(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記面領域生成手段は、前記3次元ベースモデルの面領域を時計回りで囲むように連続する前記線分を選択させ、時計回りで連続する前記線分で囲まれた面領域を前記3次元ベースモデル内に生成することを特徴とする請求項1に記載の3次元モデル生成装置。
前記面領域生成手段は、前記時計回りで連続する線分及び前記線分間の計測点が同一基準面上に位置しない場合、前記線分及び前記計測点を前記同一基準面に投影することを特徴とする請求項2に記載の3次元モデル生成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の手法では、3次元計測の専用ソフトウェアを使いこなして、全ての計測点の座標を取得する必要があり、一般ユーザにとって敷居が高い。このため、一般ユーザが使い慣れた一般的なBIM(Building Information Modeling)ソフトウェアに3次元モデルを取り込んで、屋内図面を生成できる手法が要望されている。
【0006】
そこで、本発明は、測量員による測量を行うことなく、一般ユーザが専用ソフトウェアを使用することなく3次元モデルを生成し、生成した3次元モデルを一般的なBIMソフトウェアで利用できる3次元モデル生成装置、そのプログラム及びその方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した課題に鑑みて、本発明に係る3次元モデル生成装置は、屋内の
キュービックパノラマ画像を用いて、前記屋内を表した3次元モデルを生成する3次元モデル生成装置であって、
全天球カメラが撮影した全天球画像を前記キュービックパノラマ画像に変換するキュービックパノラマ画像変換手段と、前記
キュービックパノラマ画像内に設定した計測点を3次元計測することで、前記
キュービックパノラマ画像に対応付けて、前記屋内の3次元形状を表した3次元ベースモデルを生成する3次元ベースモデル生成手段と、前記計測点同士を結ぶ線分を選択させ、選択させた前記線分に基づいて、前記3次元ベースモデル内に前記屋内の面領域を生成する面領域生成手段と、前記3次元ベースモデルの面領域毎に、前記
キュービックパノラマ画像からの切り出し範囲を選択させる切り出し範囲選択手段と、前記
キュービックパノラマ画像から、前記切り出し範囲の画像を切り出す画像切り出し手段と、前記切り出し範囲の画像と前記3次元ベースモデルの面領域とを対応付けることで、前記3次元モデルを生成する3次元モデル生成手段と、を備える構成とした。
【0008】
かかる3次元モデル生成装置によれば、屋内のパノラマ画像から生成した3次元ベースモデルの面領域毎に、このパノラマ画像からの切り出し画像を対応付けることで、3次元モデルを生成する。
【0009】
前記した課題に鑑みて、本発明に係る3次元モデル生成方法は、全天球カメラが、屋内の全天球画像を撮影する全天球画像撮影ステップと、送信装置が、前記全天球画像をクラウドサーバに送信する全天球画像送信ステップと、3次元モデル生成装置が、前記クラウドサーバから前記全天球画像を受信する全天球画像受信ステップと、前記3次元モデル生成装置が、前記全天球画像を、前記屋内の
キュービックパノラマ画像に変換するパノラマ画像変換ステップと、前記3次元モデル生成装置が、前記
キュービックパノラマ画像内に設定した計測点を3次元計測することで、前記
キュービックパノラマ画像に対応付けて、前記屋内の3次元形状を表した3次元ベースモデルを生成する3次元ベースモデル生成ステップと、前記3次元モデル生成装置が、前記計測点同士を結ぶ線分を選択させ、選択させた前記線分に基づいて、前記3次元ベースモデル内に前記屋内の面領域を生成する面領域生成ステップと、前記3次元モデル生成装置が、前記3次元ベースモデルの面領域毎に、前記
キュービックパノラマ画像からの切り出し範囲を選択させる切り出し範囲選択ステップと、前記3次元モデル生成装置が、前記
キュービックパノラマ画像から前記切り出し範囲の画像を切り出す画像切り出しステップと、前記3次元モデル生成装置が、前記切り出し範囲の画像と前記3次元ベースモデルの面領域とを対応付けることで、前記屋内を表した3次元モデルを生成する3次元モデル生成ステップと、を実行する手順とした。
【0010】
かかる3次元モデル生成方法によれば、屋内のパノラマ画像から生成した3次元ベースモデルの面領域毎に、このパノラマ画像からの切り出し画像を対応付けることで、3次元モデルを生成する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、屋内のパノラマ画像から生成した3次元ベースモデルの面領域毎にパノラマ画像からの切り出し画像を対応付ける。これにより、本発明は、測量員による測量を行うことなく、一般ユーザが専用ソフトウェアを使用することなく3次元モデルを生成し、生成した3次元モデルを一般的なBIMソフトウェアで利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[3次元モデル生成システムの概略]
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1を参照し、本発明の実施形態に係る3次元モデル生成システム1の概略について説明する。
【0014】
3次元モデル生成システム1は、全天球カメラ10で屋内を撮影した全天球画像を用いて、屋内の3次元モデルを生成するものである。
図1に示すように、3次元モデル生成システム1は、全天球カメラ10と、送信装置20と、クラウドサーバ30と、3次元モデル生成装置40と、PC(Personal Computer)50とを備える。
【0015】
まず、3次元モデル生成システム1の使用法について簡単に説明する。
撮影担当者は、改修工事等の対象となる建物の屋内に、図示を省略したスケールを配置する。スケール(例えば、クロスロッド)は、長さを表しており、後記する3次元計測に必要である。このスケールは、壁面に沿って鉛直、又は、床面に沿って水平に配置する。次に、撮影担当者は、全天球カメラ10により、全天球画像を撮影する。そして、撮影担当者は、送信装置20を操作して、撮影した全天球画像をクラウドサーバ30にアップロードする。
【0016】
3次元モデル生成装置40のオペレータは、クラウドサーバ30から全天球画像を3次元モデル生成装置40にダウンロードする。次に、オペレータは、3次元モデル生成装置40を操作して、全天球画像をキュービックパノラマ画像(パノラマ画像)に変換する。そして、オペレータは、3次元モデル生成装置40を操作して、キュービックパノラマ画像から、屋内の3次元モデルを生成する。さらに、オペレータは、3次元モデル生成装置40で生成した3次元モデルをクラウドサーバ30にアップロードする。
【0017】
PC50のユーザ(一般ユーザ)は、クラウドサーバ30から3次元モデルをPC50にダウンロードする。そして、一般ユーザは、ダウンロードした3次元モデルをPC50のBIMソフトウェアに取り込んで、屋内図面を生成する。このような手順で、3次元モデル生成システム1は、クラウドサーバ30を介して、3次元モデルを一般ユーザに提供できるので、一般ユーザが専用ソフトウェアを使用する必要がない。
【0018】
[3次元モデル生成システムの構成]
以下、3次元モデル生成システム1の構成について説明する。
全天球カメラ10は、屋内の全天球画像を撮影し、撮影した全天球画像を送信装置20に出力する。例えば、全天球カメラ10は、SDカード等の記録媒体を介して、又は、無線通信を用いて、全天球画像(全天球画像ファイル90)を出力する。
【0019】
図2に示すように、全天球カメラ10は、全天球画像を撮影する全天球カメラ本体11と、全天球カメラ本体11を載置する三脚13と、を備える。また、全天球画像は、
図3に示すように、全天球カメラ本体11を中心として、全周360°、上下180°の全周を撮影した画像である。
【0020】
送信装置20は、全天球カメラ10が撮影した全天球画像をクラウドサーバ30に送信するものである。例えば、送信装置20としては、無線通信、有線通信等の通信機能を有する携帯端末21やPC23をあげることができる。
なお、送信装置20として、携帯端末21又はPC23の一方を備えていればよく、両方を備える必要はない。
【0021】
クラウドサーバ30は、クラウド環境で構築したサーバ群であり、全天球画像及びキュービックパノラマ画像の蓄積、送受信を行うものである。具体的には、クラウドサーバ30は、送信装置20から受信した全天球画像を蓄積し、3次元モデル生成装置40に送信する。また、クラウドサーバ30は、3次元モデル生成装置40から受信した3次元モデルを蓄積し、PC50に送信する。
【0022】
3次元モデル生成装置40は、クラウドサーバ30から受信した全天球画像をキュービックパノラマ画像に変換し、変換したキュービックパノラマ画像を用いて、屋内の3次元モデルを生成するものである。そして、3次元モデル生成装置40は、生成した3次元モデルをクラウドサーバ30に送信する。
なお、3次元モデル生成装置40の詳細は、後記する。
【0023】
PC50は、3次元モデル生成装置40から3次元モデルを受信し、受信した3次元モデルをBIMソフトウェアに取り込んで、屋内図面を生成するものである。例えば、PC50としては、無線通信、有線通信等の通信機能を有し、一般的なBIMソフトウェアがインストールされたコンピュータをあげることができる。
【0024】
[3次元モデル生成装置の構成]
図4を参照し、3次元モデル生成装置40の構成について説明する。
図4に示すように、3次元モデル生成装置40は、画像送受信手段41と、キュービックパノラマ画像変換手段42と、3次元ベースモデル生成手段43と、ポリゴン生成手段(面領域生成手段)44と、切り出し範囲選択手段45と、画像切り出し手段46と、3次元モデル生成手段47と、を備える。
【0025】
画像送受信手段41は、クラウドサーバ30との間で全天球画像及びパノラマ画像を送受信するものである。具体的には、画像送受信手段41は、クラウドサーバ30から全天球画像を受信し、受信した全天球画像をパノラマ画像変換手段42に出力する。また、画像送受信手段41は、3次元モデル生成手段47から入力された3次元モデルを、クラウドサーバ30に送信する。
【0026】
キュービックパノラマ画像変換手段42は、画像送受信手段41から入力された全天球画像をキュービックパノラマ画像に変換するものである。
図3に示すように、全天球画像は、歪んでいるため、3次元モデルの生成に適していない。このため、キュービックパノラマ画像変換手段42は、全天球画像を、歪みのないキュービックパノラマ画像に変換する。
【0027】
図5に示すように、キュービックパノラマ画像は、正六面体の各面(上面、下面、左面、右面、前面、後面)の内側に全天球画像を投影した画像である。例えば、キュービックパノラマ画像は、
図6に示すように、
図5の正六面体の各面内側に全天球画像を貼り付けたものとなる。
図6(a)がキュービックパノラマ画像の前面であり、
図6(b)がキュービックパノラマ画像の右面であり、
図6(c)がキュービックパノラマ画像の左面である。また、
図6(d)がキュービックパノラマ画像の後面であり、
図6(e)がキュービックパノラマ画像の下面であり、
図6(f)がキュービックパノラマ画像の上面である。
【0028】
3次元ベースモデル生成手段43は、キュービックパノラマ画像変換手段42からキュービックパノラマ画像が入力される。そして、3次元ベースモデル生成手段43は、このキュービックパノラマ画像内に設定した計測点を3次元計測することで、パノラマ画像に対応付けて、屋内の3次元形状を表した3次元ベースモデルを生成するものである。
【0029】
具体的には、3次元ベースモデル生成手段43は、キュービックパノラマ画像を水平調整し、水平調整したキュービックパノラマ画像に計測点を設定する。ここでは、3次元ベースモデル生成手段43は、ソフトウェアにより正確に水平調整を行う。
【0030】
次に、3次元ベースモデル生成手段43は、図示を省略したディスプレイ等の表示手段に、
図7に示すように、水平調整されたキュービックパノラマ画像を表示する。すると、オペレータが、図示を省略したマウス、キーボード等の操作手段を介して、
図8に示すように、キュービックパノラマ画像上に計測点Pを設定(入力)する。さらに、オペレータが、操作手段を介して、キュービックパノラマ画像上に、計測点P同士を結ぶ線分を設定する。この線分は、屋内の境界(例えば、床面と壁面の境界)を表す。
【0031】
図8の例では、オペレータは、計測点P1〜P4を屋内のコーナーに設定している。また、オペレータは、計測点P1,P2を結ぶ線分、計測点P2,P3を結ぶ線分、計測点P3,P4を結ぶ線分、及び、計測点P4,P1を結ぶ線分を設定している(太線で図示)。
なお、
図8では、計測点P1〜P4及びこれらの線分を設定する例を図示したが、オペレータは、必要な計測点P及び線分を全て設定することは言うまでもない。
【0032】
そして、3次元ベースモデル生成手段43は、計測点P1〜P4を高さが既知の水平面上へ逆投影することで、水平面上の計測点P1〜P4の座標を3次元計測する。また、3次元ベースモデル生成手段43は、計測済みの計測点P1〜P4の鉛直線上に位置する点をこの鉛直線に逆投影することで、計測点P1〜P4の高さ方向の座標を3次元計測する。そして、3次元ベースモデル生成手段43は、水平面と高さ方向の座標を組み合わせて、計測点P1〜P4の3次元座標を求める。
なお、3次元計測の詳細は、例えば、特開2015−125002号公報に記載されているため、これ以上の説明を省略する。
【0033】
計測点P1〜P4は、キュービックパノラマ画像上に設定されているので、計測点P1〜P4の画像座標が既知である。また、計測点P1〜P4の3次元座標は、3次元計測の際に求められている。つまり、計測点P1〜P4は、キュービックパノラマ画像の画像座標と、3次元ベースモデルの3次元座標とを対応付けている。
【0034】
3次元ベースモデルBMは、
図9に示すように、計測点P、及び、計測点P同士を結ぶ線分で屋内の形状を表したモデルである。つまり、3次元ベースモデルBMは、屋内の形状のみを表しており、形状以外の情報(例えば、床面の材料)を表していない。
【0035】
ポリゴン生成手段44は、計測点P同士を結ぶ線分をオペレータに選択させ、選択させた線分に基づいて、3次元ベースモデルBM内にポリゴンを生成するものである。例えば、ポリゴン生成手段44は、キュービックパノラマ画像及び3次元ベースモデルBMを重ねて表示手段に表示する(
図8参照)。すると、オペレータが、操作手段を介して、3次元ベースモデルBM上で線分を選択する。
【0036】
<線分の選択、ポリゴンの生成>
図10を参照し、ポリゴン生成手段44による線分の選択及びポリゴンの生成を詳細に説明する。
本実施形態では、オペレータが、3次元ベースモデル生成手段43で設定した線分のうち、ポリゴンAの生成に必要な線分Lを全て選択する。このとき、オペレータは、3次元ベースモデルBMのポリゴンを時計回りで囲むように連続する線分Lを選択する。例えば、オペレータが、
図10に示すように、計測点P1,P2を結ぶ線分L1と、計測点P2,P3を結ぶ線分L2とを順に選択する。次に、オペレータは、計測点P3,P4を結ぶ線分L3と、計測点P4,P1を結ぶ線分L4とを順に選択する。これにより、ポリゴン生成手段44は、時計回りの線分L1〜L4で囲まれる面領域をポリゴンAとして生成する。
【0037】
なお、最初に線分L1を選択する例で説明したが、時計回りで連続していれば、線分L2,L3,L4の何れを最初に選択してもよい。
また、ポリゴン生成手段44は、線分L4〜L1のように線分Lの選択順が反時計回りの場合、その選択を受け付けない。さらに、ポリゴン生成手段44は、線分L1,L3,L2,L4のように線分Lが不連続な場合、又は、線分L1,L2のように線分Lが特定の領域を囲んでいない場合、その選択を受け付けない。
また、ポリゴン生成手段44は、連続する線分Lが3本以下の場合、つまり、線分Lで囲まれる領域が三角形の場合も、その選択を受け付けない。一方、ポリゴン生成手段44は、連続する線分Lが4本以上の場合、その選択を受け付ける。
【0038】
各ポリゴンAは、そのポリゴンAを一意に識別する識別情報(例えば、‘100’,‘101’)が付加される。また、ポリゴンAは、
図11(a)に示すように、4本以上の線分Lの組み合わせで表現できる。例えば、ポリゴンA1は、線分L1〜L4の組み合わせで表現できる。ここで、ポリゴンAは、表面及び裏面があり、線分Lが時計回りで選択された順で表面となる。例えば、ポリゴンA1は、線分L1〜L4の順で並ぶ側が表面となる。また、ポリゴンAの表面には、後記する切出し画像を対応付ける(貼り付ける)ことができる。このように、3次元ベースモデルBMは、ポリゴンAの組み合わせにより、屋内の形状を表現できる。
【0039】
<ポリゴンの投影>
図12を参照し、ポリゴン生成手段44によるポリゴンAの投影を詳細に説明する。
図12(a)に示すように、ポリゴンAは、3次元計測の誤差に起因して、計測点P及び線分Lが同一基準面上に位置しない場合がある。ここで、基準面とは、鉛直面(
図12のX−Y平面)、又は、水平面(
図12のX−Z平面)のことである。
図12(a)では、計測点P2及び線分L1,L2が、基準面である鉛直面上に位置していない。この場合、ポリゴン生成手段44は、計測点P2の座標を参照し、計測点P2が鉛直面上に位置しないと判定する。そして、ポリゴン生成手段44は、
図12(b)に示すように、鉛直面上に位置しないと判定した計測点P2及び計測点P2を端点とする線分L1,L2を、鉛直面上に投影する。
なお、
図12は、図面を見やすくするため、3次元ベースモデルBMのみ図示し、キュービックパノラマ画像の図示を省略した。
【0040】
図4に戻り、3次元モデル生成装置40の構成について、説明を続ける。
切り出し範囲選択手段45は、オペレータに、3次元ベースモデルBMのポリゴン毎に、パノラマ画像からの切り出し範囲を選択させるものである。例えば、切り出し範囲選択手段45は、キュービックパノラマ画像及び3次元ベースモデルBMを重ねて表示手段に表示する。すると、オペレータが、操作手段を介して、切り出し範囲となるポリゴンを3次元ベースモデルBM上で選択する。このとき、オペレータは、必要なポリゴンを全て選択することは言うまでもない。
【0041】
画像切り出し手段46は、切り出し範囲選択手段45から入力された切り出し範囲の画像を、キュービックパノラマ画像から切り出すものである。
前記したように、計測点Pは、3次元ベースモデルBMの3次元座標と、キュービックパノラマ画像の画像座標とを対応付けている。従って、画像切り出し手段46は、
図11(b)に示すように、切り出し範囲として選択したポリゴンAを構成する計測点P1〜P4の画像座標を求める。そして、画像切り出し手段46は、計測点P1〜P4の画像座標で特定される切り出し範囲の画像をキュービックパノラマ画像から切り出す。
【0042】
<切り出し範囲の変形>
図13を参照し、画像切り出し手段46による切り出し範囲の変形を詳細に説明する。
図13(a)に示すように、切り出し範囲が5辺以上の場合もある。この場合、画像切り出し手段46は、
図13(b)に示すように、切り出し範囲を、この切り出し範囲に外接する四角形状に変換する。そして、画像切り出し手段46は、四角形状に変換した切り出し範囲の画像を、キュービックパノラマ画像から切り出す。
【0043】
ここで、
図13(a)の切り出し範囲が床面に対応する場合、四角形状に変形するときに拡張した領域Bには、3次元ベースモデルBMで床面以外の構造物(例えば、柱)が存在している。つまり、この床面以外の構造物は、別の切り出し範囲の画像に含まれている。このため、画像切り出し手段46は、拡張した領域Bの部分を使用しない。
【0044】
図4に戻り、3次元モデル生成装置40の構成について、説明を続ける。
3次元モデル生成手段47は、画像切り出し手段46から入力された切り出し画像と、3次元ベースモデル生成手段43から入力された3次元ベースモデルBMのポリゴンとを対応付けることで、屋内の3次元モデルM(
図14)を生成するものである。この3次元モデルMは、
図14に示すように、3次元ベースモデルBM、各ポリゴンの画像ファイル、及び、画像配置場所ファイルで構成されている。
【0045】
前記したように、3次元ベースモデルBMのポリゴンと、キュービックパノラマ画像の切り出し範囲とは、計測点Pで対応付けられている。そこで、3次元モデル生成手段47は、
図14に示すように、3次元ベースモデルBMにおける屋内の壁と、その壁の切り出し画像とを対応付ける。さらに、3次元モデル生成手段47は、壁と同様、3次元ベースモデルBMにおける床や天井と、床や天井の切り出し画像とを対応付ける。その後、3次元モデル生成手段47は、壁、床、天井等の各ポリゴンに対応した画像ファイル(例えば、‘壁.jpg’)の配置場所を表す画像配置場所ファイルを生成する。
【0046】
以上のように、本発明の実施形態に係る3次元モデル生成装置40は、屋内の全天球画像をキュービックパノラマ画像に変換し、変換したキュービックパノラマ画像から3次元ベースモデルBMを生成する。そして、3次元モデル生成装置40は、生成した3次元ベースモデルBMのポリゴン毎に、キュービックパノラマ画像からの切り出し画像を対応付けることで、3次元モデルMを生成する。このように、3次元モデル生成装置40は、測量員による測量を行う必要がなく、測量員の手配や測量作業の時間調整が不要となり、短時間、低コストで3次元モデルMを生成できる。
【0047】
さらに、3次元モデル生成装置40は、従来の専用ソフトウェアのように、全ての計測点の座標を取得するときの出戻り作業が発生せず、3次元モデルMを効率よく生成できる。
【0048】
[3次元モデル生成システムの動作]
図15を参照し、3次元モデル生成システム1の動作について説明する(適宜
図4参照)。
全天球カメラ10は、屋内の全天球画像を撮影し(ステップS1:全天球画像撮影ステップ)、撮影した全天球画像を送信装置20に出力する(ステップS2)。
送信装置20は、ステップS2で入力された全天球画像をクラウドサーバ30に送信する(ステップS3:全天球画像送信ステップ)。
【0049】
3次元モデル生成装置40の画像送受信手段41は、クラウドサーバ30から全天球画像を受信する(ステップS4:全天球画像受信ステップ)。
3次元モデル生成装置40のキュービックパノラマ画像変換手段42は、ステップS4で受信した全天球画像をキュービックパノラマ画像に変換する(ステップS5:パノラマ画像変換ステップ)。
【0050】
3次元モデル生成装置40の3次元ベースモデル生成手段43は、キュービックパノラマ画像上に計測点P及び線分を設定し、設定した計測点Pを3次元計測することで、屋内の3次元ベースモデルBMを生成する(ステップS6:3次元ベースモデル生成ステップ)。
3次元モデル生成装置40のポリゴン生成手段44は、オペレータに、計測点P同士を結ぶ線分Lを選択させ、選択された線分Lに基づいて、3次元ベースモデルBM内にポリゴンを生成する(ステップS7:ポリゴン生成ステップ)。
【0051】
3次元モデル生成装置40の切り出し範囲選択手段45は、オペレータに、3次元ベースモデルBMのポリゴン毎に切り出し範囲を選択させる(ステップS8:切り出し範囲選択ステップ)。
3次元モデル生成装置40の画像切り出し手段46は、キュービックパノラマ画像から、ステップS8で選択された切り出し範囲の画像を切り出す(ステップS9:画像切り出しステップ)。
【0052】
3次元モデル生成装置40の3次元モデル生成手段47は、ステップS9で切り出した画像と、ステップS7で生成した3次元ベースモデルBMのポリゴンとを対応付けることで、屋内の3次元モデルMを生成する(ステップS10:3次元モデル生成ステップ)。
3次元モデル生成装置40の画像送受信手段41は、ステップS10で生成した3次元モデルMをクラウドサーバ30に送信する(ステップS11)。
【0053】
PC50は、クラウドサーバ30から3次元モデルMを受信する(ステップS12)。
PC50は、ステップS12で受信した3次元モデルMをBIMソフトウェアに取り込んで、屋内図面を生成する(ステップS13)。
【0054】
以上のように、本発明の実施形態に係る3次元モデル生成システム1は、屋内の全天球画像をキュービックパノラマ画像に変換し、変換したキュービックパノラマ画像から3次元ベースモデルBMを生成する。そして、3次元モデル生成システム1は、生成した3次元ベースモデルBMのポリゴン毎に、キュービックパノラマ画像からの切り出し画像を対応付けて3次元モデルMを生成する。このように、3次元モデル生成システム1は、測量員による測量を行う必要がなく、測量員の手配や測量作業の時間調整が不要となり、短時間、低コストで3次元モデルMを生成できる。
【0055】
さらに、3次元モデル生成システム1は、一般ユーザが専用ソフトウェアを使用することなく、3次元モデル生成装置40で3次元モデルを生成し、生成した3次元モデルをPC50のBIMソフトウェアに取り込んで利用することができる。
【0056】
さらに、3次元モデル生成システム1は、全天球画像の撮影から、3次元モデルMの生成及び屋内図面の生成までの一連の作業を簡易、かつ、短時間で行う仕組みを提供できる。
さらに、3次元モデル生成システム1は、クラウドサーバ30を介して、セキュアな環境下で全天球画像及び3次元モデルMを送受信できるので、安全性に優れる。
さらに、3次元モデル生成システム1は、全天球画像を短時間で撮影できるので、屋内で長時間に及ぶ測量作業を行う必要がなく、利便性に優れる。
【0057】
[変形例]
以上、本発明の実施形態を詳述してきたが、本発明は前記した実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
前記した実施形態では、3次元モデルを納品先に送信することとして説明したが、3次元モデルの送信先は、特に限定されない。
【0058】
前記した実施形態において、3次元モデル生成装置は、ポリゴンの編集、削除及び分割を行ってもよい。例えば、オペレータは、ポリゴンの編集作業として、ポリゴンの節点(計測点)を移動、追加又は削除することができる。
【0059】
前記した実施形態において、3次元モデル生成装置は、生成した3次元モデルを表示手段に表示してもよい。これにより、オペレータが、生成した3次元モデルを確認できるので、利便性に優れる。
【0060】
前記した実施形態では、3次元モデル生成装置を独立したハードウェアとして説明したが、本発明は、これに限定されない。例えば、3次元モデル生成装置は、コンピュータが備えるCPU、メモリ、ハードディスク等のハードウェア資源を、前記した各手段として協調動作させる3次元モデル生成プログラムで実現することもできる。このプログラムは、通信回線を介して配布してもよく、CD−ROMやフラッシュメモリ等の記録媒体に書き込んで配布してもよい。