(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
払出空間を挟むように形成されたホッパ躯体と、前記払出空間の上方に形成された払出装置用のハウジングと、前記ホッパ躯体に横架された梁と、を備えるサイロホッパ部の構築方法であって、
前記ホッパ躯体の仕切壁を形成する仕切壁形成工程と、
前記ホッパ躯体の側壁部を形成する側壁部形成工程と、
前記側壁部の上に前記ホッパ躯体の下斜め壁部を形成する第一斜め壁部形成工程と、
梁鉄骨を前記仕切壁に上載する梁上載工程と、
前記ハウジングを架設するハウジング形成工程と、
前記下斜め壁部の上に前記ホッパ躯体の上斜め壁部を形成するとともに、前記梁鉄骨の周囲にコンクリートを打設して前記梁を形成する第二斜め壁部形成工程と、
前記上斜め壁部の上にホッパ躯体の頂部を形成する頂部形成工程と、を備えていて、
前記仕切壁形成工程では、一対のプレキャスト製の壁部材を間隔をあけて配設するとともに、一対の前記壁部材の上端にプレキャスト製の上壁部材を横架することにより前記仕切壁を形成することを特徴とする、サイロホッパ部の構築方法。
【背景技術】
【0002】
石炭、骨材や穀物等のサイロでは、底部に形成された払出空間に内容物(石炭等)を誘導し、この払出空間内に配設されたベルトコンベヤによって内容物を搬送するのが一般的である。払出空間への内容物の誘導は、サイロの底部において払出空間の直上に形成されたサイロホッパ部において、サイロホッパ部内に配設された払出装置を利用して行う。
サイロホッパ部は、払出空間を挟むように形成されたホッパ躯体により形成されている。ホッパ躯体は、サイロホッパ部の傾斜面を形成する上部躯体と、上部躯体を支持するとともに払出空間の側壁を形成する下部躯体とを備えているのが一般的である。
また、サイロホッパ部内には、払出装置を収容するハウジングが、払出空間の上方に沿って形成されている。ハウジングは、ホッパ躯体の上部に横架された梁によって吊持されている。
【0003】
ホッパ躯体、ハウジングおよび梁は、現場打ちコンクリートにより形成するのが一般的である。ところが、現場打ちコンクリートによる施工は、配筋作業、型枠の組立撤去作業、コンクリート養生等が必要となり、工期短縮化の妨げとなっていた。
特許文献1の構築方法では、ホッパ躯体の上部躯体をプレキャスト部材により構築することで、工期の短縮を図っている。なお、上部躯体は、ホッパ躯体の軸方向と直交するように形成された仕切壁によって支持されている。特許文献1の構築方法では、上部躯体を仕切壁に上載した後、下部躯体を現場打ちコンクリートにより形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ホッパ躯体の支持部材として機能する仕切壁は、上載荷重に対して十分な耐力を有している必要があるため、配筋量が多くなる。したがって、プレキャスト部材を採用した場合には、1ピースの重量が大きくなるため、輸送および施工に手間がかかる。
一方、東日本大震災に起因する原子力発電所の使用停止に伴い、電力の多くが火力発電により賄われている。火力発電に使用する燃料のサイロ(石炭サイロ)の中には、老朽化したものがあることや、発電量の増加を目的として大規模なサイロの構築が求められていること等から、大規模なサイロについてさらなる早期施工が求められている。
このような観点から、本発明は、早期施工が可能なサイロホッパ部の構築方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は、払出空間を挟むように形成されたホッパ躯体と、前記払出空間の上方に形成された払出装置用のハウジングと、前記ホッパ躯体に横架された梁とを備えるサイロホッパ部の構築方法である。このサイロホッパ部の構築方法は
、前記ホッパ躯体の仕切壁を形成する仕切壁形成工程と、前記ホッパ躯体の側壁部を形成する側壁部形成工程と、前記側壁部の上に前記ホッパ躯体の下斜め壁部を形成する第一斜め壁部形成工程と、梁鉄骨を前記仕切壁に上載する梁上載工程と、前記ハウジングを架設するハウジング形成工程と、前記下斜め壁部の上に前記ホッパ躯体の上斜め壁部を形成するとともに、前記梁鉄骨の周囲にコンクリートを打設して前記梁を形成する第二斜め壁部形成工程と、前記上斜め壁部の上にホッパ躯体の頂部を形成する頂部形成工程とを備えている。
前記仕切壁形成工程では、一対のプレキャスト製の壁部材を間隔をあけて配設するとともに、一対の前記壁部材の上端にプレキャスト製の上壁部材を横架することにより前記仕切壁を形成する。
【0007】
かかるサイロホッパ部の構築方法によれば、ホッパ躯体を構成する仕切壁をプレキャスト部材により構築しているので、工期の短縮を図ることができる。仕切壁は、複数のプレキャスト製の壁部材に分割されているため、取扱いやすい。なお、仕切壁には、スリットが形成されていてもよいし、開口部が形成されていてもよい。
【0008】
前記第一斜め壁部形成工程では、前記ホッパ躯体の軸方向(払出空間の延長方向)に対して間隔をあけて形成された仕切壁同士の間に第一プレキャストコンクリート板を架設する作業と、前記第一プレキャストコンクリート板から隙間をあけて金属板を配置する作業と、前記第一プレキャストコンクリート板と前記金属板との間にコンクリートを打設する作業とにより下斜め壁部を形成すればよい。下斜め壁部として、第一プレキャストコンクリート板を利用したいわゆるハーフPC部材を採用することで、工期の短縮が可能となる。
また、前記側壁部形成工程では、前記側壁部の前面および背面にそれぞれ型枠を配置する作業と、前記側壁部の上部から前記払出空間側に張り出すように第二プレキャストコンクリート板を配置する作業と、前記型枠および前記第二プレキャストコンクリート板により囲まれた空間にコンクリートを打設する作業とにより側壁部を形成すればよい。はね出し部にいわゆるハーフPC部材を採用すると、工期の短縮を図ることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のサイロホッパ部の構築方法によれば、サイロの早期施工が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態では、石炭貯蔵設備を構築する場合について説明する。本実施形態の石炭貯蔵設備は、
図1に示すように、複数の石炭貯蔵用のサイロ(以下、単に「石炭サイロ1」という。)を備えている。なお、石炭サイロ1の数や配置等は限定されるものではなく、適宜設定すればよい。例えば、必ずしも複数の石炭サイロ1を構築する必要はない。
本実施形態の石炭サイロ1は、
図2に示すように、基礎スラブ11と、基礎スラブ11上に立設されたサイロ本体12と、サイロ本体12の上端に形成された屋根部13とを備えている。
【0012】
基礎スラブ11は、鉄筋コンクリート製の底版である。基礎スラブ11の厚さ(高さ)は限定されるものではなく、適宜決定すればよい。
サイロ本体12は、円筒状に形成されている。なお、サイロ本体12の形状は限定されるものではなく、例えば、角筒状であってもよい。サイロ本体12の内部には、サイロホッパ部2が形成されている。また、サイロ本体12の下部には内周面に沿って内壁14が形成されている。内壁14は、下側に向うに従って縮径する円錐台状を呈している。
屋根部13は、
図1に示すように、上端に向うに従って縮径する円錐台状を呈している。なお、屋根部13の形状は限定されるものではない。
【0013】
サイロホッパ部2は、石炭サイロ1の内容物である石炭を払出空間3に誘導し、石炭サイロ1外に排出する。本実施形態のサイロホッパ部2には、
図3(b)に示すように、3列の払出空間3,3,3が並設されている。払出空間3は、直線状に形成された空間である。払出空間3の端部は、石炭サイロ1の外面に面している。払出空間3は、ベルトコンベヤ等の輸送手段(図示せず)を配設することが可能な断面形状を有している(
図2参照)。
【0014】
サイロホッパ部2は、
図2および
図3(a)に示すように、ホッパ躯体4と梁5とハウジング6とを備えている。
ホッパ躯体4は、払出空間3と平行に形成されている。本実施形態では、払出空間3同士の間に形成された第一ホッパ躯体41,41と、サイロ本体12の外壁と払出空間3との間に形成された第二ホッパ躯体42とを備えている。なお、本実施形態では、2列の第一ホッパ躯体41,41が形成されているが、第一ホッパ躯体41の数は限定されるものではなく、払出空間3の数に応じて適宜形成すればよい。
【0015】
ホッパ躯体4(第一ホッパ躯体41および第二ホッパ躯体42)は、サイロホッパ部2の傾斜面を形成する上部躯体7と、上部躯体7を支持するとともに払出空間3の側壁を形成する下部躯体8と、上部躯体7および下部躯体8を背面(払出空間3と反対側の面)から支持する仕切壁9を備えている(
図4参照)。
【0016】
本実施形態の上部躯体7は、
図4に示すように、下斜め壁部71と、上斜め壁部72とを備えている。なお、第一ホッパ躯体41の上部躯体7は、上斜め壁部72の上端に形成された頂部73を備えている。一方、第二ホッパ躯体42の上斜め壁部72の上端は、内壁14の下端に接続されている。なお、上部躯体7の構成は限定さえるものではなく、適宜決定すればよい。下斜め壁部71は、下部躯体8の上端から斜め上方に向けて延びており、上方に向うに従って払出空間3から離れるように傾斜している。上斜め壁部72は、下斜め壁部71の上端から斜め上方に向けて延びている。また、上下に連続する下斜め壁部71と上斜め壁部72は、同じ角度で傾斜している。同様に、上下に連続する内壁14と上斜め壁部72および上斜め壁部72と頂部73も同じ角度で傾斜している。
【0017】
下部躯体8は、側壁部81と、側壁部81の上部に形成された張出部82とを備えていて、断面視逆L字状を呈している。側壁部81は、払出空間3の側面に沿って連続している(
図3(a)参照)。張出部82は、側壁部81の上部から払出空間3の上方に向けて張り出している。払出空間3を挟んで隣り合う下部躯体8の張出部82同士の間には、石炭(内容物)を払出空間3に誘導するための隙間が形成されている。なお、張出部82同士の間の隙間の大きさは限定されるものではないが、本実施形態では700mm程度とする。
【0018】
仕切壁9は、ホッパ躯体4の軸方向(払出空間3の長手方向)と交差するように形成されており、ホッパ躯体4の軸方向に対して間隔をあけて複数形成されている。本実施形態では、各梁5の位置に第一仕切壁91が形成されており、隣り合う梁5同士の中間位置に第二仕切壁92が形成されている(
図5(a)参照)。なお、仕切壁9の形成箇所は限定されるものではなく、適宜決定すればよい。仕切壁9は、複数の壁部材90,90,…を組み合わせることにより形成されている。また、仕切壁9の中央部には、開口93が形成されている。なお、仕切壁9の開口93は必ずしも形成する必要はない。すなわち、ホッパ躯体4の内部が仕切壁9によって完全に遮蔽されていてもよい。また、各仕切壁9(第一仕切壁91および第二仕切壁92)の形状は限定されるものではない。
【0019】
梁5は、
図3(a)および
図4に示すように、払出空間3およびホッパ躯体4と直交している。梁5の両端は、サイロ本体12の外壁の内面に接続している。本実施形態では、複数の梁5,5,…が並設されている。すなわち、本実施形態のサイロホッパ部2は、ホッパ躯体4と梁5により、平面視格子状を呈している。本実施形態の梁5は、鉄骨鉄筋コンクリート構造からなる。なお、梁5の構成は限定されるものではなく、例えば鉄筋コンクリート構造であってもよい。また、梁5は、ホッパ躯体4と交差していればよく、必ずしも直交している必要はない。
【0020】
ハウジング6は、払出空間3の直上において、払出空間3と平行に形成されている。ハウジング6は、門型に形成されたハウジング本体61と、ハウジング本体61の上部に一体に形成された支持部62とを備えている。ハウジング本体61は、断面視門型のコンクリート部材であって、下端が開口している。ハウジング本体61の内部は、払出装置を収納可能である。支持部62は、梁5と交差するように形成された鉄骨鉄筋コンクリート製の梁部材である。すなわち、支持部62の両端は、隣り合う梁5,5の側面に接続されている。なお、支持部62の構成は限定されるものではなく、例えば鉄筋コンクリート製であってもよい。
【0021】
サイロホッパ部の構築方法は、仕切壁形成工程と、側壁部形成工程と、第一斜め壁部形成工程と、梁上載工程と、ハウジング形成工程と、第二斜め壁部形成工程と、頂部形成工程とを備えている。
仕切壁形成工程は、
図5(a)に示すように、仕切壁9を形成する工程である。仕切壁9は、複数のプレキャスト製の壁部材90,90を組み合わせることにより形成する。仕切壁9は、ホッパ躯体4の軸方向に対して間隔をあけて形成する。本実施形態では、梁5の位置に応じて第一仕切壁91を形成するとともに、隣り合う第一仕切壁91同士の間に第二仕切壁92を形成する。
【0022】
第一仕切壁91は、一対の壁部材90,90を、間隔(開口93)をあけて配設するとともに、両壁部材90,90の上端に第一上壁部材94を横架することにより形成する。すなわち、第一仕切壁91は、門型状を呈している。壁部材90の上端は平面を呈している。壁部材90は、梁5の支持部材として、十分な耐力を有している。壁部材90は、下部躯体8の背面に沿って形成された矩形状部分と、上形状部分の上側に形成されて上部躯体7の傾斜面と同じ角度で傾斜下部分を有した台形状部分とを備えている。なお、壁部材90の形状は限定されるものではない。第一上壁部材94は、下辺が上辺よりも大きな幅を有した正面視台形状の部材である。なお、第一上壁部材94は、必要に応じて配設すればよい。
第二仕切壁92は、一対の壁部材90,90を、間隔(開口93)をあけて配設するとともに、両壁部材90,90の上端に第二上壁部材95を横架することより形成する。すなわち、第二仕切壁92は、門型状を呈している。第二上壁部材95は、下辺が上辺よりも大きな幅を有し、かつ、第一上部材94よりも高さが大きい正面視台形状の部材である。なお、第二上壁部材95は、必要に応じて配設すればよい。なお、第二仕切壁92を構成する壁部材90の形状寸法は、第一仕切壁91を構成する壁部材90の形状寸法と同一であってもよいし異なっていてもよい。また、第一上壁部材94および第二上壁部材95は必ずしも正面視台形である必要はなく、その形状は限定されるものではない。
【0023】
側壁部形成工程は、ホッパ躯体4の下部躯体8を形成する工程である(
図5(b)参照)。本実施形態の側壁部形成工程は、型枠配置作業と、張出部用PCa板架設作業と、コンクリート打設作業とを備えている。
型枠配置作業では、
図6(a)に示すように、壁部材90の端面と面一になるように第一型枠83を設置するとともに、第一型枠83から隙間をあけて第二型枠84を配設する。すなわち、側壁部81の背面(払出空間3と反対側の面)および前面(払出空間3側の面)に対応する位置に第一型枠83および第二型枠84をそれぞれ設置する。なお、第二型枠84は、
図6(b)に示すように、ホッパ躯体4の軸方向に隣り合う仕切壁9同士の間に配設する。また、型枠83,84の設置に伴い、必要な鉄筋(図示せず)を配筋する。
【0024】
張出部用PCa板架設作業では、側壁部81の上部から払出空間3側に張り出すように張出部82用のプレキャストコンクリート板85を配置する。プレキャストコンクリート板85は、下部躯体8の張出部82の一部を構成するハーフプレキャスト部材であって、張出部82の下面および先端を覆っている。本実施形態では、支保工86により、プレキャストコンクリート板85を支持する。
コンクリート打設作業では、型枠83,84およびプレキャストコンクリート板85により囲まれた空間にコンクリートを打設する。これにより、
図5(b)に示すように、側壁部81と張出部82とが一体となった下部躯体8が形成される。コンクリートの養生後、型枠83,84を撤去する。
【0025】
第一斜め壁部形成工程は、側壁部81上に下斜め壁部71を形成する工程である(
図8(a)参照)。
本実施形態の第一斜め壁部形成工程は、上部躯体用PCa板架設作業と、金属板配置作業と、コンクリート打設作業とを備えている。
上部躯体用PCa板架設作業では、
図7(a)に示すように、仕切壁9同士の間に上部躯体7用のプレキャストコンクリート板74を架設する。プレキャストコンクリート板74は、上部躯体7の下斜め壁部71および上斜め壁部72の一部を構成するハーフプレキャスト部材である。プレキャストコンクリート板74は、正面視逆V字状を呈している。プレキャストコンクリート板74のホッパ躯体4の軸方向端部は、隣接する仕切壁9の上端に上載する。すなわち、プレキャストコンクリート板74は、ホッパ躯体4の軸方向に隣り合う仕切壁9,9に横架する。プレキャストコンクリート板74の下端は、下部躯体8の上面に載置する。
【0026】
金属板配置作業では、
図7(b)に示すように、第一金属板75を配置する。第一金属板75は、プレキャストコンクリート板74と平行になるように、プレキャストコンクリート板74から隙間をあけて配置する。第一金属板75は、下斜め壁部71の表面を覆う形状を有している。第一金属板75は、複数の板材を連結することにより形成する。なお、第一金属板75の設置に先立ち、下斜め壁部71に必要な鉄筋(図示せず)を配筋しておく。
コンクリート打設作業では、プレキャストコンクリート板74と第一金属板75との間にコンクリートを打設する。これにより、
図8(a)に示すように、プレキャストコンクリート板74、第一金属板75およびコンクリートが一体となった下斜め壁部71が形成される。
【0027】
梁上載工程は、
図8(b)に示すように、梁鉄骨51を架設する工程である。
図9に示すように、梁鉄骨51は、第一仕切壁91(
図5参照)に上載する。本実施形態では、直線状に連結した複数の梁鉄骨51をサイロ本体12内に横架する。また、第一仕切壁91と梁鉄骨51との間には、必要に応じて高さ調整のスペーサー53を介設する。なお、梁鉄骨51同士の連結方法は限定されるものではない。例えば、隣り合う梁鉄骨51,51に跨って配設された一対のガセットプレート(図示せず)により梁鉄骨51のフランジまたはウェブを挟んだ状態で、両ガセットプレートおよび梁鉄骨51を貫通するボルトにより締結すればよい。
【0028】
梁鉄骨51には、部分的にコンクリートのプレキャスト部分52が形成されている。プレキャスト部分52は、梁鉄骨51同士の接合部および第一仕切壁91への上載部分を除く部分に形成されている。また、梁鉄骨51には、ハウジング6の接続部材54が一体に形成されている。
本実施形態では、梁鉄骨51の架設に伴い、梁鉄骨51の周囲に鉄筋(図示せず)を配筋する。また、梁鉄骨51の下面に沿って型枠(図示せず)を配設する。なお、鉄筋の配筋ピッチや鉄筋径等は限定されるものではなく、適宜決定すればよい。
【0029】
ハウジング形成工程は、ハウジング6を架設する工程である。まず、
図10に示すように、支持部62を梁鉄骨51の接続部材54に固定する。このとき、ハウジング6(支持部62またはハウジング本体61)を支保工(図示せず)により下方(基礎スラブ11)から支持しておく。支持部62には、予めハウジング本体61のプレキャスト部分63が固定されている。プレキャスト部分63は、梁鉄骨51と接触することがないように、間欠的に形成されている。
次に、
図11(a)に示すように、ハウジング本体61の残りの部分(現場打ち部分64)を形成する。現場打ち部分64の施工は、梁鉄骨51の周囲に必要な鉄筋(図示せず)を配筋するとともに当該鉄筋の周囲に型枠(図示せず)を設置して、この型枠内にコンクリートを打設することにより行う。現場打ち部分64は、梁鉄骨51に形成されたプレキャスト部分52の一部を巻き込んだ状態で形成する。
【0030】
第二斜め壁部形成工程は、下斜め壁部71上に上斜め壁部72を形成する工程である(
図12(a)参照)。第二斜め壁部形成工程は、配筋作業と、金属板設置作業と、コンクリート打設作業とを備えている。
配筋作業では、プレキャストコンクリート板74の表面に沿って、上斜め壁部72に必要な鉄筋(図示せず)を配筋する。
【0031】
金属板設置作業では、
図11(b)に示すように、プレキャストコンクリート板74と平行になるように、プレキャストコンクリート板74から隙間をあけて第二金属板77を設置する。本実施形態では、第二金属板77の設置に伴い、梁鉄骨51の周囲に型枠(図示せず)を設置する。型枠は、梁5の現場打ち部分(プレキャスト部分52以外の部分)54(
図12(a)参照)に対して設置する。また、ハウジング6の支持部62に対しても、第二金属板77と平行なハウジング用金属板65を設置する。
コンクリート打設作業では、プレキャストコンクリート板74と第二金属板77との間、ハウジング本体61とハウジング用金属板65,65により囲まれた空間、および、梁5の周囲(型枠内)にコンクリートを打設する。これにより、
図12(a)に示すように、上斜め壁部72、ハウジング6および梁5とが一体に形成される。
【0032】
頂部形成工程は、
図12(b)に示すように、ホッパ躯体4の上端、ハウジング6の上端および梁5の上端に頂部73,66,55を形成する工程である。
頂部73,66,55は、断面視三角形状の頂部用プレキャスト部材を上斜め壁部72の上端、支持部62の上端および梁5の上端に固定することにより形成する。頂部用プレキャスト部材の表面には、金属板が固定されている。
【0033】
本実施形態のサイロホッパ部の構築方法によれば、ホッパ躯体4を構成する仕切壁9をプレキャスト部材により構築することで、工期の短縮を図ることができる。仕切壁9を構成する壁部材は、複数に分割されているため、取扱いやすい。
また、上部躯体7として、プレキャストコンクリート板74を利用したいわゆるハーフPC部材を採用しているため、工期の短縮が可能である。
張出部82にいわゆるハーフPC部材(プレキャストコンクリート板85)を採用しているため、工期の短縮を図ることができる。
【0034】
以上、本発明の実施形態について説明したが本発明は、前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
前記実施形態では、石炭貯蔵用のサイロについて説明したが、サイロに収容される内容物の種類は石炭に限定されるものではない。例えば、コンクリートやアスファルト等に使用する骨材、セメント等の粉体、穀物等であってもよい。
前記実施形態では、下斜め壁部71および上斜め壁部72をそれぞれハーププレキャスト部材として形成する場合について説明したが、下斜め壁部71および上斜め壁部72はフルプレキャスト部材であってもよい。
また、上部躯体7は、必ずしも下斜め壁部71、上斜め壁部72およびお頂部73に分割する必要はない。上部躯体7は、壁部71、上斜め壁部72およびお頂部73を一体に形成してもよいし、壁部71と上斜め壁部72または上斜め壁部72と頂部73を一体に形成してもよい。
同様に、下部躯体8もフルプレキャスト部材により形成してもよい。