特許第6865536号(P6865536)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6865536
(24)【登録日】2021年4月8日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】加熱調理システム
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/12 20060101AFI20210419BHJP
   F24C 11/00 20060101ALI20210419BHJP
   A47J 37/06 20060101ALI20210419BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20210419BHJP
   G16Y 40/30 20200101ALI20210419BHJP
   G16Y 10/80 20200101ALI20210419BHJP
【FI】
   F24C3/12 D
   F24C3/12 R
   F24C11/00 A
   A47J37/06 361
   G16Y40/10
   G16Y40/30
   G16Y10/80
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-113846(P2016-113846)
(22)【出願日】2016年6月7日
(65)【公開番号】特開2017-219251(P2017-219251A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2019年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 定基
(72)【発明者】
【氏名】杉本 喜輝
(72)【発明者】
【氏名】長屋 加津彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】片柳 秀一
【審査官】 岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−096584(JP,A)
【文献】 特開2014−163538(JP,A)
【文献】 特開2014−163537(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/182067(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/128532(WO,A1)
【文献】 特開2005−037066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/12
A47J 37/06
F24C 11/00
G16Y 10/80
G16Y 40/10
G16Y 40/30
F24C 3/12
A47J 37/06
F24C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が加熱調理するレシピを選択した後、当該レシピの調理条件データを取得又は読み出す通信端末と、
載置部を有し、該載置部に載置された調理容器を加熱するコンロと、
収容庫を有し、該収容庫内を加熱するグリルと、
前記通信端末から送信された前記レシピ及び前記調理条件データを入力するレシピ入力部と、
使用者による指示操作を入力する操作部と、
使用者に対する報知を行う報知部と、
前記レシピ入力部に入力されたレシピ及び前記操作部に入力された指示操作に基づいて、前記コンロ又は前記グリルを用いた加熱調理運転を実行すると共に、該加熱調理運転に関する報知を前記報知部により行う制御部と
を備えた加熱調理装置と、
からなる加熱調理システムにおいて、
前記制御部は、
前記レシピ入力部により、同一の所定食材に対して、異なる種類の加熱調理を行うレシピが入力されたときに、
前記異なる種類の加熱調理を、前記所定食材が入れられて前記載置部に載置された調理容器を前記コンロにより加熱する第1加熱調理運転と、前記所定食材が入れられて前記収容庫に収容された前記調理容器を前記グリルにより加熱する第2加熱調理運転とを、切り替えて実行することによって行い、
前記第1加熱調理運転から前記第2加熱調理運転に切り替えるために、使用者に対して、前記所定食材が入れられた調理容器を前記載置部から前記収容庫内に移して、前記グリルによる加熱開始操作を行うことを促す第1移載要請報知と、前記第2加熱調理運転から前記第1加熱調理運転に切り替えるために、使用者に対して、前記所定食材が入れられた調理容器を前記収容庫内から前記載置部に移して、前記コンロによる加熱開始操作を行うことを促す第2移載要請報知とのうちの少なくともいずれか一方を、前記報知部により行い、
前記第1加熱調理運転及び第2加熱調理運転を実行する際、前記通信端末に実行状況を送信し、
前記通信端末は、前記第1移載要請報知及び前記第2移載要請報知を音声又は表示により報知するとともに、運転の切り替え時に選択可能な前記コンロ及び前記グリルの強調表示を行うことを特徴とする加熱調理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理システムにおいて、
前記加熱調理装置は、前記コンロを複数備え、
所定のコンロ選択条件に従って、前記第1加熱調理運転で使用されるコンロを、複数のコンロの中から選択するコンロ選択部を備えていることを特徴とする加熱調理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の通信端末と、調理レシピに従って加熱調理運転を実行する加熱調理装置とからなる加熱調理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スマートフォン等の通信端末と加熱調理器との間で通信を行い、通信端末で選択された調理レシピに対応した調理条件データを通信端末から受信して、自動加熱調理を行うようにした加熱調理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、複数の加熱部(三つのバーナBと一つのグリルG)を有するガスコンロにおいて、調理メニューにより選択された複数の品目の加熱調理(ほうれん草の茹で、味噌汁、炊飯、焼き魚)をほぼ同時期に完了するように調理スケジュールを生成する構成が記載されている。そして、ガスコンロは、このようにして生成された調理スケジュールに従って、複数の加熱部を使用して複数種の自動調理を並行して実行している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−163541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動加熱調理には、上述した複数の加熱部により複数種の加熱調理を並行して行う場合の他に、例えば、シチューのように、食材を炒める→水を加えて煮込む→ルーを加えてさらに煮込む、というように、同一の食材に対して、異なる種類の加熱調理(炒め調理、煮込み調理等)を連続した工程によって行うものもある。
【0006】
また、近年、グリルが高機能化してきており、専用の調理容器を用いて煮込み調理等を行うことが可能になっている。
【0007】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、グリルを活用した加熱調理を容易に
行うことができる加熱調理装置を含む加熱調理システム提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の加熱調理システムは、
使用者が加熱調理するレシピを選択した後、当該レシピの調理条件データを取得又は読み出す通信端末と、
載置部を有し、該載置部に載置された調理容器を加熱するコンロと、
収容庫を有し、該収容庫内を加熱するグリルと、
前記通信端末から送信された前記レシピ及び前記調理条件データを入力するレシピ入力部と、
使用者による指示操作を入力する操作部と、
使用者に対する報知を行う報知部と、
前記レシピ入力部に入力されたレシピ及び前記操作部に入力された指示操作に基づいて、前記コンロ又は前記グリルを用いた加熱調理運転を実行すると共に、該加熱調理運転に関する報知を前記報知部により行う制御部と
を備えた加熱調理装置と、
からなる加熱調理システムに関する。
【0009】
そして、前記制御部は、
前記レシピ入力部により、同一の所定食材に対して、異なる種類の加熱調理を行うレシピが入力されたときに、
前記異なる種類の加熱調理を、前記所定食材が入れられて前記載置部に載置された調理容器を前記コンロにより加熱する第1加熱調理運転と、前記所定食材が入れられて前記収容庫に収容された前記調理容器を前記グリルにより加熱する第2加熱調理運転とを、切り替えて実行することによって行い、
前記第1加熱調理運転から前記第2加熱調理運転に切り替えるために、使用者に対して、前記所定食材が入れられた調理容器を前記載置部から前記収容庫内に移して、前記グリルによる加熱開始操作を行うことを促す第1移載要請報知と、前記第2加熱調理運転から前記第1加熱調理運転に切り替えるために、使用者に対して、前記所定食材が入れられた調理容器を前記収容庫内から前記載置部に移して、前記コンロによる加熱開始操作を行うことを促す第2移載要請報知とのうちの少なくともいずれか一方を、前記報知部により行い、
前記第1加熱調理運転及び第2加熱調理運転を実行する際、前記通信端末に実行状況を送信し、
前記通信端末は、前記第1移載要請報知及び前記第2移載要請報知を音声又は表示により報知するとともに、運転の切り替え時に選択可能な前記コンロ及び前記グリルの強調表示を行うことを特徴とする。
【0010】
かかる本発明によれば、レシピ入力部により、同一の所定食材に対して、異なる種類の加熱調理(炒め調理、煮込み調理、焼き物調理等)を行うレシピが入力されたときに、制御部は、該所定食材が入れられた調理容器を、コンロにより加熱する第1加熱調理運転及びグリルにより加熱する第2加熱調理運転を切り替えて実行することによって行う。
【0011】
そして、制御部は、第1加熱調理運転から第2加熱調理運転に切り替えるために、使用者に対して、所定食材が入れられた調理容器をコンロの載置部からグリルの収容庫内に移して、グリルによる加熱開始操作を行うことを促す第1移載要請報知と、第2加熱調理運転から第1加熱調理運転に切り替えるために、使用者に対して、所定食材が入れられた調理容器をグリルの収容庫内からコンロに載置部に移して、コンロによる加熱開始操作を行うことを促す第2移載要請報知とのうちの少なくともいずれか一方を、報知部により行う。
【0012】
このように、第1移載要請報知と第2移載要請報知のうちの少なくともいずれか一方を行うことにより、使用者に対して、コンロを用いた加熱調理を行うことを促すことができる。そして、使用者は、第1移載要請報知又は第2移載要請報知を認識して、調理容器をコンロからグリル又はグリルからコンロに移載することによって、グリルによる加熱調理を容易に行うことができる。そして、グリルを用いることにより、収容庫内に収容された調理容器内の食材加熱むらを抑制して加熱することができるため、例えば、調理容器内の食材をかき混ぜなくても良好に煮込み調理を行うことができる等の効果を得ることができる。また、使用者の通信端末には、第1加熱調理運転及び第2加熱調理運転の実行の際、実行状況が送信され、音声又は表示による報知や運転の切り替え時に選択可能なコンロ及びグリルの強調表示が行われる。これにより、使用者は、現在の状況や残時間、調理のコツ等を容易に把握することができる。
【0013】
また、前記加熱調理装置は、前記コンロを複数備え、
所定のコンロ選択条件に従って、前記第1加熱調理運転で使用されるコンロを、複数のコンロの中から選択するコンロ選択部を備えていることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、コンロを複数備えた加熱調理装置で第1加熱調理運転を実行する場合に、並行して行う他の加熱調理のタイミングや各コンロの加熱能力の違い等を考慮して、適切なコンロを選択することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の加熱調理装置を用いた加熱調理システムの構成図。
図2図1に示したガスコンロ及びスマートフォンの構成図。
図3】炒め調理と煮込み調理を行うレシピによる加熱調理(ビーフシチュー)の手順を示した説明図。
図4】スマートフォンによる調理条件の設定手順を示した説明図。
図5】ビーフシチューのレシピに応じた加熱調理運転の第1のフローチャート。
図6】ビーフシチューのレシピに応じた加熱調理運転の第2のフローチャート。
図7】ビーフシチューのレシピに応じた加熱調理運転を実行する際の表示ユニットの表示、音声ガイダンスの出力、及びスマートフォンの表示の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態の一例について、図1図7を参照して説明する。
【0017】
[1.加熱調理装置の構成]
図1を参照して、本実施形態の加熱調理装置はガスコンロ1であり、ガスコンロ1はスマートフォン50との間でBluetooth(登録商標)等による無線通信を行う機能を有している。
【0018】
スマートフォン50は、無線ルータ70との間でWiFi(登録商標)等による無線通信82を行い、無線ルータ70及びインターネット等のネットワーク80を介してサーバ90にアクセスする。
【0019】
サーバ90には、種々の調理レシピのデータが保持されたレシピDB(データベース)91が備えられ、スマートフォン50は、サーバ90により運用されるレシピ提供サイトにアクセスして、レシピDB91から種々のレシピデータを取得(ダウンロード)する。
【0020】
ガスコンロ1は、加熱部として、左コンロ10a、右コンロ10b、後コンロ10c、及びグリル20を備えている。左コンロ10a,右コンロ10b,及び後コンロ10cは、本発明の複数のコンロに相当する。各コンロ10a,10b,10cには、載置部(五徳)16a,16b,16cに載置される調理容器の底部の温度を検出する温度センサ15a,15b,15cが設けられている。
【0021】
ガスコンロ1の前面には、左コンロ10aの点火/消火と火力変更を行うための左コンロ用操作ボタン11a、右コンロ10bの点火/消火と火力変更を行うための右コンロ用操作ボタン11b、後コンロ10cの点火/消火と火力変更を行うための後コンロ用操作ボタン11c、及びグリル20の点火/消火と火力変更を行うためのグリル用操作ボタン21が設けられている。左コンロ用操作ボタン11a、右コンロ用操作ボタン11b、後コンロ用操作ボタン11c、及びグリル用操作ボタン21は、本発明の使用者による指示操作を入力する操作部に相当する。
【0022】
さらに、ガスコンロ1の前面には、プッシュオープン式のコンロ操作部12とグリル操作部22とが設けられており、使用者Pがコンロ操作部12を押し操作するとコンロ操作部12が開いてコンロ操作パネル13が現れる。コンロ操作パネル13は、左コンロ10a用の左コンロ操作部13aと、右コンロ10b用の右コンロ操作部13bと、後コンロ10c用の後コンロ操作部13cとを備えている。同様に、使用者Pがグリル操作部22を押し操作するとグリル操作部22が開いてグリル操作パネル23が現れる。
【0023】
また、ガスコンロ1の天板には、ガスコンロ1による加熱調理運転に関する報知事項や使用者に対する指示等を表示するための表示パネル14(本発明の使用者に対する報知を行う報知部に相当する)が設けられている。
【0024】
ガスコンロ1は、スマートフォン50により選択されたレシピに対応した調理条件データを、スマートフォン50から受信して、調理条件データに基づく自動加熱調理を行う機能を有している。使用者Pは、この機能を利用するために、レシピ選択サイトにアクセスしてレシピ選択用のアプリケーション(以下、レシピ選択アプリという)を、スマートフォン50にインストールする。
【0025】
使用者Pは、レシピ選択アプリをインストールしたときに、初期設定としてガスコンロ1の機種名を登録する操作を行う。この登録により、ガスコンロ1の仕様(各コンロ10a,10b,10c,グリル20の加熱能力等)に対応した調理条件データを、レシピ選択サイトから取得することが可能となる。
【0026】
また、使用者Pは、レシピ選択アプリにより、スマートフォン50とガスコンロ1のペアリングを行って、スマートフォン50とガスコンロ1間の無線通信81を確立する。
【0027】
[2.ガスコンロ1とスマートフォン50の構成]
次に、図2を参照して、ガスコンロ1には、ガスコンロ1の全体的な作動を制御するコンロコントローラ30と、スピーカ26(本発明の使用者に対する報知を行う報知部に相当する)と、通信回路27とが備えられている。
【0028】
コンロコントローラ30は、CPU、メモリ、各種インターフェース回路等により構成された電子回路ユニットであり、メモリに保持されたガスコンロ1の制御用プログラムをCPUにより実行することによって、調理条件データ保持部31、コンロ選択部32、及び制御部33として機能する。
【0029】
コンロコントローラ30には、温度センサ15a,15b,15cの検出信号と、操作ボタン(左コンロ用操作ボタン11a、右コンロ用操作ボタン11b、後コンロ用操作ボタン11c、グリル用操作ボタン21)の操作信号と、操作パネル(コンロ操作パネル13、グリル操作パネル23)の操作信号と、通信回路27により受信された信号とが入力される。
【0030】
また、コンロコントローラ30から出力される制御信号によって、左コンロ10a、右コンロ10b、後コンロ10c、グリル20、操作パネル(コンロ操作パネル13、グリル操作パネル23)の表示、スピーカ26からの音(音声ガイダンス、ブザー音等)出力、表示パネル14の表示、及び通信回路27による信号の送信が制御される。
【0031】
スマートフォン50には、スマートフォン50の全体的な作動を制御するスマホコントローラ60が備えられている。スマホコントローラ60は、CPU、メモリ、各種インターフェース回路等により構成された電子回路ユニットであり、メモリに保持されたスマートフォン50の制御用プログラムを、CPUにより実行することによって、調理条件データ取得部61、レシピ選択部62、及び調理条件データ送信部63として機能する。
【0032】
また、スマートフォン50には、使用者Pによりタッチ操作されると共に各種の画面が表示されるタッチパネル51と、音声等が出力されるスピーカ52と、ガスコンロ1及びサーバ90との間で通信を行う通信回路53とが備えられている。
【0033】
スマホコントローラ60には、タッチパネル51におけるタッチ操作信号と、通信回路53により受信された信号が入力される。また、スマホコントローラ60から送信される制御信号によって、タッチパネル51の画面表示と、通信回路53による信号の送信が制御される。
【0034】
[3.スマートフォンによるレシピとコンロの選択処理]
次に、図3図4に示したフローチャートに従って、スマートフォン50における調理のレシピと調理に使用するコンロの選択操作について説明する。なお、使用者によるコンロの選択内容が、本発明の所定のコンロ選択条件に相当する。
【0035】
ここでは、使用者Pがビーフシチューのレシピを選択した場合を例に説明する。図3に示したように、ビーフシチューの調理では、以下の第1ステップ〜第3ステップによる3段階の異なる種類の加熱調理が行われる。
【0036】
第1ステップ(炒め調理): コンロ(図3は右コンロ10bを用いる場合を例示)の五徳16bに載置された調理容器40に所定食材(野菜及び牛肉)を入れて炒める。コンロを用いた炒め調理を行う処理は、本発明の第1加熱調理運転に相当する。
【0037】
第2ステップ(グリル煮込み調理): 調理容器40に水を加えて蓋41をし、調理容器40を右コンロ10bからグリル20の収容庫20a内に移す。そして、収容庫20a内をグリルバーナ(図示しない)により加熱することによって、調理容器40内の食材を煮込む。グリル煮込み調理を行う処理は、本発明の第2加熱調理運転に相当する。
【0038】
第3ステップ(コンロ煮込み調理): 調理容器40をグリル20からコンロ(図3では左コンロ10aを使用する場合を例示)の五徳16aに移す。そして、蓋41を外してシチュールー等の調味料を投入し、食材を混ぜ合わせながらさらに煮込む。
【0039】
なお、調理容器40は、グリル20の仕様に合わせた専用品を用いることが望ましいが、専用品に準じた汎用品を用いることもできる。コンロ煮込み調理を行う処理は、本発明の第1加熱調理運転に相当する。
【0040】
そこで、使用者Pは、図4に示した手順でスマートフォン50を操作して、各ステップで使用する加熱部(左コンロ10a、右コンロ10b、後コンロ10c、グリル20のうちのいずれか)を選択する。
【0041】
使用者Pがビーフシチューのレシピを選択すると、スマートフォン50のタッチパネル51に、ビーフシチューの材料や調理手順を示すレシピ選択画面51aが表示される。そして、使用者がレシピの確定操作を行うと、第1ステップ(炒め調理)において使用する加熱部の選択画面51bが、タッチパネル51に表示される。選択画面51bでは、左コンロ10aと右コンロ10bのみが選択可能であるため、左コンロ10aの対応表示55a、右コンロ10bの対応表示55b、後コンロ10cの対応表示55c、及びグリル20の対応表示56のうち、左コンロ10aの対応表示55aと右コンロ10bの対応表示55bが強調表示(網掛け表示)されている。
【0042】
使用者Pが左コンロ10aと右コンロ10bのうちのいずれかを選択すると、タッチパネル51の表示が、第2ステップ(グリルによる煮込み調理)で使用する加熱部の選択画面51cに切り替わる。選択画面51cでは、グリル20のみが選択可能であるため、グリル20の対応表示56が強調表示されている。
【0043】
使用者Pがグリル20を選択すると、タッチパネル51の表示が、第3ステップ(コンロによる煮込み調理)で使用する加熱部の選択画面51dに切り替わる。選択画面51dでは、左コンロ10aと右コンロ10bのみが選択可能であるため、左コンロ10aの対応表示55aと右コンロ10bの対応表示55bが強調表示されている。
【0044】
使用者Pが第3ステップにおいて使用する加熱部として、左コンロ10a又は右コンロ10bを選択すると、加熱部の選択処理が終了する。そして、スマートフォン50は、ビーフシチューのレシピデータと各ステップで使用する加熱部を示すデータとを含む調理条件データを、ガスコンロ1に送信する。
【0045】
[4.ガスコンロによる加熱調理運転の処理]
ガスコンロ1のコンロコントローラ30は、スマートフォン50から受信した調理条件データをメモリに保持する。なお、コンロコントローラ30が調理条件データ受信する構成は、本発明のレシピ入力部に相当する。
【0046】
そして、制御部33は、図5図6に示したフローチャートに従って、調理条件データにより示されるレシピに対応した加熱調理運転を実行する。制御部33は、図5のSTEP1で、使用者Pによりレシピの選択操作がされたか否かを判断する。ここでは、ビーフシチューのレシピが選択された場合について説明する。レシピが選択されたときにSTEP2に進み、制御部33は、図7に示したように、右コンロ10bの点火操作(本発明のコンロによる加熱開始操作に相当する)を促すサポート画面14aを表示パネル14に表示する。
【0047】
続くSTEP3で、制御部33は、右コンロ用操作ボタン11bによる右コンロ10bの点火操作がなされた否かを判断する。そして、使用者Pが、右コンロ用操作ボタン11bにより右コンロ10bの点火操作を行ったときにSTEP4に進み、制御部33は、「炒め調理モード」による第1加熱調理運転を実行する。「炒め調理モード」では、温度センサ15bの検出温度が比較的高温になることが許容される。また、制御部33は、図7に示したように、スピーカ26から「食材をかき混ぜながら調理して下さい」との音声ガイダンス26aを出力する。
【0048】
さらに、制御部33は、「炒め調理モード」による第1加熱調理運転の実行状況を示すモニタデータをスマートフォン50に送信し、このモニタデータを受信したスマートフォン50は、図7に示したように、右コンロ10bによる調理中であること、調理のコツの説明文、及び「炒め調理モード」による第1加熱調理運転が終了するまでの残時間等を表示するサポート画面51fを、タッチパネル51に表示する。
【0049】
続くSTEP5で、制御部33は、炒め調理の終了条件が成立しているか否かを判断する。そして、炒め調理の終了条件が成立しているときはSTEP6に進んで、「炒め調理モード」での第1加熱調理運転を終了する。一方、炒め調理の終了条件が成立していないときにはSTEP20に分岐し、制御部33は、図7に示したように、炒め調理終了までの残時間を示すサポート画面14bを、表示パネル14に表示してSTEP5に進む。
【0050】
ここで、炒め調理の終了条件としては、予め設定された調理時間の経過、温度センサ15bの検出温度の変化に基づく終了条件の成立、使用者Pによる右コンロ10bの消火操作等が設定される。
【0051】
STEP7で、制御部33は、図7に示したように、表示パネル14に、グリル20の点火操作を促すサポート画面14cを表示すると共に、調理容器40を右コンロ10bからグリル20に移して、グリル20の点火操作を行うことを促す「食材を容器のままグリルに入れて点火して下さい」との音声ガイダンス26b(本発明の第1移載要請報知に相当する)を、スピーカ26から出力する。
【0052】
この音声ガイダンス26bに応じて、使用者Pは、調理容器40に蓋41をして、調理容器40をグリル20の収容庫20a内に移し、操作ボタン21によりグリル20の点火操作(本発明のグリルによる加熱開始操作に相当する)を行う。
【0053】
続くSTEP8で、制御部33は、操作ボタン21によるグリル20の点火操作がなされたか否かを判断し、点火操作がなされたときにSTEP9に進む。そして、STEP9で、制御部33は、「グリル煮込み調理モード」での第2加熱調理運転を開始する。「グリル煮込み調理モード」において、制御部33は、グリル20の収容庫20a内に設けられた温度センサ(図示しない)による検出に基づいて、収容庫20a内の温度を制御する。
【0054】
続くSTEP10で、制御部33は、煮込み調理(グリル)の終了条件が成立したか否かを判断する。そして、グリル煮込み調理の終了条件が成立しているときはSTEP11に進んで、「グリル煮込み調理モード」での第2加熱調理運転を終了する。一方、グリル煮込み調理の終了判定条件が成立していないときにはSTEP30に分岐し、制御部33は、図7に示したように、グリル煮込み調理が終了までの残時間を示すサポート画面14dを、表示パネル14に表示してSTEP10に進む。
【0055】
ここで、グリル煮込み調理の終了条件としては、予め設定された調理時間の経過、収容庫20a内に設けられた温度センサの検出温度に基づく終了条件の成立、使用者Pによるグリル20の消火操作等が設定される。
【0056】
制御部33は、「グリル煮込み調理モード」での第2加熱調理運転の実行状況を示すモニタデータをスマートフォン50に送信し、このモニタデータを受信したスマートフォン50は、図7に示したように、グリルによる調理中であること、及び「グリル煮込み調理モード」での第2加熱調理運転が終了するまでの残時間等を表示するサポート画面51gを、タッチパネル51に表示する。
【0057】
STEP11で、制御部33は、「グリル煮込み調理モード」での第2加熱調理運転を終了する。続く図6のSTEP12で、制御部33は、図7に示したように、左コンロ10aの点火を促すサポート画面14eを表示パネル14に表示すると共に、「食材を容器のままグリルから取り出し、左コンロにおいて点火して下さい」との音声ガイダンス26c(本発明の第2移載要請報知に相当する)をスピーカ26から出力して、STEP13に進む。
【0058】
STEP13で、制御部33は、左コンロ用操作ボタン11aにより左コンロ10aの点火操作(本発明のコンロによる加熱開始操作に相当する)がなされたか否かを判断する。そして、左コンロ10aの点火操作がなされたときはSTEP14に進み、制御部33は、「コンロ煮込み調理モード」での第1加熱調理運転を開始する。一方、左コンロ10aの点火操作がなされていないときには、STEP13に進む。
【0059】
STEP15で、制御部33は、図7に示したように、「調味料を入れ、かき混ぜながら調理して下さい」との音声ガイダンス26dを、スピーカ26から出力する。続くSTEP16で、制御部33は,コンロ煮込み調理の終了条件が成立したか否かを判断する。そして、コンロ煮込み調理の終了条件が成立しているときはSTEP17に進み、制御部33は、「コンロ煮込み調理モード」での第1加熱調理運転を終了してSTEP18に進む。
【0060】
一方、コンロ煮込み調理の終了条件が成立していないときにはSTEP40に分岐し、制御部33は、図7に示したように、コンロ煮込み調理が終了するまでの残時間を示すサポート画面14fを、表示パネル14に示してSTEP16に進む。
【0061】
制御部33は、「コンロ煮込み調理モード」での第1加熱調理運転の実行状況を示すモニタデータをスマートフォン50に送信し、このモニタデータを受信したスマートフォン50は、図7に示したように、左コンロ10aによる調理中であること、調理のコツの説明文、及び「コンロ煮込み調理モード」による第1加熱調理運転が終了するまでの残時間等を表示するサポート画面51hを、タッチパネル51に表示する。
【0062】
ここで、コンロ煮込み調理の終了条件としては、予め設定された調理時間の経過、温度センサ15aの検出温度に基づく終了条件の成立、使用者Pによる左コンロ10aの消火操作等が設定される。STEP18で、制御部33は、図7に示したように、コンロ煮込み調理が終了したことを示すサポート画面14gを表示パネル14に表示する。
【0063】
[5.他の実施形態]
上記実施形態では、スマートフォン50が、サーバ90にアクセスしてレシピDB91から調理条件データを取得する構成を示したが、スマートフォン50にレシピDB91を備える構成としてもよい。この場合、調理条件データ取得部61は、スマートフォン50の内蔵メモリ又はスマートフォン50に接続されたメモリカードに保持されたレシピDB91から、調理条件データを読み出す。或は、ガスコンロ1のコンロコントローラ30に備えられたメモリに、レシピDB91のデータを保持しておき、コンロコントローラ30に備えられたメモリから、調理条件データを読み出すようにしてもよい。
【0064】
上記実施形態では、本発明の加熱調理装置としてガスコンロ1を示したが、コンロとグリルを備えた加熱調理装置であれば、IHクッキングヒータ等の他の種類の加熱調理装置に対しても本発明の適用が可能である。
【0065】
上記実施形態では、コンロにより加熱調理を行う第1ステップ→グリルによる加熱を行う第2ステップ→コンロによる加熱調理を行う第3ステップ、という3つのステップからなる加熱調理を行う例を示したが、少なくとも第1ステップと第2ステップを含む加熱調理であれば、本発明の適用が可能である。
【0066】
上記実施形態では、使用者の選択操作に応じて、「炒め調理モード」での第1加熱調理運転及び「コンロ煮込み調理モード」での第1加熱調理運転で使用されるコンロを選択したが、コンロの加熱能力の相違やコンロの配置箇所に基づいて、第1加熱調理運転で使用されるコンロを選択するようにしてもよい。
【0067】
上記実施形態では、コンロとグリルとの間の調理容器の移載を促す報知(第1移載要請報知、第2移載要請報知)を、ガスコンロ1のスピーカ26から音声ガイダンスを出力することによって行ったが、この報知をスマートフォン50のタッチパネル51への表示、或はスマートフォン50のスピーカ52からの音声ガイダンスの出力により行うようにしてもよい。この場合は、制御部33が、スマートフォン50に対して報知の実行を指示するデータを送信する構成となる。
【0068】
上記実施形態では、コンロ10及びグリル20を用いる加熱調理としてビーフシチューを示し、第1ステップ: 野菜及び牛肉(同一の食材)を入れた調理容器40を、右コンロ10bの五徳16bに置いて炒め調理(第1加熱調理運転)→第2ステップ: 調理容器40をグリル20の収容庫20a内に移載して煮込み調理(第2加熱調理運転)→第3ステップ 調理容器40を右コンロ10bの五徳16bに移載して煮込み調理(第1加熱調理運転)、という工程による加熱調理を行ったが、例えば以下に示したように、本発明は種々の加熱調理に適用可能である。
【0069】
(他の調理例1.ローストビーフ)
第1ステップ: 牛のかたまり肉を入れた調理容器をコンロの載置部に置き、コンロにより加熱してかたまり肉の表面に焼き色をつける(コンロを用いた第1加熱調理運転)→第2ステップ:調理容器をグリルの収容庫に移載し、グリルによりかたまり肉にじっくりと火を通す(グリルを用いた第2加熱調理運転)。
【0070】
(他の調理例2.煮物)
第1ステップ: 食材(野菜、肉等)と水を入れた調理容器に蓋をしてグリルの収容庫に収容し、グリルにより加熱して煮込む(グリルを用いた第2加熱調理運転)→第2ステップ: 調理容器をコンロの載置部に移載して蓋をとり、コンロにより加熱して煮汁を飛ばす(コンロを用いた第1加熱調理運転)。
【0071】
(他の調理例3.ハンバーグ)
第1ステップ: ハンバーグ(タネを成型した状態)を入れた調理容器をグリルの収容庫に収容し、グリルで焼く(グリルを用いた第2加熱調理運転)→第2ステップ: 調理容器をコンロの載置部に移載し、焼き上がったハンバーグを調理容器から取り出し、ハンバーグから染み出た肉汁に調味料を加えてコンロで加熱し、バンバーグソースを作る(コンロを用いた第1加熱調理運転)。この場合は、焼く前のハンバーグに含まれていた油脂と焼いた時にハンバーグから染み出た肉汁とが、本発明の同一の食材に相当する。
【符号の説明】
【0072】
1…ガスコンロ(加熱調理装置)、10a…左コンロ、10b…右コンロ、10c…後コンロ、11a…左コンロ用操作ボタン、11b…右コンロ用操作ボタン、11c…後コンロ用操作ボタン、12…コンロ操作部、13…コンロ操作パネル、14…表示パネル、20…グリル、20a…(グリルの)収容庫、21…グリル用操作ボタン、22…グリル操作部、23…グリル操作パネル、30…コンロコントローラ、31…調理条件データ保持部、32…コンロ選択部、33…制御部、50…スマートフォン、51…タッチパネル、60…スマホコントローラ、61…調理条件データ取得部、62…レシピ選択部、63…調理条件データ送信部、90…サーバ、91…レシピDB(データベース)。
図1
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図7