は、固定爪3と可動爪10の接触部において、
図4に示すように可動爪接触部上端17が固定爪接触部上端16より下方にあることにより、送られて来た種子を全て可動爪10上に載せ、落し口が開いたとき種子を残らずまとめて真下に勢いよく落とすことができ、固定爪3下部の可動爪10側に曲げた斜面に跳ねさせて播種穴の奥に散らして播種できる。
【0013】
請求項6の発明は、
図5に示すように食い込み抑止カバー付覆土押え23を蒲鉾型にして土中に食い込むにつれて接地面の幅が直方体にした場合のW1より蒲鉾型のW2が広くなり、食い込み抑止効果が高められた可動爪下端18の軌跡を
図7のA−1からA−4に示し、播種車輪が食い込まず転がるため、車輪ホイール21が接地せず、浮いた状態で可動爪下端18が固定爪3上に戻る時、種子より浅い位置を通り、種子を傷めず、掻き上げない効果がある。
【0014】
前記
図7のB−1からB−4は、食い込み抑止カバーを取付けない覆土押えの動きを示したもので覆土押えが圃場面に食い込み、播種車輪が接地し転がるため、可動爪下端18が種子より深い位置を通って固定爪3下端に戻るため、種子を傷つけ掻き上げてしまう。
【0015】
請求項7の発明は、可動爪10を守る構造について、
図6及び
図2、
図12で説明する。
図6は、固定爪3下端に可動爪10を密着させ、圃場面に食い込むとき、可動爪下端18より長く伸ばした固定爪3下端が可動爪10を損傷から守る。また、
図2、
図12の車輪背面プレート20の突出した固定爪補強プレート20aと可動爪保護プレート21aで固定爪3を挟み、このコの字型で可動爪下端18を囲い、可動爪が開く側に、土落しブラシ24を取付け土の浸入を防ぐ。
【0016】
前記の発明により、可動爪下端18が土中にあるときに進行方向を変えても可動爪を損傷から守り、土の浸入も防ぎ播種機能を維持できる。また、装置を持ち上げずに進行方向を変えられる。
【0017】
請求項8は、請求項1から7の発明を車輪の片面に収めることができる特徴があるため、
図13に示すように背面で張り合わせ、播種車輪及び施肥車輪として使用でき、多機能な直播機とすることができる。
【0018】
請求項9は、固定車軸に、筒状の可動車軸を挿した二重車軸とし、外側の可動車軸に請求項1から7の発明による播種車輪と繰出しロールを1セットとして固定し、この1セットが独立して可動するように横に連結して使用すれば、外輪側と内輪側の進行速度に応じて播種車輪が回転するため、曲がりのある圃場でも外輪側と内輪側の播種間隔は、同じで、作物の生育に差がなく同じように育ち、種子も無駄にならない。
【発明の効果】
【0019】
播種穴を開けるのと、ほぼ同時に種子を播種穴に落し込むため、曲がりのある圃場でも、種子が播種穴からこぼれることなく播種、施肥、覆土ができ、種子または肥料の無駄を無くし播種、施肥、覆土する一連の機構を播種車輪の片面に収めることができるため、機械の小型化が可能になり、車輪の片面に播種、反対側の片面に施肥、播種等、機能の組合せで背面を張り合わせれば、多機能化ができ、一車輪で機能が完結しているため、可動車軸に1セットとしてまとめ、追加や交換が簡単で整備が楽になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図3】
図1に示す固定爪3の下部を垂直にした場合の種子の落下図
【
図4】
図1に示す固定爪3の下部を可動爪10側に曲げた場合の種子の落下図
【
図7】食い込み抑止カバーの有無による可動爪下端18の軌跡比較図
【
図8】繰出しロール100に種子ホッパー102を取付ける部分の断面図
【
図11】送りリング200、送りリング外枠306、307の斜視図
【
図13】
図1に示すa−a断面図(播種車輪1A+施肥車輪1B)
【発明を実施するための形態】
この発明の実施の形態の大きな特徴は、播種穴を開け、覆土する機構に種子を供給し播種する機能を組み込んだことであり、この一連の作業をほぼ同時に行なう機構について図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1は、本発明を実施するための基本的な機構を示し、太い矢印の方向に牽引又は押すことによって、播種車輪1Aのホイール21から突出した固定爪3の下部を圃場面に引っ掛けて車輪が回転し前進、車輪の回転と共に種子ホッパー102の種子を可動車軸301に固定された繰出しロール100(
図8)で1箇所に播く量の種子を繰出しロール100の種子だまり101に落し、種子を種子受けロート107を通して送りリング200(
図10、
図11)の種子だまり201に送る。
【0022】
外周が開放された送りリング200の種子だまり201の種子を送りリングの外枠306の内側を回転させることによって種子がこぼれるのを防ぎ播種車輪1Aの回転と共に固定爪3の下部と可動爪10の下部が接触し種子の落し口が塞がれた状態の固定爪3の上部が水平になった時、種子を送りリング外枠306の排出口307(
図10、
図11)から固定爪3の上に落とす。
【0023】
播種車輪1Aの回転と共に固定爪3上に落とされた種子が固定爪3上を移動し、固定爪接触部上端16から可動爪接触部上端17に移動し、固定爪3が車軸の真下になった時、可動爪用引張コイルバネ12によって引っ張られた可動爪10を止めたストッパー6を外し、可動爪10の上部を引き寄せ、支点より下にある可動爪下端18を開き播種穴を開けるのとほぼ同時に種子を真下に落とし播種し、種子上の土を押えて覆土する。
以上が種子の分量から播種、覆土するまでの機構の説明である。
【0024】
この発明を使用するときは、牽引車による牽引又は人力で押すことでの使用を前提にしている。牽引することにより、播種車輪の回転によって播種機能の動きが左右され、横に播種車輪を連結して使用した場合、各播種車輪が独立して稼働するように二重車軸に取付ければ、曲がりのある圃場でも、播種装置を持ち上げる必要もなく内輪側も、外輪側と同じ間隔で播種することができ、作物の生育条件を揃えることができ、作物の増産につながる。また、方向転換による牽引車のスペースも播種していけるので、後作業を減らし作業効率を上げることができる。
【0025】
次に、各部位の特徴を説明する。
図3は、固定爪3の下部を垂直にした場合の種子の落下状態を表したものであるが、種子が塊のまま落下して1ヵ所に山盛りになり発芽に差ができ、生育に差が生じ収量にも影響する。また、可動爪10の下端が土中に食い込むときに硬い地盤や小石がある場合、損傷する可能性がある。
【0026】
図4は、固定爪3の下端を可動爪10側に可動爪10と同じ角度で曲げた場合の図であるが、種子が固定爪3の下端の斜面に当り跳ねて播種穴の奥に広がって播かれる図である。また、可動爪下端18は、固定爪3の上にあり土中に食い込むときに損傷しない。
【0027】
図6は、播種車輪の回転により種子および可動爪10とストッパー6の動きを表わしたもので、AからDは、送りリング200から受け取った種子が播種車輪の回転と共に可動爪10側に移動する様子を表わし、Eは、固定爪3が車軸の真下に来た時、ストッパー6が外され可動爪10の下端が開いた状態を表し、この時、種子が落下し、固定爪3の斜面に当り、可動爪下端で開けられた播種穴に播かれた図である。FからHは、播種車輪の回転により可動爪下端18が固定爪3に戻るとき、食い込み抑止カバー付き覆土押えにより、種子より浅い位置を可動爪下端18が戻っている様子を表わしたもので、種子を掻き上げず傷つけない。
【0028】
図5は、食い込み抑止カバーの形状と効果を表わした図で、
図5の(b)に示すように覆土押えが、土中に食い込むにつれて、蒲鉾型の接地幅W2が直方体にした場合のW1と比べて広くなり、接地面積が広く食い込み抑止効果が大きくなる。また、蒲鉾型の覆土押えにすることで、図中22の鋭角な窪みを減らすことができ、土の付着を減らせる。
【0029】
図8は、種子ホッパー102から繰出しロール100で分量選択する部位の詳細図で、繰出しロールの種子だまり101に落すとき、種子量調整プレート105の上にステンレス製又は防錆処理をした金属製の針金をスプーン形に曲げた整粒櫛104の底部を繰出しロールの種子だまりの凹部に掛かるように取付け、繰出しロール100が回転することにより、常に整粒櫛104が上下運動を繰返し、種子を常に動かし滞留することなく種子だまり101に落とす。
【0030】
前記種子量調整プレート105の分量機能は、種子の大きさ、又は、必要な種子量に応じて種子量調整プレート105をスライドさせて種子量を決めてネジで固定する。種子量調整プレート105と種子ホッパー102の回転方向の隙間には、合成樹脂製又はゴム製の擦切りブラシ106で余分な種子を排除し、隙間に種子が詰まらないようにする。
【0031】
図9は、可動爪10の断面詳細図と斜視図で、この可動爪下端18は、播種穴を開ける動作を土中で繰返すため、強度と耐腐食性が必要で、ステンレス製とし、コの字型でバネの引き方向13の力点を可動爪下端18と支点14との距離の2倍の位置に設け、1/2の力で播種穴を開ける動作ができる。可動爪下端18の両側面の補強プレート15の土落しブラシとの接触面を曲線にし、土落しブラシ24が無理なく追随し土の侵入を防ぎ補強する。
【0032】
前記可動爪10の上端には、ストッパー受けローラー11を取付け、ストッパー6の摩耗を防ぎ、軽く可動爪10に掛かるようにし、可動爪下端18の動きと共に播種車輪の回転を軽くできる。
【0033】
図10、
図11に示す送りリング200は、播種車輪1Aに固定されており、送りリング200の種子だまり201で受け取った種子を播種車輪の回転と共に、水平になった固定爪3より高い位置に運び、送りリング外枠の排出口307から種子を落し固定爪3の上部に載せる。この時、送りリング200は、種子がこぼれないように、フレーム305に固定された送りリング外枠306の内側を回転する。
【0034】
前記送りリング200を介せず、種子を播種車輪の側面から固定爪3の上部が水平になった時に、繰出しロール100から直接、固定爪3の上部に落とすことが可能であるが、この場合播種車輪と別の回転軸を設けて車輪の上部に繰出しロール100を取付ける必要があり、機械が大きく複雑になる。また、固定爪3との距離が遠くなり、種子を供給するタイミングの調整が難しくなる。
【0035】
前記のように播種車輪と別の回転軸を設け、繰出しロール100を取付けて種子を供給する場合、請求項9の二重車軸外側の可動車軸に、播種機構を1セットとして纏めることができず、播種機構の追加や交換、整備に手間がかかる。
【0036】
図12は、前記機構を播種車輪の片面に等間隔で取付けた側面図で、種子を分量選択する繰出しロール100は、種子ホッパー102と共に
図2及び
図13に示すように、この播種車輪と同じ車軸の横に取付け送りリングに種子を供給するが、その他の固定爪3、可動爪10、送りリングの種子だまり201は、播種車輪内に繰出しロールの種子だまり101と同じ取付け角度、間隔で設け、この車輪を転がすだけで同じタイミングで、種子を滞留なく、等間隔に播種・覆土を繰返す。
【0037】
図13は、前記車輪で種子の代わりに粒状の肥料を入れ同じ可動車軸301の播種車輪1Aの背面に施肥車輪1Bを取付け、施肥機能付き直播機として使用する場合の断面図で、図中Aの範囲の可動車軸301に播種車輪1A及び施肥車輪1B、繰出しロール100を取付け、スプロケット331とローラーチェーン330を介して、上方に肥料用繰出しロールと肥料用ホッパーを増設して施肥機能付き直播機とする。
【0038】
前記可動車軸301を円筒状にして固定車軸に挿すことによって、容易に図中Aの範囲に固定された機構を横に連結でき、多くの畝数が必要な大規模な圃場でも、それぞれの車輪が独立して可動するため、曲がりのある圃場でも、機構を持ち上げないで進む方向を変えられる。その際、内輪と外輪の播種間隔は、同じである。
【産業上の利用可能性】
【0039】
農業生産の工場化が進みつつある中でも、種子を播く作業は、土を耕す圃場で農作物を作る農業が有る限り、基本的な作業として残り、この播種又は施肥する機能を一車輪の中に収めることができる直播機の技術は、将来も利用される可能性がある。また、播種機構を車輪内に収めることができるこの発明は、農作業のロボット化を進めるうえで有利であり、不耕起直播栽培の技術が確立されれば、農作物の生産コストを下げ、農作業の省力化が可能になる。
【符号の説明】
【0040】
1A:播種車輪 1B:施肥車輪 3:固定爪
4:ストッパーヒンジ 5:ねじりコイルバネ 6:ストッパー
7:種子受けプレート 8:バネ引きボルト 10:可動爪
11:ストッパー受けローラー 12:可動爪用引張コイルバネ
13:バネ引き方向 14:可動爪ヒンジ 15:土落しブラシ当て
16:固定爪接触部上端 17:可動爪接触部上端 18:可動爪下端
20:車輪背面プレート 20a・20b:固定爪補強プレート
21:車輪ホイール 21a・21b:可動爪保護プレート
22:鋭角な窪み
23:食い込み抑止カバー付覆土押え 24:土落しブラシ
30:車輪カバー
100:繰出しロール 101:繰出しロール種子だまり
102:種子ホッパー又は肥料ホッパー 103:繰出しロール外枠
104:整粒櫛 105:種子量調整プレート 106:擦切りブラシ
107:ロート 108:種子受け開口
200:送りリング 201:送りリング種子だまり
300:固定車軸 301:可動車軸 303:可動爪当り
304:ストッパー当り 305:固定カバー 306:送りリング外枠
307:外枠種子落し口 310:フレーム 330:ローラーチェーン
331:スプロケット
【要約】 (修正有)
【課題】曲がりのある圃場でも、播種する時、播種穴と種子と覆土の位置がずれず等間隔に、播種と覆土がほぼ同時にでき、確実に土中に播種し鳥獣の食害から守り種子を無駄にしない、効率よく播き残しが少なく、人力でも使用可能な小型化、多機能化した直播機を提供する。
【解決手段】播種の穴を開ける可動爪10に播種の機能を持たせるため、送りリング200を車輪内に組込み、種子を固定爪3に載せ、播種車輪の回転と共に可動爪10の上に送り、可動爪10の先端で播種穴を開け、ほぼ同時に種子を落とし播種、覆土を行なう機能を車輪の片面に収め、同じように施肥の場合もこの機構を使用でき、この車輪の背面を張り合わせ播種又は施肥がほぼ同時にでき、小型化、多機能化ができる直播機とする。また、前記の機構を1セットとして筒状の可動車軸301に固定し、固定車軸300に横に連結して挿すことにより各セットが独立可動する大型の直播機を提供する。
【選択図】
図1