(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
光に任意のパターンを形成するデバイスとして、DMD(Digital Micromirror Device)が知られている。DMDは、マトリクス状に配置された可動式のマイクロミラーのアレイを備える。各マイクロミラーの傾斜角を切りかえることにより、画素毎に、光のオン、オフが切りかえ可能となっている。
【0003】
DMD自体は、オン、オフの2値制御であるが、オン、オフ時間の時間比率を変調することにより、階調表現が可能となる。
図1(a)、(b)は、DMDの階調制御を説明する図である。理解の容易化のため、1画素のマイクロミラーに着目する。
【0004】
図1(a)には、一般的なパルス変調による階調制御が示される。マイクロミラーにはCW(Continuous Wave)の入射光LDが入射しており、オン状態において、入射光LDを出射光路側に反射し、オフ状態において、入射光LDを出射光路とは別の光路に反射する。
【0005】
図1(a)には、1フレーム期間T
FRAMEが示される。たとえば8ビット、256階調で制御する場合、1フレーム期間T
FRAMEは、複数8個のサブ期間T
7〜T
0に分割される。複数のサブ期間T
7〜T
0の長さはバイナリで重み付けされており、階調制御の1LSBに相当するサブ期間T
0の長さをt
0とするとき、サブ期間T
iの長さは、t
0×2
iとなる。
【0006】
各サブ期間T
7〜T
0におけるマイクロミラーのオン、オフは、8ビットのバイナリデータb[7:0]にもとづいて制御される。たとえばb[i]=1のとき、対応するサブ期間T
iの間、マイクロミラーはオンとなる。1フレーム期間T
FRAMEにおいて、マイクロミラーがオンとなる時間T
ONは、
T
ON=Σ
i=0〜7)(b[i]×T
i)=Σ
i=0〜7)(b[i]×t
0×2
i)
となる。
【0007】
図1(a)の制御方式におけるフレームレートについて検討する。N階調制御する場合、1フレーム期間T
FRAMEはN×t
0、フレームレートは、1/(N×t
0)となる。したがって、フレームレートの上限は、最小制御時間t
0によって制約を受ける。現状利用可能なDMDでは、t
0=44μs程度であり、1フレーム期間T
FRAMEは11.22msとなり、フレームレートは、89fps(frame per sec)が上限となる。
【0008】
図1(b)は、高速なフレームレートを実現可能な制御方式を説明する図である。
図1(b)の制御方式では、マイクロミラーのオン時間T
ONに加えて、入射光LDのオン時間が階調制御される。この例では、下位4ビットに対応するサブ期間T
0〜T
3において、入射光LDのオン時間がバイナリで重み付けされており、上位4ビットに対応するサブ期間T
4〜T
7において、入射光LDは一定である。
【0009】
サブ期間T
0〜T
3の長さは等しくt
0であり、入射光LDのオン時間t
i(i=1,2,3,4)は、
t
i=t
1×2
i
t
1×2
4≦t
0であり、t
1は入射光LDの最小オン幅である。
【0010】
上位4ビットのサブ期間T
4〜T
7の長さT
j(j=4,5,6,7)は、
T
j=t
1×2
j
となる。
【0011】
図1(b)の制御によれば、1フレーム期間T
FRAMEの長さは、4t
0+240t
1となる。入射光LDのスイッチングは、マイクロミラーのスイッチングより高速化が可能である。たとえばt
1=1ms、t
0=44μsとすれば、1フレーム期間T
FRAMEは1msとなり、1000fpsを実現することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図1(b)の方式において、フレームレートをさらに高めるためには、入射光の最小オン時間t
1をさらに小さくする必要がある。光源としては主として、LD(レーザダイオード)やLED(発光ダイオード)などの半導体光源が使用される。半導体光源の点消灯制御は、定電流出力のスイッチングコンバータによって、駆動電流を生成し、(i)駆動電流自体をスイッチングするか、(ii)駆動電流を定常的に生成し、駆動電流の経路を、半導体光源か別経路かで切りかえる必要がある。いずれの方式においても、最小オン時間t
1を短くすることは容易ではない。
【0014】
本発明はかかる状況においてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、バイナリで重み付けされた多階調の電流を時分割で高速に生成可能な点灯回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のある態様は、光源の点灯回路に関する。点灯回路は、フレーム期間を周期として所定のパターンの電流を繰り返し生成する。M、Nそれぞれを2以上の任意の整数とするとき、フレーム期間は、等しい長さt
0を有するM個の第1サブフレームおよびN個の第2サブフレームに分割される。点灯回路は、i番目(1≦i≦M)の第1サブフレームにおいて、長さt
0のオン時間の間、振幅が2
i−1×I
0の電流を光源に供給し、j番目(1≦j≦N)の第2サブフレームにおいて、長さ2
−j×t
0のオン時間の間、振幅がI
0の電流を光源に供給する。
【0016】
i番目、j番目は便宜的なものであり、時系列とは無関係である。この点灯回路によれば、バイナリで重み付けされた複数階調の電流列で生成できる。最小の時間幅はt
0/2
Nである。電流振幅を一定Iとして同じ階調数を実現するためには、最小時間幅をt
0/2
N+M−1としなければならない。この態様によれば、同じ階調数を、より長い最小オン時間で実現できる。あるいは、同じ最小オン時間を仮定した場合に、より大きな階調数を実現できる。
【0017】
点灯回路は、光源と並列に設けられ、第1状態、第2状態が切りかえ可能であり、第1状態においてハイインピーダンスとなり、第2状態において光源と並列な電流経路を形成するバイパス回路と、振幅がI
0の第1電流を生成する第1定電流回路と、振幅がI
0の第2電流を生成する少なくともひとつの第2定電流回路と、少なくともひとつの第2定電流回路と対応し、それぞれが、対応する第2定電流回路の一方の出力と光源の一端の間に設けられる、少なくともひとつのシリーズスイッチと、少なくともひとつの第2定電流回路と対応し、それぞれが、第2定電流回路の一方の出力と他方の出力の間に設けられる、少なくともひとつのシャントスイッチと、を備えてもよい。
【0018】
バイパス回路は、光源を消灯すべき期間において、光源の両端間電圧を、ゼロより大きく光源の点消灯のしきい値電圧より低く規定されるクランプレベルにクランプするクランプ回路を含んでもよい。
点灯期間における光源の両端間電圧をV
ON、クランプレベルをV
CLとする。この態様では、光源の消灯期間において両端間電圧は、クランプレベルV
CLにクランプされるため、消灯から点灯に切りかえる際の、両端間電圧の変化幅ΔVは、V
ON−V
CLとなる。V
CLを点消灯のしきい値電圧V
THに近づけることで、消灯から点灯に切りかえる際の変動幅ΔVを小さくでき、したがって光源を短い時間で点灯させることができる。また、駆動回路から見たときの負荷変動を小さくできるため、第2電流ドライバの設計上の制約を緩和できる。
【0019】
クランプ回路は、光源の消灯指示に応答して直ちに、光源の両端間電圧を実質的にゼロまで低下させ、その後、クランプレベルにクランプしてもよい。
これにより、光源の消灯指示後、光源を短時間で消灯することができる。
【0020】
クランプ回路は、光源と並列な第2経路の上に設けられた第2スイッチをさらに含んでもよい。第2スイッチは、光源の消灯指示後、直ちにターンオンし、光源の点灯指示に先だってターンオフしてもよい。
これにより、点灯から消灯への切りかえを高速にできる。
【0021】
本発明の別の態様もまた、点灯回路に関する。この点灯回路は、光源と並列に設けられ、第1状態、第2状態が切りかえ可能であり、第1状態においてハイインピーダンスとなり、第2状態において光源と並列な電流経路を形成するバイパス回路と、振幅がIの第1電流を生成する第1定電流回路と、振幅がIの第2電流を生成する第2定電流回路と、第1定電流回路の一方の出力と光源の一端の間に設けられるシリーズスイッチと、第1定電流回路の一方の出力と他方の出力の間に設けられるシャントスイッチと、バイパス回路、シリーズスイッチおよびシャントスイッチを制御するコントローラと、を備える。
【0022】
コントローラは、等しい単位長さt
0を有する複数のサブフレームを含むフレーム期間を繰り返し、フレーム期間は、シリーズスイッチをオン、シャントスイッチをオフ、バイパス回路を第1状態とするサブフレームと、シリーズスイッチをオフ、シャントスイッチをオン、バイパス回路を第1状態とするサブフレームと、シリーズスイッチをオフ、シャントスイッチをオン、バイパス回路をt
0/2の間、第1状態とし、残りの時間、第2状態とするサブフレームと、シリーズスイッチをオフ、シャントスイッチをオン、バイパス回路をt
0/4の間、第1状態とし、残りの時間、第2状態とするサブフレームと、… シリーズスイッチをオフ、シャントスイッチをオン、バイパス回路をt
0/2N(N≧3)間、第1状態とし、残りの時間、第2状態とするサブフレームと、を含んでもよい。
【0023】
本発明のべつの態様は、プロジェクタ装置に関する。プロジェクタ装置は、デジタルマイクロミラーデバイスと、デジタルマイクロミラーデバイスに光を照射する光源と、光源を点灯する上述のいずれかの点灯回路と、を備える。
【0024】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【0025】
さらに、この項目(課題を解決するための手段)の記載は、本発明の欠くべからざるすべての特徴を説明するものではなく、したがって、記載されるこれらの特徴のサブコンビネーションも、本発明たり得る。
【発明の効果】
【0026】
本発明のある態様によれば、バイナリで重み付けされた多階調の電流を時分割で高速に生成できる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0029】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0030】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0031】
また本明細書において、電圧信号、電流信号などの電気信号、あるいは抵抗、キャパシタなどの回路素子に付された符号は、必要に応じてそれぞれの電圧値、電流値、あるいは抵抗値、容量値を表すものとする。
【0032】
本明細書において参照する波形図やタイムチャートの縦軸および横軸は、理解を容易とするために適宜拡大、縮小したものであり、また示される各波形も、理解の容易のために簡略化され、あるいは誇張もしくは強調されている。
【0033】
図2は、実施の形態に係るプロジェクタ装置400のブロック図である。プロジェクタ装置400は、DMD402および照明装置100を備える。DMD402は、マトリクス状に配置された複数の画素、すなわちマイクロミラー404のアレイを備える。各画素のマイクロミラー404は、パターン制御信号S
PATに応じて個別にオン、オフが切りかえ可能となっている。
【0034】
照明装置100は、断面の光強度分布が均一な照明光104を発生し、DMD402に照射する。DMD402の反射光106は、パターン制御信号S
PATに応じた強度分布を有する。
【0035】
照明装置100は、光源102および点灯回路200を備える。点灯回路200は、フレーム期間T
FRAMEを周期として所定のパターンの駆動電流I
OUTを繰り返し生成し、光源102に供給する。光源102は、たとえばLDやLED、有機EL素子などであり、点灯回路200が生成する駆動電流I
OUTに応じた輝度で発光する。
【0036】
図3は、駆動電流I
OUTを示す波形図である。M、Nそれぞれを2以上の任意の整数とするとき、フレーム期間T
FRAMEは、等しい長さt
0を有するM個の第1サブフレームT
A1〜T
AMおよびN個の第2サブフレームT
B1〜T
BNに分割される。
図3では、M=2、N=6であるがその限りではない。
【0037】
M個の第1サブフレームT
A1〜T
AMに着目すると、i番目(1≦i≦M)の第1サブフレームT
Aiにおいて、長さt
0のオン時間の間、振幅が2
i−1×I
0の駆動電流I
OUTが生成される。
【0038】
N個の第2サブフレームT
B1〜T
BNに着目すると、j番目(1≦j≦N)の第2サブフレームT
Bjにおいて、長さ2
−j×t
0のオン時間の間、振幅がI
0の駆動電流I
OUTが生成される。
【0039】
照明装置100が発生する照明光104の光強度は、
図3の駆動電流I
OUTと実質的に同一の波形を有する。DMD402の各画素(マイクロミラー404)は、サブフレーム単位でオン、オフが切りかえられる。
【0040】
1画素に着目する。M個の第1サブフレームT
AM〜T
A1、N個の第2サブフレームT
B1〜T
BNそれぞれにおける画素のオン、オフは、8ビットのバイナリ信号b[7:0]の対応するビットに応じて制御される。b[7]=1のとき、対応するサブフレームT
AMの間、画素はオンであり、b[7]=0のとき、サブフレームT
AMの間、画素はオフである。1フレーム期間T
FRAMEの平均光強度は、バイナリ信号b[7:0]の値に応じて規定される。
【0041】
以上が実施の形態に係る照明装置100の構成および動作である。続いてその利点を説明する。
【0042】
この点灯回路200によれば、振幅制御とパルス幅制御を組み合わせることにより、バイナリで重み付けされた多階調(
図3では階調数8)の電流を時分割で高速に生成できる。
【0043】
この点灯回路200の利点は、以下の比較技術との対比によって明確となる。比較技術において、駆動電流I
OUTの振幅をI
0の一定が一定とされる。
図4は、比較技術における駆動電流I
OUTの波形図である。比較技術において
図3と同様に8階調の電流列を生成しようとすれば、電流振幅を2×I
0とし、T
A2を省略し、オン時間がt
0/128であるサブフレームを追加する必要がある。
【0044】
つまり、実施の形態に係る点灯回路200によれば、比較技術と同じ階調を実現するために必要な最小オン時間を2倍とすることができる。電流パルスの精度は、パルス幅が短くなるほど悪化するところ、実施の形態に係る点灯回路200によれば、同じ階調を実現した場合の精度を高めることができる。
【0045】
別の観点から言えば、比較技術と同じ精度を確保した場合、階調数を増加させることができる。
【0046】
同じ階調数を仮定して、M=3とすれば最小パルス幅は比較技術の4倍、M=4とすれば最小パルス幅は比較技術の8倍となるため、より一層、精度を高めることが可能となる。あるいは、同じ最小パルス幅(すなわち精度)を仮定すると、M=3、M=4と増やすにしたがって、階調数を増やすことができる。
【0047】
また、電流のスイッチングは、その振幅が大きくなるほど速度が低下し、あるいは精度が悪化する。比較技術では、振幅が2×I
0の電流をスイッチングさせる必要があるのに対して、実施の形態では、半分I
0の電流をスイッチングさせればよい。したがってこの点においても、高速動作が可能であり、あるいは高精度化が可能となる。
【0048】
なお、
図3の例では、光強度が高い順に並べられているが、複数のサブサブフレームの順序は任意に入れ替えることができる。たとえば光強度が低い順に並べ替えてもよい。
【0049】
あるいはM個の第1サブフレームT
AM〜T
A1の中で、時系列の順序を入れ替えてもよい。同様に、N個の第2サブフレームT
B1〜T
BNの中で、時系列の順序を入れ替えてもよい。
【0050】
また、N個の第2サブフレームT
B1〜T
BNをM個の第1サブフレームT
AM〜T
A1より時間軸上で前に配置してもよい。あるいは、M個の第1サブフレームT
AM〜T
A1とN個の第2サブフレームT
B1〜T
BNを時間軸上でシャッフルして配置してもよい。
【0051】
また
図3では、N個の第2サブフレームT
B1〜T
BNにおいて、それぞれのオン時間が第2サブフレームの最後端に配置されているがその限りでなく、最先端に配置してもよいし、中央に配置してもよい。
【0052】
続いて点灯回路200の構成例を説明する。
図5は、実施の形態に係る点灯回路の一実施例(200A)のブロック図である。この点灯回路200Aは、
図3に示したように、M=2である駆動電流I
OUTの波形を生成する。点灯回路200Aは、1個の第1定電流回路202と、1個の第2定電流回路204と、1個のシリーズスイッチSWA、1個のシャントスイッチSWB、バイパス回路206、コントローラ208を備える。
【0053】
第1定電流回路202、第2定電流回路204はそれぞれ、振幅がI
0の第1電流I
X、第2電流I
Yを生成する。第1定電流回路202、第2定電流回路204の構成は特に限定されないが、定電流出力のスイッチングコンバータを用いることができ、好ましくは高速性に優れるリップル制御のコンバータを用いることができる。なお第1定電流回路202、第2定電流回路204はリニア電流源を用いてもよい。
【0054】
バイパス回路206は、光源102と並列に設けられ、第1状態φ
1、第2状態φ
2が切りかえ可能である。バイパス回路206は、第1状態φ
1においてハイインピーダンスとなり、このとき光源102には非ゼロの駆動電流I
OUTが供給される。バイパス回路206は第2状態φ
2において光源102と並列な電流経路(迂回経路)207を形成し、このとき光源102に流れる電流はゼロとなる。
【0055】
たとえばバイパス回路206は、光源102の両端間に設けられたバイパススイッチ207を含み、バイパススイッチのオフが第1状態φ
1に、バイパススイッチのオンが第2状態φ
2に対応してもよい。
【0056】
シリーズスイッチSWAは、第2定電流回路204の一方の出力OUT1と光源102の一端(アノード)の間に設けられる。シリーズスイッチSWAは、第2定電流回路204の一方の出力OUT2と光源102の一端(カソード)の間に設けてもよい。
【0057】
シャントスイッチSWBは、第2定電流回路204の一方の出力OUT1と他方の出力OUT2の間に設けられる。
【0058】
コントローラ208は、シリーズスイッチSWA、シャントスイッチSWBおよびバイパス回路206を制御する。シリーズスイッチSWAとシャントスイッチSWBは相補的にオン、オフが切りかえられ、一方がオンのとき、他方がオフの関係にある。
【0059】
以上が点灯回路200Aの構成である。続いてその動作を説明する。
図6は、
図5の点灯回路200Aの動作波形図である。シリーズスイッチSWAはサブフレームT
A2においてオン、残りの期間、オフである。シャントスイッチSWBはサブフレームT
A2においてオフ、残りの期間、オンである。
【0060】
バイパス回路206は、2個の第1サブフレームT
A2,T
A1において第1状態φ
1となる。バイパス回路206は、j番目の第2サブフレームT
Bjにおいて、長さ2
−j×t
0のオン時間の間、第1状態φ
1となり、残りのオフ時間の間、第2状態φ
2となる。
【0061】
図5の点灯回路200Aによれば、
図3の駆動電流I
OUTを好適に生成できる。
【0062】
図7は、シリーズスイッチSWAおよびシャントスイッチSWBの一構成例の回路図である。シリーズスイッチSWA、シャントスイッチSWBは、NチャンネルMOSFETで構成される。シリーズスイッチSWAのMOSFETのバックゲートは、第2定電流回路204の出力OUT1と接続され、したがってこのMOSFETのボディダイオードBD1のカソードは光源102のアノードと接続される。シャントスイッチSWBのMOSFETのバックゲートは、第2定電流回路204の出力OUT2と接続され、したがってこのMOSFETのボディダイオードBD2のカソードは光源102のアノードと接続される。
【0063】
この構成により、シリーズスイッチSWAがオン、シャントスイッチSWBがオフの状態では、第2定電流回路204の出力電流I
YをOUT1,SWB,OUT2の経路に流しつつ、第1定電流回路202の出力電流I
XがシャントスイッチSWBに流れるのを防止できる。
【0064】
図8は、実施の形態に係る点灯回路の一実施例(200B)のブロック図である。この点灯回路200Bは、1個の第1定電流回路202と、K個の第2定電流回路204_1〜204_Kと、K個のシリーズスイッチSWA_1〜SWA_K、K個のシャントスイッチSWB_1〜SWB_K、バイパス回路206、コントローラ208を備える。
【0065】
第1定電流回路202は、振幅がI
0である第1電流I
Xを生成する。i番目(1≦i≦K)の第2定電流回路204_iは、振幅が2
i−1I
0である第2電流I
Y_iを生成する。
【0066】
i番目(1≦i≦K)のシリーズスイッチSWA_iは、対応する第2定電流回路204_iの一方の出力OUT1と光源102の一端(アノード)の間に設けられる。i番目(1≦i≦K)のシャントスイッチSWB_iは、対応する第2定電流回路204_iの一方の出力OUT1と他方の出力OUT2の間に設けられる。
【0067】
コントローラ208は、K個のシリーズスイッチSWA_1〜SWA_K、K個のシャントスイッチSWB_1〜SWB_K、バイパス回路206を制御する。共通の第2定電流回路204_iに接続されるシリーズスイッチSWA_iとシャントスイッチSWB_iは相補的に制御される。
【0068】
図9は、
図8の点灯回路200Bの動作波形図である。第1サブフレームT
Aの個数Mと、第2定電流回路204の個数Kの間には、K=M+1の関係が成り立つ。K=2としたとき、1フレームには3個の第1サブフレームT
A3〜T
A1が含まれる。
図9ではN=5である。
【0069】
1番目のシリーズスイッチSWA_1は、サブフレームT
A3,T
A2においてオン、残りのサブフレームT
A1においてオフである。シャントスイッチはシリーズスイッチと相補的に制御されるため省略する。
【0070】
2番目のシリーズスイッチSWA_2は、サブフレームT
A3においてオン、残りのサブフレームT
A2,T
A1においてオフである。
【0071】
任意のKに拡張すると、K個のうちi番目のシリーズスイッチSWA_iは、K+1個の第1サブフレームT
AK+1〜T
A1のうち、T
A1…T
Aiにおいてオフであり、残りにおいてオンである。
【0072】
バイパス回路206は、N個の第1サブフレームT
A3〜T
A3において第1状態φ
1となる。バイパス回路206は、j番目の第2サブフレームT
Bjにおいて、長さ2
−j×t
0のオン時間の間、第1状態φ
1となり、残りのオフ時間の間、第2状態φ
2となる。
【0073】
図8の点灯回路200Bによれば、
図9の駆動電流I
OUTを好適に生成できる。
【0074】
(変形例)
これまでの説明では、照明装置100が生成する照明光は、フレーム期間を1周期として所定のパターンにしたがって光強度が変化したが、その限りではなく、照明光104は、サブフレーム毎に照明装置100自身によってオフ、オフが制御されてもよい。つまり、点灯回路200が生成する駆動電流I
OUTは、サブフレームごとに、オン、オフが切りかえ可能である。
【0075】
この変形例では、バイパス回路206の動作が修正される。あるサブフレームにおいて、駆動電流I
OUTをオフにする場合、そのサブフレームの間、バイパス回路206を第2状態φ
2に固定すればよい。
【0076】
この変形例によれば、照明装置100単独で、フレーム毎の光強度を変調することができる。
【0077】
続いて、バイパス回路206の好ましい構成例を説明する。
図10は、バイパス回路206の一実施例の回路図である。
図10の駆動回路201は、第1定電流回路202と第2定電流回路204の合成回路に相当し、その出力電流をI
DRVと記す。
【0078】
バイパス回路206は、クランプ回路210を含む。クランプ回路210は、光源102を消灯すべき期間において、光源102の両端間電圧V
FをクランプレベルV
CLにクランプする。クランプレベルV
CLは、ゼロより大きく光源102の点消灯のしきい値電圧V
THより低く規定される。より詳しくは、クランプ回路210は、光源102の点消灯を指示する制御信号S
1に応じてイネーブル(活性化)、ディセーブル(不活性化)が切りかえ可能に構成される。制御信号S
1は、点灯回路200の内部で生成されてもよいし、外部から供給されてもよい。
【0079】
クランプ回路210は、制御信号S
1が、第1レベル(点灯レベル)であるときにディセーブルとなり、光源102や駆動回路201には電気的に作用しない状態となる。クランプ回路210のディセーブルは、バイパス回路206の第1状態φ
1に対応する。クランプ回路210は、ディセーブル状態で、ハイインピーダンス状態となってもよい。
【0080】
クランプ回路210は、制御信号S
1が、第2レベル(消灯レベル)であるときにイネーブル状態となり、光源102の両端間電圧V
Fを、クランプレベルV
CLにクランプする。これを第1機能という。クランプ回路210のイネーブルは、バイパス回路206の第2状態φ
2に対応する。
【0081】
図11は、光源102のI/V特性を示す図である。横軸は光源102の両端間電圧、すなわち順方向電圧V
Fであり、縦軸は順電流I
Fを示す。光源102がLEDである場合、順方向電圧V
Fがオン電圧V
ONより低い領域において、順電流I
Fは実質的にゼロであり、光源102は消灯とみなせる。順方向電圧V
Fがオン電圧V
ONより高い領域においては、順電流I
Fは順方向電圧V
Fに応じて増加し、光源102は順電流I
Fに応じた輝度で発光する。したがって、光源102がLEDの場合には、しきい値電圧V
THは、オン電圧V
ONと対応付けることができる。
【0082】
なお、しきい値電圧V
THは、光源102の点灯状態と消灯状態の境界であるところ、ここでの消灯状態は、光源102から放射される光子が完全にゼロであることを要求するものでない。たとえば、光源102の光量が多階調制御される場合、1LSBに相当する光量よりも、十分に少ない光子を放出する状態は、消灯状態とみなすことができる。あるいは、人間が知覚できる光量よりも少ない光子を放出する状態を、消灯状態とみなすこともできる。
【0083】
図11において、V
ON=V
THとすると、クランプレベルV
CLは、0Vとオン電圧V
ONの間に設定される。
【0084】
以上が点灯回路200の構成である。続いてその動作を説明する。
図12は、
図10の点灯回路200の動作波形図である。時刻t
0より前において制御信号S
1は点灯レベル(ハイレベル)であり、クランプ回路210はディセーブル状態(DIS)である。このとき光源102の順電流I
Fは、駆動回路201が生成する駆動電流I
DRVと等しくなり、光源102は、駆動電流I
DRVに応じた輝度で発光する。順方向電圧V
Fは、駆動電流I
DRVに相当する電圧レベルV
ONである。
【0085】
時刻t
0に制御信号S
1が消灯レベル(ローレベル)に遷移すると、クランプ回路210がイネーブル状態(EN)となる。クランプ回路210がイネーブル状態となると、光源102の両端間電圧(順方向電圧)V
FはクランプレベルV
CLにクランプされる。クランプ回路210の動作遅延によって、順方向電圧V
Fは、ある傾きでクランプレベルV
CLに向かって低下していき、光源102の順電流I
F、すなわち輝度も、時間と共に減少していく。光源102が生成する駆動電流I
DRVと順電流I
Fの差分は、クランプ回路210に流れることに留意されたい。
【0086】
時刻t
1に順方向電圧V
Fがしきい値電圧V
THと交差すると、順電流I
Fがゼロとなり、光源102が消灯する。その後、時刻t
2に順方向電圧V
FがクランプレベルV
CLに到達し、その後、同じ電圧レベルを維持する。
【0087】
時刻t
3に制御信号S
1が点灯レベル(ハイレベル)に遷移すると、クランプ回路210がディセーブル状態(DIS)となる。クランプ回路210がディセーブル状態となると、光源102の順方向電圧V
Fのクランプが解除され、消灯期間においてクランプ回路210に流れていた駆動電流I
DRVが、光源102に流れ、順方向電圧V
Fは、もとの電圧レベルV
ONに向かって増大していく。V
CL<V
F<V
THである時刻t
3〜t
4の間、順電流I
Fは実質的にゼロであり、光源102は消灯している。
【0088】
順方向電圧V
Fがしきい値電圧V
THと交差する時刻t
4以降、順電流I
Fが流れ初め、光源102の輝度が増大する。そして時刻t
5に、駆動電流I
DRVのすべてが光源102に流れるようになり、順電流I
Fが駆動電流I
DRVと等しくなる。
【0089】
以上が点灯回路200の動作である。クランプ回路210の利点は、バイパススイッチを用いた回路との対比によって明確となる。
図13は、バイパススイッチを用いた点灯回路の動作波形図である。
【0090】
時刻t
10より前において制御信号S
1は点灯レベル(ハイレベル)であり、バイパススイッチはオフであり、駆動回路201が生成する駆動電流I
DRVは、光源102に流れ、光源102は、駆動電流I
DRVに応じた輝度で発光する。順方向電圧V
Fは、駆動電流I
DRVに相当する電圧レベルV
ONである。
【0091】
時刻t
10に制御信号S
1が消灯レベル(ローレベル)に遷移すると、バイパススイッチがオンする。これにより、それまで光源102に流れていた駆動電流I
DRVがバイパススイッチに流れ、順電流I
Fが減少する。
【0092】
時刻t
11に順方向電圧V
Fがしきい値電圧V
THと交差すると、順電流I
Fがゼロとなり、光源102が消灯する。その後、時刻t
12に順方向電圧V
Fがゼロ(0V)まで低下する。
【0093】
時刻t
13に制御信号S
1が点灯レベル(ハイレベル)に遷移すると、バイパススイッチがオフし、消灯期間においてバイパススイッチに流れていた駆動電流I
DRVが、光源102に流れ、順方向電圧V
Fは、もとの電圧レベルV
ONに向かって増大していく。0<V
F<V
THである時刻t
13〜t
14の間、順電流I
Fは実質的にゼロであり、光源102は消灯している。
【0094】
順方向電圧V
Fがしきい値電圧V
THと交差する時刻t
14以降、順電流I
Fが流れ初め、光源102の輝度が増大する。そして時刻t
15に、駆動電流I
DRVのすべてが光源102に流れるようになり、順電流I
Fが駆動電流I
DRVと等しくなる。
【0095】
以上がクランプ回路210の動作である。バイパススイッチを用いた回路では、制御信号S
1が点灯レベルに遷移した時刻t
13から、順方向電圧V
Fがしきい値電圧V
THに到達する時刻t
14までの期間(点灯不能期間と称する)τ
0、順電流I
Fはゼロであり、光源102を点灯させることができない。
【0096】
制御信号S
1の周期(スイッチング周期T
P)が短くなるにしたがい、言い換えればスイッチング周波数が高くなるにしたがって、点灯不能期間τ
0が周期T
Pに占める割合が高くなる。言い換えれば、スイッチング周期T
Pは点灯不能期間τ
0の制約を受ける。
【0097】
なお、
図13における点灯不能期間τ
0の長さは、順方向電圧V
Fの上昇速度(スルーレートSR
0)を用いて、
τ
0=V
TH/SR
0
と近似できる。
【0098】
図12に戻る。
図12において、時刻t
3〜t
4が点灯不能期間τ
1に相当する。点灯不能期間τ
1の長さは、順方向電圧V
Fの上昇速度(スルーレートSR
1)を用いて、
τ
1=(V
TH−V
CL)/SR
1
と近似できる。仮に、
図12と
図13のスルーレートが等しい(SR
0=SR
1)とすると、
図12の点灯不能期間τ
1は、
図13の点灯不能期間τ
0より短くなる。
【0099】
このように、
図10のクランプ回路210によれば、光源102を消灯から点灯に切りかえる際の点灯不能期間τを短くできるため、高速なスイッチングが可能となる。
【0100】
また、駆動回路201から見たときの負荷変動を小さくできるため、駆動回路201の設計上の制約を緩和でき、したがって駆動回路201の設計が容易となる。
【0101】
たとえば駆動回路201は、出力電流が定電流制御されるスイッチングコンバータ(スイッチモード電源)で構成することができる。定電流出力のスイッチングコンバータには、出力電圧の変動にかかわらず、出力電流を一定に保つ機能が要求される。出力電圧が高速にかつ大振幅で変動する用途では、スイッチングコンバータに要求される応答速度が非常に速くなり、その設計は困難を極める。クランプ回路210の第1機能によって、出力電圧の変動幅が小さくなるため、スイッチングコンバータの設計が容易となるという利点もある。駆動回路201をリニア電源で構成することも可能であるが、この場合であっても、同様のメリットを享受できる。
【0102】
点灯不能期間τ
1は、消灯期間と点灯期間における順方向電圧V
Fの変動幅ΔV(=V
TH−V
CL)を小さくするほど短くなる。したがって、スイッチング周波数を高めるためには、クランプレベルV
CLを、しきい値電圧V
THを超えない範囲において可能な限り高く設定することが好ましい。この観点から、クランプレベルV
CLは、しきい値電圧V
THの1/3より高く、より好ましくはしきい値電圧V
THの1/2より高く定めることが望ましい。
【0103】
その反面、クランプレベルV
CLを高くしすぎると、しきい値電圧V
THのばらつきや温度変動によって、消灯期間において光源102が誤点灯するおそれがある。この観点から、クランプレベルV
CLは、しきい値電圧V
THの4/5より低く、より好ましくはしきい値電圧V
THの3/4より低く定めることが望ましい。
【0104】
続いて、クランプ回路210のより好ましい機能(第2機能)を説明する。クランプ回路210は光源102の消灯指示(即ち制御信号S
1のネガエッジ)に応答して直ちに、光源102の両端間電圧V
Fを実質的にゼロまで低下させる。クランプ回路210は、その後、光源102の点灯より前に、両端間電圧V
FをクランプレベルV
CLにクランプする(第2機能)。
【0105】
図14は、第2機能を備える点灯回路の動作波形図である。時刻t
0において制御信号S
1が消灯レベルに切りかわると、光源102の両端間電圧V
Fは直ちにゼロ(0V)まで低下する。これにより、順電流I
Fは直ちにゼロまで低下する。
【0106】
その後、制御信号S
1が点灯レベルに切り替わる時刻t
3に先立つ時刻t
2において、光源102の両端間電圧V
Fは、クランプレベルV
CLに戻される。
【0107】
このように、第2機能を備えるクランプ回路210によれば、光源102を高速に消灯することができる。
【0108】
図15は、クランプ回路210の第1構成例210Aの回路図である。クランプ回路210Aは、上述の第1機能を備える。クランプ回路210Aは、光源102と並列な第1経路212の上に、直列に設けられた第1スイッチSW
1およびクランプ抵抗214を含む。第1スイッチSW
1のオンが、クランプ回路210Aのイネーブル状態に、第1スイッチSW
1のオフがクランプ回路210Aのディセーブル状態に対応する。
【0109】
第1経路212の抵抗値をR
1、駆動回路201が生成する駆動電流をI
DRVとするとき、イネーブル状態において、第1経路212の両端間の電圧は、R
1×I
DRVとなる。つまり、クランプレベルV
CLは、以下の式で与えられる。
V
CL=R
1×I
DRV
したがって、0<R
1×I
DRV<V
THが成り立っていればよい。
第1経路212の抵抗値R
1は、クランプ抵抗214の抵抗値と、第1スイッチSW
1の抵抗値の和である。
【0110】
クランプ回路210Aは、コントローラ220をさらに含んでもよい。コントローラ220は、制御信号S
1にもとづいて第1スイッチSW
1のオン、オフを制御する。具体的にはコントローラ220は、制御信号S
1が点灯レベルのときに第1スイッチSW
1をオフし、制御信号S
1が消灯レベルのときに第1スイッチSW
1をオンする。
【0111】
図16は、クランプ回路210の第2構成例210Bの回路図である。クランプ回路210Bは、上述の第1機能および第2機能を備える。クランプ回路210Bは、
図7のクランプ回路210Aに加えて、光源102と並列な第2経路216の上に設けられた第2スイッチSW
2をさらに備える。
【0112】
コントローラ220は、光源102の消灯期間(制御信号S
1が消灯レベル)において第1スイッチSW
1をオンし、光源102の点灯期間(制御信号S
1が点灯レベル)において第1スイッチSW
1をオフする。またコントローラ220は、光源102の消灯指示(すなわち制御信号S
1の対応するエッジ)を契機として直ちに第2スイッチSW
2をターンオンし、その後、光源102の点灯指示に先立って第2スイッチSW
2をターンオフする。たとえば点灯レベルがハイであるとき、コントローラ220は、制御信号S
1のネガエッジをトリガとして、ごく短い間、第2スイッチSW
2をターンオンしてもよい。あるいはコントローラ220は、制御信号S
1のネガエッジから所定時間の間、第2スイッチSW
2をオンしてもよい。
【0113】
図17(a)、(b)は、
図8のクランプ回路210Bの具体的な構成例を示す回路図である。第1スイッチSW
1、第2スイッチSW
2はいずれもNチャンネルMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。
【0114】
図17(a)を参照する。#S
1は、制御信号S
1の反転信号であり、消灯レベルがハイ、点灯レベルがローの信号である。第1ドライバ222は、制御信号#S
1にもとづいて第1スイッチSW
1を駆動する。微分器226は、制御信号S
1を微分する。たとえば微分器226は、ハイパスフィルタで構成してもよく、たとえば信号経路上に設けられたキャパシタを含んでもよい。微分器226の出力は、制御信号#S
1のポジエッジによって上昇し、すぐにゼロに戻る。第2ドライバ224は微分器226の出力にもとづいて第2スイッチSW
2を駆動する。
【0115】
図17(a)において、微分器226と第2ドライバ224を入れ替えてもよい。また
図17(a)において、第2ドライバ224を省略し、第1ドライバ222の出力をそのまま第1スイッチSW
1のゲートに供給し、第1ドライバ222の出力を微分器226を介して第2スイッチSW
2のゲートに供給してもよい。
【0116】
図17(b)を参照する。第1ドライバ223は、制御信号S
1にもとづいて第1スイッチSW
1を駆動する。エッジ検出器228は、制御信号S
1の消灯指示に対応するエッジ(消灯レベルがローであるとき、ポジエッジ)を検出し、検出したエッジから所定時間、ハイレベルとなるエッジ検出信号S
2を生成する。第2ドライバ224は、エッジ検出信号S
2に応じて第2スイッチSW
2を駆動する。
【0117】
図18(a)〜(e)は、クランプ回路210の変形例を示す回路図である。ここでは、第1機能に関連する部分のみを示す。
図18(a)のクランプ回路210においてクランプ抵抗は省略され、第1スイッチSW
1として、クランプ抵抗の抵抗値に相当する大きいオン抵抗R
ONを有するMOSFETを用いてもよい。すなわちオン抵抗R
ONが、第1経路212の抵抗値R
1となり、R
ON×I
DRVが、クランプレベルV
CLとなる。
【0118】
図18(b)のクランプ回路210において、第1経路212の上には、ダイオード215と第1スイッチSW
1が直列に設けられる。ダイオード215には、駆動電流I
DRVが流れることにより、実質的に一定の順方向電圧V
Cが発生する。第1スイッチSW
1のオン抵抗が十分に小さいときには、V
CL=V
Cとなる。第1スイッチSW
1のオン抵抗R
ONが大きい場合、V
CL=V
C+I
DRV×R
ONとなる。
【0119】
図18(c)のクランプ回路210において、第1経路212の上には、ツェナーダイオード217と第1スイッチSW
1が直列に設けられる。ツェナーダイオード217には、駆動電流I
DRVが流れることにより、実質的に一定のツェナー電圧V
Zが発生する。第1スイッチSW
1のオン抵抗が十分に小さいときには、V
CL=V
Zとなる。第1スイッチSW
1のオン抵抗R
ONが大きい場合、V
CL=V
Z+I
DRV×R
ONとなる。
【0120】
図18(d)のクランプ回路210では、クランプ抵抗214の抵抗値をR
1とすると、V
CL=V
C+(R
1+R
ON)I
DRVである。
図18(e)のクランプ回路210では、クランプ抵抗214の抵抗値をR
1とすると、V
CL=V
Z+(R
1+R
ON)I
DRVである。
【0121】
まとめると、クランプ回路210は、抵抗、ダイオード、ツェナーダイオードの任意の組み合わせで構成することができる。
【0122】
(用途)
続いて点灯回路200の用途を説明する。
図2のプロジェクタ装置400は、車両用灯具の前照灯に使用できる。この場合、車両前方の路面状況や前方車、歩行者などの状況に応じて、DMD402を高速に制御して適切な配光を形成することで、視認性を高めることができる。
【0123】
あるいはプロジェクタ装置400によって、路面にさまざまな図形や文字などを描くことが可能となる。たとえば、車両が走行すべきレーンに沿って、図形を描画することにより、運転しやすくなる。
【0124】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。