(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、発光装置について説明する。ただし、本発明は図面または以下に記載される実施形態には限定されないことを理解されたい。
【0016】
図1は、照明装置1の正面図である。照明装置1は、例えば照明用の投光器として利用可能な装置であり、一例として、
図1に示すように、筐体3と、その楕円形の発光面上に配置された4個の発光装置2とを有する。照明装置1の発光面および発光装置2は、図示した楕円形に限らず、矩形などの他の形状であってもよく、発光装置2の個数も4個以外であってもよい。また、照明装置1は、図示した発光面とは反対側である裏面側に、発光装置2で発生した熱の放出を促進させるためのヒートシンク(例えば放熱フィンなど)を有する。図示しないが、発光装置2とヒートシンクの間には、適当なスペーサを配置してもよい。
【0017】
図2(A)および
図2(B)は、それぞれ、発光装置2の上面図および側面図である。発光装置2は、基板10と、基板10の上面に形成された複数の発光部20と、複数の発光部20の上に配置されたレンズアレイ40とを有する。後述するように、レンズアレイ40は8個のレンズを有し、符号41はこのレンズを示している。
【0018】
基板10は、例えば、セラミックスで構成された絶縁基板であり、長軸、短軸の長さがそれぞれ20cm程度、10cm程度の楕円の形状を有する。基板10は、
図1に示した発光装置2の筐体3に固定されている。
【0019】
発光部20は、共通の基板である基板10上に間隔を空けて複数形成され、それぞれが独立し、楕円形の基板10の外周に沿って均等に配置されている。後述するように、個々の発光部20は複数のLED素子を有し、各発光部20が1つの素子グループを形成している。図示した例では発光装置2は8個の発光部20を有するが、発光装置内の発光部20の個数は特に限定されず、それらの配置も図示したものとは異なっていてもよい。
【0020】
図3は、レンズアレイ40の上面図である。レンズアレイ40は、複数のレンズ41が一体に形成されたレンズの集合体であり、図示した例では、発光装置2内の発光部20の個数と同じ8個のレンズ41を有する。レンズアレイ40の端部は、
図1に示した発光装置2の筐体3に固定されている。
図2(B)に示すように、各レンズ41の光軸Zは、基板10の法線方向に一致している。各レンズ41は、各発光部20に対応して基板10上の発光部20と同じ配置で設けられており、例えば同じ形状および大きさを有する。各レンズ41は、対応する発光部20からの出射光を集光して、基板10から充分に離れた位置で複数の発光部20からの出射光が重なって照射されるように設計されている。
【0021】
図4は、レンズアレイ40を除いた発光装置2の上面図である。
図4では、便宜的に、図の中央上側に配置された発光部20を「発光部20
1」として、そこから時計回りに、各発光部20を「発光部20
2〜20
8」と示している。なお、符号16で示す小さな円は、基板10を筐体3に固定するためのねじ穴であり、符号17で示す四角は、基板10の貫通孔である。
【0022】
また、
図5(A)および
図5(B)は、それぞれ、発光部20の上面図および断面図である。
図5(B)は、
図5(A)のVB−VB線に沿った発光部20の切断面を示す。発光装置2における8個の発光部20はいずれも同一の構成を有し、
図5(A)および
図5(B)では、それらのうちの1個を拡大して示している。各発光部20は、互いに異なる色で発光する4つの発光領域21R,21G,21B,21A(
図4を参照)を有し、これらの発光領域の構成要素として、ダム材22と、封止樹脂23R,23G,23B,23Aと、LED素子31〜34とを有する。
【0023】
図4および
図5(A)に示すように、ダム材22により分割され、封止樹脂23R,23G,23B,23Aにより覆われた4つの領域が、発光領域21R,21G,21B,21Aにそれぞれ相当する。発光領域21R,21G,21B,21Aは、いずれも中心角が90度の扇形であり、これらの扇形により1つの円形の発光領域が構成される。発光領域21Rは赤色(R)に、発光領域21Gは緑色(G)に、発光領域21Bは青色(B)に、発光領域21Aはアンバー色(A)にそれぞれ発光する。以下で説明するように、基板10には、これらの発光領域にそれぞれ対応する電極が別々に設けられており、各発光部20の4つの発光領域は互いに独立に発光可能である。このため、発光装置2では、1色ごとの発光も可能であり、4色すべてを発光させれば白色光が得られる。また、各発光領域に流れる電流を調整することにより、全体の発光色の調整も可能である。
【0024】
ダム材22は、発光領域21R,21G,21B,21Aの境界となり、封止樹脂23R,23G,23B,23Aの流出しを防止するための枠体である。ダム材22は、例えば白色の樹脂で構成され、基板10の上面に固定されている。ダム材22は、発光部20の外周側の境界となる円環部分と、その円の中心を通りその円を4等分する2本の直線部分とを有し、基板10上に実装されたLED素子31〜34を取り囲んでいる。2本の直線部分の長さは、いずれも円の直径と同じである。ダム材22は、例えば、その表面に反射性のコーティングが施されることにより、LED素子31〜34から側方に出射された光を、発光部20の上方(LED素子31〜34から見て基板10とは反対側)に向けて反射させる。なお、
図5(A)では、ダム材22が透明であるとして図示している。
【0025】
LED素子31〜34は、発光素子の一例であり、例えば、窒化ガリウム系化合物半導体などで構成された、発光波長帯域が450〜460nm程度の青色光を出射する青色LEDである。LED素子31〜34は、それぞれ、発光領域21R,21G,21B,21Aに対応する基板10上の領域に、発光面を基板10とは反対側に向けて実装されている。図示した例では、発光領域21Rに20個のLED素子31が、発光領域21Gに20個のLED素子32が、発光領域21Bに20個のLED素子33が、発光領域21Aに20個のLED素子34が、それぞれ実装されている。LED素子31〜34の下面は、例えば透明な絶縁性の接着剤などにより、基板10の上面に固定されている。
【0026】
LED素子31〜34は上面に一対の素子電極を有し、
図5(B)に示すように、隣接するLED素子31〜34の素子電極は、ボンディングワイヤ35(以下、単にワイヤ35という)により相互に電気的に接続されている。LED素子31〜34は、各発光部20において1列(20段)に直列接続されている。ただし、各発光部20におけるLED素子31〜34はそれぞれ直並列接続されていてもよい。例えば、各発光部20におけるLED素子31〜34は、5個ずつ直列に接続され、その4組がさらに基板10上の配線パターンに並列に接続されていてもよい。これにより、各LED素子31〜34にはワイヤ35を介して電流が供給される。なお、
図5(A)では、簡単のため、ワイヤ35の図示を省略している。
【0027】
各発光部20におけるLED素子31〜34の個数は特に限定されず、高い光量を得るために、各発光部20はより多数のLED素子31〜34を有してもよい。また、1つの発光部20に含まれるLED素子31〜34の個数は、すべての発光部20で同じでもよいし、発光部20ごとに異なっていてもよい。各発光部20におけるLED素子31〜34の直列数および並列数も、すべての発光部20および発光領域21R,21G,21B,21Aで同じでもよいし、発光部または発光領域ごとに異なっていてもよい。
【0028】
図5(A)では、LED素子31〜34を白色の四角と黒色の四角で示している。同じ色の四角で示されたLED素子31〜34は、そのLED素子の素子電極の配列方向がすべて同じである。一方、白色の四角で示されたLED素子31〜34と、黒色の四角で示されたLED素子31〜34とは、そのLED素子の素子電極の配列方向が90度ずれている。すなわち、白色の四角で示されたLED素子31〜34は、黒色の四角で示されたLED素子31〜34に対して、基板10上で90度回転して実装されている。
図5(A)では、白色の四角と黒色の四角の分布は、発光部20の中心を通る図中縦方向の直線Yに関して線対称である。言い換えると、各発光部20において、基板10上の基準方向(例えば、楕円の長軸方向または短軸方向など)に対する基板10の上面内での実装角度が異なるLED素子31〜34は、直線Yに関して線対称に分布している。
【0029】
また、
図5(A)に示すように、各発光部20のLED素子31〜34は、ダム材22の直線部分の中央を通る2直線、すなわち、発光部20の中心を通り基板10の上面内で互いに直交する2直線X,Yに関して線対称に配置されている。さらに、発光部20では、LED素子31〜34の配置は、その発光部20の中心に関して90度回転対称でもある。このように、各発光部20のLED素子31〜34の配置および実装角度の分布が対称性を有することにより、発光装置2の製造時におけるLED素子31〜34の実装工程が容易になる。
【0030】
封止樹脂23R,23G,23B,23Aは、それぞれ、基板10上でダム材22により囲まれる領域に充填されて、対応する発光領域21R,21G,21B,21AにおけるLED素子31〜34とワイヤ35の全体を一体に被覆し保護(封止)する。封止樹脂23R,23G,23B,23Aとしては、例えば、エポキシ樹脂またはシリコーン樹脂などの無色かつ透明な樹脂を、特に250℃程度の耐熱性がある樹脂を使用するとよい。
【0031】
封止樹脂23Rは、例えば、LED素子31からの青色光を吸収して赤色に発光するCaAlSiN
3:Eu
2+などの赤色蛍光体を含有する。これにより、発光領域21Rは、例えば620〜750nmの波長域の赤色光を出射する。封止樹脂23Gは、例えば、LED素子32からの青色光を吸収して緑色に発光する(BaSr)
2SiO
4:Eu
2+などの緑色蛍光体を含有する。これにより、発光領域21Gは、例えば500〜570nmの波長域の緑色光を出射する。
【0032】
封止樹脂23Bは、青色に発光する発光領域21Gの封止樹脂である。LED素子33が青色LEDであることから、封止樹脂23Bは蛍光体を含有しない透明樹脂であってもよい。発光領域21Bは、例えば450〜490nmの波長域の青色光を出射する。
【0033】
封止樹脂23Aは、アンバー色に発光する発光領域21Aの封止樹脂である。アンバー色の波長域は黄色の長波長領域と黄赤の短波長領域に跨っているため、封止樹脂23Aは、例えば黄色蛍光体と赤色蛍光体を含有する。黄色蛍光体は、例えば、LED素子34からの青色光を吸収して黄色に発光するYAG(Yttrium Aluminum Garnet)などの蛍光体である。これにより、発光領域21Aは、例えば580〜600nmの波長域のアンバー色の光を出射する。なお、封止樹脂23Aは、黄色蛍光体と赤色蛍光体に替えて、アンバー色の1種類の蛍光体か、緑色蛍光体と赤色蛍光体の2種類を含有してもよい。上記した3通りのいずれでも、アンバー発光を実現することができる。
【0034】
なお、1つの封止樹脂が複数種類の蛍光体を含有してもよいし、発光部20ごとに封止樹脂23R,23G,23B,23Aが異なる種類の蛍光体を含有してもよい。
【0035】
図6は、基板10上の電極パターンを示す平面図である。各発光部20は、4個の個別電極11R,11G,11B,11Aと、共通電極12とを有し、これらは基板10の上面に形成されている。
【0036】
個別電極11R,11G,11B,11Aは、発光領域21R,21G,21B,21Aにそれぞれ対応して設けられている。個別電極11R,11G,11B,11Aは、各発光部20における発光領域21R,21G,21B,21Aにそれぞれ対応するダム材22の円弧部分の下から、基板10の中央における矩形の貫通孔17の付近に引き出されている。一方、共通電極12は、発光領域21R,21G,21B,21Aに共通である。共通電極12は、各発光部20におけるダム材22の直線部分の下を十字に延び、そこから基板10の中央における貫通孔17の付近に引き出されている。
【0037】
個別電極11R,11G,11B,11Aはアノード電極に、共通電極12はカソード電極にそれぞれ相当する。基板10の貫通孔17の部分を外部電源に接続することにより、各発光部20のLED素子31〜34に電流が供給されて、各発光部20の発光領域21R,21G,21B,21Aが発光する。
【0038】
発光領域21R,21G,21B,21Aを互いに独立に発光可能にするためには最大8系統の電極が必要であるが、発光部および発光領域の個数が多くなると、必要な電極を基板10の片面にすべて配線することは難しくなる。このため、発光装置2では、4つの発光領域21R,21G,21B,21Aのカソード電極を1つの共通電極12にまとめる(カソードコモンにする)ことにより、電極数を5系統に減らしている。
【0039】
なお、
図4と
図6を比べると分かるように、個別電極11R,11G,11B,11Aと共通電極12は、各発光部20の周囲における一部を除いて、レジスト13により被覆され、隠れている。各発光部20の周囲では、個別電極11R,11G,11B,11Aと共通電極12は、それぞれ、検査用端子14R,14G,14B,14A,15として、基板10上に露出している。検査用端子14R,14G,14B,14A,15は、発光領域21R,21G,21B,21Aの動作(点灯)を確認するためのものである。発光装置2では、短絡用素子を実装しない状態で、検査用端子14R,14G,14B,14Aと検査用端子15との間に電源を接続することにより、1つの発光部20の1つの発光領域だけを点灯させることも可能である。
【0040】
次に、
図4を参照して、各発光部20の発光領域21R,21G,21B,21Aの配置について説明する。
【0041】
図4に示すように、各発光部20における発光領域21R,21G,21B,21Aの形状は、いずれも中心角が90度の同じ扇形であり、その発光部20の中心に関して回転対称である。発光装置2では、発光部20ごとに、基板10の上面内の基準方向(例えば、楕円の長軸方向または短軸方向など)に対する発光領域21R,21G,21B,21Aの配置角度が異なる。言い換えると、
図4における上側中央の発光部20
1に対して、その右隣の発光部20
2では、発光領域21R,21G,21B,21Aが時計回りに90度回転している。また、発光部20
2に対して、図の右端の発光部20
3では、発光領域21R,21G,21B,21Aが時計回りに90度回転している。これは発光部20
3〜20
8についても同様であり、発光装置2では、基板10の上面内における各発光部20の発光領域21R,21G,21B,21Aの配置角度が90度ずつ異なる。
【0042】
各発光部20の発光領域21R,21G,21B,21Aの配置角度は、発光部20
1を基準にすると、0度、90度、180度および270度の4通りである。発光装置2では1つの発光部20が4つの発光領域を有するため、発光部20同士の発光領域の配置角度は、「360度/4=90度」の整数倍だけ異なる。このため、発光部20
1と発光部20
5、発光部20
2と発光部20
6、発光部20
3と発光部20
7、および発光部20
4と発光部20
8は、発光領域の配置角度が同じである。隣接する発光部20同士の発光領域21R,21G,21B,21Aが互いに90度回転対称であることにより、発光装置2では、基準方向に対するすべての発光部20の発光領域の配置を同じにした場合と比べて、各発光領域を一括で発光させたときの混色性が改善される。
【0043】
上記の通り、基板10の上面内の基準方向に対する各発光領域の配置角度は、必ずしもすべての発光部について互いに異なっていなくてもよく、一部の発光部の配置角度は同じであってもよい。また、発光部20同士の配置角度の差を90度よりも小さくして、すべての発光部について配置角度を互いに異ならせてもよい。
【0044】
図7は、別の発光装置2aの上面図である。また、
図8は、発光装置2aにおける発光部20aの上面図である。発光装置2aは、1つの発光部20aにおける発光領域の個数が発光装置2の場合よりも1つ少ない3個である点が発光装置2と異なるが、その他の点では発光装置2と同じ構成を有する。このため、以下では、発光装置2aについて、発光装置2とは異なる点を中心に説明し、発光装置2と重複する説明は省略する。なお、
図7でも、レンズアレイ40の図示を省略している。
【0045】
図7および
図8に示すように、発光装置2aでは、ダム材22aにより分割され、封止樹脂23R,23G,23Bにより覆われた3つの領域が、発光領域21R,21G,21Bにそれぞれ相当する。発光領域21R,21G,21Bは、いずれも中心角が120度の扇形であり、これらの扇形により1つの円形の発光領域が構成される。発光領域21Rは赤色(R)に、発光領域21Gは緑色(G)に、発光領域21Bは青色(B)にそれぞれ発光する。発光装置2aでも、基板10には、発光領域21R,21G,21Bにそれぞれ対応する3個の個別電極11R,11G,11Bと、これらの発光領域に共通の1個の共通電極12とが設けられており、各発光部20の3つの発光領域は互いに独立に発光可能である。発光装置2aでは、発光領域21R,21G,21Bのすべてを発光させれば白色光が得られる。
【0046】
ダム材22aは、発光領域21R,21G,21Bの境界となる枠体であり、発光部20aの外周側の境界となる円環部分と、その円の中心を通りその円を3等分する3本の直線部分とを有する。3本の直線部分の長さは、いずれも円の半径と同じである。なお、
図8では、ダム材22aが透明であるとして図示している。
【0047】
LED素子31〜33は、例えば発光装置2のものと同じ青色LEDであり、それぞれ、発光部20においてダム材22aにより3分割され、発光領域21R,21G,21Bに対応する基板10上の領域に実装されている。図示した例では、発光領域21Rに30個のLED素子31が、発光領域21Gに30個のLED素子32が、発光領域21Bに30個のLED素子33が、それぞれ実装されている。LED素子31〜33は、各発光部20aにおいてそれぞれ直並列接続されており、例えば、15個ずつ直列に接続され、その2組がさらに基板10上の配線パターンに並列に接続されている。すなわち、15段の直列接続回路が2つ並列接続されている。なお、
図8では、簡単のため、LED素子31〜33同士を接続するワイヤの図示を省略している。
【0048】
図8では、
図5(A)と同様に、LED素子の素子電極の配列方向が同じLED素子31〜33を同じ色の四角で示している。白色の四角で示されたLED素子31〜33は、黒色の四角で示されたLED素子31〜33に対して、基板10上で90度回転して実装されており、素子電極の配列方向が90度ずれている。各発光部20aでは、基板10上のある基準方向に対する基板10の上面内での実装角度が異なるLED素子31〜33は、その発光部20aの中心を通る
図8の直線Yに関して線対称に分布している。また、
図8に示すように、各発光部20aのLED素子31〜33は、直線Yに関して線対称に配置されている。
【0049】
図9は、発光部20aにおけるLED素子31〜33の配置の変形例を示す図である。発光装置2aの発光部20aは、
図9に示す発光部20a’のようにLED素子31〜33が配置されたものであってもよい。発光部20a’では、発光領域21R,21G,21BにおけるLED素子31〜33の配置は、それぞれ、発光部20a’の中心に関して120度回転対称の関係にある。また、発光部20a’では、LED素子31〜33の実装角度の分布も、発光部20a’の中心に関して120度回転対称の関係にある。
【0050】
発光装置2aでも、個別電極11R,11G,11Bは、各発光部20aにおける発光領域21R,21G,21Bにそれぞれ対応するダム材22aの円弧部分の下から、基板10の中央における矩形の貫通孔17の付近に引き出されている。一方、共通電極12は、各発光部20aにおけるダム材22aの直線部分の下をY字状に延び、そこから基板10の中央における貫通孔17の付近に引き出されている。発光装置2aでは、3つの発光領域21R,21G,21Bのカソード電極を1つの共通電極12にまとめることにより、電極数を4系統に減らしている。また、
図7に示すように、発光装置2aでも、各発光部20aの周囲では、個別電極11R,11G,11Bと共通電極12の一部は、それぞれ、発光領域21R,21G,21Bの動作(点灯)を確認するため検査用端子14R,14G,14B,15として、基板10上に露出している。
【0051】
図7に示すように、各発光部20aにおける発光領域21R,21G,21Bの形状は、いずれも中心角が120度の同じ扇形であり、その発光部20aの中心に関して回転対称である。発光装置2aでも、発光装置2と同様に、基板10の上面内のある基準方向に対する各発光部20aの発光領域21R,21G,21Bの配置角度が120度ずつ異なる。各発光部20aの発光領域21R,21G,21Bの配置角度は、0度、120度および240度の3通りである。発光装置2aでは1つの発光部20が3つの発光領域を有するため、発光部20a同士の発光領域の配置角度は、「360度/3=120度」の整数倍だけ異なる。このため、8個の発光部20aのうちの一部は、発光領域の配置角度が同じである。発光装置2aでも、基準方向に対するすべての発光部20aの発光領域の配置を同じにした場合と比べて、各発光領域を一括で発光させたときの混色性が改善される。
【0052】
図10は、さらに別の発光装置2bの上面図である。発光装置2bは、1つの発光部20bにおける発光領域の個数が発光装置2,2aの場合よりも少ない2個である点が発光装置2,2aと異なるが、その他の点では発光装置2,2aと同じ構成を有する。このため、以下では、発光装置2bについて、発光装置2,2aとは異なる点を中心に説明し、発光装置2,2aと重複する説明は省略する。なお、
図10でも、レンズアレイ40の図示を省略している。
【0053】
図10に示すように、発光装置2bでは、ダム材22bにより分割され、封止樹脂23W,23Cにより覆われた2つの領域が、発光領域21W,21Cにそれぞれ相当する。発光領域21W,21Cは、いずれも中心角が180度の扇形(半円形)であり、これらの扇形により1つの円形の発光領域が構成される。発光領域21Wは暖色(色温度3500K)に、発光領域21Cは寒色(色温度6500K)にそれぞれ発光する。発光装置2bでも、基板10には、発光領域21W,21Cにそれぞれ対応する2個の個別電極11W,11Cと、これらの発光領域に共通の1個の共通電極12とが設けられている。各発光部20bの周囲では、個別電極11W,11Cと共通電極12の一部は、それぞれ検査用端子14W,14C,15として、基板10上に露出している。発光装置2bでは、各発光部20bの2つの発光領域は互いに独立に発光可能であり、これらの両方を発光させれば白色の色温度を調整することができる。
【0054】
ダム材22bは、発光領域21W,21Cの境界となる枠体であり、発光部20bの外周側の境界となる円環部分と、その円の中心を通りその円を2等分する1本の直線部分とを有する。直線部分の長さは、円の直径と同じである。
【0055】
封止樹脂23W,23Cは、それぞれ、基板10上でダム材22bにより囲まれる領域に充填されて、対応する発光領域21W,21CにおけるLED素子とそれらを接続するワイヤの全体を一体に被覆し保護(封止)する。封止樹脂23W,21Cは、比率が調整された緑色蛍光体および赤色蛍光体を含有する。
【0056】
図10に示すように、発光装置2bでも、発光装置2,2aと同様に、基板10の上面内のある基準方向に対する各発光部20bの発光領域21W,21Cの配置角度が180度ずつ異なる。各発光部20bの発光領域21W,21Cの配置角度は、0度および180度の2通りである。発光装置2bでは1つの発光部20が2つの発光領域を有するため、発光部20b同士の発光領域の配置角度は、「360度/2=180度」の整数倍だけ異なる。発光装置2bでも、基準方向に対するすべての発光部20bの発光領域の配置を同じにした場合と比べて、各発光領域を一括で発光させたときの混色性が改善される。
【0057】
なお、アンバーの発光領域21Aは、黄色などの他の色の発光領域に替えてもよい。また、例えば、1つの発光部に、RGBなどの可視光の発光部に加えて、赤外線などの可視光以外の光を出射する発光領域を設けてもよい。また、例えば、1つの発光部に、RGBの3つの発光領域に加えて、イエロー(Y),マゼンダ(M)およびシアン(C)の光をそれぞれ出射する3つの発光領域を設けて、発光部1つ当たりの発光領域の個数を6個にしてもよい。これらの場合でも、発光部ごとの発光領域と同じ個数(n個)の個別電極と、1つの共通電極とを基板上に設けて、電極を(n+1)系統にすることが可能である。また、これらの場合でも、発光部間で基板10の上面内の基準方向に対する発光領域の配置角度を異ならせることにより、その基準方向に対するすべての発光部の発光領域の配置を同じにした場合と比べて、各発光領域を一括で発光させたときの混色性が改善される。
【0058】
なお、発光部20,20a,20bでは、すべての発光領域が同じ形状かつ同じ面積を有しているが、発光部内の発光領域ごとに形状および面積は互いに異なっていてもよい。例えば、発光部20における4つの発光領域21R,21G,21B,21Aの外周側に、それらに隣接する円環状の発光領域をさらに設けてもよい。この場合、その円環状の発光領域を、ダム材によりさらにRGBAの4つの発光領域に区分けしてもよい。
【0059】
また、基板10は、楕円形状のものに限らず、矩形であってもよい。矩形の基板を用いる場合には、例えばその基板の一辺の方向を基準方向として、発光部間でその基準方向に対する発光領域の配置角度を異ならせればよい。
【0060】
なお、基板10は、金属基板の上に絶縁性の回路基板を貼り合わせて構成してもよい。この場合、回路基板上で、各発光部20,20a,20bに相当する部分に開口部を設けて、LED素子31〜34を金属基板の上面に直接実装することが好ましい。金属基板を耐熱性および放熱性に優れたアルミニウムまたは銅などで構成すれば、金属基板は発光部20,20a,20bで発生した熱を放熱させる放熱基板として機能する。
【0061】
また、発光装置2,2a,2bでは、製造を容易にし、かつ信頼性を向上させるために、LED素子31〜34としてすべて同じ発光波長の素子を使用し、各封止樹脂に異なる種類の蛍光体を分散混入させることにより、発光部ごとに異なる色を得ている。ただし、LED素子31〜34として、発光波長が互いに異なる素子を使用してもよい。例えば、LED素子31は赤色光を発する赤色LEDであってもよく、この場合、封止樹脂23Rは赤色蛍光体を含有しなくてもよい。また、LED素子32は緑色光を発する緑色LEDであってもよく、この場合、封止樹脂23Gは緑色蛍光体を含有しなくてもよい。また、LED素子33は、紫外LED素子などの青色光以外の光を発する素子であってもよく、この場合、封止樹脂23Bは、LED素子33からの光を吸収して青色に発光するBaMgAl
10O
17:Eu
2+などの蛍光体を含有してもよい。
【0062】
また、LED素子31〜34は、青色LEDに限らず、例えば紫色LEDまたは近紫外LEDであってもよく、その発光波長帯域は、紫外域を含む200〜460nm程度の範囲内であってもよい。また、例えば、ある発光部20のLED素子31〜34は青色LEDであり、他の発光部20のLED素子31〜34は緑色LEDであるというように、発光部20ごとにLED素子31〜34の発光波長帯域が異なっていてもよい。