特許第6865563号(P6865563)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6865563
(24)【登録日】2021年4月8日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】屋根装置
(51)【国際特許分類】
   E04B 7/16 20060101AFI20210419BHJP
   E04B 1/34 20060101ALI20210419BHJP
   E04H 15/54 20060101ALI20210419BHJP
   E04H 3/14 20060101ALN20210419BHJP
【FI】
   E04B7/16 B
   E04B1/34 B
   E04H15/54
   !E04H3/14 C
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-229201(P2016-229201)
(22)【出願日】2016年11月25日
(65)【公開番号】特開2018-84115(P2018-84115A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2019年9月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】二宮 昌三
【審査官】 桐山 愛世
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−084636(JP,A)
【文献】 特開平08−105120(JP,A)
【文献】 特開2015−209756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 7/16
E04B 1/34
E04H 15/54
E04H 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の上部の開口部に設けられた開閉可能な屋根装置であって、
開いた状態では第1方向における前記開口部の両側に前記開口部の内周面に沿った形状に折り畳まれた状態で配置され、閉じた状態では前記第1方向における前記開口部の両側から中央部に広がった状態で前記開口部を覆う膜部材と、
前記膜部材を前記第1方向に案内する膜部材案内部と、
前記膜部材を前記第1方向に伸縮させる膜部材駆動部と、
を備え、
前記膜部材案内部は、前記開口部の前記第1方向の両端に亘って張り渡された第1ケーブルと、前記開口部のうち前記第1方向に交差する第2方向の両端に亘って張り渡された第2ケーブルと、前記第1ケーブルと前記第2ケーブルとの交差部分に設けられ前記第1ケーブルと前記第2ケーブルとを連結すると共に前記第1ケーブルを周方向の1周に亘って覆う被覆部が設けられたクランプ部と、を有し、
前記膜部材駆動部は、前記膜部材に接続され前記第1ケーブルを前記第1方向に走行可能な走行台車と、前記走行台車を前記第1方向に移動させる走行台車駆動部と、を有し、
前記クランプ部と一体で設けられ、前記交差部分を走行する前記走行台車を所定位置に案内する案内部材を備える、屋根装置。
【請求項2】
前記案内部材は、前記クランプ部から前記第1方向の両側に突出する突出部を有する請求項1に記載の屋根装置。
【請求項3】
前記突出部は、先細りの形状を有する請求項2に記載の屋根装置。
【請求項4】
前記所定位置は、前記走行台車が前記クランプ部に接触することなく前記クランプ部を前記第1方向に通過可能な位置である請求項1から請求項のいずれか一項に記載の屋根装置。
【請求項5】
前記第1ケーブルは、複数本で1組に設けられ、
前記クランプ部は、1組に含まれる複数本の前記第1ケーブルを纏めて保持する請求項1から請求項のいずれか一項に記載の屋根装置。
【請求項6】
前記走行台車は、前記案内部材を受ける溝部を有する請求項1から請求項のいずれか一項に記載の屋根装置。
【請求項7】
前記開口部は、前記第1方向の両端が平面視で湾曲した形状である請求項1から請求項のいずれか一項に記載の屋根装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スタジアム等の建築物では、悪天時において風雨や雪等を遮ることができるように、屋根が設けられる場合がある。また、好天時においては建築物の内部に外気や太陽光等を取り入れることができるように、開閉可能な屋根装置を採用する場合がある。このような開閉可能な屋根装置では、折り畳み可能な膜部材を伸縮させることで屋根の開閉を行うものがある。例えば、建築物の天井部分にケーブルを張り渡しておき、膜部材を吊り下げた台車をケーブルに沿って走行させることで、膜部材の伸縮を行わせる構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−084689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の屋根装置においては、ケーブルを所定位置に固定するため、例えばケーブルを保持するクランプ部が設けられる場合がある。しかしながら、台車を走行させる際、台車がクランプ部材に接触すると、台車の走行性が低下する可能性が考えられる。この場合、安定した屋根の開閉動作に支障をきたす恐れがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、開閉動作を安定して行うことが可能な屋根装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る屋根装置は、建築物の上部の開口部に設けられた開閉可能な屋根装置であって、開いた状態では第1方向における前記開口部の両側に前記開口部の内周面に沿った形状に折り畳まれた状態で配置され、閉じた状態では前記第1方向における前記開口部の両側から中央部に広がった状態で前記開口部を覆う膜部材と、前記膜部材を前記第1方向に案内する膜部材案内部と、前記膜部材を前記第1方向に伸縮させる膜部材駆動部と、を備え、前記膜部材案内部は、前記開口部の前記第1方向の両端に亘って張り渡された第1ケーブルと、前記開口部のうち前記第1方向に交差する第2方向の両端に亘って張り渡された第2ケーブルと、前記第1ケーブルと前記第2ケーブルとの交差部分に設けられ前記第1ケーブルと前記第2ケーブルとを連結すると共に前記第1ケーブルを周方向の1周に亘って覆う被覆部が設けられたクランプ部と、を有し、前記膜部材駆動部は、前記膜部材に接続され前記第1ケーブルを前記第1方向に走行可能な走行台車と、前記走行台車を前記第1方向に移動させる走行台車駆動部と、を有し、前記交差部分に設けられ、前記交差部分を走行する前記走行台車を所定位置に案内する案内部材を備える。
【0007】
本発明によれば、案内部材によって走行台車が所定位置に案内されて第1方向に交差部分を通過するため、走行台車が交差部分をスムーズに走行可能となり、クランプ部の損傷も抑制される。これにより、走行台車の走行安定性を確保することができるため、開閉動作を安定して行うことができる。
【0008】
また、前記案内部材は、前記クランプ部と一体で設けられてもよい。
【0009】
本発明によれば、案内部材がクランプ部と一体であるため、案内部材の強度を確保できる。
【0010】
また、前記案内部材は、前記クランプ部から前記第1方向の両側に突出する突出部を有してもよい。
【0011】
本発明によれば、第1方向の両側から走行する走行台車のそれぞれに対して、突出部により走行台車を誘導することができる。
【0012】
また、前記突出部は、先細りの形状を有してもよい。
【0013】
本発明によれば、走行台車をスムーズに誘導することができる。
【0014】
また、前記所定位置は、前記走行台車が前記クランプ部に接触することなく前記クランプ部を前記第1方向に通過可能な位置であってもよい。
【0015】
本発明によれば、走行台車がクランプ部に接触することについても回避できるため、クランプ部の損傷をより確実に抑制できる。
【0016】
また、前記第1ケーブルは、複数本で1組に設けられ、前記クランプ部は、1組に含まれる複数本の前記第1ケーブルを纏めて保持してもよい。
【0017】
本発明によれば、1組に含まれる複数本の第1ケーブルにより走行台車を安定して走行させることができる。
【0018】
また、前記走行台車は、前記案内部材を受ける溝部を有してもよい。
【0019】
本発明によれば、案内部材により走行台車をより確実かつスムーズに案内することができる。
【0020】
また、前記開口部は、前記第1方向の両端が平面視で湾曲した形状であってもよい。
【0021】
本発明によれば、クランプ部により第1ケーブルが第2ケーブルに連結されるため、平面視で曲線を有する形状に膜部材を折り畳むように案内する構成であっても、確実に膜部材を案内することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、開閉動作を安定して行うことが可能な屋根装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本実施形態に係る屋根装置の一例を概略的に示す斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係る屋根装置の一例を概略的に示す斜視図である。
図3図3は、膜部材駆動部の一例を模式的に示す平面図である。
図4図4は、膜部材駆動部の一例を模式的に示す平面図である。
図5図5は、膜部材駆動部の一例を模式的に示す平面図である。
図6図6は、第1ケーブル及び第2ケーブルの一部を示す斜視図である。
図7図7は、交差部分を拡大して示す斜視図である。
図8図8は、クランプ部を第2方向から見た場合の一例を示す図である。
図9図9は、クランプ部を第1方向から見た場合の一例を示す図である。
図10図10は、走行台車の一例を示す断面図である。
図11図11は、走行台車の一例を示す断面図である。
図12図12は、走行台車が交差部分を通過する場合の状態を示す図である。
図13図13は、走行台車が交差部分を通過する場合の状態を示す図である。
図14図14は、走行台車が交差部分を通過する場合の状態を示す図である。
図15図15は、走行台車が交差部分を通過する場合の状態を示す図である。
図16図16は、走行台車が交差部分を通過する場合の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る屋根装置の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0025】
図1及び図2は、本実施形態に係る屋根装置100の一例を概略的に示す斜視図である。図1及び図2に示すように、屋根装置100は、例えばスタジアム等の建築物101の屋根を構成する。屋根装置100は、天井部102に設けられた開口部103に取り付けられ、開閉可能に設けられる。図1は屋根が開いた状態を示し、図2は屋根が閉じた状態を示す。開口部103は、例えば平面視で楕円状に形成される。
【0026】
本実施形態において、屋根装置100は、平面視において開口部103の短軸方向に開閉可能に設けられる。以下、屋根装置100の開閉方向である、開口部103の短軸方向を第1方向D1と表記する。また、第1方向D1に直交する方向である、開口部103の長軸方向を第2方向D2と表記する。なお、開口部103は、第1方向D1から見た場合に、第2方向D2の中央部から両端部にかけて下方に湾曲した形状であるが、この形状に限定するものではなく、第1方向D1から見た場合に直線状であってもよい。
【0027】
屋根装置100は、膜部材10と、膜部材案内部20と、膜部材駆動部30とを有する。膜部材10は、図1に示すように、屋根装置100が開いた状態においては、開口部103のうち第1方向D1の両側の内周面103a、103bに沿ってそれぞれ配置される。この場合、膜部材10は、内周面103a、103bに沿って折り畳まれた状態で配置される。建築物101は、屋根装置100が開いた状態においては、内部と外部とが連通される。
【0028】
また、膜部材10は、図2に示すように、屋根装置100が閉じた状態においては、開口部103の全体を覆うように内周面103a、103bから中央に広がった状態で配置される。建築物101は、屋根装置100が閉じた状態においては、内部と外部とが遮断される。
【0029】
このように、膜部材10は、開口部103のうち第1方向D1の両側の内周面103a、103bに配置され、中央側に向けて第1方向D1に伸縮可能である。屋根装置100は、膜部材10が第1方向D1に伸縮することにより、開いた状態又は閉じた状態の切り替えが可能となっている。
【0030】
膜部材案内部20は、膜部材10を第1方向D1に案内する。膜部材案内部20は、第1ケーブル21と、第2ケーブル22とを有する。第1ケーブル21は、第1方向D1に平行に配置され、内周面103aから内周面103bに亘って開口部103を第1方向D1に跨ぐように張り渡されている。第1ケーブル21は、膜部材10を案内するケーブルである。第1ケーブル21は、第2方向D2に所定の間隔を空けて複数本配置される。なお、図1及び図2では、第1ケーブル21を1本で示しているが、第1ケーブル21は、例えば2本1組で設けられてもよい。以下、本実施形態では、第1ケーブル21が2本1組で設けられる場合を例に挙げて説明する。第1ケーブル21は、第2方向D2の中央部又はその近傍において第1方向D1の長さが最も長くなっており、第2方向D2の端部又はその近傍において第1方向D1の長さが最も短くなっている。
【0031】
第2ケーブル22は、第2方向D2に平行に配置され、開口部103を第2方向D2に跨ぐように張り渡されている。第2ケーブル22は、第1ケーブル21の上方に配置される。第2ケーブル22は、第1ケーブル21を支持するケーブルである。平面視において、開口部103には、第1ケーブル21と第2ケーブル22とが格子状に張り渡された状態となっている。開口部103には、平面視において、第1ケーブル21と第2ケーブル22との交差部分Cが設けられる。交差部分Cには、後述するクランプ27等が設けられる。
【0032】
膜部材駆動部30は、膜部材10を第1方向D1に伸縮させることで、屋根装置100を開閉させる。膜部材駆動部30は、走行台車31と、走行台車駆動部32(図3等参照)とを有する。走行台車31は、第1ケーブル21を第1方向D1に走行する。走行台車31は、先頭台車33と、中間台車34とを有する。
【0033】
図3は、膜部材駆動部30の一例を模式的に示す平面図である。図3では、屋根装置100が開いた状態を例に挙げて示している。また、図3では、各部の構成を判別しやすくするため、第1ケーブル21を二点鎖線で示し、第2ケーブル22の図示を省略している。
【0034】
図3に示すように、先頭台車33は、1組の第1ケーブル21毎に2台ずつ配置される。各先頭台車33は、第1方向D1の位置を検出する位置センサ(不図示)を有してもよい。2台の先頭台車33のうち一方の先頭台車(以下、第1先頭台車と表記する)33aは、内周面103a側に配置される。また、他方の走行台車(以下、第2先頭台車と表記する)33bは、内周面103b側に配置される。
【0035】
第1先頭台車33aは、第1ケーブル21のうち、内周面103aから開口部103の中央部までの区間を移動する。第1先頭台車33aには、内周面103a側に配置される膜部材10のうち、第1方向D1の中央側の端部(以下、先頭側端部11と表記する)が固定される。
【0036】
第1先頭台車33aは、第1方向D1に走行することにより、膜部材10の先頭側端部11を走行方向に移動させる。例えば、第1先頭台車33aが内周面103a側から開口部103の中央側に移動する場合、第1先頭台車33aに従って膜部材10の先頭側端部11が開口部103の中央側に移動する。このため、膜部材10は第1方向D1に伸びて広がることになる。また、例えば、第1先頭台車33aが開口部103の中央側から内周面103a側に移動する場合、第1先頭台車33aに従って膜部材10の先頭側端部11が内周面103a側に移動する。このため、膜部材10は第1方向D1に折り畳まれて縮むことになる。
【0037】
第2先頭台車33bは、第1ケーブル21のうち、内周面103bから開口部103の中央部までの区間を移動する。第2先頭台車33bには、内周面103b側に配置される膜部材10のうち、第1方向D1の中央側の端部(以下、先頭側端部12と表記する)が固定される。
【0038】
第2先頭台車33bは、第1方向D1に走行することにより、膜部材10の先頭側端部12を走行方向に移動させる。例えば、第2先頭台車33bが内周面103b側から開口部103の中央側に移動する場合、第2先頭台車33bに従って膜部材10の先頭側端部12が開口部103の中央側に移動する。このため、膜部材10は第1方向D1に伸びて広がることになる。また、例えば、第2先頭台車33bが開口部103の中央側から内周面103b側に移動する場合、第2先頭台車33bに従って膜部材10の先頭側端部12が内周面103b側に移動する。このため、膜部材10は第1方向D1に折り畳まれて縮むことになる。
【0039】
第1先頭台車33aと第2先頭台車33bとは、1本のワイヤー35によって連結される。ワイヤー35は、例えば無端状に形成され、内周面103a側に配置されたワイヤー駆動部36と、内周面103b側に配置されたプーリ37との間に架け渡される。なお、内周面103b側にワイヤー駆動部36が配置され、内周面103a側にプーリ37が配置されてもよい。
【0040】
ワイヤー35は、ワイヤー駆動部36により周回方向に移動する。ワイヤー35が周回方向に移動することで、第1先頭台車33aと第2先頭台車33bとが連動して移動する。第1先頭台車33a及び第2先頭台車33bは、ワイヤー35のうち、一方が開口部103の第1方向D1の中央部に配置される場合に、他方が当該中央部において第1方向D1に接することになる位置関係で連結される。このような位置関係は、例えば無端状のワイヤー35を一方向に伸ばした状態において、一方の端部に第1先頭台車33aを連結し、他方の端部に第2先頭台車33bを連結することにより、実現可能である。このように連結することで、ワイヤー35を周回移動させた場合、例えば第1先頭台車33aと第2先頭台車33bとを開口部103の第1方向D1の中央部で第1方向D1に接触させた状態とすることができる。
【0041】
中間台車34は、1組の第1ケーブル21において、内周面103a側と、内周面103b側とに、それぞれ複数設けられる。内周面103a側に設けられる中間台車34は、内周面103aと第1先頭台車33aとの間に配置され、内周面103aと第1先頭台車33aとの間の区間を走行する。また、内周面103b側に設けられる中間台車34は、内周面103bと第2先頭台車33bとの間に配置され、内周面103bと第2先頭台車33bとの間の区間を走行する。中間台車34には、膜部材10の一部が固定される。
【0042】
中間台車34の台数は、第1ケーブル21毎に設定され、例えば第1ケーブル21の第1方向D1の長さに応じて設定される。例えば、第2方向D2の中央部及びその近傍に配置される第1ケーブル21では、第1方向D1の長さが比較的長いため、中間台車34の台数が多く配置される。一方、第2方向D2の端部及びその近傍に配置される第1ケーブル21では、第1方向D1の長さが比較的短いため、中間台車34の台数が少なく配置される。
【0043】
異なる第1ケーブル21に配置される中間台車34同士は、リッジケーブル38によって連結される。リッジケーブル38は、第2方向D2において開口部103の両端に亘って張り渡される。リッジケーブル38は、第1方向D1に複数本配置される。1本のリッジケーブル38により、各第1ケーブル21に配置される中間台車34が1台ずつ連結される。リッジケーブル38には、膜部材10の一部が固定されてもよい。
【0044】
リッジケーブル38は、リッジケーブル駆動部39により、第1方向D1に移動させる、又は開口部103に張り渡される部分の長さを調整する(以下、これらの動作を合わせて「リッジケーブル38を駆動する」と表記する)ことが可能である。リッジケーブル駆動部39は、リッジケーブル38を駆動することにより、当該リッジケーブル38に連結される各中間台車34を第1方向D1に移動させる。したがって、1本のリッジケーブル38を駆動させることにより、異なる第1ケーブル21に配置された中間台車34を同期させて第1方向D1に移動させることが可能である。
【0045】
図4は、膜部材10が開閉する途中の状態を示す図である。図4に示すように、例えば屋根装置100を閉じる場合には、ワイヤー駆動部36がワイヤー35を周回移動させることにより、第1先頭台車33aが内周面103a側の位置から開口部103の中央側に移動する。また、第2先頭台車33bが内周面103b側の位置から開口部103の中央側に移動する。このとき、ワイヤー駆動部36毎にワイヤー35の周回速度を個別に調整することにより、図4に示すように、膜部材10の先頭側端部11、12を、第2方向D2の中央部から端部にかけての曲率が徐々に小さくなるように移動させることができる。また、リッジケーブル駆動部39がリッジケーブル38を駆動することにより、例えば第2方向D2に隣り合う中間台車34同士が曲線状に並んだ状態で第1方向D1に移動する。
【0046】
図5は、屋根装置100が閉じた場合の膜部材駆動部30の状態を示す図である。図5に示すように、屋根装置100が閉じた状態では、第1先頭台車33aと第2先頭台車33bとが開口部103の第1方向D1の中央部で接続され、内周面103a側の膜部材10の先頭側端部11と、内周面103b側の膜部材10の先頭側端部12とが隙間なく接合される。これにより、開口部103が膜部材10により閉塞され、雨等が漏れないようになる。また、第2方向D2に隣り合う中間台車34同士は、第2方向D2に平行な直線上に並んだ状態となる。なお、図5では、各部の構成を模式的に示しているため内周面103a側の走行台車31と内周面103b側の走行台車31とが第2方向D2にずれた状態となっているが、実際にはそれぞれ同一の第1ケーブル21を走行するため、第2方向D2の位置は同一となる。
【0047】
図6は、膜部材案内部20の一部を示す斜視図である。図6に示すように、第1ケーブル21と第2ケーブル22との交差部分Cには、クランプ27が配置される。クランプ27は、第1ケーブル21のクランプ部23と、第2ケーブル22のクランプ部26とを有する。クランプ部23は、第1ケーブル21を保持する。クランプ部26は、第2ケーブル22に固定され、クランプ部23に連結される。クランプ27により、第1ケーブル21は、第2ケーブル22に保持されている。
【0048】
図7は、交差部分Cを拡大して示す斜視図である。図8は、クランプ部23を第2方向D2から見た場合の一例を示す図である。図9は、クランプ部23を第1方向D1から見た場合の一例を示す図である。
【0049】
図7から図9に示すように、クランプ部23は、基部23aと、被覆部23bとを有する。基部23aは、例えば直方体状に形成され、2本の第1ケーブル21の間に配置される。基部23aは、2本の第1ケーブル21が所定の間隔を空けて配置されるように保持する。被覆部23bは、基部23aから第2方向D2の両側に設けられる。被覆部23bは、基部23aとの間で第1ケーブル21の外周面を1周に亘って覆うように配置される。被覆部23bが設けられることにより、第1ケーブル21の外周面と被覆部23bとの間には、段差が形成される。なお、被覆部23bは、図9に示すように、スペーサ23cを有する構成であってもよい。この場合、スペーサ23cにより、2本の第1ケーブル21の間隔を調整可能である。
【0050】
また、第1ケーブル21と第2ケーブル22との交差部分Cには、案内部材24が配置される。案内部材24は、交差部分Cを第1方向D1の開方向及び閉方向に通過する走行台車31を案内する。なお、走行台車31は、上記の先頭台車33及び中間台車34を含む。案内部材24は、例えばクランプ部23と一体に設けられる。案内部材24は、例えば棒状に形成され、第1方向D1に平行に配置される。案内部材24は、例えば被覆部23bの上方に配置される。
【0051】
本実施形態では、案内部材24は、固定部材25によりクランプ部23と一体に固定される。案内部材24は、クランプ部23に対して第2方向D2の両側に1つずつ配置される。各案内部材24は、基部24a及び突出部24bを有する。基部24aは、例えば円筒状又は円柱状に形成され、第1方向D1に平行に配置される。突出部24bは、クランプ部23から第1方向D1の両側に突出する。突出部24bは、開方向及び閉方向に移動する走行台車31のそれぞれに対向するように配置される。突出部24bは、先細りの形状となっている。
【0052】
図10は、走行台車31の一例を示す断面図である。図10は、第1方向D1に直交する平面における断面を示している。図10に示すように、走行台車31は、本体部51と、フック52とを有する。本体部51は、第1ケーブル21の下方に配置される。走行台車31が中間台車34の場合、本体部51には、上記のリッジケーブル38が連結される。
【0053】
フック52は、本体部51の第2方向D2の両端から上方に突出して設けられ、第1ケーブル21を第2方向D2に挟む位置に配置される。フック52は、第1溝部52aと、第2溝部52bとを有する。第1溝部52aは、第1ケーブル21が挿入される。例えば、一方のフック52に設けられる第1溝部52aには、2本の第1ケーブル21のうちの一方が挿入される。また、他方のフック52に設けられる第1溝部52aには、2本の第1ケーブル21のうちの他方が挿入される。走行台車31は、各フック52の第1溝部52aに第1ケーブル21が挿入されることにより、第1ケーブル21から吊り下げられたケーブル走行位置P1に配置されて走行する。
【0054】
第2溝部52bは、第1溝部52aの上方に配置される。第2溝部52bは、案内部材24が挿入される。例えば、第2方向D2の一方のフック52に設けられる第2溝部52bには、2つの案内部材24のうちの一方が挿入される。また、第2方向D2の他方のフック52に設けられる第2溝部52bには、2つの案内部材24のうちの他方が挿入される。
【0055】
図11は、第2溝部52bに案内部材24が挿入された場合のクランプ部23と走行台車31との位置関係を示している。図11に示すように、走行台車31は、各フック52の第2溝部52bに案内部材24が挿入されることにより、案内部材24から吊り下げられた交差部分走行位置P2に配置されて走行する。本実施形態において、交差部分走行位置P2は、例えばケーブル走行位置P1に対して上方にずれた位置である。
【0056】
走行台車31が交差部分走行位置P2に配置された場合、第1溝部52aは、クランプ部23の被覆部23bとの間に隙間が空くように形成される。したがって、第1溝部52aは、第1ケーブル21の外周面とクランプ部23の被覆部23bとの間の段差を見込んだ寸法に形成される。この場合、走行台車31は、案内部材24に吊り下げられた状態で、フック52がクランプ部23に接触することなく第1方向D1に移動可能となる。
【0057】
図12から図16は、走行台車31が交差部分Cを通過する場合の動作を示す図である。まず、図12に示すように、走行台車31が交差部分Cに向けて第1方向D1移動する場合、第1溝部52aに第1ケーブル21が挿入された状態で、フック52が第1ケーブル21から吊り下げられた状態でケーブル走行位置P1を移動する。また、案内部材24の突出部24bは、走行台車31の第2溝部52bに向けられた状態となる。
【0058】
図13に示すように、走行台車31が交差部分Cに近接していく場合、突出部24bの先端から第2溝部52bに挿入される。突出部24bが先細りの形状を有しているため、第2溝部52bに対してスムーズに挿入される。走行台車31は、突出部24bの先細りの形状に応じて、走行方向の前部が上方に傾いた状態で挿入されていく。
【0059】
図14に示すように、走行台車31が交差部分Cに到達した場合、案内部材24の基部24aが第2溝部52bに挿入される。これにより、走行台車31は、交差部分走行位置P2に案内されて第1方向D1に走行する。交差部分走行位置P2では、クランプ部23が第1溝部52aに挿入されるが、第1溝部52aの底部(フック52)との間に隙間を空けた状態が維持される。このため、走行台車31は、クランプ部23に接触することなく第1方向D1に走行して交差部分Cを通過する。このように、交差部分走行位置P2は、フック52とクランプ部23との間に隙間が空いた状態となる位置である。したがって、走行台車31は、交差部分Cを通過する際、案内部材24によって交差部分走行位置P2に案内されることにより、クランプ部23に衝突することなく交差部分Cを通過することが可能となる。
【0060】
図15に示すように、走行台車31が交差部分Cを通過した場合、走行台車31の移動により、案内部材24が第2溝部52bから外れる。この場合、走行台車31は、案内部材24の突出部24bの形状に応じて走行方向の前部が下方に傾いた状態となる。図16に示すように、走行台車31が案内部材24から外れた後、走行台車31は、第1溝部52aに第1ケーブル21が挿入された状態となり、ケーブル走行位置P1に配置された状態で第1方向D1に移動する。
【0061】
以上のように、本実施形態に係る屋根装置100は、案内部材24によって走行台車31がクランプ部23に衝突することなく第1方向D1に交差部分Cを通過可能な所定位置である交差部分通過位置P2に案内されるため、走行台車31が交差部分Cをスムーズに走行可能となり、クランプ部23の損傷も抑制される。これにより、走行台車31の走行安定性を確保することができるため、開閉動作を安定して行うことができる。
【0062】
また、屋根装置100は、案内部材24がクランプ部23と一体で設けられるため、案内部材24の強度を確保できる。また、屋根装置100は、案内部材24がクランプ部23から第1方向D1の両側に突出する突出部24bを有するため、第1方向D1の両側から走行する走行台車31のそれぞれに対して、突出部24bにより走行台車31を誘導することができる。また、屋根装置100は、突出部24bが先細りの形状を有するため、走行台車31をスムーズに誘導することができる。
【0063】
また、屋根装置100において、案内部材24は、走行台車31がクランプ部23に接触することなくクランプ部23を第1方向D1に通過可能な位置に走行台車31を案内するため、走行台車31がクランプ部23に接触することについても回避でき、クランプ部23の損傷をより確実に抑制できる。
【0064】
また、屋根装置100は、第1ケーブル21が複数本で1組に設けられ、クランプ部23が複数本の第1ケーブル21を纏めて保持するため、複数本の第1ケーブル21により走行台車31を安定して走行させることができる。
【0065】
また、屋根装置100は、走行台車31が案内部材24を受ける第2溝部52bを有するため、案内部材24により走行台車31をより確実かつスムーズに案内することができる。
【0066】
また、屋根装置100は、開口部103の第1方向D1の両端が平面視で湾曲した形状であり、クランプ部23により第1ケーブル21が第2ケーブル22に連結されるため、平面視で曲線を有する形状に膜部材10を折り畳むように案内する構成であっても、確実に膜部材10を案内することができる。
【0067】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態では、案内部材24がクランプ部23に一体で設けられた構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。例えば、案内部材24に相当する構成が走行台車31側に配置された構成であってもよい。また、この場合、第2溝部52bに相当する構成がクランプ部23側に配置された構成としてもよい。この構成により、上記実施形態と同様、案内部材24によって走行台車31がクランプ部23に衝突することなく第1方向D1に交差部分Cを通過するため、走行台車31が交差部分Cをスムーズに走行可能となり、クランプ部23の損傷も抑制される。これにより、走行台車31の走行安定性を確保することができるため、開閉動作を安定して行うことができる。
【0068】
また、上記実施形態では、開口部103の形状が平面視で楕円形状である構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。例えば、開口部103のうち第1方向D1の両端が平面視で湾曲した形状であれば、楕円形状の他、円形状であってもよいし、他の曲線を有する形状であってもよい。また、開口部103が正方形や長方形などの矩形状であってもよいし、他の多角形の形状であってもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、走行台車31が案内部材24を挿入する第2溝部52bを有する構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。例えば、第2溝部52bが設けられない構成であってもよい。例えば、走行台車31のフック52の一部等、走行台車31の一部の構成を利用して案内部材24を受ける構成としてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、第1ケーブル21が2本で1組に設けられた構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではなく、第1ケーブル21が1本又は3本以上で1組に設けられた構成であってもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、案内部材24がクランプ部23の被覆部23bの上方に配置された構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではなく、案内部材24が被覆部23bの下方や側方等、被覆部23bの上方以外の箇所に配置された構成であってもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、突出部24bが先細りの形状に形成された構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。例えば、案内部材24が第1方向D1の全体において同一の径となる構成であってもよい。また、突出部24bにおいて誘導性を向上する構成としては、例えば突出部24bの先端側を下方に傾ける構成等、他の構成を採用してもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、交差部分走行位置P2として、走行台車31のフック52とクランプ部23の被覆部23bとの間に隙間を空けた状態を維持する位置を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。例えば、走行台車31とクランプ部23との間の衝突が回避可能であれば、交差部分走行位置P2は、例えばフック52とクランプ部23とが一部接触する位置であってもよい。
【符号の説明】
【0074】
10 膜部材
11,12 先頭側端部
20 膜部材案内部
21 第1ケーブル
22 第2ケーブル
23 クランプ部
23a 基部
23b 被覆部
24 案内部材
24a 基部
24b 突出部
25 固定部材
26 クランプ部
27 クランプ
30 膜部材駆動部
31 走行台車
32 走行台車駆動部
33 先頭台車
33a 第1先頭台車
33b 第2先頭台車
34 中間台車
35 ワイヤー
36 ワイヤー駆動部
37 プーリ
38 リッジケーブル
39 リッジケーブル駆動部
51 本体部
52 フック
52a 第1溝部
52b 第2溝部
100 屋根装置
101 建築物
102 天井部
103 開口部
103a,103b 内周面
C 交差部分
D1 第1方向
D2 第2方向
P1 ケーブル走行位置
P2 交差部分走行位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16