(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
本発明は、アミノ酸又はビタミンの塩酸塩の脱塩酸処理物を含有する組成物である。
アミノ酸の塩酸塩としては、例えば、リジン又はヒドロキシリジンの塩酸塩、システイン塩酸塩、オルニチン塩酸塩、アルギニン塩酸塩、グルコサミンの塩酸塩等が挙げられ、ビタミンの塩酸塩としては、チアミン塩酸塩、ピリドキシン塩酸塩等が挙げられる。
【0008】
本発明において、脱塩酸の方法としては、例えば、イオン交換を用いることができる。アミノ酸又はビタミンの塩酸塩水溶液中の塩酸をアミノ酸又はビタミンから取り除くことができれば特に限定されないが、例えば、イオン交換膜を用いた電気透析法やイオン交換樹脂による置換方法が挙げられる。また、脱塩酸の効率的な観点から、電解還元装置を利用した陰イオン交換膜を用いた脱塩酸法を用いることもできる。
【0009】
イオン交換を用いる方法は、塩酸塩の溶液を、強塩基性陰イオン交換樹脂を充填したカラムを通液させることで脱Clを行う。ここで得られた溶液は脱塩酸をされた水溶液となる。
【0010】
また、本発明の組成物においては、アミノ酸又はビタミンの塩酸塩の脱塩酸処理物と酸性化合物を併用することができる。酸性化合物としては、例えば、健康増進用、栄養補給用又は美容用の製品に使用されるアスコルビン酸(ビタミンC)又はその誘導体(アスコルビン酸グルコシド、アスコルビン酸エチル(3−O−エチルアスコルビン酸等)、アスコルビン酸グリセリド等)、アルブチン、コウジ酸、サリチル酸、カルボキシビニルポリマー、ポリフェノールが挙げられる。これらの化合物は強酸成分と併用すると不安定な組成物となるが、本発明に係る脱塩酸処理物と併用することで、安定性、安全性及び使用性にすぐれた組成物が得られる。
【0011】
また、発明に係る組成物は、安定性の向上のために、さらに、無機酸類又はそれらの塩、有機酸類又はそれらの塩、キレート剤並びに植物、海藻及び動物由来成分等から選ばれる一種又は二種以上を配合することも可能である、無機酸類又はそれらの塩としては、例えば、亜硫酸又はその塩、リン酸又はその塩等の無機塩が挙げられ、また、有機酸類又はそれらの塩としては、クエン酸又はその塩、リンゴ酸又はその塩、酒石酸又はその塩、シュウ酸又はその塩、乳酸又はその塩、ソルビン酸又はその塩、フマル酸又はその塩、フタル酸又はその塩等が挙げられる。また、キレート剤としては、エデト酸又はその塩、エチレンジアミン三酢酸又はその塩、グルコン酸又はその塩、フィチン酸又はその塩、ピロリン酸又はその塩、ポリリン酸又はその塩、メタリン酸又はその塩、及びヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩等が挙げられる。
【0012】
また、本発明において、上記無機酸塩としては、生理学的な許容可能な無機酸塩(カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛等)であればどのような塩であってもよい。例えば、上記亜硫酸塩としては、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウムもしくは亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素カルシウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸水素マグネシウム、及び亜硫酸マグネシウム等が挙げられるが、本発明はこれに限るものではない。また、上記リン酸塩も同様に、生理学的に許容可能な塩(カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛等)であればどのような塩であってもよい。
【0013】
また、本発明で用いる有機酸塩としては、生理学的な許容可能な塩(カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛等)であればどのような塩であってもよい。例えば、クエン酸塩としては、クエン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸二カリウム、及びクエン酸三カリウム等が挙げられるが、本発明これに限るものではない。同様に、上記リンゴ酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、ソルビン酸塩、ピルビン酸塩、フマル酸塩、及びフタル酸塩も同様に、生理学的に許容可能な塩(カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛等)であればどのような塩であってもよい。
【0014】
また、天然物(植物、海藻、動物)由来成分としては、例えば、以下のものが挙げられる。例えば、米抽出物、米糠抽出物、ゲンチアナ抽出物、アロエ抽出物、アマモ抽出物、カミツレ抽出物、ソウハクヒ抽出物、サンゴ草抽出物、白芥抽出物、紫蘭根抽出物、ナス抽出物、パウダルコ抽出物、デイリリー抽出物、ニンジン抽出物、緑藻抽出物、褐藻抽出物、紅藻抽出物、モモ抽出物、ヘチマ抽出物、イチジク抽出物、ハス種子抽出物、ハゴロモグサ抽出物、黒豆抽出物、マンゴー抽出物、マンゴスチン抽出物、チャリモヤ抽出物、イチゴ抽出物、ハイビスカス抽出物、ローヤルゼリー抽出物、豆乳抽出物、タケノコ抽出物、ベニバナ抽出物、バンペイユ抽出物、甘草抽出物、甘藷抽出物、リンゴ抽出物、キウイ抽出物、ハトムギ抽出物、シソ抽出物、バラ抽出物、ベルガモット抽出物、サンショウ抽出物、イネの葉抽出物、ムラサキシキブ抽出物、グアバ葉抽出物、ホワイトアスパラガス抽出物、ドクダミ抽出物、茶抽出物及びそれらの加水分解物もしくは発酵物が挙げられる。
【0015】
以上のように調製する組成物のpHは、一般的にはpH5.0〜8.0の範囲に調整し、より好ましくは、pH6.0〜7.0に調整する。
【0016】
本発明に係る組成物は、健康増進用、栄養補給用又は美容用の組成物として有用である。健康増進用、栄養補給用及び美容用の組成物としては、美容飲料、栄養ドリンク、スポーツドリンク、ニアウォーター、ビタミン飲料、ミネラル飲料、アルコール飲料等の飲料;各種スープ類(粉末スープも含む)、乳製品、ゼリー、キャンディ、錠菓、ガム等の食品;錠剤、液状、顆粒状又はゼリー状の健康食品・飲料等に配合することができるが、本発明はこれに限るものではなく、経口摂取できる飲食品等に配合することができる。また、本発明に係る組成物は外用組成物としての利用も可能であり、例えば、乳液、クリーム、ローション、エッセンス、パック、口紅、ファンデーション、リクイドファンデーション、メイクアッププレスパウダー、ほほ紅、白粉、洗顔料、ボディシャンプー、毛髪用シャンプー、石けん等が挙げられ、また、育毛剤、さらには浴剤等も挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
経口組成物における本発明の抽出物の配合量は、抽出物の固形分として、0.1〜15重量%の範囲が好ましい。外用組成物における配合量は、抽出物の固形分として、0.001〜10.0重量%が好ましい。
【0018】
組成物には、必須成分である化合物のほかに、経口組成物や外用組成物に用いられる成分、例えば油性成分、界面活性剤(合成系、天然物系)、保湿剤、増粘剤、防腐・殺菌剤、粉体成分、紫外線吸収剤、抗酸化剤、色素、香料等を必要に応じて適宜配合することができる。また、当該抽出物の有効性、特長を損なわない限り、他の生理活性成分を組み合わせて配合することも何ら差し支えない。
【0019】
ここで、油性成分としては、例えばベルガモット油、オリーブ油、ホホバ油、ヒマシ油、大豆油、米油、米糠油、米胚芽油、ヤシ油、カミツレ油、パーム油、カカオ油、メドウフォーム油、ローズヒップ油、ランベンダー油、シアーバター、ティーツリー油、アボガド油、マカデミアナッツ油、植物由来スクワラン等の植物由来の油脂類;ミンク油、タートル油等の動物由来の油脂類;ミツロウ、カルナウバロウ、ライスワックス、ラノリン等のロウ類;流動パラフィン、ワセリン、パラフィンワックス、スクワラン等の炭化水素類;ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、エイコセン酸等の脂肪酸類;ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール類;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、2−エチルヘキシルグリセライド、高級脂肪酸オクチルドデシル(ステアリン酸オクチルドデシル等)等の合成エステル類及び合成トリグリセライド類等が挙げられる。
【0020】
界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤;脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン脂肪アミン硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、α−スルホン化脂肪酸アルキルエステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩等のアニオン界面活性剤;第四級アンモニウム塩、第一級〜第三級脂肪アミン塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、2−アルキル−1−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、N,N−ジアルキルモルフォルニウム塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド塩等のカチオン界面活性剤;N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニオベタイン、N,N,N−トリアルキル−N−アルキレンアンモニオカルボキシベタイン、N−アシルアミドプロピル−N′,N′−ジメチル−N′−β−ヒドロキシプロピルアンモニオスルホベタイン等の両性界面活性剤等を使用することができる。
【0021】
乳化剤又は乳化助剤としては、酵素処理ステビア等のステビア誘導体、サポニン又はその誘導体、カゼイン又はその塩(ナトリウム等)、糖と蛋白質の複合体、ショ糖又はそのエステル、ラクトース、大豆由来の水溶性多糖、大豆由来蛋白質と多糖の複合体、ラノリン又はその誘導体、コレステロール、ステビア誘導体(ステビア酵素処理物等)、ケイ酸塩(アルミニウム、マグネシウム等)、炭酸塩(カルシウム、ナトリウム等)、サポニン及びその誘導体、レシチン及びその誘導体(水素添加レシチン等)、乳酸菌醗酵米、乳酸菌醗酵発芽米、乳酸菌醗酵穀類(麦類、豆類、雑穀等)等を配合することもできる。
【0022】
保湿剤としては、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等があり、さらにトレハロース等の糖類、ムコ多糖類(例えば、ヒアルロン酸及びその誘導体、コンドロイチン及びその誘導体、ヘパリン及びその誘導体等)、エラスチン及びその誘導体、コラーゲン及びその誘導体、NMF関連物質、乳酸、尿素、高級脂肪酸オクチルドデシル、海藻抽出物、シラン根(白及)抽出物、各種アミノ酸及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0023】
増粘剤としては、例えばアルギン酸、寒天、カラギーナン、フコイダン等の褐藻、緑藻又は紅藻由来成分;シラン根(白及)抽出物;ペクチン、ローカストビーンガム、アロエ多糖体、アルカリゲネス産生多糖体等の多糖類;キサンタンガム、トラガントガム、グアーガム等のガム類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸共重合体等の合成高分子類;ヒアルロン酸及びその誘導体;ポリグルタミン酸及びその誘導体等が挙げられる。
【0024】
防腐・殺菌剤としては、例えば尿素;パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等のパラオキシ安息香酸エステル類;フェノキシエタノール、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、サリチル酸、エタノール、ウンデシレン酸、フェノール類、ジャマール(イミダゾデイニールウレア)、プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、各種精油類、樹皮乾留物、大根発酵液、サトウキビ等の植物由来のエタノール又は1,3−ブチレングリコール等がある。
【0025】
粉体成分としては、例えばセリサイト、酸化チタン、タルク、カオリン、ベントナイト、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、無水ケイ酸、雲母、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、シルクパウダー、セルロース系パウダー、穀類(米、麦、トウモロコシ、キビ等)のパウダー、豆類(大豆、小豆等)のパウダー等がある。
【0026】
紫外線吸収剤としては、例えばパラアミノ安息香酸エチル、パラジメチルアミノ安息香酸エチルヘキシル、サリチル酸アミル及びその誘導体、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、桂皮酸オクチル、オキシベンゾン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−ターシャリーブチル−4−メトキシベンゾイルメタン、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、アロエ抽出物等がある。
【0027】
抗酸化剤としては、例えばブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、ビタミンE及びその誘導体(例えば、ビタミンEニコチネート、ビタミンEリノレート等)等がある。
【0028】
美白剤としては、t−シクロアミノ酸誘導体、コウジ酸及びその誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体、ハイドロキノン又はその誘導体、エラグ酸及びその誘導体、ニコチン酸及びその誘導体、レゾルシノール誘導体、トラネキサム酸及びその誘導体、4−メトキシサリチル酸カリウム塩、マグノリグナン(5,5'−ジプロピル−ビフェニル−2,2’−ジオール)、ヒドロキシ安息香酸及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、α−ヒドロキシ酸、AMP(アデノシンモノホスフェイト、アデノシン1リン酸)が挙げられ、これらを単独で配合しても、複数を組み合わせて配合しても良い。
【0029】
上記のコウジ酸誘導体としては、例えばコウジ酸モノブチレート、コウジ酸モノカプレート、コウジ酸モノパルミテート、コウジ酸ジブチレート等のコウジ酸エステル類、コウジ酸エーテル類、コウジ酸グルコシド等のコウジ酸糖誘導体等が、アスコルビン酸誘導体としては、例えばL−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナトリウム、L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルマグネシウム、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステルナトリウム、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステルマグネシウム等のアスコルビン酸エステル塩類、L−アスコルビン酸−2−グルコシド、L−アスコルビン酸−5−グルコシド、アスコルビルトコフェリルマレイン酸、アスコルビルトコフェリルリン酸K、ミリスチル3−グリセリルアスコルビン酸、カプリリル2−グリセリルアスコルビン酸等のアスコルビン酸糖誘導体、それらアスコルビン酸糖誘導体の6位アシル化物(アシル基は、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基等)、L−アスコルビン酸テトライソパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸テトララウリン酸エステル等のL−アスコルビン酸テトラ脂肪酸エステル類、3−O−エチルアスコルビン酸、L−アスコルビン酸−2−リン酸−6−O−パルミテートナトリウム、グリセリルアスコルビン酸又はそのアシル化誘導体、ビスグリセリルアスコルビン酸等のアスコルビン酸グルセリン誘導体、L−アスコルビン酸リン酸アミノプロピル、L−アスコルビン酸のヒアルロン酸誘導体、3−O−Dラクトース−L−アスコルビン酸、イソステアリルアスコルビルリン酸塩等が、ハイドロキノン誘導体としては、アルブチン(ハイドロキノン−β−D−グルコピラノシド)、α−アルブチン(ハイドロキノン−α−D−グルコピラノシド)等が、トラネキサム酸誘導体としては、トラネキサム酸エステル(例えば、トラネキサム酸ラウリルエステル、トラネキサム酸ヘキサデシルエステル、トラネキサム酸セチルエステル又はその塩)、トラネキサム酸のアミド体(例えば、トラネキサム酸メチルアミド)等が挙げられ、レゾルシノール誘導体としては、例えば、4−n−ブチルレゾルシノール、4−イソアミルレゾルシノール等が、2,5−ジヒドロキシ安息香酸誘導体としては、例えば2,5−ジアセトキシ安息香酸、2−アセトキシ−5−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−5−プロピオニルオキシ安息香酸等が、ニコチン酸誘導体としては、例えばニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等が、α−ヒドロキシ酸としては、例えば乳酸、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、α−ヒドロキシオクタン酸等がある。
【0030】
次に、製造例、処方例及び試験例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。なお、以下において、部はすべて重量部を、また%はすべて重量%を意味する。
【0031】
製造例1.リジンの調製
リジン塩酸塩100gを精製水900gに溶解した。この塩酸塩水溶液を強塩基性陰イオン交換樹脂カラムに通液し、脱塩酸処理を行った。この液を濃縮乾固し、リジン10gを得た。
【0032】
製造例2.グルコサミンの調製
グルコサミン塩酸塩100gを精製水900gに溶解した。この塩酸塩水溶液を強塩基性陰イオン交換樹脂カラムに通液し、脱塩酸処理を行った。この液を濃縮乾固し、グルコサミン72gを得た。
【0033】
製造例3.チアミンの調製
チアミン塩酸塩100gを精製水900gに溶解した。この塩酸塩水溶液を強塩基性陰イオン交換樹脂カラムに通液し、脱塩酸処理を行った。この液を濃縮乾固し、チアミン43gを得た。
【0034】
製造例4.ピリドキシンの調製
ピリドキシン塩酸塩100gを精製水900gに溶解した。この塩酸塩水溶液を強塩基性陰イオン交換樹脂カラムに通液し、脱塩酸処理を行った。この液を濃縮乾固し、ピリドキシン6gを得た。
【0035】
処方例1.飲料
[成分] 部
製造例1の化合物 3.0
コラーゲン 5.0
クエン酸 0.1
甘味料(スクロース) 0.01
アスコルビン酸 0.01
精製水 全量が100部となる量
【0036】
処方例2.飲料
処方例1に含まれる製造例1の化合物に代えて、製造例2の化合物3.0部を用いるほかは、処方例1と同様にして飲料を得た。
【0037】
処方例3.飲料
処方例1に含まれる製造例1の化合物に代えて、製造例3の化合物3.0部を用いるほかは、処方例1と同様にして飲料を得た。
【0038】
処方例4.飲料
処方例1に含まれる製造例1の化合物に代えて、製造例4の化合物3.0部を用いるほかは、処方例1と同様にして飲料を得た。
【0039】
処方例5.錠剤
[成分] 部
製造例1の化合物 2.0
製造例2の化合物 2.0
製造例3の化合物 2.0
製造例4の化合物 2.0
アスコルビン酸 5.0
脂肪酸エステル 10.0
乳酸カルシウム 20.0
乳糖 30.0
上記重量部の各成分を混合した後、加圧成形し、錠剤とした。
【0040】
処方例6.化粧水
[A成分] 部
オリーブ油 1.0
ポリオキシエチレン(5.5)セチルアルコール 5.0
ブチルパラベン 0.1
[B成分]
製造例1の化合物 2.0
アスコルビン酸 2.0
エタノール 5.0
グリセリン 5.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
ピロ亜硫酸ナトリウム 2.0
クエン酸 適量
クエン酸三ナトリウム 0.4
水酸化カリウム 適量
精製水 全量が100部となる量
[C成分]
香料 適量
A成分及びB成分をそれぞれ80℃以上に加温後、A成分にB成分を加えて攪拌し、さらにヒスコトロン(5000rpm)で2分間ホモジナイズを行った。これを50℃まで冷却した後、C成分を加えて攪拌混合し、さらに30℃以下まで冷却して化粧水を得た。
【0041】
処方例2.化粧水
処方例1のB成分に含まれる製造例1の化合物に代えて、製造例2の化合物1.0部を用いるほかは、処方例1と同様にして化粧水を得た。
【0042】
処方例3.化粧水
処方例1のB成分に含まれる製造例1の化合物に代えて、製造例3の化合物1.0部を用いるほかは、処方例1と同様にして化粧水を得た。
【0043】
処方例4.化粧水
処方例1のB成分に含まれる製造例1の化合物に代えて、製造例4の化合物1.0部を用いるほかは、処方例1と同様にして化粧水を得た。
【0044】
処方例5.乳液
[A成分] 部
流動パラフィン 6.0
ヘキサラン 4.0
ホホバ油 1.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート 1.0
親油型ステアリン酸グリセリル 1.0
大豆レシチン 1.5
乳酸菌発酵米 2.0
[B成分]
製造例1の化合物 2.0
アスコルビン酸 2.0
水酸化カリウム 0.5
グリセリン 3.0
1,3−ブチレングリコール 2.0
カルボキシメチルセルロース 0.3
クエン酸ナトリウム 0.1
精製水 全量が100部となる量
[C成分]
香料 適量
上記のA成分とB成分をそれぞれ80℃以上に加熱した後、攪拌混合した。これを50℃まで冷却した後、C成分を加えてさらに攪拌混合して乳液を得た。
【0045】
処方例6.乳液
処方例5のB成分中、アスコルビン酸に代えてL−アスコルビン酸−2−グルコシド2.0部及び水酸化カリウム0.5部を用いるほかは処方例5と同様にして乳液を得た。
【0046】
処方例7.乳液
処方例5のB成分中、アスコルビン酸に代えてアルブチン3.0部を用いるほかは処方例5と同様にして乳液を得た。
【0047】
処方例8.乳液
処方例5のB成分中、アスコルビン酸に代えてコウジ酸3.0部を用いるほかは処方例5と同様にして乳液を得た。
【0048】
処方例9.乳液
処方例5のB成分中、アスコルビン酸に代えて3−O−エチルアスコルビン酸2.0部を用いるほかは処方例5と同様にして乳液を得た。
【0049】
処方例10.乳液
処方例5のB成分中、アスコルビン酸に代えてサリチル酸0.3部を用いるほかは処方例5と同様にして乳液を得た。
【0050】
処方例11.乳液
[A成分] 部
スクワラン 3.0
ベヘニルアルコール 3.0
ヘキサラン 4.0
ホホバ油 1.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート 1.0
グリセリン脂肪酸エステル 1.0
大豆レシチン 1.5
[B成分]
製造例2の化合物 0.5
製造例4の化合物 0・5
L−アスコルビン酸−2−グルコシド 2.0
水酸化カリウム 0.5
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
グリセリン 3.0
1,3−ブチレングリコール 2.0
ピロ亜硫酸ナトリウム 0.01
精製水 全量が100部となる量
【0051】
処方例12.ローション
[成分] 部
製造例1の化合物 1.0
製造例3の化合物 1.0
エタノール 10.0
グリセリン 3.0
1、3−ブチレングリコール 2.0
メチルパラベン 0.2
クエン酸 0.1
クエン酸ナトリウム 0.3
カルボキシビニルポリマー 0.1
カテキン 0.1
キサンタンガム 0.1
香料 適量
水酸化カリウム 適量
精製水 全量が100部となる量
上記の成分を混合してローションを得た。
【0052】
試験例1.皮膚一次刺激性抑制試験
本発明の製造例1〜4に係る化合物の安全性を皮膚一次刺激抑制試験により評価した。
[試験方法]
被験者5名(20〜60歳の男女)に対してそれぞれの上腕内側部に被験部を設け、洗浄後に初期値として各被験者の被験部の紅斑量を紅斑量測定装置(メグザメーターMexameter(登録商標) MX18、Courage+Khazaka社製)により測定した。その後、被験部に製造例1〜4の化合物(終濃度が2.0%)を含有した水溶液を4時間閉塞パッチした。閉塞パッチ終了後、被験部を水洗し、3時間後に、各被験者の被験部の紅斑量を上記測定装置により測定し、初期値から処理直後の値を差し引いた値について一次刺激抑制量として5名の被験者の平均値を算出した。また、コントロールとして製造例1〜4の代わりに、精製水を用いて上記と同様の操作を行った。さらに、比較対象として、製造例1〜4の化合物の脱塩酸塩処理前のものをそれぞれ比較例1〜4として使用し、同様の試験を行った。
【0053】
試験例1の結果を表1に示す。
[表1]
【0054】
表1に示す通り、本発明に係る化合物は比較例の化合物と比較して、生体安全性にすぐれていることが確認された。
【0055】
試験例2−1.安定性試験
本発明に係る化合物と酸性化合物を含有する併用組成物に関し、着色の経時性変化の目視試験により、評価した。
[試験方法]
以下の混合物を調製し(pH6.5)、4℃、20℃及び40℃の温度条件の下、1週間毎に4週間、着色を目視により確認した。なお、以下の「部」とは、重量%を示すものとする。
(混合物)
[1]製造例1の化合物(1)、製造例2の化合物(2)、製造例3の化合物(3)又は製造例4の化合物(4):1.0部
[2]酸性化合物:アスコルビン酸(A)、アスコルビン酸グルコシド(B)、3−O−エチルアスコルビン酸(C):2.0部
[3]1,3−ブチレングリコール:5.0部
[4]防腐剤(メチルパラベン):0.2部
[5]精製水:82部
【0056】
試験例2の結果を表2−1(A)〜(C)に示す。
[表2−1(A)]
【0059】
表2−1(A)〜(C)に示すように、本発明に係る製造例1〜4に係る化合物と酸性化合物とを併用しても、着色が抑制され、本発明に係る組成物が安定性の点ですぐれていることが確認された。
【0060】
試験例2−2.安定性試験
[試験方法]
以下の混合物を調製し(pH6.5)、4℃、20℃及び40℃の温度条件の下、1週間毎に4週間、着色を目視により確認した。なお、以下の「部」とは、重量%を示すものとする。
(混合物)
[1]製造例1の化合物(1)、製造例2の化合物(2)、製造例3の化合物(3)又は製造例4の化合物(4):1.0部
[2]酸性化合物:アスコルビン酸(A)、アスコルビン酸グルコシド(B)又は3−O−エチルアスコルビン酸(C):2.0部
[3]ピロ亜硫酸ナトリウム:0.2部
[4]クエン酸:適量
[5]クエン酸ナトリウム:0.4部
[6]1,3−ブチレングリコール:5.0部
[7]防腐剤(メチルパラベン):0.2部
[8]精製水:全量を100部とする
【0061】
試験例2−2の結果を、表2−2(A)〜(C)に示す。
[表2−2(A)]
【0064】
表2−2(A)〜(C)に示すように、本発明に係る製造例1〜4に係る化合物と酸性化合物とは、さらに、安定性向上剤(ピロ亜硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム)と併用すると、着色が格段に抑制され、本発明に係る組成物が安定性の点ですぐれていることが確認された。
【0065】
試験例3.使用感の評価試験
本試験例3においては、下記の本発明試料(1)〜(7)及び比較試料(1)及び(2)について、使用感を評価した。なお、以下の「部」とは、重量%を示すものとする。
(1)本発明試料1
[成分] 部
エタノール 2.0
グリセリン 5.0
メチルパラベン 0.1
製造例1の化合物 2.0
アスコルビン酸グルコシド 2.0
クエン酸ナトリウム 0.6
精製水 全量が100部となる量
(2)本発明試料2
上記本発明試料1において製造例1の化合物に代えて、製造例2の化合物2.0部を配合したエッセンス。
(3)本発明試料3
上記本発明試料1において製造例1の化合物に代えて、製造例3の化合物2.0部を配合したエッセンス。
(4)本発明試料4.
上記本発明試料1において製造例1の化合物に代えて、製造例4の化合物2.0部を配合したエッセンス。
(5)本発明試料5
上記本発明試料1においてアスコルビン酸グルコシドに代えてアスコルビン酸2.0部を配合したエッセンス。
(6)本発明試料6
上記本発明試料1においてアスコルビン酸グルコシドに代えて3−O−エチルアスコルビン酸2.0部を配合したエッセンス。
(7)本発明試料7
上記本発明試料1においてアスコルビン酸グルコシドに代えてアルブチン3.0部を配合したエッセンス。
(8)比較試料1
上記本発明試料1の組成において製造例1の化合物を含まないエッセンス。
[試験方法]
無作為に抽出した年齢25〜60歳の男女21名を被験者として、7グループに分け、各グループの被験者に本発明試料1〜7のいずれか1つと、比較試料1とを、それぞれ左右の頬部に、本発明例又は比較例の乳液を1日2回(朝、晩)、1ヵ月間塗布してもらった時の使用感を評価した。使用感は、手に取った感触(イ)、塗布時の伸び(ロ)、塗布時のなめらかさ(ハ)、及び塗布後の感触(ニ)に基づいて、5:非常に良い、4:良い、3:普通、2:やや悪い、1:悪い、という5段階評価によって、それぞれ行い、本発明試料については各グループの被験者による評価値の合計を示し、比較試料については各グループの被験者による評価値の合計を平均した値を示した。
【0066】
試験例3の結果を表3に示す。
[表3]
【0067】
表3に示すように、本発明に係る製造例1〜4の化合物と酸性化合物とを併用しても、使用感にすぐれた外用組成物が得られることが確認された。