(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1発光手段および前記第2発光手段は、LED(Light Emitting Diode)であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の空気調和機の室内機。
前記第1発光手段および前記第2発光手段が点灯している場合に、前記第1カバーを通して外観に現れる発光色と前記第2カバーを通して外観に現れる発光色とが同色である
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室内機。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、実施形態に係る空気調和機の外観構成を示す図である。空気調和機ACは、例えばヒートポンプ技術などを用い、冷房、暖房など室内の空気調和を行う装置である。空気調和機ACは、大別して、室内の壁、天井、床などに設置される室内機100と、屋外などに設置される室外機200と、赤外線、電波、通信線などにより室内機と通信してユーザが空気調和機ACを操作するためのリモコン40(空調制御端末)と、室温、外気温などの空気調和機ACの制御または表示に用いる情報を入手するためのセンサ部とを有してなる。また、室内機100と室外機200とは、冷媒配管と通信ケーブルで接続されている。リモコン送受信部Qは、室内機100の前方下部付近のリモコン信号を受信しやすい位置に配置している。
【0010】
室内機100は、センサ部として、室内を撮影する撮像部110、室内の温度を検出する温度検知部130を有している。また、室内機100は、センサ補助部として、近赤外線光源部120を有している。近赤外線光源部120は、撮影時に点灯し、近赤外線を室内に照射することにより、撮像部110は、鮮明に近赤外線の反射光を撮像することができる。さらに、実施形態では近赤外線光源部120の横に運転ランプ、予熱・霜とりランプなどの表示ユニット140を配置している。
【0011】
本実施形態では、センサ補助部である近赤外線光源部120、センサ部である撮像部110および温度検知部130を搭載している。以下、近赤外線光源部120、撮像部110、温度検知部130を総称していう場合には、全てセンサと称する。すなわち、本実施形態の室内機の前面には3つのセンサがあり、
図1に示されるように、ユーザから目視により視認できる状態となっている。その3つのセンサの運転状態の際に、統一性の高いライティング(運転状態であることを示す照射)を行うことで、意匠性の向上を図っている。しかしながら、3つのセンサは実装形態が異なるため、同一の発光手段(LED(Light Emitting Diode)発光素子)を実装しても同じようにライティングすることができない課題がある。この課題の解決方法について、以下説明する。
【0012】
図2は、実施形態に係る室内機の側断面構成を示す図である。適宜
図1を参照する。室内機100は、室内熱交換器102、室内ファン103、左右風向板104、上下風向板105、前面パネル106、電装品、各種のセンサなどを、筐体ベース101内に収容している。室内熱交換器102は複数本の伝熱管102aを有し、室内ファン103により室内機内に取り込まれた室内の空気を、伝熱管102aを通流する冷媒と熱交換させ、当該空気を冷却、加熱などするように構成されている。なお、伝熱管102aは、冷媒配管に通じていて、公知の冷媒サイクルの一部を構成している。また、室内ファン103は風速を調節可能である。
【0013】
左右風向板104は、その基端側が室内機100の下部に設けた回転軸を支点にして左右風向板104用モータにより正逆回転される。そして、左右風向板104の先端側が室内側を向いていて、これにより左右風向板104の先端側は水平方向に振れるように動作可能である。上下風向板105は、室内機100の長手方向両端部に設けられた回転軸を支点にして上下風向板105用モータにより正逆回転される。これにより、上下風向板105の先端側は上下方向に振れるように動作可能である。前面パネル106は、室内機100の前面を覆うように設置されており、下端部の回転軸を支点として前面パネル106用モータにより正逆回転可能である。ちなみに、前面パネル106は、回転動作を行うことなく、室内機の下端に固定されたものとしてもよい。
【0014】
室内機100は、室内ファン103が回転することによって、空気の吸込み口107およびフィルタ108を介して室内の空気を室内機内に取り込み、この空気を室内熱交換器102で熱交換する。これにより、当該熱交換後の空気は、室内熱交換器102で冷却され、あるいは、加熱される。この熱交換後の空気は吹出し風路109aに導かれる。さらに、吹出し風路109aに導かれた空気は、空気吹出し口109bから室内機外部に送り出されて室内を空気調和する。そして、この熱交換後の空気が吹出し口から室内に吹出す際には、その水平方向の風向きは左右風向板104により調節され、その上下方向の風向きは上下風向板105により調節される。
【0015】
撮像部110、近赤外線光源部120、および温度検知部130、すなわち3つのセンサは、前面パネル106の下部に配置されている。このうち、撮像部110について、
図3を参照して詳細に説明する。
【0016】
図3は、撮像部の概略構成を示す図である。撮像部110は、撮像ユニット111と発光手段113を有する基板112と、撮像ユニット111および発光手段113を覆うカバー114と、樹脂ケースである反射板117を有する。
【0017】
撮像ユニット111を有する基板112は、撮像ユニット111のレンズ115の光軸が水平線に対して所定角度だけ下方を向くように設置されており、室内機100が設置されている室内を適切に撮像できるようになっている。
【0018】
発光手段113は、撮像ユニット111と同一の基板112に取り付けられている。ここで、仮に発光手段113を撮像ユニット111と同様に基板112の前面側の取り付けた場合、直接、発光手段113から発せられた光が撮像ユニット111に入り、撮像ユニット111の感度を落としてしまい、撮像ユニット111が適切に室内を撮像することができなくなる。
【0019】
そこで、本実施形態では、発光手段113を、基板112の背面側に取り付けている。撮像ユニット111は基板112の前面側と発光手段113の逆側に取り付けている。そのため、本実施形態によれば、基板112が壁となり、発光手段113から発せられた光が撮像ユニット111に直接入ることはない。
【0020】
しかし、そもそも発光手段113は、撮像ユニット111の稼動中であることをユーザが把握できるよう室内機1から光を発する役割を担っており、発光手段113を基板112の反対側に設置した場合、発光手段113は室内に向けて光を発することができなくなる。
【0021】
そこで、本実施形態では、基板112の背面側に発光手段113から発せられた光を反射する反射板117を設けている。
【0022】
本実施形態によれば、撮像ユニット111とは別に発光手段113に基板112を設ける必要がないため、撮像部110のコストを低減することができる。また、撮像部110の大きさも小型化することができるため、露受け皿の前面側の限られたスペースに撮像部110を配置させることができる。つまり、撮像部110のためにスペースを確保する必要がなく、その分、室内熱交換器102(
図2参照)を大きくすることができ、空気調和機の省エネルギー化に寄与することができる。
【0023】
また、本実施形態によれば、発光手段113の光で撮像ユニット111が照度を誤検出することを防ぐことができるため、照度を検出するたびに発光手段113の発光を停止する必要がない。撮像ユニット111は、照度によってゲインやシャッター速度を変化させることが一般的である。本実施形態は、撮像ユニット111に発光手段113の光が入らない構造であるため、撮像対象である室内空間の明るさによって、ゲインやシャッター速度を変化させることができるため、正しい画像を取得することができる。
【0024】
さらに、本実施形態では、台座117Bが反射板117を有する構成としている。具体的には、台座117Bを光不透過材または光難透過材で構成している。そのため、台座117Bと反射板117をそれぞれ、撮像部110に配置する必要がないため、さらに撮像部110の小型化を図ることができる。
【0025】
図3に示すように、反射板117を基板112の背面側に設けることに加え、基板112の前面側以外の面(上面、下面および側面)に設けてもよい。背面側に位置する反射板から反射した光は、例えば、上面側に位置する反射板でさらに反射して、室内に向けて光を発することができるため、光の放射量を増加させることができる。
【0026】
本実施形態では、発光手段113を撮像ユニット111よりも上方に位置させている。本実施形態では、前記したように、基板112を撮像ユニット111のレンズの光軸が水平線に対して所定角度だけ下方を向くように設置されている。そのため、発光手段113で発せられた光は、主に、背面に位置する反射板117で反射し、上面に位置する反射板117でさらに反射して、室内に向けて放射される。このときに、撮像ユニット111を光の放射経路から離すことで、さらに、発光手段113から発せられた光が撮像ユニット111に入る量を低減することができる。
【0027】
本実施形態の撮像部110は、ステッピングモータによって左右方向に回動可能な構成であり、カバー114によって撮像ユニット111と発光手段113を有する基板112を覆い、カバー114を台座117Bで支えている。このように、撮像部110を一体化するには、基板112をカバー114で覆うことが好ましい。
【0028】
このような本実施形態においては、発光手段113から発せられた光はカバー114を介して反射板117に入り、反射板117で反射された光はカバー114を介して室内に向けて光が発せられる。すなわち、発光手段113から発せられた光を複数回のカバー114を通過する。そこで、本実施形態では、カバー114を光透過材で構成している。
【0029】
なお、基板112の背面側にある発光手段113から発せられる光を光透過材であるカバー114を介して室内に発することで、光が間接照明となり、意匠性の向上を図ることができる。
【0030】
さらに、カバー114のうち、撮像ユニット111の前面側に位置する部分にレンズ115を設けている。レンズ15は、カバー114とは別の素材を用いているが、カバー114と同一素材を使用してもよい。
【0031】
撮像ユニット111と発光手段113を有する基板112が別であって、撮像ユニット111のみが回動する構成である場合、回動角度によっては、発光手段113によって放たれた光が撮像ユニット111に入ってしまう可能性がある。本実施形態では1つの基板112に撮像ユニット111と発光手段113を設置しているため、撮像ユニット111の左右方向における角度によって、発光手段113と反射板117の位置がずれることがないため、撮像ユニット111の左右方向における角度によって、発光手段113から室内に向けて発せられる光の量が変化するのを防いでいる。
【0032】
本実施形態における撮像ユニット111の視野角は、およそ60°である。正面を中央として左右方向に撮像ユニット111を45°回動可能な構成としており、合計150°の視野角を実現している。撮像ユニット111の回動は、ステッピングモータにより行い、左、中、右の順に行い、右を検出したら中を経由して左に戻る。撮像ユニット111の回動に用いるステッピングモータは、その他の検出手段とは独立して設けられている。撮像ユニット111とステッピングモータは、ギアやアームで接続され、あるいは、撮像ユニット111に直接接続されてもよい。なお、
図3においては、撮像部110について説明したが、温度検知部130も同様の配置構成である。
【0033】
図4は、前面パネルを外した空気調和機の室内機の外観構成を示す図である。前面パネル106(図示せず)の下部に、3つのセンサである近赤外線光源部120、撮像部110、温度検知部130が配設されている。
【0034】
図5は、近赤外線光源部、撮像部、温度検知部の配置構成を示す図である。
図5は、
図4における3つのセンサの拡大図である。各部の稼働状態のとき、カバー124,114,134を通して外観に現れる発光色を、ほぼ同一とすることにより、意匠性をあげることができる。
【0035】
図6は、近赤外線光源部の側断面構成を示す図である。近赤外線光源部120の基板122の前面に近赤外線照射ユニット121、発光手段123が配設されている。近赤外線光源部120は、カバー124によって近赤外線照射ユニット121と発光手段123を有する基板122を覆っている。
【0036】
図7は、撮像部の側断面構成を示す図である。前記したように、撮像部110の基板112の前面に撮像ユニット111、背面に発光手段113が配設されている。撮像部110は、カバー114によって撮像ユニット111と発光手段113を有する基板112を覆っている。
【0037】
図8は、温度検知部の側断面構成を示す図である。温度検知部130の基板132の前面に温度検知ユニット131、背面に発光手段133が配設されている。温度検知部130は、カバー134によって温度検知ユニット131と発光手段133を有する基板132を覆っている。
【0038】
図9は、各センサにおける基板と発光手段とカバーとの関係を模式的に示す図であり、(a)は近赤外線光源部、撮像部、温度検知部の配置構成を示すとともに3つのセンサの配置関係を示し、(b)はカバーを通して外観に現れる発光色を示す。
図9(a)に示すように、近赤外線光源部120は、基板122の前面の左右2箇所に発光手段123、カバー124を有している。撮像部110は、基板112の背面に発光手段113、カバー114を有している。温度検知部130は、基板132の背面に発光手段133、カバー134を有している。
【0039】
本実施形態では、例えば、空調機が暖房運転の運転状態であることを明瞭に示すために、近赤外線光源部120、撮像部110、温度検知部130から外観に現れる発光色が同色(例えば、アンバー色)であるようにした。具体的には、近赤外線光源部120の発光手段123,123の発光色はアンバー色として、撮像部110の発光手段113および温度検知部130の発光手段133は白色とする。そして、カバー124,114,134は、全てアンバー色とすると、カバー124を通して外観に現れる発光色と、カバー114,134を通して外観に現れる発光色とが同色でなる。
【0040】
すなわち、近赤外線光源部120の発光手段123(例えば、LED)を色付(アンバー色)のLEDを実装し、撮像部110、温度検知部130の発光手段113,133を白色のLEDを実装し、カバーの色で発光色を変化(アンバー色に変化)させることで、統一性の高いライティング(運転状態であることを示す照射)を行うことができる。
【0041】
比較例として、複数のLEDを点灯する場合に、(1)複数のLEDの発光色を白色とし、カバーの色で発光色を変化させることはある。また、(2)複数のLEDの発光色を色付とし、カバーの色を白色とすることはある。いずれにしても、複数のLEDからの発光色がカバーを通して外観に現れる複数の発光色は同色にならない。これに対し、(3)本実施形態では、LEDの発光色が異なるにもかかわらず、カバーを通して外観に現れる複数の発光色が同色になることが特徴である。
【0042】
図10は、発光手段を発光するための試験結果を示す図である。
図10には、発光手段(LED)を発光するために電流を流す際に、電流値の調整結果について示す。部位A,B,C,Dは、
図9(b)のA、B、C、Dに相当する。当初、LEDに流す電流は、全て10mAとしていたが、カバーを通して外観に現れる発光色の輝度が一応でなかった。そのため、実験の結果、電流値の調整を行った。部位A,Bは、LEDからの直接光がカバーを通して照射されるので、電流値を3mAと低減した。一方、部位Cは、LEDから反射板までの樹脂ケースまでの距離が長いので、電流値は10mAのままとした。部位Dは、LEDから反射板までの樹脂ケースまでの距離が部位Cと比較して短いので、電流値を8mAとした。これにより、カバーを通して外観に現れる発光色の輝度が一応となった。
【0043】
以上の実施形態についてまとめると、以下のようになる。
本実施形態の空気調和機の室内機は、光を発する第1発光手段(例えば、白色のLED)を有する第1基板(例えば、基板112,132)と、第1発光手段の発光色と異なる発光色の光を発する第2発光手段(例えば、アンバー色のLED)を有する第2基板(例えば、基板122)と、第1発光手段を覆う第1カバー(例えば、ともにアンバー色のカバー114,134)と、第2発光手段を覆う第2カバー(例えば、アンバー色のカバー124)と、を有する。第1カバーと第2カバーとが同色である。この場合、第1発光手段および第2発光手段が点灯している場合に、第1カバーを通して外観に現れる発光色と第2カバーを通して外観に現れる発光色とが同色となる。これにより、第1発光手段、第2発光手段の実装状態が異なっていても、外観に発光される発光色は同一であり、高い意匠性を得ることができる。なお、第1発光手段および第2発光手段が点灯していない場合においても、第1カバーと第2カバーとが同色であるので、高い意匠性を得ることができる。
【0044】
図9(b)に示すように、第1発光手段の発光色が白色であり、第2発光手段の発光色が白色以外の有色であるとよい。
【0045】
第1発光手段から発光される光を反射する反射板(例えば、反射板117)を有し、第1カバーを通して外観に現れる発光色は反射板による反射光に基づき形成され、第2カバーを通して外観に現れる発光色は第2発光手段の直接光に基づき形成される。なお、第1カバーの少なくとも一部が反射板であってもよい。
【0046】
第1の発光手段および第2発光手段は、発光するために電流を流す際に、第1の発光手段および第2発光手段を発光するための電流値が異なるように調整する。これにより、カバーを通して外観に現れる発光色の輝度が一応となることができる。
【0047】
具体的には、本実施形態の近赤外線光源部120である発光光源のLEDは色付のLEDを実装し、撮像部110および温度検知部130のLEDは白色を実装し、カバーの色で発光色を変化させることで、統一性の高いライティングを行うことができる。それぞれ異なって電流値を設定できることで、さらに意匠性の向上が可能となる。
【0048】
撮像部110をライティングするLED(第1発光手段)を白色にする理由は、カバーの色を変更することで、どのような色も表現可能とすることができるとともに、撮像素子への色の影響が出づらく、正しい色を検知することが可能となるためである。
【0049】
すなわち、本実施形態の空気調和機の室内機は、室内を撮像するための撮像素子(例えば、撮像ユニット111)と撮像素子の周囲を照らす発光手段(例えば、発光手段113)とを有する基板(例えば、基板112)と、発光手段を覆うカバー(例えば、カバー114)と、を備え、発光手段の発光色が白色であり、発光手段が点灯している場合にカバーを通して外観に現れる発光色を、カバーの色を変更することにより変更するとよい。
【0050】
また、温度検知ユニットも同様にカバーの色を変更することで、どのような色も表現可能とすることができるとともに、赤外線波長から遠い波長を使用することで、温度検知への悪影響も抑えることが可能となる。
【0051】
すなわち、本実施形態の空気調和機の室内機は、室内温度を測定するための赤外線検知素子(例えば、温度検知ユニット131)と赤外線検知素子の周囲を照らす発光手段(例えば、発光手段133)とを有する基板(例えば、基板132)と、発光手段を覆うカバー(例えば、カバー134)と、を備え、発光手段の発光色が白色であり、発光手段が点灯している場合にカバーを通して外観に現れる発光色を、カバーの色を変更することにより変更するとよい。
【0052】
従来、分割した基板上で色付のLEDを搭載した場合、汎用性が低く、LED色違いの基板を多く開発する必要がある。さらに、搭載する方法や方向によって、色味が変わってしまうデメリットが発生するとともに、LEDの色によってセンサの検知性能に影響を及ぼしてしまう課題があった。このため、基板ごとに適したLEDを配置し、カバーの色と電流量を調整することで機能とデザインを両立させた空気調和機を提供することができる。本実施形態では、基板ごとに適したLEDを配置し、カバーの色と電流量を調整することで、均一なライティングを実現することが可能となり、LEDの色による検知性能の悪化を抑制することができる。